帝国医療と人類学

帝国医療と人類学

  • 奥野克巳/2006年2月
  • 2190円(本体)/四六判上製・232頁

帝国主義時代以降、世界中に広まった近代医療の自明性を問う。既存研究を整理し、植民地での複雑な交渉過程を検討、フィールドワークによる知見をも加え、病気や医療をめぐる人類学を再構築する。
(ISBN 4861100623)

目次|indexs

はじめに
第1章 グローバル化する近代医療―帝国医療を手がかりとして

Ⅰ 世界的な感染の時代
Ⅱ フーコーの「統治性」を手がかりとして
Ⅲ 植民地時代以前の疾病史
Ⅳ 統治技術としての帝国医療
Ⅴ 帝国医療の生成変化
Ⅵ 人類学の課題
第2章 土着の実践から民族医療へ―過剰化する近代医療
Ⅰ 民族医療とは
Ⅱ 帝国医療・人類学・民族医療
Ⅲ マラヤを事例として
Ⅳ 民族医療研究における困難
Ⅴ 民族医療研究の再構想
Ⅵ 民族医療における近代医療の過剰
第3章 帝国医療の実相を探る―マラヤのラターをめぐって
Ⅰ 帝国医療のイメージ
Ⅱ マラヤの人びとをめぐる記述
Ⅲ コンタクトゾーンにおける交渉
Ⅳ 読みの拡大
第4章 帝国医療の亡霊―サラワクのコンタクトゾーンから
Ⅰ 先住民プナン
Ⅱ 国立公園の動物を食べる
Ⅲ 村の対立と分裂
Ⅳ 闘う先住民の不安
Ⅴ 新薬開発と生物資源
Ⅵ 帝国医療の亡霊に出会う
おわりに
参考文献
あとがき

著者|author

奥野克巳(おくの・かつみ)
1962年生まれ。桜美林大学国際学部助教授
1998年3月 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。
主要著書
「精霊の仕業」と「人の仕業」—ボルネオ島カリス社会における災い解釈と対処法
春風社、2004年
『文化人類学のレッスン—フィールドからの出発—』(花渕馨也と共編著)学陽書房、2005年

担当編集者から

気鋭の人類学者、奥野克巳さんとの二冊目(一冊目はこちら)。本書編集中の打ち合わせ(泥酔)で、すでに次回作の構想があり「においの人類学」をやりたいと仰る。いいですねえぜひやってください私においふぇちなんですとくに女の各部位の大衆論ならぬ体臭論ですなひひひーとぼく。先生もひひひひひー。同席していた素直そうなゼミ生2人ドン引き。
ともかく、才人のシャープな一冊である。[-内藤-]

 

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古代歌謡と南島歌謡―歌の源泉を求めて

古代歌謡と南島歌謡

歌の源泉を求めて

  • 谷川健一/2006年2月
  • 2400円(本体)/四六判上製・308頁

言葉の呪力、アニミズムの息吹―南島文化に残された「万葉以前のうた」の世界に遊ぶとき、古代歌謡の真の姿が浮かび上がる。古代から芭蕉にいたる歌を通覧し、日本人の魂の秘密に迫る!
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100585)

目次|indexs

はじめに
序章 うたと民俗学
第一章 歌の発生
1 アニミズムの時代/2 言問う世界/3 言葉の呪力4 呪詛の言葉―とこひ37/5 ウタの発生/6 神意をヨム言葉―誦み言/7 ヨミゴトからヨミウタへ/8 ヨミウタからウタヨミへ/9 諺と本縁譚/10 歌のたたかい/11 相手を惑わす呪歌/12 毛遊びの歌/13 久米歌のかけあい/14 歌と諺/15 風俗歌と枕詞/16 枕詞と地名
第二章 挽歌の展開―柿本人麻呂を中心に
1 恋と乞い/2 異常死者への挽歌/3 「遊ぶ」ということ/4 遊部の所在地/5 生目天皇の末裔/6 遊部と歌垣/7 三月十八日と九月十八日/8 人麻呂終焉歌/9 丹比真人の歌/10 死と影の国/11 魂乞い―挽歌と相聞/12 挽歌の消滅
第三章 うたげの世界
1 客人歓待の歌/2 能登の民謡/3 酒宴の盞歌/4 住吉の浜の小松/5 越の遊女/6 棹の歌
第四章 共同体の詩
1 東国の民俗と地名/2 地霊とつながる序詞/3 笠原の風/4 序詞と寄物陳思/5 地名と歌枕/6 連歌から俳諧へ/7 俗語を正す/8 地名と地霊/9 共同体の詩/10 集団との交わり
補遺
1 「夢歌」について/2 俳諧は歌なり/3 蕉翁の一句/4 「にほふ」について/5 磯辺の生物たち/ウニとガゼなど/6 花礁について
あとがき
参考図書

著者|author

谷川健一(たにがわ・けんいち)
1921年熊本県生まれ。東京大学文学部卒業。民俗学者。現在、日本地名研究所所長。
著書
『魔の系譜』(紀伊国屋書店)
『白鳥伝説』(集英社)
『青銅の神の足跡』(集英社、小学館ライブラリー所収)
『南島文学発生論』(思潮社)
『日本庶民生活史料集成』(編書、三一書房)

担当編集者から

本文中に、柳田国男を引用しつつ論じるこんな箇所がある。

「柳田はわずか数行の文章で、薄暗い光のさしこむ勝手で黙々と食器を洗う女たちのなげきを描き切っている。
私の生まれ育った頃は木器はなく、陶磁器の食器であったが、それでも私の母や家に働いていた女たちの侘しい後ろ姿が彷彿としてくる」

ぼくは商売家に育ったので、庶民を低く見る目線に生理的な嫌悪をもっている。しかし庶民の感覚を保ちつつ学問するのは難しく、大半の学者はどこかしら高踏的だ。上の文を見てもわかるが谷川さん(いつもは先生と呼んでいるがあえて谷川さんと書く)の文の目線は低い。お目にかかって話をうかがっていても(おっかねえけど笑)そうだ。
庶民の感官のひだに分け入り日本人の心性の根を探る民俗学の醍醐味、どうぞ![-内藤-]

 

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赤十字の父―アンリー・デュナン

赤十字の父

アンリー・デュナン

  • エーテル・コッハー、ハンス・アマン著、九頭見和夫訳/2005年10月
  • 952円(本体)/四六判上製・96頁

戦場で傷ついた兵士に救いの手をさしのべたデュナンは<赤十字の思想>を生み出すが、自ら作った組織から孤立。事業の失敗、破産、周囲の無理解により孤独な晩年を過ごす。栄光と没落の波乱に富んだ人生を忠実にたどる。
(ISBN 4861100526)

目次|indexs

1 ジュネーヴ、一八二八年五月八日
2 お人好しの植民地入植者
3 皇帝の後を追って
4 『ソルフェリーノの思い出』
5 国際赤十字の創設
6 スターに、そして没落へ
7 極貧、それでも人類の幸福のために身をささげて
8 シュトゥットガルトの友人たち
9 ハイデン、新しい故郷
10 再び脚光を浴びて
11 調停者として最高の国際的な栄誉を
12 死に至るまでよりよい世界のために力をつくして
引用文献
写真の出典
アンリー・デュナン博物館(ハイデン)所蔵品
デュナン評
訳者あとがき
[資料1]ジュネーヴ条約一〇ヵ条
[資料2]【年表】アンリー・デュナンと日本赤十字社
[資料3]スイス、イタリアの地図

訳者|translator

九頭見和夫(くずみ・かずお)
福島大学人間発達文化学類教授(外国語・外国文化学系長)、日本比較文学会編集委員。
1942年、福島県に生まれる。東北大学大学院文学研究科(独語・独文学専攻)修了。福島大学附属小学校長、日本独文学会理事、東北大学・高知大学・放送大学等非常勤講師を歴任。
『太宰治と外国文学、翻案小説の「原典」へのアプローチ』(和泉書院、2004年)等著書・論文多数。

担当編集者から

まっすぐに自分の思想を実現しようとするデュナンは、「大人の根まわし」を重要視する組織から孤立。純であるがゆえに商売にも失敗。パンを買うお金もないほどひどい経済状態に陥る。招待されたサロンには、袖や衿の擦り切れた箇所を黒インキで染めて出かけたという。
いまでは当たり前になっている赤十字の思想が世界に広まったのは、デュナンの強い信念があったればこそ。意外と知られていないデュナンの生涯、大きな活字の本書でぜひどうぞ。[-山岸-]

 

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Windows健康情報処理入門

Windows健康情報処理入門

  • 原田昭子・近藤美樹・鈴木生/2005年10月
  • 1905円(本体)/B5判並製・228頁

キーボード表を使ってタイピング方法から解説しているので、パソコン初心者でも大丈夫! 基礎的な統計処理や、食教育媒体(資料)の作成方法など、栄養管理の効果的な手法を具体的に例示し、実践する。パソコン画面のショットも多数収録し、エクセルによる各種グラフ、ワード機能を使った図表の作成方法などを丁寧に解説。データベースとして活用できる「五訂増補日本食品標準成分表」CD-ROM付き。栄養士・管理栄養士をめざす人必携!
(ISBN 4861100518)

目次|indexs

第一部 基礎編
第1章 Windowsの基礎
Windowsの起動/マウスの操作/マウスポインタの形/タスクバーの固定//終了/メモ帳の起動/ウィンドウの名称と役割/入力モードの設定/キーボード/ブラインドタッチ/挿入・削除/複写・移動/元に戻す/ローマ字かな変換表/主な記号/検索・置換/ファイルの保存/印刷・印刷プレビュー/拡張子/名前付け規則/フォルダの作成/ファイルの移動/記憶容量
第2章 ペイントの基礎
ペイントの起動/画用紙の大きさ/ツールボックス/細部の仕上げ/印刷・印刷プレビュー/終了
第3章 Wordの基礎
Wordの起動/Word画面の表示/ページ設定/Enterキーの働き/インデント/文中に空白を作る/書式設定/箇条書きと段落番号/段組/罫線/図形描画/テキストボックス/オートシェイプ/図の挿入/ワードアート/ページ罫線/透かし文字・図/ヘッダーとフッター/ページ番号/脚注(注釈)/要約の作成/見出しと目次/文章校正/組織図または図表/ハイパーリンク
第4章 Excelの基礎
Excelの起動/Excelの画面表示/セルへの入力/計算式の記入/関数の記入/関数一覧/計算式や関数の貼り付け/形式を選択して貼り付け/行と列の管理/シートの管理/セルの書式設定/ページ設定/計算式の表示・印刷/グラフの作成/グラフの修飾/複合グラフ/並べ替え/データの抽出/データの集計/ピボットテーブルの作成
第5章 PowerPointの基礎
PowerPointの起動/PowerPointの表示画面/スライドのレイアウト/新しいスライド/スライドのデザイン/図解例/会場の広さと文字の大きさ/ヘッダーとフッター/画面切り替え/アニメーションの設定/グラフの作成/グラフのアニメーション/リハーサル/スライドの保存
第6章 統計の基礎
統計処理/データ型と記述統計/データのグラフ化/代表値と散布度/正規分布/データの整理/統計的検定/平均値の検定/平均値の差の検定(大標本法)/Welch検定(小標本法)/χ2検定/相関係数の検定/効果の検定/分析ツール設定/分析ツール
第二部 応用編
第1章 子どもの食事調査
英文入力/レポート作成/食事配分/エネルギー摂取量と食事配分
第2章 1日の献立
調理方法/献立表/三食配分とPFCバランス/料理教室
第3章 Wordによる食教育媒体などの作成
レシピ/卓上メニュー/肥満予防の流れ図/病気と食事指導/食券/検診のすすめ/食品ピラミッド/給食便り/給食試食会便り
第4章 「日本食品標準成分表」の活用
食品の特徴を概観/My食品成分表作成/常用食品成分表作成/食品群別食品成分表作成/特定の栄養素の含有量が多い食品/米の栄養分布/栄養価比較/食品の散布図と相関関係/食品群数/食品群別栄養成分検討
第5章 「国民栄養の現状」の検証
食事状況/食生活状況/ストレス/体型に関する自己評価/年齢階級別エネルギー摂取量/栄養素年次推移/PFCバランス/食品群別摂取充足率
参考文献
付録

著者|author

原田昭子(はらだ・あきこ)
名古屋工業大学建築学科卒業、同大学院中退。兵庫教育大学大学院自然系数学修了。現在、兵庫大学健康科学部栄養マネジメント学科教授。
著書に『Accessによる栄養管理-料理データベースから献立作成-付録:食品成分表FD』『マイコンを使って数学を学ぼう』『健康教育に役立つ情報処理入門』『Exercise栄養指導』『保育の実践』『健康』『子ども健康学』他多数。
近藤美樹(こんどう・みき)
名古屋工業大学計測工学科卒業。日本ユニシスSEを経て、現在、兵庫大学情報処理演習TA。
鈴木生(すずき・せい)
福井工業大学電気工学科電子工学専攻情報処理コース卒業。元兵庫大学情報処理演習TA。元加古川市情報教育指導補助員。

担当編集者から

「ダブルクリックとは」という超初級レベルからスタート! 分かりやすいチャートの作成や栄養バランスのビジュアル化など、具体的な例題、演習をこなしながら、栄養士にとって絶対必要なスキル、統計処理まで学ぶ。目次を見れば、原田先生の親切、丁寧さは一目瞭然。どんな初心者も絶対に途中で挫折しないと思う。プロを目指す人、そして現役栄養士にとっても「確実に力がつく」1冊![-井戸川-]

 

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ダンテ神曲 原典読解語源辞典(3)天国

ダンテ神曲 原典読解語源辞典(3)

天国

  • 福島治/2005年10月
  • 46000円(本体)/B5判・640頁

中世文学の一大傑作『神曲』を逐語英訳し、語源、派生語、語彙の変遷、接頭辞など、翻訳の手がかりとなるものを多言語(羅・英・仏・西語等)により詳解する世界初の大辞典!
(ISBN 4921146799)

推薦のことば

ダンテの言葉の海―大江健三郎
原典が本当に読める―中条省平
まさしく、ジョイスフル―柳瀬尚紀
本当に頭の下がる仕事をなしとげる学者が存在し、その仕事を刊行する出版人が存在する。今やもう奇跡に近いと思っていたそのことが、ダンテ原典注解という形で実現される。歓喜の叫びを抑え難い。ジェイムズ・ジョイス経由でダンテをかじった者として、幸いに英語とフランス語は読める者として、この3巻本刊行にJOYcefulな叫びを抑え難い。福島治氏に感謝しつつ読破の決意を固めた。―柳瀬尚紀

著者|author

福島治(ふくしま・おさむ)
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了。ラテン語の泰斗、故ジョン・G・グリフィス教授(オックスフォード大学)に師事。著書:『英語派生語語源辞典』(日本図書ライブ)他。

担当編集者から

2002年晩秋に[地獄]篇の編集が始まり足掛け4年、ついに全3巻完結! 本棚に[地獄][煉獄][天国]と背文字が並んだ。やはり感慨深い。個人で購読する方は多くないにしても、主な大学図書館から全巻予約が入っており、「[天国]はいつですか」という問い合わせをいただくたび心苦しい思いをしていた。ようやくお届けすることができ、本当にホッとしている。
ダンテが「神曲」の執筆にとりかかったのは1307年(頃)、完成したのは1321年。680年のあいだ読み継がれてきた「神曲」。『ダンテ神曲原典読解語源辞典』も末永く読まれ、活用されるにちがいない。数百年後、「本」という形が残っているかどうかわからないが、この辞典のデータはなんらかの形で存続していると思う。こんなにすごい仕事をされた福島先生がめちゃ気さくな人だなんて、680年後の誰も思わないだろうなあ。[-山岸-]

 

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外来語の社会学―隠語化するコミュニケーション

外来語の社会学

隠語化するコミュニケーション

  • 山田雄一郎/2005年9月
  • 2800円(本体)/四六判上製・332頁

現代の日本語は、〈隠語化〉と〈大衆化〉という逆向きの力がせめぎ合っている。次々に現れ、日本に氾濫する意味のはっきりしないカタカナ語に、私たちはどう対処すればよいのか。森鴎外から綿矢りさ・金原ひとみまで、小説の会話文から外来語の姿を追う。国立国語研究所「外来語言い換え案」一覧も併録。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 486110050X)

目次|indexs

まえがき
第一章 グローバリゼーションと外来語
一 寡占化する外来語市場
地球村という幻想/グローバリゼーションと言語の階層化/英語への傾斜
二 先進国の苛立ち
英語の変身/ドイツ語を侵す英語/フランス語の反撃
三 発展途上国の悩み
インドネシアの看板騒動/ベトナムの文化と英語
四 日本語の寛容
問題の所在/終わりのない祭礼/翻訳借用と直接借用/国語審議会の問題意識
第二章 外来語と小説―大衆化の過程
一 明治―啓蒙の時代
未知への憧憬/小説の役割/原音主義の苦心
二 大正から昭和へ―大衆の登場
解放のはじまり/外来語橋の建設/原音主義の失速/九鬼周造の訴え
三 戦後―大衆化時代の幕あけ
外来語橋の完成/外来語高度成長時代
四 現代―記号化する外来語
失われる余韻/委縮する非日常/拒絶される大衆
五 概括―外来語輸入業者の交替劇
第三章 外来語とコミュニケーション
一 言語記号の恣意性と意味の透明性
透明性の仕組み/一次語と二次語
二 記号化の意味
置き換えられる日本語/花の名前/言葉のマクドナルド化―失われる人間的判断/固有名詞と普通名詞
三 コミュニケーション・ブレイクダウン
マスコミュニケーションの仕組み/マスコミュニケーションの規律違反
四 毀損されるメッセージ―外国映画のカタカナ題名
カタカナ題名の経緯/情報をもたないメッセージ/あるアンケート/映画とテレビ/カタカナ題名は合い言葉?/集団的存在
第四章 隠語化するコミュニケーション
一 外来語の排他性と集団性
マニフェスト騒動/素人と玄人―失われる境界線/漱石の意見
二 混乱の果てに
国立国語研究所の試み/言い換え案の苦心と不用意/追い払うべき相手
三 意味の復権に向けて
自己顕示欲の正体/彼らの不安
第五章 外来語の未来
一 その後の動き
外来語委員会の苦心は続く/言い換え語の現在/外来語と日本語の併記―その後/翻訳の必要性
二 小説の中の外来語再び
小説資料とその計算法/外来語と時代区分/出現率の意味/第一三〇回芥川賞
参考文献
あとがき
付録1 国立国語研究所・外来語委員会の外来語言い換え案一覧(第一回および第二回発表分)
付録2 国立国語研究所・外来語委員会の外来語言い換え案一覧(第三回中間発表分)
付録3 小説文献一覧とカタカナ外来語使用頻度

著者|author

山田雄一郎(やまだ・ゆういちろう)
1945年広島県生まれ。1973年広島大学大学院修士課程(英語教育)修了。シドニー大学、レディング大学で外国語教育学を学ぶ。専攻は言語政策、英語教育。現在、広島修道大学教授。
主著に『言語政策としての英語教育』(渓水社)、『英語教育はなぜ間違うのか』(筑摩書房)、『日本の英語教育』(岩波書店)ほか。

 

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教育の経済―成り立ちと課題

教育の経済

成り立ちと課題

  • 三上和夫/2005年8月
  • 3200円(本体)/A5判上製・302頁

教育政策の経済的な課題を総括する書。公的補助の不備、家庭の経済格差から生じる学歴格差などの問題を示し、教育政策について再考を促す。女性誌を資料として、家計に占める教育費増加の歴史も概観。
(ISBN 4861100496)

目次|indexs

序章 生活と教育のもつれあい―教育秩序の変動
生活場面としての学校の主題化
家族をとりまく社会空間
郊外の「物語」
時間意識と自己決定
時間意識と時間決定の自主性
教育資本と教育危機
支配的秩序の有効限界の外へ
第一章 地方分権一括法の社会的前提
はじめに―一九九〇年代社会への着目
第一節 生活圏域・家族と市場・組織
少子社会
通学通勤圏
費用負担の型
塾と学校―複合する教育制度
少子化と教員養成
第二節 社会変化と教育システムへの要請
社会動向と校則
就学観のゆらぎ
「会社本位」からの離脱
「消費創出」という開拓線
第三節 教育行政機構の改変動向
模索と構想の集約
公費投入の多元化と分権化
負担格差とあらたなまなざし
まとめ 「分権」への動きと教育委員会
社会状況の変化と制度改変
行政改革・分権化と教育委員会活性化
コラム1 中央教育審議会
第二章 家計支出教育費の定着
はじめに
高度経済成長の教育的果実
教育費の形
女性雑誌と「主婦」の位置
第一節 「投資」としての教育―「教育の経済」成立前史
教育投資政策の登場
私学への批判と公費投入―一九七五年前後の教育社会
教育投資意識の定着と相対化
家計をめぐる社会と制度原理
第二節 循環(=「計画する家計」)形成と「教育の経済」の「成り立ち」
一九八〇年代~九〇年代前半の時代特性
『主婦の友』の「教育費取材」―話題提供による資金計画への誘導
あたらしい着眼―全国的な取材構成による「教育費計画百科」
「教育の経済」の「成り立ち」
第三節 家計支出教育費の万華鏡的様相
『DIME』―数値表示の雑誌
『微笑』で見る一八年間
『SOPHIA』―ファイナンシャル・プランナーの登場
『主婦と生活』という亜種
『クロワッサン』―教育費負担反発と教育信念確認
『ミセス』―ライフステージごとのやりくりと保障内容別資金設計
『婦人倶楽部』―小回りのきくアドバイス
『NEXT』―父親の「経済学」
まとめ―家計支出教育費と「教育と教育行政」
「教育の経済」成り立ち―その理論構成
公共性の外部としての「家計支出教育費」
教育行政を補助とする教育の原理
「教育の経済」と公費支出原則
あらたな入会地
第三章 評価と社会・国家
はじめに
第一節 国家責任の歴史的分析
財政政策と「国家責任」
組織と市場へのまなざし
国家責任論の展望
第二節 公教育論の構成
公教育論の三段階と今日
教育関係学会における「公共性」論
公共性再編の課題
第三節 教育評価と社会・国家
教育評価の位置―媒介としての「社会」と「通念」
評価・目標サイクルと「教育と教育行政関係」の再政治化
「教育評価」の責任範囲と公共性
第四節 教育振興基本計画と教育改革特区
評価国家の二つの政策手法
教育振興基本計画
評価国家の機構関係と政策課題
「特区」政策―空間の焦点化と政策目標
コラム2 教育政策
コラム3 生活指導・生徒指導
第四章 歴史的権利としての学校建営
はじめに
第一節 学校選択を考える視点
「学校―社会」の歴史段階
教育制度の戦後
第二節 就学の意味変化
「信任」の後退 契約の「通念化」
包括的・関係的概念としての在学契約
教育的価値としての教育区
第三節 学習社会における人と法人
インクルーシブな教育―「学習社会からの教育改革」の中間総括
市民による教育事業
官・民・公共
学習社会の存在基盤―市民のまとまりと公益
第四節 学校建営の歴史的意義
「就学」の二重化
「学校をつくること」への着目
教育政策と政策―評価の視点
現代への示唆―一九四一年の「断絶」
コラム4 義務教育費国庫負担廃止問題
第五章 教育基本法と地域空間―教育制度の拡大・定着・成熟に着目して
はじめに
第一節 学区制と市町村
市町村のまとまりと学校のまとまり
一九七五年以降の教育と社会の経路
高校という教育経験―市町村を越える学校制度
政治と学事
第二節 教育の長期変動と法関係
教育変動と「世代」
「教育の公共性」の法関係
第三節 改変の現段階―「教育と教育行政」関係
「教育と教育行政」の社会関係
教育行政の空間的責任
教育空間論の課題
第四節 地域と公共性―再編の方向
都道府県による通学区域設定―後期中等教育整備の責任主体
規制基調からの転換
地域教育制度―システム構築の課題
まとめ
コラム5 学校選択制と学区制
コラム6 教育改革―学校選択と学区制度
コラム7 自治体の教育計画の策定
あとがき
人名索引
事項索引

著者|author

三上和夫(みかみ・かずお)
神戸大学発達科学部教授。主な著書に『学校と学区の地域教育史』(共編著、川島書店、2005年)、『学区制度と学校選択』(大月書店、2002年)など。

担当編集者から

本格的な教育経済論としてかっちりとしたつくり。先日、横浜で開催された教育学会でも好評を博す。各女性雑誌の「こんなにかかる教育費!」特集を追いかけて得られた具体的なオカネの実態は興味深く、塾に通い私立へ進学した私も身につまされた。改めて両親に感謝。天秤をモチーフにした装丁は萩原。[-井戸川-]

 

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情熱の素

情熱の素

  • 丹羽文生/2005年8月
  • 1500円(本体)/四六判並製・242頁

ペマ・ギャルポ(チベット文化研究所)、二葉百合子(歌手)をはじめ、教育、起業、国際ボランティア、剣詩舞道、食、それぞれに情熱を傾ける7人に訊く。<夜の時代>をたくましく生きるためのヒントがちりばめられたインタビュー集!
日本図書館協会選定図書
(ISBN 486110047X)

目次|indexs

はじめに
教育への情熱/池田晃
舞への情熱/田村天聖月
食への情熱/寒川良作
他者への情熱/IVUSA
歌への情熱/二葉百合子
ビジネスへの情熱/田中克明
歴史への情熱/ペマ・ギャルポ
おわりに

著者|author

丹羽文生(にわ・ふみお)
一九七九年、石川県生まれ。政治アナリスト。

担当編集者から

インタビューはおもしろい。めちゃくちゃ緊張するし、聞くことを聞けばそれでよしというわけでもないから大変だが、そういうことを含めておもしろい。聞いたときすぐに分からなくても、編集の過程で、根のようなもの、話し手の無意識の履歴といったものが次第に見えてくる(気がする)。話し言葉の不思議に感動![-三浦-]

 

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ユウ君とレイちゃん―葉画・物語のはじまり

ユウ君とレイちゃん

葉画・物語のはじまり

  • 鈴木みどり/2005年7月
  • 1575円(税込)/B5判変型・36頁

落ち葉を絵の具の代わりに使う葉画。自然の営みの中で枯れ落ちた葉が物語の中で生き生きと蘇る。幼い二人が迷い込んだ不思議な世界に再生への願いを込める初めての葉画絵本。
(ISBN 4861100437)

推薦の言葉

落葉の絵に出会って4年、みどりさんがついに夢を叶えた。葉画だから表現できる世界、葉画にしか表現できない世界を彼女はものにした。
―葉彩画・赤崎一雄

作者|author

鈴木みどり(すずき・みどり)
雅号:桧葉(あすなろ)。秋田県出身。大東文化大学中国文学科卒業。千葉県木更津総合(旧木更津中央)高等学校に勤務。「ふしぎな花倶楽部」インストラクター。JLFA葉画講師。

担当デザイナーから

鈴木みどりさんの葉画絵本・第1作目!
真夜中に浮かぶ月みたいにきれいで不気味。得体が知れないのにそちら側に行ってしまいたいような感じのする絵本に仕上がった。
写真家の橋本照嵩氏、シナノ印刷の方々、ありがとうございました。[-萩原-]

 

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教師再生―石川県公立中学校における授業実践から

教師再生

石川県公立中学校における授業実践から

  • 砂上昌一 編著/2005年5月
  • 1905円(本体)/四六判上製・328頁

教育哲学者・林竹二にならい、石川県公立中学校の教師たちが立ち上がった。砂上校長を中心に現場の教師たちが<再生>をかけ、みずから吟味し苦闘した生々しい教育ドキュメントがここにある。熱気あふれる授業記録!
(4861100410)

目次|indexs

はじめに   砂上 昌一
Ⅰ 授業のあり方を考える

一 授業の改革のはじめに   砂上 昌一
1 小野四平先生の提案授業
2 小寺正一先生の道徳の授業
3 何が問題なのか
4 生きる力の糧としての授業
二 再び授業の改革に向かう
1 授業研究のねらい
2 林竹二「授業の成立についての覚書」について
3 授業で変わる子ども
4 「総合的な学習」について
5 子どもを見る目を確かなものに
6 竹内敏晴先生の朗読の授業
7 こだわり続けてきたこと
8 何が変わったか
Ⅱ 授業実践研究のなかで見えてきたこと
子どもの想像力は飛躍する   小荒 孝康
授業の質を問い直す   村田 有司
子どもに学び、授業をとらえ直したい   市村 護
荒れているからこそ授業で勝負    東 伸治
説明したのに何でわからんの?   三森 洋子
振り返れば   勝木一博
「イマジン」の授業    定者 由美子
子どもを映し出す場としての保健室    木戸 陽子
授業再考    滝口 誠久
スタートラインが見えた   谷舗 秀治
素直に子どもを見ること    新井 徹
谷井、聞いて…    谷井 寿美代
学校の中心に授業を据える   浜 洋
後戻りできない位置に立つ    小林 克規
Ⅲ 国語の授業研究
提案授業三年国語 澤登文子「生きる」   小野 四平
Ⅳ 朗読の授業研究
ドラマの立ち上がり―授業者の手記―   竹内 敏晴
二年選択国語朗読劇「よだかの星」   小座間 美智子
Ⅴ 道徳の授業研究
提案授業一年道徳「私たちの学校」   小寺 正一
Ⅵ 授業を創る
私の校内研修論   伊藤 功一
授業を創るとは―三年間の提案授業を総括しながら―   小野 四平
あとがき―私の「授業」について―   小野 四平

編者|editor

砂上昌一(すながみ・しょういち)
1943年石川県生まれ。立命館大学文学部卒。2003年3月石川県江沼郡山中町立山中中学校退職。編著書に『学校に魂を入れる』(国土社、1985年)『教育の原型を刻む』(能登印刷出版部、2004年)。
現在、山中町立公民館嘱託。全国同和教育研究協議会役員。

担当編集者から

この本の編著者である砂上昌一さんは元中学校の校長先生、教育哲学者の林竹二氏の授業に触発され、授業を根本から考え直すことをこころざし、周囲の先生方を巻き込み学校一丸となって改革に取り組まれた。その熱い記録が本書だ。大学を卒業したての新米教師でも教室に入れば生徒からは<先生>と呼ばれる。しかし、教師というのは何をもって教師というのか。この本の著者たちはそれぞれの置かれた立場でその問いに真摯に向き合い答えようとしている。<教師再生>がこの本のタイトルだが、それは著者たちの熱い願いでもある。[-三浦-]

 

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