ことば×データサイエンス【AAA叢書第1巻】

ことば×データサイエンス

    • 中村靖子、鄭弯弯(編)/2025年3月
    • 4000円(本体)/A5判並製370頁
    • 装丁:矢萩多聞

テキストを計量分析することによって何が見えてくるのか?
研究プロジェクト「人間・社会・自然の来歴と未来―「人新世」における人間性の根本を問う」(Anthropocenic Actors and Agency in Humanity, Society, and Nature,略称:AAA)の成果を発信する叢書シリーズ、第1巻!
科学技術と伝統的人文学とをつなげ,新たな人文学を確立する試み。
(ISBN 9784868160274)

AAA叢書 各巻の構成(第2巻以降は予定)
第1巻(2025)ことば×データサイエンス
第2巻(2025)生成AI,ロボティクス
第3巻(2026)Anthropocene calling
第4巻(2026)ジェンダーとセクシュアリティ
第5巻(2027)社会と政治の科学
第6巻(2028)〈他者・自然との柔らかな均衡〉に向けて

目次|contents

叢書刊行によせて〔中村靖子〕
はじめに〔中村靖子〕
総論
第1章 テキスト計量分析の過去と現在からみる行方〔金明哲〕
第1部 人文学とテキスト分析
第2章 遠読できることと,できないこと―インド古典演劇論からのアプローチ〔岩崎陽一〕
第3章 ダーウィン『ビーグル号航海記』のセンチメント分析―感情史における量的分析と質的分析の融合に向けて〔伊東剛史・鄭弯弯〕
第4章 データサイエンスが紐解く文学空間の軌跡―日本近現代小説の文体変化を手がかりとして〔李広微〕
〈文学と映画―翻訳×テキスト分析〉
研究事例1 文体は翻訳できるか―『雪国』の中国語翻訳を中心に〔孫昊〕
研究事例2 翻訳作品のテキストマイニング―中国現代SFを題材に〔劉雪琴・程星博・盧冬麗〕
研究事例3 『紅いコーリャン』の日中レビュー比較分析―頻出語の差異にみる解釈の多層性〔張玉鳳〕
研究事例4 センチメント分析で分析される「センチメント」とは?―『マルテの手記』翻訳の比較より〔中村靖子・鄭弯弯〕
コラム1 文学研究とテキスト計量分析―『遠読』再読〔平井尚生〕
第2部 データ分析から見る〈こころ〉
第5章 フロイトのテキスト分析―言葉をめぐる想念の追跡〔中村靖子・鄭弯弯〕
第6章 私たちの心が癒されるプロセスの可視化―VR セルフカウンセリング研究におけるテキストマイニングの応用可能性〔山下裕子・山本哲也〕
第7章 ひとりひとりの宇宙―オンライン調査からみえてくる頭の中の世界の多様性と意志の所在〔高橋英之・竹内英梨香〕
コラム2 機械はテキストを「読む」のか?〔宮澤和貴〕
コラム3 言葉の進化生態モデル〔鈴木麗璽・有田隆也〕
第3部 社会感情,もしくはことばのデータ分析
第8章 感情分析―人間と言語モデルによる感情判断の比較〔鄭弯弯〕
第9章 国境侵犯の危機と政治家の演説―スイス大統領エッターとヒトラーの比較〔葉柳和則,鄭弯弯〕
第10章 人工テキストのマイニング―雑談する大規模言語モデル集団が創る社会構造と文化進化〔鈴木麗璽・浅野誉子・有田隆也〕
コラム4 能登半島地震報道の感情分析〔熊川穣〕
コラム5 ホープスピーチ〔和泉悠〕
あとがき―学恩が未来へと繋ぐ〔鄭弯弯〕

編者|editors

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター・教授
研究分野:ドイツ文学・思想史
主要研究業績
(編著)『予測と創発―理知と感情の人文学』春風社,2022年
(編著)『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』春風社,2019年
『フロイトという症例』松籟社,2011年

鄭弯弯(てい・わんわん)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター・助教
研究分野:機械学習・自然言語処理
主要研究業績
Can official data be trusted? Clarifying biases in sentiment analysis, The 5th Asia Conference on Information Engineering, 2025.
Estimating word difficulty using stratified word familiarity, Cogent Arts & Humanities, 2024.

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戦争をめぐる戦後沖縄文学の諸相

戦争をめぐる戦後沖縄文学の諸相

  • 柳井貴士(著)/2025年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製356頁
  • 装丁:中本那由子

戦後80年、戦争体験は遠い他者の出来事として霧散するのか。
沖縄戦、アメリカによる土地の強制収用、朝鮮戦争、ベトナム戦争への出撃基地…。〈本土・ヤマト〉とは違う戦中・戦後史をもつ〈沖縄〉が経験した〈戦争〉とは?
文学作品を通して、戦争という出来事、戦争の〈記憶〉と対峙することのさまざまな在り方を分析し、考察する。
(ISBN 9784868160434)

目次|contents

序章 〈戦争〉をめぐる沖縄の戦後文学の研究にあたって
第一部 沖縄戦をめぐる文学的表象
第1章 古川成美『沖縄の最後』におけるテクストの変遷と戦場へのまなざし
    ――初出版の問題点と改訂版の差異をめぐって
第2章 古川成美『死生の門』におけるテクスト生成と作品企図
    ――「形容の脚色」を帯びた物語の行方
第3章 石野径一郎『ひめゆりの塔』論
    ――作品の周辺と内容をめぐって
第二部 米軍占領下の文学作品――大城立裕を中心に
第4章 峻立する五〇年代〈沖縄〉の文学
    ――大城立裕の文学形成と『琉大文学』の作用
第5章 大城立裕「棒兵隊」論
    ――沖縄戦をめぐる内部葛藤の物語
第6章 大城立裕「カクテル・パーティー」論
    ――沈黙をめぐる〈語り〉の位相変化
第三部 沖縄の米軍基地とベトナム戦争――又吉栄喜を中心に
第7章 又吉栄喜初期作品における〈少年〉をめぐって
    ――施政権返還後の沖縄文学の動向
第8章 又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
    ――〈模倣〉と〈承認〉による「米兵」化をめぐって
第9章 又吉栄喜「ターナーの耳」論
    ――〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性
第四部 沖縄戦の記憶をめぐる文学作品――目取真俊を中心に
第10章 目取真俊「水滴」論
    ――〈共同体〉・〈記憶・〈水〉をめぐって
第11章 目取真俊「魂込め」論
    ――誤読される〈記憶〉の行方
第12章 目取真俊「伝令兵」論
    ――意味の空白・空白の記憶
終章

著者|Author

柳井 貴士(やない たかし)
1975年、栃木県生まれ。法政大学文学部、早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。国際交流基金客員研究員、蘭州大学外国語学院日本語学科講師を経て、現在、愛知淑徳大学創造表現学部准教授。専門は日本近現代文学。
主な論文に「明治期沖縄の散文小説をめぐる一断面——三面子「迷ひ心」論」(『国文学研究』2020・3)、「又吉栄喜「豚の報い」論——物語基点としての〈豚〉と変容する〈御嶽〉」(『昭和文学』2021・9)、「ゴジラが沖縄をめざすとき——円谷英二を遠く離れて」(『ユリイカ』2021・10)など。

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The Art of Escape: On Melville’s Bachelor Machines

The Art of Escape

On Melville’s Bachelor Machines

  • Taras Alexander Sak(著)/2025年2月
  • 6000円(本体)/A5判並製220頁
  • 装丁:長田年伸

ハーマン・メルヴィルの主要作品(『白鯨』『ピエール』『信用詐欺師』)やそれらに関連する小品もあわせて検討しながら、作中人物が社会や法律に背を向けそこから離れようとする「逃避」(escape)や「飛翔」(flight)の動きを追跡。メルヴィルの「逃避の芸術」(art of escape)が現代においてどのような意義を持つのかを考察する。(本文英語)
(ISBN9784861109959)

目次|Contents

Introduction
Chapter 1: Mad Fathers; or, Escaping the Nation
Chapter 2: Lost Sons (and Daughters); or, Escaping the Family
Chapter 3: An (Un)Holy Ghost; or, Escaping the Subject
Conclusion

著者|Author

サック・タラス (Taras Alexander Sak)
安田女子大学文学部英語英米文学科准教授。専門は19・20世紀アメリカ文学。
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校で比較文学の博士号を取得し、19世紀と20世紀のアメリカ文学、ハーマン・メルヴィルの作品、批評理論を中心に研究している。メルヴィル、ポー、ドン・デリーロ、トマス・ピンチョン、ソール・ベロー、コーマック・マッカーシーや、音楽(ルー・リード、ボブ・ディラン)、映画に関する著書多数。

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幸田露伴の「知」の世界

幸田露伴の「知」の世界

  • 西川貴子(著)/2025年2月
  • 4800円(本体)/四六判上製324頁
  • 装丁:毛利一枝

露伴にとって、「文章を作る」ということは「境界」をなくし、「広い」「茫漠として分らぬ」世界を作ることに他ならないという意識があったことがわかる。「いさなとり」に内包される「知」と「力」の錯綜のありようには、露伴の求めた「広い」「茫漠として分らぬ」世界の一端を観ることができる。(本文より)
(ISBN 9784861109874)

目次|Contents

凡例
はじめに――書を読むは猶文を作るが如し
第一部 「制度」からの逸脱
第一章 「法」と「幽霊」―「あやしやな」
第二章 「美術」の季節―『風流仏』
第三章 錯綜する「知」と「力」―「いさなとり」
第二部 合理的ならざるものへの眼差し
第四章 伝説と現実―「新浦島」
第五章 〈煩悶、格闘〉する詩人―「心のあと 出廬」
第六章 「詩」の行方―「天うつ浪」
第三部 「幻」をめぐる談し
第七章 「移動」と「境界」―「観画談」
第八章 「境界」に挑む者たち―「魔法修行者」
第九章 〈言〉をめぐる物語―「平将門」
第十章 香から広がる世界―「楊貴妃と香」
むすび

〔資料編〕
初出一覧
あとがき
人名索引

著者|Author

西川貴子(にしかわ・あつこ
東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。同志社大学文学部教授。専門は日本近現代文学。主な著書は、『建築の近代文学誌――内地と外地の西洋表象』(共編著、勉誠出版、2018年)、『日本文学の見取り図――宮崎駿から古事記まで』(共編著、ミネルヴァ書房、2022年)など。論文に「紙上映画という試み――懸賞映画小説「霊の審判」を読む」(『人文学』2022年)、「戦略としての「実話」――橘外男「博士デ・ドウニヨールの「診断記録」」に見る仕掛け」(『小説のフィクショナリティ――理論で読み直す日本の文学』高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編、ひつじ書房、2022年)などほか多数。

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老アブー

老アブー

  • ナタリー・ド・クルソン(著)、髙井邦子・大野デコンブ泰子(訳)/2025年1月
  • 2500円(本体)/四六判・仮フランス装220頁
  • 装丁:中本那由子

老いた父をめぐる風景
北フランスの町、ペリクールで一人暮らしをしている老父アブー。旧家の末裔である父、絶対的な家父長として君臨していた父が、今や老いて認知症になっている。この父をどうしたらいいか。子どもたちにとって必ずしも愛しい父ではないが、立派に生きた過去を持つ父を交代で世話をし、その様子をメールで報告し合う。そこに子どもたち一人ひとりのこれまでの人生が自然と浮かび上がる。父と子どもたちの関係、老い、介護を巡る物語。
(ISBN 9784861109980)

目次|Contents

すべてのDの喪失の喪失

虫の知らせ
老いた林檎の木
黒いもの
超人ハルク
ユーロ王
徘徊
一〇〇歳
古い弾丸
地震地帯(東日本大震災)
余命いくばく

訳者あとがき

著訳者|Author and Translator

【著者】
ナタリー・ド・クルソン(Nathalie de Courson)
1951年パリ生まれの作家、詩人、翻訳家。パリ大学(仏文学)博士。元高校教師。著書に Nathalie Sarraute – la peau de maman (L’Harmattan 出版、2011年)、Eclats d’école (Le Lavoir Saint-Martin 出版、2014年)がある。翻訳書(スペイン語からフランス語)に Estela Puyuelo著、Tous les vers à soie (La Ramonda出版、2021年) 等。

【訳者】
髙井 邦子(Kuniko TAKAI)
明治大学、明治学院大学、成蹊大学、國學院大學等、元非常勤講師。共訳書に、アニー・アンジュー『特性のない女』(言叢社)、フェリックス・ナダール+ポール・ナダール『パリの肖像 ナダール写真集』(立風書房)、ニコラ・アブラハム、マリア・トローク『表皮と核』(松籟社)。

大野デコンブ 泰子(Yasuko ONO-DESCOMBES)
元仏国オルレアン大学文学部准教授。仏国立東洋言語文化学院(INALCO)博士。パリ第7大学(仏文学)修士。米国ジョンス・ホプキンス大学(西洋美術史)修士。慶應義塾大学(仏文学)学士。専門は日本文化史および比較文化。著書に、Kenzan, potier ermite – regards sur un artiste japonais de jadis (L’Harmattan 出版、2011年)。

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フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

  • 三根靖久(著)/2024年11月
  • 7000円(本体)/A5判上製512頁
  • 装丁:毛利一枝
  • 装画:揚妻博之

創造的であるためには、
作家は常に勤勉でなければならず、安逸な幸福を排除して生きなければならない。『判決』のゲオルク・ベンデマンは、人生をかけて事業に挑むこともなく小市民的幸福を選ぼうとしたことにより、父から罰せられた。(…)カフカは“書くこと”を強く希求しているが、その“書くこと”は、ときに無慈悲な掟として作者にのしかかる。(本文より)

(ISBN 9784861109942)

目次|Contents

第一部 創作と流れ
Ⅰ 形象と隠喩
1 創作をめぐるカフカの形象表現に関する先行研究
2 隠喩論

Ⅱ 創作をめぐるカフカの隠喩―『判決』以前と以後―
1 “僕は高揚している間だけ良いものを考え出す”―『判決』までの日記―
2 “書くことは深いところに重心がある”―『機関助士』以降の日記と手紙―

Ⅲ 出口のない“流れ”
1 朝の交通に遅れた者たち―『失踪者』と『変身』―
2 階段を上り続ける者たち―『審判』と『狩人グラックス』―

Ⅳ ‶書くこと″と内省
1 よそ者と女たち―『城』―
2 物思いにふける動物たち―『ある犬の研究』と『巣穴』―

第二部 〈あなた〉との出会い
Ⅴ もう一つの転機
1 一九一一年の日記
2 架空の語り手と架空の受け手

Ⅵ ‶お前と世界との戦いでは、世界の味方をしろ″
1 語り手の眼差し―『新人弁護士』―
2 語り手への眼差し―『ある学士院への一通の報告書』―
3 〈小さな文学〉の誕生

Ⅶ 語っているのは誰なのか―『断食芸人』、『最初の苦悩』、『小さな女性』―
1 匿名の語り手―『最初の苦悩』と『断食芸人』―
2 つきまとわれる語り手―『小さな女性』―

Ⅷ 彼女が〈私たち〉と言うとき
1 生前発表作品における〈私たち〉の転換
2 カフカの創作ノートに残された〈私たち〉
3 〈私たち〉の小さな音楽―『歌手ヨゼフィーネもしくはネズミ族』―

結論
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

三根靖久(みね・やすひさ

1983年生まれ。
2006年東京外国語大学卒業。
2019年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。
現在、中央大学経済学部兼任講師。

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バルザック研究アラカルト―コントから小説の方へ

バルザック研究アラカルト

コントから小説の方へ

  • 谷本道昭(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製424頁
  • 装丁:長井究衡

「人間喜劇」の作者バルザックとして固定化、伝説化してきた作家像によって覆い隠された姿に目を向け、その形象を浮かび上がらせる。

「誰もが知る文豪を生まれ変わらせる。そんな大それた企図が、最先端の学知を駆使しつつ、愉悦に満ちた筆致によって成し遂げられたのだから、これはもう脱帽するほかはない」(野崎 歓/フランス文学者)

(ISBN 9784861109676)

目次|Contents

はじめに
第一部 コント文学とバルザック
第一章 『最後の妖精』を読む――「妖精譚」の読者/著者バルザック
第二章 若返りの泉――ラ・フォンテーヌの読者バルザック
第二部 コントの作者バルザック
第三章 コントの作者バルザックと初版『あら皮』
第四章 『哲学的コント集』をひもとく
第五章 「コントのような会話」のために――『コント・ブラン』と『新哲学的コント集』
第六章 『コントの理論』――バルザックからバルザックへ
第三部 小説の方へ
第七章 バルザックとパリの泥――『金色の眼の娘』『ゴリオ爺さん』『シビレエイ』
第八章 『ゴリオ爺さん』〈ボーセアン夫人の最後の舞踏会〉をめぐって――「罪を犯した女たち」と人物再登場法
第九章 拒絶された手紙――書簡=小説としての初版『谷間の百合』
第十章 花の小説/小説の花――初版『谷間の百合』再読
あとがき
文献一覧

著者|Author

谷本道昭(たにもと・みちあき

1980年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了・博士課程単位取得退学、パリ第七大学修士・博士(テクストとイマージュの歴史と記号学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻准教授。専門はバルザックを中心とする19世紀フランス文学と出版文化。共著に『フランス文学を旅する60章』(明石書店)、Lire, voir, penser l’œuvre de Jean-Philippe Toussaint(Impressions nouvelles)。共訳にアンドレ・バザン『映画とは何か』(岩波書店)。論文に「二つの裁判とそのクロニック」(明治大学『人文科学論集』)、「文学的偽装」(東大比較文學會『比較文學研究』)など。本書が初の単著となる。

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吉屋信子―小説の枠を超えて

吉屋信子

小説の枠を超えて

  • 山田昭子(著)/2024年7月
  • 3300円(本体)/四六判上製366頁
  • 装丁:大國貴子

一作家としての屹立
戦前の少女小説家の代表者である吉屋信子。しかし、彼女の文学世界はそこのみにとどまるものではなかった。童話、少女小説、大衆小説、評伝小説と、領域を横断しながら描き出された多彩な作品を、丹念な書誌研究をもとに読み解く。
(ISBN 9784861109683)

目次|Contents

はじめに
Ⅰ 童話・少女小説
第一章 吉屋信子、その〈少女性〉――童話から少女小説へ
第二章 『花物語』における少女たちの裏切り――「睡蓮」論
第三章 〈競い合う少女〉たち――『少女倶楽部』における運動小説について
第四章 『花物語』の終焉――「薊の花」論
第五章 母からの離脱――『からたちの花』論
Ⅱ 大衆小説
第六章 遍歴する女と三人の男たち――『良人の貞操』論
第七章 まなざされるボルネオ――『新しき日』における『風下の国』の意味
Ⅲ 戦後――大衆小説・評伝小説
第八章 変転する〈母〉の物語――『安宅家の人々』論
第九章 歴史小説への紐帯――『香取夫人の生涯』論
Ⅳ 吉屋信子研究の現在とその展望
吉屋信子作品年表

著者|Author

山田昭子 (やまだ・あきこ)

神奈川県生まれ。専修大学大学院文学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、専修大学・東洋英和女学院大学・関東学院大学・白百合女子大学・立正大学の非常勤講師をつとめる。主な論文に、「『新女苑』における中里恒子の仕事」(『芸術至上主義文芸(49)』、二〇二三年一一月)、「二つの厠の物語――川端康成「化粧」、吉屋信子「隣家の厠」をめぐって」(『芸術至上主義文芸(48)』、二〇二二年一一月)、「文字の美しさと少女の美――少女雑誌広告に見る文字指導の変遷」(『ことばと文字(12)』、二〇一九年一〇月)など。

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芥川龍之介の中国遊歴―光と影の軌跡

芥川龍之介の中国遊歴

光と影の軌跡

  • 藤谷浩悦(著)/2024年6月
  • 6800円(本体)/A5判上製624頁
  • 装丁:根本眞一(クリエイティブ・コンセプト)

中国という鏡を通して、日本を見つめ直す
常に新しい分野に突き進もうとし、最後まで孤高を貫いた芥川龍之介。中国旅行は重要な転換点であり、心のなかで、決定的に何かが変わった――
本書は、芥川龍之介が一九二一年三月から七月までに行った中国遊歴について、同時代の中国や朝鮮、日本で起きた出来事に着目しつつ、芥川の前後に中国を遊歴した人々の記録を参照しながら再現し、あわせてこの中国遊歴が芥川に与えた影響を考察するものである。(本書序論より)
(ISBN 9784861109669)

目次|Contents

序論
第一編 東京から上海へ
第1章 旅立ちまで―中国への思い
第2章 上海到着の前後―東亜新聞記者大会
第3章 著名人との会談―鄭孝胥、章炳麒、李人傑
第4章 上海の名所探訪―芝居と歓楽街、芸妓
第二編 長江流域の周遊
第5章 杭州と蘇州の衝撃―排日運動の底流
第6章 蘇州、鎮江、揚州の周遊―江南の風景と情感
第7章 上海の別れ、蕪湖の再会―亡き母への思い
第8章 九江と廬山、漢口の旅―在留日本人の特徴
第9章 漢口から長沙へ―古典研究の隘路
第三編 北京から東京へ
第10章 京漢鉄道の旅―上海の極東オリンピック大会
第11章 洛陽から北京へ―文化の重さ
第12章 天津への嫌悪感―北京郊外の旅
第13章 田端の自宅への帰還―奉天、京城から東京へ
結論

著者|Author

藤谷浩悦 (ふじや・こうえつ)
1957年、秋田県に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科(東洋史専攻)単位取得満期退学。博士(文学)。人文学研究者
著書:『湖南省近代政治史研究』(汲古書院、2013年)、『戊戌政変の衝撃と日本―日中聯盟論の模索と展開』(研文出版、2015年)、『井上雅二と秀の青春(一八九四-一九〇三)―明治時代のアジア主義と女子教育』(集広舎、2019年)
編著書:(饒懐民との共編)『長沙搶米風潮匯編』(岳麓書社、2001年)、『良き師と友、塾生に支えられて―藤谷正治郎(薫水)とその時代』(非売品、2017年)

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イギリス湖水地方―ピーターラビットのガーデンフラワー日記

イギリス湖水地方

ピーターラビットのガーデンフラワー日記

  • 臼井雅美(著)/2024年6月
  • 2200円(本体)/四六判並製164頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

イギリス湖水地方で出会った、個性豊かな花々の共演――
季節の移ろいにそってトレッキングした際に出会った、カントリー・ハウスやコテージなどのガーデンとそこに植えられた草木をカラー写真とともに紹介するエッセイ。『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)の続編。
(ISBN 9784861109485)

目次|contents

プロローグ
Ⅰ 春の囁きに誘われて
春雨のしずくの精たち クロッカス(Crocus)
パレットから飛び出した黄色いブーケ スイセン(Narcissus)
小さな星たちの願い ヒヤシンス(Common Hyacinth)
陽光に向けて、満面の笑顔 パンジー(Pansy)
大切な宝物を守っているよ チューリップ(Tulip)
秘境からやってきた客人 ブルーポピー(Blue Poppy)
にっこり赤ちゃんのほっぺ ナデシコ(Pink)
みんなで集まって大合奏 ベルフラワー(Bell Flower)
黄色のショールがふんわりと レンギョウ(Golden Bells)
ハンカチを振ってごあいさつ モクレン(Mulan Magnolia)
両手からこぼれそうな幸せの束 シャクナゲ(Rhododendron)
秘密の誓いの証 バラ(Rose)
Ⅱ 初夏から夏へ、光との共演
小さな森から顔を出した子供たち ベゴニア(Begonia)
溢れ出る思いを込めて ペチュニア(Petunia)
窓辺のささやき声 ゼラニウム(Garden Geranium)
耳元で揺れるイヤリング フクシヤ(Fuchsia)
小さな蝶たちのピクニック ロベリア(Edging Lobelia)
葉っぱのお皿に添えられて ナスタチウム(Nasturtium)
香りのメッセンジャー ラヴェンダー(Lavender)
虹色のキャンドルが放つ光 アイリス(Iris)
手のひらいっぱいの喜び クレマチス(Clematis)
色と水の魔術師 アジサイ(Japanese Hydrangea)
黄緑のクッションにもたれて ギボウシ(Plaintain Lily)
庭で踊るボールたち アリウム(Allium)
雨上がりに灯った小さな炎 アザレア(Azalea)
天から降り注いだ金の鎖 ラバーナム(Laburnum)
紫のドレスに包まれて フジ(Japanese Wisteria)
揺れる赤いビーズの房 セイヨウスグリ(Gooseberry)
Ⅲ 秋のそよ風に揺れて

星たちの静かな願い アスター(Aster)
宇宙からの使者 コスモス(Common Cosmos)
秋風に向かって、Shall we dance? シュウメイギク(Japanese Anemone)
黄色いコスチュームでイナバウワー イエローコーンフラワー(Yellow Coneflower)
庭を跳ね回る子供たち エキノプス(Echinops)
荒れ地から噴き出した恵み エリカ(Erica)
背伸びをして何を見ているの? ユリ(Lily)
秋を守るガードマン パンパスグラス(Pampas Grass)
恥ずかしがり屋さんのシルエット シクラメン(Cyclamen)
魔女が吹きかけた息の跡 ウィッチヘーゼル(Witch Hazel)
Ⅳ 冬から春に向けて
雪の精からの贈り物 クリスマスローズ(Christmas Rose)
暖かなケープをまとって ツバキ(Camellia Japonica)
寒風からしっかりと身を守って ボケ(Flowering Quince)
お祝いの時がやってきたよ セイヨウヒイラギ(European Holly)
春へのプレリュード セイヨウサンシュユ(Cornelian Cheery Dogwood)
赤と緑のネックレス コトネアスター(Cotoneaster)
ほのかな灯りのシンフォニー ロウバイ(Chimonanthus)
エピローグ
参考文献

著者|author

臼井雅美(うすい・まさみ)
1959年神戸市生まれ。同志社大学文学部・文学研究科教授。神戸女学院大学卒業後、同大学院修士課程修了(文学修士)、1987年ミシガン州立大学修士課程修了(M.A.)、1989年博士課程修了(Ph.D.)。ミシガン州立大学客員研究員を経て、1990年広島大学総合科学部に専任講師として赴任。同大学助教授、同志社大学文学部助教授を経て、2002年より現職。著書に、『記憶と共生するボーダレス文学―9・11プレリュードから3・11プロローグへ』(2018年)、『カズオ・イシグロに恋して』(2019年)、『赤バラの街ランカスター便り』(2019年)、『ビアトリクス・ポターの謎を解く』(2019年)、『不思議の国のロンドン』(2020年)、『ボーダーを超えることばたち―21世紀イギリス詩人の群像』(2020年)、『記憶と対峙する世界文学』(2021年)、『ふだん着のオックスフォード』(2021年)、『イギリス湖水地方アンブルサイドの女神たち』(2021年)、『イギリス湖水地方モアカム湾の光と影』(2022年)、『ブラック・ブリティッシュ・カルチャー―英国に挑んだ黒人表現者たちの声』(2022年)、『イギリス湖水地方におけるアーツ・アンド・クラフツ運動』(2023年)、『イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり』(2023年)などがある。

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