刺青墨譜―なぜ刺青と生きるか

刺青墨譜

なぜ刺青と生きるか

  • 斎藤卓志/2005年10月
  • 2800円(本体)/四六判上製・296頁

刺青に魅せられた著者が、聞き書きにより刺青の存在論的意義を明らかにする。刺青を入れている者、彫師へのインタビューは圧巻。刺青の文化史的・社会的背景をも浮き彫りにする。写真多数掲載。谷川健一氏、推薦。
(ISBN 4861100534)

推薦

刺青の現場からの生まの声を集約し、刺青の体験者の苦痛とよろこびは、殉教者の法悦境を思わせるものがあることを訴えるユニークな文化史論集。(谷川健一/民俗学者)

目次|indexs

序 刺青の民俗史
第一章 欲望する人間
初めてのタトゥー/彫ることへの好奇心/派手な人はやらない/アートになった刺青/見る、見せる/なぜ、今「刺青」なのか
第二章 刺青の現場
背中の刺青/皮膚の下の声/ヘビの出ているひと/刺青が大好き/花観音
第三章 刺青のかたち
刺青は点からできている/メカニズムは不明/彫場で音を聞く/イカ墨も墨か/彫師も迷う「刺青」と「タトゥー」/タトゥーサミット/薄墨ぼかしの発見/色と筋/浮世絵との関係/墨刑とは何か/関東と関西の違い/刺青の標本/ほんものの凄み/ヤクザの刺青/彫師への信頼感/構図の難題/刺青道具屋/谷崎潤一郎から金原ひとみまで/リメイク
第四章 刺青文化を探る
顔の刺青/柳田国男の見た針突/奄美・沖縄の入墨「針突」/島唄の中の針突/アイヌの入墨「パシュ」/川並と仕事師の話
第五章 彫師の「場」
文明開化と刺青/二足の草鞋/京都御幸町のタトゥーショップ/彫師から見た刺青/「彫場」から──三代目彫よし
第六章 内なる世界
痛みより魅力/オブセッション/拠りどころ/背負ってゆくもの/おわりに
あとがき
参考文献

著者|author

斎藤卓志(さいとう・たくし)
一九四八年、愛知県生まれ。中京大学法学部法律学科、佛教大学文学部史学科(通信)卒。会社勤務、安城市歴史博物館学芸員、市史編纂室長などを経て総務部。
著書に『刺青 TATTOO』(岩田書院)、『稲作灌漑の伝承』(堺屋図書)。編著に『葬送儀礼と祖先霊』(光出版)、『職人ひとつばなし』(岩田書院)。その他、『愛知県史』『安城市史』『多度町史』など分担執筆。

担当編集者から

刺青に興味を持たない人間にとって、刺青をしている人の気持ちというのはなかなか分かりにくい。斎藤氏は、聞き書きという手法によって、その辺のところを丁寧に掘り下げ記述していく。著者の案内にしたがい読み進むうちに、刺青をする人の気持ちがだんだんと見えてくる。というよりも、いままで蚊帳の外だったはずの刺青が次第に親しいものに感じられ、「刺青」という形はたとえとらなくても、そこへ向かうこころの志向性は誰にとっても了解可能と思えてくる。この本は、「刺青」という一見特殊なテーマを扱いながら、だれもそこから逃れられない「生きている不思議」について解き明かし普遍へ至ろうとする労作だと思う。
撮影のために伊勢佐木町から来社された姉妹が、撮影終了後の打ち上げで、「刺青が偏見なく見てもらえるようになったらありがたい」と言ったのが耳に残っている。[-三浦-]

 

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日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム―リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦

日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム

リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦

  • 水野剛也/2005年9月
  • 4600円(本体)/A5判変形・420頁

アメリカ史上最大の「失政」とされる事件、しかし当時のマスコミは充分に真実を伝え切れていなかった―史料の綿密な検討から明るみに出される、権力と報道との関係。ジャーナリズムの根幹を問う、実証研究の精華!
(ISBN 4861100380)

目次|indexs

第一部 ● 研究の基本的手続き
第一章 ◎ 本書の目的、意義、および方法
第一節 ● 問題の背景と本書の目的
第二節 ● 本書の意義と研究対象
第三節 ● 研究方法、用語の問題、および注の略語
第二章 ◎ 先行研究レヴュー 日系人強制立ち退き・収容とアメリカのジャーナリズム
第一節 ● アメリカの主流派ジャーナリズムと日系人強制立ち退き・収容
第二節 ● リベラル派雑誌・日本語新聞と日系人強制立ち退き・収容
第二部 ● リベラル派雑誌
はじめに 番犬理論
第三章 ◎『ニュー・リパブリック』 日系人擁護と「国益」とのはざまで
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後
第三節 ● 日系人強制立ち退き・収容
第四章 ◎『ネーション』 相対主義リベラルの葛藤
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後
第三節 ● 戦時下における個人の自由と「国益」をめぐる論争
第四節 ● 日系人強制立ち退き・収容
第三部 ● 日本語新聞
はじめに 移民エスニック・ジャーナリズム理論
第五章 ◎『ユタ日報』「二つの祖国」の間で揺れた日本語新聞
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後から一時発行停止
第三節 ● 発行再開から日系人強制立ち退き・収容
第六章 ◎『日米』 親日ナショナリストの豹変と挫折
第一節 ● 一九四一年
第二節 ● 日米開戦直後から一時発行停止
第三節 ● 発行再開から日系人強制立ち退き・収容
第四節 ● 発行継続をめぐる政府との交渉とその失敗
第四部 ● 結論
終章 戦時の制約と「国益」とジャーナリズム
あとがき 謝辞にかえて
索引

著者|author

水野剛也(みずの・たけや)
1970年、東京生まれ。東洋大学教授。2000年、アメリカ・ミズーリ州立大学、スクール・オブ・ジャーナリズム博士課程修了。

担当編集者から

誠実な史料の読みから着実に論を積み上げてゆく歴史研究の鑑のような原稿。
第二次大戦中に日本人が強制収容所に入れられていた事実すら知らなかったが、それをめぐるメディアの論調が、徐々に否応なしに政府の政策の容認・追従へと傾いていく怖さ。
「アメリカ」っぽさを出そうと造本にこだわった。独特の白い本文用紙、変型判、口絵+トビラ。うーん、かっこいいぜ、と自画自賛! 手にとって眺めてみてください。デザイナーは矢萩多聞。[-内藤-]

 

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ナショナリズムと宗教―現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動

ナショナリズムと宗教

現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動

  • 中島岳志/2005年8月
  • 3619円(本体)/四六判上製・384頁

ナショナリストとは誰か? インド国内メディアでさえ取材の難しい過激な宗教ナショナリズム運動の内部深く入り、その活動実態と理念を明らかにする。『中村屋のボース』で話題の著者による新しい民族誌!
第一回南アジア学会賞受賞
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100488)

目次|indexs

はじめに
第一章 公共圏・ナショナリズム・宗教
はじめに
第一節 公共圏と宗教
世俗化パラダイムの脱構築/公共圏における善と正義/公共圏とサバルタン
第二節 ナショナリズムと宗教
近代主義的ナショナリズム論/「宗教ナショナリズム」論/ナショナリズム運動と主体
第二章 ヒンドゥー・ナショナリズムの歴史
はじめに
第一節 ヒンドゥーの近代
「ヒンドゥー」の近代的客体化と植民地支配/インド独立運動のなかのヒンドゥー・ナショナリズム/ポスト植民地社会としての現代インド
第二節 ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
インディラ・ガンディー政権と国民統合(一九八〇―一九八四)/ラジーヴ・ガンディー政権のポピュリズムと政治腐敗(一九八四―一九八九)/ジャナタ・ダル政権とアイデンティティ・ポリティクス(一九八九―一九九一)/ラオ政権から統一戦線政権へ(一九九一―一九九八)/BJP政権の成立(一九九八―二〇〇四)
第三章 ヒンドゥー・ナショナリズム運動の組織と理念
はじめに
第一節 ヒンドゥー・ナショナリズム運動の組織
RSSの組織形態/サング・パリワール
第二節 ヒンドゥー・ナショナリストの理念
ヒンドゥーとは誰か?/有機体的国家としての「ヒンドゥー・ラーシュトラ」/「真のセキュラリズム」論/サンスクリット語による国民統合/カーストとトライブ
第四章 身体のポリティクス
はじめに
第一節 シャーカー
シャーカーの活動内容/国民規範としてのダルマ
第二節 国民的身体の形成
身体の客体化と自己統御/時間・空間・制服/整列・行進・スポーツ・ヨーガ
第三節 現場リーダーによる表象
神話の流用/母なる大地と国民国家の領土
第四節 参加者の主体
ニューデリーにおける四つの事例/上層・中間層のシャーカー/下層民のシャーカー
第五章 サバルタン的公共性とヒンドゥー・ナショナリズム
はじめに
第一節 社会奉仕活動と国民統合
セワー・バーラティの活動概要/セワー・バーラティの理念
第二節 スラム街におけるヒンドゥー・ナショナリストの活動
ニューデリーK町のスラム街/セワー・バーラティの教育活動/ダルマに生きる
第三節 民衆のエージェンシーとヒンドゥー・ナショナリズム
ヒンドゥー・ナショナリズムを飼い馴らす/共鳴するダルマ/ヒンドゥー復興とヒンドゥー・ナショナリズムの狭間
第六章 ヒンドゥー・ナショナリズムと暴力
はじめに
第一節 バジュラング・ダル
構成員/シャクティとバクティ
第二節 政治集会・デモ・ヤートラー
事例の概要/主催者の意図、参加者の主体
第三節 主体・逸脱・暴力
パフォーマンスのアリーナ/暴力とレジティマシー
おわりに
参考文献

著者|author

中島岳志(なかじま・たけし)
1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学(ヒンディー語専攻)卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。学術博士(地域研究)。博士論文で第三回アジア太平洋研究賞受賞。京都大学人文科学研究所研修員、日本学術振興会特別研究員。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)、『ヒンドゥー・ナショナリズム 印パ緊張の背景』(中公新書ラクレ)。

担当編集者から

骨太なナショナリズム研究書。基になった論文は第三回アジア太平洋研究賞を受賞している。だが、単なる学術書に止まらないのは、中島氏がインドの人びとと真正面から対峙してきたからだろう。校正校閲を通じ、そのことが伝わってくる。
ブックデザインは矢萩多聞氏。各章トビラ裏に写真をふんだんに使い、読みやすい組を考えてくれた。装丁にはヒンドゥー・ナショナリズムに参加する民衆の渇望感、不安を象徴する一枚を。
『中村屋のボース』と並び、間違いなく著者の主著になるであろう一冊。[-長田-]

 

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アメリカ-コミュニケーション研究の源流

アメリカ-コミュニケーション研究の源流

  • E・デニス、E・ウォーテラ編著 伊達康博・藤山新他訳/2005年7月
  • 4286円(本体)/A5判・284頁

マスコミ研究の源流をヨーロッパに求め、それがアメリカに定着、発展した過程を具体的な研究を通して考証。各流派とそこにかかわった人々を丹念にたどりながら、コミュニケーション研究の歴史を概観する。
日本図書館協会選定図書
(4861100240)

目次|indexs

まえがき
第1部 学派とその思想
第1章 ヨーロッパにおける研究のルーツ
第2章 シカゴ学派とマス・コミュニケーション研究
第3章 1950年代のイェール大学におけるコミュニケーションと態度変容研究プログラム
第4章 コロンビア大学における普及研究
第5章 子どもたちとテレビ
第6章 社会制度としてのプレス
第2部 当時の研究を知る人々の証言
第7章 レイティング(聴取率・視聴率)調査の確立と発展―ラジオからケーブルテレビまで
第8章 スタントン、ラザースフェルド、そしてマートン―コミュニケーション研究のパイオニアたち
第9章 フランク・スタントンとの対話
第10章 優れた先達
第11章 力の道具としてのコミュニケーション研究
第12章 公共政策への取り組み
第3部 再評価
第13章 北米コミュニケーション研究における学史的研究の構築
第14章 再考されていく歴史
コミュニケーション研究に貢献した65人についてのバイオグラフィー的スケッチ
協力者・編者の略歴
参考文献
訳者あとがき
索引

訳者|translator

伊達康博(だて・やすひろ)
東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程。
藤山新(ふじやま・しん)
日本写真芸術専門学校講師。

 

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マリー・ダグー―19世紀フランス伯爵夫人の孤独と熱情

マリー・ダグー

19世紀フランス伯爵夫人の孤独と熱情

  • 坂本千代/2005年6月
  • 2200円(本体)/四六判上製・208頁

夫と子がありながら音楽家リストと恋に落ち、やがて破局。ダニエル・ステルンとして『一八四八年革命史』を記し歴史に名を残す。激動のヨーロッパを駆け抜けたマリー・ダグーの波瀾に満ちた生涯を、スピード感溢れる筆致で描く!
日本図書館協会選定図書
(4861100429)

目次|indexs

まえがき
|序章| ふたつの文化のはざまで
第一部 ロマン主義者の恋
|第一章| リスト登場
|第二章| 巡礼時代の始まり
|第三章| イタリアの旅
第二部 ダニエル・ステルンと二月革命
|第一章| ダニエル・ステルン誕生
|第二章| 二月革命中のマリー
|第三章| 『一八四八年革命史』
|終章| 第二帝政下のパリで
あとがき
参考文献
索引

著者|author

坂本千代(さかもと・ちよ)
東京大学大学院博士課程仏語仏文学専門課程中退。文学博士(リヨン第2大学)。現在、神戸大学国際文化学部教授。
主著にInterprétations romantiques de Jeanne d’Arc(Presses Universitaires du Septentrion、1997年)、『ジョルジュ・サンド』(清水書院、1997年)、『愛と革命―ジョルジュ・サンド伝』(筑摩書房、1992年)、『ジョルジュ・サンドの世界』(共著、第三書房、2003年)など。

担当編集者から

私事で恐縮だが、この本の製作上まさに佳境の4月末、わたしは愚かにも鎖骨を折ってしまった。校正・校閲は終っていたとはいうものの、著者の坂本先生、スタッフの長田君には多大な迷惑をかけた。連休も返上し頑張ってくれているあいだ、わたしはといえば家で痛みに堪えながらしょぼくれていた。ともかく、立派な本に仕上がってうれしい。[-三浦-]

 

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精霊の子供―コモロ諸島における憑依の民族誌

精霊の子供

コモロ諸島における憑依の民族誌

  • 花渕馨也/2005年3月
  • 6476円(本体)/A5判上製・434頁

「私は私でない」― インド洋西端に浮かぶコモロ諸島。そこで繰り広げられる憑依儀礼は自他の区別を融解し、もう一つの「現実」を作り上げる。精緻な民族誌が明かす精霊世界。
日本図書館協会選定図書
(4861100313)

目次|indexs

はじめに
序章 問いの射程

憑依の奇妙さ
人類学の憑依研究
視点と方法
フィールドワークの足跡
第一章 ファティマの島
ファティマ
インド洋の交差点
植民地化と独立以後
ニュマシュワ村の生活
精霊憑依の流通と変化
第二章 日常と憑依
精霊憑依の知識
信念と実践
女性の社会的身体
イスラムのとり込み
境界侵犯と革新
第三章 精霊の出自
両義的存在
精霊の種族
分布と拡散
親族と社会
個としての精霊
パラレル・ワールド
第四章 病気と負債
病気から憑依へ
症状と文脈
神、呪術、精霊
憑依治療儀礼の過程
二重のイニシエーション
三つの語り口
第五章 共生関係
ファティマとサリム・アベディ
共生関係
分離と統合
ダダの託宣
シェトァニを祓う
同調と辻褄合わせ
第六章 三つのマウ
共生社会の構図と欲望
マウの制裁
サリム・アベディのマウ―夫婦喧嘩の顛末
シディ・マリのマウ―疎遠にされたジニの嘆き
ルヒ・ブン・スビヤニのマウ―最後の調停
揺れ動く主体/コンテクスト
終章 憑依というふるまい
精霊として生きる
「ふり」と「ふるまい」
憑依のあそび
あとがき
参考文献

著者|author

花渕馨也(はなぶち・けいや)
1967年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。文化人類学専攻。現在、北海道医療大学看護福祉学部勤務。

担当編集者から

文章の校正校閲はもちろん、著者とじっくり話し合い、本のディレクションを決めることも編集。小社から刊行されている『癒しと呪いの人類学』『「精霊の仕業」と「人の仕業」』はどちらも全頁写真入りの民族誌。そこにつらなるラインナップということで、ビジュアル面も豊かにしたい! そこで提案。各章トビラ裏に口絵のようなかたちで現地の写真を入れてはどうか。これがツボに嵌まった。ブックデザインは天才矢萩多聞。口絵のアイデアを伝えると賛同し、文章を引き立てるかっこいいデザインに仕上げてくれた。一人でも多くの人に手にとって欲しいと願う。
本づくりに携わる人たちの関係が「本」に収斂していくことをまざまざと感じた一冊。[-長田-]

 

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友縁の旅びと―すべては今から始まる 

友縁の旅びと

すべては今から始まる

  • 原田勝弘先生退職記念文集編集委員会/2005年3月
  • 3800円(本体) /四六判・469頁

明治学院大学社会学部でゼミナールを担当して以来(1967年度生から2002年度生まで)のゼミの卒業生と現役生を中心に、関係者たちが寄稿した原稿やゼミ雑誌『フェルケール』の一部などをまとめた退職記念文集。
(ISBN486110033X)

目次|indexs

はじめに
原田ゼミの三五年
卒業論文タイトル一覧
交流の思い出
『フェルケール』のことばから
協力者寄せ書きから
編集後記

 

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〔品切重版未定〕

にぎわい文化と地域ビジネス

にぎわい文化と地域ビジネス

  • 相原憲一/2004年11月
  • 1800円(本体)/A5判・298頁

ばか者(瞬発力)、わか者(柔軟性)、よそ者(多様性)によるオンリーワンの地域づくり!衰退化傾向にある地域を新機軸で蘇らせる。行政に頼らず、地元の人たちが知恵を出し合うことで「にぎわい」を創出し、持続する地域ビジネスを成功させた先進的事例を紹介・分析する。
(ISBN 4861100216)

目次|indexs

第一章 地域のにぎわい―その創出と持続
第二章 地域ビジネスへの展開―知恵を活かす
第三章 住民の知恵が地域ビジネスを生む

[富士川]
型破りのサービスエリア
「富士川楽座」誕生物語…森佑司
[天竜熊地区]
かあさんたちの村おこしから始まった「くんま」の挑戦…大平展子
[常滑]
住む人・働く人・訪れる人が手をたずさえる「やきもの散歩道」…山本幸治
[足助]
わが町を知ることで実現した「中馬のおひなさん」…佐久間章郎
[飛馬古川]
「匠」の心がいきづく町…森下純雄
[長浜]
長浜らしさを捨て、「黒壁ガラス文化」でにぎわいを取り戻す!…笠原司郎
第四章 奥浜名にぎわい塾
三ヶ日の明日を拓く人づくりとエコパーク構想…相原憲一
地産・地消農業へ向けて…清水理
食文化がつくる地域のにぎわい…米屋武文
山里の歴史を歩く 環竜ヶ石山構想…小野寺秀和

著者|author

相原憲一(あいはら・けんいち)
名古屋商科大学教授。ソフィアネットワーク研究所代表取締役。横浜生まれ。静岡県三ヶ日在住。早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。
主要著書:『ソーシングイノベーション』(共著、日科技連、2003年)、『情報技術を活かす組織能力』(共編著、中央経済社、2004)など。

担当編集者から

住む人が生き生きと暮らせる地域を自分たちでつくりあげていくのが、本当の町づくりだ。行政の建前論・理想論には、地域を元気づける力がない。住む人たちが模索しながら、楽しみながら、来訪者の刺激を受けながら、真に自分たちの町らしいにぎわいをつくった地域が現にある。
ある地域では伝統に磨きをかけた。ある地域ではこれまでの実績を白紙に戻し、まったく新しい町のあり方を探り出した。人まねでない町づくりは、そこに住む人がどんな場所にしたいか、どんな暮らしをしたいのかを考えることから始まる。町づくりは人づくりともいえる。
本書には、成功例とそこにいたるさまざまな経緯が記されている。参考にすべき点が多いはず。 [-山岸-]

 

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「郊外」復興―“緑の海”の住空間 サバービア文化論

「郊外」復興

“緑の海”の住空間 サバービア文化論

  • 山田利一/2004年6月
  • 1800円(本体)/四六判・200頁

快適生活の再生へ― 住空間としての「郊外」を「文化」の視点で考察するユニークな文化論。欧米、日本の住宅、郊外事情を歴史的にたどり、望ましい住環境の姿を追求する。現状への一つの提案でもある。
(ISBN 4861100135)

目次|indexs

第一章 言葉と背景
日本語
英語
第二章 サバービアの歴史
メソポタミアとヨーロッパ大陸
マナーハウス
サバービアの誕生
第三章 アメリカのサバービア
歴史
郊外と不倫
天国と地獄
第四章 ユートピア思想と田園都市
第五章 日本の郊外

江戸から東京へ
山の手と郊外
第六章 「生れてはみたけれど」と郊外
小津安二郎
蒲田
郊外の戦前と戦後
第七章 田園都市掛川
田園都市
産業
文化とレジャー

著者|author

山田利一(やまだ・としかず)
文学博士・アメリカ文学専攻。日本工業大学教授。
著書に『John Updike and Pennsylvania Dutch Country』(金星堂)。

担当編集者から

ハコのなかに住んで、ひたすら働き蜂の生活を送ってきたが、このところ、身の回りをちっとは見渡すようになった。部屋の掃除をし、そこらにちらばった物(ぶつ)の整理整頓をして少しはすっきりする。
さてと一歩外へ出ると、街は何と混みあっていることよ。確かに便利な日常生活は一通り確保されているものの、この息苦しい空間はどうしようもない。
本書は、そう思っている、とくに都会生活の人に、ひとつの視点を提示している。快適な住空間はつまるところ、ほどよいバランスをどう確保するかで保障される。人口に見合った農・産業、インフラ、文化・娯楽施設、商店、病院、学校…などが過不足なく整備されなければならない。いわれてみれば当然のことであるが、現実とのギャップはあまりにも大きい。
郊外は都市を取り巻く住宅地を意味し、豊かな緑に囲まれたその集合体、巨大な住空間をサバービアというのだが、日本にはそんなところなどないように思える。本書の紹介する静岡県掛川市は、こうした町づくりをいち早く進めている。日本のサバービアの数少ないサンプルと注目されている。
下町住まいの著者の歯切れよく直截な文章は、一気に読ませるリズムがある。[-堀田-]

 

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「観光のまなざし」の転回―越境する観光学

「観光のまなざし」の転回

越境する観光学

  • 遠藤英樹・堀野正人 編著/2004年5月
  • 2381円(本体)/A5判・250頁

旅先で私たちは何を見るのか? 世界的にますます盛んになる「観光」について、歴史、リゾート論、まちづくり論、メディアとのかかわり、国立公園、内地観光団、チャイナタウン、ジェンダー、宗教、香港・インドの事例など、多様なキーワードで論じる「観光社会学」入門!
(ISBN 4861100097)

目次|indexs

01章 観光の理論的探究をめぐる観光まなざし論の意義と限界
02章 自然観光における観光のまなざしの生成と発展
03章 創出された「観光地」―鞆の浦、二見ヶ浦にみる海景名所の近代
04章 観光客のまなざしと近代リゾート
05章 観光空間・知覚・メディアをめぐる新たな社会理論への転回
06章 観光のまなざしと現代チャイナタウンの再構築
07章 地域と観光のまなざし―「まちづくり観光」論に欠ける視点
08章 「観光」へのまなざし―日本統治下南洋群島における内地観光団をめぐって
09章 ホームステイにおける異文化のまなざし―金沢の事例から
10章 ツーリズム・プロダクトとジェンダー
11章 宗教体験と観光―聖地におけるまなざしの交錯
12章 香港における観光のまなざし―その歴史と現在に関するノート
13章 越境する<観光>―グローバル化とポスト・モダン化における観光

編者|editor

遠藤英樹(えんどう・ひでき)
奈良県立大学地域創造学部助教授。
訳書にM・Mゴードン著『アメリカンライフにおける同化理論の諸相』(晃洋書房、共訳)ほか。
堀野正人(ほりの・まさと)
奈良県立大学地域創造学部助教授。
共編著に『現代観光へのアプローチ』(白桃書房)など

著者|author

安村克己—01章
(奈良県立大学地域創造学部教授)
西田正憲—02章
(同上)
川島智生—03章
(神戸女学院大学非常勤講師)
神田孝治—04章
(大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程)
大橋健一—06章
(立教大学観光学部教授)
千住一—08章
(立教大学大学院観光学研究科博士課程後期課程)
山口隆子—09章
(神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程前期課程)
安福恵美子—10章
(平安女学院大学現代文化学部教授)
中谷哲弥—11章
(奈良県立大学地域創造学部助教授)
芹澤知広—12章
(奈良大学社会学部助教授)
須藤廣—13章
(北九州市立大学文学部教授)

担当編集者から

他者とは知覚野の構造である、と哲学者は言う。

「他者のもたらす第一の効果、それは、私が知覚するあらゆる客体、私が思考するあらゆる観念の周囲に、余白の世界、マフ状にそれを取り巻く世界、「地」をつくりだしてくれることにある。そのおかげで別の客対、別の観念は次から次へと移り、移行の法則のようなものにしたがって出現し、過ぎ行くことができる。[中略]他者は世界を心優しい喧騒で満たしてくれるのである」(ジル・ドゥルーズ『Michel Tournier et Le Monde Sans Autrui』)

常に他者と共に在るわたしたちの知覚は、先験的に他者によって限定され、方向づけられている。とするならば、物そのものの知覚などもちろん不可能であって、知覚は制度的なもの、構造的なものであることは避けられまい。

旅に出、旅先でさまざまなものを知覚するとき、本当は何を見ているのだろうか。何を見せられているのだろうか。
『「観光のまなざし」の転回』は、フーコーの影響を大きく受けて書かれたという社会学者ジョン・アーリの名著『観光のまなざし』を展開・転回する。コンテンツにあるとおり、13人の論者が、さまざまな観点・角度で「観光」の本質をさぐっていく気鋭の論稿である。

旅行など生まれてこのかた数度しか経験がなく、休みになれば部屋でゴロゴロ、音楽でも流してぐうたらしていたいぼくは、元来、観光になど1ミリの興味もない。しかし、そのぼくが第1の読者=編集者としてこの本を面白く読めたのはなぜか。
それは、「わたしたちは何を知覚しているのか」というこの根源的な問いが、各論に通奏低音のように流れているからだ。主体的に生きるなんてお笑いぐさだとしたって、せめて何を知覚させられてるか、ぐらいは知りたいじゃないですか。[-内藤-]

 

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