現代世界の呪術
文化人類学的探究
- 川田牧人・白川千尋・飯田卓(編)/2020年5月
- 4500円(本体)/A5判上製482頁
- 装丁:矢萩多聞
呪術の合理性とは?呪術を問うことの現在的な意義はなにか?
現代でも世界各地でさまざまなかたちで呪術は行われている。人類学の黎明期から議論されてきた問題を、物質性や感覚経験という切り口からアップデートする。
(ISBN 9784861106910)
目次|contents
総論
序論 現代世界において呪術を問うこと(川田牧人)[pp.7-43]
第1章 偶然と必然を結ぶ妖術―アフリカにおける妖術的現実の存在様相(近藤英俊)[pp.45-77]
第Ⅰ部 多元的知識実践環境における合理性の再検討
第2章 呪術・宗教・科学を再考する―あるいは呪術における非合理性(中村 潔)[pp.81-107]
第3章 呪術が禁止されるとき―インドにおける合理主義運動がもたらす迷信としての呪術(松尾瑞穂)[pp.109-135]
第4章 カザフスタンにおける伝統医療とエムシ(治療者)の活動(藤本透子)[pp.137-165]
第5章 動物磁気術と催眠術の近代―科学と呪術のはざまにおける実践=知の誕生の素描(島薗洋介)[pp.167-200]
第Ⅱ部 呪術とコミュニケーション
第6章 ベナンにおけるブードゥのメディア転回(田中正隆)[pp.203-226]
第7章 恐れを通じた干渉―ガーナ南部における挨拶、遊び、王権闘争(浜田明範)[pp.227-250]
第8章 すべてははじめからわかっていた―東南アジア大陸部山地民ラフの呪術と動物(片岡 樹)[pp.251-279]
第9章 「フェティッシュ」を飼い馴らす(中川 敏)[pp.281-301]
第Ⅲ部 感覚とマテリアリティの呪術論
第10章 感覚・マテリアリティ・言葉―ヴァヌアツにおける邪術と科学の関係を起点として(白川千尋)[pp.305-328]
第11章 西欧近世の魔術信仰における感覚・実践・マテリアリティ(黒川正剛)[pp.329-353]
第12章 不可視を「見る」、不可解を「語る」―東北タイにおける呪術と感覚経験(津村文彦)[pp.355-388]
第13章 妖術師の生成するところ―ベナンの新宗教の実践における身体・情動・マテリアリティ(村津 蘭)[pp.389-414]
第14章 あるはずのないものへの疑念―北タイにおける呪術と情動(飯田淳子)[pp.415-436]
第15章 経験されざるものを知る―マダガスカル漁撈民ヴェズにおける霊と呪術のリアリティ(飯田 卓)[pp.437-465]
あとがき (飯田卓・白川千尋)[pp.467-470]
編者|editors
川田牧人(かわだ・まきと)
成城大学文芸学部教授。文化人類学、宗教人類学。『「人新世」時代の文化人類学』(共著、放送大学教育振興会、2020年)、『呪者の肖像』(共編著、臨川書店、2019年)、『パブリックヒストリー入門』(共著、勉誠出版、2019年)など。
白川千尋(しらかわ・ちひろ)
大阪大学大学院人間科学研究科教授。文化人類学。『呪者の肖像』(共編著、臨川書店、2019 年)、『南太平洋の伝統医療とむきあう―マラリア対策の現場から』(臨川書店、2015年)、『呪術の人類学』(共編著、人文書院、2012年)など。
飯田卓(いいだ・たく)
国立民族学博物館教授。生態人類学、視覚メディアの人類学、文化遺産の人類学。『文化遺産と生きる』(編著、臨川書店、2017年)、『文明史のなかの文化遺産』(編著、臨川書店、2017 年)、『海を生きる技術と知識の民族誌―マダガスカル漁撈社会の生態人類学』(世界思想社、2008年)など。