ユダヤ人として生きる―幼児期にホロコーストを経験したアンガー教授の回想録

ユダヤ人として生きる

幼児期にホロコーストを経験したアンガー教授の回想録

  • イズラエル・アンガー、キャロライン・ギャモン(著)、仁木久恵(訳)/2023年7月
  • 2700円(本体)/A5判並製354頁
  • 装丁:矢萩多聞

アンネ・フランクの隠れ家は私たちの部屋に比べれば「宮殿」のようだったが、私たちのほうがはるかに恵まれていた。密告する人がいなかったから。(本文より)

5歳~7歳の時期に隠れ家で過酷な生活を送り、さまざまな差別や偏見と向き合いながら歩んできた化学者の人生を綴る。入念な調査資料・目撃証言が体験談を裏付け、貴重な写真が歴史的事実を突きつける。勇気、愛、正義、平和への願いがこもる力強い物語。

(ISBN 9784861108839)

主な内容|contents

ポーランドに生き残った数少ないユダヤ人
「住み替え」作戦と称する粛清/隠れ家生活/ソ連兵の軍靴にキス
無国籍者になって
キエルツエのユダヤ人迫害―頭に負った裂傷/「孤児」になってポーランド出国/チャーリーとシドニーに名前を変えてロンドン生活
家族でカナダに移住
「おまえに、命(いのち)を二度も与えたんだよ」―父の口癖/カナダの市民権取得/苦学生時代と反ユダヤ主義
化学者になって
テキサス大学で光化学の研究/父の死―筋萎縮性側索硬化症/カナダのおかげで得た活躍の場
ホロコーストの語り部―妻マリーンと二人三脚
チャーリー―父親と同じ病魔に冒されて/ホロコースト否定論者との闘い/ホロコーストの語り部として
「僕の名前はスルリク」―幼児期の体験を振り返って
隠れ家に食料を運んでくれたスコルパ/親族のための墓碑/隠れ家で一緒に暮らした姉妹との再会/ホロコーストがその後の人生に与えた影響の有無

著者|authors

イズラエル・アンガー(Israel Unger)
1938年生まれ。幼い頃、ナチスドイツ占領下のポーランドで、2年間にわたり屋根裏部屋の狭い空間で怯(おび)えながら暮らす。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)から生き延び、戦後は各地を転々として、最終的にカナダに移住し、カナダ市民権を得る。ニューブランズウィック大学で博士号(化学)を取得。長年にわたり、教育と研究に携わり、ニューブランズウィック大学理学部の学部長を務め、名誉学部長の称号を得る。学術論文の執筆多数。ホロコースト体験を伝える語り部として各地で講演を行う。

キャロライン・ギャモン(Carolyn Gammon)
カナダ、ニューブランズウィック州生まれ。コンコーディア大学(モントリオール)卒業。専攻は文学と創作(クリエイティブ・ライティング)。1991年ドイツに渡り、ユダヤ人の生活やホロコーストに特化した案内役を務める。著書にJohanna Krause-Twice Persecuted-Surviving Nazi Germany and Communist East Germany (Wilfrid Laurier University Press: Christiane Hemkerと共著)。その他、詩・評論など多数。現在ベルリン在住。

訳者|translator

仁木 久恵(Hisae NIKI)
津田塾大学卒業後、テキサス大学大学院に留学し、修士号取得。津田塾大学博士課程修了。専攻は英米演劇と英語教育。津田塾大学非常勤講師、NHK基礎英語講師、聖路加国際大学教授、明海大学教授などを経て、明海大学名誉教授。著書にShakespeare Translation in Japanese Culture(Kensei-Sha)、『漱石とハムレット』(リーベル出版)。訳書に『平静の心』(医学書院:日野原重明と共訳)などがある。

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現代韓国占街巡礼―巫者密集地域の民俗誌

現代韓国占街巡礼

巫者密集地域の民俗誌

  • 吉村美香(著)/2023年7月
  • 3500円(本体)/四六判上製256頁
  • 装丁:中本那由子

街中にあふれる神降ろしや易学、占いカフェの看板。新しいもの好きで世界屈指のIT社会である韓国で、どうして伝統的な占い・巫俗が根強く人気なのだろうか。
ソウル近辺で巫俗・占術を行う巫者たちへの調査をもとに、現代韓国でひろく行われている巫俗の特徴や社会的背景を描く。

(ISBN 9784861108846)

目次|contents

第1部
第1章 本書の概要
第2章 現在までの韓国巫俗研究

第2部
第3章 巫者密集地域の現地調査:彌阿里地区
第4章 巫者密集地域の現地調査:阿峴洞地区
第5章 巫者密集地域の現地調査:九老洞地区
第6章 巫者密集地域の現地調査:大林洞・奉天洞地区
第7章 巫者密集地域の現地調査:水原・華西門地区 

第3部
第8章 コラム1 巫具
第9章 コラム2 巫俗の文化遺産化活動

第10章 結論 

あとがき
参考文献一覧

著者|author

吉村美香(よしむら・みか)
愛知大学非常勤講師。
文学博士(韓国国立韓国学中央研究院、2016年)。専門は東アジアの民俗学。
単著に『東医宝鑑叢書 江戸に朝鮮医学がもたらされる』(韓国:国立韓医学研究院、2021年)、『村山智順の生涯と巫俗研究』(韓国:民俗苑、2014年)、編著に『新編尾張医科学史攷 附牧野富太郎書簡』(志学社、2023年)、『(国際日本文化研究センター共同研究会成果論集)巫・占の異相――東アジアにおける巫・占術の多角的研究』(志学社、2023年)、訳書に『1920-1930年代朝鮮人の生老病死――村山智順の所蔵写真集』(韓国:新亜出版、2014年)、『朝鮮の場市研究』(韓国:民俗苑、2014年)などがある。

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〈文事〉をめぐる日朝関係史―近世後期の通信使外交と対馬藩

〈文事〉をめぐる日朝関係史

近世後期の通信使外交と対馬藩

  • 松本智也(著)/2023年7月
  • 6500円(本体)/A5判上製558頁
  • 装丁:長田年伸

秀吉の朝鮮出兵ののち、「善隣友好・平和外交」の象徴として200年、12回にわたって続いた通信使はなぜ失敗に終わったのか。近世後期の、日朝関係および東アジア史のターニングポイントともいえる時期を捉え、幕末にかけての通信使との学術・文才交流、すなわち「文事」と、日朝それぞれの識者の言説および対馬の歴史書にみられる対馬の「藩屏」認識という2つの視角から緻密かつダイナミックに考究。交易、政治面のみならず思想、学術・文化的な交流に焦点をあて、東アジアの大きな潮流のなかに日朝関係史を位置づける。
(ISBN 9784861108808)

目次|contents

はじめに
凡例

序章
一、問題の所在
二、近世後期日朝関係の課題
三、近世日本の対外関係と思想状況
四、本書の研究視座と構成

第一部 近世後期の通信使と〈文事〉
第一章  一八世紀の日朝知識人における通信使改革論
一、緒言
二、 一七世紀の日朝関係と〈文事〉
三、 一八世紀の日本における通信使改革論
四、 一八世紀の朝鮮における通信使改革論
五、小結

第二章 宝暦度通信使と日本人との接触―「寛政異学の禁」を視野に
一、緒言
二、宝暦度通信使の背景
三、宝暦度通信使のみる日本人
四、宝暦度通信使と那波魯堂の交流
五、通信使帰国後の那波魯堂・西山拙斎
六、小結

第三章 文化易地聘礼をめぐる江戸幕府の対応―林述斎の発言を手掛かりに
一、緒言
二、易地聘礼と林述斎
三、易地聘礼の儀礼空間構築
四、筆談・唱和
五、小結

第四章 文化度通信使と日本使節との接触
一、緒言
二、文化度通信使以前の日本の思想界の動向
三、文化度通信使前後の日本知識人の日朝関係認識
四、文化度通信使との接触
五、小結
補、文化度通信使来日時における学術認識

第二部 対馬藩における「藩屏」言説と日朝関係認識
第五章 一八世紀対馬藩知識人の「藩屏」論―〈朝鮮の藩屏〉論との交錯
一、緒言
二、近世日本における「藩屏」論―新井白石に即して
三、朝鮮王朝における対馬認識―〈朝鮮の藩屏〉論
四、「日本の藩屏」論と〈朝鮮の藩屏〉論との交錯
五、対馬「藩屏」論の幕藩体制への適合―雨森芳洲による論理的転回
六、小結

第六章 満山雷夏の「藩屏」論と日朝関係再編構想
一、緒言
二、一八世紀前期対馬藩知識人の「藩屏」論と日朝関係認識―陶山訥庵と雨森芳洲
三、一八世紀後期対馬藩知識人の「藩屏」論と日朝関係認識―松浦桂川
四、満山雷夏の「藩屏」論
五、満山雷夏の日朝関係再編構想
六、講学方設置の背景
七、小結

第七章 対馬藩の歴史書にみられる「藩屏」論
一、緒言
二、一八世紀初期の対馬藩の歴史書にみられる「藩屏」論
三、一九世紀初期の対馬藩の歴史書にみられる「藩屏」論
四、小結

終章 〈文事〉をめぐる日朝関係史
一、本書の成果
二、試論的展望

あとがき
参考文献一覧

人名索引/事項索引
韓国語要旨

著者|author

松本智也(まつもと・ともや)
1988年、大阪府生まれ。立命館大学大学院文学研究科人文学専修博士課程後期課程修了(博士・文学)。現在立命館大学授業担当講師・衣笠総合研究機構客員研究員。
主要論文に「近世後期日本知識人の日朝関係認識――文化度通信使との接触を通して」(『歴史評論』834号、2019年)、「一八~一九세기 對馬 지식인들의 ‘藩屛’론 -역사서 편찬에 보이는 자아인식의 형성-」(『韓日関係史研究』66号、2019年)、「文化易地聘礼をめぐる徳川幕府の対応――諱・上使称号・衣服についての林述斎の発言を手掛りに」(『日本思想史研究会会報』38号、2022年)など。

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原発災害と生活再建の社会学―なぜ何も作らない農地を手入れするのか

原発災害と生活再建の社会学

なぜ何も作らない農地を手入れするのか

  • 庄司貴俊(著)/2023年4月
  • 3000円(本体)/四六判上製242頁
  • 装丁:根本眞一・松田晴夫(クリエイティブ・コンセプト)

農業をやめざるをえなかった人びとの言葉から、原発被災地とは思えない「日常」の真実を探る。酪農家、漁師の事例も調査・研究。

(ISBN 9784861108617)

目次|contents

序章―原発被災地で暮らす人びとを対象として
第一章 先行研究と本論の方法―なぜ原発被災地で暮らす人びとを対象とするのか
第二章 原発事故と地域社会―なぜ原発被災地の復興は利用されやすいのか
第三章 農地を手入れする人びと―なぜ原発事故以後も農地と関わり続けるのか
第四章 事故前のように振る舞う人びと―なぜ原発事故以前と同じ周期で農地と関わるのか
第五章 農業を“やらない”人びと―なぜ原発事故以後に再び農地に対して主体性を獲得できたのか
終章―原発被災地で暮らす人びとからみえる生活再建の論理
補遺❶ 事故後の人びとの動向―事故前の暮らしを踏まえて
補遺❷ 本論の知見に関する比較検討―相違から考える仮の行く末
補遺❸ 本論の課題と今後の展望―原発立地地域も視野に入れて

著者|author

庄司貴俊((しょうじ・たかとし)
1991年生まれ。東北学院大学大学院人間情報学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、東北学院大学非常勤講師。
専攻は社会学、環境社会学、災害社会学。
・「原発被災地で〈住民になる〉論理―なぜ農地への働きかけは事故以前と同じ周期リズムで続けるのか」『環境社会学研究』24: 106-20、2018
・「原発被災地において農地の外観を保つ理由―福島県南相馬市X集落の事例」『社会学研究』103: 165-87、2019
・「原発事故から7年後に祭礼が復活した理由―福島県浪江町請戸の出初め式の事例」『村落社会研究ジャーナル』57: 1-12、2022

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ケベックのフェミニズム―若者たちに語り伝える物語

ケベックのフェミニズム

若者たちに語り伝える物語

  • ミシュリンヌ・デュモン(著)、矢内琴江(訳)/2023年3月
  • 2800円(本体)/四六判並製352頁
  • 装丁:苑田菊見

女性たちは歴史の中に存在する、女性たちには歴史がある、そして何よりも女性たちは歴史を創っている。

フェミニスト・スタディーズを切り開いてきた著者が孫娘に語るように綴った、カナダ・ケベック州における女性たちの歴史。
女性参政権、女子高等教育、男女間賃金格差、リプロダクティヴ・ヘルス/ライツ、アンチ・フェミニズムとの対峙など、これまでの女性たちの歩みと今現在につながる問題をたどる。

(ISBN 9784861108341)

目次|contents

日本語版序文
序文
プロローグ―1890年代頃の17歳の女の子たち

第1部 組織する女性たち 1893-1912
 1.フェミニズムの誕生
 2.全国カナダ女性評議会のモンレアルの女性たち
 3.キリスト教フェミニズム
 4.全国サン・ジャン=バティスト連盟
 5.活動するフェミニストたち

第2部 選挙権を要求するフェミニストたち 1913-1940
 6.モントリオール・サフラージュ協会と選挙権への反対
 7.連邦議会選挙の選挙権
 8.ケベックにおける初の試み
 9.ローマ会議
 10.新たな2つのフェミニスト団体
 11.経済危機でも続く選挙権のための闘い
 12.勝利のストラテジー

インターリュード―1940年代頃の17歳の少女たち

第3部 市民となった女性たちの参画への試み 1940-1969
 13.第二次世界大戦の最中
 14.女性のための政治的対立
 15.1950年代にフェミニストはいるのか?
 16.女性たちと「彼女たちの」静かな革命
 17.ケベック女性連盟とAFÉNASの設立
 18.バード委員会

第4部 沸き立つフェミニズム 1969-1980
 19.新たなフェミニズムの出現
 20.ラディカル・フェミニストたちの過激行動
 21.ケベック女性連盟とその多様な現場
 22.波を起こすフェミニズム
 23.困難な状況にある女性たちの支援
 24.フェミニスト意識を探究するアーティストたち
 25.多様化し深化するフェミニズム
 26.1980年州民選挙によって分断されるフェミニスト

第5部 世界を変えるための活動 1981年から今日まで
 27.変化するフェミニズム
 28.フェミニストの新たな目的
 29.論調を変えるフェミニズムのメッセージ
 30.アンチ・フェミニズムの台頭
 31.エネルギーが活発化する選挙権獲得50周年
 32.新たな行動の始まりの印、パンとバラのマーチ
 33.2000年世界女性パレード
 34.新たなフェミニズム論争

エピローグ―2008年の17歳の少女たち

謝辞
訳者あとがき
引用元
参考文献
図版一覧
索引

著者|author

ミシュリンヌ・デュモン(Micheline Dumont)
シェルブルック大学名誉教授。専門は歴史学・女性史。
Dumont, Micheline (2022), De si longues racines : L’histoire d’une historienne, les éditions du remue-ménage.
Dumont, Micheline (2002), Découvrir la mémoire des femmes : Une historienne face à l’histoire des femmes, les éditions du remue-ménage.
Dumont, Micheline, et le Collectif Clio (1992), Religieuses sont-elles féministes ?, Histoire des femmes au Québec depuis quatre siècle, Éditions du jour.

訳者|translator

矢内琴江(やうち・ことえ)
長崎大学ダイバーシティ推進センター コーディネーター/准教授。
専門は、社会教育学、フェミニスト・スタディーズ、ケベック研究。
主な著作に、村田晶子・森脇健介・矢内琴江・弓削尚子『ジェンダーのとびらを開こう~自分らしく生きるために~』(大和書房、2022年)、「貧困地区の住民を支えるアニマトゥール・ソシアルの実践と力量形成―実践者の意識化を支える学びの構造」(日本社会教育学会編『社会教育職員養成と研修の新たな展望』、東洋館出版、2018年)、「女性たちの創作活動を支える知の生成―カナダのフェミニズム・アートのギャラリーを事例にして」(小林富久子・村田晶子・弓削尚子編『ジェンダー研究/教育の深化のために―早稲田からの発信』、彩流社、2016年)など。

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揺り動かされるヒンドゥー寺院―現代インドの世俗主義、サティー女神、寺院の公益性

揺り動かされるヒンドゥー寺院

現代インドの世俗主義、サティー女神、寺院の公益性

  • 田中鉄也(著)/2023年3月
  • 4000円(本体)/A5判上製306頁
  • 装丁:長田年伸

インドの寡婦殉死慣習サティーの規制によって、サティー女神を本尊とする寺院やその信仰はどのように変化してきたのか。またそこにはいかなる人や組織や制度が関与しているのか。

現代インドの公益信託や寺院の利害関係者に着目し、多元化した「公益性」にもとづいて各寺院のあり方が形作られてきた経緯を検討することで、世俗主義と宗教のかかわりを考察する。

(ISBN 9784861108563)

目次|contents

まえがき
序章

第Ⅰ部 公益信託、マールワーリー、サティー女神
第1章 公益信託を支える宗教的・慈善的な基金をめぐる司法的言説
第2章 マールワーリーと宗教的・慈善的な基金
第3章 サティー女神を規制するということ

第Ⅱ部 公益に左右されるヒンドゥー寺院
第4章 公益とコミュニティとのあいだ
第5章 新たな利害関係者と寺院管理の変容

第Ⅲ部 公益を飼いならすヒンドゥー寺院
第6章 揺れ動く公益性
第7章 多元化する寺院の公益性

終章

あとがき
参考文献
索引

著者|author

田中鉄也(たなか・てつや)
1979年、大阪生まれ。関西大学文学部卒業。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。
専門は宗教学、南アジア地域研究。現在、中京大学国際学部准教授。

主な著作に、『インド人ビジネスマンとヒンドゥー寺院運営―マールワーリーにとっての慈善・喜捨・実利』(風響社、2014年)、“Trustee, State and Stakeholder: Hindu Temple Management in Contemporary India, 1957–2012”(Journal of Interdisciplinary Economics 32 (1), 2020)、「カースト族譜と社会関係資本――マールワーリーが具現化する一族の系譜関係」(三尾稔(編)『南アジアの新しい波(上)――グローバルな社会変動と南アジアのレジリエンス』昭和堂、2022年)など。

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躍動する聖地―マダガスカル・イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成と発展

躍動する聖地

マダガスカル・イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成と発展

  • 江端希之(著)/2023年3月
  • 5200円(本体)/A5判上製480頁
  • 装丁:矢萩多聞

宗教専門紙記者を経てアフリカ研究者を志した筆者が、精霊の息づく島国マダガスカルで出会ったのは、国内外から多数の巡礼者を集める聖地ドゥアニ。
どこか日本の神社にも似た雰囲気をもつ精霊祭祀の聖地ドゥアニで繰り広げられる、躍動する祈りの実践を、信仰を形作る様々なモノやイメージに着目し描き出す
(ISBN 9784861108501)

目次|contents

はじめに―マダガスカルに神社の幻影を求めて

序章

第Ⅰ部  ドゥアニ信仰の背景と構成
第1章 イメリナ地方における伝統宗教と社会制度・世界観・人間観
第2章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の構成要素
第3章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰と他の宗教の関係性

第Ⅱ部  ドゥアニ信仰の生成
第4章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成
第5章 サカラヴァ・ブイナ地方におけるドゥアニ信仰の歴史と変化
第6章 憑依儀礼チュンバの考察
第7章 西インド洋に広がるドゥアニ信仰

第Ⅲ部  ドゥアニ信仰の発展
第8章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の具象化
第9章 ドゥアニを巡礼する人々
第10章 聖地マンガベの生成と発展
第11章 マンガベにおける日常実践
第12章 ドゥアニにおける権力関係

終章
あとがき
参考文献
索引

著者|author

江端 希之(えばた・まれゆき)
1980年静岡県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。
博士(地域研究)。専門はアフリカ地域研究、宗教研究。
宗教専門新聞『中外日報』記者、日本学術振興会特別研究員DC、京都大学アフリカ地域研究資料センター機関研究員などを経て、現在、和布刈神社(北九州市)に権禰宜として奉職。
また現在、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員、大阪大学外国語学部非常勤講師、全国マダガスカル伝統治療師協会(伝統治療師)。

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恵みありて、インジェラに集う―エチオピア正教徒の食をめぐる生活誌

恵みありて、インジェラに集う

エチオピア正教徒の食をめぐる生活誌

  • 上村知春(著)/2023年2月
  • 6000円(本体)/A5判上製540頁
  • 装丁:中本那由子

一年の半分を「断食」して過ごす、エチオピアのキリスト教徒たち。かれらにとって、「食べること」「食べないこと」は、いったいどういうものなのだろうか。主食のクレープ「インジェラ」や、コーヒーをはじめとする食べ物・飲み物の生産-調理-消費からみる、「食と宗教」、そして生活。

(ISBN 9784861108297)

目次|contents

はじめに
序章
第1章 アムハラの地理と人、暮らし
第2章 エチオピア正教徒の食生活を基礎づける暦―よき信徒としての実践
第3章 食事の様式
第4章 食事の基盤「インジェラ」―主食と副食のセット
第5章 日常生活に欠かせない飲み物―穀物からつくる酒
第6章 穀物の栽培―インジェラと酒の原料
第7章 インジェラとはちがうよろこび―主食穀物をもとにつくられる軽食
第8章 「非断食の食べ物」―動物性食品
第9章 コーヒーを淹れて、皆とともに飲む
第10章 食べ物の価値判断―「ふさわしさ」と「おいしさ」、有用性
第11章 食の仕事にたずさわる―食材や料理との向きあい方
第12章 調理の担い手の実践―調理者であること、調理者になること
第13章 飲食をつうじて神の力を享受する
第14章 暦に沿った祝い日
終章

おわりに
参照文献
索引

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。

●34ページ(太字下線部が訂正箇所)

(誤)テフの名はアムハラ語で「消える(タッファ)」を意味する単語に由来し、じっさいに、穀粒の大きさは長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒あたりの重さは二グラムしかない(写真 序-2)(重田 2003: 220–221; Taylor & Emmambux 2008)。

(正)テフの名はアムハラ語で「消える(タッファ)」を意味する単語に由来し、じっさいに、穀粒の大きさは長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒あたりの重さは〇・三~〇・四グラムしかない(重田 2003: 220–221; Simoons 1960: 100も参照)(写真 序-2)。

 

●188ページ(太字下線部が訂正箇所)

(誤)序章では、テフがいかに小さいか(長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒重約二グラム)に言及したが、シコクビエも十分に小さい。

(正)序章では、テフがいかに小さいか(長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒重約〇・三グラム)に言及したが、シコクビエも十分に小さい。

 

著者|author

上村知春(かみむら・ちはる)
国立民族学博物館外来研究員
アフリカ地域研究、食研究、人類学
主な著作に、「聖日を「祝う」──エチオピア正教会信徒の食の実践に着目して」(『文化人類学』印刷中)、「シコクビエ栽培の民族誌的研究── エチオピア北西部アムハラ州西ゴッジャム県の事例」(『農耕の技術と文化』31、2022年)など

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今に向き合い、次につなぐ―諏訪大社御柱祭の祭礼民俗誌

今に向き合い、次につなぐ

諏訪大社御柱祭の祭礼民俗誌

  • 石川俊介(著)/2023年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製406頁
  • 装丁:長田年伸

六年に一度あるが、毎回同じものではない。
「暴力」や「危険」、「伝統」や「素朴」だけではない。

時代とともに移ろい、生身の人間たちが生々しく生きる生活の一部である、諏訪大社御柱祭。この大規模な祭礼の今の姿を、「反復」される中にある「一回性のもの」に着目しながら多角的に描き出す。
(ISBN 9784861108488)

目次|contents

はじめに
序論

第Ⅰ部 御柱祭概説
第1章 御柱祭

第Ⅱ部 御柱の来歴
第2章 樅の木が御柱になる―用材調達
第3章 御柱を曳く―曳き綱はいかに製作されるのか
第4章 御柱を「ご神木」にする―木遣り唄の役割
第5章 欠片を頂く、古い御柱を拝戴する―創造されるモノとしての御柱の価値

第Ⅲ部 祭りをめぐる人々と社会
第6章 行事を生み出す―下社木落しの「発明」
第7章 祭りを規制する―御柱祭と「暴力」
第8章 価値を語る―死傷者の「話」は何を表現するのか
第9章 資源化する―観光イベントで表現される御柱祭

結論 今に向き合うこと、次につなぐこと

おわりに
初出一覧
参考文献
索引

著者|author

石川俊介(いしかわ・しゅんすけ)
追手門学院大学社会学部・講師
文化人類学、民俗学

主な著作に、「歌唱行為によって遂行される「儀礼」――諏訪大社御柱祭の木遣り唄と事例として」(『年報人類学研究』13、2022年)、「御柱祭における曳き綱製作――富士見町富士見地区を事例として」『信濃』74(6)、2022年)、「聞きづらい「話」と調査者――諏訪大社御柱祭における死傷者の「話」を事例として」『日本民俗学』268、2011年)など。

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住宅をめぐる〈欲望〉の都市論―民間都市開発の台頭と住環境の変容

住宅をめぐる〈欲望〉の都市論

民間都市開発の台頭と住環境の変容

  • 吉江俊(著)/2023年2月
  • 3500円(本体)/A5判並製コデックス装384頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

都市の住宅は、わたしたちは、いったい何を欲してきたのだろう? 
民間による商品住宅開発が大都市の「普通の暮らし」を再編して30余年。新自由主義の住宅政策への転換・民間住宅開発の台頭・首都の再都市化・人口の都心回帰、これらが混然一体となる「第二の都市化」のなかで進行してきた住宅とまちの変化を眺望する。

序論「「欲望の都市論」序説―大都市と農村の往復から都市論を編む」を公開しています[pdfファイルが開きます]

(ISBN 9784861108280)

目次|contents

序  「欲望の都市論」序説―大都市と農村の往復から都市論を編む

第Ⅰ部  ふたつの都市化
第1章  過渡期の空間―住宅の変容から「第二の都市化」をとらえる
第2章  前史―「マンション」の登場と住宅の商品化

第Ⅱ部  欲望と暮らしのモード
第3章  住環境への欲望と都心回帰
第4章  「第二の都市化」と暮らしのモードの30年史
補論1  都心居住の呪いを解く試み―「戸建て感覚」と「ホテルライク」な住宅の出現

第Ⅲ部  欲求の階層性と住宅選択
第5章  住環境への欲求と居住者像
第6章  「第二の都市化」の時代の住宅選択

第Ⅳ部  遷移する地域とジェントリフィケーション
第7章  マンション開発と地域像
第8章  遷移する地域のフィールドワーク
第9章  東京のみえない格差と息苦しさの地理学
補論2  3つの大都市のジェントリフィケーション

結  「第二の都市化」はどこへ向かうか―都市論と都市計画の円環へ

あとがき
索引

図集  住環境をめぐる「欲望」の地図
写真  「第二の都市化」の風景
年譜  住宅をめぐる「第二の都市化」の展開

著者|author

吉江俊(よしえ・しゅん)
早稲田大学建築学科講師、博士(工学)。専門は都市論・都市計画論。
日本学術振興会特別研究員、ミュンヘン大学訪問研究員を経て現職。自治体・住民と協働した地方市町村のまちづくり、民間企業と協働の都市再生や「迂回する経済」の実践研究まで幅広く行う。近年は早稲田大学キャンパスマスタープラン作成、東京都現代美術館「吉阪隆正展」企画監修など。
著書に『無形学へ かたちになる前の思考――まちづくりを俯瞰する5つの視座』(共著、水曜社、2017年)、『クリティカル・ワード 現代建築―社会を映し出す建築の100年史』(共著、フィルムアート社、2022年)、『コミュニティシップ――下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社』(共著、学芸出版社、2022年)、『吉阪隆正 パノラみる』(共著、ECHELLE-1、2022年)。
本書が初の単著となる。継続するテーマを扱った次作として、『迂回する経済の都市論』が近刊予定。

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