越境のパラダイム、パラダイムの越境―フュスリ絵画から魔法使いハウルまで

越境のパラダイム、パラダイムの越境

フュスリ絵画から魔法使いハウルまで

  • 今村武、佐藤憲一(編)/2023年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製426頁
  • 装丁:矢萩多聞

いかなるパラダイム転換を経て、美的創造活動は今日まで営まれつづけてきたのか。
18世紀から20世紀までのさまざまな転換期における文学作品や文化事象を比較検討し、時代的・地理的・分野的な「越境性」の諸相を明らかにする。
(ISBN 9784861108525)

目次|contents

前書【今村武】
第Ⅰ部:現代イギリス文学【西村醇子】
第1章:ダイアナ・ウィン・ジョーンズの流儀―ファンタジー作家は何と戦ったのか
第2章:ジョーンズと昔話世界―物語、「境界」を超える
第Ⅱ部:二〇世紀アメリカ文学【川村幸夫】
第3章:ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』をめぐって
第4章:ウィリアム・フォークナー『死の床に横たわりて』とそれ以降
第Ⅲ部:世紀転換期イギリス文学【内田均】
第5章:コナン・ドイルの短編小説と視覚情報
第6章:H・G・ウェルズのゲーム作品と写真
第Ⅳ部:近代アメリカ文学【佐藤憲一】
第7章:『白鯨』の内と外―「タウン・ホー号の物語」の時空間
第8章:『白鯨』奪胎―マンガ版『白鯨』研究序説
第Ⅴ部:現代日本文化【杉本章吾】
第9章:「かわいさ」という「繭」の中で―矢沢あい「天使なんかじゃない」における「少女」像の転回
第10章:若年女性の分断を乗り越えて―矢沢あい「ご近所物語」における「少女」像の解体と再構築
第Ⅵ部:日朝演劇・比較文化【金牡蘭】
第11章:村山知義と朝鮮―連帯と朝鮮表象の軌跡
第12章:一九四五年・京城の村山知義―転換期朝鮮演劇の現場で
第Ⅶ部:ドイツ文学・比較文化【今村武】
第13章:フュスリのシェイクスピア
第14章:チューリヒの啓蒙とロンドンの美術
あとがき【佐藤憲一】
人名索引
執筆者紹介

編者|editors

今村武(いまむら・たけし)
東京理科大学教養教育研究院教授。専門は18世紀ドイツ文学、ドイツ演劇。著書に『十八世紀スイス文学とシュトゥルム・ウント・ドラング―源流としての美学的共和主義』(春風社、2022年)、『救いと寛容の文学―ゲーテからフォークナーまで』(共著、春風社、2019年)、『人間関係から読み解く文学―危難の時の人間関係』(共著、日本人間関係学会・文学と人間関係部会編、開文社出版、2014年)、『近代ドイツ文学の萌芽と展開』(南窓社、2012年)、『不道徳な女性の出現―独仏英米の比較文化』(南窓社、2011年)等がある。

佐藤憲一(さとう・けんいち)
東京理科大学教養教育研究院教授。専門は初期近代トランスアトランティック文学文化。著作に『異形のピューリタン―ジョン・ウィンスロップ・ジュニアとトランスアトランティック・トランザクション』(春風社、2020年)、『救いと寛容の文学―ゲーテからフォークナーまで』(共著、春風社、2019年)、『異文化理解とパフォーマンス―Border Crossers』(共著、松田幸子・笹山敬輔・姚紅編、春風社、2016年)、『人間関係から読み解く文学―危難の時の人間関係』(共著、日本人間関係学会・文学と人間関係部会編、開文社出版、2014年)、『知の版図―知識の枠組みと英米文学』(共著、鷲津浩子・宮本陽一郎編、悠書館、2007年)がある。

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賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

  • 山根知子(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製500頁
  • 装丁:毛利一枝

宮沢トシ自身の言葉による資料を読み解くことによりトシの実像に迫り、それへの賢治のまなざし、兄妹の精神のエコーを聴きとる。

(ISBN 9784861108679)

目次|contents

第 一 部 〈評伝〉宮沢トシの生涯と信仰
一 「信仰を一つにするたつたひとりのみちづれ」
二 成瀬仁蔵・宮沢トシ・宮沢賢治 略年譜
三 トシ誕生から花巻高等女学校時代まで
四 日本女子大学校四年間について
五 卒業後の「自省録」執筆から母校教員へ
六 「真実ノ為ノ勇進」

第二部 資料を通してみるトシの精神的軌跡
第一章 【花巻高等女学校在学中のトシ資料】
一 花巻高等女学校一年   1911(明治44)年度
二 花巻高等女学校二年   1912(明治45・大正元)年度
三 花巻高等女学校三年   1913(大正2)年度
四 花巻高等女学校四年   1914(大正3)年度
第二章 【日本女子大学校在学中のトシ資料】
一 日本女子大学校予科   1915(大正4)年度
二 日本女子大学校本科一年 1916(大正5)年度
三 日本女子大学校本科三年 1917(大正6)年度
四 日本女子大学校本科四年 1918(大正7)年度
五 卒業関係資料
六 未確認資料・トシの答案「信仰とハ何ぞや教育とハ何ぞや」
――成瀬仁蔵の〈信仰と教育〉思想と学生たちの答案から探る
第三章 【日本女子大学校卒業後療養中のトシ資料】
第四章 【花巻高等女学校教員時代のトシ資料】

第三部 トシの学びから賢治へ
第一章 賢治の前を歩んだトシ―信仰・死生観・病気・自省・愛
第二章 賢治の死後世界への意識の変遷―トシのメーテルリンク受容との関わりから
第三章 賢治の「宇宙意志」――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの関連
第四章 賢治の芸術観――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの共鳴
第五章 トシの学びと賢治
――日本女子大学校時代の教師、福来友吉・高島平三郎・阿部次郎を通して
第六章 トシとつながるキリスト者と賢治

あとがき

著者|author

山根知子(やまね・ともこ)

1964年岡山市生まれ。ノートルダム清心女子大学文学部教授。博士(文学)。早稲田大学第一文学部卒業。日本女子大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近代文学および日本児童文学。
著書に、『宮沢賢治 妹トシの拓いた道─「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)、『わたしの宮沢賢治──兄と妹と「宇宙意志」』(ソレイユ出版)。
共著に、『イーハトーヴからのいのちの言葉──宮沢賢治の名言集』(角川書店)、『宮沢賢治を読む』(笠間書院)、『宮沢賢治──驚異の想像力 その源泉と多様性』(朝文社)、『宮澤賢治の深層──宗教からの照射』(法藏館)、『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』(笠間書院)など。
その他の共著に、『人物書誌大系47 坪田譲治』(日外アソシエーツ)、『日本女子大学に学んだ文学者たち』(翰林書房)、『赤い鳥事典』(柏書房)など。
受賞に、著書『宮沢賢治 妹トシの拓いた道──「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)により第14回宮澤賢治賞奨励賞受賞(花巻市)。論文「宮沢賢治の文学と浄土真宗信仰──信仰の重層性の基層から」により第32回暁烏敏賞受賞(白山市)。

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〈怒り〉の文学化―近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

〈怒り〉の文学(テクスト)化

近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

  • 栗山雄佑(著)/2023年3月
  • 4200円(本体)/四六判上製444頁
  • 装丁:矢萩多聞

戦後50年の節目の年、1995年。1月17日、阪神・淡路大震災発生。3月20日、地下鉄サリン事件発生。そして9月4日、沖縄県民にとって衝撃の事件が起こる。さまざまな暴力の記憶が甦り、長年押し殺してきた〈怒り〉が噴出する!
〈怒り〉を暴力として放出するのではなく、文学で昇華させることはできるのか。

(ISBN 9784861108587)

目次|contents

序章 今、「沖縄」の文学を読むということ

第1部 〈一九九五年九月四日〉へ至る道―浮上する暴力の記憶
第1章 補填された欲望/裂け目からの〈叫び〉―又吉栄喜「ギンネム屋敷」論
第2章 眼前のフェンスを〈撹乱〉するために―又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
第3章 テロル・皇族・沖縄を再考するための〈弱さ〉―目取真俊「平和通りと名付けられた街を歩いて」論
第2部 「希望」が提起したもの―〈一九九五年九月四日〉から立ち上がる記憶・抵抗
第4章 浮上する記憶/すれ違う記憶―〈一九九五・九〉以後の文学における初期反応
第5章 〈怒り〉の連環を止める方途―目取真俊「希望」論
第6章 誰がために〈怒り〉を言語化するのか―目取真俊「虹の鳥」論

第7章 語られぬ記憶を〈放出〉する器官―目取真俊「水滴」を読み替える
第3部 他者の声で変容する聞き手―沖縄の声を聞き受けるために
第8章 被害記憶理解への欲望と違和―目取真俊「群蝶の木」論
第9章 〈ノイズ〉混じりの証言を聞き受けること―崎山多美「月や、あらん」論
第10章 沖縄で「そんなにまでして生きないといけない」者に向けて―目取真俊「眼の奥の森」論

終章 「十年後」の「希望」を夢想して

著者|author

栗山雄佑(くりやま・ゆうすけ)
1990年大阪府生まれ。
立命館大学卒業、立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。現在、立命館大学文学研究科初任研究員。専門は、近現代日本文学・文化、「沖縄」文学。
主な論文に、「癒し得ぬ傷の解消の術を求めて―崎山麻夫「ダバオ巡礼」論」(『立命館言語文化研究』第34巻第1号、2022年)、「〈聞き受け〉つつも〈再生〉できない声―目取真俊「マーの見た空」論」(中川成美、西成彦(編)『旅する日本語―方法としての外地巡礼』松籟社、2022年)など。

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『狐物語』とその後継模倣作におけるパロディーと風刺

『狐物語』とその後継模倣作におけるパロディーと風刺

  • 高名康文(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製418頁
  • 装丁:矢萩多聞

ルナールよ、もっと礼節を知り、もう少し若く、もっと清潔でいることを知り 繻子や黒貂の着物をまとった恋人を他に作りなさい。
べランの妻のムースは、美しく、若く、たおやかであるぞ。――『狐物語』第VII枝編より
12世紀~13世紀の北フランスで成立した、狡猾な狐「ルナール」の物語群である『狐物語』とその後継作を、同時代の文学作品や宗教儀礼などに対するパロディーに着目しつつ詳解する。
(ISBN 9784861108532)

目次|contents

はじめに
第1部:比較の視点と通時的視点からみた、『狐物語』における12・13世紀の恋愛物語のパロディー
第1章:中世文学におけるパロディーをいかに論じるか
第2章:同時代における他ジャンルの戯作風物語と比較した『狐物語』のパロディーの手続きの特性
第3章:『狐物語』における姦通の言説―曖昧な宣誓の以前と以後
第4章:『狐物語』の初期枝篇における姦通への言及が、写本の伝承過程において増加すること
第2部:『狐物語』における「逆さまの世界」、定型表現のパロディー
第1章:告解するルナール狐とベルナール首席司祭―『狐物語』第XVII枝篇における「逆さまの世界」
第2章:⼈と会話をする動物―『狐物語』第XII枝篇の場合
第3章:『狐物語』第VII枝篇における告解のパロディー
第4章:『狐物語』における武勲詩のパロディー―第I枝篇の鶏たちの告訴のエピソードにおける武勲詩詩節(laisse)の模倣
第5章:『狐物語』における喪の嘆きの表現のパロディー
第3部:『狐物語』のその後
第1章:ルナールと托鉢修道会―リュトブフ、『ルナールの戴冠』、『新版ルナール』
第2章:『新版ルナール』と『アーサー王の死』における運命の女神
第3章:フォヴェール、ルナール、フォルトゥーナ―『狐物語』後継作と『フォヴェール物語』
第4章:『狐物語』と『フォヴェール物語』における人間/動物/仮面
補遺
第1章:『パレルモのギヨーム』と『狐物語』―ジャンルのパロディー
第2章:クレティアン・ド・トロワの喪の嘆きの描写
第3章:『狐物語』における色彩―データと考察
第4章:『狐物語』B写本第5921, 2行を巡る新旧校訂の比較

おわりに
参考文献一覧
索引

著者|author

高名康文(たかな・やすふみ)
成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科教授。専門はフランス語、フランス文学。

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人形とイギリス文学―ブロンテからロレンスまで

人形とイギリス文学

ブロンテからロレンスまで

  • 川崎明子(著)/2023年3月
  • 3400円(本体)/四六判上製270頁
  • 装丁:矢萩多聞

いかにして人形は人間となり、人間は人形となるのか?
19世紀から20世紀のイギリス小説に登場する人形を分析することで、人間と非人間、生物と非生物の境界や関係を吟味し、人間を人間として扱うことの意味を問う。
(ISBN 9784861108457)

目次|contents

序章:人形はどこへ行った
第1章:人形を愛する―シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』―人形ではなく人間として愛し愛されるまで
第2章:人形を埋める―チャールズ・ディケンズ『荒涼館』―鏡/鑑としての人形
第3章:人形を罰する―ジョージ・エリオット『フロス河の水車場』―少女がふるう暴力
第4章:人形に話す―フランシス・ホジソン・バーネット『小公女』―人形エミリーの退場と女王セーラの入場
第5章:人形で遊ぶ―H・G・ウェルズ『トーノ・バンゲイ』―ドールハウスを出て大海へ
第6章:人形を燃やす―D・H・ロレンス『息子と恋人』―ポール/パウロと〈犠牲〉の終わり
終章:人形はどこへも行かない
参考文献一覧
あとがき
人名索引
事項索引

著者|author

川崎明子(かわさき・あきこ)
駒澤大学文学部英米文学科教授。2005年、東京大学人文社会系研究科英語英文学博士課程単位取得。2005年、University of Hull英文科博士課程修了(PhD)。同人誌『英国小説研究』(英宝社)編集幹事。単著に『ブロンテ小説における病いと看護』(春風社、2015年)、共著に「『デイヴィッド・コパフィールド』海の抑圧―ロビンソン・クルーソー挽歌」『ディケンズ文学における暴力とその変奏―生誕二百年記念―』(大阪教育図書、2012年)、『イギリス文学入門』(三修社、2014年)など。論文に「『不思議の国のアリス』における言語と生物の変身」『人文研紀要』第96号(中央大学人文科学研究所、2020年)、「『サイラス・マーナー』における植物―漸進的発展の跳躍的語り」『英国小説研究』第28冊(英宝社、2021年)など。

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ロマン主義的感性論の展開―ノヴァーリスとその時代、そしてその先へ

ロマン主義的感性論の展開

ノヴァーリスとその時代、そしてその先へ

  • 高橋優(著)/2023年3月
  • 3600円(本体)/四六判上製326頁
  • 装丁:間村俊一

ノヴァーリスを中心とするドイツ・ロマン主義の著作家たちの活動を「感性論」の視点から精読し、現代におけるロマン主義的感性論の意義を捉えなおす。
さらに福島第一原子力発電所事故についての考察を通してロマン主義的感性論への再認識を促し、ロマン主義の時代からの問題意識が現代にも通底していることを示す。

(ISBN 9784861108358)

目次|contents

序:「世界のロマン化」とロマン主義的感性論
第1章:「触覚という活動的感覚―ポエジー」―ノヴァーリスにおける感性論の展開
第2章:ノヴァーリスの自然科学研究における「霊的現在」
第3章:「一冊の本を聖書に高めること」―聖書計画としての『一般草稿』
第4章:「仲介者」としての「詩的国家」―『信仰と愛』における「身体」としての国家
第5章:「第三の要素」としての宗教―『ヨーロッパ』における宗教哲学
第6章:「戦争は地上になくてはならない」―ノヴァーリスの戦争表象
第7章:「小説は生を扱い―生を記述する」―ノヴァーリスの小説理論
第8章:「自然学の根底に真の統一があるかどうか」―『ザイスの学徒たち』における自然学
第9章:「新しい神話」としての『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』
第10章:フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ』における「世界のための感覚」
第11章:クレメンス・ブレンターノ『ゴドヴィ』における「官能」と「狂気」
第12章:「なんと罪深い狂気だろう」―ボナヴェントゥーラ『夜警』における「狂気」のモチーフ
第13章:「世界のロマン化」から「世界史の最終章」へ―ノヴァーリス、ブレンターノ、クライストにおける「狂気」の表象
終章:ロマン主義的感性論と「フクシマ」
参考文献
主要人物索引

著者|author

高橋優(たかはし・ゆう)
2000年、慶應義塾大学文学部独文学専攻卒業。2002年、同大学院修士課程修了。2008年、トリア大学独文学専攻博士課程修了。博士(文学)。宇都宮大学講師を経て現在福島大学人間発達文化学類准教授。専門はノヴァーリスを中心とするドイツ・ロマン主義の文学と思想。

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1960s 失踪するアメリカ―安部公房とポール・オースターの比較文学的批評

1960s 失踪するアメリカ

安部公房とポール・オースターの比較文学的批評

  • 大場健司(著)/2022年12月
  • 4500円(本体)/四六判上製432頁
  • 装丁:矢萩多聞

「失踪」を鍵語に、作品群から1960年代の時代相を浮かび上がらせる。
「失踪」とは、かけがえのない個人になるためのプロセスだ。

◆第29回(2024年)日本比較文学会賞受賞

(ISBN 9784861108518)

目次|contents

序 章
第一部 脱アメリカの物語
第一章 砂の歌―安部公房『砂の女』とアメリカ文学の「辺境」
第二章 穴の水脈―安部公房『砂の女』とポール・オースター『闇の中の男』
第二部 アメリカ文学との相互交通
第三章 「既成事実」からの失踪―安部公房『燃えつきた地図』とアメリカ文学の「都市」
第四章 「ピカソの石版画」から「泣く女」へ
第三部 エッセイと同時代言説
第五章 一九五〇年代日本におけるアメリカ論ブームと安部公房
第六章 生々しい素顔―安部公房「ミリタリィ・ルック」と軍服をめぐる同時代言説
第七章 SF的想像力と遊牧民―安部公房「異端のパスポート」と人類の起源
終 章

著者|author

大場健司(おおば・けんじ)
1989年、福岡県生まれ。2017年、九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程単位取得退学。2020年、九州大学より博士(学術)学位取得。専攻は比較文学・比較文化、日本近現代文学。台湾:国立台湾大学外国語文学研究所交換留学(2016-2017年)。韓国:朝鮮大学校外国語学部日本語科助教授(2017-2018年)、台湾:国立国防大学語文中心専任教師(2018-2021年)を経て、現在は九州共立大学共通教育センター講師(2021年-)。
主な研究業績として、共著に松本常彦・波潟剛編『近現代文学と東アジア―教育と研究の多様性に向けて』(花書院、2016年3月)、福岡市文学館編『運動族 花田清輝』(福岡市文学館、2014年11月)など。論文に“Picasso’s Paintings as Allusions: A Comparative Study of Abe Kōbō’s The Ruined Map and Paul Auster’s Ghosts.” Trans-Humanities 9(3). 2016.など。

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予測と創発―理知と感情の人文学

予測と創発

理知と感情の人文学

  • 中村靖子(編)/2022年11月
  • 4500円(本体)/四六判上製506頁
  • 装丁:長田年伸

理性に対する感情の復権は、いかに人文学の世界を拡張してきたのか?
ドイツ文学、フランス文学、インド哲学、美術史、応用数学、感情史、心理学などの諸分野を横断し「予測と創発」をめぐり思考する11の刺激的論考。

(ISBN 9784861108365)

目次|contents

はじめに

第Ⅰ部 潜伏と共鳴
第1章 記憶が出現するとき——フロイトの「心理学草案」の今日(中村靖子)
第Ⅱ部 規範と感情
第2章 因果応報と運命——予測が意味をなさない世界における行為規範(岩﨑陽一)
第3章 フォンターネの『セシールの秋』における観察・推測・感情−−現実構成を導く基礎的情動状態(H・M・シュラルプ)
第4章 尋問、モラル・エコノミー、罰の不公平な配分―ディディエ・ファッサンによる国家の抑圧装置に関する研究を手がかりに(平田周)
第Ⅲ部 予測と反復――錯綜する時間
第5章 予期と驚き――ヴァレリーの考察と詩作(鳥山定嗣)
第6章 失われた芸術作品の再構築——クルト・シュヴィッタース《メルツバウ》をめぐって(池野絢子)
第7章 遅れと予測――過去からの逆襲(大平徹)
第Ⅳ部 モデルをめぐる感情の動態
第8章 新種発見の感情史—―「鳥学共同体」における栄誉と名誉(伊東剛史)
第9章 前衛美術と感染のアナロジー――発見装置としての「モデル」の機能(松井裕美)
第10章 私を理解し表現する人工知能(山本哲也)
第Ⅴ部 モデルと創発
第11章 予測により創発される心性(大平英樹)

結びの言葉
執筆者紹介

編者|editor

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院文学研究科教授。専門はドイツ文学・思想史。
著書に
〔中村靖子/H・M・シュラルプ共編〕『「悪」の文学史―グリム、ホフマン、トラークル、イェリネクを道標として』(日本独文学会研究叢書071巻、日本独文学会、2010年)
〔単著〕『「妻殺し」の夢を見る夫たち―ドイツロマン派から辿る〈死の欲動〉の生態学』(松籟社、2013年)
〔編著〕『虚構の形而上学―「あること」と「ないこと」のあいだで』(春風社、2015年)、『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』(春風社、2019年)
などがある。

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ダグラス

ダグラス

  • ジョン・ヒューム(著)、三原穂(訳)/2022年11月
  • 2400円(本体)/四六判上製162頁
  • 装丁:矢萩多聞

もしこの戦いで倒れても、息子を咎めないでいただきたい。
名誉をえられずに生きるのであれば死んだ方がましなのです。

シェイクスピアからの影響を受けた、ゴシック演劇の先駆『ダグラス』(悲劇、初演1756年)が、時代の香気をたたえた格調高い新訳でよみがえる。

(ISBN 9784861108334)

目次|contents

前口上
第一幕
第二幕
第三幕
第四幕
第五幕
納め口上


解説
引用参考文献一覧

著者|author

ジョン・ヒューム(John Home)
1722年生まれ。エディンバラ大学卒。スコットランドの牧師・劇作家。1808年没。

訳者|translator

三原穂(みはら・みのる)
愛知県立大学外国語学部准教授。大阪大学大学院言語文化研究科(言語文化学専攻)博士後期課程修了。博士(言語文化学)。著書に、『学術研究と文学創作の分化――18世紀後半イギリスの古詩編集』(音羽書房鶴見書店、2015年)、論文に、“Shakespearean Ballads in Thomas Percy’s Reliques of Ancient English Poetry: Transition from Oral Songs to Printed Historical Documents.” Textual Cultures, vol. 10, no. 2, 2018, pp. 107–25.などがある。

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終わりの風景―英語圏文学における終末表象

終わりの風景

英語圏文学における終末表象

  • 辻󠄀和彦・平塚博子・岸野英美(編)/2022年11月
  • 3100円(本体)/A5判並製240頁
  • 装丁:矢萩多聞

仮に何かが始まる、あるいは何かを新しく私たちが始めるとしても、その起点は「終わりの風景」からになるのではないか――

文学作品において描かれる環境問題、自然災害、社会変動などのさまざまな終末表象に着目し、ものごとの「終わり」を新たな可能性として捉え、読み解く10の論考。

(ISBN 9784861108235)

目次|contents

はじめに【辻󠄀和彦】
序章 リタ・ウォン作品にみる水の詩学―「借用された水」、「水の旅からの急報」、「グレゴワール湖のために」【岸野英美】
第1章 終末世界を救済するための小説のデザイン―カズオ・イシグロの内的持続の文学と『クララとお日さま』【田中ちはる】
第2章 コロナ禍の時代を生きる命と想像力―アリ・スミス『夏』における「終わりの風景」と希望の可能性【霜鳥慶邦】
第3章 家族の終わりとナクサライト―ジュンパ・ラヒリ『低地』とアルンダティ・ロイ『小さきものたちの神』をとおしてみる二つの「応答責任」【加瀬佳代子】
第4章 アジア系アメリカ文学における〈天災〉と〈人災〉―ヒサエ・ヤマモトとルース・オゼキの作品を中心に【松本ユキ】
第5章 「終わり」の見えない不安―イアン・マキューアンの『土曜日』試論【高橋路子】
第6章 ゾラ・ニール・ハーストンの『彼らの目は神を見ていた』における災害とレジリアンス→レジリエンス【平塚博子】
第7章 荒野の王が見た風景―シェイクスピア悲劇『リア王』における飢饉、大嵐、疫病【高橋実紗子】
第8章 〈終わりの風景〉の向こう側―インドラ・シンハの『アニマルズ・ピープル』とボパール、水俣、太平洋核実験【小杉世】
終章 災害と感染症時代の恐怖―エドガー・アラン・ポー作品を辿る【辻󠄀和彦】
終わりの風景の終わりに【辻󠄀和彦】

編者|editors

辻󠄀和彦(つじ・かずひこ) 近畿大学文芸学部教授
平塚博子(ひらつか・ひろこ) 日本大学生産工学部准教授
岸野英美(きしの・ひでみ) 近畿大学経営学部准教授

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