時のかたみに―キリスト教と文学・師・信仰

時のかたみに

キリスト教と文学・師・信仰

  • 釘宮明美(著)/2025年7月
  • 2800円(本体)/四六判並製404頁
  • 装丁:毛利一枝

信仰に根ざしひたすらに希求する詩と真実
混沌として見えない将来への不安に押し潰されそうであった私の青春時代を省みると、私自身もそのようにして確かに導かれてきたことを感じている。どんな現実も無内容ではあり得ず、必ず意味を有しており、その現実の意味や意義の根源として、創造主である神は確かにいる。「雨も雪も、ひとたび天から降れば、むなしく天に戻ることはない。……そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も、むなしくは、わたしのもとに戻らない」(イザヤ55・10-11)。〈本文より〉
(ISBN 9784868160014)

目次|Contents

序詩  湖唱

第一部 光は低きに降りて
一 光は低きに降りて―クリスマスに寄せて
二 クリスマスの手紙
三 クリスマスメッセージ
四 祈りと光
五 だれかがどこかで

第二部 信仰と日々
六 フライブルクでの日々から
七 詩編の祈り
八 信仰のうちに視野を開く
九 一粒の麦―源流をたどる
一〇 神様の落穂拾い―「シャルトル聖パウロ修道女会」の霊性に寄せて
一一 長崎のキリシタン関連遺産を訪ねて
一二 見えない神の言葉に聴く
一三 「ぶどうの木」につながって
一四 言葉と律法―ルターの宗教改革五〇〇年に寄せて
一五 共に歩む道
一六 お別れの言葉―追悼 星野正道神父様

第三部 命を見つめて
一七 いちばん美しかった顔―エピファニーということ
一八 預けられたものとは何か、それをどう生かすか
一九 大震災に問われて―二〇一一年三月一一日に寄せて
二〇 最上のものはなお後に来たる
二一 人生という一冊の本
二二 いのちを刻む絵
二三 人生の終わりの姿から学ぶこと
二四 難病を受け入れて生きる意義とは―「全国CIDPサポートグループ」の活動を通じて

第四部 苦しみの秘義
二五 苦しみの秘義―パスカルの『病の善用を神に求める祈り』
二六 森有正をめぐる人たち―伊藤勝彦先生のこと
二七 時を刻む思想、時に刻まれる思想
二八 傷ついた葦を折ることなく―『パンセ』と聖書における「葦」の比喩
二九 かなしみの源流と水脈―神谷美恵子をめぐる三著作
三〇 神谷美恵子との出会い
三一 治癒の言葉―霜山徳爾『素足の心理療法』に寄せて
三二 V・E・フランクルの信仰―「意味」の根源としての神
三三 ダグ・ハマーショルド『道しるべ』と十字架の聖ヨハネ

第五部 文学をかたわらに
三四 出会いと別離―追悼 田口義弘先生
三五 同人誌と私―『現代文学』七〇号に寄せて
三六 抒情の湿度―追悼 饗庭孝男先生
三七 須賀敦子の信仰と文学―その分岐点と交差点
三八 詩人的実存という罪―文学とキリスト教をめぐって
三九 悲しき悪魔の告白―芥川龍之介「るしへる」をめぐって
四〇 ファウストはなぜ救われるのか?―ゲーテ『ファウスト』
四一 『天の園』・「エデンの園」・「神の国」
四二 祈りと光と再生と―大江健三郎『人生の習慣』
四三 ポルフィーリイとは何者か?―ドストエフスキー『罪と罰』
四四 逆説の福音―書評 芦川進一『カラマーゾフの兄弟論―砕かれし魂の記録』
四五 神を探し求める道―リルケ『時禱詩集』
四六 砂漠の井戸のお話―サン゠テグジュペリ『星の王子さま』
四七 誓願の文学―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
四八 物語が生み出される光源
―書評 A・E・マクグラス『C・S・ルイスの読み方―物語で真実を伝える』
四九 光への信頼―ハンス・カロッサ 〈講座録〉
五〇 鎮魂と変容の歌―ライナー・マリア・リルケ 〈講座録〉
五一 記憶と忘却の痛み―パウル・ツェラン 〈講座録〉
五二 花月の唱名としての生死―西行 〈講座録〉

第六部 思索に導かれて
五三 海原を照らす灯台
五四 キリスト教文化研究所の貴重書『ミーニュ 教父全集』
五五 稲垣良典先生の講演「大学の神学」を拝聴して
五六 意義への問いと人文学研究―キリスト教教育の視点から
五七 キリスト教を主軸とする近代日本精神史の豊饒な展開
―書評 村松晋『近代日本精神史の位相―キリスト教をめぐる思索と経験』
五八 エディット・シュタイン(一)―その生涯のスケッチと全集紹介
五九 エディット・シュタイン(二)―ヴュルツブルクの修道院図書室にて
六〇 エディット・シュタイン(三)―シュパイアーに足跡を訪ねて
六一 真理と愛―書評 須沢かおり『エディット・シュタインの道程―真理への献身』
六二 存在と意義―『クラウス・リーゼンフーバー小著作集』刊行に寄せて
六三 超越への開き―『クラウス・リーゼンフーバー小著作集』全巻刊行を記念して
六四 海外宣教師の日本語著作という遺産―『キリストの現存の経験 クラウス・リーゼンフーバー小著作集VI』刊行に寄せて
六五 クラウス・リーゼンフーバー神父様を追悼して

あとがき

著者|Author

釘宮明美(くぎみや・あけみ)
1968年大分市生まれ。東京大学文学部露語露文学科卒業、同大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻修士課程修了。2009年、白百合女子大学宗教科准教授。2015年より同大学カトリック教育センター教授。専門は森有正、神谷美恵子、エディット・シュタインを中心とするキリスト教思想、キリスト教と文学。
共編著『生きる意味―キリスト教への問いかけ』(オリエンス宗教研究所、2017年)、『日常の中の聖性』(教友社、2021年)、『キリスト教文化事典』(丸善出版、2022年)。共著『キリスト教をめぐる近代日本の諸相―響鳴と反撥』(オリエンス宗教研究所、2008年)、Christianity in East and Southeast Asia(Edinburgh University Press, 2020)、『宣教師の日本語文学 研究と目録』(郭南燕編著、勉誠出版、2023年)ほか。編訳書『クラウス・リーゼンフーバー小著作集(全6巻)』(知泉書館、2015年・2021年)。主要論文「森有正における「経験」の生成―『バビロンの流れのほとりにて』連作を中心にして」(「現代文学」62号、2000年)、「神谷美恵子とキリスト教―魂の認識への献身と人間の宗教性」(『文藝別冊 神谷美恵子』河出書房新社、2014年)。

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一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代 翻訳と解説

一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代 翻訳と解説

  • ヴァルター・ベンヤミン(著)、田邉恵子(訳・解説)/2025年7月
  • 3000円(本体)/四六判変型・並製324頁
  • 装丁:矢萩多聞

これぞベンヤミンの魂‼
二度と踏むことのできなかった故郷ベルリンに関する珠玉の魂ともいうべき回想「一冊の、ささやかな、本」の清新な翻訳と解説。
(ISBN 9784868160472)

目次|Contents

凡例
翻訳
 ヴァルター・ベンヤミン
 一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代(パリ・タイプ稿)
解説
 はじめに
 作品について
  作品成立史
  ヴァージョンおよび資料一覧
 翻訳について
 テクスト解題
  パリ・タイプ稿所収テクスト
  パリ・タイプ稿未収録のテクスト
 翻訳 ルソー島(一九三二年)
 論考 雄弁な中断―ベンヤミン「ルソー島」読解
あとがき

訳者|Translator

田邉恵子(たなべ けいこ)
1988年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門はドイツ思想。津田塾大学学芸学部准教授。著書に『一冊の、ささやかな、本―ヴァルター・ベンヤミン『一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代』研究』みすず書房、二〇二三年(第一五回表象文化論学会学会賞 奨励賞)。主な論文に「家に帰るカメ―ベンヤミン、遊歩のあとで」(『ユリイカ』二〇二四年六月号、青土社)ほか。

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ウルトラ・アーバニゼーションの時代―社会経済地理学の新たな挑戦

ウルトラ・アーバニゼーションの時代

社会経済地理学の新たな挑戦

  • 杉山武志(著)/2025年6月
  • 4500円(本体)/A5判上製348頁
  • 装丁:中本那由子

より善い環境を次世代に引き継ぐために
「都市的なもの」に飲み込まれ、過剰な都市化が「当たり前」になってしまった日本。行き過ぎた都市化を転換するには何をすべきなのか。「都市化→不安」の内実を認識し、都市の空間性と場所性を読み解きなおす。
“倫理の地理学”が現代のアーバニゼーションに立ち向かう!
(ISBN 9784868160649)

目次|Contents

序章 ウルトラ・アーバニゼーションの波打ち際にて

第Ⅰ部 過剰な都市化
第1章 惑星スケールに拡がる都市化の「倫理」――コミュニティ経済への期待と憂慮

第Ⅱ部 地方圏の再生
第2章 多自然居住地域のレゾンデートル――拡大的都市化と再帰的な地域再生政策
第3章 デジタル田園都市国家構想の誕生—―「新しい資本主義」からポスト地方創生へ

第Ⅲ部 大都市の支柱
第4章 大都市圏経済の「支柱」を再考する――街のコミュニティ経済を取り戻すために
第5章 創造都市を読み解きなおす――メディア都市からなりわいあふれる街へ

著者|Author

杉山武志(すぎやま・たけし)
兵庫県立大学環境人間学部 教授
1978年京都府生まれ。2001年3月立命館大学産業社会学部卒業。2012年3月大阪市立大学大学院創造都市研究科博士後期課程修了。博士(創造都市)。経済団体職員、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究調査本部主任研究員を経て、2015年4月兵庫県立大学環境人間学部准教授。2024年4月より現職。
主な著書に『次世代につなぐコミュニティ論の精神と地理学』学術研究出版(2020年、単著)、『兵庫から地方の新しい未来を探る』神戸新聞総合出版センター(2022年、共著)など。

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イタリア・ルネサンスと東洋―美術にみる東西文化交流

イタリア・ルネサンスと東洋

美術にみる東西文化交流

  • 田辺清(著)/2025年6月
  • 3900円(本体)/A5判上製176頁
  • 装丁:長田年伸

古今東西の作品をまなざし、交流の光景を描く
多様な地域や時代を想像する――
風景・肖像・静物という近代絵画における主要ジャンルで、レオナルドの影響下にあった画家たちを採り上げ、それらの作品の東洋的性格や、東方と古典古代からの着想や影響を考察する。レオナルドを中心とする中世後期から近世に至る西洋の美術家たちが、どのように東洋や東方に関心を持ち作品に活用していったかを、共通の自然観や審美眼を手がかりに解き明かす。
(ISBN 9784861109690)

目次|Contents

第1章 東西の自然観と審美眼
第2章 風景・肖像・静物
 1.東西絵画にみられる狩猟表現
 2.東西風景画における古代の伝統
 3.レオナルド・ダ・ヴィンチの背景風景――水墨画との関連について
 4.東西の肖像画にみられる「心の動き」について
 5.絵画にみられる楽器描写――東西の比較を中心に
第3章 文化交流と美術
 1.素描にみられる東西文化交流
 2.ラファエッロの素描―古典古代の起源と東方
 3.レオナルド・ダ・ヴィンチと東方(Ⅰ)――《聖ヒエロニムス》をめぐって
 4.ルネサンス絵画と中国陶磁器(Ⅰ)
 5.ルネサンス絵画と中国陶磁器(Ⅱ)
 6.レオナルド・ダ・ヴィンチと東方(Ⅱ)――《岩窟の聖母》をめぐって
 7.再考レオナルド・ダ・ヴィンチと東方
 8.レオナルド・ダ・ヴィンチと古典古代――東方との関連について
 9.レオナルド・ダ・ヴィンチの素描様式と東方――初期作品と《レダと白鳥》をめぐって
おわりに――「東洋」と「東方」
初出一覧
図版目録
索引

著者|Author

田辺清(たなべ・きよし)
大東文化大学名誉教授。専門はルネサンス絵画史・比較芸術学。1952年、千葉県生まれ。1978-81年、ロンドン大学付属コートールド美術研究所に聴講生として留学。1985年、成城大学大学院博士課程単位取得退学。1987-2023年、大東文化大学国際関係学部で教鞭をとる。2017-21年、大東文化大学図書館長。主要著書・論文に『平凡社版・世界の名画2 レオナルド・ダ・ヴィンチ』(平凡社、1983)、『レオナルドの教え――美術史方法論研究会論集』(共著、ボーダーインク、2013)、『天心をめぐる人々』(代表編著、大東文化大学東洋研究所、2020)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの源泉――様式・文学・人物表現』(春風社、2023)、「フラ・バルトロメオの素描――素材と様式による考察」(『上原和古稀記念美術史論集』、上原和古稀記念美術史論集刊行会、1995、pp. 466–84)、「ラッファエッロと祭壇画――《バルダッキーノの聖母》をめぐって」(関根秀一編『イタリア・ルネサンス美術論――プロト・ルネサンス美術からバロック美術へ』、東京堂出版、2000、pp. 151–61)、「ラファエッロと古代――《廃墟の風景》(ウインザー王立図書館所蔵)を中心とした考察」(前田富士男編『伝統と象徴――美術史のマトリックス』、沖積舎、2003、pp. 66–79)など。

 

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庭園をめぐる交流とジェンダー―二〇世紀初期の英国と日本におけるライフヒストリー/ライフジオグラフィー

庭園をめぐる交流とジェンダー

二〇世紀初期の英国と日本におけるライフヒストリー/ライフジオグラフィー

  • 橘セツ(著)/2025年6月
  • 5000円(本体)/A5判上製330頁
  • 装丁:苑田菊見

異文化の出会いが「庭」を変える――
庭園とは単なる景観ではなく、人と自然と文化を結びつける空間である。
二〇世紀のイングリッシュガーデンと日本庭園の歴史的な交錯に注目し、庭園における文化交流・再創造の過程を、女性庭師、女性地主、造園家、庭園著述家のライフヒストリーを通じて多面的に描写。特に庭園に関わる女性たちの実践と交流に焦点をあて、女性と家庭や社会との多様化・複雑化する関係の諸相がどのように表れるのか検討する。
(ISBN 9784868160458)

目次|Contents

序章 ライフヒストリー/ライフジオグラフィーの視点から庭園史をみる

第I部 二〇世紀初期英国における日本庭園の流行と女性
第1章 二〇世紀初期英国における日本庭園の流行と英国の女性地主の活躍
第2章 イングランドの女性地主エセル・ウェブによる日本庭園造園
第3章 スコットランドの女性地主エラ・クリスティーの日本旅行とコーデン城の日本庭園造園
第4章 英国人女性地主エラ・クリスティーの日本庭園造園を助けた日本人女性半田たき

第II部 英国における女子園芸学校の創立―「ズボンなんかをはいた、いまどきの女庭師」
第5章 二〇世紀初期英国における女性庭師の誕生と活躍
第6章 日本人園芸家半田たきの学んだ女子園芸学校の同胞たち―女子園芸学校レイディ・ウォリック・カレッジ・スタッドリー校の教職員の視点

第III部 日本庭園との出会いを契機とした英国の庭園潮流と自然の再創造―ロックガーデンとワイルドガーデン
第7章 英国人植物学者レジナルド・ファラーの日本旅行とロックガーデンに魅せられた人生
第8章 ウィリアム・ロビンソンの創造する庭園のなかの野生と異文化―『ワイルドガーデン』の思想と実践について

第IV部 英国人女性が描いたガーデンとジェンダー―公式戦争画家エブリン・ダンバーと庭園著述家マージェリー・フィッシュ
第9章 英国人女性画家エブリン・ダンバーの描いた戦時のガーデニングとジェンダーをめぐる文化地理学
第10章 庭園著述家マージェリー・フィッシュの語りからみるホームとジェンダーをめぐる文化地理学

終章 二〇世紀英国における「イングリッシュガーデン」の創造
あとがき
参考文献

索引

著者|Author

橘セツ(たちばな・せつ)
関西国際大学国際コミュニケーション学部観光学科教授
専門は、人文地理学(文化地理学・歴史地理学)、英国研究。大阪大学文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。英国ノッティンガム大学地理学部大学院博士課程修了。Ph.D.取得。
論文に、「英国東部サフォーク州オーフォード・ネスにみる20世紀軍事景観の遺産化と自然化をめぐる文化地理学―ナショナル・トラストによる景観管理に注目して」『空間・社会・地理思想』23 (2020); ‘The gendering of agriculture in late nineteenth century colonial Hokkaido: The case of Kane Watanabe’Endeavour 49-1 (2025) Elsevierなどがある。

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危機の時代 料理家の群像―台所からみる戦争と社会

危機の時代 料理家の群像

台所からみる戦争と社会

  • 西川和樹(著)/2025年5月
  • 3500円(本体)/四六判並製438頁
  • 装丁:大國貴子

「お勝手」の先にある国家・政治・信仰
個人的な営みゆえに、政治・社会的視点で語られにくい「料理」という行為。
戦中・戦後の食糧難の時代にあっても縦横無尽に活動した四名の料理家を軸に、台所から展開される世界の広がりを描く。
(ISBN 9784868160496)

目次|Contents

序章 料理家を記すということ
 1. はじめに
 2. 料理家の語り方
 3. 「きょうの料理」史観
 4. 料理家論を書き直
 5. レシピを読む
 おわりに——本書の構成

第一章 田中米の自叙的レシピ
 1. はじめに
 2. 生い立ちをたどる
 3. 雑誌と料理家
 4. 一九三八年のレシピ
 5. 「食」の言葉
 6. 自叙的レシピ
 おわりに

第二章 香川綾と帝国の軌跡
 1. はじめに
 2. 栄養と料理
 3. お料理で翼賛
 4. 栄養学園の材料配給所
 5. 拡張する台所
 おわりに

第三章 近藤とし子と危機の時代の栄養学
はじめに
 1. 「くど前みやこ」の幼少期
 2. 工場栄養士
 3. 危機の時代の栄養学
 4. 戦後の活動の展開
 おわりに

第四章 東佐与子、「パラノイア」と呼ばれた料理家
はじめに
 1. 生涯と洋行
 2. 料理の共同体
 3. 破格の料理書
 4. 「パラノイア」と呼ばれた料理家
 5. 反生活運動への視座
 おわりに

第五章 料理家の群像
 はじめに
 1. 料理と「手」の領域
 2. 料理家と植民地主義
 3. 男性料理家
 4. 食品産業との関わり
 おわりに

終章 危機の時代の料理家と台所保守の思想
 はじめに
 1. 本書のおさらい
 2. 花森安治の暮しを守る思想
 3. 「生活」の焦点化
 4. 料理家たちの台所保守
 おわりに——台所を守るということ

著者|Author

西川和樹(にしかわ・かずき)
1986年東京都生まれ、滋賀県育ち。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程修了、博士(現代アジア研究)。web雑誌『MFE=多焦点拡張』編集委員。
共著書に、冨山一郎・鄭柚鎮編『軍事的暴力を問う―旅する痛み』(青弓社、2018年)。主な論文に「「生活」の焦点化―『暮しの手帖増刊 山のあなたの空とおく』の生活記述」(『同志社グローバル・スタディーズ』第8号、2018年)。主な論考に、「馬と世相」(『MFE=多焦点拡張』第4号、2023年)など。

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経験の息吹 異邦の哲学者―西田幾多郎の衝動概念

経験の息吹 異邦の哲学者

西田幾多郎の衝動概念

  • 森野雄介(著)/2025年5月
  • 5000円(本体)/A5判並製472頁
  • 装画:めめんち(作品タイトル「白鷺と瀬戸の海」)
  • 装丁:中本那由子

「日本」「東洋」といった定められた土地に住まう思考ではなく、どこかよくわからない場所から思考するものとしての西田の哲学を根底から問い直す。
(ISBN 9784868160373)

目次|Contents

はじめに
序 論 東でも西でもなく
 はじめに
第I部 西田幾多郎の基本概念――「純粋経験」・「自覚」・「場所」・「絶対無」
第一章 異邦の経験と「純粋経験」――超越論的経験論としての『善の研究』
 第一節 西田とジェイムズの共通点と差異
 第二節 『善の研究』における現在
 本章の結論
第二章 「自覚」
 はじめに
 第一節 「自覚」概念の内実
 第二節 「自覚」と当為、真理の独立性
 第三節 「自覚」における直観と時間
 第四節 自覚における反省と空間
 本章の結論
第三章 感覚する現在――『自覚』におけるヘルマン・コーヘン受容をめぐって
 はじめに
 第一節 『自覚』におけるヘルマン・コーヘンの受容
 第二節 「自覚」における感覚
 本章の結論
第四章 述語とパースペクティヴ――『意識の問題』における場所と衝動
 はじめに
 第一節 『意識の問題』――場としての意識とパースペクティヴ
 第二節 述語としての「於いて」
 第三節 述語的パースペクティヴィズム
 本章の結論
第五章 絶対無の場所、ケルベロス的「もの」――西田幾多郎『働くものから見るものへ』をめぐって
 はじめに
 第一節 田辺元と「絶対無」
 第二節 場所の基本カテゴリー
 第三節 ケルベロス的「もの」
第II部 『無の自覚的限定』
第六章 事実の形而上学、双生の「こと」――西田幾多郎『無の自覚的限定』と大森荘蔵
 はじめに
 第一節 静態的「こと」――大森荘蔵の場合
 第二節 動態的「こと」――西田幾多郎の場合
 結論
第七章 すれちがいと感覚の真理
 第一節 すれちがいと他者の深淵
 第二節 すれちがいと感覚の真理
第III部 後期西田幾多郎と京都学派への批判と考察
第八章 獣道を散歩する―日本哲学における獣の位置づけをめぐって
 はじめに
 第一節 大いなる分割と獣のアナロギア
 第二節 日本哲学における獣の位置づけ
 暫定的な結論
第九章 猫と歴史的世界 あるいはストレンジャーのポイエシス――アンリ・マルディネから西田幾多郎を読み直す
 はじめに
 第一節 アンリ・マルディネのヘーゲル解釈について
 第二節 後期西田幾多郎の「不正スタート」
 結論にかえて――ストレンジャーのポイエシス
結論
あとがき
人名索引

著者|Author

森野雄介(もりの・ゆうすけ)
1988年生まれ。金沢学院大学基礎教育機構講師。主な論文に「猫と歴史的世界 あるいはストレンジャーのポイエシス アンリ・マルディネから西田幾多郎を読み直す」(『金沢学院大学紀要』20)など。

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響きあうポーとディケンズ

響きあうポーとディケンズ

  • 松本靖彦、西山けい子(編)/2025年5月
  • 3600円(本体)/四六判上製244頁
  • 装丁:矢萩多聞

ポーとディケンズはどのように出会い、すれ違ったのか?
ポーとディケンズの接点や共通点を手がかりとして、彼らの文学がどのような関係にあるのか、彼らはお互いのことをどのように見ていたのか、などを考察する8つの刺激的論考。
(ISBN978486816033)

目次|Contents

第1章 鴉、鴉、鴉―ポーとディケンズ、濡れ羽色の縁(松本靖彦)
第2章 謎解きは書評のあとで―ディケンズとポーの「謎を解く」(渡部智也)
第3章 アメリカ社会と大衆へのまなざし―ポーとディケンズの批評・風刺(福島祥一郎)
第4章 短編小説の技法―ポーがディケンズから学んだこと(西山けい子)
第5章 ポーとディケンズの夜歩き―「群集の人」と「夜の散策」(松本靖彦)
第6章 狂人の革命を描く―ポーとディケンズの作品におけるフランス革命(岡本晃幸)
第7章 ディケンズとポーの描く幽霊、怪奇―一九世紀科学への関心(橋野朋子)
第8章 死体とユーモア―ポーとディケンズにおける無気味と笑いの交差(西山けい子)

編者|Editors

松本靖彦(まつもと・やすひこ)
東京理科大学教授
主な業績:「『互いの友』と『女王即位五十年祭の年に』にみる広告と消費(商品)文化」『ディケンズとギッシング―底流をなすものと似て非なるもの』(大阪教育図書、2018年)、“Perverted Virtue?: Jasper’s Evilness in The Mystery of Edwin Drood Readdressed.” Dickens and the Anatomy of Evil: Sesquicentennial Essays(Athena Press、2020年)、『〈線〉で読むディケンズ―速記術と想像力』(春風社、2022年)、「動かない人形のドラマ―ディケンズを通してみる人と人形(ひとがた)の関わり方」『ヴィクトリア朝文化研究』第22号(2024年)。

西山けい子(にしやま・けいこ)
関西学院大学教授
主な業績:『エドガー・アラン・ポー―極限の体験、リアルとの出会い』(新曜社、2020年)、「正直な人間が嘘をつくとき―『八月の光』における嘘と法外な歓待」『フォークナー』第23号(三修社、2021年)、「ポーにおける絵画の効果―肖像とアナモルフォーシス」『ポー研究』第16号(2024年)、「アウラとしての抒情―カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を読む」『アメリカン・ポエジーの水脈』(小鳥遊書房、2025年)。

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道をむすぶ 時をたがやす―台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

道をむすぶ 時をたがやす

台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

  • 岡田紅理子(著)/2025年5月
  • 5400円(本体)/A5判上製388頁
  • 装丁:大田高充

「キリスト教徒になること」と「キリスト教徒として生きること」
キリスト教信仰と「伝統文化」が複雑に絡み合いながらアイデンティティを未来へとつなげてきた、台湾の先住民族であるアミの人々の生の過程を描く。

「(表面的・形式的ではない、本当の)信仰」を身に付け、「篤い信仰」を持ったのか否か、あるいはキリスト教の信仰を「真に受容した」のか否かは、信者自身による申告や他者による観察によって、客観的かつ相対的に判別できるのだろうか。在来のコスモロジーにおけるパンテオンとカトリック教会の教理における神や霊的・聖的な神聖の存在を変換可能とみなすことは、超越的唯一神の崇拝とは相容れない解釈なのだろうか。もしくは、在来のコスモロジーとの親和性を見出しながら解釈されたものは、キリスト教信仰とは呼べないのだろうか。(中略)救済品を獲得したことへの感謝の想いから、集いに参加したり、祈ったり、あるいは洗礼を受けることを決断したりする行為を、「信仰」とはみなせないのだろうか[本書「おわりに」より]

(ISBN 9784868160076)

目次|contents

序論
第一部 アミとカトリシズム
第二部 アミの入信
第三部 アミの都市移住と都市生活
第四部 都市アミとカトリック信者共同体
おわりに

あとがき
参考文献一覧
索引

著者|author

岡田紅理子(おかだ くりこ)

ノートルダム清心女子大学・講師

専攻・専門:文化人類学、台湾地域研究

主な著作に『都市原住民の生活誌:台北に移住したアミの「都市」、「故郷」、「共同体」』(Monograph Series  vol. 13)(上智大学アジア文化研究所、2013年)、「「救済品」とキリスト教:米援をめぐるカトリック宣教とアミの入信の諸相」(『台湾原住民研究』第24号、2020年)、「呼応する教会と神学:台湾のキリスト教会と先住民族からの考察」(『宣教学ジャーナル』第17号、2023年)など。

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ジェイコブ・H・シフ―日本を支持したユダヤ系銀行家の軌跡

ジェイコブ・H・シフ

日本を支持したユダヤ系銀行家の軌跡

  • 村岡美奈(著)/2025年4月
  • 3700円(本体)/四六判上製354頁
  • 装丁:長田年伸

19世紀末から20世紀初頭の激動の時代、アメリカで最も有名で有力なユダヤ人だったシフ。
シフの生い立ちから銀行家としての成功、アメリカ・ユダヤ社会において果たした役割を取り上げ、慈善家としての取り組みや同胞ユダヤ人のためにアメリカ政府に対し行ったロビー活動にも着目しつつ、その人物像を深く掘り下げる。
日露戦争時、2億ドルの公債を発行し、その後も日本との親交が深かった、シフの生涯を追う。
(ISBN 9784868160465)

目次|Contents

第一章 アメリカを代表する銀行家の誕生
第二章 シフの功績
第三章 日露戦争
第四章 日露戦争後の日本との関係
第五章 AJC設立から難民支援まで
第六章 シフの遺産

著者|Author

村岡美奈(むらおか・みな)
関東学院大学国際文化学部准教授。筑波大学大学院地域研究研究科およびニューヨーク市立大学ブルックリン・カレッジ大学院ユダヤ学部の修士課程を経て、ブランダイス大学大学院近東ユダヤ学部博士課程修了(Ph.D)。専門は近代ユダヤ史およびアメリカ・ユダヤ史。在学中にニューヨークのユダヤ遺産博物館の教育インターン、ユダヤ人歴史研究所およびアメリカ・ユダヤ文書館の研究フェローを務める。
主要業績に『ユダヤ文化事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、New Perspectives in American Jewish History: A Documentary Tribute to Jonathan D. Sarna(共著、Brandeis University Press, 2021年) マリオン・イングラム『戦渦の中で―ホロコースト生還者による苦難と希望の物語』(共訳および解説、小鳥遊書房、2020年)がある。

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