フィヒテ伝

フィヒテ伝

  • マンフレッド・キューン(著)、湯浅正彦、杉田孝夫(監訳)/2026年2月
  • 10000円(本体)/四六判上製1168頁
  • 装丁:矢萩多聞
  • 装画:川村淳平

『カント伝』に続く、哲学的伝記研究の決定版。
最新の資料をもとに、フィヒテの激動の生涯と哲学とを密接に関連づけて叙述した思想的伝記。人格性と時代状況との相互作用に焦点を当て、包括的に活写する。
(ISBN 9784868160854)

目次|Contents

第Ⅰ章 幼年時代(一七六二-一七七四年)

第Ⅱ章 プフォルテ学院(一七七四-一七八〇年)

第Ⅲ章 大学での学業(一七八〇-一七八四年)

第Ⅳ章 流転(一七八四-一七九一年)

第Ⅴ章 カントと『あらゆる啓示の批判の試み』(一七九二-一七九三年)

第Ⅵ章 イェーナ大学にて 第一場(一七九四-一七九五年)

第Ⅶ章 イェーナ大学にて 第二場 (一七九五-一七九九年)

第Ⅷ章 ベルリンの在野の学者として(一七九九-一八〇五年)

第Ⅸ章 エアランゲン大学教授職とナポレオン戦争の混乱(一八○五-一八○九年)

第Ⅹ章 ベルリン大学教授職(一八〇九-一八一四年)

謝辞
歴史的連関におけるJ・G・フィヒテの生涯の主要事項
訳者あとがき
文献目録
図版の典拠
人名索引
訳者紹介

著訳者|Author and Translator

【著者】
マンフレッド・キューン(Manfred Kuehn)
1947年生れ。マギル大学博士。ボストン大学名誉教授。専門は、カントとヒュームおよび両者の関係、ドイツ観念論とそれに先行する英独仏の哲学、倫理学・宗教哲学。共編著に『一八世紀ドイツ哲学者事典』(The Dictionary of Eighteenth-Century German Philosophers, general eds. Heiner F. Klemme & Manfred Kuehn, London & New York: Continuum 2010, 3 vols; 2nd ed., Bloomsbury, 2016)、著書に『カント伝』Kant: A Biography, Cambridge: Cambridge University Press, 2001/邦訳:春風社、2017年)など。

【監訳者】
湯浅正彦(ゆあさ・まさひこ)
立正大学文学部教授。著作に『存在と自我―カント超越論的哲学からのメッセージ』(勁草書房、2003年)、『絶対知の境位―フィヒテ知識学読解への誘い』(KADOKAWA、2020年)など。

杉田孝夫(すぎた・たかお)
お茶の水女子大学名誉教授。著作に「フィヒテ『自然法の基礎』再読」(青山法学論集第64巻第4号、2023年)、「『永遠平和のために』と『ドイツ国民に告ぐ』」(東洋学術研究、第63巻第2号、2024年)など。

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日本語教師のキャリア形成—その多様性・複線性を形づくるもの

日本語教師のキャリア形成

その多様性・複線性を形づくるもの

  • 髙井かおり(著)/2026年2月
  • 5500円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:中本那由子

日本語は誰でも教えられる?日本語教師は食べていけない?
2024年より国家資格「登録日本語教員」が施行された。いま、これまでの日本語教師や日本語を教える以外の支援に携わってきた人びとは新たなキャリア選択を迫られている。本書では、日本語を教えるとは? 教師とは? という根源的な問いから、かつて日本語教師を志した5人へのインタビューをライフストーリー研究と複線径路等至性アプローチ(TEA)の両輪で解析。客観的キャリア=職業としての日本語教師ではなく、一人ひとりに個別的で多様な生き方、すなわち主観的キャリアとしての日本語教師像に光を当てる。
(ISBN9784868161028)

目次|Contents

まえがき
 1. 本研究を始めたきっかけ
 2. 本研究の今に至る経緯

序章 本書の背景と目的・課題
 1. 本書の背景
 2. 日本語教師とは
 3. 日本語教師の社会的経済的不安定さとキャリア形成
 4. 日本語教師の社会的経済的不安定さとボランティアの関係
 5. 本書の目的と課題
 6. 本書の認識論と研究方法
 7. なぜ2種類の質的研究法を用いるのか
 8. 本書の全体構成

第1章 日本語教育におけるキャリア研究
 1. キャリア理論
 2. 日本語教師の専門性
 3. 日本語教育は何をめざすのか
 4. ボランティアと日本語教師のキャリア形成
 5. 日本語教師のキャリア形成に関する先行研究
 6. 考察
 7. まとめ

第2章 日本語教師の多様なストーリー(調査・分析1:ライフストーリー)
 1. ナラティブとは
 2. ライフストーリーとは
 3. 本研究になぜライフストーリーを用いるのか
 4. 調査・分析方法
 5. Aさんのストーリー
 6. Bさんのストーリー
 7. Cさんのストーリー
 8. Dさんのストーリー
 9. Eさんのストーリー
 10. 5人のライフストーリーの社会的文化的背景とキャリア形成
 11. まとめ

第3章 日本語教師のキャリア形成プロセス(調査・分析2:複線径路等至性アプローチ)
 1. 背景と目的
 2. 記号論的文化心理学
 3. 複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach: TEA)
 4. 本研究になぜTEAを用いるのか
 5. 調査概要
 6. 分析結果
 7. 考察
 8. まとめ

終章 結論
 1. 本書のまとめ
 2. 研究課題への回答
 3. 本書の結論
 4. 本書の意義と今後の課題・展望

引用文献
引用資料
図目次
表目次
初出一覧
謝辞
索引

著者|Author

髙井かおり(たかい・かおり)
東亜大学人間科学部国際交流学科教授
2012年早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了(修士・日本語教育学)
2025年立命館大学大学院人間科学研究科博士課程後期課程修了(博士・人間科学)
修士課程修了後、早稲田大学日本語教育研究センター非常勤インストラクター、明星大学人文学部国際コミュニケーション学科特任准教授を経て現職

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子どもの声を聴く教師たち―アメリカの多文化教育の実践から

子どもの声を聴く教師たち

アメリカの多文化教育の実践から

  • 植松千喜(著)/2026年2月
  • 4500円(本体)/四六判上製352頁
  • 装丁:中本那由子

声を聴くことの難しさ、複雑さ、多様さ――
教室において生徒と教師の間で日々実践される、声を聴くこと、声を聴こうとしても聴けないこと、声を聴くことに気づくこと、といった試みの諸相や内実を、多様な実践記録とともにクリティカル・ペダゴジーや多文化教育の論点から考究。子どもの知的な自由に開かれた実践を促し、学校教育や社会のあり方を問い直すための契機を描く。
(ISBN9784868160984)

目次|Contents

まえがき
序章 子どもの声を聴くペダゴジーをめぐる課題
第I部
第1章 教育学における「生徒の声」研究の射程――「生徒の声」を聴くペダゴジー研究の再評価
第2章 ジェイコブ・ニューマンのクリティカル・ペダゴジー論――ヘンリー・ジルーとの比較を通して
第3章 ペダゴジー実践における「生徒の声」の可能性と課題――ヘンリー・ジルーと多文化教育を手がかりに
第II部
第4章 クリティカル・ペダゴジーにおいて教師が子どもの「声」を聴くということ――メアリー・コーウィーの実践記録の検討を通して
第5章 ペダゴジーにおける「生徒の声」を聴くことの困難――グレゴリー・ミッチーの多文化教育の実践記録および研究を手がかりに
第6章 学びとアイデンティティを接合する変革的教育実践――「アイデンティティの資金 (Funds of Identity)」 アプローチの可能性
終章 「声」とペダゴジーを再考する
あとがき
引用・参照文献
初出一覧
索引

著者|Author

植松千喜(うえまつ・かずき)
1991年生まれ、神奈川県出身。専門は教育方法学、カリキュラム研究。慶應義塾大学法学部法律学科卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、慶應義塾大学教職課程センター助教。主な論文に「ペダゴジーにおける「生徒の声」を聴くことの困難――グレゴリー・ミッチーの多文化教育の実践記録および研究を手がかりに」(『教育学研究』第90巻第1号、2023年)、「批判的教育学において教師が子どもの「声」を聴くということ――メアリー・コーウィーの実践記録の検討を通して」(『異文化間教育』第53号、2021年)がある。

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回復支援というまなざし―薬物事犯保護観察対象者を支える保護観察官の考察から

回復支援というまなざし

薬物事犯保護観察対象者を支える保護観察官の考察から

  • 有野雄大(著)/2026年2月
  • 5500円(本体)/A5判並製298頁
  • 装丁:長田年伸

犯罪や非行からの回復は、対象者自身の人間としての尊厳とその主体性の回復から始まる――
薬物事犯者に日々向きあう保護観察官が、刑事司法の枠組の限界という葛藤を抱えながらも、対象者を処遇の客体ではなく回復する主体と捉える〈回復志向性〉という概念によって、保護観察だからこそできる支援を追求する姿を描く。
(ISBN9784868161196)

目次|Contents

はじめに

序章 本書の目的と構成
 第1節 本書の目的
 第2節 本書の構成
■第1部 薬物事犯者をとりまく環境―文献研究
第1章 薬物関連問題の動向
 第1節 日本における薬物犯罪対策の動向
 第2節 日本における薬物乱用防止対策
 第3節 更生保護における薬物事犯者処遇
 補節 海外における薬物犯罪の動向と対策
第2章 薬物依存からの回復とは
 第1節 精神疾患からの回復と薬物依存からの回復
 第2節 リカバリー(回復)志向性(Recovery-oriented)の定義と要素
 第3節 薬物関連問題当事者の処遇
 第4節 問題点と本書の意義
■第2部 保護観察官の葛藤と〈回復志向性〉―実証的研究
第3章 薬物事犯者との関わりにおける自己変容プロセス(研究1)
 第1節 目的
 第2節 対象と方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 小括
 補節 家族との関わりの変容
第4章 薬物事犯者の回復を促進する関わりとは(研究2-1)
 第1節 目的
 第2節 対象と方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 小括
第5章 薬物事犯者への〈回復志向性〉の尺度(研究2-2)
 第1節 目的
 第2節 対象と方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 小括
第6章 保護観察官の〈回復志向性〉に影響する要因(研究2-3)
 第1節 目的
 第2節 対象と方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 小括
結章 葛藤を抱えながら回復を支援する―総合考察
 第1節 本書によって得られた知見
 第2節 本書の意義
 第3節 実践への示唆と提言
 第4節 本書の限界と課題
 第5節 結語
おわりに

著者|Author

有野雄大(ありの・ゆうだい)
筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群(3年制博士課程)ヒューマン・ケア科学学位プログラム修了。博士(ヒューマン・ケア科学)。公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士。
2008年度法務省入省。釧路、旭川(沼田)、長野、さいたま、東京(立川)の各保護観察所において、保護観察官として犯罪をした者や非行のある少年の指導や支援等に従事したほか、法務省保護局、川越少年刑務所、内閣府、法務総合研究所、東京拘置所でも勤務した。
薬物関連問題のある者への指導や支援に関心が高く、保護観察所において長年従事。特定非営利活動法人ASK認定依存症予防教育アドバイザーとしても活動している。

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空腹のアイルランド―ジェイムズ・ジョイスの大飢饉表象を読み解く

空腹のアイルランド

ジェイムズ・ジョイスの大飢饉表象を読み解く

  • 田多良俊樹(著)/2026年2月
  • 3100円(本体)/四六判上製198頁
  • 装丁:矢萩多聞

19世紀なかば、ジャガイモの凶作に端を発し、100万人の餓死と100万人の国外流出をもたらしたアイルランド大飢饉。この災厄はジョイスの作品でどのように表象されているのか。『ダブリンの市民』『若き日の芸術家の肖像』『ユリシーズ』を詳細に分析し、ジョイスが秘めていた政治的意思を読む。
(ISBN9784868161073)

目次|Contents

序章 ジェイムズ・ジョイスとアイルランド大飢饉
第一章 マンガンとミッチェルを読むジョイスを読む――大飢饉人災説の系譜とテクストを介した追体験
第二章 ポリー・ムーニー、あるいは謀略のタイピスト――「下宿屋」における大飢饉後の晩婚化社会と女性の就労
第三章 「ベルファストの贈り物」、あるいは大飢饉後のアイルランドにおける「魔女」――「土」の政治性を再考する
第四章 その名を語りえぬ亡霊――「死者たち」に取り憑く大飢饉の記憶
第五章 傷ついたジャガイモ、あるいはテクストの政治的無意識――『若き日の芸術家の肖像』と『次こそ必ず』における大飢饉表象の比較を通して
第六章 「硬く、黒く、しなびたジャガイモ」の政治学――ポスト大飢饉小説としての『ユリシーズ』
終章 空腹のアイルランドとジョイスの渇望

著者|Author

田多良俊樹(たたら・としき)
1977年、熊本県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了・博士(文学)。現在、安田女子大学文学部准教授。専門は英文学、アイルランド文学。共著に、『百年目のユリシーズ』(松籟社、2022年)、『ジョイスの挑戦―『ユリシーズ』に嵌る方法』(言叢社、2022年)、『幻想と怪奇の英文学IV―変幻自在編』(春風社、2020年)などがある。

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時間の社会学

時間の社会学

  • 鳥越信吾(著)/2026年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製326頁
  • 装丁:牧寿次郎

社会学は時間をどのように扱ってきたのか?
デュルケーム、ソローキン、エリアス、ローザらによる、時間を論じた諸説に通底する内的な連関を解明。散発的になされた各議論を時間軸に沿って関係づけ、〈時間の社会学史〉を構築する試み。
(ISBN9784868161158)

目次|Contents

第1章 序論
第2章 時間の社会学の成立
第3章 社会的時間概念の越境と変容
第4章 時間の社会学の転回──「社会的時間」概念の消失をめぐって
第5章 時間への歴史的パースペクティブ
第6章 日常の時間秩序
第7章 後期近代における時間の変容
第8章 結論

著者|Author

鳥越信吾(とりごえ・しんご)
1985年生まれ。昭和女子大学人間社会学部専任講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学・博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員、国立社会保障・人口問題研究所、十文字学園女子大学を経て、2024年4月より現職。専門は社会学史、社会学理論、知識社会学、時間の社会学。主要業績として、『グローバル社会の変容』(中西眞知子・鳥越信吾編著、2020年、晃洋書房)、『知の社会学の可能性』(栗原亘・関水徹平・大黒屋貴稔編、2019年、学文社、分担執筆)。翻訳として、『加速する社会』(ハルトムート・ローザ著、出口剛司監訳、2022年、福村出版、共訳)、『生活世界の構造』(アルフレッド・シュッツ&トーマス・ルックマン著、那須壽監訳、2015年、ちくま学芸文庫、共訳)など。

 

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赤い首輪

赤い首輪

  • ジャン゠クリストフ・リュファン(著)、今野喜和人(訳)/2026年2月
  • 2500円(本体)/四六判並製156頁
  • 装丁:斉藤啓

ゴンクール賞受賞のベストセラー作家による傑作中編小説
フランス軍の元兵士モルラックは、第一次世界大戦での武功によって国家から勲章を受けたものの、ある事件を起こして逮捕され、地方の軍刑務所に留置されていた。刑務所の外ではモルラックの飼い犬がひっきりなしに吠え続けていた。
事件を解明すべく刑務所を訪れた判事がモルラック本人や関係者を調査する過程で、事件を起こした動機、そして犬の果たした役割が徐々に明らかになってゆく――。
(ISBN 9784868160625)

目次|Contents

赤い首輪
訳者あとがき

著訳者|Author and Translator

【著者】
ジャン=クリストフ・リュファン(Jean-Christophe Rufin)

1952年フランス生まれ。医師、作家。「国境なき医師団」創設時の主要メンバーであり、外国大使の経歴もある。1997年『太陽王の使者』でゴンクール処女長篇小説賞、2001年『ブラジルの赤』でゴンクール賞を受賞。その後も様々な国と時代を舞台にしたドラマチックな小説をコンスタントに執筆し、その多くがベストセラーになっている。2014年出版の本書『赤い首輪』はモーリス・ジュヌヴォワ賞を受賞し、映画化もされた(邦題『再会の夏』、2019年日本公開)。
【訳者】
今野喜和人(こんの・きわひと)
静岡大学名誉教授。東京大学人文科学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。専門はフランス文化および比較文学文化。著書に『啓蒙の世紀の神秘思想―サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006年)、編著に『翻訳とアダプテーションの倫理―ジャンルとメディアを越えて』(春風社、2019年)、翻訳にサン=マルタン『クロコディル―18世紀パリを襲った怪物』(国書刊行会、2013年)、リュファン『永遠なるカミーノ―フランス人作家による〈もう一つの〉サンティアゴ巡礼記』(春風社、2020年)など。

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カタストロフの残響―ラテンアメリカの政治的暴力と日常

カタストロフの残響

ラテンアメリカの政治的暴力と日常

  • 石田智恵(編)/2026年2月
  • 5300円(本体)/A5判上製402頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

終わったはずの暴力が響き続ける世界のなかで、傷を抱えながら社会を紡ぎ直そうとする人たちの、〈生〉と〈モラル〉を記す論集。

冷戦下のラテンアメリカを席巻した軍事独裁や内戦といった政治的カタストロフは、渦中を脱し、一応の収束を見たとされている。しかし制度的な移行期正義が進んだとされる「ポスト」紛争期の社会において、暴力は本当に過去のものとなったのか? なぜ人々の日常には、答えのない問いと傷が回帰し続け、新たな暴力が変奏され続けるのか?

(ISBN 9784868160724)

目次|contents

序章――暴力の残響を生きる(石田智恵)【pp.5-21】
第1章 廃墟における主権――内戦後ペルー・アンデスにおける死権力、死-統治性、人民の形象(イサイアス・ロハス=ペレス 〔近藤宏訳〕)【pp.23-56】
第2章 真実のカレイドスコープ――記憶、歴史、証言、ペルー真実和解委員会(細谷広美)【pp.57-98】
第3章 「赦さない」モラルと日常性 ――アルゼンチン強制失踪をめぐる子供たちの運動(石田智恵)【pp.99-137】
第4章 LGBTポリティクスにおけるアルゼンチン国家暴力の記憶(渡部奈々)【pp.139-164】
第5章 『私の体が真実』が語るもの――コロンビア内戦とジェンダー暴力の構造(柴田修子)【pp.165-195】
第6章 拷問から生還した女性たち――チリにおける政治的カタストロフ後の日常(内藤順子)【pp.197-221】
第7章 監獄はどこにあるのか――家庭の出来事、警察、近所でのコンフリクト(クララ・ハン〔近藤宏訳〕)【pp.223-247】
第8章 エルサルバドルにおける若者抹殺――「マノ・ドゥーラ」政策から例外措置体制へ(ジェネッテ・アギラール=ビジャマリオナ〔狐崎知己訳〕)【pp.249-298】
第9章 〈いま・ここ〉の暴力に抗する過去と未来――コロンビア国内避難先住民の都市生活と植樹実践(近藤宏)【pp.299-341】
第10章 政治的カタストロフの犠牲者によるあらたな人生設計――エルサルバドルにおける生活改善アプローチの経験(狐崎知己)【pp.343-390】

あとがき
執筆者紹介
索引

編者|editor

石田智恵(いしだ ちえ)/strong>

早稲田大学 法学学術院・准教授
〈専門領域〉文化人類学、ラテンアメリカ研究
〈主な著作〉「拷問と裁判をめぐる民衆の闘争:現代アルゼンチンの植民地性」(『思想』1210、2025年)、『同定の政治、転覆する声:アルゼンチンの「失踪者」と日系人』(春風社、2020年)、『異貌の同時代:人類・学・の外へ』(共編、以文社、2017年)。

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刺繍が変える女性たちの世界―ウズベキスタン刺繍制作の民族誌

刺繍が変える女性たちの世界

ウズベキスタン刺繍制作の民族誌

  • 今堀恵美(著)/2026年2月
  • 4500円(本体)/A5判上製366頁

一般にスザニとして知られるウズベキスタンの刺繍。ウズベク女性たちにとってこの刺繍の制作、技法、素材は、どのような意味をもつのか。ソ連崩壊後、旧社会主義圏の市場経済化のなかで刺繍制作者や事業家はどのように生活戦略を立ててきたのか。20年以上にわたる調査にもとづくエスノグラフィ。

本書の主眼は、カシュタという工芸品の制作の仔細を記述することを通じて、社会主義的計画経済から市場経済化を経て、発展し続ける現代ウズベキスタンを生きる人たちの生活戦略を明らかにすることである。(本文より)

(ISBN 9784868160731)

目次|contents

はじめに

序論 中央アジアの市場経済化と工芸に関する人類学的研究

第Ⅰ部 刺繍が彩る日常世界
第1章 ウズベキスタンの調査地概要
第2章 ウズベキスタンの刺繍制作史とショフィルコン地区
第3章 持参財のなかの礼拝用敷物―モノを通してみるイスラーム信仰

第Ⅱ部 生活戦略としての刺繍
第4章 市場経済化とカシュタ事業家の誕生
第5章 技法から見る三種類の刺繍がつくるネットワーク
第6章 カシュタぬい子―したたかなピースワーク労働者
第7章 二〇年を経たカシュタ事業―日本におけるスザニ展

総括と展望 カシュタが変える女性たちの世界

おわりに
参照文献
索引

著者|author

今堀恵美(いまほり・えみ)

東海大学文化社会学部アジア学科 講師
社会人類学、中央アジア民族誌学
主な著作:
・「「インフォーマル・クラフト」としての刺繍業――ソ連期ウズベキスタンにおける集団化から外れた村落部の工芸の事例から」『東海大学紀要文化社会学部』12号、2024年、
・工芸品の価値の差異化をめぐる真正性のリアリティ――日本における「ウズベキスタンの刺繍とスザニ」展示会での協働の事例から――中央アジア学会報』20号、2024年
・ Imagination about the Crafts of Other Culture: Survey Results from an Exhibition of Uzbek Embroidery in Japan.『東海大学紀要文化社会学部』13号、2025年

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移動と社会規範―ウガンダのバイクタクシーの民族誌

移動と社会規範

ウガンダのバイクタクシーの民族誌

  • 大谷琢磨(著)/2026年2月
  • 4100円(本体)/A5判上製266頁
  • 装丁:長田年伸

アフリカの街を疾走する、おびただしい数のバイクタクシー。一見カオスで危険な交通手段は、どのようにして社会の〈インフラ〉として機能し続けてきたのか?

乗客輸送のみならず、物品の配達から高額な売上金の銀行預け入れまで請け負う運転手たち。客待ち場所「ステージ」での自主的な組織「委員会」による統制。運転手の「熟練度」を測る現地の規範。そして、顧客が運転手を値踏みするために行う「テスト」。

ウガンダでのフィールドワークから、運転手と乗客のあいだで〈信頼〉が築かれるメカニズムに迫る。

(ISBN 9784868160687)

目次|contents

第1章 序論
第2章 先進国と発展途上国でのパラトランジットの普及
第3章 バイクタクシーとは
第4章 調査地の概要と調査方法
第5章 ボダ・ボダと行政、政治との関係
第6章 ボダ・ボダの多様な輸送サービスを支える職業意識
第7章 ステージを中心としたボダ・ボダ:商人との関係
第8章 信頼関係に応じたボダ・ボダ運転手の使い分け
第9章 ボダ・ボダ運転手の自主組織と集団規範の形成
終章

おわりに
参照文献
索引

著者|author

大谷琢磨(おおたに たくま)

日本学術振興会 特別研究員 RPD/立命館大学 衣笠総合研究機構 専門研究員
アフリカ地域研究、人文地理学、文化人類学、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科研究指導認定退学、博士(地域研究)

主な著作に、「ウガンダ都市部におけるバイクタクシーの自主組織による集団規範の形成と秩序の維持」(『アジア・アフリカ地域研究』23(1)、2023年)

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