共在する人格―歴史と現在を生きるメラネシア社会

共在する人格

歴史と現在を生きるメラネシア社会

  • 福井栄二郎(著)/2024年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製374頁
  • 装丁:大田高充

人格論はまだ始まったばかりだ、と彼らは教えてくれている

「社会的役割」としての人格と「かけがえのなさ」としての人格――彼らのなかにはふたつの人格が共在している。オセアニアに暮らす人々の歴史と現実から「人間」の可能性を描き出す、長年のフィールドワークが結実した民族誌。

本書の舞台となるのは太平洋に浮かぶ小島、ヴァヌアツのアネイチュム島である。19世紀以降、西洋からの強大な力がこの島を飲みこむ。伝統は大きく変容し、その傷跡は現在も残されている。そのなかで彼らの「人格」は、いかに変容し、持続したのか。

 

本書の「はじめに」を公開しています → はじめに(pdfファイル)

(ISBN 9784861109089)

 

目次|contents

はじめに

Ⅰ  人格
第1章 文化人類学における「人格」
第2章 ヴァヌアツ・アネイチュム島

Ⅱ  歴史
第3章 一八四八
第4章 村落の誕生

Ⅲ  カストム
第5章 持続と断絶―土地と名前の結びつき
第6章 恥辱と歴史認識―カストムの真正性
第7章 譲渡できないものを贈与する―名前の贈与と公共圏

Ⅳ  かけがえのなさ
第8章 名の示すもの―ふたつの人格、ふたつの歴史
第9章 人格の手前にあるもの
第10章 死と状況的人格
第11章 共在する人格

あとがき
参照文献
索引

著者|author

福井栄二郎(ふくい・えいじろう)
島根大学法文学部・准教授
社会人類学・オセアニア研究

主な著作に、『交錯と共生の人類学:オセアニアにおけるマイノリティと主流社会』(共著、風間計博編、ナカニシヤ出版、2017年)、『多配列思考の人類学:差異と類似を読み解く』(共著、白川千尋・石森大知・久保忠行編、風響社、2016年)、「From Kastom to Developing Livelihood: Cruise Tourism and Social Change in Aneityum, Southern Vanuatu」(『People and Culture in Oceania』35、2020年)などがある。

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信仰と音楽は国境を越えて―オーストリアにおけるアレヴィーの儀礼実践と継承

信仰と音楽は国境を越えて

オーストリアにおけるアレヴィーの儀礼実践と継承

  • 鈴木麻菜美(著)/2024年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製292頁
  • 装丁:中本那由子

トルコの宗教的少数派(マイノリティ)であるアレヴィーの人びとは、オーストリアへの移民によって文化・社会環境が変遷するなかで、どのようにコミュニティや伝統を維持しているのか。儀礼とそれにかかわる音楽・舞踊への着目・考察をとおして、かれらの生活と信仰実践に迫る。
(ISBN 9784861109096)

目次|contents

はじめに
序論
第1章 「アレヴィー」とは
第2章 アレヴィーと音楽のかかわり
第3章 オーストリアのトルコ系移民とその他の移民コミュニティ
第4章 ディアスポラ・コミュニティにおけるアレヴィー
第5章 ディアスポラ・コミュニティにおけるジェムと音楽、セマーフ
第6章 結論
おわりに

著者|author

鈴木麻菜美(すずき・まなみ)
京都大学 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 特定研究員
音楽学(博士)、専門はトルコにおけるアレヴィーやスーフィー教団の(儀礼)音楽

主な著作に、「トルコにおけるアレヴィーとアイデンティティとしての音楽:ハジュベクタシュ村の記念祭を通して」(『音樂研究』第28號、2016年)、“Saints in Islamic Ritual Music: Grief for İmam Hüseyin in Alevi Tradition”(Journal of the Institute for Sufi Studies, Vol. 1, 2022)、“The Transmission of Alevi Ritualistic Practices in Austria as the Religious Other’s Society”(Manami SUZUKI (eds.) Special Feature “The Encounter with Religious Others through Music and Musician in the Islamic World”, Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies, Vol.16, 2023)など。

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共生と記憶の比較文化論―ともにつくる歴史と現在

共生と記憶の比較文化論

ともにつくる歴史と現在

  • 都留文科大学比較文化学科(編)/2024年3月
  • 4000円(本体)/A5判上並製368頁
  • 装丁:長田年伸

多様な文化的背景を持つ他者を理解し、共存・共生していく道を見つける、その取り組みの現在地。都留文科大学比較文化学科創立30周年出版

(ISBN 9784861109522)

目次|contents

総論
第1章 ある「養女」の物語―アメリカのサーカスに生きた日系軽業師テトゥ・ロビンソン (青木 深)
第2章 二つの時代の「自衛」論と「侵略」論の相剋  (伊香 俊哉)
第3章 沈黙しない「共生」の模索―バルセロナ空襲の記憶と現地在住イタリア人  (上野 貴彦)
第4章 「フィリピン国民」の道徳と文化―一九三九年「国民倫理規定」に見る道徳・歴史・文化  (内山 史子)
第5章 「ステークホルダー資本主義」は共生の思想たりうるか?  (菊池 信輝)
第6章 美術アーカイブの現在―アジアの美術における記憶の共有  (岸 清香)
第7章 There is such shelter in ourselves―ゼイディ・スミス『美について』を中心に  (齊藤 みどり)
第8章 若年女性の「働く」選択をめぐるジェンダー規範のゆらぎ―インド、アフマダーバード市におけるNGOの職業訓練を事例に (佐藤 裕)
第9章 韓国・朝鮮の基層文化と現代 (邊 英浩)
第10章 米国のメキシコ移民同郷会による異種混淆のコミュニティ―「家族的類似性」にもとづく連帯  (山越 英嗣)
第11章 「温泉タトゥーお断り問題」―「理不尽な校則」との共通性の考察  (山本 芳美)

編者|editor

都留文科大学比較文化学科
1993年に、教員養成系大学として知られる都留文科大学において唯一教員養成課程を擁しない学科として設立。国際性、現代性、学際性を基本理念とする。

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モビリティと物質性の人類学

モビリティと物質性の人類学

  • 古川不可知(編)/2024年3月
  • 3300円(本体)/A5判並製280頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

人と物が行き交うグローバルな世界と移動論的転回のなか、大地と海の起伏を感じ、乗り物に揺さぶられ、汗をかきながら移動する。人々と「私」の経験とともに、モビリティを再考する論集。

本書の「序章」(古川不可知 著)を公開しています:「序章 物質の世界をかきわけて」pdf

 

(ISBN 9784861109126)

目次|contents

序章 物質の世界をかきわけて(古川不可知)

第一部  ともに行く/変容する―身体
第1章 「儀礼化」する現代徒歩巡礼―反復の氾濫による連続性とその時空(土井清美)
第2章 ケニアの自転車競技選手の「ラウンドな世界」―移動を重ねてならされる、滞留がサイクルする日常(萩原卓也)
第3章 移動する身体と身分証―インドにおけるチベット難民の移動をめぐる物質的実践(片雪蘭)
第4章 モバイルハウスの民族誌―動く住まいとノマドの共生成をめぐる日米仏の事例から(左地亮子)

第二部  作り出す/反転する―インフラストラクチャー
第5章 環境に棲まうインフラ―流れ橋が刻むリズムと集める空間(難波美芸)
第6章 不可視性に抗して〈観る〉ために―ジープニーをケアするインフラ労働(西尾善太)
第7章 未知の故郷への帰還―ソロモン諸島マライタ島の道路建設にみる
インフラストラクチャーの両義性(橋爪太作)

第三部  探る/流動する―環境
第8章 ヒマラヤ山岳観光のモビリティと斜面の質感―山間部の移動をめぐる変化と連続性について(古川不可知)
第9章 多島海のナヴィゲーション―環境のなかを動く身体(中野真備)
第10章 定住した移動民のモビリティ―北西インドに暮らすジョーギーの野営と住まい方(中野歩美)
第11章 難民移動とポリティクス―逃避と越境における南スーダン人の身体、感覚、滞留(村橋勲)

あとがき
執筆者紹介

編者|editor

古川不可知(ふるかわ・ふかち)
九州大学大学院比較社会文化研究院・講師
専門:文化人類学/ヒマラヤ地域研究。
主な著作に、『「シェルパ」と道の人類学』(亜紀書房、2020年)、レーン・ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ―シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(奥野克巳、近藤祉秋との共訳、亜紀書房、2018年)、「インフラストラクチャーとしての山道―ネパール・ソルクンブ郡クンブ地方、山岳観光地域における「道」と発展をめぐって」(『文化人類学』83(3)、2018年)など。

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幕末期の〈陽明学〉と明末儒学―修己と天人関係を中心に

幕末期の〈陽明学〉と明末儒学

修己と天人関係を中心に

  • 古文英(著)/2024年3月
  • 4100円(本体)/四六判上製336頁
  • 装丁:長田年伸

幕末期の陽明学者らに注目し、「誠中心の儒学」に代表される陽明学の既存の認識を再検討し、幕末期の儒学思想史像の刷新を企図する。

草庵からみれば、真実の学問は静中の功によらないと実現できないという。草庵からみれば、読書の功は心気の紛擾を引き起こし、静坐のほうが「澄心」に到達できる。したがって、念庵・双江の帰寂の説が最も『中庸』の慎独の核心をついていることになる。すなわち、草庵は心気の紛擾を排除し、心が澄んでいる境地に到達したいために、念庵・双江の帰寂の説をよしとする。(本文より)

(ISBN 9784861109225)

目次|Contents

まえがき
序章
第一部 池田草庵の折衷的な学問と批判的経世論
第一章 池田草庵における道徳と見聞知識の分離と再結合―経世致用論の形成
第二章 意と「天人一理」からみる批判精神
第三章 池田草庵の批判的経世論と門人への影響
第二部 山田方谷における「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」
第四章 山田方谷の儒学思想の形成
第五章 山田方谷における実践論理の形成―「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」を通して
第六章 山田方谷の「文武両道」論
第七章 山田方谷における撫育政策と君主の仁政
第八章 三島中洲の日清戦争前の儒学思想と義利合一論
補論 東洋哲学の構築からみる「自己表象」の形成―井上哲次郎の「三部作」を中心に
終章
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

古文英(こぶんえい)
1990年、中国広東省生まれ。立命館大学大学院研究科人文学専修博士課程後期課程修了(博士・文学)。現在立命館大学文学研究科初任研究員・立命館大学授業担当講師。
主要論文:「陽明学者」池田草庵の儒学思想再考―幕末期における折衷的な学問に着目して」(『東アジアの思想と文化』11号、2020年)、「山田方谷における君主の仁徳論と撫育政策」(『立命館文學』673号、2021年)など。

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シュンペーターの経済思想―ヴィジョンと理論の相剋

シュンペーターの経済思想

ヴィジョンと理論の相剋

  • 楠木敦(著)/2024年3月
  • 3900円(本体)/A5判上製228頁
  • 装丁:矢萩多聞

ベルクソンを中心とするフランス思想の視座からシュンペーターを読み解くことで、今まで見えなかったシュンペーター像が立ち顕れる。

この快楽的人間とは対照的に、動態の理論に対応した精力的人間は、行為のもたらす快楽と苦痛の差引計算を行為の基準として行動する経済主体ではなく、外形的・数値的な証拠では基礎付けられない創造を担う存在であった。精力的人間としての企業者が惹き起こす革新は、事前には、まったく予見できないものであった。シュンペーターは、事前には、誰によってもその価値を数値的に考量することができず、かつ外形的・数値的な証拠では基礎付けられない創造的な行為こそが経済の発展にとって最も重要な役割を果たしているというヴィジョンを持っていた。企業者が遂行する革新は、快苦原則を核とする功利の原理、および帰結主義の原理の外部に存在する。(本文より)

(ISBN 9784861109607)

目次|Contents

序章
第1章 日本におけるシュンペーター経済学の導入―福田徳三と高田保馬を中心にして
第2章 創造性―シュンペーターとベルクソン
第3章 社会科学方法論―経済学方法論と社会学方法論
第4章 経済人の概念―功利主義批判をめぐって
第5章 時間の概念―ベルクソンの時間概念との比較を通じて
第6章 不確実性―フランク・ナイトの不確実性との比較を通じて
終章 ヴィジョンと理論の相剋―革新と銀行家をめぐって
補章 シュンペーターの経済思想の現代的意義―シュンペーターからグラミン銀行へ
むすび
あとがき
初出一覧
参考文献
索引(人名・事項)

著者|Author

楠木敦(くすき・あつし)
1979年、和歌山県生まれ。2004年、和歌山大学経済学部卒業、2013年、北海道大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。北海道大学大学院経済学研究科助教、北星学園大学経済学部専任講師を経て、現在北星学園大学経済学部准教授。

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私たちはシェイクスピアの同時代人―映画にみる現代人のルネサンス的心性

私たちはシェイクスピアの同時代人

映画にみる現代人のルネサンス的心性

  • 中村友紀(著)/2024年3月
  • 3600円(本体)/四六判上製308頁
  • 装丁:毛利一枝

シェイクスピア再生産の長きに亙る持続の理由を探り、現代の個人や社会の中に近代初期的な思考や諸価値が生きていることを跡づける。

翻案という表象の手法自体は大変古いものであり、古代ギリシャ演劇も、ギリシャの神話や伝承の劇化であり、セネカ悲劇もギリシャ悲劇の翻案であった。ルネサンスのイングランドの悲劇も、文士たちのセネカ悲劇の模倣から始まった。シェイクスピアの場合、作品の殆ど全てに、何らかの種本がある。常にどの時代の作家たちも、自分たちとは異なる思考や表現方法を持つ異文化の表象に触発されて、それぞれの様々な動機により、自分たちの懸念や関心を表現してきた。既に決まっているプロット、既存の台詞、既存の登場人物たち、これらの要素が、翻案においては制約や制限とは捉えられず、むしろ強力な訴求力を持つ表現のモデルとして、再利用された。先に引いたシムキンの指摘にあったように、社会への不満や懸念などに強烈な表現を与える際に、復讐劇というセネカ由来でありギリシャ由来でもあるフォーマットを、近代初期の劇作家たちはこぞって利用した。古典の教養を基盤とする人文主義教育を受けた文士たちにとって、レトリックの手本として、また、モラルの手本として熟知したラテン文学は、彼らの問題意識の表現の媒体として、非常に有効であった。コットにとってシェイクスピアが同時代人であったように、ルネサンスの文士たちにとっては、セネカは同時代人であったといえる。(本文より)

(ISBN 9784861109614)

目次|contents


第1章 『エイリアン:コヴェナント』の人間性のルネサンス的パラダイム――『テンペスト』の現代的翻案
第2章 ユートピアとモンスター――『テンペスト』の翻案としてのリドリー・スコットの『エイリアン・コヴェナント』
第3章 エリニュエスの正義――ギリシャ悲劇、近代初期復讐劇、ヴィジランティ映画の暴力と倫理
第4章 ヴィジランティの正義と暴力――復讐劇プロタゴニストの人物造型と現代映画に見る系譜的連続性
第5章 暴力表象のルネサンス的様式――『タイタス・アンドロニカス』と『デス・ウィッシュ』
第6章 ボレアリズム的『ハムレット』――映画『ノースマン』の北欧表象
第7章 文化を翻訳する方略――『マクベス』と『蜘蛛巣城』とクライテリオンの二種の字幕
あとがき
参考文献一覧
索引

著者|author

中村友紀(なかむら・ゆき)
関東学院大学経営学部教授、専攻・イギリス文学、ルネサンス研究
関西学院大学大学院博士後期課程単位取得退学
著書『パブリック圏としてのイギリス演劇――シェイクスピアの時代の民衆とドラマ』(春風社)
翻訳『シェイクスピアの祝祭の時空――エリザベス朝の無礼講と迷信』(フランソワ・ラロック著、柊風舎)。

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相互行為(インタラクション)としての英語学習 ―教室談話への現象学的アプローチの試み

相互行為インタラクションとしての英語学習

教室談話への現象学的アプローチの試み

  • 泉谷律子(著)/2024年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製236頁
  • 装丁:才村昌子

いま公教育の英語教育では、文法指導と内容重視のコミュニケーションの両方の実践が求められ、外国語習得に本来必要なものを教師が追究することが困難な状況にある。そこで本書は、公立中学校の実際の英語授業における教室内での談話分析をもとに、英語主導のインタラクションをとおして学習者がどのように〈行為としてのことば〉を経験しているのかを、身体性、時間性、空間性、関係性という現象学の視点から論究し、あらためて言語教育の本質を問う。

(ISBN 9784861109348)

目次|contents

まえがき

序章 本書の概要
0.1 問題の所在とその背景
0.2 研究目的
0.3 本書の意義と構成

第1章 先行研究
1.1 コミュニケーションとは
1.2 インタラクションとは
1.3 教室談話研究
1.4 言語観と言語習得観
1.5 リサーチクエスチョン
1.6 本書の位置づけ

第2章 理論的枠組みと研究方法
2.1 現象学
2.2 本書のアプローチ
2.3 英語授業研究への従来のアプローチ
2.4 理論的枠組みのまとめ
2.5 研究方法

第3章 英語授業における挨拶の比較
3.1 挨拶場面比較検討の観点
3.2 IRF/IREパターンと談話の拡張
3.3 分析対象
3.4 分析 挨拶の場面
3.5 考察
3.6 まとめ

第4章 教科書に基づいた質問=回答における相互行為
4.1 評価のない学習機会構築
4.2 先行研究の検討
4.3 分析
4.4 考察
4.5 まとめ

第5章 英語授業で自作の詩を読むという経験
5.1 詩と文学教材の言語教育的価値
5.2 読み、書く教材としての詩
5.3 分析
5.4 考察
5.5 まとめ

第6章 「他人の心を知る」偶発的相互行為
6.1 教室談話における偶発性
6.2 他人の心についての現象学的説明
6.3 分析
6.4 考察
6.5 まとめ

第7章 総合考察 英語授業を生きる経験
7.1 本書で明らかになったこと
7.2 本書の意義の確認

第8章 本書のまとめと今後の課題

参考文献
初出情報
あとがき
付録
索引

著者|author

泉谷律子(いずたに・りつこ)
大阪大学大学院言語文化研究科(現人文学研究科)言語文化専攻博士後期課程修了。博士(言語文化学)。大阪大学人間科学部を卒業後、民間企業への勤務を経て、京都教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻修士課程修了。修士(教育学)。現在、武庫川女子大学など複数の大学の非常勤教員。専門は、英語教育学、授業談話研究、ナラティヴ分析。論文に、「EFL教授学習における談話分析:活動理論の視点から」(ヴィゴツキー学、別巻第3号、pp. 21-28.)、「中学校英語授業における教室談話の偶発的アイデンティティ」(大阪大学大学院言語文化研究科 言語文化共同研究プロジェクト2015:相互行為研究②-社会と文化、アイデンティティ-, pp. 33-41.)などがある。

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安部公房と境界―未だ/既に存在しない他者たちへ

安部公房と境界

未だ/既に存在しない他者たちへ

  • 岩本知恵(著)/2024年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製286頁
  • 装丁:矢萩多聞

捉えようとすればするほど曖昧になりがちな境界に着目、安部公房作品を様々な境界を問い直し攪乱する実践として論じ読み取る。

どれほど境界の非安定性を描出し、固定化不可能なものとして記述しても、それが言語によるものであり、しかもそれを論じるという形式をとる以上、既存の言説に対抗するための新たな境界、新たな言説は産出されてしまう。ならば、ここで有用なのは、オルタナティブな言説や境界を打ち立てることではなく、オルタナティブな言説や境界たちを記述することである。それは、集権的で支配的な規範を分散させ、様々な言説や境界や認識の可能性をパラレルに配置することになるだろう。境界の非安定性を限りなく拡張し可視化すること、産出された境界の本質化を限りなくずらし、遅延させ、別の認識の可能性を提示すること、こうした記述によって、境界を固定化する力に抗いたい。(本文より)
(ISBN 9784861109409)

目次|contents

序章
第一章 変形する身体境界―「赤い繭」論
第二章 自他境界=言語化できない欠如の場所―「飢えた皮膚」論
第三章 未完の関係性のために―「人魚伝」論
第四章 非/実在の影響力―「幽霊はここにいる」論
第五章 〈まなざされる〉脆さと加害性―『他人の顔』論
第六章 〈いのち〉の境界―『第四間氷期』論
第七章 未だ/既に存在しない他者たちへ―『第四間氷期』論
終章
あとがき

著者|author

岩本知恵(いわもと・ちえ)
1991年大阪府生まれ。立命館大学卒業、立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。現在、立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は、近現代日本文学・文化。
主な論文に、「非/実在の影響力―安部公房「幽霊はここにいる」論」(『社会文学』第53号、2021年)、「未完の関係性のために―安部公房「人魚伝」論」(『昭和文学研究』第80集、2020年)など。

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十九世紀小説の誕生―ディケンズ前期小説におけるジャンルの変容

十九世紀小説の誕生

ディケンズ前期小説におけるジャンルの変容

  • 新野緑(著)/2024年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製336頁
  • 装丁:矢萩多聞

ジャーナリズム、イラストレーション、ピカレスク、メロドラマーー多様なジャンルを経て、独自のリアリズムへ。
19世紀的都市型作家ディケンズはどのように生まれたのか? 『ボズのスケッチ』から『バーナビー・ラッジ』に至る前期小説6編におけるジャンル、モチーフの変容に着目し、作家的発展の軌跡をたどる。
(ISBN 9784861109171)

目次|contents

序章 小説というジャンル
第1章 ジャーナリストから小説家へー『ボズのスケッチ』の構成をめぐって
第2章 挿絵との交渉ー『ピクウィック・ペイパーズ』における小説家の位置
第3章 境界線を引くー『オリヴァー・トゥイスト』におけるリアリズムの探求
第4章 新たな創作の形を求めてー『ニコラス・ニクルビー』におけるジャンルの変容
第5章 都市型作家の誕生ー『骨董屋』に見るディケンズの自己形成
第6章 せめぎ合う言葉ー『バーナビー・ラッジ』における謎の創出
第7章 現実と想像の間ーディケンズと群衆
第8章 ロンドンの胃袋ーディケンズと市場
終章 ジャーナリストから都市型作家へ
あとがき
初出一覧
参考文献
図版出典一覧
索引

著者|author

新野緑(にいの・みどり)
大阪大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程中退 博士(文学)。ノートルダム清心女子大学教授、神戸市外国語大学名誉教授。著書に、『〈私〉語りの文学ーイギリス19世紀小説と自己』(英宝社、2012年)、『小説の迷宮ーディケンズ後期小説を読む』(研究社、2002年)など。

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