平等主義暴力―ポスト狩猟採集民トゥワとのマルチモーダル人類学

平等主義暴力

ポスト狩猟採集民トゥワとのマルチモーダル人類学

  • ふくだぺろ(著)/2026年3月
  • 4600円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:松本久木
  • 特設サイト:橋本麦

「支配のための暴力」の向こうにある「共在としての暴力」

中央アフリカに住む元狩猟採集民トゥワは、9日に1度は流血の乱闘を起こす。
だが次の瞬間には歌とダンスがはじまり、笑いがはじける。
分断や支配を生まない暴力とグルーヴの探究から感情=身体=政治を問いなおす―――
特設サイトとも連動する、文字・映像の〈マルチモーダルな知〉の実践へ。

 

彼らの暴力には、他人を支配しようとする意志がほとんど見られない。彼らにとって暴力とは、怒りや悲しみといった感情と身体の生成的な交感であり、統制や支配の手段ではない。むしろ暴力を許容することこそが、平等で平和な社会性を生みだす基盤となっているのではないか。――「はじめに」より

 

いたるところから噴きだし、乱反射する二〇人あまりの声という声。女、男、子ども、老人。みなが叫んでいる。パパン。パンッパパパン。パパンッパン。二、三、四、五。様々なリズムで声にはさまれ、声を衝き動かすハンドビート。手だけではない。手に持ったサンダルを叩く音。棍棒を地面にたたきつける音。鉈をたたきつける音。――「はじめに」より

 

※フィールドに同行した著者の妻、福田ゆみによる人類学者観察日記つき。

 

本書の「はじめに」をこちらからお読みいただけます。

 

(ISBN 9784868160748)

目次|contents

はじめに

序章
第1章 映像
第2章 背景
第3章 闘争
第4章 音楽
第5章 罵倒
第6章 撮影
第7章 歴史
終章

あとがき
参照文献
索引

著者|author

ふくだぺろ
マルチモーダル人類学者、詩人、アーティスト。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科特別研究員(学振PD)。立命館大学先端総合学術研究科博士課程修了。博士(学術)。Forward Prize for Poetry 選奨(2020)、マンチェスター国際映画祭実験映画賞受賞(2016)。

【主要業績】
論文 「「わたしたちは毎日殺し合っている」―トゥワ·ピグミーの平等主義的暴力とポリエモーション=ボディ 」(2025)『文化人類学』89(4):495-515
映像 『ドッグ·シット·フード』(2025)
詩集 『flowers like blue glass』(2018)Commonword
展示 《SOS 応答と対話で「何か」を探す》(2025)武蔵大学、西野正将・小森真樹との共作

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社会科における真正の評価―アートベースド・アプローチによる歴史教育

社会科における真正の評価

アートベースド・アプローチによる歴史教育

  • デイヴィッド・シェリン(著)、渡部竜也・堀田諭(訳)/2026年4月
  • 5000円(本体)/A5判並製362頁
  • 装丁:後藤葉子

あなたはどのように、何をすることに喜びを見出す?
社会科教育において、筆記に限らず創造的な学習活動に取り組み評価することを、論文やクリエイティブライティング、オーラルコミュニケーション、アート、デジタルヒストリー、市民的活動といった多様な表現方法とともに、アメリカを含む各地域での実践から例証する。より深い学びと公平で民主的なあり方につながる、歴史教育の真正の課題と評価への新たな手立てをひもとく。
(ISBN9784868160885)

目次|Contents

導入――歴史における芸術
第1部 真正の評価
第1章 真正の評価のQ&A
第2部 筆記による評価
第2章 フォーマルな小論文
第3章 研究論文
第4章 クリエイティブライティング
第3部 創造的・芸術的評価
第5章 オーラルコミュニケーション
第6章 アート
第7章 デジタルヒストリー
第4部 市民的活動の評価
第8章 市民的活動の評価
結論――フランクフルトのバーテンダーとその他のヒーローたち
訳者解説:「勉強が苦手な子」のシビック・エンパワーメントのための真正の評価論――デイヴィッド・シェリンのアートベース歴史教育改革案を手がかりとして(堀田諭・渡部竜也)
特集:シェリンの論を私たちはどう生かすべきか?――外部連携を通した学びの評価について(井上昌善・岩崎圭祐)

著訳者|Author and Translators

【著者】
デイヴィッド・シェリン(David Sherrin)
スカースデール高校の社会科教師。以前はニューヨーク市のハーベスト・カレッジエイトで学科長とニューヨーク市マスターティーチャーを務めた。著書にThe Classes They Remember: Using Role-Plays to Bring Social Studies and English to Life(Routledge, 2015)とJudging for Themselves: Using Mock Trials to Bring Social Studies and English to Life(Routledge, 2016)などがある。2014年にロバート・H・ジャクソン・センターからティーチング・ジャスティス賞を受賞。

【訳者】
渡部竜也(わたなべ・たつや)
東京学芸大学教職大学院准教授。広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。博士(教育学)。専門は社会科教育学、カリキュラム論、授業設計論、教師教育。主な著訳書に『主権者教育論――学校カリキュラム・学力・教師』(春風社、2019年)、『アメリカ社会科における価値学習の展開と構造――民主主義社会形成のための教育改革の可能性』(風間書房、2015年)、『歴史的思考――その不自然な行為』(サム・ワインバーグ著、監訳、春風社、2017年)、『真正の学び/学力――質の高い知をめぐる学校再建』(フレッド・M・ニューマン著、共訳、春風社、2017年)など。
堀田諭(ほりた・さとる)
埼玉学園大学人間学部子ども発達学科准教授。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学。専門は社会科教育(カリキュラム論・教師教育論)。主な訳書・論文に『真正の評価――テストと教育評価の新しい科学に向けて』(ハロルド・バーラック他著、共訳、春風社、2021年)、『真正の学び/学力――質の高い知をめぐる学校再建』(フレッド・M・ニューマン著、共訳、春風社、2017年)、「コンピテンシー時代における評価研究の拡張に関する基礎的研究――J・レイヴンのコンピテンス論を手がかりとして」『人間発達研究』第34号(共著、2020年)、「教師のゲートキーピングを支援する社会科スタンダードの構成原理――米国における新旧NCSSカリキュラムスタンダードの機能の原理的転換」『社会科研究』第82号(2015年)など。

 

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Anthropocene Calling【AAA叢書第3巻】

Anthropocene Calling

    • 中村靖子(監修)、Giuseppe Patella・武田宙也(編)/2026年3月
    • 4000円(本体)/A5判並製408頁
    • 装丁:矢萩多聞

多面的な広がりを見せる「人新世」概念のもとで、領域横断的な実践はどこまで可能か?
研究プロジェクト「人間・社会・自然の来歴と未来―「人新世」における人間性の根本を問う」(Anthropocenic Actors and Agency in Humanity, Society, and Nature,略称:AAA)の成果を発信する叢書シリーズ、第3巻!
科学技術と伝統的人文学とをつなげ,新たな人文学を確立する試み。本文英語。
(ISBN  9784868161356)

AAA叢書 各巻の構成(第4巻以降は予定)
第1巻(2025)ことば×データサイエンス
第2巻(2025)生成AI×ロボティクス
第3巻(2026)Anthropocene calling
第4巻(2026)ジェンダーとセクシュアリティ
第5巻(2027)社会と政治の科学
第6巻(2028)〈他者・自然との柔らかな均衡〉に向けて

目次|contents

The Many Faces of the Anthropocene. Introduction, Giuseppe Patella
Part 1 – The Anthropocene between Philosophy, Ecology, Aesthetics
1 Giuseppe Patella, What’s Wrong with the Anthropocene? Critique of an Ideology
2 Federico Luisetti, A Pluriversal World: Exiting the Anthropocene
3 Atsushi Okada, Ecology as Aesthetics: Alexander von Humboldt, Ernst Haeckel, and Elisée Reclus
4 Francesco Campagnola, Anthropocene as Historic-Ontological Awareness
5 Nozomu Ninomiya, Adorning the Appearance: Exploring the Intellectual History of Animal Aesthetics
6 Paolo Heritier, The Chorological Space of Being Human between East and West
Part 2 – Technology in the Age of the Anthropocene: Human, Machine, and Habitus
7 Roberto Terrosi, The Technocene: For a New Phenomenology of Spirit
8 Hideki Ohira, The Neuro-Habitus: Brain-Body Mechanisms Generating, Maintaining, and Changing Human Mind
9 Mario Verdicchio, Anthropocene: The Other Sociotechnical Blindness
10 Yasuko Nakamura/Wanwan Zheng, To Shape Oneself, to Reconfigure the Word: Exercises in Anthropotechnics and the Potentiality of Thinking
11 Yu Izumi, Abusive Language in the Age of AI: Insights from the Japanese Linguistic and Cultural Context
12 Tetsuya Yamamoto, Digital Mental Health Care in the Anthropocene: Enhancing Life with AI and ICT
Part 3 – The Anthropocene and the Arts
13 Hironari Takeda, Naoya Hatakeyama and Images of the Anthropocene: Catastrophe, Sublime, and Ruins
14 Vincenzo Cuomo, The Anthropocene from a Parasitic Perspective. The Long End of Neolithic Civilization and the Role of Artistic Experimentation
15 Ayako Ikeno, How to Imagine the Atmosphere: Mikami Seiko’s sculptures in the Age of Anthropocene
16 Asako Fukuda, “Immunity” and Zombies
Afterword: For Further Collaboration, Hironari Takeda

監修者・編者|editors

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター教授。専門はドイツ文学・思想史。著作に『予測と創発―理知と感情の人文学』(編著、春風社、2022)、『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』(編著、春風社、2019)、『フロイトという症例』(松籟社、2011)等。

Giuseppe Patella(ジュゼッペ・パテッラ)
ローマ・トル・ヴェルガータ大学教授。専門は美学・芸術理論。国際美学・芸術理論研究センター(IRCA)所長。

武田宙也(たけだ・ひろなり)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は美学・芸術学。

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同化ではない共生を―ディアスポラの信仰者、アフマディーヤ・ムスリムの移動と越境

同化ではない共生を

ディアスポラの信仰者、アフマディーヤ・ムスリムの移動と越境

  • 嶺崎寛子(著)/2026年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製352頁

異端とされながら世界へ広がるイスラーム教団「アフマディーヤ」は、私たちの隣にも住んでいる。東日本大震災の支援活動も行ってきた彼らの「愛」と「献身」の生活史から、グローバルな移動とローカルな定着のなかでの多文化共生の新たな可能性を問う。

英領インドに1889年に興り、グローバルに伸展し、パキスタンやインドネシアでは迫害され、ナイジェリアやガーナなど西アフリカでは地域に深く根付き、難民あるいは移民として欧米に進出したアフマディーヤ。ガーナでは知名度が高く大統領にも歓迎される一方、本国では異端とされて迫害される、振り幅の大きすぎるこの団体は一体何なのか。(本文より)

(ISBN 9784868161318)

目次|contents

序章 大統領の演説を聞く―ガーナの広原にて

第一部 歴史、組織、政治
第1章 アフマディーヤの歴史と展開―英領インド発の世界的マフディー運動
第2章 ムスリムとは誰か―境界をめぐる政治
第3章 「想像の共同体」アフマディーヤ―組織力と官僚制度

第二部 移動、アイデンティティ、ジェンダー
第4章 ディアスポラの信仰者―グローバル状況下の複層的アイデンティティ
第5章 移動する宗教マイノリティと難民認定―日本とカナダを事例として
第6章 ローカルをグローバルに生きる―信徒の結婚戦略
第7章 性別役割分業―夫方居住と国際婚姻移動が生む脆弱性をめぐって

第三部 信仰、支援、献身
第8章 ヒューマニティ・ファーストと東日本大震災支援
補論 信仰と献身―モラル・エコノミー

終章 同化ではない共生を

あとがき
参照文献
索引

著者|author

嶺崎寛子(みねさき・ひろこ)
成蹊大学文学部教授、文化人類学・ジェンダー学
主な著作に、『イスラーム復興とジェンダー――現代エジプト社会を生きる女性たち』(2015、昭和堂。第43回澁澤賞、第10回女性史学賞受賞)、『日本で暮らすムスリム(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ7)』(編著、2024、明石書店)、『ジェンダー暴力の文化人類学――家族・国家・ディアスポラ社会』(田中雅一と共編著、2021、昭和堂)など。

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現場に立つから、おもしろい2―文化・観光・環境・スポーツのフィールドから

現場に立つから、おもしろい2

文化・観光・環境・スポーツのフィールドから

  • 江戸川大学現代社会学科(編)/2026年3月
  • 1800円(本体)/四六判並製220頁
  • 装丁:後藤葉子
  • 装画:福士陽香

食生活や無形文化財、まちづくりやレジャー、エシカルな共生、アスレチック……
多彩な4つの観点とアクティビティから現代社会を見つめなおし、学びの事例を探究する。社会文化論、人類学、民俗学、観光学、経営学、環境学、スポーツ学といった多様な分野による探究のプロセスをもとに、現代文化や社会問題を理解するためのアプローチを描く、社会学の手引き。
(ISBN9784868161271)

目次|Contents

まえがき
第I部 文化フィールド
 第1章 祭りの競技化(阿南透)
 第2章 北京ダックは鴨じゃない―食と文化の人類学入門(川瀬由高)
 第3章 文化財から社会を見る(関根理恵)
 第4章 マグロが結ぶ 日本と台湾の絆―民俗学的探究の手法から(林承緯)
第II部 観光フィールド
 第5章 地域価値共創を導くまちのテーマパーク化(大塚良治)
 第6章 ニューツーリズムと観光革命―体験と交流の創出に向けて(崎本武志)
 第7章 寄り道からはじめる「自分の時間」―レジャーと学び、共感がつなぐ2つの循環(土屋薫)
第III部 環境フィールド
 第8章 オオタカとオオカミ―ヒトは生態系のトップと共生できるか(奥山正樹)
 第9章 買い物は未来への投票―バングラデシュと私たちをつなぐ「選ぶ力」(佐藤秀樹)
第IV部 スポーツフィールド
 第10章 日本のワールドカップ優勝を目指して―歴史から紐解く日本サッカーの未来(末永尚)
 第11章 21世紀のオリンピックと平和(野上玲子)
 特別編 ゼミナール授業研究ノート
 第12章 責任をとるための3か条―失敗対応フレームワーク(中島慶二)
あとがき
執筆者一覧

編者|Editor

江戸川大学現代社会学科(えどがわだいがく・げんだいしゃかいがっか)

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戦前のタイ経済ナショナリズムと外国勢力―中央銀行・米・チーク・製造業・海運

戦前のタイ経済ナショナリズムと外国勢力

中央銀行・米・チーク・製造業・海運

  • 南原真(著)/2026年3月
  • 5400円(本体)/A5上製352頁
  • 装丁:長田年伸

公文書や企業アーカイブなどの膨大な文献をもとに、1930年代のタイにおける外国人アドバイザーとタイ人政治家・官僚との経済政策論争を検証。中央銀行の設立経緯、米やチークなどの取引を分析し、経済ナショナリズム台頭の過程をたどる。
(ISBN9784868160991)

目次|Contents

序章:1930年代のタイ経済と経済ナショナリズム
第1章:タイの経済政策論争と経済ナショナリズム
第2章:タイ米取引を巡る論争とタイ米穀会社の設立
第3章:マッチ・セメント物品税導入の背景
第4章:ビール税とブンロート社の設立
第5章:チーク伐採リース権交渉と英国ボルネオ商会
第6章:米取引を中心とする三井物産バンコク支店の事業展開
第7章:タイの海運と国営海運会社誕生の背景
終章:タイ人主導の拡大化と外国勢力の縮小
補論:日本領事報告のタイ関係記事の概要と特徴

著者|Author

南原真(なんばら・まこと)
東京経済大学経済学部教授。1998年 Ph.D. ロンドン大学SOAS。主要著作に、『タイの財閥―ファミリービジネスと経営改革』(共著、同文舘、1991)、“Economic Plans and the Evolution of Economic Nationalism in Siam in the 1930’s,” SOAS, the University of London, Ph.D. thesis, 1998、「1930年代のタイにおける外国人アドバイザーとタイ人の確執:経済政策論争と経済ナショナリズム」『アジア経済』(アジア経済研究所、第41巻第12号、2000年)、『「領事報告」掲載タイ(暹羅)関係記事目録 1885–1943年』(編著、三恵社、2019年)、『「領事報告」掲載シンガポール関係記事目録―海峡植民地と英領マラヤ:1889–1940年』(編著、三恵社、2022)など。

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旅する演劇―シェイクスピアの『ペリクリーズ』と他者をめぐる想像力

旅する演劇

シェイクスピアの『ペリクリーズ』と他者をめぐる想像力

  • 山本真司(著)/2026年3月
  • 2700円(本体)/四六判並製304頁
  • 装丁:江森恵子(クリエイティブ・コンセプト)

喪失と再生の旅が紡ぎ出す、倫理的想像力。
シェイクスピアの後期ロマンス劇『ペリクリーズ』を、演劇と移民、視覚文化の変容、登場人物マリーナに託された象徴性といった視点から再読・再評価。演劇を通して、「他者と共に生きるとはいかなることか」という倫理の問いと対峙する。
(ISBN9784868161059)

目次|Contents

序章 旅する演劇と倫理的想像力──『ペリクリーズ』を読み直すために
第Ⅰ章 演劇と移民の倫理的想像力──ナショナル・シアターPublic Acts版『ペリクリーズ』(2018)を読み解く
第Ⅱ章 ペリクリーズの視線と図像の政治──ポスト宗教改革期におけるiconophobiaと身体表象の危機
第Ⅲ章 マリーナという謎──『ペリクリーズ』における名と身体をめぐる表象の倫理
補遺 『ペリクリーズ』の謎
結章 再び出会うために──『ペリクリーズ』とわたしたちの想像力

著者|Author

山本真司(やまもと・しんじ)
青山学院大学経済学部教授。ロンドン大学バークベック・カレッジにて英文学の博士号(Ph.D.)を取得。シェイクスピア研究を中心に、初期近代イングランドの物質文化・視覚文化(エンブレム研究)、食文化、移民・ディアスポラ研究を横断する。VRやマンガなど現代メディアを取り入れた英語教育および文化研究にも取り組む。著書に『《シェイクスピア》と近代日本の図像文化学―エンブレム、ジェンダー、帝国』(金星堂、2016年)。ユグノー・ソサエティ(英国)フェロー。

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サンベルナルド

サンベルナルド

  • グラシリアノ・ハーモス(著)、岐部雅之、フェリッペ・モッタ(訳)/2026年3月
  • 3200円(本体)/四六判上製234頁

ブラジル北東部、サンベルナルド農園。狡猾な策略と暴力でのし上がり、地主となった男による孤独と悔恨の独白。貧困、支配、嫉妬を映した20世紀ブラジル地方文学の金字塔。

馬齢を重ねた。聖ペドロの日の前後に五十歳を迎えた。救いの余地のない五十年、目的もなく浪費した五十年。自らを傷つけ、他人を傷つけて来た歳月である。その果てに、私は冷淡となり、非情となった。この分厚い皮膚を貫く傷などではなく、心の内奥の鈍い感覚を苦しめるのだ。(本文より)

(ISBN 9784868161325)

目次|contents

サンベルナルド
訳者あとがき

著者|author

グラシリアノ・ハーモス(Graciliano Ramos)
1892–1953。ブラジル北東部アラゴアス州生まれ。20世紀のブラジル文学を代表する地方主義作家の1人であり、北東部を舞台に貧困・暴力・権力関係の中で生きる人間の内面を鋭い筆致で鮮やかに描いた。代表的な長篇小説に『サンベルナルド』(1934年)や『乾いた人びと』(1938年)の他、13の作品が収められている短篇集『不眠』(1947年)、共産主義者の嫌疑で投獄された経験を綴った回顧録『獄中記』(1953年、死後刊行)などがある。簡潔で緊張感のある文体や自己反省的な語りを特徴とし、ブラジル近代文学に与えた影響は計り知れない。

訳者|translators

岐部雅之(きべ・まさゆき)
京都外国語大学外国語学部ブラジルポルトガル語学科専任講師。専門はブラジル近現代文学。主な業績に、『ブラジル文学傑作短篇集』(水声社、2023年、編集・共訳)、論文「ブラジル北東部文学と抵抗する女性像―グラシリアノ・ハーモス著『サンベルナルド』から―」(『京都外国語大学ラテンアメリカ研究センター紀要』25号、2026年)、「パウロ・オノーリオの「声」を解剖する―グラシリアノ・ハーモス著『サンベルナルド』における翻訳の語りを巡って―」(『ブラジル研究』20号、大阪大学ブラジル研究会、2026年)がある。

フェリッペ・モッタ(Felipe MOTTA)
京都外国語大学外国語学部ブラジルポルトガル語学科専任講師。専門は移民史、特に日系ブラジル移民の越境経験と記憶の表象である。主な業績に、単著『移民が移民を考える―半田知雄と日系ブラジル社会の歴史叙述―』(大阪大学出版会、2022年)、共著『移民がむすぶ日本と南米の歴史―帝国・開発・官民協力―』(東京大学出版会、2025年)など。翻訳書に『移民の町 サンパウロの子どもたち』(ドラウジオ ヴァレーラ 著、行路社、2018年、監修)や『ブラジル文学傑作短篇集』(水声社、2023年、共訳)がある。

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マイスター・エックハルトの知性論―トマス主義と新プラトン主義のはざまで

マイスター・エックハルトの知性論

トマス主義と新プラトン主義のはざまで

  • 若松功一郎(著)/2026年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製292頁
  • 装丁:中本那由子

人間知性は、神の像なのか?
本質的始原論を中心としたエックハルト思想を、ドイツ・ドミニコ会の系譜に連なる知性神学として再読解。異端断罪後も受け継がれてきた「人間知性理解」の本質を解明する。
自己の最も深い根源への探究がもたらすものとは―
(ISBN9784868161066)

目次|Contents


第1章 本質的原因論と本質的始原論
第2章 フライベルクのディートリヒにおける知性論
第3章 マイスター・エックハルトの知性論
第4章 完全還帰―神の像としての知性の働き
第5章 非被造的知性
結   「消えることなき火花」

著者|Author

若松功一郎(わかまつ・こういちろう)
1989年生まれ。
早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。
早稲田大学文学部助手を務めたのち、現在は立教大学兼任講師。博士(文学)。
専門は中世哲学およびドイツ神秘主義。

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感染症の苦しみへの責任(叢書 感染症の人間学4)

感染症の苦しみへの責任(叢書 感染症の人間学4)

パンデミックの苦しみは、決して平等ではなかった
ワクチン格差、ロックダウンの代償、そして死政治(ネクロポリティクス)と様々なケア。急速に記憶が風化する今、私たちは「責任」をどう未来へ手渡せるか? シリーズ第4巻

本叢書の巻頭言・序章(浜田明範 著。叢書第1巻収録)はこちらからお読みいただけます(pdf)

(ISBN 9784868161233)

目次|contents

序  感染症の苦しみへの私たちの責任(西 真如)[pp.11-31]

第Ⅰ部 格差と死政治
第1章 格差社会を揺さぶるパンデミック――COVID-19の捉えがたさから生じる信念の強化(奥田 若菜)[pp.35-67]
第2章 COVID-19流行下におけるワクチン分配の死政治(玉井 隆)[pp.69-105]

第Ⅱ部 健康と国家
第3章 現代インド経済の光と闇――経済成長は人々の健康に資することができたのか(脇村 孝平)[pp.109-141]
第4章 ベトナムのCOVID-19対策――中央政府はどのような対策をとったのか(小田 なら)[pp.143-180]

第Ⅲ部 責任と正義
第5章 COVID-19流行が指し示す歴史的共謀と未来の連帯――病床確保のための交渉(西 真如)[pp.183-216]
第6章 アイリス・マリオン・ヤング『正義への責任』読解――責任と、ある自由な主体の可能性(大北 全俊)[pp.217-240]

第Ⅳ部 感染症と人間社会
第7章 人類とマラリア(金子 明)[pp.243-287]
第8章 《鼎談》人口・格差・感染症(斎藤 修・脇村 孝平・増田 研)[pp.289-321]

編者|editor

西真如(にし まこと)
広島大学大学院人間社会科学研究科・教授
医療人類学
主な著作に、『心配と係り合いの人類学―この世界を繕い直すためのケアの理論と実践』(共編著、ナカニシヤ出版、2025)、Curing Lives: Surviving the HIV Epidemic in Ethiopia. (Palgrave Macmillan, 2023)。

 

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