現代民俗学考―郷土研究から世界常民学へ

現代民俗学考

郷土研究から世界常民学へ

  • 佐野賢治(編著)/2021年3月
  • 13000円(本体)/A5判上製1068頁
  • 装丁:桂川潤

「現代社会における民俗研究の意義」「仏教民俗研究の新視角」「“モノ”語り―民具・地域博物館・文化創生」「民俗比較と国際常民文化研究」の4分野、42編の論稿から成る、佐野賢治古稀・神奈川大学退職記念論集。
(ISBN 9784861107085)

目次|contents

まえがき―新時代の民俗学  佐野賢治 [pp.1-6]

Ⅰ 現代社会における民俗研究の意義
フレデリック・ルシーニュ   住民・地域社会による民俗学知識の自主的利用―「主体化」の理論と総合的現代民俗学の可能性[pp.19-44]
渡部鮎美   過疎・高齢化地域に住み続ける生活像の形成―新潟県十日町市松代・松之山地域の出稼ぎ者を事例に[pp.45-64]
高倉健一   ヘリテージツーリズムと聖地巡礼―観光スタイルの日中比較[pp.65-88]
鈴木英恵   次世代につながる獅子舞―復活と中断を繰り返す芸能の特徴[pp.89-114]
白井正子   地域をつなぐ成島八幡神社の継承と民俗―棟札の語る文化[pp.115-136]
會澤健裕   姉崎正治の“民間信仰”研究―「信夫山」と高山樗牛、鷹野弥三郎をめぐって[pp.137-158]
大友真希   民具と民藝をつなぐもの[pp.159-176]
藤川美代子   「よい石花菜」とは何か―台湾東北角におけるGelidiaceaeの採集・加工・売買をめぐる民族誌的研究[177-200]
小泉優莉菜   ポスト・キリシタン試論[pp.201-216]
サイモン・ジョン   日本における端午の節句―浜松まつりの事例からみる内外の対立[pp.217-240]

Ⅱ 仏教民俗研究の新視角
佐野賢治   “福田”考序説―日本的仏教受容の一側面[pp.243-272]
小村純江   現在の鎌倉地域における妙見―民俗学的視点から[pp.273-302]
西田英明   相模大山縁起成立の歴史的背景[pp.303-330]
大橋克已   佐久に遺る一遍の踊念仏―念仏儀礼の継承と変容[pp.331-358]
近石哲   禅宗篤信地域における民俗宗教序説―奥州市にみる御内法(隠し念仏)信仰の特徴と軌跡[pp.359-386]
大田黒司   天草における民俗信仰の諸相とその背景[pp.387-416]
小野寺佑紀   熊野灘沿岸における石経の習俗―尾鷲市須賀利の石経を事例として[pp.417-444]
古谷野洋子   沖縄県宮古地方のミロク信仰―ミロク御嶽の信仰と「沖縄ミロク会」の活動から[pp.445-466]
八田悠吏那   弥勒から「ミルク」―家神信仰の聖空間と韓国式仏教文化との関係について[pp.467-492]
根敦阿斯尓   チベット仏教におけるラマ僧の役割―フフホト市域の出家と継承の事例を中心に[pp.493-524]
英萄   内モンゴル牧畜地域におけるチベット仏教寺院について―通遼市ジャロード・ホショーを中心に[pp.525-550]
張曉林   チベット仏教美術タンカの現状―青海省同仁県を中心に[pp.551-578]

Ⅲ “モノ”語り―民具・地域博物館・文化創生
内山大介   会津鋸の生産と流通―鋸鍛冶と金物卸商の近現代[pp.561-602]
小椋裕樹   東北地方の木地製作用手引ろくろ―ユニークな構造の背景を探る[pp.603-628]
坂井美香   かちかち山考―昔話を民俗学的に読む、試論[pp.629-652]
市東真一   呪具としての団扇―唐招提寺うちわ撒きを事例に[pp.653-674]
對馬陽一郎   福島県只見地方の武術文書[pp.675-704]
萩谷良太   鹿島信仰と常総の地域社会―色川家の日記を通して[pp.705-730]
岡本夏実   地域博物館における民具収集―近年の事例より[pp.731-750]
磯本宏紀   地域の総合博物館における民俗展示と民俗学―博物館での隣接領域との接点と基盤[pp.751-768]
大西万知子   地域博物館と文化創生 戦争の記憶を語り継ぐ―記憶の場所としての広島平和記念資料館[pp.769-788]
阿部宇洋   農村文化研究所と佐野賢治―置賜に残したもの[pp.789-804]

Ⅳ 民俗比較と国際常民文化研究
蒋明超   薩摩の石敢當の中国伝来の可能性―倭寇や唐人町を中心に[pp.807-832]
余志清   「宗族再興」からみる中国少数民族の移住伝説と族譜―貴州省プイ族の事例を中心に[pp.833-852]
程亮   狐仙祭祀の普遍性と地域性―湖北省と東北・華北地方との比較を中心に[pp.853-880]
王海翠   豚頭供物に見る中国農村の民俗信仰―中国河北省邯鄲市唐荘村を中心に[pp.881-902]
白莉莉   文化の翻訳から文化の外訳へ―モンゴル族の祭祀文化の外訳を事例に[pp.903-920]
那仁畢力格   蒙古と漢族の合同祭儀[pp.921-932]
張高娃   モンゴル人と星の民間信仰―内モンゴルを中心として[pp.933-960]
ホビト   モンゴルの旧月名について―漢文資料・モンゴル占星術の古文書及び従来研究を中心に[pp.961-990]
鍋田尚子    ベトナム・フエ地域における陰暦一月九日の新年儀礼[pp.991-1016]
李德雨   在外韓国人の食文化の実在と比較民俗学的試論[pp.1017-1040]

あとがきにかえて―佐野ゼミ風景から  編集委員会

佐野賢治教授年譜・業績

執筆者紹介

編者|editor

佐野賢治(さの・けんじ)
一九五〇年静岡県生まれ、つくば市在住。東京教育大学文学部、筑波大学歴史人類学研究科修了後、愛知大学・筑波大学教員を経て現在、神奈川大学歴史民俗資料学研究科教授、(公財)農村文化研究所長、日本民具学会長、野外文化教育学会副会長を務め、比較民俗研究会を主宰。日本学術会議連携会員、文化庁文化財専門委員、神奈川大学日本常民文化研究所長、日本ユネスコ協会連盟未来遺産委員会委員などを歴任。編著書に、『虚空蔵菩薩信仰の研究』(吉川弘文館、一九九六)、『星の信仰』(渓水社、一九九四)、『現代民俗学入門』(吉川弘文館、一九九六)、『西南中国納西族・彝族の民俗文化』(勉誠出版、一九九九)、『ヒトから人へ』(春風社、二〇一一)、『宝は田から』(春風社、二〇一六)など。文学博士。

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カランヂル駅―ブラジル最大の刑務所における囚人たちの生態

カランヂル駅

ブラジル最大の刑務所における囚人たちの生態

  • ドラウジオ・ヴァレーラ(著)伊藤秋仁(訳)/2021年3月
  • 3600円(本体)/四六判並製362頁
  • 装丁:桂川潤

1992年10月2日、サンパウロのカランヂル刑務所にて、囚人111名が軍警察によって虐殺された。
この刑務所に勤務していた医師ドラウジオ・ヴァレーラによって描かれる、日々の出来事のスケッチである本書は、ブラジル国内でベストセラーとなり、映画化されカンヌ国際映画祭パルム・ドールにもノミネート。
暴力、麻薬、同性愛、エイズ、密造酒にとりまかれる、囚人たちのユーモラスな生の断片集。

(ISBN 9784861106958)

目次|contents

訳者まえがき

序章/カランヂル駅/大きな家/棟/房/太陽と月/週末/個別訪問/コカイン注射/講演会/ヒッタ・カヂラッキ/人質/初日/影響力/ビオトーニコ・フォントウラ/レプトスピラ症/天使か悪魔か/職員たち/羊の群れ/黄色/スプーンの上/悪党の敗北/悪だくみ/無為/万死/身代わり/折り紙付き/トラヴェスチ/冤罪/間男/パズル/サンタォン/気まぐれな運命/マリア=ロウカ/ミゲウ/一丁上がり/デウズデッチとマネ/母の愛/エデウソ/ルーラ/マルゴ・スエリ/シッコさん/総合調理場/再会/カザ・ヴェルヂのゼー/ネギーニョ/マンガ/ジェレミーアスさん/ヴェロニッキ/ネーゴ・プレット/目には目を/激情/セン=シャンシ/ヴァウドミーロさん/放蕩息子/火種/暴動/攻撃/残り火

訳者あとがき

著者|author

ドラウジオ・ヴァレーラ(Drauzio Varella)
一九四三年、サンパウロ市生まれ。腫瘍医。AIDS予防キャンペーンでメディアに登場、その後、医療ジャーナリストとしてニュース番組などに出演。コメンテーター、作家としても評価が高い。

訳者|translator

伊藤秋仁(いとう・あきひと) 
京都外国語大学ブラジルポルトガル語学科教授。専門はブラジル移民史。主な訳書にドラウジオ・ヴァレーラ(伊藤秋仁、フェリッペ・モッタ監訳)『移民の町サンパウロの子どもたち』(行路社、二〇一八年)、エドワード・E・テルズ(伊藤秋仁、富野幹雄訳)『ブラジルの人種的不平等』(明石書店、二〇一一年)。主な共著に、伊藤秋仁、住田育法、富野幹雄『ブラジル国家の形成』(晃洋書房、二〇一五年)。

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インド・剥き出しの世界

インド・剥き出しの世界

  • 田中雅一、石井美保、山本達也 (編)/2021年3月
  • 4800円(本体)/A5判並製456頁
  • 装丁:矢萩多聞

身体、暴力、国家――南アジア世界の〈闇〉とつながりへの希求
文化人類学者たちが〈剥き出しの生〉を現場から描いた、15章+6つのコラム。
人びとが日常的に、またさまざまな事件や事故を通じて文化的・社会的属性を剥奪されて生きざるをえない状況に注目しながらも、グローバルな観点を失うことなく、そこから南アジア世界の強靭な生活世界とその多様性について論じる。
「愛がなければ、無に等しい」(コリントの使徒への手紙13章)
(ISBN 9784861106651)

書評が『図書新聞』に掲載されました
書評が『文化人類学』に掲載されました
書評が『南アジア研究』に掲載されました
書評が『アジア・アフリカ地域研究』に掲載されました

 

目次|contents

序章 インド・剥き出しの世界にむけて(田中雅一)[pp.9-32]

第一部 人生とジェンダー
第1章 日常世界における被傷性―リプロダクションの管理としての人工妊娠中絶(松尾瑞穂)[pp.34-60]
第2章 子どもの生は誰が守るのか―バングラデシュの共同体の狭間で生きる子どもたち(南出和余)[pp.61-82]
第3章 〈剥き出しの生〉が媒介する共同性―スリランカの老人居住施設における老いと看取りの現場から考える(中村沙絵)[pp.83-105]
コラム 病死か自死か他殺か ―ネパール農村社会における死の受容と語りの揺らぎ(安念真衣子)[pp.106-110]
第4章 殺人という特権 ―パキスタンの名誉殺人(サイード・フォージア)(訳/和崎聖日)[pp.111-130]
コラム 守られる名誉、消費される名誉(須永恵美子)[pp.131-135]
第5章 女性への暴力、売春、デーヴァダーシー(田中雅一)[pp.137-163]
コラム 君の名は ―ヒジュラの受難、国家の混乱(山崎浩平)[pp.164-170]

第二部 集合的暴力と差別
第6章 「まなざし」を超えて ―「不可触民」をめぐる暴力の位相(舟橋健太)[pp.172-195]
コラム 階層間関係の不安定化 ―インド北部・スピティ渓谷の階層制リグ(中屋敷千尋)[pp.196-201]
第7章 流動化する暴力とヒンドゥー・ナショナリズム(石井美保)[pp.203-229]
第8章 災害復興と宗教的マイノリティ―二〇〇一年インド西部地震の事例より(金谷美和)[pp.231-257]
第9章 剥き出しの屠りと匿名的な屠畜者たち―現代ブータンにみる屠畜規制と拡大する放生実践(宮本万里)[pp.259-282]
第10章 ネパール・チトワンにおける森林伐採事件―例外状態としての森林と先住民チェパン(橘健一)[pp.283-308]
コラム カースト・カテゴリーの境界を生きるということ(岩谷彩子)[pp.309-316]

第三部 国家と紛争
第11章 戦争犯罪者をめぐる今日の歴史問題―バングラデシュの独立戦争と国際戦争犯罪法廷の裁判記録から(外川昌彦)[pp.318-342]
第12章 暴力と忘却 ―ネパール内戦下の生活と死者、強制失踪者(藤倉達郎)[pp.343-372]
第13章 かけがえのない死を悼む―内戦後のスリランカ東沿岸部タミル村落の事例から(菊池真理)[pp.373-396]
第14章 性暴力に抗して―メイテイ女性による「裸の抗議」(木村真希子)[pp.397-414]
第15章 暴力を目の前にした難民の苦境を考える―インド在住チベット難民と焼身自殺(山本達也)[pp.415-438]
コラム 踊り子たちの「結婚」事情(飯田玲子)[pp.439-443]

編者|editors

田中雅一(たなか・まさかず)
国際ファッション専門職大学国際ファッション学部教授。文化人類学、ジェンダー・セクシュアリティ研究。『誘惑する文化人類学』(世界思想社、2018年)、『南アジア社会を学ぶ人のために』(共編著、世界思想社、2010年)、『供犠世界の変貌―南アジアの歴史人類学』(法藏館、2002年)など。

石井美保(いしい・みほ)
京都大学人文科学研究所准教授。文化人類学。『文化人類学の思考法』(共編著、世界思想社、2019年)、『めぐりながれるものの人類学』(青土社、2019年)、『環世界の人類学―南インドにおける野生・近代・神霊祭祀』(京都大学学術出版会、2017年)など。

山本達也(やまもと・たつや)
静岡大学人文社会科学部准教授。文化人類学。『ようこそ南アジア世界へ』(共著、昭和堂、2020年)、Law and Democracy in Contemporary India: Constitution, Contact Zone, and Performing Rights(共編著、Palgrave Macmillan、2019年)、『舞台の上の難民—チベット難民芸能集団の民族誌』(法蔵館、2013年)など。

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現代中東における宗教・メディア・ネットワーク―イスラームのゆくえ

現代中東における宗教・メディア・ネットワーク

イスラームのゆくえ

  • 千葉悠志、安田慎(編)/2021年2月
  • 2800円(本体)/四六判並製248頁
  • 装丁:桂川潤

宗教の柔靭性を問う。
書物、映画、ラジオ、テレビ、インターネット、SNS、そして慈善団体、国際機構、法学者集団。情報化や宗教復興の只中にある中東のイスラームを「メディア」と「制度的ネットワーク」の視点から論じる、9章+コラム4編。

(ISBN 9784861107283)

目次|contents

序章  現代中東における宗教とレジリエンス―メディア社会への抵抗と適応(千葉悠志)[pp.5-22]

第1部 宗教とメディア
第1章  アラブ世界における出版技術の発展とクルアーンの刊本化(竹田敏之)[pp.25-52]
第2章  現代イスラーム改革の思想戦略と『現代のムスリム』誌―20世紀後半のアラブ思想界の深層を読む(黒田彩加)[pp.53-74]
コラム(1) 教科書と宗教教育(内田直義)[pp.75-77]
第3章  白い異邦人から真正なる巡礼者へ―ヨハン・ルードヴィヒ・ブルクハルトのマッカ巡礼経験をめぐる再帰性と超越性(安田慎)[pp.79-100]
第4章  「モラル装置」化する映画―エジプト・コメディ映画に描かれる「偽物のイスラーム」(勝畑冬実)[pp.101-121]
コラム(2) ラジオと知識人(相島葉月)[pp.123-125]
第5章  放送メディアとイスラーム―宗教的言説空間の拡大と変容(千葉悠志)[pp.127-144]
第6章  神の言葉を伝えるメディア―クルアーングッズからSNSまで(二ツ山達朗)[pp.145-163]
コラム(3) インターネット時代における宗教指導者と信徒(近藤洋平)[pp.165-167]

第2部 宗教と制度的ネットワーク
第7章  難民を救うイスラーム的NGO―イスラームに根ざす支え合いの仕組み(佐藤麻理絵)[pp.171-192]
第8章  イスラーム協力機構―宗教で結びつく国際関係(池端蕗子)[pp.193-211]
コラム(4) アズハル(相島葉月)[pp.213-215]
第9章  イスラーム金融を作る―法学者たちの静かなる革命(長岡慎介)[pp.217-236]

おわりに

編者|editors

千葉悠志(ちば・ゆうし)
公立小松大学国際文化交流学部准教授。中東地域研究、メディア研究、国際関係論。Media in the Middle East: Activism, Politics, and Culture(共著、Palgrave Macmillan、2017年)、『世界のメディア―グローバル時代における多様性』(共著、春風社、2018年)、『現代アラブ・メディア―越境するラジオから衛星テレビへ』(ナカニシヤ出版、2014年)など。

安田慎(やすだ・しん)
高崎経済大学地域政策学部准教授。中東地域研究、イスラーム地域研究、中東観光史。Religious Tourism in Asia: Tradition and Change through Case Studies and Narratives (共編著、CABI、2018年)、『イスラミック・ツーリズムの勃興―宗教の観光資源化』(ナカニシヤ出版、2016年)など。

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家族を生み出す―台湾をめぐる国際結婚の民族誌

家族を生み出す

台湾をめぐる国際結婚の民族誌

  • 横田祥子(著)/2021年2月
  • 3600円(本体)/四六判上製260頁
  • 装丁:中本那由子

仲介業者の斡旋により、台湾に住む男性に海外から嫁ぐ女性たち。

「人身売買」として非難もされる国際結婚が、どのような社会背景や仕組みのもとで成立しているのか、そして当事者たちは何を求めて結婚・移住に踏み切るのか。
移住先の台湾と移住元のインドネシアでのフィールドワークをもとに、結婚移民たちと家族の生を描く。

(ISBN 9784861107092)

目次|contents

序章

第Ⅰ部 再生産労働グローバル化時代の婚姻戦略
第1章  再生産労働・婚姻をめぐる従来研究の視座
第2章  台湾・新移民時代の到来
第3章  商業的な国際結婚の成立
第4章  再生産労働をめぐるアリーナとしての家族

第Ⅱ部 南洋から台湾へ・東南アジア系台湾人の誕生
第5章  結婚移民の結婚戦略
第6章  結婚移民と家族のその後

終章

参考文献
あとがき

著者|author

横田祥子(よこた・さちこ)

滋賀県立大学人間文化学部准教授。専門は社会人類学、地域研究。
主な業績に、「政治的な正しさの背後にかくれたローカルな論理によりそう――商業的国際結婚と家族」白石壮一郎・椎野若菜編『社会問題と出会う(FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ 7)』(古今書院、2017年)、「東南アジア系台湾人の誕生――五大エスニックグループ時代の台湾人像」『アジア遊学204 交錯する台湾認識――見え隠れする「国家」と「人びと」』(勉誠出版、2016年)、「インドネシア華人女性の国際結婚を通じた世帯保持――西カリマンタン州シンカワン市の事例から」(『華僑華人研究』13、2016年)など。

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〈障害者〉として社会に参加する―生涯学習施設で行うあらゆる人の才能を生かす試み

〈障害者〉として社会に参加する

生涯学習施設で行うあらゆる人の才能を生かす試み

  • 三谷雅純(著)/2021年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製304頁
  • 装丁:長田年伸

あらゆる人の社会参加とは?
さまざまな〈障害〉のある人たちが自らの才能を生かせるように、博物館などの生涯学習施設の活動、および緊急災害放送の改善策を実際的に検討。多様な個性を生かすことのできる社会の実現に向けた取り組みを、当事者の視点から提言する。
(ISBN 9784861107030)

目次|contents

まえがき
第1部 すべての人を迎える施設
第1章 障害のある子どもとの野外活動とテキスト作り
第2章 生涯学習施設で文章はどう書くべきか――コミュニケーション障害者への対応、子どもと高齢者とのギャップ克服
第3章 小規模作業所でコミュニケーション障害者にDAISYを試してもらう
第4章 言葉やコミュニケーションに障害を持つさまざまな人びとと対応策の現状
第5章 社会のひな形としての生涯学習施設――兵庫県立人と自然の博物館を例に挙げて達成していること/していないことを考える
コラム1 人びとを迎えるために――視覚障害者に対しては
第2部 ことばの認知が難しい人に緊急災害放送を届けるには
第6章 まず障害を自覚していない人に試してもらった肉声とフォルマント合成音声の聞きやすさ/聞きにくさ
第7章 障害者/非障害者にとっての肉声とフォルマント合成音声、波形接続型合成音声の聞きやすさ/聞きにくさ
コラム2 人びとを迎えるために――コミュニケーション障害者に対しては
第8章 言語音の認知が難しい聴覚失認者が理解しやすい災害放送とは?
第9章 聴覚失認者に認知しやすいチャイム音は存在するか――わざと言語音を避けて調べた
第3部 障害の進化、コミュニケーション行動の本質
第10章 聴覚失認者は何を手がかりに視聴覚材料を理解するのか
コラム3 ヒトの進化とスペクトラム
あとがき
用語解説
参考文献
文献初出一覧

著者|author

三谷雅純(みたに・まさずみ)
1954年生まれ。兵庫県立大学准教授/人と自然の博物館主任研究員をへて、現在、兵庫県立大学自然・環境科学研究所客員教授。京都大学理学部卒業。京都大学大学院(博士後期課程)修了。理学博士。専門は人類学、霊長類学、障害学。アフリカのコンゴ共和国とカメルーン、インドネシアなど、熱帯林の調査経験が長い。現在は障害者(自身が2級の重度障害者)になってはじめて見えてきた社会のユニバーサル化について積極的に考察している。著書に『ンドキの森』(どうぶつ社)、『ヒトは人のはじまり』(毎日新聞社)、『霊長類生態学』(京都大学学術出版会、共著)ほか多数。

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社会学的システム理論の軌跡―ソシオサイバネティクスとニクラス・ルーマン

社会学的システム理論の軌跡

ソシオサイバネティクスとニクラス・ルーマン

  • 赤堀三郎(著)/2021年2月
  • 3600円(本体)/四六判上製236頁
  • 装丁:長田年伸

システム理論を用いてこそ社会学ができる。
どういうロジックでそう言えるのか?
難解とされる理論を基層から掘り起こし、その可能性と魅力を明快に示す。

(ISBN 9784861107207)

目次|contents

はしがき
第Ⅰ部 社会学的システム理論
第1章 システム理論は社会学的でありうるか
第2章 システム理論の社会学化―ニクラス・ルーマンによる試みの概観
第Ⅱ部 社会学的システム理論の源流
第3章 戦後アメリカにおけるサイバネティクスと社会学
第4章 社会システム理論における自己言及パラダイムの由来
第5章 コミュニケーションの自己言及性とオートポイエーシス
第Ⅲ部 社会学的システム理論のロジック
第6章 社会システムという観察者―構造的カップリングとセカンド・オーダーの観察
第7章 社会の進化はどうシステム理論と関連するか
第8章 コミュニケーション・コード
第9章 社会の自己記述―そのシステム理論的含意
終章 理解の「ありそうもなさ」の克服のために
あとがき
初出一覧
文献一覧

著者|author

赤堀三郎(あかほり・さぶろう)
1971年生まれ。東京女子大学現代教養学部教授。専門:社会学理論,現代社会論,社会学史(特に社会学におけるシステム理論)。主要著作:『グローバル社会の変容』(分担執筆,晃洋書房,2020年),『嗜好品の社会学』(分担執筆,東京大学出版会,2020年),Social Theory and Asian Dialogues(分担執筆,Palgrave Macmillan, 2018年),Handbook of Systems Sciences(分担執筆,Springer, 2021年)。訳書:ニクラス・ルーマン『社会の社会』(共訳,法政大学出版局,2009年),同『社会構造とゼマンティク2』(共訳,法政大学出版局,2013年),同『社会構造とゼマンティク3』(共訳,法政大学出版局,2013年)。

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制服ガールの総力戦―イギリスの「女の子」の戦時貢献

制服ガールの総力戦

イギリスの「女の子」の戦時貢献

  • 杉村使乃(著)/2021年3月
  • 3200円(本体)/四六判並製234頁
  • 装丁:矢萩多聞

女性は戦争にどのように関わったのか?
制服の女性は戦時下のメディアでどのように取り上げられたのか?

第二次世界大戦時の制服姿の女性を通して、「女性活躍」の表象を読み解く。

(ISBN 9784861106033)

目次|contents

はじめに
第Ⅰ部 成長する女の子の時代(Girls Growing Up)―二〇世紀初頭のイギリス
第1章 「私たちもスカウトになれますよね……」―元祖制服ガール、ガールガイド運動
第2章 雑誌『ガールズ・オウン・ペーパー』に見る戦間期イギリスの「ガール」の表象
第3章 第一次世界大戦と女性の「大義」―レイ・ストレイチーの『大義』とヴァージニア・ウルフの『3ギニー』
第Ⅱ部 第二次世界大戦下の制服のガールたち

第1章 イギリスにおける女たちの銃後
第2章 写真週刊誌『ピクチャー・ポスト』の制服のカバーガールたち
第3章 女性誌に見る制服のカバーガール
第4章 フィクションに見る制服ガールの冒険―「空軍婦人補助隊のウォーラルズ」(Worrals of the W.A.A.F.’s)シリーズ
おわりに ジェンダーと階級を越境する制服ガールたち

著者|author

杉村使乃(すぎむら・しの))

共立女子大学文芸学部文芸学科教授。専門はイギリス文学、英米児童文学、表象文化論。

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親子とは何か―ナイジェリア・ハウサ社会における「里親養育」の民族誌

親子とは何か

ナイジェリア・ハウサ社会における「里親養育」の民族誌

  • 梅津綾子(著)/2021年2月
  • 4100円(本体)/A5判上製330頁
  • 装丁:中本那由子

「生んで育てる」はあたりまえなのか?
「生みの親」と「育ての親」が分担して一人の子供を育てる慣行がある、ナイジェリアのハウサ社会。その慣行を可能にしている社会の仕組みや、それぞれの「親」と「子」がお互いに何を感じ、何をやり取りしているのかについてフィールドワークを行い、「親子」の多彩なつながりの可能性を、「分人」などのキーワードを手がかりに探る。

(ISBN 9784861107238)

目次|contents

まえがき  
凡例
調査地の主な人物紹介  

序章 里親養育・養子縁組をめぐる親子論
第1章 ハウサ社会の日常生活と家族―ザリア地域を中心に
第2章 ハウサの子の引き取り慣行、リコ 
第3章 子育て期の育親と〈子〉そして生親
第4章 結婚した〈子〉、育親、生親の関係
第5章 育親の「親」としての弱さと強さ 
終章 ハウサの親子観から親子を考える 

あとがき
謝辞
引用文献
付表
索引

著者|author

梅津綾子(うめつ・あやこ)
専門は文化人類学、アフリカ研究。南山大学人類学研究所・非常勤研究員。
「出生と養育に基づく複数的・多元的親子関係―ナイジェリア北部・ハウサ社会に
おける『里親養育』の民族誌から」(名古屋大学大学院文学研究科 博士論文、二〇
一五年)、「複数の両親による子育て―北部ナイジェリア、ハウサ社会の里親養育
(リコ)の事例より」(『アジア・アフリカ地域研究』第一四巻一号、二〇一四年)、「現代ナイジェリアの〝里親養育〟に見る親子のあり方―生みの親・育ての親と子の長期的共存関係」(『比較家族史研究』二六号、二〇一二年)。

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持続可能な開発における〈文化〉の居場所―「誰一人取り残さない」開発への応答

持続可能な開発における〈文化〉の居場所

「誰一人取り残さない」開発への応答

  • 関根久雄(編)/2021年1月
  • 3500円(本体)/四六判並製368頁
  • 装丁:中島衣美

SDGsにおいて経済・社会・環境は語られる一方で、文化は見過ごされてきたのではないか?
「持続可能な開発」に、地域社会の文化や文化的多様性はいかにして結びつく・結びつけられるべきなのか。開発の理念・思想と各国の現場の実際を、開発学・人類学・教育学・社会学の観点から多角的に検討することで、議論の足がかりを探る。

(ISBN 9784861107115)

目次|contents

はじめに [pp.7-28]
第Ⅰ部 開発・SDGs・文化―その関係性の再考
第1章  斎藤文彦 一〇年後の地球に人類はまだ生きているか?―資本主義経済から社会連帯経済への転換の可能性[pp.31-50]
第2章  真崎克彦 文化的多様性を尊重したSDGsのあり方とは?―脱成長論の科学的方法論を手がかりに考える[pp.51-70]
第3章  野田真里 SDGsとNGO/市民社会―「誰一人取り残さない」ボトムアップの社会変革と「包摂的な文化」にむけて[pp.71-90]
第4章  北村友人・荻巣崇世・芦田明美 SDGs時代における「学び」のあり方を「文化」の視点から捉え直す[pp.91-114]
第5章  下田恭美 「開発」と「文化」を超えて―SDGs時代に求められる開発プラクティス[pp.115-139]

第Ⅱ部 地域文化と接続可能な開発実践―文化の視点から持続可能な開発の姿を読み解く
第6章  関根久雄 サブシステンスと持続可能な開発―ソロモン諸島におけるSDGsをみる視点[pp.143-164]
第7章  井上真 熱帯林保護地域管理への住民参加―ボルネオ島中央部の事例より[pp.165-189]
第8章  箕曲在弘 コーヒー生産地域における搾取的状況と「文化」―ラオス南部ボーラヴェーン高原におけるフェアトレードコーヒーの事例から[pp.191-216]
第9章  西川芳昭 食料・農業のための生物多様性の文化的価値―作物と人の関係から読み解く持続可能な食と農・農村[pp.217-238]
第10章  川口純 持続可能な開発のための教育の理念と実態―国際教育協力における「文化の居場所」について[pp.239-260]
第11章  菅野美佐子 インド農村におけるSDGsとジェンダーをめぐる文化的位相―開発による変化からの日常の回復と持続[pp.261-284]
第12章  白川千尋 保健医療分野のSDGsと文化―目標三および東南アジア・オセアニアのマラリア対策活動をめぐって[pp.285-305]
第13章  早川公 地方創生は持続可能なまちづくりの夢を見るか?―「SDGs未来都市つくば」を事例として[pp.307-332]
第14章  朱藝 持続可能な企業文化とは―海外日系企業を事例に[pp.333-356]

おわりに
執筆者紹介

編者|editor

関根久雄(せきね・ひさお)
1962年生。筑波大学人文社会系教授。専門は文化人類学、開発人類学、オセアニア島嶼地域研究。主な著作に、『地域的近代を生きるソロモン諸島―紛争・開発・「自律的依存」』(筑波大学出版会、2015年)、『実践と感情―開発人類学の新展開』(編著、春風社、2015年)、『グローバル化する〈正義〉の人類学―国際社会における法形成とローカリティ』(共著、昭和堂、2019年)など。

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