ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか―現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌

ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか

現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌

  • 増木優衣(著)/2023年2月
  • 4500円(本体)/A5判上製358頁
  • 装丁:矢萩多聞

インド社会の排泄物処理を含むサニテーションをその末端で担ってきた、「清掃人カースト」ヴァールミーキの人びと。
ガーンディーの思想を受け継ぐNGOをはじめ、人道的使命に突き動かされた様々な人びとの闘いにより、排泄物処理人たちは、不潔で不浄な労働や差別から「解放」されていったとされている。
しかしながら実際に、彼らはいかなる労働を行い、そこにどのような意味づけを主体的になしてきたのだろうか。そして彼らの社会的な位置づけはいかに変化し、彼らはどこへ向かっているのだろうか。

(ISBN 9784861108273)

目次|contents

序論
第1章 清掃人カースト研究と本書のねらい
第2章 調査地のヴァールミーキとNGOスラブ
第3章 英領インドにおける乾式トイレ・システムと清掃人
第4章 地域の排泄物処理システムとヴァールミーキ
第5章 不可触民解放運動と水洗トイレ普及運動の歴史
第6章 乾式トイレの廃絶とヴァールミーキの労働実践の変容
第7章 公衆衛生的言説の創造的利用と新たな葛藤
結論 ケガレの積極的受容と差別のはざまで
あとがき
参考文献
索引

著者|author

増木優衣(ますき・ゆい)
日本学術振興会特別研究員(PD)
文化人類学、南アジア地域研究
主な著作に、「サニテーション労働とカースト: インドの事例から」(中尾世治・牛島健編『社会・文化からみたサニテーション』講座サニテーション学 第2巻、北海道大学出版会、2023年春刊行予定)、“Ideas and Practices for Restoring the Humanity of Sanitation Workers in India,” (T. Yamauchi, S. Nakao, and H. Harada eds., The Sanitation Triangle: Socio-Culture, Health and Materials, Singapore, Springer, 2022)、 “Historical Development of Low-Cost Flush Toilets in India: Gandhi, Gandhians, and ‘Liberation of Scavengers’,” (Sanitation Value Chain, 2(1), 2018)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

戦間期チェコのモード記者 ミレナ・イェセンスカーの仕事―〈個〉が衣装をつくる

戦間期チェコのモード記者 ミレナ・イェセンスカーの仕事

〈個〉が衣装をつくる

  • 半田幸子(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製416頁
  • 装丁:中本那由子

“カフカの恋人”として知られたミレナ・イェセンスカー。その文脈で語られる不遇なイメージからこれまであまり素顔を知られることがなかったが、彼女は激動の戦間期(1920-30年代)に国家アイデンティティの揺らぐ中欧チェコにおいて、生活主体としての女性たちに向けて新しいファッションやライフスタイルを啓蒙した「モード記者」であった。その信条は「シンプル」。多くの新聞や雑誌に載せた翻訳記事、執筆記事の収集・考察を通して、当時のジャーナリズムが人々の意識形成に果たした役割を明らかにするとともに、イェセンスカーとその仕事を、中東欧メディア史におけるモードの担い手として位置づけ直す。巻末にイェセンスカーによる翻訳記事(306本)、執筆記事(1121本)目録を収載。

(ISBN 9784861108655)

目次|contents

はじめに
凡例

序章 今日、イェセンスカーを論じる意義
第1節 本書の目的と意義:新たなミレナ像を求めて
第2節 これまでの研究と問題の所在
1 伝記と「ミレナ神話」
2 著作研究
3 モードおよびメディアに関する研究
第3節 研究の方法
第4節 本書の構成

第1章 活動の背景:民族および女性の解放とそのメディア
第1節 前史:10世紀から第一共和国前まで
第2節 1920年代:国民国家形成期の女性向け雑誌
1 創刊ラッシュと民族意識の高まり
2 誌面に見る民族意識
3 新聞における女性向け紙面
第3節 女性向け紙面の代表的なジャーナリスト
1 オルガ・ファストロヴァー
2 マリエ・ファントヴァー

第2章 イェセンスカーの執筆活動
第1節 記者前史:女子ギムナジウムにて
第2節 翻訳者として
第3節 フェイェトニスト(文芸欄執筆者)として
第4節 モード記者として
1 『論壇』において
2 『国民新聞』において
3 『鮮やかな週』において
4 『人民新聞』において
第5節 1930年代の活動
1 左翼系新聞・雑誌において
2 『現在』において

第3章 1920年代チェコにおけるモードとモード記者の役割
第1節 想定した読者像
1 読者の性別、年齢および社会層
2 中間層に向けた思い
3 小括
第2節 モードとモード記者の意義
1 1920年代初頭の言説
2 ギムナジウム時代の言説
3 時代認識とモード記者の意義
4 小括
第3節 記事の特徴―外見と内面とその調和

第4章 モード・ライフスタイル論(1)理想の追求
第1節 シンプルという理想
1 装飾の排除
2 機能性や合理性の重視
3 精神面におけるシンプル
第2節 女性の生き方
1 男女平等について
2 モダンな女性の理想像
3 仕事と家庭と衣服
4 イヴニングドレスの特権性と価値観
第3節 シンプルが理想とされた時代に―まとめにかえて

第5章 モード・ライフスタイル論(2)時代と流行
第1節 大量生産・大量消費社会における〈個〉のあり方
第2節 身体と衛生
1 身体の手入れと衛生観念
2 スポーツ
第3節 外国イメージとモード・ライフスタイル
1 ドイツ語圏観
2 フランス観
3 イギリス・アメリカ観
4 外国イメージに見る思想
第4節 流行との距離
第5節 イェセンスカーと時代と流行と―まとめにかえて

補章 戦間期チェコのジャーナリズム史
第1節 第一共和国期(1918‐1938):新聞各紙とその特徴
1 主要五政党および共産党と各日刊機関紙
農業党と『田園』
社民党と『人民の権利』
国民社会党と『チェコの言葉』
人民党と『人民新報』
国民民主党と『国民新聞』
共産党と『赤い権利』
2 非政党機関紙
『国民政治』
『人民新聞』
『論壇』
『国民解放』
第2節 第二共和国期(1938・10‐1939・3)

終章

あとがき
参考文献
補遺
索引

著者|author

半田幸子(はんだ・さちこ)
ノースアジア大学法学部専任講師。博士(国際文化)。専門は、中東欧メディア文化史/文化論、国際文化論、比較文化論、外国語教育。
2001年3月、東京外国語大学外国語学部ロシア・東欧課程チェコ語学科卒業。2020年9月、東北大学大学院国際文化研究科博士後期3年の課程修了。
大学卒業後、在チェコ日系企業で通訳、仙台徳洲看護専門学校非常勤講師(比較文化)、東北文化学園大学非常勤講師(英語)、宮城学院女子大学非常勤講師(英語)を経て現職。
著書に、『翻訳文学紀行 Ⅳ』(ことばのたび社、2022年、共著〈担当箇所:「新しい時代を生きる――チェコ語文学(チェコスロヴァキア)ミレナ・イェセンスカー「浴室、身体、そしてエレガンス」[他2編]」37-64頁〉)。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

あいまい化する〈当事者〉たち―韓国セクシュアル・マイノリティ運動から考えるコミュニティの未来

あいまい化する〈当事者〉たち

韓国セクシュアル・マイノリティ運動から考えるコミュニティの未来

  • 柳姃希(著)/2023年3月
  • 3500円(本体)/A5判上製204頁
  • 装丁:中本那由子

見えない声を聴く――

歴史・宗教的にジェンダー格差が根深い韓国において、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティたちは如何にして自己のアイデンティティを確立し、社会的立場を獲得していったのか。1990年代以降の韓国の「セクシュアル・マイノリティ運動」の萌芽、変遷の検討から、マイノリティたちが団体や居場所を隠れ蓑として自ら〈当事者〉であることをあいまいにすることで自己を守りながらも、自分たちが抱える問題を可視化し、社会変革を起こしてきた様子を浮かび上がらせる。

(ISBN 9784861108648)

目次|contents

はじめに

序章 エンパワメントの視点からみる韓国のセクシュアル・マイノリティ運動
第1節 研究の背景と問題意識
第2節 当事者性とニーズ論
第3節 エンパワメント過程の分析枠組み
第4節 クィア・スタディーズというアプローチ
第5節 本書の概要

第1章 韓国におけるセクシュアル・マイノリティの差別状況と運動――先行研究から
第1節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ差別
第2節 韓国における国・地方自治体の取り組みと限界
第3節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ運動
第4節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ研究とその分野

第2章 セクシュアル・マイノリティ個人の肯定化――「非認知ニーズ」の当事者性
第1節 セクシュアル・マイノリティに対する社会の無知
第2節 セクシュアル・マイノリティ当事者の無知と不安
第3節 出逢いの場を求めるセクシュアル・マイノリティ
第4節 当事者性にみる問題意識の芽生え――ヨウンヘの誕生

第3章 セクシュアル・マイノリティ当事者の可視化と活動の変容――当事者性の獲得
第1節 軍事政権の終焉とセクシュアル・マイノリティ運動の始まり
第2節 セクシュアル・マイノリティ運動の担い手の登場
第3節 セクシュアル・マイノリティ存在の可視化の下での差別と嫌悪
第4節 セクシュアル・マイノリティ差別への危機感とオンラインコミュニティの急増

第4章 「あいまいな当事者性」戦略――社会変革を目指して
第1節 セクシュアル・マイノリティ芸能人の登場と差別の本格化
第2節 人権問題として取り上げられるセクシュアル・マイノリティ問題
第3節 姿を隠すセクシュアル・マイノリティ運動の担い手――「あいまいな当事者性」戦略
第4節 「あいまいな当事者性」戦略の転換
第5節 セクシュアル・マイノリティ運動にみるニーズの変遷過程――ニーズの発生と充足

第5章 セクシュアル・マイノリティ運動の新たな動き――「あいまいな当事者性」戦略の現状
第1節 セクシュアル・マイノリティをめぐる社会の新たな動き
第2節 セクシュアル・マイノリティ人権運動に反対する近年の動向
第3節 セクシュアル・マイノリティ運動の中で抱える運動団体の課題
第4 節 「あいまいな当事者性」戦略によるセクシュアル・マイノリティの日常的生活課題の潜在化

終章 新たなコミュニティの創造によるエンパワメント
第1節 韓国のセクシュアル・マイノリティ運動におけるコミュニティの機能
第2節 主体化する当事者と新たなコミュニティ
第3節 新たなコミュニティの生成とエンパワメント
第4節 本書の限界と課題

おわりに

引用文献・参考文献リスト

著者|author

柳 姃希(ユウ・ジョンヒ)
1984年 韓国ソウル生まれ
2007年に留学のため来日
2011年 立教大学コミュニティ福祉学部、コミュニティ政策学科 卒業
2013年 立教大学コミュニティ福祉学研究科 コミュニティ福祉学専攻 博士前期課程修了
2019年 立教大学コミュニティ福祉学研究科 コミュニティ福祉学専攻 博士後期課程満期退学
2020年 立教大学で博士の学位授与
2020年10月-2021年3月 立教大学コミュニティ福祉学部 福士実習教育室 教育研究コーディネーター
2021年4月-現在 武蔵野大学 人間科学部 社会福祉学科 助教
2022年4月-現在 西東京市市民協働推進センター運営委員会 委員
社会福祉士、精神保健福祉士

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

取るに足らないものたちの民族誌―チリにおける開発支援をめぐる人類学

取るに足らないものたちの民族誌

チリにおける開発支援をめぐる人類学

  • 内藤順子(著)/2023年3月予定
  • 3800円(本体)/四六判上製282頁
  • 装丁:中本那由子

貧困者、支援者、弱者、専門家。彼らは何者なのだろう。
「小さき人びと」はどのように世界を見て、生きているのだろう。

政府開発援助の現場における、人類学者のもがきと葛藤の記録。

支援現場において人類学を志す者が、様ざまな文脈を生きなければならないということ、何事にも生身でむきあう文化人類学の知と営為には可能性があるということを、本書では述べたいと思う。いわゆる社会的弱者とそうではない人びとがいるこの世界で、開発支援はどのように実践されるとよいのか、人類がうまく共生するにはどのような道がありうるのか。 [本文より]

(ISBN 9784861108259)

目次|contents

序章
第1章 チリにおける貧困の諸相
第2章 「貧困空間」の人類学
第3章 「貧困空間」の民族誌
第4章 開発現場の人類学/開発現場で人類学
第5章 専門知のリハビリテーションに向けて
おわりに
参考文献

著者|author

内藤順子(ないとうじゅんこ)
早稲田大学理工学術院・教授。博士(人間科学・早稲田大学)。専門は文化人類学。
主な著作に、『〈境界〉の今を生きる:身体から世界空間へ・若手一五人の視点』(共編、東信堂、2009年)、「痛みと記憶:チリ・軍政下を生き抜く女性たち」(田中雅一・嶺崎寛子編『ジェンダー暴力の文化人類学:家族・国家・ディアスポラ社会』昭和堂、2021年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

戦前日本における精神衛生相談の成立

戦前日本における精神衛生相談の成立

理念形成から活動の展開まで

  • 末田邦子(著)/2023年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製210頁
  • 装丁:長田年伸

日本において精神病者への相談に始まった専門相談は、どのような動きのなかで「精神衛生相談」に変容し、それは誰が担い、どんな機能を持っていたのか――。本書では相談理念形成の母胎となった戦前期に着目し、背景にある社会状況、政策・法制、関連団体の活動実態を歴史的視点から提示。その成立過程をたどり、特徴を明らかにする。

(ISBN 9784861108624)

目次|contents

序 章 日本における精神衛生相談の成立過程への視角

第1部 戦前日本における精神衛生相談の理念の成立
第1章 精神病者への相談から「精神衛生相談」へ 政策動向の検討
第2章 精神衛生相談理念に対する議論と動向(1) 関連三団体機関誌の検討
第3章 精神衛生相談理念に対する議論と動向(2) 社会事業団体機関誌の検討

第2部 戦前日本における精神病者への相談活動および精神衛生相談活動の実態
第4章 精神病者への相談および「精神衛生相談」の活動実態
第5章 方面委員による精神病者への相談活動(1) 東京市の検討
第6章 方面委員による精神病者への相談活動(2) 1935年発表の手記の検討
第7章 村松常雄の精神衛生思想と活動の展開 欧米留学時までの検討

終 章 総括と今後の課題

おわりに
初出一覧
引用文献
索引

著者|author

末田邦子(すえだ・くにこ)
愛知淑徳大学福祉貢献学部准教授。専門は社会福祉学。
1970年生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒、精神科診療所および精神科病院勤務を経て、日本福祉大学大学院社会福祉学研究科博士前記課程、同大学院福祉社会開発研究科博士後期課程修了。博士(社会福祉学)。
2006年、金城学院大学人間科学部助教、2013年より現職。
著書に、『戦後社会福祉の歴史研究と方法:第二巻』(近現代資料刊行会、2022年、共著)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

越境兵士の政治人類学―英国陸軍グルカ兵の軍務と市民権

 越境兵士の政治人類学

英国陸軍グルカ兵の軍務と市民権

  • 上杉妙子(著)/2023年2月
  • 6000円(本体)/A5判上製538頁
  • 装丁:矢萩多聞

外国人兵士の軍務と市民権はいかにして結びつくのか。
「傭兵」は果たして、便利な「道具」であることに安々と甘んじているのだろうか。
英国に雇用されてきたネパール出身グルカ兵に焦点を当て、彼らの市民権交渉の複層的な様相、そして軍隊と社会の「もつれた」関係を描き出す。

(ISBN 9784861107252)

目次|contents

まえがき

序論

第Ⅰ部 グルカ兵雇用の歴史的背景
第1章 外国人兵士の軍務と市民権
第2章 グルカ兵の誕生―香港返還より前の雇用

第Ⅱ部 ネパール市民権の維持のための境界作業
第3章 ネパール人アイデンティティの構築と維持、血統的再生産
第4章 駐屯地の宗教の二つの顔―歴史的背景と政策、実行の仕組み
第5章 駐屯地の宗教の二つの顔―教義と見解

第Ⅲ部 グルカ兵の市民権の再定義
第6章 雇用政策の変更と英国陸軍への統合の深化―グルカ次元の解体
第7章 英国社会への国家レベルの統合を目指して―グルカ正義運動に見る市民権交渉
第8章 英国社会への地域レベルの統合を目指して―英国グルカ福祉協会の市民権交渉
第9章 ネパール社会への越境的再統合を目指して―「ネパール市民権の継続」運動に見る市民権交渉

結論

あとがき
参照文献
索引

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。

目次 序論「第2節 問題の所存」→「第2節 問題の所在」

p.22 「第2節 問題の所存」→「第2節 問題の所在」

p.85 うしろから6行目 「ネパールは公式的英帝国の一部」→「ネパールは非公式的英帝国の一部」

p.429 うしろから6行目から5行目にかけて 「かつて父もしくは母、」→「かつて自分自身もしくは自分の父、母、」

著者|author

上杉妙子(うえすぎ・たえこ)
明治学院大学社会学部付属研究所 研究員。
博士(学術)。文化人類学。
主な著作に、『位牌分け―長野県佐久地方における祖先祭祀の変動』(第一書房、2001年)、 “Introduction to the Special Issue, Migration and Transnational Dynamics of Non-Western Civil Societies.” (Japanese Review of Cultural Anthropology, 20 (1), 2019年)、“Domesticating Civil-Military Entanglements: Multiplicity and Transnationality of Retired British Gurkhas’ Citizenship Negotiation.” (Birgitte Refslund Sørensen and Eyal Ben-Ari (eds.) Civil-Military Entanglements: Anthropological Perspectives, Berghahn, 2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

 

タキ・オンコイ 踊る病―植民地ペルーにおけるシャーマニズム、鉱山労働、水銀汚染

タキ・オンコイ 踊る病

植民地ペルーにおけるシャーマニズム、鉱山労働、水銀汚染

  • 谷口智子(編)/2023年2月
  • 4700円(本体)/A5判上製328頁
  • 装丁:毛利一枝

スペイン植民地支配に抵抗する16世紀ペルーのインディオの宗教運動とされている、「踊る病」タキ・オンコイ。これが鉱山労働における水銀中毒に由来するものであったとする「タキ・オンコイ水銀中毒説」を、歴史学、医療人類学、環境化学、宗教学の立場から検証する。

(ISBN 9784861108266)

目次|contents

序 [谷口智子]

第一章 人類の宗教史における水銀とシャーマニズム―タキ・オンコイを理解するための序論 [谷口智子]
第二章 スペイン帝国下のアルマデン水銀鉱山―その歴史と水銀中毒[立岩礼子]
第三章 「囲いに入れられた神」と「赤く顔を塗られた神」 [谷口智子]
第四章 一六世紀ペルーにおけるタキ・オンコイと水銀 [ルイス・アルベルト・サンタマリア・ファレス(谷口智子 訳)]
第五章 タキ・オンコイにおける人体への水銀汚染をどうとらえるのか [中地重晴]
第六章 タキ・オンコイ、憑依、ハサミ踊り [谷口智子]
第七章 タキ・オンコイから鉱山の悪魔まで―その社会的アプローチ [ルイス・アルベルト・サンタマリア・ファレス(谷口智子 訳)]
第八章 アンデスの創造力における「収奪」のイメージ―タキ・オンコイとピシュタコ及びコンパクタード [谷口智子]

結 [谷口智子]

参考文献一覧
執筆者一覧

編者|editor

谷口智子(たにぐち・ともこ)
愛知県立大学外国語学部教授。専門は宗教学、ラテンアメリカ地域研究。
主な著作に、『新世界の悪魔―カトリック・ミッションとアンデス先住民宗教』(大学教育出版、2007年)、翻訳書に、朴哲『グレゴリオ・デ・セスペデス―スペイン人宣教師が見た朝鮮と文禄・慶長の役』(春風社、2013年)がある。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

「伝統」が制度化されるとき――日本占領期ジャワにおける隣組

「伝統」が制度化されるとき

日本占領期ジャワにおける隣組

  • 小林和夫(著)/2023年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製436頁
  • 装丁:長田年伸

現在のインドネシアでは、地域社会での奉仕活動がゴトン・ロヨンの名で行われており、それが国民的「伝統」として語られているが、その端緒は日本占領下のジャワにおいて日本の隣組制度が導入・推進されたことにある。本書はこの歴史を、「伝統」慣習の制度化や、相互扶助を重んじる「伝統」の実践者へと住民たちが自らなっていった過程としてあとづける。

(ISBN 9784861108242)

目次|contents


第一章 「伝統」との邂逅―旧慣制度調査委員会      
第二章 「伝統」の端緒―ロンダ(夜警)制度の警防団への編入 
第三章 「伝統」の萌芽―隣組制度の段階的導入
第四章 「伝統」の展開―隣組制度のジャワ全土への導入
第五章 「伝統」の弁証法―隣組の機能「権力の機制」と「住民の互酬」
第六章 「伝統」の鼓吹―隣組制度の推進政策
第七章 「伝統」の視聴―隣組制度の宣伝政策
第八章 「伝統」の貫徹―隣組とジャワ奉公会
第九章 「伝統」の再発見―スカルノによる「伝統」の概念化・鼓吹とジャワ軍政
終章 「伝統の制度化」の今日的文脈

謝辞     
参考文献  
資料     
年表     
索引   

著者|author

小林和夫(こばやし・かずお)
創価大学文学部人間学科教授。
歴史社会学、戦争社会学、インドネシア地域研究。
主な著作に、「日本占領期ジャワにおける「喜捨」の制度化」―バンドゥン県のバイトゥル・マル(baytoel-mal)を中心として」(中野毅、平良直、粟津賢太、井上大介編『占領改革と宗教―連合国の対アジア政策と複数の戦後世界』専修大学出版部、2022年)、  「大東亜共栄圏構想と国民のアジア語学習―馬来語の事例」(『社会学評論』69(3)、2018年)、「日本占領期ジャワにおける占領統治と衛生の確立」(『戦争社会学研究』2、2018年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

チベット高原に花咲く糞文化

チベット高原に花咲く糞文化

  • チョウ・ピンピン(著)/2023年1月
  • 3300円(本体)/四六判上製264頁
  • 装丁:中本那由子

気候も厳しく、各種資源も限られているチベット高原において、ヤク(牛)の糞は貴重な燃料としてもひろく用いられている。そしてその他にも、家屋の建材や子供のおもちゃとしても使われ、そして儀礼でも神聖なものとして扱われており、いわば最も重要な生態的・文化的資源である。
牛糞の採取・加工・利用によって成り立ち彩られるチベットの人々の生活を、20ヶ月の現地調査をもとに描き出す。

 

酸素と温度、その両方が乏しいチベット高原で生き抜く人々から学べることの中には、過去さまざまな環境の変化に適応し、これからも環境の変化に適応していかなくてはならない我々人類にとって、重要なヒントが隠されているのではないか [本文より]

 

(ISBN 9784861108471)

目次|contents

はじめに
第1章 チベット高原における人類の適応およびヒトと動物の関係
第2章 調査概要
第3章 燃料としての利用
第4章 牛糞の素材としての利用
第5章 牛糞の象徴的な利用
第6章 分析
第7章 考察
第8章 結論
資料
チベット語用語集
参照文献
謝辞
索引

著者|author

チョウ・ピンピン(Zhang Pingping)
北九州市立大学社会システム研究科、北九州市立大学文学部・法学部
博士研究員、非常勤講師
専攻・専門は生態人類学・チベット牧畜文化
主要な著作に「生態と象徴の視点から考えるチベット遊牧民にとってのヤクの糞:高地適応のための燃料から儀礼的呪物化まで」(博士論文、北九州市立大学)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

地域発見と地理認識―観光旅行とポタリングの楽しみ方

地域発見と地理認識

観光旅行とポタリングの楽しみ方

  • 西脇保幸(著)/2022年12月
  • 3100円(本体)/A5判並製502頁(+カラー口絵16頁)
  • 装丁:苑田菊見

国内外への観光旅行や気軽な街歩きが、位置・分布などの「地理的視点」を持つことで、いっそう味わい深いものになる――。“地理屋”である著者が現地調査をもとにまとめた地誌と、旅のスナップ861点を掲載。

(ISBN 9784861108419)

目次|contents

はじめに

序章 地理に魅せられて―ふるさと浦安の変貌と国際理解
1 “陸の孤島”と呼ばれた浦安
2 都県境の重みと「東京」の範囲
3 高校時代における行動範囲の拡大
4 地下鉄東西線の開通に伴う浦安の変貌
5 ソ連・ヨーロッパ地理視察旅行
6 トルコ旅行と親友サブリ君の来訪
7 スクール・インターンシップによるアメリカ研修旅行
8 横浜国立大学での研究と指導

第1章 個人旅行でも楽しみたいトルコと韓国
1 海外旅行を楽しむために
2 トルコへの誘い
3  韓国自由自在

第2章 シルクロードのバス旅日記 ―中国・西安からトルコ・イスタンブルへ
1 ツアーの概要
2 中国
3 カザフスタン
4 キルギスとカザフスタンのタラズ周辺
5 ウズベキスタン
6 トルクメニスタン
7 イラン
8 トルコ

第3章 テーマのある海外旅行
1 典型的な周遊旅行のイタリア縦断ツアー
2 オランダ・ベルギーでの花観賞ツアー
3 “中欧トライアングル”+αのツアー
4 インド世界遺産巡りツアー
5 遺跡の魅力を訪ねる旅―アンコール・ワット,ペトラ,マチュピチュ、エジプトのピラミッドなど
6 山岳美を求めて―アルプス、カナディアンロッキー、カラコルム
7 遊覧飛行の魅力と高所からの展望
8 海外旅行のこぼれ話―地中海での海水浴とパンタナールの野生動物

第4章 国内鉄道旅の楽しみ方
1 国内旅行を楽しむために
2 周遊タイプの鉄道旅
3 フライト&ライドの九州周遊旅行
4 往復割引で行く鉄道旅
5 拠点宿泊地を設定してその周辺で観光を楽しむ鉄道旅

第5章 ポタリングのすすめ ―関東地方中心に厳選した13コース
1 ポタリングを楽しむために
2 ポタリングの“お勧め”コース

第6章 ウインドサーフィンと地理認識
1 ウインドサーフィンとの出会い
2 私流ボードセーリング術
3 ウインドサーフィンで学ぶ地理

文献等の一覧

あとがき

著者|author

西脇保幸(にしわき・やすゆき)
横浜国立大学名誉教授。専門は地理教育論・トルコ研究。
1949年、千葉県浦安市生まれ。東京教育大学農学部農村経済学科卒業。東京教育大学大学院理学研究科地理学専攻修士課程修了。千葉県立浦安高等学校、千葉県立船橋高等学校、東京学芸大学附属高等学校で社会科教諭として勤務したのち、1990年より横浜国立大学で地理教育を修める。
主な著書は『シミュレーション教材の開発と実践』(共編著、古今書院)、『地理教育論序説―地球的市民性の育成を目指して』(単著、二宮書店)、『トルコの見方―国際理解としての地誌』(単著、二宮書店)、『社会科教材の論点・争点と授業づくり7 “国際関係と平和”をめぐる論点・争点と授業づくり』(編著、明治図書)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する