教師教育五十年―「ひよことたまご」の教育実践

教師教育五十年

「ひよことたまご」の教育実践

  • 横須賀 薫(著)/2024年9月
  • 3000円(本体)/四六判並製234頁
  • 装丁:横須賀 拓

戦後教育改革による師範学校から教員養成大学への変遷、東大闘争を経て、教職課程コアカリキュラムの策定、教職大学院の構想へと進んだ激動の半世紀。「教師の教師になる」。本書の著者は、これまで大学における教員養成と現場での現職教育とを一貫して同一課題ととらえて論じ、ときに大勢に抗いながら「教師教育」を実践しつづけてきた。昭和、平成にかけて気鋭の教育者たちと交流し、ともに未来を見据えてきた著者のまなざしに宿る「ひよことたまご」の思想とは?
(ISBN 9784861109836)

目次|Contents

序 章 教師教育の基本と実践性

Ⅰ部 宮城教育大学の教員養成改革
第一章 教員免許について
第二章 開放性と閉鎖性の二項対立
第三章 運命としての宮教大
第四章 小学校教員養成の「発見」
第五章  統合の軸としての「教授学」
第六章 「表現」の欠落を埋める
第七章 小学校課程専任教員をつくる
第八章 「教職入門」の役割と実際
第九章 教科教育学の自立と充実
第十章 教育実習と附属学校の改革
第十一章 ゼミの大切さと卒業後のケア
第十二章 「教授学」に託したもの

Ⅱ部 広い視野からの活動へ
第一章 挫折・失意から広い視野へ
第二章 教員養成部会に加わる
第三章 教員免許「国家試験制」の提唱
第四章 教員養成専門大学の必要性と可能性
第五章 私学の教員養成を経験する
第六章 「地域連携」が充実の鍵

終 章 日本の教師の資質能力は低下、不変、上昇?

初出一覧
あとがき

ラディカルな精神―跋文に代えて(三浦 衛)

著者|Author

横須賀 薫 (よこすか・かおる)

1937年大阪で生まれ、物心ついて以後、横浜で育つ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程単位取得退学。
1968年宮城教育大学の教育学担当講師、70年同助教授、83年同教授を経て、2000年8月、同大学学長に就任。06年7月任期満了で退職。
2007年4月から十文字学園女子大学特任教授・学事顧問、11年4月学長に就任。17年3月任期満了で退職。
主な著書に『子どもの可能性をひらくもの』(教育出版、1987年)、『授業研究用語辞典』(教育出版、1990年)、『授業の深さをつくるもの』(教育出版、1994年)、『斎藤喜博 人と仕事』(国土社、1997年)、『教員養成 これまでこれから』(ジアース教育新社、2006年)、『図説 教育の歴史』(共著)(河出書房新社、2008年)、『新版 教師養成教育の探究』(春風社、2010年)、『斎藤喜博研究の現在』(編著)(春風社、2012年)、『教育実践の昭和』(春風社、2016年)ほか。

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1918年のインフルエンザパンデミック―ニュージーランドの経験から学ぶ

1918年のインフルエンザパンデミック

ニュージーランドの経験から学ぶ

  • ジェフリー・ライス(著)、伊藤雄志、箱根かおり、リッチー ザイン(訳)/2024年9月
  • 2800円(本体)/A5判並製138頁
  • 装丁:中本那由子

新型コロナウイルス対策でも生かされた、
悪夢のような大災害の体験と記憶と教訓に関する書

ニュージーランド史上最悪の公衆衛生上の災害に対して
・政府はどのように対応し、対策を立てたのか
・感染症を抑制するために、どれくらい科学的知識を尊重したのか
・地域社会はどのような方法で互いに助け合い、病人や弱者を救ったのか

(ISBN 9784861109881)

目次|Contents

第1章 1918年のインフルエンザパンデミックを理解する
第2章 第一次世界大戦は感染拡大にどのような役割を果たしたのか?
第3章 ニュージーランドへのインフルエンザ感染拡大
第4章 インフルエンザの感染拡大にともなう支援の組織化
第5章 病人とその家族の世話
第6章 災害の反省
第7章 研究と学んだ教訓

著訳者|Author and Translator

【著者】
ジェフリー・ライス(Geoffrey W. Rice)
カンタベリー大学歴史学名誉教授
ニュージーランド・メリット勲章受章

【訳者】
伊藤雄志(いとう・ゆうし)
元ウェリントン・ヴィクトリア大学日本語学科長
東北大学理学部 学士号
広島大学大学院文学研究科 修士号
メルボルン大学大学院 Ph.D.
2018年外務大臣表彰受章
2019年旭日単光章受章

箱根かおり(はこね・かおり)
大阪女学院大学国際・英語学部准教授
マッコーリ大学文学部 学士号 (Hon)
シドニー大学大学院応用言語学部 修士号 (Merit)
ニューヨーク州立大学大学院 理学修士号
博士後期課程在籍中
国際交流基金在外法人研修
研究分野は国内外のコミュニティ開発とリーダーシップ

リッチー ザイン(Zane Ritchie)
城西大学現代政策学部准教授
ウェリントン・ヴィクトリア大学文学部 学士号 (Hon)
立命館大学大学院文学研究科 修士号 (Merit)
ウェリントン・ヴィクトリア大学大学院 修士号
文部科学省国費留学生
ニュージーランド出身、日本在住25年。主な研究分野は地域研究(ニュージーランド、日本とアフリカ)

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吉屋信子―小説の枠を超えて

吉屋信子

小説の枠を超えて

  • 山田昭子(著)/2024年7月
  • 3300円(本体)/四六判上製366頁
  • 装丁:大國貴子

一作家としての屹立
戦前の少女小説家の代表者である吉屋信子。しかし、彼女の文学世界はそこのみにとどまるものではなかった。
童話、少女小説、大衆小説、評伝小説と、領域を横断しながら描き出された多彩な作品を、丹念な書誌研究をもとに読み解く。
(ISBN 9784861109683)

目次|Contents

はじめに
Ⅰ 童話・少女小説
第一章 吉屋信子、その〈少女性〉――童話から少女小説へ
第二章 『花物語』における少女たちの裏切り――「睡蓮」論
第三章 〈競い合う少女〉たち――『少女倶楽部』における運動小説について
第四章 『花物語』の終焉――「薊の花」論
第五章 母からの離脱――『からたちの花』論
Ⅱ 大衆小説
第六章 遍歴する女と三人の男たち――『良人の貞操』論
第七章 まなざされるボルネオ――『新しき日』における『風下の国』の意味
Ⅲ 戦後――大衆小説・評伝小説
第八章 変転する〈母〉の物語――『安宅家の人々』論
第九章 歴史小説への紐帯――『香取夫人の生涯』論
Ⅳ 吉屋信子研究の現在とその展望
吉屋信子作品年表

著者|Author

山田昭子 (やまだ・あきこ)

神奈川県生まれ。専修大学大学院文学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、専修大学・東洋英和女学院大学・関東学院大学・白百合女子大学・立正大学の非常勤講師をつとめる。主な論文に、「『新女苑』における中里恒子の仕事」(『芸術至上主義文芸(49)』、二〇二三年一一月)、「二つの厠の物語――川端康成「化粧」、吉屋信子「隣家の厠」をめぐって」(『芸術至上主義文芸(48)』、二〇二二年一一月)、「文字の美しさと少女の美――少女雑誌広告に見る文字指導の変遷」(『ことばと文字(12)』、二〇一九年一〇月)など。

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ベルブアルブアルの世界―マレーシアの柔構造時間と柔構造社会

ベルブアルブアルの世界

マレーシアの柔構造時間と柔構造社会

  • 板垣明美(著)/2024年6月
  • 3000円(本体)/四六判並製340頁
  • 装丁:矢萩多聞
  • 挿画:越野世帆里

「お金の理論」と「人の理論」のバランスをとるメカニズムとは?
カギとなるゼロ時間(無の時間)をマレーシアの農村で徹底調査し、その役割と重要性を明らかにする。
(ISBN 9784861109201)

目次|Contents

はしがき
序 章 文化人類学が捉えた「時間」と「環境問題=持続可能性」の関連
第1章 マレー人農村の柔構造時間と柔構造社会
――新しい技術も自分たち流に
第2章 ベルブアルブアルの世界
――マレー人農村におけるおしゃべり活動とその成員
第3章 マレー人農村は変わったか
――マレーシア・ケダ州の大規模灌漑プロジェクトと農民の対応
第4章 マレーシアにおける農薬使用の抑制のフィードバック
――ケダ州ムダ地域G村の「漁労稲作果樹菜園文化生態系」の事例
あとがき
アペンディックス

著者|Author

板垣明美 (いたがき・あけみ)

1985年筑波大学環境科学研究科修士課程修了、1993年筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
横浜市立大学都市社会文化研究科准教授。
主要著書に『癒しと呪いの人類学』(2003年、春風社)、『ヴェトナム―変化する医療と儀礼』(編著、2008年、春風社)ほか。

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芥川龍之介の中国遊歴―光と影の軌跡

芥川龍之介の中国遊歴

光と影の軌跡

  • 藤谷浩悦(著)/2024年6月
  • 6800円(本体)/A5判上製624頁
  • 装丁:根本眞一(クリエイティブ・コンセプト)

中国という鏡を通して、日本を見つめ直す
常に新しい分野に突き進もうとし、最後まで孤高を貫いた芥川龍之介。中国旅行は重要な転換点であり、心のなかで、決定的に何かが変わった――
本書は、芥川龍之介が一九二一年三月から七月までに行った中国遊歴について、同時代の中国や朝鮮、日本で起きた出来事に着目しつつ、芥川の前後に中国を遊歴した人々の記録を参照しながら再現し、あわせてこの中国遊歴が芥川に与えた影響を考察するものである。(本書序論より)
(ISBN 9784861109669)

目次|Contents

序論
第一編 東京から上海へ
第1章 旅立ちまで―中国への思い
第2章 上海到着の前後―東亜新聞記者大会
第3章 著名人との会談―鄭孝胥、章炳麒、李人傑
第4章 上海の名所探訪―芝居と歓楽街、芸妓
第二編 長江流域の周遊
第5章 杭州と蘇州の衝撃―排日運動の底流
第6章 蘇州、鎮江、揚州の周遊―江南の風景と情感
第7章 上海の別れ、蕪湖の再会―亡き母への思い
第8章 九江と廬山、漢口の旅―在留日本人の特徴
第9章 漢口から長沙へ―古典研究の隘路
第三編 北京から東京へ
第10章 京漢鉄道の旅―上海の極東オリンピック大会
第11章 洛陽から北京へ―文化の重さ
第12章 天津への嫌悪感―北京郊外の旅
第13章 田端の自宅への帰還―奉天、京城から東京へ
結論

著者|Author

藤谷浩悦 (ふじや・こうえつ)
1957年、秋田県に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科(東洋史専攻)単位取得満期退学。博士(文学)。人文学研究者
著書:『湖南省近代政治史研究』(汲古書院、2013年)、『戊戌政変の衝撃と日本―日中聯盟論の模索と展開』(研文出版、2015年)、『井上雅二と秀の青春(一八九四-一九〇三)―明治時代のアジア主義と女子教育』(集広舎、2019年)
編著書:(饒懐民との共編)『長沙搶米風潮匯編』(岳麓書社、2001年)、『良き師と友、塾生に支えられて―藤谷正治郎(薫水)とその時代』(非売品、2017年)

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イギリス湖水地方―ピーターラビットのガーデンフラワー日記

イギリス湖水地方

ピーターラビットのガーデンフラワー日記

  • 臼井雅美(著)/2024年6月
  • 2200円(本体)/四六判並製162頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

イギリス湖水地方で出会った、個性豊かな花々の共演――
季節の移ろいにそってトレッキングした際に出会った、カントリー・ハウスやコテージなどのガーデンとそこに植えられた草木をカラー写真とともに紹介するエッセイ。『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)の続編。
(ISBN 9784861109485)

目次|contents

プロローグ
Ⅰ 春の囁きに誘われて
春雨のしずくの精たち クロッカス(Crocus)
パレットから飛び出した黄色いブーケ スイセン(Narcissus)
小さな星たちの願い ヒヤシンス(Common Hyacinth)
陽光に向けて、満面の笑顔 パンジー(Pansy)
大切な宝物を守っているよ チューリップ(Tulip)
秘境からやってきた客人 ブルーポピー(Blue Poppy)
にっこり赤ちゃんのほっぺ ナデシコ(Pink)
みんなで集まって大合奏 ベルフラワー(Bell Flower)
黄色のショールがふんわりと レンギョウ(Golden Bells)
ハンカチを振ってごあいさつ モクレン(Mulan Magnolia)
両手からこぼれそうな幸せの束 シャクナゲ(Rhododendron)
秘密の誓いの証 バラ(Rose)
Ⅱ 初夏から夏へ、光との共演
小さな森から顔を出した子供たち ベゴニア(Begonia)
溢れ出る思いを込めて ペチュニア(Petunia)
窓辺のささやき声 ゼラニウム(Garden Geranium)
耳元で揺れるイヤリング フクシヤ(Fuchsia)
小さな蝶たちのピクニック ロベリア(Edging Lobelia)
葉っぱのお皿に添えられて ナスタチウム(Nasturtium)
香りのメッセンジャー ラヴェンダー(Lavender)
虹色のキャンドルが放つ光 アイリス(Iris)
手のひらいっぱいの喜び クレマチス(Clematis)
色と水の魔術師 アジサイ(Japanese Hydrangea)
黄緑のクッションにもたれて ギボウシ(Plaintain Lily)
庭で踊るボールたち アリウム(Allium)
雨上がりに灯った小さな炎 アザレア(Azalea)
天から降り注いだ金の鎖 ラバーナム(Laburnum)
紫のドレスに包まれて フジ(Japanese Wisteria)
揺れる赤いビーズの房 セイヨウスグリ(Gooseberry)
Ⅲ 秋のそよ風に揺れて

星たちの静かな願い アスター(Aster)
宇宙からの使者 コスモス(Common Cosmos)
秋風に向かって、Shall we dance? シュウメイギク(Japanese Anemone)
黄色いコスチュームでイナバウワー イエローコーンフラワー(Yellow Coneflower)
庭を跳ね回る子供たち エキノプス(Echinops)
荒れ地から噴き出した恵み エリカ(Erica)
背伸びをして何を見ているの? ユリ(Lily)
秋を守るガードマン パンパスグラス(Pampas Grass)
恥ずかしがり屋さんのシルエット シクラメン(Cyclamen)
魔女が吹きかけた息の跡 ウィッチヘーゼル(Witch Hazel)
Ⅳ 冬から春に向けて
雪の精からの贈り物 クリスマスローズ(Christmas Rose)
暖かなケープをまとって ツバキ(Camellia Japonica)
寒風からしっかりと身を守って ボケ(Flowering Quince)
お祝いの時がやってきたよ セイヨウヒイラギ(European Holly)
春へのプレリュード セイヨウサンシュユ(Cornelian Cheery Dogwood)
赤と緑のネックレス コトネアスター(Cotoneaster)
ほのかな灯りのシンフォニー ロウバイ(Chimonanthus)
エピローグ
参考文献

著者|author

臼井雅美(うすい・まさみ)
1959年神戸市生まれ。同志社大学文学部・文学研究科教授。神戸女学院大学卒業後、同大学院修士課程修了(文学修士)、1987年ミシガン州立大学修士課程修了(M.A.)、1989年博士課程修了(Ph.D.)。ミシガン州立大学客員研究員を経て、1990年広島大学総合科学部に専任講師として赴任。同大学助教授、同志社大学文学部助教授を経て、2002年より現職。著書に、『記憶と共生するボーダレス文学―9・11プレリュードから3・11プロローグへ』(2018年)、『カズオ・イシグロに恋して』(2019年)、『赤バラの街ランカスター便り』(2019年)、『ビアトリクス・ポターの謎を解く』(2019年)、『不思議の国のロンドン』(2020年)、『ボーダーを超えることばたち―21世紀イギリス詩人の群像』(2020年)、『記憶と対峙する世界文学』(2021年)、『ふだん着のオックスフォード』(2021年)、『イギリス湖水地方アンブルサイドの女神たち』(2021年)、『イギリス湖水地方モアカム湾の光と影』(2022年)、『ブラック・ブリティッシュ・カルチャー―英国に挑んだ黒人表現者たちの声』(2022年)、『イギリス湖水地方におけるアーツ・アンド・クラフツ運動』(2023年)、『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)などがある。

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ホダセヴィチ詩集―ロシア詩篇・亡命詩篇

ホダセヴィチ詩集

ロシア詩篇・亡命詩篇

  • 三好俊介(編訳)/2024年6月
  • 3100円(本体)/四六判上製224頁
  • 装丁:矢萩多聞

本邦初の本格的紹介。
革命の戦乱と言論弾圧のもと、詩人の尊厳と自由への希望をうたった言葉の魔術師ホダセヴィチ。ナボコフは彼を「20世紀最大のロシア詩人」と呼んだ。(『賜物』英語版序文)。
(ISBN 9784861109638)

目次|contents

Ⅰ モスクワ詩篇
受動態
欠落
愛しき友に
夕べ
祈り

小川
ペトロフスキー公園で
穀粒の道を
〈雨あがりの夜は暖かく、甘い香りがする……〉
音楽

Ⅱ ペテルブルク詩篇
曲芸師

〈哀れなわがプシュケー!……〉
〈たとえ過去など惜しくなく……〉
日記から
客に
あらし
〈私は人も自然も好きなのだが……〉
窓の外(第一)
窓の外(第二)
コルク栓
たそがれ
バッコス
バラード(〈上から明かりを浴びて、丸い自室に……〉)
〈貴婦人は長いこと手を洗った……〉
〈踏み越えよ、跳ね越えよ……〉
〈母ではなく、トゥーラの農婦の……〉
証拠
〈地上の美を私は信じない……〉
三月
〈秘められた幻力の覆いを……〉

Ⅲ 亡命詩篇
〈粗野な生業を眺めていても……〉
ベルリン的
〈疲れ果てて私は寝床から起き上がる……〉
水車小屋
〈春の無駄口で緩みはしないのだ……〉
盲人
〈神は在られる! 知を尊び不可解を嫌う私は……〉
〈すべてが石造り。石造の吹き抜けの中へと……〉
鏡の前で
バラード(〈私は自分を抑えられない……〉)
ペテルブルク
ソレントの写真
〈悪天候の冬の日を突き抜けて……〉
記念碑

【補遺】ホダセヴィチによる回想(抄)
1.帝政末期とロシア象徴派
2.革命下のモスクワ
3.革命下のペテルブルクと「芸術会館」
————————————————

・作品注解
・解説 ヴラジスラフ・ホダセヴィチ―人と作品
・ホダセヴィチ年譜
・訳者あとがき

著者|author

ヴラジスラフ・ホダセヴィチ(Владислав Ходасевич)
(1886-1939)モスクワ生まれ。父親はポーランド士族の末裔で、母親はユダヤ人だが、執筆言語はロシア語。象徴派詩人の一員として出発するが、ロシア革命前後の戦火と窮乏、言論弾圧のなかで、生への希望をうたって独自の詩風を確立。自由の希求と、暴力の嫌悪ゆえ、革命賛美の立場はとらなかった。後に亡命して、パリで没す。文芸評論の仕事も多い。ソ連では禁書とされたが、文学への愛情にあふれる知的な詩風は、ナボコフら高名な文学者にも高く評価された。

編訳者|editor and translator

三好俊介(みよし・しゅんすけ)
駒澤大学教授。博士(文学・東京大学)。東京大学教養学科卒業、同大学院人文社会系研究科修了。専攻は19~20世紀ロシア詩。

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挨拶の哲学

挨拶の哲学

  • 鳥越覚生(著)/2024年5月
  • 3500円(本体)/四六判上製240頁
  • 装丁:矢萩多聞

挨拶に関し様々な角度から思索を重ね、挨拶という現象の意義を解明する。

「挨拶は大文字の理念ではない。挨拶は頭や理性からの指令ではなくて、我が身からあふれてくる幽かな宇宙ことばである。これはまた、人間に残された最後の小さな「やさしさ」と言ってもよい。と言うのも、真正の挨拶はわが身、それもその底辺である足裏から湧き上がってくるものだからである。」(本文より)

(ISBN 9784861109270)

目次|contents

はじめの挨拶
第一部 思想史篇 ショーペンハウアーからレヴィナスへ
佇む傍観者からの挨拶
第一章 無責任の散歩
第二章 暗がりの色彩論
第三章 色彩の挨拶
第四章 世界を映す一つの眼と巨人
第五章 立ち上がって、祈っていなさい
第二部 教示篇 挨拶の哲学 よく生きるために
はじめの挨拶
第一章 人間の無関心
第二章 共生共苦の宇宙ことば
第三章 挨拶と祈り
おわりの挨拶 人間のやさしさに賭ける
あとがき
初出一覧
索引

著者|author

鳥越覚生 (とりごえ・かくせい)
1984年石川県金沢市生まれ
博士(文学・京都大学)
主要著作
『佇む傍観者の哲学 ショーペンハウアー救済論における無関心の研究』晃洋書房、2022年

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月印釈譜

月印釈譜

  • 河瀬幸夫(訳)/2024年5月
  • 6000円(本体)/A5判1162頁 ※本書は固定レイアウト型の電子書籍です。

15世紀に創製された当時のハングルで書かれた、釈迦の生涯と教えを伝える『釈譜詳節』・『月印千江之曲』・『月印釈譜』三書の日本語訳。『月印千江之曲』は中世韓国語の原文を掲載。
(ISBN 9784861109645)

目次|contents

月印釈譜 上
口絵
凡例
はじめに
月印釈譜第一
月印釈譜第二
釈譜詳節第三
月印釈譜第四
月印千江之曲第五
釈譜詳節第六
月印釈譜第七
月印釈譜第八
釈譜詳節第九
月印釈譜第九
月印釈譜第十
釈譜詳節第十一
月印釈譜 中
釈譜詳節第十三
釈譜詳節第十九
釈譜詳節第二十
釈譜詳節第二十一
月印釈譜
月印釈譜第十一
月印釈譜第十二
月印釈譜第十三
月印釈譜第十四
月印釈譜第十五
月印釈譜第十七
月印釈譜第十八
月印釈譜第十九
月印釈譜 下
月印釈譜第二十
月印釈譜第二十一
月印釈譜第二十二
月印釈譜第二十三
釈譜詳節第二十三
釈譜詳節第二十四
月印釈譜第二十五
付録

訳者|translator

河瀬幸夫(かわせゆきお) 
1945年、東京都大田区に生まれる。1973年、早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻修士課程を修了し、私立横須賀学院高校の国語教員となる。1979年、韓国を旅行したことが契機となり、韓国語の学習を始める。2003年、横須賀学院を退職して、ソウルの東国大学校大学院仏教学科(仏教史学専攻)に入学。在学中、高麗大蔵経について学ぶ中で、15世紀に創制された当時のハングルを使い韓国語に翻訳された多数の仏典があることを知る。2007年に大学院の課程を終えた後、横浜の自宅で韓国語仏典の日本語訳に専念する。訳書に『釈譜詳節』(上・中・下、2010~2013年、春風社)、『法華経諺解』(上・下、金星周との共訳、2017~2018年、春風社)がある。

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産後の〈風〉―病いの語りからみる韓国社会とジェンダー

産後の〈風〉

病いの語りからみる韓国社会とジェンダー

  • 諸 昭喜(著)/2024年5月
  • 3600円(本体)/A5判並製272頁
  • 装丁:苑田菊見

文化的表象としての「苦しみのイディオム」
韓国の民俗病「産後風(サヌプン)」をめぐる人びとの語りから、その病いが1980年以前、女性たちが置かれた劣等な地位、経済的貧困と過度な労動による心理的、肉体的苦痛という社会・文化的背景から構築され、いまなお〈風〉は、弱者として生きてきた韓国女性全体に「苦しみのイディオム」として共有され続けていることを、人類学的に論究する。

(ISBN 9784861109577)

目次|contents

はじめに――「声なき声」をすくい上げる

序 章 病いからみる社会
1. 民俗病の研究と歴史
2. 産後の病い
3. 本書の構成

第1章 韓国の医療環境と出産
1. 韓国の医療体系
2. 韓方医学の社会的位置づけ
3. 出産の慣習と文化――産室から病院の分娩室へ
4. 出産の医療化と背景

第2章 「産後風」という病い
1. 産後をめぐる観念
2. 産後風の歴史的由来と定義
3. 産後風の症状
4. 治療と健康管理行為

第3章 患う女性――病いの語りとジェンダー
1. 「女性のオーラル・ヒストリー」と「病いの語り」の間

2. 産後風の語りにみられる韓国女性の生活
3. 「ないはずがない身体」の意味づけ

第4章 治療する側――韓方医学における疾病の社会的構築
1. 韓方医学における産後風の持続、変化、拡大
2. 韓方医による病理化
3. メディアによる知識の流通

第5章 ケアする人――産後調理院と産後調理士の登場と発達
1. ケアされなかったお母さんたち
2. 産後ヘルパーから健康管理士へ
3. 「産後調理院」のケアと儀礼の変容
4. 強化されていく産後ケア

終 章 消えゆく病名――「産後風」とはなにか
1. 文化的表象としての「苦しみのイディオム」
2. 産後風からみる女性の望み
3. 西洋医学のパラダイムにおける民俗的な病い
4. 産後風の治療に関わる課題

おわりに
初出一覧
参考文献

著者|author

諸 昭喜(チェ・ソヒ)

奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。
国立民族学博物館グローバル現象研究部助教。
韓国、台湾、バングラデシュでの妊娠中と出産時の女性の疾病と治療について研究を行っている。
主な著作に、共著『痛みからみえてくること』(韓国語、Humanitas, 2021年)や『尊厳と生存』(法政大学出版局、2022年)、論文「韓国女性のソーシャル・サファリングの身体化―「産後風」の語りを中心に」(『日本ジェンダー研究』、2018年)、「東洋医学における疾患の社会的構築―韓国の産後風を事例として」(『人体科学』、2018年)ほか。

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