アウシュヴィッツへの道―ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように【横浜市立大学新叢書13】

アウシュヴィッツへの道

ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように

  • 永岑三千輝(著)/2022年3月
  • 2500円(本体)/四六判並製308頁
  • 装丁:矢萩多聞

第三帝国のユダヤ人迫害から大量殺戮に至る過程を、最近の総合的史料集に依拠して再検証を行う。ホロコースト研究における重要書。
【横浜市立大学新叢書13】
◆横浜市立大学新叢書「発刊の辞」
(ISBN 9784861108051)

目次|contents

序章  第三帝国のユダヤ人迫害・大量殺戮をいかにとらえるべきか
第1章 「合法的革命」とユダヤ人差別の段階的進展 1933~1937年
第2章 「大ドイツ帝国」建設とユダヤ人迫害・強制移送 1938年
第3章 保護領創設とユダヤ人迫害・強制移送 1938~1939年
第4章 ポーランド侵攻・占領とユダヤ人迫害 1939年9月〜1941年6月
第5章 ソ連征服政策とユダヤ人大量射殺拡大過程―占領初期1941年6月〜9月を中心に
第6章 “ユダヤ人問題の最終解決”―世界大戦・総力戦とラインハルト作戦
結び―ポストコロニアルの忘却の大河に抗して

著者|author

永岑三千輝(みねなが・みちてる)
1946年生まれ。1968年3月横浜国立大学経済学部卒。1974年3月東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。1973年4月〜96年3月、立正大学経済学部助手、専任講師、助教授、教授、この間、75年8月〜77年9月ドイツ留学(立正大学在外研究、ボーフム大学・ドイツ学術交流会DAAD)、85年4月〜86年3月ミュンヘン大学社会経済史研究所(立正大学在外研究)。1995年10月東京大学博士(経済学):学位論文『ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆 1941-1942』(同文舘、1994)。1996年4月横浜市立大学商学部・大学院経済学研究科教授、2011年3月定年退職、横浜市立大学名誉教授。11年10月より大学院都市社会研究科客員教授。
主な著書:上記学位論文のほか、『独ソ戦とホロコースト』(日本経済評論社、2001)、『ホロコーストの力学―独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法』(青木書店、2003)。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

「私らしさ」の民族誌―現代エジプトの女性、格差、欲望

「私らしさ」の民族誌

現代エジプトの女性、格差、欲望

  • 鳥山純子(著)/2022年3月
  • 3200円(本体)/四六判上製432頁
  • 装丁・挿画:中本那由子

 

人のことなんてわからない!
ひょんなことからエジプトのアメリカンスクールで教師をすることになった、人類学者の筆者。我が強くて面倒くさく、そして魅力的な3人の仕事仲間にスポットライトを当て、グローバル都市カイロのなかで彼女たちがどのような「私」を目指しながら、どのように「私らしく」振る舞っているのか、理想と現実の狭間で思い悩む「こじらせ女子」たちの生き様を描く。
他者に共感しながら「私」を見つける、人の民族誌。

 

[主要登場人物(全員がアメリカンスクールA校に勤務)]
シャイマ……価値ある大人になることを目指す優等生教員(担当:アラビア語・宗教)
サラ……子育てと仕事の両立を図る、マイペースなマダム(担当:英語)
リハーム……古き良きエジプトの再興を目論む、A校の校長
私……人類学者、リハームに半ば騙されて、A校で働くことに(担当:英語・理科)

 

→本書の「はじめに」を公開しています。

 

(ISBN 9784861107863)

目次|contents

はじめに
目次
凡例
地図

 

序章
1 本書の取り組み
2 調査
3 本書の構成

 

第1章 現代エジプトにおけるA校
1 格差社会としての二〇〇〇年代エジプト
2 調査当時のA校
3 A校の人々
4 エジプトにおける学校教育
5 A校における複数の近代

 

第Ⅰ部 シャイマの生き方―学歴至上主義言説に基づく、階層社会の読み替え
第2章 働くシャイマ、富裕層の教育者
1 先行研究におけるエジプトの女性学校教員
2 シャイマという教育者
3 「モダン」な教員としてのシャイマ
4 A校=価値ある人物となるための舞台

 

第3章 〈クバール〉を生きる
1 〈クバール〉な女性になるまで、シャイマの生い立ち
2 〈クバール〉の危機
3 〈クバール〉に見る学歴至上主義
4 〈クバール〉が可能にするメーク
5 〈クバール〉と女性の評判
6 〈クバール〉が開く可能性

 

第4章 〈クバール〉でも、クバールでないシャイマ
1 仲間同士の助け合い
2 主張の足りないシャイマ
3 上司に対する両義的態度
4 使い捨ての待遇
5 何も持たないシャイマ

 

第Ⅱ部 サラの生き方—消費至上社会における家庭と仕事の両立
第5章 子育て優先の就労
1 第二の人生の模索
2 教員を志した理由
3 学校教員としてのサラ やっぱり育児優先?
4 愛情重視か公私混同か
5 職業意識の欠如

 

第6章 〈へルワ〉を生きる
1 人生のハイライトからの転落
2 現在の生活
3 〈ヘルワ〉な私

 

第7章 異物としてのサラ
1 上層中産階級出身者としてのサラ
2 エジプト社会における社会階級
3 職場における社会的帰属
4 二十代女性学校教員の反応
5 日常に遍在する階級

 

第Ⅲ部 リハーム校長の生き方―時空を超えた植民地期エジプトの再興
第8章 天職に生きる
1 リハーム校長の特徴
2 保護者に対する〈シャクセイヤ〉の発揮
3 学校内での彼女の評判
4 〈シャクセイヤ〉を利用する孤独な指導者

 

第9章 〈ソサエティ〉の再興に生きる
1 教育に対する熱意
2 教育への指示
3 校長のルーティーン、傍若無人な振る舞い?
4 最高ランクの人材を生み出す教育の牽引者
5 リハームの生い立ち
6 〈ソサエティ〉の再興に生きる

 

 

終章 「私らしさ」の民族誌、その必要性と可能性
1 「私らしさ」という泥試合から見えるもの
2 多様な職業意識
3 ジェンダー規範をめぐる変化
4 イスラーム教の不可視性
5 ステレオタイプからの脱却を目指して
6 人の民族誌の可能性
7 「こじらせ女子」礼賛
8 「こじらせ女子」としての私

あとがき
参照文献
索引

著者|author

鳥山純子(とりやま・じゅんこ)
立命館大学国際関係学部・国際関係研究科 准教授
専門は文化人類学、ジェンダー論、中東研究
主な著作に 『嗜好品から見える社会』(共著、2022年、春風社)、『フィールド経験からの語り(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ4)』(長沢栄治監修、鳥山純子編著、明石書店、2021年)、「ジェンダーから考えるイスラーム」(小杉泰・黒田賢治・二ツ山達朗編『大学生・社会のためのイスラーム講座』ナカニシヤ書店、2018年)、『イスラームのくらし(イスラームってなに?シリーズ2)』(かもがわ出版、2017年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

聖ヤコブ崇敬とサンティアゴ巡礼―中世スペインから植民地期メキシコへの歴史的つながりを求めて

聖ヤコブ崇敬とサンティアゴ巡礼

中世スペインから植民地期メキシコへの歴史的つながりを求めて

  • 田辺加恵、大原志麻、井上幸孝(著)/2022年3月
  • 4000円(本体)/四六判並製360頁
  • 装丁:毛利一枝

聖ヤコブ崇敬はいかに生成され、いかに各地へと伝わったのか
イベリア半島における聖ヤコブ崇敬の始まりとラテンアメリカでの展開について、図像やサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼も考察しながら歴史的経緯の一端を明らかにするとともに、中世スペインと植民地時代メキシコまでの時間・空間を一つの流れの中で描き出す。

(ISBN 9784861107856)

目次|contents

序章 聖ヤコブ崇敬をめぐる歴史的文脈と本書のアプローチ(田辺加恵・井上幸孝)

第1章 スペインにおける聖ヤコブ崇敬およびサンティアゴ巡礼の始まり(田辺加恵)
第2章 サンティアゴ巡礼の最盛期―聖ヤコブの騎士化とその影響(田辺加恵)

コラム①  聖ヤコブ図像の三類型
コラム②  ラテンアメリカ各地のサンティアゴ表象
コラム③  メキシコの聖ヤコブ表象

第3章 後期中世におけるカスティーリャ王権と「サンティアゴ政策」の衰退(大原志麻)
第4章 ヌエバ・エスパーニャのサンティアゴ崇敬におけるカスティーリャ貴族同盟の役割(大原志麻)

コラム④  現代のサンティアゴ巡礼
コラム⑤  サンティアゴ巡礼路と熊野古道

第5章 メキシコ征服と聖ヤコブ―クロニカにおける聖ヤコブ出現の記述を中心に(井上幸孝)
第6章 メキシコ先住民にとっての聖ヤコブ崇敬―征服以降の受容の実態をめぐって(井上幸孝)

著者|authors

田辺加恵(たなべ かえ)
立命館大学経済学部教授。スペイン中世史。
主な著作に、「13世紀の史料にみる聖ヤコブ崇敬の変容」(『スペイン史研究』第33号、2019年)、「『世界年代記』における「マタモロス」聖ヤコブと「ヒスパニア」」(『東海大学国際教育センター紀要』第38輯、2018年)、「「マタモロス聖ヤコブ」像の形成とその戦略的利用」(『スペイン史研究』第30号、2016年)。

大原志麻(おおはら しま)
静岡大学人文社会科学部教授。西洋中世史。
主な著作に、Expresiones del poder en la Edad Media. Homenaje al profesor Juan Antonio Bonachía Hernando(共著、Universidad de Valladolid、2019年)、『翻訳とアダプテーションの倫理―ジャンルとメディアを越えて』(共著、春風社、2019年)、Castilla y el mundo feudal. Homenaje al profesor Julio Valdeón(共著、Junta de Castilla y León, Consejería de Cultura y Turismo 、2009年)。

井上幸孝(いのうえ ゆきたか)
専修大学国際コミュニケーション学部教授。メキシコ史・メソアメリカ史。
主な著作に、『ビジュアル図解 マヤ・アステカ文化事典』(日本語版監修、柊風舎、2020年)、『人間と自然環境の世界誌―知の融合への試み』(共編著、専修大学出版局、2017年)、『メソアメリカを知るための58章』(編著、明石書店、2014年)。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

嗜好品から見える社会

嗜好品から見える社会

  • 大坪玲子、谷憲一(編)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判並製426頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

長年の呪いから解放されよう、嗜好品は我々の生活に必要不可欠なものである――

人類学者たちが現地で嗜好品を見て、体験し、語り合った、その集大成としての論集。嗜好品の紹介だけにとどまらず、生産・流通・消費における国家や政治との関係も考察しながら、その社会を見る。

――嗜好品というプリズムを通すと、社会は少し違って見えてくる

(ISBN 9784861108020)

『嗜好品から見える社会』の書評が『文化人類学研究』に掲載されました

『嗜好品から見える社会』オンデマンド版が出来しました
『モビリティと物質性の人類学』『嗜好品から見える社会』『アフリカにおけるジェンダーと開発』電子書籍を配信開始しました

 

目次|contents

序論(大坪玲子)[pp.9-34]

第一部 つながる
第1章 笑いはメディスンである―ペヨーテ・ミーティングにおける笑いと癒やし(渡辺浩平)[pp.37-62]
第2章 反響の語り―観光プロジェクト「キューバ国際音楽祭」をめぐる社会と個人に関する試論(田中理恵子)[pp.63-92]
第3章 「楽しみ」を分かち合う―ペルー都市と山村のチーズに対する価値観の違いから(古川勇気)[pp.93-119]
第4章 「あるけれど無い」リッブ―エジプト都市部のユビキタスな「ローカルフード」(鳥山純子)[pp.121-147]

第二部 こだわる
第5章 「良い酒」とはいかなるものか―つくり手の仕事からみたシミンアルヒとモンゴルの乳文化(寺尾萌)[pp.151-175]
第6章 においと「共犯性」―ネパールのキナーマー(工藤さくら)[pp.177-204]
第7章 今日のため、明日のため―イエメンのカート商人と消費者(大坪玲子)[pp.205-231]

第三部 つづける
第8章 水タバコをめぐるポリティクス―現代イランにおける喫煙の作法と法規制の行方(谷憲一)[pp.235-259]
第9章 アレヴィーと酒の切れない関係―翻弄されるトルコの少数派(今城尚彦)[pp.261-280]
第10章 「伝統」からビジネスへ―インドにおけるパーン文化の変容とジェンダー(小牧幸代)[pp.281-307]
第11章 蒸留酒をつくり、ふるまい、嗜む―ブルガリア村落部における体制転換、EU加盟と自家製ラキヤ(松前もゆる)[pp.309-336]

第四部 こえる
第12章 ほろ苦さを求めて―インドネシア西スマトラ州のガンビール・ブームから読み解くビンロウのグローバリゼーションズ(西川慧)[pp.339-366]
第13章 カヴァ飲みのゆくえ―オセアニア島嶼内外における人と在来作物の多義的な関わり合い(河野正治・大島崇彰)[pp.367-389]
第14章 近世以降韓国における薬用人蔘製品の流通と消費(辻大和)[pp.391-416]

あとがき 宴とともに(大坪玲子)[pp.417-420]

執筆者紹介

コラム(各章末)  
ナット・アンド・シガレット/キューバ・レコード―市場・商品・消費のはざまで/ペルーのインカ・コーラ/エジプトの男女別喫茶空間、アホワとカフェ/モンゴルの酒をめぐるこぼればなし/海外進出したチュルピー/イエメン飲み物事情/トフメあれこれ/「これは酒ではない」―ベクタシー教団のソフラとデム/インドの炭酸飲料水/タバコとコーヒーの香りの向こうに見えるもの/ヤシ酒飲むムスリムたち/海を越えた宴/『人蔘史』とその著者今村鞆

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
177頁
(誤)ネパール連邦民主共和国(以下、ネパール)
(正)ネパール
※2020年に国名変更

編者|editors

大坪玲子(おおつぼ・れいこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー。文化人類学、イエメン研究、嗜好品研究。
主な著作に、『嗜好品カートとイエメン社会』(法政大学出版局、2017年)、「カート・オントロジー構築の試み」(『人工知能学会第2種研究会ことば工学研究会資料集』、共著、2021年)、「カートを噛みながら―人類学とインタビューと嗜好品」(『嗜好品文化研究』6、2021年)。
恋しい嗜好品 アハジュル地方で噛んだ摘みたてのカートと、一緒に飲んだ湧き水

谷憲一(たに・けんいち)
上智大学アジア文化研究所・共同研究所員。文化人類学、イラン研究。
主な著作に、 「タァズィエ」(鈴木董・近藤二郎・赤堀雅幸編集代表『中東・オリエント文化事典』、丸善出版、2020年)、Realizing the Existence of Blind Spots in the ‘West’: A Systems-theoretical Perspective(Anthropological Theory 20(4)、共著、2020年)、「現代イランにおける国家とホセイン追悼儀礼―道具主義と言説的伝統の間で」(博士論文、一橋大学、2022年)。
恋しい嗜好品 イランのどこでも売っている、果物を煮詰めて乾かしたラヴァーシャク

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

書きかえる女たち―初期近代英国の女性による聖書および古典の援用

書きかえる女たち

初期近代英国の女性による聖書および古典の援用

  • 竹山友子(著)/2022年3月
  • 3900円(本体)/四六判上製346頁
  • 装丁:長田年伸

聖書や古典作品などの権威ある書物を巧みに書きかえ、キリスト教にもとづく男女の規範に挑んだ女性たちの執筆活動を明らかにする。メアリー・シドニー、エミリア・ラニヤー、アフラ・ベーンらの訳詩選も収録。

(ISBN 9784861107801)

目次|contents

第一章 初期近代英国の女性と書き物
第二章 メアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』における罪と女性―第五八編と第八二編の考察より
第三章 メアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』からの「子宮」の消滅
第四章 罪なきイヴの救済―エミリア・ラニヤーにおける女性擁護の言説とその源泉
第五章 ペンによるジェンダー革命―エミリア・ラニヤーの詩集に見られるメアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』の影響
第六章 斬首の王妃マリアムの救済―エリザベス・ケアリー作『マリアムの悲劇』に表出される新ストア主義思想
第七章 太陽に挑む‘Youth’と太陽を超越する‘Lady’―ジョン・ダンとキャサリン・フィリップスの詩における太陽の表象
第八章 性別を与えられた樹木とその背景―ラニヤー、カウリー、キャヴェンディッシュの選択
第九章 樹木を介した欲望の表出と変身願望―ロバート・ヘリックとアフラ・ベーン
終章 パラテクストから見る「書きかえる女たち」の知恵
訳詩選

著者|author

竹山友子(たけやま・ともこ)
1967年生まれ。関西学院大学文学部教授。専門は初期近代イギリス詩。広島大学大学院文学研究科博士課程前期、サセックス大学大学院修士課程、広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。主な著書・論文:「罪なきイヴの救済―エミリア・ラニヤーにおける女性擁護の言説とその源泉―」『英文学研究』84巻(2007)、“Eliminating Womb in the Countess of Pembroke’s Psalmes” Notes and Queries 63巻3号(2016)、『十七世紀英文学における生と死』(共著・金星堂・2019)など。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法

もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法

  • 仁平ふくみ(著)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製432頁
  • 装丁:中本那由子

誰も意識したことのない世界を、文学において立ち上げる――
「メキシコの寂れた農村を複雑でユニークな仕方で描いた作家」として文学史に名を残したフアン・ルルフォ。現実の土地にまつわる声と記録を重ね合わせて物語を紡ぎ出した彼の創作法の鍵を、「権力」「場所の表象」「出来事のフィクション化」「語りの技法」という切り口で読み解く。

→本書の「はじめに」を公開しています。

(ISBN 9784861107849)

目次|contents

はじめに

序章
1.作品と生涯
2.批評・先行研究
3.日本での受容
4.語りと場所
5.本書の構成

第Ⅰ部 権力とラテンアメリカ小説
第1章 記録とルルフォの創作
1.年代記に関するテクスト
2.空間的・時間的よそもの
3.文学としての記録、記録としての文学
4.史料収集と国立先住民庁(INI)での活動
5.記録する行為と権力

第2章 国民的作家の創造
1.『燃える平原』の文壇での位置づけ
2.「我々」を描いた作品
3.「メキシコらしさ」によって世界へ
4.攻撃と擁護
5.ルルフォと比較された作家アレオラ

第3章 『ペドロ・パラモ』における声の力
1.暴力による書類の無効化
2.権力と声
3.権力のほころびを示す三人の登場人物

第Ⅱ部 場所・記録・創作
第4章 初期の紀行文
1.雑誌『地図』
2.「メツティトラン」:文学的操作の片鱗
3.「カスティージョ・デ・テアヨ」:紀行文か、創作か

第5章 都市の孤独
1.初期作品「夜のかけら」
2.メキシコシティと創作
3.娼婦からなにものでもない者へ
4.語りの洗練

第6章 村を描くという挑戦――『嵐がやってくる』と『ペドロ・パラモ』
1.ハリスコ州出身の作家たち
2.新しい題材としての田舎
3.共同体の声を描く試み
4.変容する価値観
5.象徴としての鐘の音
6.変化の予兆

第7章 物語を内包する場所
1.実在の場所から架空の場所へ
2.場所にイメージを還す
3.小説『山脈』の構想
4.個々の場所から世界とつながる

第Ⅲ部 出来事をフィクション化するための試み
第8章 革命を書く――短篇「燃える平原」
1.登場人物の造形
2.耳で聞く風景、目で見る風景
3.削除された箇所
4.一兵士の視点からの革命

第9章 自伝的要素とフィクション
1.父親の死のフィクション化
2.「殺さないよう言ってくれ!」:事件との相違
3.逃亡者というオブセッション

第10章 作品の構造とモチーフ
1.境界としての空間の創造
2.『ペドロ・パラモ』における糸のモチーフ
3.ありえたはずの時間と赤ん坊
4.左右非対称な身体と時間

第Ⅳ部 語りを用いた手法の確立
第11章 主観と場所
1.さまよう人々
2.移動のプロセスと登場人物の関係
3.風景と主観の同調
4.思い出の中の場所
5.「ルビーナ」:感覚で場所を描写する
6.音の描写と断片化:場所と時間を描くための手法

第12章 声の操作
1.記述のための「話しことば」の創造
2.「アナクレト・モローネス」:声の持ち主の力の喪失
3.『ペドロ・パラモ』:三人称の罠
4.「その男」:対立するものの融和

おわりに

注
あとがき
参考文献
索引

著者|author

仁平ふくみ(にひら・ふくみ)
京都産業大学外国語学部准教授。文学博士(東京大学)。
専門はスペイン語圏文学。
主な著作に、 “Visions of Place: Yeats, Rulfo and the Noh Play” (Rethinking Juan Rulfo’s Creative World, (eds.) Nuala Finnegan and Dylan Brennan, Legenda, 2016) 、“Lo fantástico en ‘Música concreta’, de Amparo Dávila” (Entre lo insólito y lo extraño, (ed.) Alejandra Giovanna Amatto Cuña, UNAM, 2019) 、「メキシコ北部に生まれる幻想――エドゥアルド・アントニオ・パラの三短篇」(『Hispánica』63号、2020年)、「瓦礫と音楽とアルコール――ダビー・トスカーナ『消え失せた町』」(『れにくさ』10号2020年)、“Voz, historia y lugar: una comparación de los textos de Rulfo y el teatro japonés noh” (La contemporaneidad de Rulfo, (eds.) Vittoria Borsò y Friedhelm Schmidt-Welle, Iberoamericana-Vervuert, 2021)など。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

日本語教師の省察的実践―語りの現象学的分析とその記述を読む経験

日本語教師の省察的実践

語りの現象学的分析とその記述を読む経験

  • 香月裕介(著)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製426頁
  • 装丁:長田年伸

「実践の記述を読む」経験はどのような省察につながるか?
日本語教師の専門知・実践知のありようを、教師自身の語る/読むという経験から考察。主観と客観をつなぐ現象学的分析を採り入れることで、知覚・意味づけといった個々人の経験から教師の専門性を解き明かし、それを読むことをとおして読み手の省察、および自他理解への新たな視点をもたらす。【神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学会研究叢書1】
(ISBN 9784861107603)

目次|contents

第1章 研究の出発点
第2章 日本語教育における教師研究
第3章 現象学と現象学的研究
第4章 研究の枠組み
第5章 調査と分析の方法
第6章 星野さんの語り
第7章 足立さんの語り
第8章 星野さんと足立さんの語りから見えること
第9章 星野さんと足立さんによる省察――実践の記述を読んだ直後の語り
第10章 コロナ禍での星野さんと足立さんの実践――実践の記述を読んで一年後の語り
第11章 研究のまとめ
あとがき
参考文献
索引

著者|author

香月裕介(かつき・ゆうすけ)
神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部准教授。2019年、大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位修得退学。博士(日本語・日本文化)。大阪外国語大学外国語学部を卒業後、タイ国ランシット大学教養学部、独立行政法人国際交流基金関西国際センターなどで日本語教育に携わる。2015年に神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部に着任し、講師を経て2020年より現職。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

フォークナーの『サンクチュアリ』再読/改稿―語り手の再編成

フォークナーの『サンクチュアリ』再読/改稿リヴィジョン

語り手の再編成モンタージュ

  • 岡田大樹(著)/2022年3月
  • 3500円(本体)/四六判上製254頁
  • 装丁:長田年伸

問題作『サンクチュアリ』は、鋏と糊によるゲラの切り貼りによって誕生した。初稿と出版稿のテクスト配置順序を比較検討することにより、作家が初稿の語り手と格闘し、新たな語り手のかたちを模索した痕跡をたどる。
再創造の瞬間へ

(ISBN 9784861107795)

目次|contents

序章 改稿に伴う偶然性と編集性
第1章 再帰的な語りの解体―再配置以前の作品冒頭部
第2章 並置的な語りの構築―テンプルの挿話の再配置
第3章 ホレスの経験の変貌―出来事の時系列の再配置
第4章 ホレスの観察の棄却―登場人物の呼称と再配置
第5章 遡及的記述の尾骶骨―成就しない予示と再配置
終章 再読に伴う断片化と未完化
補章1 時系列の指標の加筆
補章2 サートリス家の変貌
補章3 ふたりの母親の変貌

著者|author

岡田大樹(おかだ・ひろき)
1991年、神奈川県生まれ。2018年、専修大学大学院文学研究科博士後期課程を修了。2022年3月まで同大文学部助教、2022年4月から同大ほか非常勤講師。英米ゴシック小説の周辺を中心に活動中。主な論文に「「グロテスク」から「捻じれた林檎」へ―Winesburg, Ohioの中心概念の変化」『文研論集』56号(2017年)。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

アヴェルノ

アヴェルノ

  • ルイーズ・グリュック(著)、江田孝臣(訳)/2022年3月
  • 2000円(本体)/四六判変形上製176頁
  • 装丁:毛利一枝

アヴェルノ、すなわち冥界の入口。母娘の確執、壮絶な拒食症、長期の精神療養――。
自伝は神話化され、神話は自伝化される。抒情と暗示と謎に富むその作品は、読む者をも魂との対話に誘ってやまない。
2020年ノーベル文学賞受賞。今を時めく女性詩人の第10詩集、日本初訳。

(ISBN 9784861107924)
 
【特設ページ】ルイーズ・グリュックの詩をどう読むか
 

目次|contents

 夜の渡り

Ⅰ
 十月
 さまよい人ペルセポネ
 プリズム
 火口湖
 エコー
 フーガ

Ⅱ
 宵の明星
 風景
 無垢の神話
 古風な断片
 青いロタンダ
 ひたむきな愛の神話
 アヴェルノ
 前兆
 望遠鏡
 つぐみ
 さまよい人ペルセポネ

 注記

 [訳者補遺]
  訳者後注
  作品一覧(原著・訳書)
  訳者あとがき

著者|author

ルイーズ・グリュック(Louise Glück)
1943年、ニューヨーク生まれ。
家族、母親、拒食症体験を取り上げながら、日常性から遊離した抽象的、神話的、元型的な詩を書く。
2020年、ノーベル文学賞受賞。

訳者|translator

江田孝臣(えだ・たかおみ)
早稲田大学文学学術院名誉教授。
1956年、鹿児島県生まれ。東京都立大学大学院博士課程退学。中央大学経済学部専任講師、助教授を経て、早稲田大学文学学術院助教授、教授。
著書:『エミリ・ディキンスンを理詰めで読む―新たな詩人像をもとめて』(春風社、2018年)、『『パターソン』を読む―ウィリアムズの長篇詩』(春風社、2019年)。翻訳書:D・W・ライト編『アメリカ現代詩一〇一人集』(共訳。思潮社、1999年)、原成吉編『ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ詩集』(共訳。思潮社、2005年)、『完訳エミリ・ディキンスン詩集(フランクリン版)』(共訳。金星堂、2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

学校と生活を接続する―ドイツの改革教育的な授業の理論と実践

学校と生活を接続する

ドイツの改革教育的な授業の理論と実践

  • 田中怜(著)/2022年2月
  • 4200円(本体)/A5判上製326頁
  • 装丁:長田年伸

私たちの行為や現実は、学習とどのように結びつきうるか?
眼差しの多様性とその転換に向けて――
1970年代以降のドイツの学校教育改革の変遷を、様々な授業実践の具体例をもとに考究。教育の営為における学習/教授や改革/反改革の両義的な発想を捉え、学ぶことと生きることの連関を描きつつ、多視点性を活かす差異に基づく授業の構想と方法を提言する。
(ISBN 9784861107665)

◆日本カリキュラム学会2023年度研究奨励賞受賞

目次|contents

まえがき
序章 なぜ、学校と生活の接続が問題となるのか
第一部 1970年代の急進的な学校批判とオルタナティブ学校の創設
第一章 西ドイツにおける学校批判とグロックゼー学校――「68年運動」に根差す学校と生活の接続方法
第二章 批判と修正の中のグロックゼー学校――顕在化するヘンティッヒ・パラドックスとの対峙
第二部 1980年代以降の改革教育的な授業改革と改革批判
第三章 学校と生活を接続する「実践的学習」の構想と実践――学習における実践的な行為の要求とそれに対する教授学的批判
第四章 教育政策に浸透する「学校の開放」の要求――ノルトライン・ヴェストファーレン州の枠組み構想「学校生活の形成と学校の開放」をめぐって
第五章 プランゲの学校論における「反省的学習」――生活との差異に基づく授業の構成理論
第三部 1990年代以降の改革教育批判の改革教育
第六章 改革教育の批判的継承としての学校実験「イエナ-プラン・ヴァイマール」――多視点的授業と対話的教育に基づく授業改革
第七章 「ヨーロッパ・プロジェクト」における多視点的授業のモデル化と実践――現実を観察する「多」視点的な授業構成モデルの構築とその特徴
終章 本書の結論と展望
あとがき
引用・参考文献
映像資料
初出一覧
事項索引
人名索引

著者|author

田中怜(たなか・れい)
育英大学教育学部講師。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程学校教育学専攻修了。博士(教育学)。筑波大学大学院教育研究科特任研究員を経て現職。専門は教育方法学。主な論文に、「プランゲの学校論における反省的学習(reflexives Lernen)――生活との差異に基づく学校教授構想の展開」『教育方法学研究』第42 巻、日本教育方法学会、2017 年(日本教育方法学会研究奨励賞受賞論文)、「学校と生活を媒介する『実践的学習』(praktisches Lernen)の構想とその問題――1980-90 年代ノルトライン・ヴェストファーレン州の授業改革に注目して」『カリキュラム研究』第28 号、日本カリキュラム学会、2019 年、「改革教育学の批判的継承としての学校実験『イエナ-プラン・ヴァイマール』(Schulversuch Jena-Plan Weimar)――生活との差異に基づく学校改革の構想とその実践」『教育方法学研究』第44 巻、日本教育方法学会、2019 年、「多視点的授業(Mehrperspektivischer Unterricht)における『教え』の演劇的解釈――1970年代西ドイツにおけるカリキュラム改革に対する『教師中心性』批判の再検証」『カリキュラム研究』第 31号、日本カリキュラム学会、2022年(印刷中)がある。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する