フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

  • 三根靖久(著)/2024年11月
  • 7000円(本体)/A5判上製512頁
  • 装丁:毛利一枝
  • 装画:揚妻博之

創造的であるためには、
作家は常に勤勉でなければならず、安逸な幸福を排除して生きなければならない。『判決』のゲオルク・ベンデマンは、人生をかけて事業に挑むこともなく小市民的幸福を選ぼうとしたことにより、父から罰せられた。(…)カフカは“書くこと”を強く希求しているが、その“書くこと”は、ときに無慈悲な掟として作者にのしかかる。(本文より)

(ISBN 9784861109942)

目次|Contents

第一部 創作と流れ
Ⅰ 形象と隠喩
1 創作をめぐるカフカの形象表現に関する先行研究
2 隠喩論

Ⅱ 創作をめぐるカフカの隠喩―『判決』以前と以後―
1 “僕は高揚している間だけ良いものを考え出す”―『判決』までの日記―
2 “書くことは深いところに重心がある”―『機関助士』以降の日記と手紙―

Ⅲ 出口のない“流れ”
1 朝の交通に遅れた者たち―『失踪者』と『変身』―
2 階段を上り続ける者たち―『審判』と『狩人グラックス』―

Ⅳ ‶書くこと″と内省
1 よそ者と女たち―『城』―
2 物思いにふける動物たち―『ある犬の研究』と『巣穴』―

第二部 〈あなた〉との出会い
Ⅴ もう一つの転機
1 一九一一年の日記
2 架空の語り手と架空の受け手

Ⅵ ‶お前と世界との戦いでは、世界の味方をしろ″
1 語り手の眼差し―『新人弁護士』―
2 語り手への眼差し―『ある学士院への一通の報告書』―
3 〈小さな文学〉の誕生

Ⅶ 語っているのは誰なのか―『断食芸人』、『最初の苦悩』、『小さな女性』―
1 匿名の語り手―『最初の苦悩』と『断食芸人』―
2 つきまとわれる語り手―『小さな女性』―

Ⅷ 彼女が〈私たち〉と言うとき
1 生前発表作品における〈私たち〉の転換
2 カフカの創作ノートに残された〈私たち〉
3 〈私たち〉の小さな音楽―『歌手ヨゼフィーネもしくはネズミ族』―

結論
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

三根靖久(みね・やすひさ

1983年生まれ。
2006年東京外国語大学卒業。
2019年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。
現在、中央大学経済学部兼任講師。

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外国人労働者としての難民―オーストラリアの農村部における難民認定者の受け入れ策と定住支援策

外国人労働者としての難民

オーストラリアの農村部における難民認定者の受け入れ策と定住支援策

  • 小野塚和人(著)/2024年10月
  • 5400円(本体)/A5判上製326頁
  • 装丁:長田年伸

難民を労働力として受け入れるには、どのような支援策が考えられるか?

オーストラリアの農村自治体における、外国人労働者としての難民の誘致事業と支援実践を考察。成功例と失敗例の分析によって得られた知見は、生産年齢人口の減少が深刻化している日本の現状に対しても豊富な示唆を与える。

(ISBN 9784861109652)

目次|Contents

序章
第1章 難民認定者に対する定住と統合の実現に向けた支援策
第2章 難民認定者が地方部に向かう社会的・政策的な経路
第3章 地方部への技能移民の就労と配置を促進する政策的実践
第4章 地方部における非熟練・半熟練労働力の確保に関する政策的実践:「太平洋諸島労働協定(PLS)」の園芸農業部門での利用状況を中心に
第5章 カタニングにおける難民コミュニティ主導型の移住事業の展開
第6章 ダルウォリヌの「地域人口増強計画」にみる住民主導型による難民認定者を受け入れる試み
第7章 ニルにおける雇用主主導型による難民認定者の受け入れ事業の展開
第8章 外国人労働者としての難民の受け入れにあたって、受け入れ社会側に求められる施策
第9章 難民はいかにして「難民」となるのか:カレン人コミュニティリーダーのライフストーリー
終章

著者|Author

小野塚和人(おのづか・かずひと

1984年群馬県生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学博士(社会学)。早稲田大学、神田外語大学を経て、現在、東洋大学社会学部准教授。専門は、地域社会学、国際社会学、移民政策論、観光学、オーストラリア地域研究。主な論文に、「観光地ケアンズの生成と日本企業」『オーストラリア研究』第24号、「コスモポリタン的近代における『共にあること』をめぐる理論社会学的考察」『グローバル・コミュニケーション研究』第1号、「『バブル誘発型』の観光開発による社会空間の生産」『アジア太平洋討究』第22号、などがある。

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カント「人倫の形而上学」の生成―理念論の道をたどる

カント「人倫の形而上学」の生成

理念論の道をたどる

  • 宮村悠介(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製244頁
  • 装丁:間村俊一

カント哲学の集大成『人倫の形而上学』はいかに成立したのか。

遺稿や講義録などの綿密な読解をとおして、30年におよぶカントの思想形成史そのものともいうべき、理念論の〈道〉としての「人倫の形而上学」を明らかにする。

(ISBN 9784861109768)

目次|Contents

序 カントの一大プロジェクト
第一部 理念論への道
第一章 カントの「人倫の形而上学」の構想
第二章 カントの理念論の歴史的背景
第三章 カントの理念論の生成
第二部 理念論の道
第四章 知恵と哲学
第五章 徳と倫理学
第六章 共和国と共同体
第七章 理想と人格
あとがき

著者|Author

宮村悠介(みやむら・ゆうすけ

1982年生まれ。埼玉県出身。2011年、東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。愛知教育大学教育学部准教授を経て、現在、大正大学文学部准教授。専門は倫理学と比較思想。訳書にI・カント『人倫の形而上学 第二部 徳論の形而上学的原理』(岩波文庫、2024年)があり、共著に『ACPの考え方と実践 エンドオブライフ・ケアの臨床倫理』(会田薫子編、東京大学出版会、2024年)、『和辻哲郎の人文学』(木村純二・吉田真樹編、ナカニシヤ出版、2021年)などがある。

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バルザック研究アラカルト―コントから小説の方へ

バルザック研究アラカルト

コントから小説の方へ

  • 谷本道昭(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製424頁
  • 装丁:長井究衡

「人間喜劇」の作者バルザックとして固定化、伝説化してきた作家像によって覆い隠された姿に目を向け、その形象を浮かび上がらせる。

「誰もが知る文豪を生まれ変わらせる。そんな大それた企図が、最先端の学知を駆使しつつ、愉悦に満ちた筆致によって成し遂げられたのだから、これはもう脱帽するほかはない」(野崎 歓/フランス文学者)

(ISBN 9784861109676)

目次|Contents

はじめに
第一部 コント文学とバルザック
第一章 『最後の妖精』を読む――「妖精譚」の読者/著者バルザック
第二章 若返りの泉――ラ・フォンテーヌの読者バルザック
第二部 コントの作者バルザック
第三章 コントの作者バルザックと初版『あら皮』
第四章 『哲学的コント集』をひもとく
第五章 「コントのような会話」のために――『コント・ブラン』と『新哲学的コント集』
第六章 『コントの理論』――バルザックからバルザックへ
第三部 小説の方へ
第七章 バルザックとパリの泥――『金色の眼の娘』『ゴリオ爺さん』『シビレエイ』
第八章 『ゴリオ爺さん』〈ボーセアン夫人の最後の舞踏会〉をめぐって――「罪を犯した女たち」と人物再登場法
第九章 拒絶された手紙――書簡=小説としての初版『谷間の百合』
第十章 花の小説/小説の花――初版『谷間の百合』再読
あとがき
文献一覧

著者|Author

谷本道昭(たにもと・みちあき

1980年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了・博士課程単位取得退学、パリ第七大学修士・博士(テクストとイマージュの歴史と記号学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻准教授。専門はバルザックを中心とする19世紀フランス文学と出版文化。共著に『フランス文学を旅する60章』(明石書店)、Lire, voir, penser l’œuvre de Jean-Philippe Toussaint(Impressions nouvelles)。共訳にアンドレ・バザン『映画とは何か』(岩波書店)。論文に「二つの裁判とそのクロニック」(明治大学『人文科学論集』)、「文学的偽装」(東大比較文學會『比較文學研究』)など。本書が初の単著となる。

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教師教育五十年―「ひよことたまご」の教育実践

教師教育五十年

「ひよことたまご」の教育実践

  • 横須賀 薫(著)/2024年9月
  • 3000円(本体)/四六判並製234頁
  • 装丁:横須賀 拓

戦後教育改革による師範学校から教員養成大学への変遷、東大闘争を経て、教職課程コアカリキュラムの策定、教職大学院の構想へと進んだ激動の半世紀。「教師の教師になる」。本書の著者は、これまで大学における教員養成と現場での現職教育とを一貫して同一課題ととらえて論じ、ときに大勢に抗いながら「教師教育」を実践しつづけてきた。昭和、平成にかけて気鋭の教育者たちと交流し、ともに未来を見据えてきた著者のまなざしに宿る「ひよことたまご」の思想とは?
(ISBN 9784861109836)

目次|Contents

序 章 教師教育の基本と実践性

Ⅰ部 宮城教育大学の教員養成改革
第一章 教員免許について
第二章 開放性と閉鎖性の二項対立
第三章 運命としての宮教大
第四章 小学校教員養成の「発見」
第五章  統合の軸としての「教授学」
第六章 「表現」の欠落を埋める
第七章 小学校課程専任教員をつくる
第八章 「教職入門」の役割と実際
第九章 教科教育学の自立と充実
第十章 教育実習と附属学校の改革
第十一章 ゼミの大切さと卒業後のケア
第十二章 「教授学」に託したもの

Ⅱ部 広い視野からの活動へ
第一章 挫折・失意から広い視野へ
第二章 教員養成部会に加わる
第三章 教員免許「国家試験制」の提唱
第四章 教員養成専門大学の必要性と可能性
第五章 私学の教員養成を経験する
第六章 「地域連携」が充実の鍵

終 章 日本の教師の資質能力は低下、不変、上昇?

初出一覧
あとがき

ラディカルな精神―跋文に代えて(三浦 衛)

著者|Author

横須賀 薫 (よこすか・かおる)

1937年大阪で生まれ、物心ついて以後、横浜で育つ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程単位取得退学。
1968年宮城教育大学の教育学担当講師、70年同助教授、83年同教授を経て、2000年8月、同大学学長に就任。06年7月任期満了で退職。
2007年4月から十文字学園女子大学特任教授・学事顧問、11年4月学長に就任。17年3月任期満了で退職。
主な著書に『子どもの可能性をひらくもの』(教育出版、1987年)、『授業研究用語辞典』(教育出版、1990年)、『授業の深さをつくるもの』(教育出版、1994年)、『斎藤喜博 人と仕事』(国土社、1997年)、『教員養成 これまでこれから』(ジアース教育新社、2006年)、『図説 教育の歴史』(共著)(河出書房新社、2008年)、『新版 教師養成教育の探究』(春風社、2010年)、『斎藤喜博研究の現在』(編著)(春風社、2012年)、『教育実践の昭和』(春風社、2016年)ほか。

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1918年のインフルエンザパンデミック―ニュージーランドの経験から学ぶ

1918年のインフルエンザパンデミック

ニュージーランドの経験から学ぶ

  • ジェフリー・ライス(著)、伊藤雄志、箱根かおり、リッチー ザイン(訳)/2024年9月
  • 2800円(本体)/A5判並製138頁
  • 装丁:中本那由子

新型コロナウイルス対策でも生かされた、
悪夢のような大災害の体験と記憶と教訓に関する書

ニュージーランド史上最悪の公衆衛生上の災害に対して
・政府はどのように対応し、対策を立てたのか
・感染症を抑制するために、どれくらい科学的知識を尊重したのか
・地域社会はどのような方法で互いに助け合い、病人や弱者を救ったのか

(ISBN 9784861109881)

目次|Contents

第1章 1918年のインフルエンザパンデミックを理解する
第2章 第一次世界大戦は感染拡大にどのような役割を果たしたのか?
第3章 ニュージーランドへのインフルエンザ感染拡大
第4章 インフルエンザの感染拡大にともなう支援の組織化
第5章 病人とその家族の世話
第6章 災害の反省
第7章 研究と学んだ教訓

著訳者|Author and Translator

【著者】
ジェフリー・ライス(Geoffrey W. Rice)
カンタベリー大学歴史学名誉教授
ニュージーランド・メリット勲章受章

【訳者】
伊藤雄志(いとう・ゆうし)
元ウェリントン・ヴィクトリア大学日本語学科長
東北大学理学部 学士号
広島大学大学院文学研究科 修士号
メルボルン大学大学院 Ph.D.
2018年外務大臣表彰受章
2019年旭日単光章受章

箱根かおり(はこね・かおり)
大阪女学院大学国際・英語学部准教授
マッコーリ大学文学部 学士号 (Hon)
シドニー大学大学院応用言語学部 修士号 (Merit)
ニューヨーク州立大学大学院 理学修士号
博士後期課程在籍中
国際交流基金在外法人研修
研究分野は国内外のコミュニティ開発とリーダーシップ

リッチー ザイン(Zane Ritchie)
城西大学現代政策学部准教授
ウェリントン・ヴィクトリア大学文学部 学士号 (Hon)
立命館大学大学院文学研究科 修士号 (Merit)
ウェリントン・ヴィクトリア大学大学院 修士号
文部科学省国費留学生
ニュージーランド出身、日本在住25年。主な研究分野は地域研究(ニュージーランド、日本とアフリカ)

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吉屋信子―小説の枠を超えて

吉屋信子

小説の枠を超えて

  • 山田昭子(著)/2024年7月
  • 3300円(本体)/四六判上製366頁
  • 装丁:大國貴子

一作家としての屹立
戦前の少女小説家の代表者である吉屋信子。しかし、彼女の文学世界はそこのみにとどまるものではなかった。童話、少女小説、大衆小説、評伝小説と、領域を横断しながら描き出された多彩な作品を、丹念な書誌研究をもとに読み解く。
(ISBN 9784861109683)

目次|Contents

はじめに
Ⅰ 童話・少女小説
第一章 吉屋信子、その〈少女性〉――童話から少女小説へ
第二章 『花物語』における少女たちの裏切り――「睡蓮」論
第三章 〈競い合う少女〉たち――『少女倶楽部』における運動小説について
第四章 『花物語』の終焉――「薊の花」論
第五章 母からの離脱――『からたちの花』論
Ⅱ 大衆小説
第六章 遍歴する女と三人の男たち――『良人の貞操』論
第七章 まなざされるボルネオ――『新しき日』における『風下の国』の意味
Ⅲ 戦後――大衆小説・評伝小説
第八章 変転する〈母〉の物語――『安宅家の人々』論
第九章 歴史小説への紐帯――『香取夫人の生涯』論
Ⅳ 吉屋信子研究の現在とその展望
吉屋信子作品年表

著者|Author

山田昭子 (やまだ・あきこ)

神奈川県生まれ。専修大学大学院文学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、専修大学・東洋英和女学院大学・関東学院大学・白百合女子大学・立正大学の非常勤講師をつとめる。主な論文に、「『新女苑』における中里恒子の仕事」(『芸術至上主義文芸(49)』、二〇二三年一一月)、「二つの厠の物語――川端康成「化粧」、吉屋信子「隣家の厠」をめぐって」(『芸術至上主義文芸(48)』、二〇二二年一一月)、「文字の美しさと少女の美――少女雑誌広告に見る文字指導の変遷」(『ことばと文字(12)』、二〇一九年一〇月)など。

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ベルブアルブアルの世界―マレーシアの柔構造時間と柔構造社会

ベルブアルブアルの世界

マレーシアの柔構造時間と柔構造社会

  • 板垣明美(著)/2024年6月
  • 3000円(本体)/四六判並製340頁
  • 装丁:矢萩多聞
  • 装画:越野世帆里

「お金の理論」と「人の理論」のバランスをとるメカニズムとは?
カギとなるゼロ時間(無の時間)をマレーシアの農村で徹底調査し、その役割と重要性を明らかにする。
(ISBN 9784861109201)

目次|Contents

はしがき
序 章 文化人類学が捉えた「時間」と「環境問題=持続可能性」の関連
第1章 マレー人農村の柔構造時間と柔構造社会――新しい技術も自分たち流に
第2章 ベルブアルブアルの世界――マレー人農村におけるおしゃべり活動とその成員
第3章 マレー人農村は変わったか――マレーシア・ケダ州の大規模灌漑プロジェクトと農民の対応
第4章 マレーシアにおける農薬使用の抑制のフィードバック――ケダ州ムダ地域G村の「漁労稲作果樹菜園文化生態系」の事例
あとがき
アペンディックス

著者|Author

板垣明美 (いたがき・あけみ)

1985年筑波大学環境科学研究科修士課程修了、1993年筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
横浜市立大学都市社会文化研究科准教授。
主要著書に『癒しと呪いの人類学』(2003年、春風社)、『ヴェトナム―変化する医療と儀礼』(編著、2008年、春風社)ほか。

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芥川龍之介の中国遊歴―光と影の軌跡

芥川龍之介の中国遊歴

光と影の軌跡

  • 藤谷浩悦(著)/2024年6月
  • 6800円(本体)/A5判上製624頁
  • 装丁:根本眞一(クリエイティブ・コンセプト)

中国という鏡を通して、日本を見つめ直す
常に新しい分野に突き進もうとし、最後まで孤高を貫いた芥川龍之介。中国旅行は重要な転換点であり、心のなかで、決定的に何かが変わった――
本書は、芥川龍之介が一九二一年三月から七月までに行った中国遊歴について、同時代の中国や朝鮮、日本で起きた出来事に着目しつつ、芥川の前後に中国を遊歴した人々の記録を参照しながら再現し、あわせてこの中国遊歴が芥川に与えた影響を考察するものである。(本書序論より)
(ISBN 9784861109669)

目次|Contents

序論
第一編 東京から上海へ
第1章 旅立ちまで―中国への思い
第2章 上海到着の前後―東亜新聞記者大会
第3章 著名人との会談―鄭孝胥、章炳麒、李人傑
第4章 上海の名所探訪―芝居と歓楽街、芸妓
第二編 長江流域の周遊
第5章 杭州と蘇州の衝撃―排日運動の底流
第6章 蘇州、鎮江、揚州の周遊―江南の風景と情感
第7章 上海の別れ、蕪湖の再会―亡き母への思い
第8章 九江と廬山、漢口の旅―在留日本人の特徴
第9章 漢口から長沙へ―古典研究の隘路
第三編 北京から東京へ
第10章 京漢鉄道の旅―上海の極東オリンピック大会
第11章 洛陽から北京へ―文化の重さ
第12章 天津への嫌悪感―北京郊外の旅
第13章 田端の自宅への帰還―奉天、京城から東京へ
結論

著者|Author

藤谷浩悦 (ふじや・こうえつ)
1957年、秋田県に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科(東洋史専攻)単位取得満期退学。博士(文学)。人文学研究者
著書:『湖南省近代政治史研究』(汲古書院、2013年)、『戊戌政変の衝撃と日本―日中聯盟論の模索と展開』(研文出版、2015年)、『井上雅二と秀の青春(一八九四-一九〇三)―明治時代のアジア主義と女子教育』(集広舎、2019年)
編著書:(饒懐民との共編)『長沙搶米風潮匯編』(岳麓書社、2001年)、『良き師と友、塾生に支えられて―藤谷正治郎(薫水)とその時代』(非売品、2017年)

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イギリス湖水地方―ピーターラビットのガーデンフラワー日記

イギリス湖水地方

ピーターラビットのガーデンフラワー日記

  • 臼井雅美(著)/2024年6月
  • 2200円(本体)/四六判並製164頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

イギリス湖水地方で出会った、個性豊かな花々の共演――
季節の移ろいにそってトレッキングした際に出会った、カントリー・ハウスやコテージなどのガーデンとそこに植えられた草木をカラー写真とともに紹介するエッセイ。『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)の続編。
(ISBN 9784861109485)

目次|contents

プロローグ
Ⅰ 春の囁きに誘われて
春雨のしずくの精たち クロッカス(Crocus)
パレットから飛び出した黄色いブーケ スイセン(Narcissus)
小さな星たちの願い ヒヤシンス(Common Hyacinth)
陽光に向けて、満面の笑顔 パンジー(Pansy)
大切な宝物を守っているよ チューリップ(Tulip)
秘境からやってきた客人 ブルーポピー(Blue Poppy)
にっこり赤ちゃんのほっぺ ナデシコ(Pink)
みんなで集まって大合奏 ベルフラワー(Bell Flower)
黄色のショールがふんわりと レンギョウ(Golden Bells)
ハンカチを振ってごあいさつ モクレン(Mulan Magnolia)
両手からこぼれそうな幸せの束 シャクナゲ(Rhododendron)
秘密の誓いの証 バラ(Rose)
Ⅱ 初夏から夏へ、光との共演
小さな森から顔を出した子供たち ベゴニア(Begonia)
溢れ出る思いを込めて ペチュニア(Petunia)
窓辺のささやき声 ゼラニウム(Garden Geranium)
耳元で揺れるイヤリング フクシヤ(Fuchsia)
小さな蝶たちのピクニック ロベリア(Edging Lobelia)
葉っぱのお皿に添えられて ナスタチウム(Nasturtium)
香りのメッセンジャー ラヴェンダー(Lavender)
虹色のキャンドルが放つ光 アイリス(Iris)
手のひらいっぱいの喜び クレマチス(Clematis)
色と水の魔術師 アジサイ(Japanese Hydrangea)
黄緑のクッションにもたれて ギボウシ(Plaintain Lily)
庭で踊るボールたち アリウム(Allium)
雨上がりに灯った小さな炎 アザレア(Azalea)
天から降り注いだ金の鎖 ラバーナム(Laburnum)
紫のドレスに包まれて フジ(Japanese Wisteria)
揺れる赤いビーズの房 セイヨウスグリ(Gooseberry)
Ⅲ 秋のそよ風に揺れて

星たちの静かな願い アスター(Aster)
宇宙からの使者 コスモス(Common Cosmos)
秋風に向かって、Shall we dance? シュウメイギク(Japanese Anemone)
黄色いコスチュームでイナバウワー イエローコーンフラワー(Yellow Coneflower)
庭を跳ね回る子供たち エキノプス(Echinops)
荒れ地から噴き出した恵み エリカ(Erica)
背伸びをして何を見ているの? ユリ(Lily)
秋を守るガードマン パンパスグラス(Pampas Grass)
恥ずかしがり屋さんのシルエット シクラメン(Cyclamen)
魔女が吹きかけた息の跡 ウィッチヘーゼル(Witch Hazel)
Ⅳ 冬から春に向けて
雪の精からの贈り物 クリスマスローズ(Christmas Rose)
暖かなケープをまとって ツバキ(Camellia Japonica)
寒風からしっかりと身を守って ボケ(Flowering Quince)
お祝いの時がやってきたよ セイヨウヒイラギ(European Holly)
春へのプレリュード セイヨウサンシュユ(Cornelian Cheery Dogwood)
赤と緑のネックレス コトネアスター(Cotoneaster)
ほのかな灯りのシンフォニー ロウバイ(Chimonanthus)
エピローグ
参考文献

著者|author

臼井雅美(うすい・まさみ)
1959年神戸市生まれ。同志社大学文学部・文学研究科教授。神戸女学院大学卒業後、同大学院修士課程修了(文学修士)、1987年ミシガン州立大学修士課程修了(M.A.)、1989年博士課程修了(Ph.D.)。ミシガン州立大学客員研究員を経て、1990年広島大学総合科学部に専任講師として赴任。同大学助教授、同志社大学文学部助教授を経て、2002年より現職。著書に、『記憶と共生するボーダレス文学―9・11プレリュードから3・11プロローグへ』(2018年)、『カズオ・イシグロに恋して』(2019年)、『赤バラの街ランカスター便り』(2019年)、『ビアトリクス・ポターの謎を解く』(2019年)、『不思議の国のロンドン』(2020年)、『ボーダーを超えることばたち―21世紀イギリス詩人の群像』(2020年)、『記憶と対峙する世界文学』(2021年)、『ふだん着のオックスフォード』(2021年)、『イギリス湖水地方アンブルサイドの女神たち』(2021年)、『イギリス湖水地方モアカム湾の光と影』(2022年)、『ブラック・ブリティッシュ・カルチャー―英国に挑んだ黒人表現者たちの声』(2022年)、『イギリス湖水地方におけるアーツ・アンド・クラフツ運動』(2023年)、『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)などがある。

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