「よりどころ」の形成史
アルゼンチンの沖縄移民社会と在亜沖縄県人連合会の設立
- 月野楓子(著)/2022年10月
- 4300円(本体)/A5判上製356頁
- 装丁:中本那由子
つながらなくてもいいのではないか。あるいはつながっていなくても、何かを、どこかを、誰かを、想ったり、頼ったりする、つまり何らかの「よりどころ」があれば、人はなんとか「生きる」を続けられるのではないか。
故郷沖縄での苦しい生活を脱するため20世紀前半に多くの人々がアルゼンチンへ雄飛したが、そこでの暮らしは必ずしも思い描いていた通りのものではなかった。貧困や差別のある厳しい生活の中で培われたアイデンティティや連帯の強さは、しかし、「沖縄」「同郷」というだけで説明できるような、わかりやすいものなのだろうか。
戦後に在亜沖縄県人連合会が結成された経緯と意義を、そして戦争や帰属問題に揺れる遠くの故郷をどのように移民の人々が見ていたのかを、「エスニシティ」や「ナショナリズム」に還元できないものに目を向けながら描きだす。
(ISBN 9784861108303)
目次|contents
はじめに
序章
第一章 アルゼンチンにおける沖縄移民社会の形成
第二章 沖縄移民の団体・仕事・生活
第三章 第二次世界大戦時の在亜邦人社会と沖縄移民
第四章 在亜邦人社会の戦後―アルゼンチン政府要人への接近と移民の再開
第五章 救済活動による戦後組織の展開
第六章 沖縄文化の抑圧とアルゼンチンにおける沖縄文化
第七章 「在亜沖縄県人連合会」の設立
終章
著者|author
月野楓子(つきの・ふうこ)
沖縄国際大学総合文化学部専任講師
沖縄移民研究、ラテンアメリカ研究、国際文化学
主な著作に、「中南米地域の邦字新聞を活用した日本人移住に関する諸研究―『らぷらた報知』の創刊と『在亜沖縄県人連合会』の設立」(『研究紀要』15号、JICA横浜海外移住資料館、2021年)、「Ryukyu Sapukaiにみる沖縄文化の「継承」―アルゼンチンの沖縄系下位世代に関する一考察」(『インターカルチュラル』14号、日本国際文化学会、2015年)など。