危機の時代 料理家の群像―台所からみる戦争と社会

危機の時代 料理家の群像

台所からみる戦争と社会

  • 西川和樹(著)/2025年5月
  • 3500円(本体)/四六判並製438頁
  • 装丁:大國貴子

「お勝手」の先にある国家・政治・信仰
個人的な営みゆえに、政治・社会的視点で語られにくい「料理」という行為。
戦中・戦後の食糧難の時代にあっても縦横無尽に活動した四名の料理家を軸に、台所から展開される世界の広がりを描く。
(ISBN 9784868160496)

目次|Contents

序章 料理家を記すということ
 1. はじめに
 2. 料理家の語り方
 3. 「きょうの料理」史観
 4. 料理家論を書き直
 5. レシピを読む
 おわりに——本書の構成

第一章 田中米の自叙的レシピ
 1. はじめに
 2. 生い立ちをたどる
 3. 雑誌と料理家
 4. 一九三八年のレシピ
 5. 「食」の言葉
 6. 自叙的レシピ
 おわりに

第二章 香川綾と帝国の軌跡
 1. はじめに
 2. 栄養と料理
 3. お料理で翼賛
 4. 栄養学園の材料配給所
 5. 拡張する台所
 おわりに

第三章 近藤とし子と危機の時代の栄養学
はじめに
 1. 「くど前みやこ」の幼少期
 2. 工場栄養士
 3. 危機の時代の栄養学
 4. 戦後の活動の展開
 おわりに

第四章 東佐与子、「パラノイア」と呼ばれた料理家
はじめに
 1. 生涯と洋行
 2. 料理の共同体
 3. 破格の料理書
 4. 「パラノイア」と呼ばれた料理家
 5. 反生活運動への視座
 おわりに

第五章 料理家の群像
 はじめに
 1. 料理と「手」の領域
 2. 料理家と植民地主義
 3. 男性料理家
 4. 食品産業との関わり
 おわりに

終章 危機の時代の料理家と台所保守の思想
 はじめに
 1. 本書のおさらい
 2. 花森安治の暮しを守る思想
 3. 「生活」の焦点化
 4. 料理家たちの台所保守
 おわりに——台所を守るということ

著者|Author

西川和樹(にしかわ・かずき)
1986年東京都生まれ、滋賀県育ち。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程修了、博士(現代アジア研究)。web雑誌『MFE=多焦点拡張』編集委員。
共著書に、冨山一郎・鄭柚鎮編『軍事的暴力を問う―旅する痛み』(青弓社、2018年)。主な論文に「「生活」の焦点化―『暮しの手帖増刊 山のあなたの空とおく』の生活記述」(『同志社グローバル・スタディーズ』第8号、2018年)。主な論考に、「馬と世相」(『MFE=多焦点拡張』第4号、2023年)など。

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道をむすぶ 時をたがやす―台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

道をむすぶ 時をたがやす

台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

  • 岡田紅理子(著)/2025年5月
  • 5400円(本体)/A5判上製388頁
  • 装丁:大田高充

「キリスト教徒になること」と「キリスト教徒として生きること」
キリスト教信仰と「伝統文化」が複雑に絡み合いながらアイデンティティを未来へとつなげてきた、台湾の先住民族であるアミの人々の生の過程を描く。

「(表面的・形式的ではない、本当の)信仰」を身に付け、「篤い信仰」を持ったのか否か、あるいはキリスト教の信仰を「真に受容した」のか否かは、信者自身による申告や他者による観察によって、客観的かつ相対的に判別できるのだろうか。在来のコスモロジーにおけるパンテオンとカトリック教会の教理における神や霊的・聖的な神聖の存在を変換可能とみなすことは、超越的唯一神の崇拝とは相容れない解釈なのだろうか。もしくは、在来のコスモロジーとの親和性を見出しながら解釈されたものは、キリスト教信仰とは呼べないのだろうか。(中略)救済品を獲得したことへの感謝の想いから、集いに参加したり、祈ったり、あるいは洗礼を受けることを決断したりする行為を、「信仰」とはみなせないのだろうか[本書「おわりに」より]

(ISBN 9784868160076)

目次|contents

序論
第一部 アミとカトリシズム
第二部 アミの入信
第三部 アミの都市移住と都市生活
第四部 都市アミとカトリック信者共同体
おわりに

あとがき
参考文献一覧
索引

著者|author

岡田紅理子(おかだ くりこ)

ノートルダム清心女子大学・講師

専攻・専門:文化人類学、台湾地域研究

主な著作に『都市原住民の生活誌:台北に移住したアミの「都市」、「故郷」、「共同体」』(Monograph Series  vol. 13)(上智大学アジア文化研究所、2013年)、「「救済品」とキリスト教:米援をめぐるカトリック宣教とアミの入信の諸相」(『台湾原住民研究』第24号、2020年)、「呼応する教会と神学:台湾のキリスト教会と先住民族からの考察」(『宣教学ジャーナル』第17号、2023年)など。

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ジェイコブ・H・シフ―日本を支持したユダヤ系銀行家の軌跡

ジェイコブ・H・シフ

日本を支持したユダヤ系銀行家の軌跡

  • 村岡美奈(著)/2025年4月
  • 3700円(本体)/四六判上製354頁
  • 装丁:長田年伸

19世紀末から20世紀初頭の激動の時代、アメリカで最も有名で有力なユダヤ人だったシフ。
シフの生い立ちから銀行家としての成功、アメリカ・ユダヤ社会において果たした役割を取り上げ、慈善家としての取り組みや同胞ユダヤ人のためにアメリカ政府に対し行ったロビー活動にも着目しつつ、その人物像を深く掘り下げる。
日露戦争時、2億ドルの公債を発行し、その後も日本との親交が深かった、シフの生涯を追う。
(ISBN 9784868160465)

目次|Contents

第一章 アメリカを代表する銀行家の誕生
第二章 シフの功績
第三章 日露戦争
第四章 日露戦争後の日本との関係
第五章 AJC設立から難民支援まで
第六章 シフの遺産

著者|Author

村岡美奈(むらおか・みな)
関東学院大学国際文化学部准教授。筑波大学大学院地域研究研究科およびニューヨーク市立大学ブルックリン・カレッジ大学院ユダヤ学部の修士課程を経て、ブランダイス大学大学院近東ユダヤ学部博士課程修了(Ph.D)。専門は近代ユダヤ史およびアメリカ・ユダヤ史。在学中にニューヨークのユダヤ遺産博物館の教育インターン、ユダヤ人歴史研究所およびアメリカ・ユダヤ文書館の研究フェローを務める。
主要業績に『ユダヤ文化事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、New Perspectives in American Jewish History: A Documentary Tribute to Jonathan D. Sarna(共著、Brandeis University Press, 2021年) マリオン・イングラム『戦渦の中で―ホロコースト生還者による苦難と希望の物語』(共訳および解説、小鳥遊書房、2020年)がある。

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文化という名の開発―再生産される「豊かな未来」

文化という名の開発

再生産される「豊かな未来」

  • 土屋正臣(著)/2025年4月
  • 3500円(本体)/四六判上製284頁
  • 装丁:長田年伸

道路や港湾、ダム、空港などの社会資本の整備・開発が一般に市民からの反対を受けやすいいっぽうで、文化イベントや文化施設整備など「文化」を冠する開発は人々から表立った批判や反対を受けることなく、着々と進められる。本書ではこうしたメカニズムに着目し、埼玉県の文化開発をケースとして、その正体とそれを受け入れようとする人々の声の所在を明らかにする。

(ISBN 9784868160038)

目次|contents

はじめに

序章
第1章 開発主義の源流
第2章 国土の開発から暮らしの質向上へという「未来」
第3章 国土開発への回帰
終章 文化開発は何をもたらしたのか


引用参考文献
あとがき
索引

著者|author

土屋正臣(つちや・まさおみ)

城西大学現代政策学部准教授
文化政策学、文化資源学
〈主な著作〉
『市民参加型調査が文化を変える:野尻湖発掘の文化資源学的考察』(2017年、美学出版)
『法から学ぶ文化政策』(2021年、有斐閣)
Cultural Heritage in Japan and Italy Perspectives for Tourism and
Community Development(2024年、Springer)

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文化遺産としての巡礼路―熊野参詣道伊勢路の価値と活用

文化遺産としての巡礼路

熊野参詣道伊勢路の価値と活用

  • 伊藤文彦(著)/2025年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製360頁(うちカラー16ページ)
  • 装丁:矢萩多聞

価値の追体験を設計する
世界遺産登録から20年を迎えた熊野参詣道。近世、近代、現代と続いたこの巡礼路を歩いた人びとは、道中に何を体験し、それぞれどんな「価値」を見出してきたのだろうか。伊勢路(三重県)における価値認識の変遷をたどり、「活用」が求められるこれからの文化財保護へのヒントを探る。
(ISBN 9784861109898)

目次|contents

はじめに

序 章 文化遺産の活用をどのように考えるか
 1 なぜ今、文化遺産の価値と活用を考えるのか
 2 文化遺産の価値と活用

第Ⅰ章 文化遺産としての巡礼路
 1 研究の背景
 2 研究目的
 3 既往研究からみる本研究の位置づけ
 4 研究対象
 5 熊野参詣道伊勢路の歴史的背景
 6 熊野参詣道伊勢路の現況
 7 本書の構成と方法

第Ⅱ章 近世の巡礼者からみた「熊野参詣道伊勢路」
 1 熊野参詣道伊勢路の空間
 2 熊野参詣道伊勢路沿道の礼拝施設と見所
 3 近世の巡礼者が熊野参詣道伊勢路に見出した価値

第Ⅲ章 近世の地域住民からみた「熊野参詣道伊勢路」
 1 はじめに
 2 道標の定義
 3 確認された近世にさかのぼる道標の状況
 4 考古学的調査
 5 碑文調査
 6 近世の地域住民が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値

第Ⅳ章 近代以降の地域住民からみた「熊野参詣道伊勢路」
 1 はじめに
 2 道中日記と道中案内からみた巡礼の変化
 3 石仏庵
 4 荒神堂
 5 清水寺
 6 近代以降の地域住民が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値

第Ⅴ章 現代の研究者からみた「熊野参詣道伊勢路」
 1 はじめに
 2 熊野参詣道の位置づけと内容
 3 国史跡「熊野参詣道」として見出した価値
 4 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として見出した価値
 5 現代の研究者が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値

第Ⅵ章 現代の行政、地域住民、観光者からみた「熊野参詣道伊勢路」
 1 はじめに
 2 文化遺産保護行政が保護対象とする文化遺産「熊野参詣道伊勢路」の空間と諸要素
 3 行政・地域住民がともに行う管理運営
 4 現代の観光者による観光行動
 5 行政が設置したガイダンス施設による事業
 6 現代の観光者や地域住民、行政が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値

終 章 巡礼路に対する価値認識の変遷
 1 巡礼路に対する価値の認識モデル
 2 巡礼路に対する価値認識の変遷
 3 文化遺産の保護に関する評価
 4 主観的価値に基づく活用の構築
 5 文化遺産の価値と活用~活用の方法論の深化~

おわりに
初出一覧
図表一覧
索引

著者|author

伊藤文彦(いとう・ふみひこ)
1976年大阪生まれ。三重県文化財専門職員。大阪大学文学部人文学科考古学専修卒業、筑波大学大学院世界文化遺産学専攻修了、博士(世界遺産学)。国際記念物遺跡会議(ICOMOS)文化の道国際科学委員会委員。専門は世界遺産学・造園学・考古学。
主な著書に、『熊野古道伊勢路を歩く~熊野参詣道伊勢路巡礼~』(サンライズ出版、2015年)、『街道今昔 三重の街道をゆく』(共著、風媒社、2023年)ほか。

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視覚文化は何を伝えるか―近代日本と東アジアにおける表象資料【東洋英和女学院大学社会科学研究叢書12】

視覚文化は何を伝えるか

―近代日本と東アジアにおける表象資料

  • マグダレナ・コウオジェイ(編)/2025年3月
  • 2500円(本体)/四六判並製300頁
  • 装丁:矢萩多聞

絵画・彫刻・写真・漫画・紙幣・絵葉書・地図・紙芝居・映像などの表象資料をさまざまな方法論で分析。文字資料からはうかがえない権力関係・社会関係の諸相を読み解く。【東洋英和女学院大学社会科学研究叢書12】
(ISBN 9784868160007)

目次|contents

序論 歴史資料としての視覚文化〔マグダレナ・コウオジェイ〕
第1部 表象
第1章 日本の植民地通貨イメージ試論―近代朝鮮貨幣の図像分析を中心に〔増野恵子〕
第2章 1910年日英博覧会における帝国の朝鮮表象―統監府日英博覧会写真帖から〔盧ユニア〕
第3章 近代漫画と「新しい女」―イメージのズレと歪みを探る〔足立元〕
第2部 メディア
第4章 美術展覧会絵葉書から見た近代女性画家―表象資料の読み方を探る〔マグダレナ・コウオジェイ〕
第5章 戦争が宿命になるとき―戦時下の教育紙芝居作品から〔鈴木一史〕
第6章 「御府」の絵画―アジア太平洋戦争「作戦記録画」の一側面〔河田明久〕
第3部 資料の転生
第7章 歴史資料としての満洲地図―近代長春の都市空間の形成と発展〔ヤン・ユー〕
第8章 歴史資料としての彫刻―日本統治期台湾における銅像建設とその遺産〔鈴木恵可〕
第9章 写真が形成する個人と地域の記憶―五十嵐写真館の写真と活動〔白政晶子〕
第10章 『作兵衛さんと日本を掘る』ドキュメンタリー映画が出来るまで―ある炭坑夫が描いた炭坑画を探る〔熊谷博子〕

編者|editor

マグダレナ・コウオジェイ(Magdalena KOLODZIEJ)
東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科准教授。専門は日本と東アジアの近代美術史。

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モノからみた宗教の世界

モノからみた宗教の世界

  • 八木百合子(編)/2025年3月
  • 3500円(本体)/A5判並製310頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

産業化やグローバル化を背景に、日常のあらゆるモノが商品として大量に生産・消費されるなか、宗教的なモノの商品化もかつてないほど進んでいる。神々のイメージは、印刷物や彫像からデジタルメディアに置き換わり世界中に拡散・流通している――
モノそのもの、モノと人との関係から、現代の宗教世界の実相を捉える論集

(ISBN 9784868160069)

目次|contents

序章 モノをとおしてみる現代の宗教世界  八木百合子 [pp.7-33]

第一部 モノ/イメージの複製と聖性
第1章 フィリピンの聖画像崇敬にみるモノと聖性  古沢ゆりあ[pp.37-59]
第2章 「多文化共生」のシンボルとしての聖像―ベトナムから持ち込まれたキリスト像の例  野上恵美[pp.61-84]
第3章 観光と巡礼の町で生まれたアッシジ刺繍  笠井みぎわ[pp.85-111]
コラム1 人の道具と神の持ち物―弁才天の持物に注目して  鳥谷武史[pp.113-117]

第二部 モノの蓄積と処理
第4章 蓄積されるモノと聖性のありか―チベットの宗教実践の事例から 小西賢吾[pp.121-147]
第5章 イスラームの宗教実践におけるモノ―チュニジアにおけるクルアーンカレンダーの事例から  二ツ山達朗[pp.147-169]
第6章 聖像のゆくすえ―ペルーにおけるニーニョ像の継承をめぐる実践  八木百合子[pp.171-195]
第7章 トルコにおけるモスク寄進絨毯の今昔―ローカルな「篤志の標」の転生  田村うらら[pp.197-220]
コラム2 誰のものでもないモノ―人と風土をつなぐ講の掛け軸  小倉美恵子[pp.221-225]

第三部 モノと物質性の変化
第8章 モノがめぐり、神がめぐる―ガネーシャ祭における信仰実践の更新  福内千絵[pp.229-249]
第9章 呪いと祓いをカスタマイズする―ギニア・スス社会における宗教的なモノを例に 中川千草[pp.251-272]
第10章 「うたう」から「漂う」仏教音楽へ―電子念仏機を通して作られる音空間  長嶺亮子[pp.273-292]
コラム3 メキシコのブリキ絵  高木崇雄[pp.293-298]

あとがき
索引
執筆者一覧

編者|editor

八木 百合子(やぎ・ゆりこ)
国立民族学博物館グローバル現象研究部、総合研究大学院大学人類文化研究コース准教授
博士(文学)
文化人類学、アンデス研究
主な著作等 『アンデスの聖人信仰:人の移動が織りなす文化のダイナミズム』(臨川書店、2015年)、「聖母の奉納品にみるアンデス的意匠:クスコのアルムデナ教会の事例から」(青山和夫・米延仁志・坂井正人・鈴木紀編『古代アメリカの比較文明論:メソアメリカとアンデスの過去から現代まで』京都大学学術出版会、2018年)、Etnografía Andina: recorrido y valoración cultural (Senri Ethnological Studies No.111、編著、National Museum of Ethnology、2022年)。

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
●26-27頁:「様々なに変化してきている」→「様々なかたちに変化してきている」

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コロナ下での芸能実践―場とつながりのレジリエンス

コロナ下での芸能実践

場とつながりのレジリエンス

  • 吉田ゆか子、増野亜子(編)/2025年3月
  • 3500円(本体)/A5判並製362頁
  • 装丁:中本那由子

ウイルスの存在を前提とする状況は、音楽、舞踊、演劇などのパフォーミング・アーツにどんな影響を与えたのか? 世界各地の芸能実践者たちは、どのように応答したのか? そのような芸能の姿を通じて我々は、芸能や芸能する身体についての理解をどのように更新してゆけるか?
日本を含む東アジアと東南アジアの現場の記録と問いかけ

(ISBN 9784861109102)

目次|contents

序章 コロナ下と芸能研究  (吉田ゆか子)[pp.9-29]

第Ⅰ部 伝承の危機
第1章 コロナ状況で見えてきた日本の伝統芸能の新機軸  (前原恵美)[pp.33-68]
第2章 コロナを飼い慣らす――諏訪御柱祭2022  (鈴木正崇) [pp.69-104]

第Ⅱ部 場所と居場所
第3章 芸能の場所を維持する――コロナ下日本におけるインドネシア芸能の活動  (増野亜子)[pp.107-138]
第4章 ストリップ劇場の論理とCOVID-19―「本質的に不健全」な芸能の現場  (武藤大祐) [pp.139-173]

第Ⅲ部 学びを維持する
第5章 コロナ下での学校における音楽活動―教員へのインタビュー調査に基づく報告  (小塩さとみ) [pp.177-203]
エッセイ1 コロナ下、台湾の学校の伝統音楽クラブは如何にしてつながりを保ってきたか (長嶺亮子) [pp.204-216]

第Ⅳ部 拡大するつながり
第6章 パンデミック下のシンガポールにおける芸能をめぐるコミュニケーション(竹村嘉晃) [pp.219-252]
エッセイ2 カンボジアの大型影絵芝居「スバエク・トム」が作りだす空間、人のつながり―コロナ下での危機と日本からの支援を通して見えたこと  (福富友子) [pp.253-266]

第Ⅴ部 新しい表現、新しい場所
第7章 家からつながる―ステイホーム期のバリ島におけるコメディ  (吉田ゆか子)[pp.269-304]
第8章 COVID-19ショックと舞台芸術―代替を超えて、進化への期待  (大田美佐子)[pp.305-331]
エッセイ3 疫病退散の芸能化―新作能《アマビエ》の挑戦  (鈴木正崇)[pp.332-346]

あとがき
索引
執筆者一覧

編者|editors

吉田ゆか子(よしだ・ゆかこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授
専門は文化人類学
主な著作に『バリ島仮面舞踊劇の人類学:人とモノの織りなす芸能』(風響社、2016年)、「バリ島のコメディ劇における「障害」のある身体を巡る遊戯」(共著、山口真美、河野哲也、床呂郁哉編『コロナ時代の身体コミュニケーション』、勁草書房、2022年)、『東南アジアで学ぶ文化人類学』(共編著、昭和堂、2024年)。

増野亜子(ましの・あこ)
東京芸術大学・お茶の水女子大学・非常勤講師
専門は民族音楽学、音楽人類学
主な著作に、『民族音楽学12の視点』(音楽之友社、 2016年)、『声の世界を旅する』(音楽之友社、2014年)、「バリの歌舞劇アルジャにおける有形と無形:冠、身体、ストック・キャラクター」(『国立民族学博物館研究報告』46(2)、2021年)、『コンクール文化論:競技としての芸術・表現活動を問う』(共編著、青弓社、2024年)。

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集まる民具、集める人―民具収集の文化人類学的考察と「緩やかな保存」

集まる民具、集める人

民具収集の文化人類学的考察と「緩やかな保存」

  • 川邊咲子(著)/2025年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製300頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

なぜ集めるのか? なぜ集まるのか?
全国の博物館に収蔵・展示されている民具は、なんの変哲のないものでも、その使い手の生活や文化を後世に伝える貴重な物である。しかし現在、博物館の経営難や資料の膨大さから破棄されるものも増加しており、民具資料の存在意義が問い直されている。
本書は、能登半島とフィリピンのイフガオ州にみられる収集活動の事例から生活の中での物と人との関係性を考察し、その関係を踏まえた「緩やかな保存」を提案する。

(ISBN 9784868160083)

目次|contents

はじめに

序章
第1章 日本における民具収集の社会的背景
第2章 石川県能登地域における民具収集の民族誌
第3章 フィリピンにおける民族品収集の社会的背景
第4章 フィリピン・イフガオ州における民族品収集の民族誌
第5章 考察と総論:なぜ集める? なぜ集まる?
第6章 民具の「緩やかな保存」
おわりに

参考・引用文献
付属資料:コレクション一覧

著者|author

川邊 咲子 (かわべ・さきこ)
国立歴史民俗博物館 ・ 特任助教
専攻・専門:文化人類学、博物館学、文化資源学
主な著作に、「民具資料情報収集のためのクラウドソーシングシステムの構築」(共著、『情報知識学会誌』33(2)、2023 年)、「アーティストと市民との協働による民具の「緩やかな保存」の取り組みと展望」(『日本民俗学』313、2023年)、「民具の「緩やかな保存」考:物のライフサイクルの視点から」(『農村計画学会誌』41(1)、2022年)など。

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教養と大衆の間で―「洋楽放送」とラジオ番組制作者たち

教養と大衆の間で

「洋楽放送」とラジオ番組制作者たち

  • 武田康孝(著)/2025年2月
  • 7000円(本体)/A5判上製534頁
  • 装丁:長田年伸

放送100年 その源を「洋楽」から探る
西洋音楽の受容・発信が日本で本格化しつつあった大正時代末期に放送事業は開始され、以降ラジオは「洋楽」を切れ目なく電波に乗せてきた。こうしたラジオと洋楽の「共振」には、当時のどのような経緯や価値観、力が関わっていたのか。

(ISBN 9784868160021)

目次|contents

序章

第1部
第1章 放送開始前後のラジオと洋楽放送の「浮上」
第2章 洋楽番組制作者の誕生
第3章 放送体制の変化と洋楽放送

第2部
第4章 洋楽放送の多様化:思想と実践から
第5章 洋楽放送と「国民音楽」:日本の洋楽発信の場としてのラジオ
第6章 洋楽放送と大衆:「軽音楽」番組の誕生と変容

第3部
第7章 太平洋戦争と洋楽放送:①大戦開始前後1年の変化と連続性
第8章 太平洋戦争と洋楽放送:②「音楽放送」への転換
第9章 音楽放送の戦後

終章 文化の一端を担った「洋楽放送」


おわりに
引用文献
索引

著者|author

武田康孝(タケダ・ヤスタカ)
1972年、北海道生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業。日本放送協会(NHK)勤務を経て、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程修了。博士(文学)。専門分野は文化政策研究、文化資源学。現在独立行政法人国際交流基金に勤務。
主な論考等:「文化と政治」(小林真理編『文化政策の現在 第1巻 文化政策の思想』東京大学出版会、2018年)、「国際文化交流と文化外交:「アジア」の文化理解を一例として」(小林真理編『文化政策の現在 第2巻 拡張する文化政策』東京大学出版会、2018年)、「日韓文化交流の最前線に身を置いて:周年事業を例に」(国際交流基金編『国際文化交流を実践する』白水社、2020年)、「「交流」から「発信」へ:2000―10年代の対外文化政策」(小林真理・阪本崇・友岡邦之編『文化政策のフロンティア 第3巻』東京大学出版会、近刊)

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