古代文字史料の中心性と周縁性

古代文字史料の中心性と周縁性

  • 立教大学東アジア地域環境問題研究所 浦野聡・深津行徳編/2006年4月
  • 3500円(本体)/A5判上製・380頁

<地方>の木簡や石碑などの遺存記録史料が<中央>の文献史料では得られない歴史を解明。英国、韓国、日本という異文化圏の学者12人による世界に例を見ない研究報告集。
(ISBN 4861100674)

目次|indexs

総論
古代東アジア史料の世界
古代日本史料の世界
ローマ帝国における官僚制と文書
慣習と伝統
古代日本からみた東アジアの漢字文化とメンタリティの多様な成り立ち
東方ギリシア碑文における石の上での「公」「私」の対話
古代世界におけるギリシア人と名前―伝統と革新―
主題と内容
近年出土した中国古代の法律
東アジア辺境軍事施設の経営と統治体制―新羅城山山城木簡を中心に―
古代日本における地方社会と文字
後期ローマ帝国における台帳碑文―その社会的・財政的含意についての若干の考察―
時間的・空間的分布と偏在
木簡はどういう所から出土するか?
西方辺境からの言葉―ウェールズとカーライル出土の書板―

著者|author

李 基東(東国大学)
石上 英一(東京大学)
アラン・K・ボウマン(オックスフォード大学
新川 登亀男(早稲田大学)
チャールズ・V・クロウザー(オックスフォード大学)
エレイヌ・マシューズ(オックスフォード大学)
冨谷 至(京都大学)
李 成市(早稲田大学)
平川 南(国立歴民俗博物館)
浦野 聡(立教大学)
寺崎 保広(奈良大学)
ロジャー・トムリン(オックスフォード大学)

 

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「日英同盟」協約交渉とイギリス外交政策

「日英同盟」協約交渉とイギリス外交政策

  • 藤井信行/2006年4月
  • 2190円(本体)/四六判上製・196頁

ソールズベリは「名誉ある孤立」を破ったのか? 19世紀末におけるイギリスの伝統的外交政策とは何だったのか。日英両国の外交文書を並列・精査し、政局が動く瞬間を緻密に描く欧州国際関係史。
(ISBN 4861100712)

目次|indexs

まえがき
第Ⅰ部 第一次世界大戦の勃発とイギリス外交政策
第一章 ソールズベリと一九世紀からのイギリス外交政策の伝統
第一節 「孤立政策」から「協商」へ―イギリス外交政策の転換?
第二節 研究史的考察
第三節 ソールズベリの対ロシア政策
第二章 第一次世界大戦への道
第一節 大戦の諸原因(研究史的考察)
第二節 ボスニア危機(一九〇八~〇九年)
第三節 バルカン戦争(一九一二~一三年)とイギリス外交政策
第四節 サライェボ事件(一九一四年)
第五節 大戦の勃発とイギリス外交政策
第Ⅱ部 「日英同盟」協約交渉とイギリス外交政策
第三章 イギリスの東アジアにおける対ロシア政策と ドイツとの同盟の可能
第一節 東アジアにおける対ロシア政策―「日英同盟」協約の公式交渉以前〈一〉
第二節 ドイツとの同盟の可能性と一九〇一年の対ドイツ同盟交渉
第四章 「日英同盟」協約交渉とイギリスの対東アジア政策
第一節 日本との「反ロシアではない協定」の模索―公式交渉以前〈二〉
第二節 日本案の提出と対ロシア交渉の停止
第三節 イギリス草案の提出とランスダウン外相
第五章 まとめ―「日英同盟」協約交渉とイギリス外交政策
あとがき
付録 外務省外交史料館所蔵記録 第一回日英協約全文(和文・英文)
参考文献一覧
索引

著者|author

藤井 信行(ふじい・のぶゆき)
川村学園女子大学人間文化学部教授。専攻は19世紀ヨーロッパ国際関係史および観光歴史学。

担当編集者から

年表にまとめてみればたったの数行。本書は、歴史がこの数行に収斂していくまでを丁寧に描く。各国あらゆる人々の思惑が渦巻いた一部始終は、まるでドキュメンタリー映画を見るよう。表紙装丁には外務省外交史料館所蔵の第一回日英協約の写真を配し、巻末付録のテキストと照合してみる楽しみも![-井戸川-]

 

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帝国医療と人類学

帝国医療と人類学

  • 奥野克巳/2006年2月
  • 2190円(本体)/四六判上製・232頁

帝国主義時代以降、世界中に広まった近代医療の自明性を問う。既存研究を整理し、植民地での複雑な交渉過程を検討、フィールドワークによる知見をも加え、病気や医療をめぐる人類学を再構築する。
(ISBN 4861100623)

目次|indexs

はじめに
第1章 グローバル化する近代医療―帝国医療を手がかりとして

Ⅰ 世界的な感染の時代
Ⅱ フーコーの「統治性」を手がかりとして
Ⅲ 植民地時代以前の疾病史
Ⅳ 統治技術としての帝国医療
Ⅴ 帝国医療の生成変化
Ⅵ 人類学の課題
第2章 土着の実践から民族医療へ―過剰化する近代医療
Ⅰ 民族医療とは
Ⅱ 帝国医療・人類学・民族医療
Ⅲ マラヤを事例として
Ⅳ 民族医療研究における困難
Ⅴ 民族医療研究の再構想
Ⅵ 民族医療における近代医療の過剰
第3章 帝国医療の実相を探る―マラヤのラターをめぐって
Ⅰ 帝国医療のイメージ
Ⅱ マラヤの人びとをめぐる記述
Ⅲ コンタクトゾーンにおける交渉
Ⅳ 読みの拡大
第4章 帝国医療の亡霊―サラワクのコンタクトゾーンから
Ⅰ 先住民プナン
Ⅱ 国立公園の動物を食べる
Ⅲ 村の対立と分裂
Ⅳ 闘う先住民の不安
Ⅴ 新薬開発と生物資源
Ⅵ 帝国医療の亡霊に出会う
おわりに
参考文献
あとがき

著者|author

奥野克巳(おくの・かつみ)
1962年生まれ。桜美林大学国際学部助教授
1998年3月 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。
主要著書
「精霊の仕業」と「人の仕業」—ボルネオ島カリス社会における災い解釈と対処法
春風社、2004年
『文化人類学のレッスン—フィールドからの出発—』(花渕馨也と共編著)学陽書房、2005年

担当編集者から

気鋭の人類学者、奥野克巳さんとの二冊目(一冊目はこちら)。本書編集中の打ち合わせ(泥酔)で、すでに次回作の構想があり「においの人類学」をやりたいと仰る。いいですねえぜひやってください私においふぇちなんですとくに女の各部位の大衆論ならぬ体臭論ですなひひひーとぼく。先生もひひひひひー。同席していた素直そうなゼミ生2人ドン引き。
ともかく、才人のシャープな一冊である。[-内藤-]

 

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増補改訂 危機管理99

増補改訂 危機管理99

  • 石川昭・辻本篤/2006年1月
  • 1800円(本体)/A5判並製・266頁

カトリーナ・ハリケーン、スマトラ沖地震、尼崎線脱線事故、狂牛病、スキミング、フィッシング詐欺…近年発生した災害・事件を中心に、分野を問わず99の事例を紹介。リスク社会を生き抜くための画期的なマニュアル!
(ISBN 4861100615)

目次|indexes

まえがき
自然災害の危機管理
インターネットは役に立つ/通信手段/政府・自治体の対応は遅れやすい/ライフラインを整備せよ/ボランティアの柔軟な受け入れを忘れるな/こころのストレス/波及効果への分析不足/基本的対策の不備/津波対策/津波警報/病院の危機管理/病院の貯水槽/避難所としての学校施設/救急車/救急車の呼び方/デマ/変電所(ライフライン)の故障―台湾地震の例/語り継がれるべき災禍体験/新潟県中越地震/豪雨災害時の避難情報/都市直下型地震/カトリーナ・ハリケーン
日常生活の危機管理
事前の対応策を忘れるな/疑似体験をくり返す/ノウハウを知っているだけではダメ/体験によるノウハウ/戦争勃発時の心得/外国で非常事態に巻き込まれたら/外国で警察に逮捕されたら/爆破テロ回避策/ホテルの部屋に侵入者がいるときの心得/外国における急病人の処置/体験談の分析/日ごろの準備/ポータブルトイレの重要性/台風心理/役割分担/個人のリスク・コントロール/火災への心得/火災予防の心得/幼児のいる家庭/水/懐中電灯/自家保険/金融機関の破綻/ペイオフ全面解禁/服装/自動車とエレベーター/海外では「自助」の精神を/スパイウェアの感染経路/ネットオークションは「自己責任・防御」のショッピング/フィッシング詐欺/スキミング犯罪(一)―クレジットカード
政府・企業の危機管理
日ごろの訓練を怠るな/物流対策を忘れるな/危機管理教育の不徹底を克服せよ/実効性のある人命防護製品を開発せよ/次世代防災技術を開発せよ/震災対策支援商品の開発/危機に対する判断基準/危機管理の努力がどこへ向かっているのか/地域防災担当者、地域住民、専門家によるコミュニケーション/原子力産業は人々との対話を/多元的チェック・システムを見直せ/予想をはるかに超える間接被害を忘れるな/経営陣による瞬時の対応―フィードフォワード式に実施せよ/予知能力/即応体制を確立せよ/バックアップシステム構築への不備/サプライチェイン・マネジメントの弱点/マニュアルを読むだけではダメ/危機管理の要諦への理解不足/カンバン方式への理解不足/経営者の判断の重要性/警備各社のノウハウ/コンピュータにかかわる事故/コンピュータ・ウィルス/リスク・ファイナンシング/組織編成/情報セキュリティ対策/福知山線脱線事故の教訓/企業の安全対策・環境対策/アスベスト被害への対応/知的財産侵害問題/食品の「安全性」・情報の「信頼性」自然科学と人文社会科学の融合作業で/自然災害の軽減と防災を/インベスター・リレーションズ/報道被害/個人情報の漏洩を防ぐには/問題解決型思考を求める情報教育を
あとがき
主要参考文献
課題と問題

著者|author

石川昭(いしかわ・あきら)
1934年、神奈川県生まれ。経営学博士、名誉博士、Ph.D.,Ph.D.(Hon.),DR.(h.c.)。青山学院大学名誉教授の他、国内外の多数の大学・研究機関などの客員教授、特任教授、リサーチ・フェロー、顧問などを務める。
辻本篤(つじもと・あつし)
1972年三重県鈴鹿市生まれ。現在東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻社会情報学専門分野・博士課程在籍。明治大学情報コミュニケーション学部、淑徳大学国際コミュニケーション学部、帝京大学・兼任講師。

担当編集者から

折りしも2005年末は日本各地で大雪被害が相次いだ。雪の重みに耐えかね倒壊する家屋、雪下ろしで足をすべらせた負傷者…自然の猛威に日本中が慄いた。ところがこの「雪害」、なんと保険の対象外。対策は個人個人で立てるしかないのが現状だ。
危険は意外なところに潜んでいる。それに対してなにを用意し、どういったことを心がければいいのか。編集をしながら学ぶところは大きかった。
ますます混迷が深まるいまだからこそ、ぜひ多くの人の手にとっていただきたい一冊。[-長田-]

 

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刺青墨譜―なぜ刺青と生きるか

刺青墨譜

なぜ刺青と生きるか

  • 斎藤卓志/2005年10月
  • 2800円(本体)/四六判上製・296頁

刺青に魅せられた著者が、聞き書きにより刺青の存在論的意義を明らかにする。刺青を入れている者、彫師へのインタビューは圧巻。刺青の文化史的・社会的背景をも浮き彫りにする。写真多数掲載。谷川健一氏、推薦。
(ISBN 4861100534)

推薦

刺青の現場からの生まの声を集約し、刺青の体験者の苦痛とよろこびは、殉教者の法悦境を思わせるものがあることを訴えるユニークな文化史論集。(谷川健一/民俗学者)

目次|indexs

序 刺青の民俗史
第一章 欲望する人間
初めてのタトゥー/彫ることへの好奇心/派手な人はやらない/アートになった刺青/見る、見せる/なぜ、今「刺青」なのか
第二章 刺青の現場
背中の刺青/皮膚の下の声/ヘビの出ているひと/刺青が大好き/花観音
第三章 刺青のかたち
刺青は点からできている/メカニズムは不明/彫場で音を聞く/イカ墨も墨か/彫師も迷う「刺青」と「タトゥー」/タトゥーサミット/薄墨ぼかしの発見/色と筋/浮世絵との関係/墨刑とは何か/関東と関西の違い/刺青の標本/ほんものの凄み/ヤクザの刺青/彫師への信頼感/構図の難題/刺青道具屋/谷崎潤一郎から金原ひとみまで/リメイク
第四章 刺青文化を探る
顔の刺青/柳田国男の見た針突/奄美・沖縄の入墨「針突」/島唄の中の針突/アイヌの入墨「パシュ」/川並と仕事師の話
第五章 彫師の「場」
文明開化と刺青/二足の草鞋/京都御幸町のタトゥーショップ/彫師から見た刺青/「彫場」から──三代目彫よし
第六章 内なる世界
痛みより魅力/オブセッション/拠りどころ/背負ってゆくもの/おわりに
あとがき
参考文献

著者|author

斎藤卓志(さいとう・たくし)
一九四八年、愛知県生まれ。中京大学法学部法律学科、佛教大学文学部史学科(通信)卒。会社勤務、安城市歴史博物館学芸員、市史編纂室長などを経て総務部。
著書に『刺青 TATTOO』(岩田書院)、『稲作灌漑の伝承』(堺屋図書)。編著に『葬送儀礼と祖先霊』(光出版)、『職人ひとつばなし』(岩田書院)。その他、『愛知県史』『安城市史』『多度町史』など分担執筆。

担当編集者から

刺青に興味を持たない人間にとって、刺青をしている人の気持ちというのはなかなか分かりにくい。斎藤氏は、聞き書きという手法によって、その辺のところを丁寧に掘り下げ記述していく。著者の案内にしたがい読み進むうちに、刺青をする人の気持ちがだんだんと見えてくる。というよりも、いままで蚊帳の外だったはずの刺青が次第に親しいものに感じられ、「刺青」という形はたとえとらなくても、そこへ向かうこころの志向性は誰にとっても了解可能と思えてくる。この本は、「刺青」という一見特殊なテーマを扱いながら、だれもそこから逃れられない「生きている不思議」について解き明かし普遍へ至ろうとする労作だと思う。
撮影のために伊勢佐木町から来社された姉妹が、撮影終了後の打ち上げで、「刺青が偏見なく見てもらえるようになったらありがたい」と言ったのが耳に残っている。[-三浦-]

 

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日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム―リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦

日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム

リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦

  • 水野剛也/2005年9月
  • 4600円(本体)/A5判変形・420頁

アメリカ史上最大の「失政」とされる事件、しかし当時のマスコミは充分に真実を伝え切れていなかった―史料の綿密な検討から明るみに出される、権力と報道との関係。ジャーナリズムの根幹を問う、実証研究の精華!
(ISBN 4861100380)

目次|indexs

第一部 ● 研究の基本的手続き
第一章 ◎ 本書の目的、意義、および方法
第一節 ● 問題の背景と本書の目的
第二節 ● 本書の意義と研究対象
第三節 ● 研究方法、用語の問題、および注の略語
第二章 ◎ 先行研究レヴュー 日系人強制立ち退き・収容とアメリカのジャーナリズム
第一節 ● アメリカの主流派ジャーナリズムと日系人強制立ち退き・収容
第二節 ● リベラル派雑誌・日本語新聞と日系人強制立ち退き・収容
第二部 ● リベラル派雑誌
はじめに 番犬理論
第三章 ◎『ニュー・リパブリック』 日系人擁護と「国益」とのはざまで
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後
第三節 ● 日系人強制立ち退き・収容
第四章 ◎『ネーション』 相対主義リベラルの葛藤
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後
第三節 ● 戦時下における個人の自由と「国益」をめぐる論争
第四節 ● 日系人強制立ち退き・収容
第三部 ● 日本語新聞
はじめに 移民エスニック・ジャーナリズム理論
第五章 ◎『ユタ日報』「二つの祖国」の間で揺れた日本語新聞
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後から一時発行停止
第三節 ● 発行再開から日系人強制立ち退き・収容
第六章 ◎『日米』 親日ナショナリストの豹変と挫折
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後から一時発行停止
第三節 ● 発行再開から日系人強制立ち退き・収容
第四節 ● 発行継続をめぐる政府との交渉とその失敗
第四部 ● 結論
終章 戦時の制約と「国益」とジャーナリズム
あとがき 謝辞にかえて
索引

著者|author

水野剛也(みずの・たけや)
1970年、東京生まれ。東洋大学教授。2000年、アメリカ・ミズーリ州立大学、スクール・オブ・ジャーナリズム博士課程修了。

担当編集者から

誠実な史料の読みから着実に論を積み上げてゆく歴史研究の鑑のような原稿。
第二次大戦中に日本人が強制収容所に入れられていた事実すら知らなかったが、それをめぐるメディアの論調が、徐々に否応なしに政府の政策の容認・追従へと傾いていく怖さ。
「アメリカ」っぽさを出そうと造本にこだわった。独特の白い本文用紙、変型判、口絵+トビラ。うーん、かっこいいぜ、と自画自賛! 手にとって眺めてみてください。デザイナーは矢萩多聞。[-内藤-]

 

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ナショナリズムと宗教―現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動

ナショナリズムと宗教

現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動

  • 中島岳志/2005年8月
  • 3619円(本体)/四六判上製・384頁

ナショナリストとは誰か? インド国内メディアでさえ取材の難しい過激な宗教ナショナリズム運動の内部深く入り、その活動実態と理念を明らかにする。『中村屋のボース』で話題の著者による新しい民族誌!
第一回南アジア学会賞受賞
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100488)

目次|indexs

はじめに
第一章 公共圏・ナショナリズム・宗教
はじめに
第一節 公共圏と宗教
世俗化パラダイムの脱構築/公共圏における善と正義/公共圏とサバルタン
第二節 ナショナリズムと宗教
近代主義的ナショナリズム論/「宗教ナショナリズム」論/ナショナリズム運動と主体
第二章 ヒンドゥー・ナショナリズムの歴史
はじめに
第一節 ヒンドゥーの近代
「ヒンドゥー」の近代的客体化と植民地支配/インド独立運動のなかのヒンドゥー・ナショナリズム/ポスト植民地社会としての現代インド
第二節 ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
インディラ・ガンディー政権と国民統合(一九八〇―一九八四)/ラジーヴ・ガンディー政権のポピュリズムと政治腐敗(一九八四―一九八九)/ジャナタ・ダル政権とアイデンティティ・ポリティクス(一九八九―一九九一)/ラオ政権から統一戦線政権へ(一九九一―一九九八)/BJP政権の成立(一九九八―二〇〇四)
第三章 ヒンドゥー・ナショナリズム運動の組織と理念
はじめに
第一節 ヒンドゥー・ナショナリズム運動の組織
RSSの組織形態/サング・パリワール
第二節 ヒンドゥー・ナショナリストの理念
ヒンドゥーとは誰か?/有機体的国家としての「ヒンドゥー・ラーシュトラ」/「真のセキュラリズム」論/サンスクリット語による国民統合/カーストとトライブ
第四章 身体のポリティクス
はじめに
第一節 シャーカー
シャーカーの活動内容/国民規範としてのダルマ
第二節 国民的身体の形成
身体の客体化と自己統御/時間・空間・制服/整列・行進・スポーツ・ヨーガ
第三節 現場リーダーによる表象
神話の流用/母なる大地と国民国家の領土
第四節 参加者の主体
ニューデリーにおける四つの事例/上層・中間層のシャーカー/下層民のシャーカー
第五章 サバルタン的公共性とヒンドゥー・ナショナリズム
はじめに
第一節 社会奉仕活動と国民統合
セワー・バーラティの活動概要/セワー・バーラティの理念
第二節 スラム街におけるヒンドゥー・ナショナリストの活動
ニューデリーK町のスラム街/セワー・バーラティの教育活動/ダルマに生きる
第三節 民衆のエージェンシーとヒンドゥー・ナショナリズム
ヒンドゥー・ナショナリズムを飼い馴らす/共鳴するダルマ/ヒンドゥー復興とヒンドゥー・ナショナリズムの狭間
第六章 ヒンドゥー・ナショナリズムと暴力
はじめに
第一節 バジュラング・ダル
構成員/シャクティとバクティ
第二節 政治集会・デモ・ヤートラー
事例の概要/主催者の意図、参加者の主体
第三節 主体・逸脱・暴力
パフォーマンスのアリーナ/暴力とレジティマシー
おわりに
参考文献

著者|author

中島岳志(なかじま・たけし)
1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学(ヒンディー語専攻)卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。学術博士(地域研究)。博士論文で第三回アジア太平洋研究賞受賞。京都大学人文科学研究所研修員、日本学術振興会特別研究員。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)、『ヒンドゥー・ナショナリズム 印パ緊張の背景』(中公新書ラクレ)。

担当編集者から

骨太なナショナリズム研究書。基になった論文は第三回アジア太平洋研究賞を受賞している。だが、単なる学術書に止まらないのは、中島氏がインドの人びとと真正面から対峙してきたからだろう。校正校閲を通じ、そのことが伝わってくる。
ブックデザインは矢萩多聞氏。各章トビラ裏に写真をふんだんに使い、読みやすい組を考えてくれた。装丁にはヒンドゥー・ナショナリズムに参加する民衆の渇望感、不安を象徴する一枚を。
『中村屋のボース』と並び、間違いなく著者の主著になるであろう一冊。[-長田-]

 

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アメリカ-コミュニケーション研究の源流

アメリカ-コミュニケーション研究の源流

  • E・デニス、E・ウォーテラ編著 伊達康博・藤山新他訳/2005年7月
  • 4286円(本体)/A5判・284頁

マスコミ研究の源流をヨーロッパに求め、それがアメリカに定着、発展した過程を具体的な研究を通して考証。各流派とそこにかかわった人々を丹念にたどりながら、コミュニケーション研究の歴史を概観する。
日本図書館協会選定図書
(4861100240)

目次|indexs

まえがき
第1部 学派とその思想
第1章 ヨーロッパにおける研究のルーツ
第2章 シカゴ学派とマス・コミュニケーション研究
第3章 1950年代のイェール大学におけるコミュニケーションと態度変容研究プログラム
第4章 コロンビア大学における普及研究
第5章 子どもたちとテレビ
第6章 社会制度としてのプレス
第2部 当時の研究を知る人々の証言
第7章 レイティング(聴取率・視聴率)調査の確立と発展―ラジオからケーブルテレビまで
第8章 スタントン、ラザースフェルド、そしてマートン―コミュニケーション研究のパイオニアたち
第9章 フランク・スタントンとの対話
第10章 優れた先達
第11章 力の道具としてのコミュニケーション研究
第12章 公共政策への取り組み
第3部 再評価
第13章 北米コミュニケーション研究における学史的研究の構築
第14章 再考されていく歴史
コミュニケーション研究に貢献した65人についてのバイオグラフィー的スケッチ
協力者・編者の略歴
参考文献
訳者あとがき
索引

訳者|translator

伊達康博(だて・やすひろ)
東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程。
藤山新(ふじやま・しん)
日本写真芸術専門学校講師。

 

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マリー・ダグー―19世紀フランス伯爵夫人の孤独と熱情

マリー・ダグー

19世紀フランス伯爵夫人の孤独と熱情

  • 坂本千代/2005年6月
  • 2200円(本体)/四六判上製・208頁

夫と子がありながら音楽家リストと恋に落ち、やがて破局。ダニエル・ステルンとして『一八四八年革命史』を記し歴史に名を残す。激動のヨーロッパを駆け抜けたマリー・ダグーの波瀾に満ちた生涯を、スピード感溢れる筆致で描く!
日本図書館協会選定図書
(4861100429)

目次|indexs

まえがき
|序章| ふたつの文化のはざまで
第一部 ロマン主義者の恋
|第一章| リスト登場
|第二章| 巡礼時代の始まり
|第三章| イタリアの旅
第二部 ダニエル・ステルンと二月革命
|第一章| ダニエル・ステルン誕生
|第二章| 二月革命中のマリー
|第三章| 『一八四八年革命史』
|終章| 第二帝政下のパリで
あとがき
参考文献
索引

著者|author

坂本千代(さかもと・ちよ)
東京大学大学院博士課程仏語仏文学専門課程中退。文学博士(リヨン第2大学)。現在、神戸大学国際文化学部教授。
主著にInterprétations romantiques de Jeanne d’Arc(Presses Universitaires du Septentrion、1997年)、『ジョルジュ・サンド』(清水書院、1997年)、『愛と革命―ジョルジュ・サンド伝』(筑摩書房、1992年)、『ジョルジュ・サンドの世界』(共著、第三書房、2003年)など。

担当編集者から

私事で恐縮だが、この本の製作上まさに佳境の4月末、わたしは愚かにも鎖骨を折ってしまった。校正・校閲は終っていたとはいうものの、著者の坂本先生、スタッフの長田君には多大な迷惑をかけた。連休も返上し頑張ってくれているあいだ、わたしはといえば家で痛みに堪えながらしょぼくれていた。ともかく、立派な本に仕上がってうれしい。[-三浦-]

 

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精霊の子供―コモロ諸島における憑依の民族誌

精霊の子供

コモロ諸島における憑依の民族誌

  • 花渕馨也/2005年3月
  • 6476円(本体)/A5判上製・434頁

「私は私でない」― インド洋西端に浮かぶコモロ諸島。そこで繰り広げられる憑依儀礼は自他の区別を融解し、もう一つの「現実」を作り上げる。精緻な民族誌が明かす精霊世界。
日本図書館協会選定図書
(4861100313)

目次|indexs

はじめに
序章 問いの射程

憑依の奇妙さ
人類学の憑依研究
視点と方法
フィールドワークの足跡
第一章 ファティマの島
ファティマ
インド洋の交差点
植民地化と独立以後
ニュマシュワ村の生活
精霊憑依の流通と変化
第二章 日常と憑依
精霊憑依の知識
信念と実践
女性の社会的身体
イスラムのとり込み
境界侵犯と革新
第三章 精霊の出自
両義的存在
精霊の種族
分布と拡散
親族と社会
個としての精霊
パラレル・ワールド
第四章 病気と負債
病気から憑依へ
症状と文脈
神、呪術、精霊
憑依治療儀礼の過程
二重のイニシエーション
三つの語り口
第五章 共生関係
ファティマとサリム・アベディ
共生関係
分離と統合
ダダの託宣
シェトァニを祓う
同調と辻褄合わせ
第六章 三つのマウ
共生社会の構図と欲望
マウの制裁
サリム・アベディのマウ―夫婦喧嘩の顛末
シディ・マリのマウ―疎遠にされたジニの嘆き
ルヒ・ブン・スビヤニのマウ―最後の調停
揺れ動く主体/コンテクスト
終章 憑依というふるまい
精霊として生きる
「ふり」と「ふるまい」
憑依のあそび
あとがき
参考文献

著者|author

花渕馨也(はなぶち・けいや)
1967年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。文化人類学専攻。現在、北海道医療大学看護福祉学部勤務。

担当編集者から

文章の校正校閲はもちろん、著者とじっくり話し合い、本のディレクションを決めることも編集。小社から刊行されている『癒しと呪いの人類学』『「精霊の仕業」と「人の仕業」』はどちらも全頁写真入りの民族誌。そこにつらなるラインナップということで、ビジュアル面も豊かにしたい! そこで提案。各章トビラ裏に口絵のようなかたちで現地の写真を入れてはどうか。これがツボに嵌まった。ブックデザインは天才矢萩多聞。口絵のアイデアを伝えると賛同し、文章を引き立てるかっこいいデザインに仕上げてくれた。一人でも多くの人に手にとって欲しいと願う。
本づくりに携わる人たちの関係が「本」に収斂していくことをまざまざと感じた一冊。[-長田-]

 

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