近代朝鮮文学と民衆―三・一運動、プロレタリア、移民、動員

近代朝鮮文学と民衆

三・一運動、プロレタリア、移民、動員

  • 影本剛(著)/2024年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製306頁
  • 装丁:中本那由子

民衆に触発された植民地朝鮮の文学世界

“近代朝鮮文学は民衆の力を感知する感性の鍛錬現場であった。”
日本語の研究ではあまり扱われてこなかった作家や雑誌も取りあげ、日本における朝鮮文学・韓国文学の認識を一新、画期的役割を果たす一冊。

(ISBN 9784861109492)

目次|contents

序章
第一節 問題提起と研究視角
第二節 本書の民衆概念と研究対象
第三節 先行研究の検討
第四節 本書の構成

第一章 三・一運動と民衆に触発された文学
第一節 頭のなかの民衆
第二節 発見された民衆、知識人の羞恥と自責

第二章 プロレタリア文学の大衆化とルンペン・プロレタリア
第一節 感覚の革命と大衆化——「意識化」の外
第二節 負債の力——蔡萬植のルンペン・プロレタリアと農業労働者
第三節 「形象」と社会主義リアリズム——林和の大衆化論

第三章 去った者たちの生活と民族
第一節 虐殺とスティグマ——関東大震災と朝鮮人の生
第二節 「万歳後」あるいは余震——廉想渉の絶対的平等
第三節 ヒエラルキーとレイシズムを解除する——東京の東南地域文学と金史良

第四章 動員される民衆——李箕永
第一節 敵対性と転向の問題
第二節 健康な労働者の系譜
第三節 再配置——ごみ、民族、敵対性

終章

著者|author

影本剛(かげもと・つよし)
朝鮮文学専攻・大学非常勤講師。韓国語の共著に『社会主義雑誌『新生活』研究——1920年代初の思想・運動・文芸の交差と分岐』(ボゴ社、2023)、『「境界」から見た災難の経験』(ヨクラク、2023)、『日本社会のサバルタン研究4——戦争・災害・植民地主義とサバルタン』(J&C、2022)などがある。論文に「近代朝鮮文学と「迷信」——啓蒙と生の原動力」『韓国朝鮮の文化と社会』22号(風響社、2023)などがある。日本語への訳書に高秉權『黙々——聞かれなかった声とともに歩く哲学』(明石書店、2023)、クォンキム・ヒョンヨン編『被害と加害のフェミニズム——#Metoo以降を展望する』(解放出版社、2023、共訳)、金賢京『人、場所、歓待——平等な社会のための3つの概念』(青土社、2020)、李珍景『不穏なるものたちの存在論——人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないものたちの価値と意味』(インパクト出版会、2015)があり、韓国語への共訳書に金時鐘『失くした季節』(2019)、金時鐘『猪飼野詩集ほか』、栗原幸夫『プロレタリア文学とその時代』(2018)がある。

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アンティコニ―北米先住民のソフォクレス

アンティコニ

北米先住民のソフォクレス

  • ベス・パイアトート(著)/初見かおり(訳)/2024年2月予定
  • 1950円(本体)/四六判並製154頁
  • 装丁:中本那由子

北米先住民ネズパース族とカイユース族の血を引く娘アンティコニが、ワシントンDCの博物館から祖先の遺骸を盗み出した、その顛末を語る現代の新たな神話―――
先住民と近代知(サイエンス)をめぐる暴力、囚われ、責任を、ギリシア悲劇の翻案によって描き出す。
さまざまな息づかいが感じられる、原文・翻訳併記。

「読者のあなたは、本作の中のどこにいるだろうか」(石原真衣・前口上より)

「死者たちを幽閉すれば、生者たちも囚われ人となる」と、盲目のティウェート(シャーマン)のテイレシアースが言う。死者たちを幽閉してきたサイエンスがこれまで問われてこなかった。問われるまでに、あまりにも長い時間がかかりすぎた。(初見かおり・訳者解題より)

(ISBN 9784861109133)

目次|contents

前口上 21世紀の神話的空間――古代ギリシャ悲劇から北米先住民文学、そして名前のない暴力へ(石原真衣)

アンティコニ

訳者解題
参考文献
訳者あとがき

著者|author

ベス・パイアトート(Beth Piatote)
カリフォルニア大学バークレー校・准教授(比較文学部、英文学部)。専門は先住民の文学と法。研究者、作家、活動家/ヒーラー。フィクション、詩、戯曲、エッセーなど多数。アメリカ先住民諸語、特にネズパース語とネズパース文学の復興に携わる。
著書に『Domestic Subjects: Gender, Citizenship, and Law in Native American Literature(ドメスティックな主体:アメリカ先住民文学におけるジェンダー、市民権、法)』(Yale University Press, 2013)や本劇「アンティコニ」が収録されている『The Beadworkers: Stories(ビーズ職人:物語)』(Counterpoint, 2019)など。

訳者|translator

初見かおり(はつみ かおり)
西南学院大学・准教授(外国語学部外国語学科)。専門は文化人類学。民族誌の記述と倫理に関心がある。
著書に『ハレルヤ村の漁師たち:スリランカ・タミルの村 内戦と信仰のエスノグラフィー』(左右社、2021)、論文に「Beyond Methodological Agnosticism: Ritual, Healing, and Sri Lanka’s Civil War」(方法論としての不可知論を超えて)(The Australian Journal of Anthropology、2017)など。

著者(前口上)|author(preface)

石原真衣(いしはら まい)
北海道サッポロ市生まれ。アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在は、北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。文化人類学、先住民フェミニズム。
著書に 『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー):サイレント・アイヌの痛みと救済の物語』(北海道大学出版会、2020年、大平正芳記念賞受賞)、『アイヌがまなざす(仮題)』(村上靖彦との共著、岩波書店、2024年近刊)など。

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アウター・ダーク―外の闇

アウター・ダーク

外の闇

  • コーマック・マッカーシー(著)、山口和彦(訳)/2023年12月
  • 2500円(本体)/四六判並製324頁
  • 装丁:斉藤啓

苦しむ人間はずっと苦しむんだ。俺は人間の卑しさをいやというほど見てきた。神様はどうして太陽を消してこの世界を終わらせないんだろうか。―本文より
近親相姦により赤子をもうけた兄と妹が、彷徨を重ね、行きついた先に見たものとは? アメリカ南部で極度の貧困にあえぎながら生きる人々の暗澹たる世界を寓意的に描く。
(ISBN 9784861108952)

目次|contents

アウター・ダーク―外の闇
訳者あとがき・解説

著者|author

コーマック・マッカーシー(Cormac McCarthy)
1933年、ロードアイランド州プロヴィデンス生まれ。2023年、死去。現代アメリカ文学を代表する作家のひとり。代表作に『すべての美しい馬』『越境』『平原の町』から成る「国境三部作」、『ブラッド・メリディアン』、『ザ・ロード』、『チャイルド・オブ・ゴッド』(いずれも早川書房より黒原敏行訳で刊行)など。

訳者|translator

山口和彦(やまぐち・かずひこ)
上智大学文学部英文学科教授。1971年山梨県生まれ。ペンシルヴァニア州立大学大学院博士課程修了(Ph. D.)。著書に『コーマック・マッカーシー錯綜する暴力と倫理』(三修社、2020年)、共編著に『揺れ動く〈保守〉―現代アメリカ文学と社会』(春風社、2018年)、『アメリカ文学入門』(三修社、2013年)、『アメリカン・ロマンスの系譜形成』(2012年、金星堂)など。訳書に『果樹園の守り手』(春風社、2022年)。

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ドストエフスキー エピソードの変容

ドストエフスキー エピソードの変容

  • 木寺律子(著)/2023年12月
  • 3500円(本体)/四六上製336頁
  • 装丁:毛利一枝

複数の作品における類似するエピソードの共通点と相違点を丹念に精査し、作家の考えがいかに変化し発展していったのかを読み取る。

(ISBN 9784861109287)

目次|contents

はじめに エピソードの変容
第一章 SFとしての『おかしな男の夢』と『悪霊』
第二章 個人雑誌『作家の日記』の中の『おとなしい女』と『おかしな男の夢』
第三章 『未成年』と当時の資本主義経済
第四章 『小さな英雄』から『未成年』へ
第五章 婦人解放運動の過程で―『未成年』と『おとなしい女』
第六章 『罪と罰』におけるドイツのイメージ
第七章 『罪と罰』におけるおとぎ話の要素
第八章 『おじさんの夢』のコムイルフォー―自意識と演技
第九章 ハッピーエンドのドストエフスキー文学
第一〇章 亡くなった兄の思い出―宗教思想と無神論の狭間で
あとがき
初出一覧
索引

著者|author

木寺律子(キデラ・リツコ)
1977年生まれ。1995年大阪外国語大学入学、2000年に大阪外国語大学大学院に進学し、2008年に博士号取得して同志社大学ほかで非常勤講師としての勤務を開始し、2021年から現職の京都産業大学外国語学部ヨーロッパ言語学科ロシア語専攻准教授。

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国際日本学の探究―夏目漱石・翻訳・日本語教育

国際日本学の探究

夏目漱石・翻訳・日本語教育

  • 徳永光展(著)/2023年12月
  • 4000円(本体)/A5判上製418頁
  • 装丁:長田年伸

母語-日本語、地域文化-日本文化を往還し、新たな知の体系の創造を試みる挑戦的論集。漱石『心』『坑夫』の英・独訳者との対談も。

(ISBN 9784861108969)

目次|contents

序 論 本書の目的と構成

■第Ⅰ部 翻訳者との対話
第1章 『心』における3度目の英訳について―マッキニー,メレディス
第2章 ドイツ語訳『坑夫』をめぐって―ヒンターエーダー・エムデ,フランツ

■第Ⅱ部 翻訳研究の諸相
第1章 翻訳研究の領域
第2章 ドイツ語圏における夏目漱石―『坊っちやん』2度目のドイツ語訳を手掛かりとして
第3章 書評Ⅰ

■第Ⅲ部 教育研究方向の展望
第1章 日本近現代文学研究の現状認識と未来
第2章 日本の大学における教育研究
第3章 海外発信に関する戦略

■第Ⅳ部 ドイツ語圏の日本学
第1章 リュッセルスハイム 1972年―日本学の歴史的回想(翻訳)
第2章 ドイツ語圏の日本学 1977年-1996年―ドイツ語圏日本研究者会議から
第3章 ミュンヘンの日本学―1996年の調査から
第4章 ドイツにおける日本近現代文学の受容

■第Ⅴ部 日本文学の研究と教育
第1章 国際日本近現代文学研究の必要性―ヨーロッパ日本研究協会ワルシャワ大会から
第2章 夏目漱石を語って―北京日本学研究センターでの実践
第3章 ベトナムにおける日本文学教育の実践―ハノイ大学大学院を例として
第4章 書評Ⅱ

■第Ⅵ部 日本語教育の現場
第1章 日本語教育レヴェル設定への視座―初級・中級・文字指導
第2章 日本在住外国人教授に対する日本語の授業―宮崎国際大学での実践
第3章 大学院留学生に対する日本語習得支援―福岡工業大学での実践
第4章 日本語教師養成の思想―日本語教育能力検定試験出題傾向の変遷から
第5章 書評Ⅲ

結 論 国際日本学の展望

あとがき

初出一覧
Abstract
索引

著者|author

徳永光展(とくなが・みつひろ)
福岡工業大学教養力育成センター教授。
1967年、京都府生まれ。1990年、山口大学人文学部語学文学科卒業。
1992年、神戸大学大学院教育学研究科国語教育専攻修士課程修了。岡山白陵中学校・高等学校専任講師。1993年、同・教諭。2001年、宮崎国際大学比較文化学部専任講師。2005年、大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻博士課程修了。博士(文学)。2006年、福岡工業大学社会環境学部助教授。2007年、同・准教授。2013年、同・教授。ハノイ大学大学院客員教授。2021年、福岡工業大学教養力育成センター教授。2023年より同・センター長。
著書に、『夏目漱石『心』論』(風間書房 2008年)、『城山三郎『素直な戦士たち』論』(双文社出版 2012年)がある。

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時空をかける詩人たち―文理越境のアメリカ詩論

時空をかける詩人たち

文理越境のアメリカ詩論

  • 江田孝臣(著)/2023年11月
  • 3000円(本体)/四六判上製200頁
  • 装丁:毛利一枝

ディキンスンと物理学、ソローと冒険的資本主義、クレインの数学的次元超越……。文理を自在に往来し、アメリカ詩論に新地平を拓く。

(ISBN 9784861109010)

目次|contents

序 章 時をかけるエミリ・ディキンスン
(1)“Because I could not stop for Death -”(F 479 / J 712)
(2)ディキンスンの馬車の速度を計算する
(3)相対性理論と19世紀の電磁気学
(4)ディキンスンと相対論
第1章 ディキンスンの物理学
(1)序
(2)ランプの正体
(3)CenterとCircumferenceのレトリック
(4)ディキンスンが「見た」のはいかなる灯台か
第2章 天文学と自己信頼―エマソンの「モナドノック」
(1)序
(2)テクストと詩の概略
(3)「モナドノック」と天文学、「自己信頼」そしてホイットマン
第3章 時空を超える贈与交換―ソローの「冬の池」と氷貿易
(1)「冬の池」のエンディング―商品交換vs.贈与交換
(2)矮小化される氷貿易―「アイス・キング」フレデリック・テューダー
(3)資本主義的人間の理想像
(4)蛇足
第4章 四次元への飛行―ハート・クレインとホイットマン
(1)『荒地』と『橋』
(2)テクノロジー観と未来の不確定性
(3)勝ち目なき賭けへの詩的投資
(4)「ハテラス岬」と「インド航路」
(5)ウスペンスキーの『第三のオルガヌム』
(6)次元の超越
終 章 メイベル・トッドの馬車
(1)The Handbook of Amherst(1891)の著者
(2)馬車を走らせる二人
(3)ピクチャレスク美学の共有
(4)ヒッチコックの地質学
(5)馬車の行方

初出一覧
あとがき
索引

著者|author

江田孝臣(えだ・たかおみ)
早稲田大学名誉教授。アメリカ文学(詩)研究者。1956年、鹿児島県に生まれる。1979年、千葉大学人文学部卒業。1985年、東京都立大学大学院博士課程人文科学研究科英文学専攻退学。著書に『エミリ・ディキンスンを理詰めで読む―新たな詩人像をもとめて』(春風社、2018年)、『『パターソン』を読む―ウィリアムズの長篇詩』(春風社、2019年)。訳書:ルイーズ・グリュック『アヴェルノ』(春風社、2022年)、D.W.ライト編『36 New York Poets ニューヨーク現代詩36人集』(思潮社、2022年)。共訳:D.W.ライト編『アメリカ現代詩101人集』(思潮社、1999年)。

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イギリス湖水地方―ピーターラビットの野の花めぐり

イギリス湖水地方

ピーターラビットの野の花めぐり

  • 臼井雅美(著)/2023年9月
  • 2200円(本体)/四六判並製158頁
  • 装丁・レイアウト:矢萩多聞

早春、春から初夏、光の夏、実りの秋、そして貯えの冬――
季節の移ろいに応じてさまざまな表情を見せるイングランド湖水地方の野の花をピーターラビットとともにめぐる。カラー写真満載。
(ISBN 9784861108785)

目次|contents

プロローグ
Ⅰ 春の訪れとともに
雪の結晶から生まれた妖精 スノードロップ(Snowdrop)
春一番の微笑み プリムローズ(Primrose)
可憐な少女 スミレ(Violet)
光の訪問者 ラッパスイセン(Daffodil)
地面に散った星の群れ ヤブイチゲ(Wood Anemone)
Ⅱ 初夏への扉
うなだれた黒服の貴婦人 フリティラリア(Fritillary)
寄り添ってうなだれているの キバナノクリンザクラ(Cowslip)
早く私を探して アルム(Arum)
たくさん集まって、何のおはなし? キンポウゲ(Buttercup)
待っていますからね ノハラワスレナグサ(Wood Forget-Me-Not)
わたしたちの世界へようこそ ブルーベル(Bluebell)
そんなに急いで通り過ぎないで ラムソンズ(Ramsons)
海を越えた侵入者 ガーリック・マスタード(Garlic mustard)
紫の手袋に包まれて アーリー・パープル・オーキッド(Early Purple Orchid)
涙のビーズが並びます スズラン(Lily-of-the-Valley)
甘い香りで誘ってくる スイカズラ(Honeysuckle)
一緒に静かな時を過ごして オダマキ(Columbine)
水辺で輝く光 リョウキンカ(Marsh Marigold)
生垣からあなたのことを見ています ヨーロッパノイバラ(Wild Rose)
どこからか現れる貴人 ツルニチニチソウ(Periwinkle)
小さな贈り物 野いちご(Wild Strawberry)
Ⅲ 夏の光のもとで
ハンドベルから飛び出した調べ ソロモン王の印章(Common Solomon’s Seal)
あなたの足を包んであげます レイディース・スリッパー・オーキッド(Lady’s Slipper Orchid)
たくさんのお花で守ってあげるね マルタゴンリリー(Martagon Lily)
揺れる思いが開きました ウェリッシュ・ポピー(Welsh Poppy)
水鳥たちの友達が来たよ キショウブ(Yellow Iris)
海がつくった波の花 アルメリア(Thrist)
藪からのぞいたお顔 セイヨウヒルガオ(Hedge Bindweed)
背高のっぽのダンサーたち ジギタリス(Foxglove)
Ⅳ 秋の憂いの囁き
秋風を呼んでいます セイヨウイラクサ(Nettle)
秋風にゆれて優しく咲く スカルキャップ(Skullcap)
荒れ地に揺れる風の子たち ヘザー(heather, Ling)
君のほっぺをいっぱいにするよ ブラックベリー(Blackberry)
揺れるレースの帽子たち ノラニンジン(Wild Carrot)
ひっそりと咲く姿への賛歌 イトシャジン(Harebell)
たくましさの勲章 アザミ(Welted Thistle)
嵐の中でもめげません ハリエニシダ(Common Gorse)
恥ずかしくて真っ赤になってしまったの セイヨウナナカマド(Rowan)
Ⅴ 冬に守られる命
春の新たな命への道のり ヨーロッパイチイ(Yew)
エピローグ
参考文献

著者|author

臼井雅美(うすい・まさみ)
1959年神戸市生まれ。同志社大学文学部・文学研究科教授。神戸女学院大学卒業後、同大学院修士課程修了(文学修士)、1987年ミシガン州立大学修士課程修了(M.A.)、1989年博士課程修了(Ph.D.)。ミシガン州立大学客員研究員を経て、1990年広島大学総合科学部に専任講師として赴任。同大学助教授、同志社大学文学部助教授を経て、2002年より現職。著書に、『記憶と共生するボーダレス文学―9・11プレリュードから3・11プロローグへ』(2018年)、『カズオ・イシグロに恋して』(2019年)、『赤バラの街ランカスター便り』(2019年)、『ビアトリクス・ポターの謎を解く』(2019年)、『不思議の国のロンドン』(2020年)、『ボーダーを超えることばたち―21世紀イギリス詩人の群像』(2020年)、『記憶と対峙する世界文学』(2021年)、『ふだん着のオックスフォード』(2021年)、『イギリス湖水地方アンブルサイドの女神たち』(2021年)、『イギリス湖水地方モアカム湾の光と影』(2022年)、『ブラック・ブリティッシュ・カルチャー―英国に挑んだ黒人表現者たちの声』(2022年)、『イギリス湖水地方におけるアーツ・アンド・クラフツ運動』(2023年)などがある。

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アロエ

アロエ

  • キャサリン・マンスフィールド(著)、宗洋(訳)/2023年8月
  • 2400円(本体)/四六判仮フランス装並製190頁
  • 装丁:矢萩多聞 /装画:agoera

花は咲かないの? 咲くわ、百年に一度ね――
遠いニュージーランドの夏の思い出。三世代の女性の日常を繊細な筆致で描いた名作「プレリュード」。生前には出版されなかったそのロング・ヴァージョン。
著者没後100年、初の邦訳。短編「ケザイアとトゥイ」「パットのこと」も併せて収録。
(ISBN 9784861108372)

目次|contents

アロエ
ケザイアとトゥイ
パットのこと
遠い場所、遠い声―『アロエ』解題
参考文献
あとがき

著者|author

キャサリン・マンスフィールド(Katherine Mansfield 1888–1923)
ニュージーランドの裕福な家庭に生まれる。父の反対を押し切ってロンドンに渡り、作家となる。短編集『幸福』(1920年)で高い評価を得、『ガーデン・パーティー』(1922年)で作家としての地位を確立するが、翌年、結核のため34歳で夭逝。日常に生じる微細な感情の変化を独自の文体で紡ぎ、珠玉の短編を残した。代表的な作品に「ガーデン・パーティー」「プレリュード」「入り江にて」「幸福」などがある。

訳者|translator

宗洋(そう・ひろし)
1974年生まれ。高知大学教授。著書に『世紀末の長い黄昏―H・G・ウェルズ試論』(春風社)、アンソロジーにH. G. Wells’s Fin-de-Siècle: Twenty-first Century Reflections on the Early H. G. Wells (Peter Lang)、共訳書にアン・フリードバーグ『ウィンドウ・ショッピング―映画とポストモダン』(松柏社)、『ヴァーチャル・ウィンドウ―アルベルティからマイクロソフトまで』(産業図書)がある。

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オースティンとエリオットー〈深遠なる関係〉の謎を探る

オースティンとエリオット

〈深遠なる関係〉の謎を探る

  • 惣谷美智子・新野緑(編著)/2023年3月
  • 3100円(本体)/四六判上製252頁
  • 装丁:長田年伸

ジョージ・エリオットはジェイン・オースティンをいかに読んだのか?
読みの不/可能性の探究――テクストに潜む〈深遠なる関係〉を多彩な切り口から読み解く。
(ISBN 9784861108631)

目次|contents

はしがき【新野緑】
第1章:女性の教育と生活の資―オースティンとエリオットにおけるウルストンクラフトの遺産【川津雅江】
第2章:少女は小説家の母である―初期作品からみるオースティンとエリオット【土井良子】
第3章:オースティンとエリオット―匿名性と作品を取り巻く「視点」【永井容子】
第4章:〈見誤り〉の悲劇/喜劇―『エマ』と『ミドルマーチ』【新野緑】
第5章:『説得』と『ミドルマーチ』―「はじまり」と「終わり」の狭間で【惣谷美智子】
第6章:エリオットはオースティンから何を受け継いだのか?―『ミドルマーチ』における〈分別〉と〈多感〉【廣野由美子】
あとがき【惣谷美智子】
執筆者紹介
索引

編著者|author and editor

惣谷美智子(そうやみちこ)
神戸海星女子学院大学名誉教授。関西学院大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。著書に、『めぐりあうテクストたち―ブロンテ文学の遺産と影響』(共編著、春風社、2019年)、『虚構を織る―イギリス女性文学 ラドクリフ、オーステイン、C・ブロンテ』(英宝社、2002年)など。
新野緑(にいのみどり)
ノートルダム清心女子大学教授。大阪大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程中退。博士(文学)。著書に、『〈私〉語りの文学―イギリス19世紀小説と自己』(英宝社、2012年)、『小説の迷宮―ディケンズ後期小説を読む』(研究社、2002年)など。

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カフカエスクを超えて―カフカの小篇を読む

カフカエスクを超えて

カフカの小篇を読む

  • 松原好次(著)/2023年4月
  • 3100円(本体)/四六判並製472頁
  • 装丁:難波園子

カフカエスク(カフカ的)という語はカフカ文学の不条理性と結びつけられることが多いが、実は、現実世界で起こる当惑・焦燥・恐怖・絶望などを伴う事象が「映画的に」描写されることから生じる結果として、不条理と捉えられていることもあるのではないか。――第二部より
パンデミックや戦争など超現実的とも思える事態が起きている現実世界と対峙しつつ、カフカの小篇を読む。エッセイ集『ことばへの気づき』(2021年)続篇。
(ISBN 9784861108464)

目次|contents

はじめに
第一部 現実と非現実の境を行き交う
(1)「商人」―膝をかがめて細い鏡をのぞきこむ
(2)「天井桟敷にて」―〈止めろ〉と渾身の叫びを上げるやも知れない
(3)「隣人」―ハラスは、いつも非常に急いでいて・・・
(4)「夜に」―なぜおまえは目覚めているのだ?
(5)「雑種」―半分は猫、半分は羊という変なやつだ。父からゆずられた
(6)「家父の心配」―誰の害になるわけでないのは明らかだが・・・
第二部 脇に身を置いて眺める
(1)「小さな寓話」―この長い壁がみるまに合わさってきて
(2)「根気だめしのおもちゃ」―球の意見によると・・・
(3)「もどり道」―心の影は消えてくれない
(4)「乗客」―ぼくは電車のデッキに立っている
(5)「はげたか」―血のなかではげたかが溺れたのを見て、ほっと安心した
(6)「ポセイドン」―大洋の底に鎮座して、たえまなく計算しつづけていた
(7)「セイレーンたちの沈黙」―オデュッセウスは、彼女らの沈黙を聞かなかった
第三部 終わらないように終わる
(1)「こま」―不器用な鞭で叩かれたこまのように、彼はよろめいた
(2)「皇帝の使者」―使者はなんと空しくもがいていることだろう
(3)「出発」―遠くから、喇叭の音が聞こえてきた
(4)「新しいランプ」―全部が片付きしだい、新しいランプを支給しよう
(5)「中庭の門をたたく」―妹は、その門をたたいた
(6)「掟の門」―この門は、おまえひとりのためのものだった
あとがき
参照した文献

著者|author

松原好次(まつばら・こうじ)
東京外国語大学外国語学部ドイツ語学科卒業。元電気通信大学教授。専門は言語社会学、言語政策。特に、少数民族言語(先住民族や移民の言語)の衰退・再活性化について研究。主要著書・訳書に、Indigenous Languages Revitalized?: The Decline and Revitalization of the Indigenous Languages Justaposed with the Predominance of English(Shumpusha, 2000)、『大地にしがみつけ―ハワイ先住民族女性の訴え』(ハウナニ=ケイ・トラスク著、春風社、2002年)、『ハワイ研究への招待―フィールドワークから見える新しいハワイ像』(共編、関西学院大学出版会、2004年)、『消滅の危機にあるハワイ語の復権をめざして―先住民族による言語と文化の再活性化運動』(明石書店、2010年)『言語と貧困―負の連鎖の中で生きる世界の言語的マイノリティ』(共編、明石書店、2012年)、『英語と開発―グローバル化時代の言語政策と教育』(監訳、春風社、2015年)、『難民支援―ドイツメディアが伝えたこと』(春風社、2018年)、『ことばへの気づき―カフカの小篇を読む』(春風社、2021年)など。

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