ホダセヴィチ詩集
ロシア詩篇・亡命詩篇
- 三好俊介(編訳)/2024年6月
- 3100円(本体)/四六判上製224頁
- 装丁:矢萩多聞
本邦初の本格的紹介。
革命の戦乱と言論弾圧のもと、詩人の尊厳と自由への希望をうたった言葉の魔術師ホダセヴィチ。ナボコフは彼を「20世紀最大のロシア詩人」と呼んだ。(『賜物』英語版序文)。
(ISBN 9784861109638)
目次|contents
Ⅰ モスクワ詩篇
受動態
欠落
愛しき友に
夕べ
祈り
冬
小川
ペトロフスキー公園で
穀粒の道を
〈雨あがりの夜は暖かく、甘い香りがする……〉
音楽
Ⅱ ペテルブルク詩篇
曲芸師
魂
〈哀れなわがプシュケー!……〉
〈たとえ過去など惜しくなく……〉
日記から
客に
あらし
〈私は人も自然も好きなのだが……〉
窓の外(第一)
窓の外(第二)
コルク栓
たそがれ
バッコス
バラード(〈上から明かりを浴びて、丸い自室に……〉)
〈貴婦人は長いこと手を洗った……〉
〈踏み越えよ、跳ね越えよ……〉
〈母ではなく、トゥーラの農婦の……〉
証拠
〈地上の美を私は信じない……〉
三月
〈秘められた幻力の覆いを……〉
Ⅲ 亡命詩篇
〈粗野な生業を眺めていても……〉
ベルリン的
〈疲れ果てて私は寝床から起き上がる……〉
水車小屋
〈春の無駄口で緩みはしないのだ……〉
盲人
〈神は在られる! 知を尊び不可解を嫌う私は……〉
〈すべてが石造り。石造の吹き抜けの中へと……〉
鏡の前で
バラード(〈私は自分を抑えられない……〉)
ペテルブルク
ソレントの写真
〈悪天候の冬の日を突き抜けて……〉
記念碑
【補遺】ホダセヴィチによる回想(抄)
1.帝政末期とロシア象徴派
2.革命下のモスクワ
3.革命下のペテルブルクと「芸術会館」
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・作品注解
・解説 ヴラジスラフ・ホダセヴィチ―人と作品
・ホダセヴィチ年譜
・訳者あとがき
著者|author
ヴラジスラフ・ホダセヴィチ(Владислав Ходасевич)
(1886-1939)モスクワ生まれ。父親はポーランド士族の末裔で、母親はユダヤ人だが、執筆言語はロシア語。象徴派詩人の一員として出発するが、ロシア革命前後の戦火と窮乏、言論弾圧のなかで、生への希望をうたって独自の詩風を確立。自由の希求と、暴力の嫌悪ゆえ、革命賛美の立場はとらなかった。後に亡命して、パリで没す。文芸評論の仕事も多い。ソ連では禁書とされたが、文学への愛情にあふれる知的な詩風は、ナボコフら高名な文学者にも高く評価された。
編訳者|editor and translator
三好俊介(みよし・しゅんすけ)
駒澤大学教授。博士(文学・東京大学)。東京大学教養学科卒業、同大学院人文社会系研究科修了。専攻は19~20世紀ロシア詩。