文学とアダプテーション―ヨーロッパの文化的変容

文学とアダプテーション

ヨーロッパの文化的変容

  • 小川公代・村田真一・吉村和明(編)/2017年10月
  • 3200円(本体)/四六判上製396頁
  • 装丁:矢萩多聞

文学から映画へ、ミュージカルへ、漫画へ、オペラへ。
再創造としての翻案=アダプテーションがもたらす豊かさとは何か? フランス、ドイツ、イギリス、ロシア、イタリア、ボスニアにおけるアダプテーションの諸相を探る。
沼野充義氏による特別寄稿「「アダプテーション論的転回」に向けて」も収録。
(ISBN 9784861105593)

目次|contents

まえがき【沼野充義】
序文:アダプテーション研究とは?【小川公代】
Ⅰ:文学から映画へ
第1章:フランス文学から映画へ―見えるものと見えないもの【野崎歓】
第2章:ドイツ語圏の翻案映画について―ハインリヒ・フォン・クライスト『ミヒャエル・コールハース』を手がかりに【眞鍋正紀】
第3章:イギリスからハリウッドとボリウッドへ―ジェイン・オースティンの作品と翻案【新井潤美】
第4章:福祉国家のためのディケンズ?―イギリス「文芸映画」とアダプテーションの歴史性【秦邦生】
Ⅱ:戯曲・ミュージカル・漫画・オペラ
第5章:翻案としての舞台上演―革命前後のロシアにおけるヨーロッパ劇【村田真一】
第6章:フランス・ミュージカルの魅力―ふたつのユゴー作品【渡辺諒】
第7章:他人の記憶を描く―フランス語圏における物語の漫画家とエマニュエル・ギベールの仕事【笠間直穂子】
第8章:イタリア映画における原作小説とオペラ―ヴィスコンティの『夏の嵐』を例に【堤康徳】
Ⅲ:再創造の挑戦
第9章:ジョルジュ・メリエスにおける「翻案」―初期フランス映画試論【吉村和明】
第10章:コウルリッジの「生の哲学」と『パンデモニアム』―イギリス・ロマン主義文学の再解釈【小川公代】
第11章:ボスニアの奇想―エミール・クストゥリツァによるイヴォ・アンドリッチの翻案【奥彩子】
第12章:壊れたテンペスト―シェイクスピア『テンペスト』と日本映画『佐渡テンペスト』に翻案する【ジョン・ウィリアムズ/小澤央訳】
可能性としてのアダプテーション―「あとがき」にかえて【吉村和明】

編者|editors

小川公代(おがわ・きみよ)
上智大学外国語学部英語学科准教授、専攻:イギリスロマン主義文学
村田真一(むらた・しんいち)
上智大学外国語学部ロシア語学科、専攻:ロシア演劇、ロシア文化論、比較演劇
吉村和明(よしむら・かずあき)
上智大学文学部フランス文学科、専攻:19世紀フランス文学、表象文化

 

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松本清張の葉脈

松本清張の葉脈

    • 南富鎭(著)/2017年8月
    • 2700円(本体)/四六判上製372頁
    • 装丁:桂川潤

善悪功罪を含めた混沌とした巨大なエネルギーの集合体が清張文学であり、戦後の大衆性の実体であり、清張文学はその反映なのかもしれない。(本文より)
清張文学を一本の樹になぞらえ、主要な特徴を提示する。葉脈とは清張が好んで使う用語で、点と点をつなぐ線(葉脈)の意味にもなる。
(ISBN 9784861105579)

目次|indexes

第Ⅰ部 清張文学の系譜
第一章 松本清張と丸山眞男の朝鮮
第二章 松本清張と川端康成の熱海
第三章 松本清張の従軍鉄道と張赫宙
第四章 松本清張の系譜と魯迅
第Ⅱ部 清張文学の葉脈
第五章 フィクション・ノンフィクション・真実
第六章 証言・偽証・冤罪
第七章 社会派推理小説・自殺・失踪
第八章 美術・真贋・史伝

著者|author

南富鎭(なん・ぶじん)
1961年韓国醴泉生まれ。慶北大学校国語国文学科卒業。90年日本文部省国費留学生として来日。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程修了。博士(学術)。主な著書に、『近代日本と朝鮮人像の形成』(勉誠出版)、『翻訳の文学―東アジアにおける文化の領域』(世界思想社)など。

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世紀末の長い黄昏―H・G・ウェルズ試論

世紀末の長い黄昏

H・G・ウェルズ試論

  • 宗洋(著)/2017年7月
  • 2700円(本体)/四六判仮フランス装228頁
  • 装丁:間村俊一

19世紀末イギリス、科学技術教育の普及によって登場した「観察者としての読者」は、どのように小説を読んだのか?
SF文学の父・ウェルズの作品を〈観察〉という新しい視点から読み解く。
(ISBN 9784861105500)

目次|indexes

序 章 変貌する社会のなかで
第一章 黄昏のグランド・ツア―『タイム・マシーン』
第二章 リアリティ効果と揺さぶられる境界―『モロー博士の島』
第三章 白か黒かあるいは―『透明人間』
第四章 ロマンティック・サイクリングの展望―『偶然の車輪』
第五章 赤のカタストロフィ―『宇宙戦争』
第六章 崩壊する世界とパノラマ―『トーノ・バンゲイ』

著者|author

宗洋(そう・ひろし)
1974年生まれ。高知大学准教授。専攻は英文学、映像メディア。
共訳書にアン・フリードバーグ『ヴァーチャル・ウィンドウ―アルベルティからマイクロソフトまで』(産業図書、2012年)などがある。

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バルザック王国の裏庭から―『リュジェリーの秘密』と他の作品集

バルザック王国の裏庭から

『リュジェリーの秘密』と他の作品集

  • 宇多直久(編訳)/2017年3月
  • 2500円(本体)/四六判上製292頁
  • 装丁:桂川潤

バルザックの歴史小説『リュジェリーの秘密』の新訳と
この小説に至る私信、小品、断片等を執筆順に収録し、作家にしてリアリスト・バルザックの人物像をあぶりだす。
巻末に当時のパリ街路事典、歴史的登場人物の紹介文を併載。
(ISBN 9784861105449)

目次|indexes

Ⅰ  作品集
一  ヴィクトル・ラティエ宛の手紙(1830年7月)
二  クロッキー「パリの小僧のお礼の仕方」
三  ファンタジー「石のダンス」
四  「パリだより」第11信
五  「物乞うひと」
六  ジュルマ・カロー宛の手紙(1832年1月)
七  「パリからジャワへの旅」抄
八  ハンスカ夫人宛の手紙(1833年3月)
九  「神の木鐸たち」
十  ハンスカ夫人宛の手紙(1836年3月)
十一 ハンスカ夫人宛の手紙(1836年10月)

Ⅱ リュジェリーの秘密─哲学研究
第一章 シャルル九世の一夜
第二章 マリー・トゥシェ
第三章 策略対策略

付録
街路事典
人物紹介(登場順)

編訳者|editor

宇多直久(うだ・なおひさ)
1947年富山市生まれ。京都大学大学院文学研究科仏文学修士。
パリ第三大学第三課程博士(19世紀フランス文学・文明)。滋賀大学元講師。
著作に、『La Madone dans l’oeuvre d’Honoré de Balzac』(PU du Septentrion,《Thèse à la carte》, 1998)がある。

 

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文学都市ダブリン―ゆかりの文学者たち

文学都市ダブリン

ゆかりの文学者たち

  • 木村正俊(編)/2017年2月
  • 3700円(本体)/A5判上製460頁
  • 装丁:矢萩多聞

なぜダブリンはすぐれた文学者たちを輩出してきたのか?
スウィフト、ワイルド、ジョイスから現在の作家まで、作品を生み出す土壌となった
都市ダブリンとの関係に注目しながら、文学者たちの足跡をたどる。
(ISBN 9784861105180)

目次|indexes

序章 ダブリンという都市:言語芸術の創造を駆動する力―文学者たちの軌跡から探る【木村 正俊】
第1章 ジョナサン・スウィフト:「憤怒」と「自由」と―諷刺精神を涵養する磁場としてのダブリン【原田 範行】
第2章 ブラム・ストーカー:吸血鬼の眠る都市―『ドラキュラ』の源泉を求めて【桃尾 美佳】
第3章 レイディ・グレゴリー:舞台で語り継ぐアイルランドの歴史―ナショナリズムと口承文学【岩田 美喜】
第4章 ジョージ・ムア:唯美主義小説の開花―ダブリンでの十年【高倉 章男】
第5章 オスカー・ワイルド:仮面の下のアイリッシュネス―ケルトの言語文化の伝統とワイルド文学【宮崎 かすみ】
第6章 バーナード・ショー:笑いで警告する預言者―皮肉に込められた「生」の向上への情熱【森川 寿】
第7章 W・B・イェイツ:アイルランド文芸復興運動を牽引―『キャスリーン伯爵夫人』にみる劇場理念の追求【佐藤 容子】
第8章 ジョージ・ラッセル:揺るぎない神秘主義者―ダブリンの薄明に郷愁を覚えた多才な文学者【山崎 弘行】
第9章 J・M・シング:孤絶した社会に生きる「英雄」たちへの目―喜劇的リアリズムの極点へ【木村 正俊】
第10章 ショーン・オケイシー:ダブリンのスラム街の想像力と身体的現実─ストーリーとヒストリーの交わるところ【坂内 太】
第11章 ジェイムズ・ジョイス:文学における地域性と国際性―都市ダブリンの構想をめぐって【結城 英雄】
第12章 サミュエル・ベケット:どこにもない故郷への旅―死者たちとの出会い【堀 真理子】
第13章 パトリック・カヴァナ:イニスキーン・ロードからラグラン・ロードへ―田舎者詩人の上京【佐藤 亨】
第14章 エドナ・オブライエン:アイルランド女性の脱神話化―カントリー・ガールの内なる戦い【岩上 はる子】
第15章 シェイマス・ヒーニー:骨に書かれた文様―ヴァイキング都市ダブリンと詩人の転機【中尾 まさみ】
第16章 主要な現代小説家たち:固定値と変化との共謀―コルム・トビーン、ダーモット・ボルジャー、ロディ・ドイルの場合【伊藤 範子】
第17章 主要な現代詩人たち:詩人たちによって生成され続けるダブリン―キンセラ、モンタギュー、ミーハンの場合【西谷 茉莉子】
第18章 主要な現代劇作家たち:演劇のグローバライゼイションとアイルランド演劇―セバスチャン・バリーとコナー・マクファーソンの場合【三神 弘子】

執筆者|authors

木村正俊・原田範行・桃尾美佳・岩田美喜・高倉章男・宮崎かすみ・
森川寿・佐藤容子・山崎弘行・坂内太・結城英雄・堀真理子・佐藤亨・
岩上はる子・中尾まさみ・伊藤範子・西谷茉莉子・三神弘子

序章 ダブリンという都市:言語芸術の創造を駆動する力―文学者たちの軌跡から探る【木村 正俊】
第1章 ジョナサン・スウィフト:「憤怒」と「自由」と―諷刺精神を涵養する磁場としてのダブリン【原田 範行】
第2章 ブラム・ストーカー:吸血鬼の眠る都市―『ドラキュラ』の源泉を求めて【桃尾 美佳】
第3章 レイディ・グレゴリー:舞台で語り継ぐアイルランドの歴史―ナショナリズムと口承文学【岩田 美喜】
第4章 ジョージ・ムア:唯美主義小説の開花―ダブリンでの十年【高倉 章男】
第5章 オスカー・ワイルド:仮面の下のアイリッシュネス―ケルトの言語文化の伝統とワイルド文学【宮崎 かすみ】
第6章 バーナード・ショー:笑いで警告する預言者―皮肉に込められた「生」の向上への情熱【森川 寿】
第7章 W・B・イェイツ:アイルランド文芸復興運動を牽引―『キャスリーン伯爵夫人』にみる劇場理念の追求【佐藤 容子】
第8章 ジョージ・ラッセル:揺るぎない神秘主義者―ダブリンの薄明に郷愁を覚えた多才な文学者【山崎 弘行】
第9章 J・M・シング:孤絶した社会に生きる「英雄」たちへの目―喜劇的リアリズムの極点へ【木村 正俊】
第10章 ショーン・オケイシー:ダブリンのスラム街の想像力と身体的現実─ストーリーとヒストリーの交わるところ【坂内 太】
第11章 ジェイムズ・ジョイス:文学における地域性と国際性―都市ダブリンの構想をめぐって【結城 英雄】
第12章 サミュエル・ベケット:どこにもない故郷への旅―死者たちとの出会い【堀 真理子】
第13章 パトリック・カヴァナ:イニスキーン・ロードからラグラン・ロードへ―田舎者詩人の上京【佐藤 亨】
第14章 エドナ・オブライエン:アイルランド女性の脱神話化―カントリー・ガールの内なる戦い【岩上 はる子】
第15章 シェイマス・ヒーニー:骨に書かれた文様―ヴァイキング都市ダブリンと詩人の転機【中尾 まさみ】
第16章 主要な現代小説家たち:固定値と変化との共謀―コルム・トビーン、ダーモット・ボルジャー、ロディ・ドイルの場合【伊藤 範子】
第17章 主要な現代詩人たち:詩人たちによって生成され続けるダブリン―キンセラ、モンタギュー、ミーハンの場合【西谷 茉莉子】
第18章 主要な現代劇作家たち:演劇のグローバライゼイションとアイルランド演劇―セバスチャン・バリーとコナー・マクファーソンの場合【三神 弘子】

 

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バルザックの文学とジェンダー―女性作家との比較から分かること

バルザックの文学とジェンダー

女性作家との比較から分かること

  • 東辰之介(著)/2017年2月
  • 3600円(本体)/四六判上製350頁
  • 装丁:桂川潤

これほどにも色合いは異なる !

バルザックはフェミニスト、それともアンチ・フェミニスト?
同時代の女性作家の作品と比較検討することにより、男性作家だけを読んでいては捉え難い文学の豊かさの総体に迫る。
(ISBN 9784861105333)

目次|indexs

第一章 バルザック『毬打つ猫の店』とソフィー・ゲー『アナトール』
―男性画家に描かれる女性像
第二章 ソフィー・ゲー『レオニー・ド・モンブルーズ』とバルザック
―女性登場人物の類似点と相違点
第二部 バルザックを読む女性作家
第三章 バルザック『アデュー』とジラルダン夫人『ポンタンジュ侯爵』
―男女反転のアイロニー
第四章 カロリーヌ・マルブティ『危うい地位』とバルザック
―文壇のタブーに挑戦する女性作家
第三部 古典を読むバルザックと女性作家
第五章 バルザック『田舎ミューズ』とソフィー・ゲー『エレノール』
―コンスタン『アドルフ』をどう書き換えるか

著者|author

東辰之介(あずま・たつのすけ)
1972年生まれ。駒澤大学総合教育研究部准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『バルザック「脳」と「知能」の小説家』(水声社)、『バルザック生誕二百周年記念論文集』(駿河台出版社・共著)などがある。

 

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スコットランド、一八〇三年―ワーズワス兄妹とコールリッジの旅

スコットランド、一八〇三年

ワーズワス兄妹とコールリッジの旅

  • 安藤 潔(著)/2017年1月
  • 2700円(本体)/四六判並製214頁
  • 装丁:長田年伸

詩人ワーズワス、その妹ドロシー、コールリッジが旅したスコットランド
ワーズワスの「スコットランド・ポエムズ」などに結実したスコットランド旅行で
彼らの見た風景、泊まった宿、出会った人々……
ドロシーの「旅行記」やコールリッジのノートブックを資料に、現地へも赴き三人の足取りを詳細にたどる。
地図・写真満載!
(ISBN 9784861105296)

目次|indexs

はしがき
第1章  同行三人 ワーズワス兄妹とコールリッジの旅
―ケジックからロッホ・ローモンド、トゥロサックスまで
第2章  コールリッジのスコットランド一人旅
第3章  ワーズワス兄妹の二人旅
―アーガイル・アンド・ビュート以降のハイランズ
第4章  ワーズワスとスコットの出会い
―スコットランド・ローランズ、一八〇三年九月
あとがき
参考文献

著者|author

安藤 潔(あんどう・きよし)
1951年岐阜県生まれ。南山大学文学部、同大学院文学研究科修了。純心女子短期大学専任講師、市邨学園短期大学(名古屋経済大学短大部)教授、ロンドン大学クイーン・メアリ・アンド・ウェストフィールド・コレッジ客員研究員、カリフォルニア大学バークリー校客員研究員等を経て2002年博士号(文学)受領。関東学院大学国際文化学部、同大学院文学研究科教授を経て、現在、関東学院大学名誉教授。
著作に『イギリス・ロマン派とフランス革命―ブレイク、ワーズワス、コールリッジと1790年代の革命論争』(桐原書店、2003年)、『イギリス・ロマン派と英国旅行文化』(関東学院大学出版会、2022年)等。

 

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カポーティ小説の詩的特質―音と文彩

カポーティ小説の詩的特質

音と文彩

  • 大園弘(著)/2016年10月
  • 3200円(本体)/四六判上製264頁
  • 装丁・レイアウト:桂川潤

名文家カポーティの詩的特質とはいかなるものか、どのような効果を上げているか。
いくつかの短編、中編小説を対象に多数の事例を抽出し、韻と律、直喩、隠喩、その他のレトリックとその詩的効果を考察する。
(ISBN 9784861105210)

目次|indexs

はしがき
第1章 韻律効果の考察
第2章 “(-)like”を用いた直喩表現の考察
第3章 強意的直喩の考察
第4章 比喩標識“as if (/ as though)”をめぐって
第5章 隠喩表現の考察
第6章 その他のレトリック
結び
Appendix Other Voices, Other Roomsの梗概

参考文献
あとがき

著者|author

大園弘(おおぞの・ひろし)
九州国際大学国際関係学部教授。翻訳書に『子供時代への懸け橋―トルーマン・カポーティのアメリカ南部時代』(英宝社、2006)。

 

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帝国と文化―シェイクスピアからアントニオ・ネグリまで

帝国と文化

シェイクスピアからアントニオ・ネグリまで

  • 江藤秀一(編著)/2016年9月
  • 3500円(本体)/四六判上製512頁
  • 装丁:長田年伸

シェイクスピア、アントニオ・ネグリの戯曲、
サイバーパンク映画、長崎の南蛮文化、朝鮮の女性教師、イギリスの児童文学……
「帝国」概念を鍵に、領域を越えて広がる文化の諸相を探る。
(ISBN 9784861105173)

目次|indexs

はしがき【江藤秀一】
序章:大帝国前夜
ドクター・ジョンソンとフレンチ・インディアン戦争【江藤秀一】
第Ⅰ部:演劇・音楽
第1章:シェイクスピア『テンペスト』と「帝国」―「交換様式」の視点から【山木聖史】
第2章:スウィングする帝国―ブラック・パシフィックと第二次大戦前夜の『ミカド』【竹谷悦子】
第3章:帝国における音のスペクタクル―聴覚と視覚のネクサス、デリーとロンドン、1911-12年【ティム・バリンジャー(訳:長谷部寿女士)】
第4章:総統の劇場―ナチ期のザールブリュッケンとその劇場【江藤光紀】
第5章:核と帝国主義―オーストラリア先住民演劇『ナパジ・ナパジ』【一谷智子】
第6章:〈帝国〉の時代を生きる―アントニオ・ネグリと「マルチチュード」の演劇【堀真理子】
第Ⅱ部:絵画・映画
第1章:ジョン・ロックウッド・キプリングとインドのクラフツマンシップ【山口惠里子】
第2章:動物と帝国―ディズニーと野生のファンタジーの行方【清水知子】
第3章:『第9地区』、あるいはヨハネスブルクのロー・テクたち【巽孝之(訳:三添篤郎)】
第Ⅲ部:アジア・アフリカ
第1章:長崎の「黒坊」―南蛮文化と有色の帝国主義【鈴木章能】
第7章:〈文明化〉の病としての神経衰弱―漱石の『それから』とギルマンの「黄色い壁紙」を中心に【仙葉豊】
第2章:帝国の女教師たち―朝鮮で教えた女教師たち【朴宣美】
第3章:然り、われ速やかに到らん!―『ジェイン・エア』における宣教と帝国主義【向井秀忠】
第4章:ハリエット・マーティノーの『シナモンと真珠』は帝国の物語か―『経済学例解』と植民地貿易【松本三枝子】
第5章:英領インドにおける母(ハウス・マザー)の身体【中田元子】
第6章:アーレントの帝国主義論と『闇の奥』【対馬美千子】
第Ⅳ部:出版・児童文学・伝記
第1章:「買うべきか、借りるべきか、それが問題」―十八世紀イギリス出版文化の諸相【井石哲也】
第2章:児童文学と帝国―児童文学黄金時代の背景【安藤聡】
第3章:大英帝国とラフカディオ・ハーンの伝記記述―英国軍医はイオニアの男に刺されたのか【長岡真吾】
あとがき【竹谷悦子】
執筆者一覧

編者|editor

江藤秀一(えとう ひでいち)
常葉大学特任教授。筑波大学名誉教授。博士(文学)。
専門:サミュエル・ジョンソンを中心とした十八世紀英文学および文化。
主な著書・翻訳:『十八世紀のスコットランド―ドクター・ジョンソンの旅行記を巡って』(開拓社)、『大人のためのスコットランド旅案内』(彩流社、共編著)、『英国文化の巨人サミュエル・ジョンソン』(港の人、共編著)、ジェイムズ・ボズウェル『ヘブリディーズ諸島旅日記』(中央大学出版部、共訳)など。

執筆者&訳者|authors and translators

江藤秀一(常葉大学特任教授・筑波大学名誉教授)
山木聖史(明治学院大学講師)
竹谷悦子(筑波大学人文社会系教授)
Tim Barringer(イエール大学美術史学科教授)
長谷部寿女士(筑波大学人文社会科学研究科 博士後期課程)
江藤光紀(筑波大学人文社会系准教授)
一谷智子(西南学院大学文学部教授)
堀真理子(青山学院大学教授)
山口惠里子(筑波大学教授)
清水知子(筑波大学人文社会系准教授)
巽孝之(慶應義塾大学文学部英米文学専攻教授)
三添篤郎(流通経済大学准教授)
鈴木章能(長崎大学教授)
仙葉豊(関東学院大学教授)
朴宣美(筑波大学人文社会系准教授)
向井秀忠(フェリス女学院大学文学部教授)
松本三枝子(愛知県立大学外国語学部教授)
中田元子(筑波大学人文社会系教授)
対馬美千子(筑波大学人文社会系准教授)
井石哲也(活水女子大学教授)
安藤聡(大妻女子大学比較文化学部教授)
長岡真吾(島根大学教授)

 

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八月の瓜―母へ

八月の瓜

母へ

  • 彭学明(著)、立松昇一・舟山優士(訳)/2016年8月
  • 2500円(本体)/四六判並製332頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

中国少数民族・土家(トウージア)族の著名な作家による自伝的小説。
文化大革命、大飢饉……過酷な生活の中で四度結婚し、
子どもたちを育てた母の愛と執念。
湘西(シアンシー)地方を舞台に、
母と子の確執、子の母への思いを濃密に描く。
本邦初訳!
(ISBN 9784861105203)

日暮れ時に、母は一軒の家を訪ね、水を一口、ご飯を一碗もらおうとした。もらえなければ、母は別の家を訪ねた。近くに家がなければ、母は飢えを耐え忍ぶしかなかった。本当に耐えられなくなったら、火を焚いて、繕ってきたトウモロコシかさつまいもを一つ焼いて、泉の水を飲み、飢えを満たした。それから風雨橋、岩陰、あるいは雨や風を避けられる場所を探し、稲わらを敷いて、寝泊まりした。(本文より)

著者|author

彭学明(ポン・シュエミン)
1964年、湖南省生まれの作家。中国少数民族のひとつ、土家(トウージア)族。散文集に『我的湘西』(「わたしのふるさと湘西地方」1995年)、『祖先歌舞』(「祖先の伝えた歌・踊り」1998年)、『一個人的湘西辞典』(「私だけの湘西辞典」2012年)などがある。

訳者|translators

立松昇一(たてまつ・しょういち)
1948年生まれ、拓殖大学外国語学部教授、専門分野は中国近現代文学、中国文化史。訳書に莫言『疫病神』(勉誠出版)、劉慶邦『神木』(共訳、勉誠出版)、その他の翻訳作品に李修文「ストリーキング指南」(『現代中国文学短編選』鼎書房)、畢飛宇「コオロギ コオロギ」(『中国現代文学』ひつじ書房)、朱山坡「叫び」(『灯火』北京外文出版社)などがある。

舟山優士(ふなやま・ゆうじ)
1985年生まれ。翻訳家。訳書に『尹先生の中国ことわざ教室4 歇后語100』(泉書房)、その他の翻訳作品に張悦然「黒猫は眠らない」、沈石渓「ゴーラルの飛翔」「狐狩り」、笛安「円寂」(以上、『中国現代文学』ひつじ書房)などがある。『中国現代文学』同人として現代中国の小説の翻訳や紹介を行っている。

 

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