黙って踊れ、エレクトラーホフマンスタールの言語危機と日本

黙って踊れ、エレクトラ

ホフマンスタールの言語危機と日本

  • 関根裕子(著)/2019年3月
  • 4200円(本体)/A5判上製396頁
  • 装丁:間村俊一

「西洋」から「東洋」へ、「言葉」から「身体」へ
ウィーン世紀転換期文学を代表する作家フーゴー・フォン・ホフマンスタール。代表戯曲の一つ『エレクトラ』や、その日本初演をめぐる演出家・松居松葉、森鷗外らとの書簡から、ホフマンスタールが希求した「オリエント」「日本」の姿、20世紀初頭の異文化交流の在り様を探る。
(ISBN 9784861106378)

目次|contents

序論 二通の書簡―「西洋」と「東洋」の交差
第Ⅰ章 ホフマンスタールの「オリエント」像
第1節  言語危機と「オリエント」
第2節 ドイツ語圏のオリエンタリズムとホフマンスタール
第Ⅱ章 ギリシア関連作品に表われたオリエント性
第1節 『エレクトラ』
第2節 『恐れ/対話』
第3節 『ギリシア』
第Ⅲ章 ホフマンスタールの日本像とその変遷
第1節 ジャポニスム以前の日本に関する関心
第2節 「若きウィーン派」とジャポニスム
第3節 ホフマンスタールとハーン
第4節 『心』のホフマンスタール作品への影響
第5節 人間存在の超個人性
第6節 『エレクトラ』のなかの「プレエクシステンツ」と「エクシステンツ」
第Ⅳ章 非西欧的身体表現
第1節 「未知なる言語」を求めて
第2節 貞奴の印象
第3節 モダン・バレエの先駆者たちからの影響
第4節 『エレクトラ』の踊り
第Ⅴ章 松居松葉による『エレクトラ』日本初演
第1節 明治・大正期のホフマンスタール受容
第2節 松居の『エレクトラ』公演
第3節 『エレクトラ』の反響
結論 憧れと錯覚の文化交流―新たな自己創造のために
あとがき
参考文献
索引

著者|author

関根裕子(せきね・ゆうこ)
国立音楽大学卒業後、高校の音楽教員を経て、埼玉大学で独文学を専攻、筑波大学大学院博士課程満期単位取得退学。ウィーン大学留学。博士(文学)。専門は、ホフマンスタールを中心としたウィーン世紀転換期文学と文化、音楽文化史。
現在、早稲田大学、明治大学、学習院大学、日本女子大学、武蔵大学、上智大学等で非常勤講師を務める傍ら、合唱指揮者としても活躍。
主な著書に、『世界のミュージカル・日本のミュージカル』(共著・横浜市大新叢書、春風社)、『ようこそ、ウィーンへ!』(白水社)、訳書に、『僕は奇跡なんかじゃなかった―ヘルベルト・フォン・カラヤン - その伝説と実像』(音楽之友社)、共訳書に『ブラームス回想録集』(全3巻 音楽之友社)などがある。

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「ただ人間であること」が持つ道徳的価値―相互に尊重し合う自由で平等な個人が築く民主主義

「ただ人間であること」が持つ道徳的価値

相互に尊重し合う自由で平等な個人が築く民主主義

  • 浜野研三(著)/2019年3月
  • 3500円(本体)/四六判上製286頁
  • 装丁:難波園子

人間を動物と同様に扱おうとする「種差別批判」に潜む優生学的思考の問題を明らかにし、人間同士の関係の質の多様さと深さに着目。障害の有無にかかわらない人間の道徳的平等に基づいた民主主義論を展開する。
文学が道徳哲学に対して果たす役割を説き、核兵器・地球温暖化などの人類の存続にかかわる喫緊の問題についても真摯な考察を促す。
(ISBN 9784861106361)

目次|contents

第Ⅰ部 人間であることの道徳的意味
第1章 種差別批判に対するバーナード・ウィリアムズの批判―道徳哲学に関する本書の基本的立場
第2章 魔術からの解放後の道徳哲学の在り方―今・ここに生きる人間の視点
第3章 ウィトゲンシュタインとシモーヌ・ヴェイユとストローソンの洞察―魂に対する態度と相互性
第4章 コーラ・ダイアモンドの立場―想像力の役割
第5章 道徳哲学における文学の貢献と優生思想―共通の人間性と他者の絶対的他者性
第6章 アイリス・マードックの哲学―その基盤的重要性
第7章 経験科学が具体的事例を通じて示すもの―人間の絆の重要性
第Ⅱ部 目指すべき民主主義―平等な参加
第Ⅲ部 民主主義の実現の緊急性―人類の危機
第1章 核抑止論の致命的結果
第2章 なすところもなく破滅への道を歩む私たち―気候変動・マスメディア・民主主義的徳性
第3章 民主主義のインフラの整備―余裕と相互信頼
最後に 現実の困難さと向き合うこと―人々の連帯
参考文献
あとがき
索引

著者|author

浜野研三(はまの・けんぞう)
関西学院大学文学部教授。専門はこころの哲学、生命倫理、 政治哲学。
訳書に、クリストファー・フックウェイ『クワイン―言語・経験・実在』(勁草書房1998)、ウィルフリド・セラーズ『経験論と心の哲学』(岩波書店2006)、共著に、『生命倫理における宗教とスピリチュアリティ』(晃洋書房2010)がある。

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ジョイスの拡がり―インターテクスト・絵画・歴史

ジョイスの拡がり

インターテクスト・絵画・歴史

  • 田村章(著)/2019年3月
  • 3500円(本体)/四六判上製316頁
  • 装丁:矢萩多聞

ジョイスの作品を「他のテクストとの関係」「視覚芸術との関連」「歴史記述の問題」という三つの観点から解釈し、新たな読みの可能性を提示する。
テクストの〈細部〉と〈外部〉を大胆に往還するユニークなジョイス論!
(ISBN 9784861106255)

目次|contents

序章
第一部 テクスト/インターテクスト
第一章 ジェイムズ・ジョイスの「衣装哲学」―『ユリシーズ』第十挿話について
第二章 パノプティコンのような語りの空間―『ユリシーズ』第十二挿話について
第三章 「牡牛」をめぐるテクスト―『ユリシーズ』第十四挿話について
第二部 絵画への拡がり
第四章 ジェイムズ・ジョイスと視覚芸術に関する研究序論―『ユリシーズ』を中心に
第五章 ジョージ・ムアからジェイムズ・ジョイスへ―視覚芸術との関わりを中心に
第三部 歴史への拡がり
第六章 バックレーとロシアの将軍―『フィネガンズ・ウェイク』第二部第三章における戦争と革命の文脈
第七章 「ママルージョ」と歴史―『フィネガンズ・ウェイク』第二部第四章における歴史記述
第八章 聖パトリックと「ママルージョ」―第三部第三章冒頭における歴史記述
あとがき
初出一覧
引用・参考文献一覧
索引

著者|author

田村章(たむら・あきら)
金城学院大学文学部英語英米文化学科教授。
著書に、『ジョイスの迷宮―『若き日の芸術家の肖像』に嵌る方法』(共著、言叢社、2016年)、『表象と生のはざまで―葛藤する米英文学』(共著、南雲堂、2004年)、『フィクションの諸相―松山信直先生古希記念論文集』(共著、英宝社、1999年)などがある。

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非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史

非在の場を拓く

文学が紡ぐ科学の歴史

  • 中村靖子(編)/2019年2月
  • 4100円(本体)/四六判上製586頁
  • 装丁:長田年伸

近代科学がもたらした技術は、いかに人間の想像力や表現手段を変容させてきたのか?
文学、思想、哲学、神経科学、美術史などの諸分野を横断し、「非在の場」をめぐり思考する10の刺激的論考。
(ISBN 9784861106354)

目次|contents

はじまりの言葉―文学が紡ぐ科学の歴史【中村靖子】
第I部 啓蒙主義以降の科学とポエジー
第1章 科学的術語の詩的展開—「引力と斥力」「プロトプラズマ」を例として【中村靖子】
第2章 啓蒙の時代の処方箋 近代的疎外を緩和するポエジーホフマン『黄金の壺』を手掛かりに【H・M・シュラルプ】
第II部 20世紀の科学技術と文学の変容
第3章 「キュビスム文学」における科学者の視点と虚構の世界―マックス・ジャコブ『聖マトレル』とブレーズ・サンドラール『モラヴァジーヌ』【松井裕美】
第4章 ゲオルク・ハイムのベルリン風景―技術化される一元論と見せかけの世界【大林侑平】
第5章 「正しい日本」を描くということ―戦間期の「国際映画」製作とテクノロジー【中川拓哉】
第III部 「戦後」を表現する
第6章 ピーノ・パスカーリと虚構の彫刻―一九六〇年代イタリアの芸術における文化的葛藤と呪術的想像力【池野絢子】
第7章 地獄のコウモリダコからビットの世界へ―ヴィレム・フルッサーの円環的思考【越智和弘】
第8章 レベッカ・ホルンの『反時計回りのコンサート』―非在を喚起する場としてのツヴィンガー牢獄【越智和弘】
第IV部 21世紀の文学の射程
第9章 意識の非在―脳の予測的符号化による意識の創発と消失【大平英樹】
第10章 思考実験と虚構世界、仮想世界、可能世界【三浦俊彦】
あとがき―文学と科学の妙なる関係【中村靖子】
執筆者紹介

編者|editor

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院文学研究科教授(ドイツ文学・思想史)
著書に
〔中村靖子/H・M・シュラルプ共編〕『「悪」の文学史―グリム、ホフマン、トラークル、イェリネクを道標として』(日本独文学会研究叢書071巻、日本独文学会、2010年)
〔単著〕『「妻殺し」の夢を見る夫たち—ドイツロマン派から辿る〈死の欲動〉の生態学』(松籟社、2013年)
〔編著〕『虚構の形而上学―「あること」と「ないこと」のあいだで』(春風社、2015年)
などがある。

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食から描くインド―近現代の社会変容とアイデンティティ

食から描くインド

近現代の社会変容とアイデンティティ

  • 井坂理穂・山根聡(編)/2019年2月
  • 3700円(本体)/四六判上製400頁
  • 装丁:矢萩多聞

肉食か菜食か。飲酒か禁酒か。誰がつくるのか? 誰と食べるのか?
国、地域、宗教、カースト、ジェンダー…食にあらわれる「自己」と「他者」。
イギリス植民地時代から現代まで、文学・歴史学・文化人類学にまたがり、インドの食をめぐる刺激的論集!
(ISBN 9784861106330)

目次|contents

序章 食から描くインド―近現代の社会変容とアイデンティティ(井坂理穂)
I 食からみる植民地支配とナショナリズム
第一章 一九世紀後半の北インドにおけるムスリム文人と食―郷愁と動揺(山根聡)
第二章 インドのイギリス人女性と料理人―植民地支配者たちの食生活(井坂理穂)
第三章 ナショナリズムと台所―二〇世紀前半のヒンディー語料理書(サウミヤ・グプタ、上田真啓 訳)
第四章 現代「インド料理」の肖像―はじまりはチキンティッカー・マサーラーから(山田桂子)
Ⅱ 食をめぐる語り
第五章 一口ごとに、故郷に帰る―イギリスの南アジア系移民マイノリティの紡ぐ食の記憶と帰属の物語(浜井祐三子)
第六章 買う・つくる・味わう―現代作家が描く食と女性(小松久恵)
Ⅲ 変動する社会と食
第七章 もの言う食べ物―テランガーナにおける地域アイデンティティと食政治(山田桂子)
第八章 飲むべきか飲まぬべきか―ベンガルール市でのフィールドワークから(池亀彩)
第九章 ハラール食品とは何か―イスラーム法とグローバル化(小杉泰)

編者|editors

井坂理穂(いさか・りほ)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は南アジア近代史。
山根聡(やまね・そう)
大阪大学大学院言語文化研究科教授。専門はウルドゥー文学、南アジア・イスラーム論。

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日本におけるイスラーム研究史―中国篇

日本におけるイスラーム研究史

中国篇

  • アリム・トヘテイ(著)/2019年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製312頁
  • 装丁:桂川潤

中国イスラーム/ムスリムは日本でどう論じられてきたか?
明治期における研究の萌芽、満州事変を機にした「回民工作」の要請と研究の活発化、戦後の中断を経て、世界イスラームのなかの中国イスラーム研究へ―研究の開始から現代までの研究史を整理・再評価する。
(ISBN 9784861106323)

目次|contents

序章
第一章 草創期― 一九三一年以前
はじめに
第一節 初期の研究と成果
第二節 経典整理と概念の提出および研究
第三節 日本人ムスリム先駆者の研究
第二章 戦争の激化時期― 一九三一年-一九四五年
はじめに
第一節 イスラーム研究機関の設置及び創刊
第二節 調査機関及び研究
第三節 研究動向
第三章 戦後の変革(転換)時期― 一九四五年-一九七九年
はじめに
第一節 中断された中国イスラーム研究
第二節 戦後派研究者による研究活動
第四章 再構築時期― 一九七九年から現在
はじめに
第一節 日中の学術関係と諸研究活動
第二節 研究の現状
終章
参考文献

著者|author

アリム・トヘテイ(阿里木・托和提)
東北大学学際科学フロンティア研究所人間・社会領域助教。
南京大学大学院哲学系と東北大学大学院文学研究科連合育成博士課程指導認定退学。博士(哲学)。専攻は東洋哲学と宗教。

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グローバル都市を生きる人々―イラン人ディアスポラの民族誌

グローバル都市を生きる人々

イラン人ディアスポラの民族誌

  • 椿原敦子(著)/2018年12月
  • 3700円(本体)/四六判上製312頁
  • 装丁:中島衣美

イラン革命を機にアメリカ・ロサンゼルスへ亡命・移住してきたイラン人たち。
王党派、宗教マイノリティ、かつて革命の一翼を担った左翼勢力……異なる移住の経緯を持つ人々が、グローバル都市ロサンゼルスで出会う。
日々移動しながら分散して暮らすイラン出身者の民族誌。
(ISBN 9784861106309)

目次|contents

序章 グローバル都市の人類学
第一章 離合集散のフロー
第一節 転地の過程
第二節 ノードとしてのロサンゼルス
第三節 ディアスポラ・ナショナリズム
第二章 宗教と世俗の再構成
第一節 「ユダヤ人」と「ユダヤ教徒」
第二節 ムスリムで「ある」こと
第三章 排除と包摂のランドスケープ
第一節 ペルシア・パレス
第二節 ペルシア・スクエア
終章
参考文献
あとがき

著者|author

椿原敦子(つばきはら・あつこ)
1974年、岐阜県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。現在、龍谷大学社会学部講師。
主な著書・論文に「移民と/移民の景観」『景観人類学』(2016年、時潮社)、“Putting ‘Tehrangeles’ on a Map: A Consideration of Space and Place for Migrants.” (2011, Bulletin of the National Museum of Ethnology)など。

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死ぬ権利はあるか―安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非と命の価値

死ぬ権利はあるか

安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非と命の価値

  • 有馬斉(著)/2019年2月
  • 4300円(本体)/四六判上製558頁
  • 装丁:桂川潤

医療技術が進展するなか、人の死の望ましいありかたとは
死ぬ権利について擁護派と反対派の議論を整理するとともに、豊富な事例や、各国・地域の政策的取り組みも参照しながら検討。人の命が持つ価値の大きさと根拠を問い直し、倫理的・政策的な判断の基礎となる考えを提示する。4刷出来!
(ISBN 9784861106248)

◆日本医学哲学・倫理学会 第14回学会賞(2020年)受賞

目次|contents

まえがき
序論 事例と用語および本書の課題
第Ⅰ部 死ぬ権利の擁護論
第1章 自己決定
第1節 自己決定に訴える容認論
第2節 死にかたにかんする個人の自己決定と第三者の利益や権利との衝突
第3節 判断力評価とパターナリズム
第4節 健康な人の自殺とパターナリズム
結語
第2章 患者の利益
第5節 患者の利益に訴える容認論
第6節 死を結果するふるまいと人の利益との関係にかんするいくつかの重要問題
第7節 強制的な安楽死
第8節 判断力を喪失した患者の利益
第9節 家族の利益
結語
第3章 医療費の高騰
第10節 医療費の高騰に訴える容認論
第11節 前提とされている社会状況は日本の現状に当てはまるか
第12節 年齢制限を受けいれることは合理的か
第13節 高齢者差別
結語
第Ⅱ部 死ぬ権利の限界
第4章 社会的弱者への脅威
第14節 社会的弱者へのリスクに訴える反対論
第15節 滑りやすい坂の議論
第16節 合法化のリスクと利点の比較衡量
第17節 人の命が生きるに値しないことはあるか
結語
第5章 生命の神聖さ
第18節 生命の神聖さに訴える反対論
第19節 生命が神聖であるという見解にたいする批判
結語
第6章 人の尊厳
第20節 人格の尊厳に訴える反対論
第21節 人の死期を早めることは人の尊厳を冒すか
結語

結論
あとがき
文献一覧
索引

著者|author

有馬斉(ありま・ひとし)
横浜市立大学国際教養学部教授。1978年生まれ。国際基督教大学教養学部卒、米国ニューヨーク州立大学バッファロー校哲学博士課程修了。博士(哲学)。専門は倫理学、生命倫理。東京大学大学院医学系研究科特任助教などを経て、2012年より現職。論文「利益のボーダーライン――大脳機能の不可逆的な喪失と代理決定」で日本生命倫理学会若手論文奨励賞、「自殺幇助は人格の尊厳への冒涜か」で日本倫理学会和辻賞を受賞。また、本書で日本医学哲学・倫理学会 学会賞を受賞。著書に『生死の語り行い 1――尊厳死法案・抵抗・生命倫理』(生活書院、共著)、The Future of Bioethics: International Dialogues(Oxford University Press、共著)など。

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翻訳とアダプテーションの倫理―ジャンルとメディアを越えて

翻訳とアダプテーションの倫理

ジャンルとメディアを越えて

  • 今野喜和人(編)/2019年2月
  • 3500円(本体)/四六判上製428頁
  • 装丁:矢萩多聞

ジャンルやメディアの区分が消滅しつつある現代において、オリジナル/ソースに忠実であるという規範はどこまで有効なのか。
文学や諸芸術における翻訳・アダプテーションの持つ意味を横断的・重層的に考察することで、新たな倫理問題を提起する。
(ISBN 9784861106217)

目次|contents

はじめに
第一部 翻訳の倫理

第一章 馴化された翻訳と澁澤龍彦―法律、政治と文学【スティーブ・コルベイユ】
第二章 ポール・ヴァレリーの翻訳体験をめぐって―ウェルギリウス『牧歌』仏語韻文翻訳から『樹についての対話』執筆へ【安永愛】
第三章 ミラン・クンデラと自己翻訳―フランスを介した「一般化」から読み解く作者の意図【ローベル柊子】
第四章 削除と伏字―谷崎潤一郎と窪田空穂の『源氏物語』現代語訳【中村ともえ】
第五章 事態把握と翻訳―認知言語学から見た逐語訳とアダプテーションの間【大薗正彦】
第二部 アダプテーションの倫理
第六章 法の侵害か、モラルの侵犯か―映画『ノスフェラトゥ』と原作『ドラキュラ』をめぐる考察【花方寿行】
第七章 芥川龍之介と黒澤明の貸借対照表―映画『羅生門』におけるアダプテーション再考【今野喜和人】
第八章 二つの「伊豆の踊子」―翻案(アダプテーション)としての映画【田村充正】
第九章 ヌマンシアのアダプテーション―ローマ帝国からセルバンテスそしてナショナリズムへ【大原志麻】
第三部 アダプテーション研究の可能性
第一〇章 ジェスの「トランスレーションズ」―あるいは創造的な共謀へのいざないについて【山内功一郎】
第一一章 ル・ボン「民族心理学」の東アジアにおける受容―李光洙・夏目漱石・魯迅を中心に【南富鎭】
第一二章 古代庭園文化の受容と翻案―寝殿造庭園と「名所」の発生【袴田光康】
第一三章 もの言う農民作家―閻連科の小説に見る倫理【桑島道夫】
第一四章 動物と私のあいだ―中上健次『熊野集』「熊の背中に乗って」「鴉」【渡邊英理】
執筆者紹介
索引

編者|editor

今野喜和人(こんの・きわひと)
静岡大学人文社会科学部教授
著訳書に
〔翻訳〕フランソワ・ダゴニェ『面・表面・界面』(法政大学出版局、金森修との共訳、1990年)
〔論文〕「芥川龍之介と〈宿命の女〉―「薮の中」の真砂像をめぐって」(『比較文学』、1992年)
〔単著〕『啓蒙の世紀の神秘思想―サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006年)
などがある。

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D・H・ロレンスと雌牛スーザン―ロレンスの神秘主義をめぐって

D・H・ロレンスと雌牛スーザン

ロレンスの神秘主義をめぐって

  • ウィリアム・ヨーク・ティンダル(著)、木村公一、倉田雅美、小林みどり(訳)/2019年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製328頁
  • 装丁:長田年伸

ロレンスが飼っていた雌牛との神秘的で象徴的な関わりを通じて、個人的宗教なるものの確立に至った過程を綿密に検証した思想的評伝。
(ISBN 9784861106279)

目次|contents

凡例
序論
第1章 日ごとの苦労
第2章 心配無用
第3章 動物・植物・鉱物の愛
第4章 石器時代の教訓
第5章 ヴェールを脱いだスーザン
第6章 ファシストたちの中のロレンス
第7章 人工岩
訳者あとがき
索引

著者・訳者|author and translators

【著者】ウィリアム・ヨーク・ティンダル(William York Tindall)
1903年生まれ。コロンビア大学教授。ロレンスの他、ジェイムズ・ジョイス、ディラン・トマス、W・B・イェーツ、サミュエル・ベケットらについての著作がある。1981年没。

【訳者】
木村公一(きむら・こういち)
1946年、大阪府に生まれる。1975年、早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程修了。1994-6年、2006-7年、ロンドン大学・ノッティンガム大学交換研究員。早稲田大学名誉教授。国際日本学会(IAJS)名誉会長。
主な著書・訳書に、『文学とことば』(共著、荒竹出版社、1990)、『英米小説序説』(共著、松柏社、1992)、『ケンブリッジ版評伝―若き日のD・H・ロレンス』(編訳、彩流社、1998)、『D・H・ロレンス事典』(共編訳、鷹書房弓プレス、2002)、『オーストラリアのマイノリティ研究』(共著、オセアニア出版社、2004)、『言語表現と創造』(共著、鳳書房、2005)、『D・H・ロレンス短編全集(第五巻)』(共訳、大阪教育図書出版、2006)、『ヘンリー・ミラー全集(第九巻)―迷宮の作家たち』(編訳、水声社、2006)、『ヘンリー・ミラーを読む』(共著、水声社、2007)、『ロレンス 愛と苦悩の手紙―ケンブリッジ版D・H・ロレンス書簡集』(共編訳、鷹書房弓プレス、2011)、『ポストコロニアル事典』(編著、南雲堂、改訂版、2014)、クヌド・メリル『一人の詩人と二人の画家―D・H・ロレンスとニューメキシコ』(共訳、春風社、2016)など。

倉田雅美(くらた・まさみ)
1947年、東京都に生まれる。1970年、立教大学文学部英米文学科卒業。1972年、立教大学大学院文学研究科修了。1977年、ノッティンガム大学大学院修了。2008-2009年、ケンブリッジ大学、ノッティンガム大学客員研究員。東洋大学名誉教授。日本ロレンス協会評議委員。
主な著書・訳書に、ルイス・クローネンバーガー『壮大への渇仰』(共訳、法政大学出版局、1985)、『身体のイメージ―イギリス文学からの試み』(共著、ミネルヴァ書房、1991)、『話題源英語(下)』(共著、東京法令出版、1989)、ポール・ポプラウスキー『D・H・ロレンス事典』(共編訳、鷹書房弓プレス、2002)、D・H・ロレンス『D・H・ロレンス短篇全集第四巻』(共訳、大阪教育図書、2005)、『ロレンス―人と文学(世界の作家)』(単著、勉誠出版、2007)、『ロレンス 愛と苦悩の手紙―ケンブリッジ版D・H・ロレンス書簡集』(共編訳、鷹書房弓プレス、2011)、クヌド・メリル『一人の詩人と二人の画家―D・H・ロレンスとニューメキシコ』(共訳、春風社、2016)など。

小林みどり(こばやし・みどり)
1949年静岡県に生まれる。1972年立教大学文学部英米文学科卒業。1976年立教大学大学院文学研究科修士課程修了。2000年2月-3月、2006年10月-2007年3月、ノッティンガム大学客員研究員。元・東海大学准教授。元・日本ロレンス協会評議員。
主な著書・訳書に、『D・H・ロレンスと現代』(共著、日本ロレンス協会編論文集、国書刊行会、1995)、『21世紀のD・H・ロレンス』(共著、日本ロレンス協会編論文集、国書刊行会、2015)、テリー・イーグルトン『マルクス主義と文芸批評』(共訳、国書刊行会、1987)など。

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