イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり

イギリス湖水地方

ピーターラビットの野の花めぐり

  • 臼井雅美(著)/2023年9月
  • 2200円(本体)/四六判並製158頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

早春、春から初夏、光の夏、実りの秋、そして貯えの冬――
季節の移ろいに応じてさまざまな表情を見せるイングランド湖水地方の野の花をピーターラビットとともにめぐる。カラー写真満載。
(ISBN 9784861108785)

目次|contents

プロローグ
Ⅰ 春の訪れとともに
雪の結晶から生まれた妖精 スノードロップ(Snowdrop)
春一番の微笑み プリムローズ(Primrose)
可憐な少女 スミレ(Violet)
光の訪問者 ラッパスイセン(Daffodil)
地面に散った星の群れ ヤブイチゲ(Wood Anemone)
Ⅱ 初夏への扉
うなだれた黒服の貴婦人 フリティラリア(Fritillary)
寄り添ってうなだれているの キバナノクリンザクラ(Cowslip)
早く私を探して アルム(Arum)
たくさん集まって、何のおはなし? キンポウゲ(Buttercup)
待っていますからね ノハラワスレナグサ(Wood Forget-Me-Not)
わたしたちの世界へようこそ ブルーベル(Bluebell)
そんなに急いで通り過ぎないで ラムソンズ(Ramsons)
海を越えた侵入者 ガーリック・マスタード(Garlic mustard)
紫の手袋に包まれて アーリー・パープル・オーキッド(Early Purple Orchid)
涙のビーズが並びます スズラン(Lily-of-the-Valley)
甘い香りで誘ってくる スイカズラ(Honeysuckle)
一緒に静かな時を過ごして オダマキ(Columbine)
水辺で輝く光 リョウキンカ(Marsh Marigold)
生垣からあなたのことを見ています ヨーロッパノイバラ(Wild Rose)
どこからか現れる貴人 ツルニチニチソウ(Periwinkle)
小さな贈り物 野いちご(Wild Strawberry)
Ⅲ 夏の光のもとで
ハンドベルから飛び出した調べ ソロモン王の印章(Common Solomon’s Seal)
あなたの足を包んであげます レイディース・スリッパー・オーキッド(Lady’s Slipper Orchid)
たくさんのお花で守ってあげるね マルタゴンリリー(Martagon Lily)
揺れる思いが開きました ウェリッシュ・ポピー(Welsh Poppy)
水鳥たちの友達が来たよ キショウブ(Yellow Iris)
海がつくった波の花 アルメリア(Thrist)
藪からのぞいたお顔 セイヨウヒルガオ(Hedge Bindweed)
背高のっぽのダンサーたち ジギタリス(Foxglove)
Ⅳ 秋の憂いの囁き
秋風を呼んでいます セイヨウイラクサ(Nettle)
秋風にゆれて優しく咲く スカルキャップ(Skullcap)
荒れ地に揺れる風の子たち ヘザー(heather, Ling)
君のほっぺをいっぱいにするよ ブラックベリー(Blackberry)
揺れるレースの帽子たち ノラニンジン(Wild Carrot)
ひっそりと咲く姿への賛歌 イトシャジン(Harebell)
たくましさの勲章 アザミ(Welted Thistle)
嵐の中でもめげません ハリエニシダ(Common Gorse)
恥ずかしくて真っ赤になってしまったの セイヨウナナカマド(Rowan)
Ⅴ 冬に守られる命
春の新たな命への道のり ヨーロッパイチイ(Yew)
エピローグ
参考文献

著者|author

臼井雅美(うすい・まさみ)
1959年神戸市生まれ。同志社大学文学部・文学研究科教授。神戸女学院大学卒業後、同大学院修士課程修了(文学修士)、1987年ミシガン州立大学修士課程修了(M.A.)、1989年博士課程修了(Ph.D.)。ミシガン州立大学客員研究員を経て、1990年広島大学総合科学部に専任講師として赴任。同大学助教授、同志社大学文学部助教授を経て、2002年より現職。著書に、『記憶と共生するボーダレス文学―9・11プレリュードから3・11プロローグへ』(2018年)、『カズオ・イシグロに恋して』(2019年)、『赤バラの街ランカスター便り』(2019年)、『ビアトリクス・ポターの謎を解く』(2019年)、『不思議の国のロンドン』(2020年)、『ボーダーを超えることばたち―21世紀イギリス詩人の群像』(2020年)、『記憶と対峙する世界文学』(2021年)、『ふだん着のオックスフォード』(2021年)、『イギリス湖水地方アンブルサイドの女神たち』(2021年)、『イギリス湖水地方モアカム湾の光と影』(2022年)、『ブラック・ブリティッシュ・カルチャー―英国に挑んだ黒人表現者たちの声』(2022年)、『イギリス湖水地方におけるアーツ・アンド・クラフツ運動』(2023年)などがある。

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アロエ

アロエ

  • キャサリン・マンスフィールド(著)、宗洋(訳)/2023年8月
  • 2400円(本体)/四六判仮フランス装並製190頁
  • 装丁:矢萩多聞 /装画:agoera

花は咲かないの? 咲くわ、百年に一度ね――
遠いニュージーランドの夏の思い出。三世代の女性の日常を繊細な筆致で描いた名作「プレリュード」。生前には出版されなかったそのロング・ヴァージョン。
著者没後100年、初の邦訳。短編「ケザイアとトゥイ」「パットのこと」も併せて収録。
(ISBN 9784861108372)

目次|contents

アロエ
ケザイアとトゥイ
パットのこと
遠い場所、遠い声―『アロエ』解題
参考文献
あとがき

著者|author

キャサリン・マンスフィールド(Katherine Mansfield 1888–1923)
ニュージーランドの裕福な家庭に生まれる。父の反対を押し切ってロンドンに渡り、作家となる。短編集『幸福』(1920年)で高い評価を得、『ガーデン・パーティー』(1922年)で作家としての地位を確立するが、翌年、結核のため34歳で夭逝。日常に生じる微細な感情の変化を独自の文体で紡ぎ、珠玉の短編を残した。代表的な作品に「ガーデン・パーティー」「プレリュード」「入り江にて」「幸福」などがある。

訳者|translator

宗洋(そう・ひろし)
1974年生まれ。高知大学教授。著書に『世紀末の長い黄昏―H・G・ウェルズ試論』(春風社)、アンソロジーにH. G. Wells’s Fin-de-Siècle: Twenty-first Century Reflections on the Early H. G. Wells (Peter Lang)、共訳書にアン・フリードバーグ『ウィンドウ・ショッピング―映画とポストモダン』(松柏社)、『ヴァーチャル・ウィンドウ―アルベルティからマイクロソフトまで』(産業図書)がある。

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オースティンとエリオットー〈深遠なる関係〉の謎を探る

オースティンとエリオット

〈深遠なる関係〉の謎を探る

  • 惣谷美智子・新野緑(編著)/2023年3月
  • 3100円(本体)/四六判上製252頁
  • 装丁:長田年伸

ジョージ・エリオットはジェイン・オースティンをいかに読んだのか?
読みの不/可能性の探究――テクストに潜む〈深遠なる関係〉を多彩な切り口から読み解く。
(ISBN 9784861108631)

目次|contents

はしがき【新野緑】
第1章:女性の教育と生活の資―オースティンとエリオットにおけるウルストンクラフトの遺産【川津雅江】
第2章:少女は小説家の母である―初期作品からみるオースティンとエリオット【土井良子】
第3章:オースティンとエリオット―匿名性と作品を取り巻く「視点」【永井容子】
第4章:〈見誤り〉の悲劇/喜劇―『エマ』と『ミドルマーチ』【新野緑】
第5章:『説得』と『ミドルマーチ』―「はじまり」と「終わり」の狭間で【惣谷美智子】
第6章:エリオットはオースティンから何を受け継いだのか?―『ミドルマーチ』における〈分別〉と〈多感〉【廣野由美子】
あとがき【惣谷美智子】
執筆者紹介
索引

編著者|author and editor

惣谷美智子(そうやみちこ)
神戸海星女子学院大学名誉教授。関西学院大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。著書に、『めぐりあうテクストたち―ブロンテ文学の遺産と影響』(共編著、春風社、2019年)、『虚構を織る―イギリス女性文学 ラドクリフ、オーステイン、C・ブロンテ』(英宝社、2002年)など。
新野緑(にいのみどり)
ノートルダム清心女子大学教授。大阪大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程中退。博士(文学)。著書に、『〈私〉語りの文学―イギリス19世紀小説と自己』(英宝社、2012年)、『小説の迷宮―ディケンズ後期小説を読む』(研究社、2002年)など。

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カフカエスクを超えて―カフカの小篇を読む

カフカエスクを超えて

カフカの小篇を読む

  • 松原好次(著)/2023年4月
  • 3100円(本体)/四六判並製472頁
  • 装丁:難波園子

カフカエスク(カフカ的)という語はカフカ文学の不条理性と結びつけられることが多いが、実は、現実世界で起こる当惑・焦燥・恐怖・絶望などを伴う事象が「映画的に」描写されることから生じる結果として、不条理と捉えられていることもあるのではないか。――第二部より
パンデミックや戦争など超現実的とも思える事態が起きている現実世界と対峙しつつ、カフカの小篇を読む。エッセイ集『ことばへの気づき』(2021年)続篇。
(ISBN 9784861108464)

目次|contents

はじめに
第一部 現実と非現実の境を行き交う
(1)「商人」―膝をかがめて細い鏡をのぞきこむ
(2)「天井桟敷にて」―〈止めろ〉と渾身の叫びを上げるやも知れない
(3)「隣人」―ハラスは、いつも非常に急いでいて・・・
(4)「夜に」―なぜおまえは目覚めているのだ?
(5)「雑種」―半分は猫、半分は羊という変なやつだ。父からゆずられた
(6)「家父の心配」―誰の害になるわけでないのは明らかだが・・・
第二部 脇に身を置いて眺める
(1)「小さな寓話」―この長い壁がみるまに合わさってきて
(2)「根気だめしのおもちゃ」―球の意見によると・・・
(3)「もどり道」―心の影は消えてくれない
(4)「乗客」―ぼくは電車のデッキに立っている
(5)「はげたか」―血のなかではげたかが溺れたのを見て、ほっと安心した
(6)「ポセイドン」―大洋の底に鎮座して、たえまなく計算しつづけていた
(7)「セイレーンたちの沈黙」―オデュッセウスは、彼女らの沈黙を聞かなかった
第三部 終わらないように終わる
(1)「こま」―不器用な鞭で叩かれたこまのように、彼はよろめいた
(2)「皇帝の使者」―使者はなんと空しくもがいていることだろう
(3)「出発」―遠くから、喇叭の音が聞こえてきた
(4)「新しいランプ」―全部が片付きしだい、新しいランプを支給しよう
(5)「中庭の門をたたく」―妹は、その門をたたいた
(6)「掟の門」―この門は、おまえひとりのためのものだった
あとがき
参照した文献

著者|author

松原好次(まつばら・こうじ)
東京外国語大学外国語学部ドイツ語学科卒業。元電気通信大学教授。専門は言語社会学、言語政策。特に、少数民族言語(先住民族や移民の言語)の衰退・再活性化について研究。主要著書・訳書に、Indigenous Languages Revitalized?: The Decline and Revitalization of the Indigenous Languages Justaposed with the Predominance of English(Shumpusha, 2000)、『大地にしがみつけ―ハワイ先住民族女性の訴え』(ハウナニ=ケイ・トラスク著、春風社、2002年)、『ハワイ研究への招待―フィールドワークから見える新しいハワイ像』(共編、関西学院大学出版会、2004年)、『消滅の危機にあるハワイ語の復権をめざして―先住民族による言語と文化の再活性化運動』(明石書店、2010年)『言語と貧困―負の連鎖の中で生きる世界の言語的マイノリティ』(共編、明石書店、2012年)、『英語と開発―グローバル化時代の言語政策と教育』(監訳、春風社、2015年)、『難民支援―ドイツメディアが伝えたこと』(春風社、2018年)、『ことばへの気づき―カフカの小篇を読む』(春風社、2021年)など。

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越境のパラダイム、パラダイムの越境―フュスリ絵画から魔法使いハウルまで

越境のパラダイム、パラダイムの越境

フュスリ絵画から魔法使いハウルまで

  • 今村武、佐藤憲一(編)/2023年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製426頁
  • 装丁:矢萩多聞

いかなるパラダイム転換を経て、美的創造活動は今日まで営まれつづけてきたのか。
18世紀から20世紀までのさまざまな転換期における文学作品や文化事象を比較検討し、時代的・地理的・分野的な「越境性」の諸相を明らかにする。
(ISBN 9784861108525)

目次|contents

前書【今村武】
第Ⅰ部:現代イギリス文学【西村醇子】
第1章:ダイアナ・ウィン・ジョーンズの流儀―ファンタジー作家は何と戦ったのか
第2章:ジョーンズと昔話世界―物語、「境界」を超える
第Ⅱ部:二〇世紀アメリカ文学【川村幸夫】
第3章:ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』をめぐって
第4章:ウィリアム・フォークナー『死の床に横たわりて』とそれ以降
第Ⅲ部:世紀転換期イギリス文学【内田均】
第5章:コナン・ドイルの短編小説と視覚情報
第6章:H・G・ウェルズのゲーム作品と写真
第Ⅳ部:近代アメリカ文学【佐藤憲一】
第7章:『白鯨』の内と外―「タウン・ホー号の物語」の時空間
第8章:『白鯨』奪胎―マンガ版『白鯨』研究序説
第Ⅴ部:現代日本文化【杉本章吾】
第9章:「かわいさ」という「繭」の中で―矢沢あい「天使なんかじゃない」における「少女」像の転回
第10章:若年女性の分断を乗り越えて―矢沢あい「ご近所物語」における「少女」像の解体と再構築
第Ⅵ部:日朝演劇・比較文化【金牡蘭】
第11章:村山知義と朝鮮―連帯と朝鮮表象の軌跡
第12章:一九四五年・京城の村山知義―転換期朝鮮演劇の現場で
第Ⅶ部:ドイツ文学・比較文化【今村武】
第13章:フュスリのシェイクスピア
第14章:チューリヒの啓蒙とロンドンの美術
あとがき【佐藤憲一】
人名索引
執筆者紹介

編者|editors

今村武(いまむら・たけし)
東京理科大学教養教育研究院教授。専門は18世紀ドイツ文学、ドイツ演劇。著書に『十八世紀スイス文学とシュトゥルム・ウント・ドラング―源流としての美学的共和主義』(春風社、2022年)、『救いと寛容の文学―ゲーテからフォークナーまで』(共著、春風社、2019年)、『人間関係から読み解く文学―危難の時の人間関係』(共著、日本人間関係学会・文学と人間関係部会編、開文社出版、2014年)、『近代ドイツ文学の萌芽と展開』(南窓社、2012年)、『不道徳な女性の出現―独仏英米の比較文化』(南窓社、2011年)等がある。

佐藤憲一(さとう・けんいち)
東京理科大学教養教育研究院教授。専門は初期近代トランスアトランティック文学文化。著作に『異形のピューリタン―ジョン・ウィンスロップ・ジュニアとトランスアトランティック・トランザクション』(春風社、2020年)、『救いと寛容の文学―ゲーテからフォークナーまで』(共著、春風社、2019年)、『異文化理解とパフォーマンス―Border Crossers』(共著、松田幸子・笹山敬輔・姚紅編、春風社、2016年)、『人間関係から読み解く文学―危難の時の人間関係』(共著、日本人間関係学会・文学と人間関係部会編、開文社出版、2014年)、『知の版図―知識の枠組みと英米文学』(共著、鷲津浩子・宮本陽一郎編、悠書館、2007年)がある。

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賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

  • 山根知子(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製500頁
  • 装丁:毛利一枝

宮沢トシ自身の言葉による資料を読み解くことによりトシの実像に迫り、それへの賢治のまなざし、兄妹の精神のエコーを聴きとる。

(ISBN 9784861108679)

目次|contents

第 一 部 〈評伝〉宮沢トシの生涯と信仰
一 「信仰を一つにするたつたひとりのみちづれ」
二 成瀬仁蔵・宮沢トシ・宮沢賢治 略年譜
三 トシ誕生から花巻高等女学校時代まで
四 日本女子大学校四年間について
五 卒業後の「自省録」執筆から母校教員へ
六 「真実ノ為ノ勇進」

第二部 資料を通してみるトシの精神的軌跡
第一章 【花巻高等女学校在学中のトシ資料】
一 花巻高等女学校一年   1911(明治44)年度
二 花巻高等女学校二年   1912(明治45・大正元)年度
三 花巻高等女学校三年   1913(大正2)年度
四 花巻高等女学校四年   1914(大正3)年度
第二章 【日本女子大学校在学中のトシ資料】
一 日本女子大学校予科   1915(大正4)年度
二 日本女子大学校本科一年 1916(大正5)年度
三 日本女子大学校本科三年 1917(大正6)年度
四 日本女子大学校本科四年 1918(大正7)年度
五 卒業関係資料
六 未確認資料・トシの答案「信仰とハ何ぞや教育とハ何ぞや」
――成瀬仁蔵の〈信仰と教育〉思想と学生たちの答案から探る
第三章 【日本女子大学校卒業後療養中のトシ資料】
第四章 【花巻高等女学校教員時代のトシ資料】

第三部 トシの学びから賢治へ
第一章 賢治の前を歩んだトシ―信仰・死生観・病気・自省・愛
第二章 賢治の死後世界への意識の変遷―トシのメーテルリンク受容との関わりから
第三章 賢治の「宇宙意志」――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの関連
第四章 賢治の芸術観――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの共鳴
第五章 トシの学びと賢治
――日本女子大学校時代の教師、福来友吉・高島平三郎・阿部次郎を通して
第六章 トシとつながるキリスト者と賢治

あとがき

著者|author

山根知子(やまね・ともこ)

1964年岡山市生まれ。ノートルダム清心女子大学文学部教授。博士(文学)。早稲田大学第一文学部卒業。日本女子大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近代文学および日本児童文学。
著書に、『宮沢賢治 妹トシの拓いた道─「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)、『わたしの宮沢賢治──兄と妹と「宇宙意志」』(ソレイユ出版)。
共著に、『イーハトーヴからのいのちの言葉──宮沢賢治の名言集』(角川書店)、『宮沢賢治を読む』(笠間書院)、『宮沢賢治──驚異の想像力 その源泉と多様性』(朝文社)、『宮澤賢治の深層──宗教からの照射』(法藏館)、『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』(笠間書院)など。
その他の共著に、『人物書誌大系47 坪田譲治』(日外アソシエーツ)、『日本女子大学に学んだ文学者たち』(翰林書房)、『赤い鳥事典』(柏書房)など。
受賞に、著書『宮沢賢治 妹トシの拓いた道──「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)により第14回宮澤賢治賞奨励賞受賞(花巻市)。論文「宮沢賢治の文学と浄土真宗信仰──信仰の重層性の基層から」により第32回暁烏敏賞受賞(白山市)。

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〈怒り〉の文学化―近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

〈怒り〉の文学(テクスト)化

近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

  • 栗山雄佑(著)/2023年3月
  • 4200円(本体)/四六判上製444頁
  • 装丁:矢萩多聞

戦後50年の節目の年、1995年。1月17日、阪神・淡路大震災発生。3月20日、地下鉄サリン事件発生。そして9月4日、沖縄県民にとって衝撃の事件が起こる。さまざまな暴力の記憶が甦り、長年押し殺してきた〈怒り〉が噴出する!
〈怒り〉を暴力として放出するのではなく、文学で昇華させることはできるのか。

(ISBN 9784861108587)

目次|contents

序章 今、「沖縄」の文学を読むということ

第1部 〈一九九五年九月四日〉へ至る道―浮上する暴力の記憶
第1章 補填された欲望/裂け目からの〈叫び〉―又吉栄喜「ギンネム屋敷」論
第2章 眼前のフェンスを〈撹乱〉するために―又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
第3章 テロル・皇族・沖縄を再考するための〈弱さ〉―目取真俊「平和通りと名付けられた街を歩いて」論
第2部 「希望」が提起したもの―〈一九九五年九月四日〉から立ち上がる記憶・抵抗
第4章 浮上する記憶/すれ違う記憶―〈一九九五・九〉以後の文学における初期反応
第5章 〈怒り〉の連環を止める方途―目取真俊「希望」論
第6章 誰がために〈怒り〉を言語化するのか―目取真俊「虹の鳥」論

第7章 語られぬ記憶を〈放出〉する器官―目取真俊「水滴」を読み替える
第3部 他者の声で変容する聞き手―沖縄の声を聞き受けるために
第8章 被害記憶理解への欲望と違和―目取真俊「群蝶の木」論
第9章 〈ノイズ〉混じりの証言を聞き受けること―崎山多美「月や、あらん」論
第10章 沖縄で「そんなにまでして生きないといけない」者に向けて―目取真俊「眼の奥の森」論

終章 「十年後」の「希望」を夢想して

著者|author

栗山雄佑(くりやま・ゆうすけ)
1990年大阪府生まれ。
立命館大学卒業、立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。現在、立命館大学文学研究科初任研究員。専門は、近現代日本文学・文化、「沖縄」文学。
主な論文に、「癒し得ぬ傷の解消の術を求めて―崎山麻夫「ダバオ巡礼」論」(『立命館言語文化研究』第34巻第1号、2022年)、「〈聞き受け〉つつも〈再生〉できない声―目取真俊「マーの見た空」論」(中川成美、西成彦(編)『旅する日本語―方法としての外地巡礼』松籟社、2022年)など。

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『狐物語』とその後継模倣作におけるパロディーと風刺

『狐物語』とその後継模倣作におけるパロディーと風刺

  • 高名康文(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製418頁
  • 装丁:矢萩多聞

ルナールよ、もっと礼節を知り、もう少し若く、もっと清潔でいることを知り 繻子や黒貂の着物をまとった恋人を他に作りなさい。
べランの妻のムースは、美しく、若く、たおやかであるぞ。――『狐物語』第VII枝編より
12世紀~13世紀の北フランスで成立した、狡猾な狐「ルナール」の物語群である『狐物語』とその後継作を、同時代の文学作品や宗教儀礼などに対するパロディーに着目しつつ詳解する。
(ISBN 9784861108532)

目次|contents

はじめに
第1部:比較の視点と通時的視点からみた、『狐物語』における12・13世紀の恋愛物語のパロディー
第1章:中世文学におけるパロディーをいかに論じるか
第2章:同時代における他ジャンルの戯作風物語と比較した『狐物語』のパロディーの手続きの特性
第3章:『狐物語』における姦通の言説―曖昧な宣誓の以前と以後
第4章:『狐物語』の初期枝篇における姦通への言及が、写本の伝承過程において増加すること
第2部:『狐物語』における「逆さまの世界」、定型表現のパロディー
第1章:告解するルナール狐とベルナール首席司祭―『狐物語』第XVII枝篇における「逆さまの世界」
第2章:⼈と会話をする動物―『狐物語』第XII枝篇の場合
第3章:『狐物語』第VII枝篇における告解のパロディー
第4章:『狐物語』における武勲詩のパロディー―第I枝篇の鶏たちの告訴のエピソードにおける武勲詩詩節(laisse)の模倣
第5章:『狐物語』における喪の嘆きの表現のパロディー
第3部:『狐物語』のその後
第1章:ルナールと托鉢修道会―リュトブフ、『ルナールの戴冠』、『新版ルナール』
第2章:『新版ルナール』と『アーサー王の死』における運命の女神
第3章:フォヴェール、ルナール、フォルトゥーナ―『狐物語』後継作と『フォヴェール物語』
第4章:『狐物語』と『フォヴェール物語』における人間/動物/仮面
補遺
第1章:『パレルモのギヨーム』と『狐物語』―ジャンルのパロディー
第2章:クレティアン・ド・トロワの喪の嘆きの描写
第3章:『狐物語』における色彩―データと考察
第4章:『狐物語』B写本第5921, 2行を巡る新旧校訂の比較

おわりに
参考文献一覧
索引

著者|author

高名康文(たかな・やすふみ)
成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科教授。専門はフランス語、フランス文学。

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人形とイギリス文学―ブロンテからロレンスまで

人形とイギリス文学

ブロンテからロレンスまで

  • 川崎明子(著)/2023年3月
  • 3400円(本体)/四六判上製270頁
  • 装丁:矢萩多聞

いかにして人形は人間となり、人間は人形となるのか?
19世紀から20世紀のイギリス小説に登場する人形を分析することで、人間と非人間、生物と非生物の境界や関係を吟味し、人間を人間として扱うことの意味を問う。
(ISBN 9784861108457)

目次|contents

序章:人形はどこへ行った
第1章:人形を愛する―シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』―人形ではなく人間として愛し愛されるまで
第2章:人形を埋める―チャールズ・ディケンズ『荒涼館』―鏡/鑑としての人形
第3章:人形を罰する―ジョージ・エリオット『フロス河の水車場』―少女がふるう暴力
第4章:人形に話す―フランシス・ホジソン・バーネット『小公女』―人形エミリーの退場と女王セーラの入場
第5章:人形で遊ぶ―H・G・ウェルズ『トーノ・バンゲイ』―ドールハウスを出て大海へ
第6章:人形を燃やす―D・H・ロレンス『息子と恋人』―ポール/パウロと〈犠牲〉の終わり
終章:人形はどこへも行かない
参考文献一覧
あとがき
人名索引
事項索引

著者|author

川崎明子(かわさき・あきこ)
駒澤大学文学部英米文学科教授。2005年、東京大学人文社会系研究科英語英文学博士課程単位取得。2005年、University of Hull英文科博士課程修了(PhD)。同人誌『英国小説研究』(英宝社)編集幹事。単著に『ブロンテ小説における病いと看護』(春風社、2015年)、共著に「『デイヴィッド・コパフィールド』海の抑圧―ロビンソン・クルーソー挽歌」『ディケンズ文学における暴力とその変奏―生誕二百年記念―』(大阪教育図書、2012年)、『イギリス文学入門』(三修社、2014年)など。論文に「『不思議の国のアリス』における言語と生物の変身」『人文研紀要』第96号(中央大学人文科学研究所、2020年)、「『サイラス・マーナー』における植物―漸進的発展の跳躍的語り」『英国小説研究』第28冊(英宝社、2021年)など。

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ロマン主義的感性論の展開―ノヴァーリスとその時代、そしてその先へ

ロマン主義的感性論の展開

ノヴァーリスとその時代、そしてその先へ

  • 高橋優(著)/2023年3月
  • 3600円(本体)/四六判上製326頁
  • 装丁:間村俊一

ノヴァーリスを中心とするドイツ・ロマン主義の著作家たちの活動を「感性論」の視点から精読し、現代におけるロマン主義的感性論の意義を捉えなおす。
さらに福島第一原子力発電所事故についての考察を通してロマン主義的感性論への再認識を促し、ロマン主義の時代からの問題意識が現代にも通底していることを示す。

(ISBN 9784861108358)

目次|contents

序:「世界のロマン化」とロマン主義的感性論
第1章:「触覚という活動的感覚―ポエジー」―ノヴァーリスにおける感性論の展開
第2章:ノヴァーリスの自然科学研究における「霊的現在」
第3章:「一冊の本を聖書に高めること」―聖書計画としての『一般草稿』
第4章:「仲介者」としての「詩的国家」―『信仰と愛』における「身体」としての国家
第5章:「第三の要素」としての宗教―『ヨーロッパ』における宗教哲学
第6章:「戦争は地上になくてはならない」―ノヴァーリスの戦争表象
第7章:「小説は生を扱い―生を記述する」―ノヴァーリスの小説理論
第8章:「自然学の根底に真の統一があるかどうか」―『ザイスの学徒たち』における自然学
第9章:「新しい神話」としての『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』
第10章:フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ』における「世界のための感覚」
第11章:クレメンス・ブレンターノ『ゴドヴィ』における「官能」と「狂気」
第12章:「なんと罪深い狂気だろう」―ボナヴェントゥーラ『夜警』における「狂気」のモチーフ
第13章:「世界のロマン化」から「世界史の最終章」へ―ノヴァーリス、ブレンターノ、クライストにおける「狂気」の表象
終章:ロマン主義的感性論と「フクシマ」
参考文献
主要人物索引

著者|author

高橋優(たかはし・ゆう)
2000年、慶應義塾大学文学部独文学専攻卒業。2002年、同大学院修士課程修了。2008年、トリア大学独文学専攻博士課程修了。博士(文学)。宇都宮大学講師を経て現在福島大学人間発達文化学類准教授。専門はノヴァーリスを中心とするドイツ・ロマン主義の文学と思想。

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