いのちのどこが大切なのか ハイデガーとアーレント

いのちのどこが大切なのか ハイデガーとアーレント

  • 森一郎(著)/2025年4月
  • 4000円(本体)/四六判上製396頁
  • 装丁:長尾優

生命尊重主義の系譜学へ
「ただ生きること」一辺倒は、「よく生きること」へのまなざしを塞いでいないだろうか。「いのちを大切にしよう!」と呼びかけ合う現代人に冷や水を浴びせかけるソクラテス流反問が、ハイデガーとアーレントを拠点とし、コロナ禍をくぐり抜けて、いまここに甦る。『アーレントと赦しの可能性』に続く反時代的試論集。
(ISBN 9784861109751)

目次|contents

凡例

第I部 ヒューマニズムの系譜学
第一章 哲学にとって死はどこまで問題か――死生観と哲学観
第二章 いのちのどこが大切なのか――古代ギリシア人の死生観への一瞥
第三章 自然的平等について――近代道徳の系譜学のための一覚書
第四章 哲学的人間学の自然主義的起源――ホッブズの人間理解
第五章 コロナ禍はどこまで危機なのか――反時代的試論
第六章 コロナ禍において見えてきたこと――革命論序説
第II部 ハイデガーからアーレントへ
第七章 制作と哲学、制作と政治――「ハイデガーとアーレント」のために
第八章 制作と哲学、制作と政治(続)――『人間の条件』第三一節に即して
第九章 死と良心――『存在と時間』の中心部
第十章 良心をめぐって――ハイデガーとアーレント
第十一章 どこまでわれわれは哲学をすすめられるか――観想的生と近代
第十二章 世界と真理をめぐって――ハイデガーからアーレントへ
あとがき
初出一覧
人名索引

著者|author

森一郎(もり・いちろう)
1962年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京女子大学文理学部教授等を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。博士(文学)。専攻は哲学。著書に、『死と誕生――ハイデガー・九鬼周造・アーレント』、『死を超えるもの――3・11以後の哲学の可能性』(以上、東京大学出版会)、『世代問題の再燃――ハイデガー、アーレントとともに哲学する』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、『ハイデガーと哲学の可能性――世界・時間・政治』(法政大学出版局)、『核時代のテクノロジー論――ハイデガー『技術とは何だろうか』を読み直す』(現代書館)、『ポリスへの愛――アーレントと政治哲学の可能性』(風行社)、『アーレントと革命の哲学――『革命論』を読む』(みすず書房)、『快読 ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』』(講談社選書メチエ)、『アーレントと赦しの可能性――反時代的試論』(春風社)、『ニーチェ――哲学的生を生きる』(青土社)ほか。訳書に、アーレント『活動的生』、『革命論』(以上、みすず書房)、ニーチェ『愉しい学問』、『ツァラトゥストラはこう言った』、ハイデガー『技術とは何だろうか』(以上、講談社学術文庫)ほか。

この本を注文する

Amazonで注文する 楽天ブックスで注文する 版元ドットコム

モノからみた宗教の世界

モノからみた宗教の世界

  • 八木百合子(編)/2025年3月
  • 3500円(本体)/A5判並製310頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

産業化やグローバル化を背景に、日常のあらゆるモノが商品として大量に生産・消費されるなか、宗教的なモノの商品化もかつてないほど進んでいる。神々のイメージは、印刷物や彫像からデジタルメディアに置き換わり世界中に拡散・流通している――
モノそのもの、モノと人との関係から、現代の宗教世界の実相を捉える論集

(ISBN 9784868160069)

目次|contents

序章 モノをとおしてみる現代の宗教世界  八木百合子 [pp.7-33]

第一部 モノ/イメージの複製と聖性
第1章 フィリピンの聖画像崇敬にみるモノと聖性  古沢ゆりあ[pp.37-59]
第2章 「多文化共生」のシンボルとしての聖像―ベトナムから持ち込まれたキリスト像の例  野上恵美[pp.61-84]
第3章 観光と巡礼の町で生まれたアッシジ刺繍  笠井みぎわ[pp.85-111]
コラム1 人の道具と神の持ち物―弁才天の持物に注目して  鳥谷武史[pp.113-117]

第二部 モノの蓄積と処理
第4章 蓄積されるモノと聖性のありか―チベットの宗教実践の事例から 小西賢吾[pp.121-147]
第5章 イスラームの宗教実践におけるモノ―チュニジアにおけるクルアーンカレンダーの事例から  二ツ山達朗[pp.147-169]
第6章 聖像のゆくすえ―ペルーにおけるニーニョ像の継承をめぐる実践  八木百合子[pp.171-195]
第7章 トルコにおけるモスク寄進絨毯の今昔―ローカルな「篤志の標」の転生  田村うらら[pp.197-220]
コラム2 誰のものでもないモノ―人と風土をつなぐ講の掛け軸  小倉美恵子[pp.221-225]

第三部 モノと物質性の変化
第8章 モノがめぐり、神がめぐる―ガネーシャ祭における信仰実践の更新  福内千絵[pp.229-249]
第9章 呪いと祓いをカスタマイズする―ギニア・スス社会における宗教的なモノを例に 中川千草[pp.251-272]
第10章 「うたう」から「漂う」仏教音楽へ―電子念仏機を通して作られる音空間  長嶺亮子[pp.273-292]
コラム3 メキシコのブリキ絵  高木崇雄[pp.293-298]

あとがき
索引
執筆者一覧

編者|editor

八木 百合子(やぎ・ゆりこ)
国立民族学博物館グローバル現象研究部、総合研究大学院大学人類文化研究コース准教授
博士(文学)
文化人類学、アンデス研究
主な著作等 『アンデスの聖人信仰:人の移動が織りなす文化のダイナミズム』(臨川書店、2015年)、「聖母の奉納品にみるアンデス的意匠:クスコのアルムデナ教会の事例から」(青山和夫・米延仁志・坂井正人・鈴木紀編『古代アメリカの比較文明論:メソアメリカとアンデスの過去から現代まで』京都大学学術出版会、2018年)、Etnografía Andina: recorrido y valoración cultural (Senri Ethnological Studies No.111、編著、National Museum of Ethnology、2022年)。

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
●26-27頁:「様々なに変化してきている」→「様々なかたちに変化してきている」

この本を注文する

Amazonで注文する 楽天ブックスで注文する 版元ドットコム

在日コリアン教会の戦後―再編されるエスニック・チャーチ

在日コリアン教会の戦後

再編されるエスニック・チャーチ

  • 荻翔一(著)/2025年2月
  • 5300円(本体)/A5判上製350頁
  • 装丁:中本那由子

在日コリアンが礼拝し運営するキリスト教会は、韓国人ニューカマーの参与などで信者が多様化していくなか、どのようにそういった集団を包摂してきたのか。
1980年代以降「エスニック・チャーチ」として日本各地の教会の理念や活動が再編されてきた過程を、組織マネジメントの方法に着目し、インタビューや教会資料の分析などからその特徴を明らかにする

(ISBN 9784868160045)

目次|contents

序章 エスニック・チャーチの発生論から継承/変容論へ――本書の目的・視点・方法
第1章 在日コリアン社会の形成と変容
第2章 朝鮮(韓国)におけるキリスト教の歴史的展開と新旧コリアンへの影響
第3章 在日大韓基督教会(KCCJ)の再建と世代交代
第4章 エスニック・チャーチからマイノリティ教会へ――KCCJ大阪教会
第5章 在日ホーリネス教会の再建と変容――東京・大阪・広島を事例に
第6章 エスニック・チャーチから日本宣教を行う教会へ――広島第一教会
第7章 宣教団体の支援による再建と葛藤――単立教会に至る東京福音教会の再建過程
第8章 エスニック・チャーチの維持・継承――東京福音教会
補論 国際結婚夫婦の信仰生活――信仰の深化と教会への帰属意識
終章 エスニック・チャーチの展開パターンとその要因

あとがき

参考文献一覧
索引

著者|author

荻翔一(おぎ・しょういち)
日本学術振興会・特別研究員(PD)
宗教社会学・「移民と宗教」研究

主な著作
・「高齢化問題に取り組む韓国系キリスト教会―大阪市・在日コリアン集住地域を事例に―」高橋典史・白波瀬達也・星野壮編著『現代日本の宗教と多文化共生―移民と地域社会の関係性を探る―』明石書店、2018年。
・「在日コリアン教会におけるコリアンの多様化と教会運営の模索―主日礼拝における日本語の導入・位置づけをめぐって―」松本誠一編『「共助」をめぐる伝統と創造―日韓コミュニティ比較の視座―』岩田書院、2021年。
・「『在日コリアンと宗教』研究の成果と課題」井上貴也、荻翔一、高橋圭、子島進『アジア諸国の持続可能性(1)』東洋大学アジア文化研究所、2023年。

この本を注文する

Amazonで注文する 楽天ブックスで注文する 版元ドットコム e-honで注文する

神による〈記憶〉と死者のための祈り―日本ハリストス正教会の定着過程をめぐって

神による〈記憶〉と死者のための祈り

日本ハリストス正教会の定着過程をめぐって

  • 佐﨑愛(著)/2025年2月
  • 5500円(本体)/四六判上製512頁
  • 装丁:中本那由子

日本の正教徒は、なぜ死者のために祈るのだろうか?
実際のところ死後にどうなったかが分からないという点に加えて、天国にいる場合でも死者がより神の近くに行けるよう祈るのだという、このようなある種の死に対する明るさが、正教会における死に関する受け止め方のもっとも大きな特徴である。(本文より)
(ISBN9784861109904)

目次|Contents

図・表・写真一覧
凡例
はじめに
序章 日本にキリスト教はいかに定着したか
I部 日本ハリストス正教会の概観
第1章 日本ハリストス正教会の歴史的概要
第2章 日本ハリストス正教会の儀礼
第3章 日本ハリストス正教会の死生観と神による〈記憶〉
II部 日本ハリストス正教会の儀礼実践
第4章 新しい〈供養〉儀礼「月例パニヒダ」
第5章 日本の正教徒宅の家庭祭壇
第6章 葬儀と墓地
終章 日本ハリストス正教会の定着過程
あとがき

附録
 (1)日本ハリストス正教会信徒数の推移
 (2)日本ハリストス正教史年表
 (3)日本正教会の神品・教衆ほかの名称一覧
 (4)アンケート調査①:質問紙とその結果(対象:日本全国の正教会)
参考・引用文献
索引

著者|Author

佐﨑愛(さざき・あい)
1992年、大阪生まれ。北海学園大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、東北大学文学部助教。専門は宗教学、主な関心は日本ハリストス正教会の死者儀礼、死者の弔いをめぐる儀礼やモノの現代的変容。
・主な著書
共著に、「近現代日本の正教会」(キリスト教文化事典編集委員会編『キリスト教文化事典』丸善出版、2022年)、主な論文に「日本ハリストス正教会の〈死者の記憶〉」(『論集』46号、2019年)、「家庭祭壇に置かれる「モノ」の物質性――日本の正教徒宅にある家庭祭壇の比較を通して」(『東北宗教学』15号、2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する 楽天ブックスで注文する 版元ドットコム e-honで注文する

カント「人倫の形而上学」の生成―理念論の道をたどる

カント「人倫の形而上学」の生成

理念論の道をたどる

  • 宮村悠介(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製244頁
  • 装丁:間村俊一

カント哲学の集大成『人倫の形而上学』はいかに成立したのか。

遺稿や講義録などの綿密な読解をとおして、30年におよぶカントの思想形成史そのものともいうべき、理念論の〈道〉としての「人倫の形而上学」を明らかにする。

(ISBN 9784861109768)

目次|Contents

序 カントの一大プロジェクト
第一部 理念論への道
第一章 カントの「人倫の形而上学」の構想
第二章 カントの理念論の歴史的背景
第三章 カントの理念論の生成
第二部 理念論の道
第四章 知恵と哲学
第五章 徳と倫理学
第六章 共和国と共同体
第七章 理想と人格
あとがき

著者|Author

宮村悠介(みやむら・ゆうすけ

1982年生まれ。埼玉県出身。2011年、東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。愛知教育大学教育学部准教授を経て、現在、大正大学文学部准教授。専門は倫理学と比較思想。訳書にI・カント『人倫の形而上学 第二部 徳論の形而上学的原理』(岩波文庫、2024年)があり、共著に『ACPの考え方と実践 エンドオブライフ・ケアの臨床倫理』(会田薫子編、東京大学出版会、2024年)、『和辻哲郎の人文学』(木村純二・吉田真樹編、ナカニシヤ出版、2021年)などがある。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

挨拶の哲学

挨拶の哲学

  • 鳥越覚生(著)/2024年5月
  • 3500円(本体)/四六判上製240頁
  • 装丁:矢萩多聞

挨拶に関し様々な角度から思索を重ね、挨拶という現象の意義を解明する。

「挨拶は大文字の理念ではない。挨拶は頭や理性からの指令ではなくて、我が身からあふれてくる幽かな宇宙ことばである。これはまた、人間に残された最後の小さな「やさしさ」と言ってもよい。と言うのも、真正の挨拶はわが身、それもその底辺である足裏から湧き上がってくるものだからである。」(本文より)

(ISBN 9784861109270)

目次|contents

はじめの挨拶
第一部 思想史篇 ショーペンハウアーからレヴィナスへ
佇む傍観者からの挨拶
第一章 無責任の散歩
第二章 暗がりの色彩論
第三章 色彩の挨拶
第四章 世界を映す一つの眼と巨人
第五章 立ち上がって、祈っていなさい
第二部 教示篇 挨拶の哲学 よく生きるために
はじめの挨拶
第一章 人間の無関心
第二章 共生共苦の宇宙ことば
第三章 挨拶と祈り
おわりの挨拶 人間のやさしさに賭ける
あとがき
初出一覧
索引

著者|author

鳥越覚生 (とりごえ・かくせい)
1984年石川県金沢市生まれ
博士(文学・京都大学)
主要著作
『佇む傍観者の哲学 ショーペンハウアー救済論における無関心の研究』晃洋書房、2022年

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

月印釈譜

月印釈譜

  • 河瀬幸夫(訳)/2024年5月
  • 6000円(本体)/A5判1162頁 ※本書は固定レイアウト型の電子書籍です。

15世紀に創製された当時のハングルで書かれた、釈迦の生涯と教えを伝える『釈譜詳節』・『月印千江之曲』・『月印釈譜』三書の日本語訳。『月印千江之曲』は中世韓国語の原文を掲載。
(ISBN 9784861109645)

目次|contents

月印釈譜 上
口絵
凡例
はじめに
月印釈譜第一
月印釈譜第二
釈譜詳節第三
月印釈譜第四
月印千江之曲第五
釈譜詳節第六
月印釈譜第七
月印釈譜第八
釈譜詳節第九
月印釈譜第九
月印釈譜第十
釈譜詳節第十一
月印釈譜 中
釈譜詳節第十三
釈譜詳節第十九
釈譜詳節第二十
釈譜詳節第二十一
月印釈譜
月印釈譜第十一
月印釈譜第十二
月印釈譜第十三
月印釈譜第十四
月印釈譜第十五
月印釈譜第十七
月印釈譜第十八
月印釈譜第十九
月印釈譜 下
月印釈譜第二十
月印釈譜第二十一
月印釈譜第二十二
月印釈譜第二十三
釈譜詳節第二十三
釈譜詳節第二十四
月印釈譜第二十五
付録

訳者|translator

河瀬幸夫(かわせゆきお) 
1945年、東京都大田区に生まれる。1973年、早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻修士課程を修了し、私立横須賀学院高校の国語教員となる。1979年、韓国を旅行したことが契機となり、韓国語の学習を始める。2003年、横須賀学院を退職して、ソウルの東国大学校大学院仏教学科(仏教史学専攻)に入学。在学中、高麗大蔵経について学ぶ中で、15世紀に創制された当時のハングルを使い韓国語に翻訳された多数の仏典があることを知る。2007年に大学院の課程を終えた後、横浜の自宅で韓国語仏典の日本語訳に専念する。訳書に『釈譜詳節』(上・中・下、2010~2013年、春風社)、『法華経諺解』(上・下、金星周との共訳、2017~2018年、春風社)がある。

この本を注文する

AMAZONで注文する  楽天ブックスで注文する

アーレントと赦しの可能性―反時代的試論

アーレントと赦しの可能性

反時代的試論

  • 森一郎(著)/2024年3月
  • 4300円(本体)/四六判上製462頁
  • 装丁:長尾優

愛によるのでない、尊敬による赦しの可能性
イエスに学びつつ、宗教的ならざる、この世的な赦しの条件を追求するアーレントの思考
人間愛の美名の下に無世界性がはびこる時代に、赦される者と赦す者をともにあらたに始めさせる奇蹟はどこから来るのか。奴隷制に代わるロボット工学はどこへ向かおうとしているのか。革命思想はテロリズムといつから結びついたのか。生まれ出ずる者たちがともに事を為すとき何が起こるか。アーレントの二大主著『活動的生』と『革命論』の訳者が、時代に抗しつつ、来たるべき時代のための思考をひらく。
(ISBN 9784861109447)

目次|Contents

序―赦し・労働・テロリズム・出生
第一部 赦し
第一章 アーレントのイエス論―赦しの可能性
第二章 リクールとアーレント―「赦し」を中心に
第二部 労働
第三章 奴隷制問題の消息―テクノロジーの系譜学
第四章 ロボットの倫理―労働と人間のゆくえ
第五章 情報・知識・思考―『活動的生』第二三節より
第三部 テロリズム
第六章 革命精神とその影―テロリズムの系譜学
第七章 ミルトンと救いの可能性―『闘士サムソン』と9・11
第四部 出生
第八章 出生の危険について―デモクリトスとクローンの問題
第九章 始まりの経験―『活動的生』第二四節への一注解
第十章 誕生、行為、創設―『革命論』と「始まり」の問題
あとがき―反時代的ということ
初出一覧
索引

著者|Author

森一郎(もり・いちろう)
一九六二年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京女子大学文理学部教授等を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。博士(文学)。専攻は哲学。著書に、『死と誕生』、『死を超えるもの』(以上、東京大学出版会)、『世代問題の再燃』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、『ハイデガーと哲学の可能性』(法政大学出版局)、『核時代のテクノロジー論』(現代書館)、『ポリスへの愛』(風行社)、『アーレントと革命の哲学』(みすず書房)ほか。訳書に、アーレント『活動的生』、『革命論』(以上、みすず書房)、ニーチェ『愉しい学問』、『ツァラトゥストラはこう言った』、ハイデガー『技術とは何だろうか』(以上、講談社学術文庫)ほか。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

ハンナ・アーレントの政治哲学の射程―開発という活動の再考に向けて

ハンナ・アーレントの政治哲学の射程

開発という活動の再考に向けて

  • 奥井剛(著)/2024年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製296頁
  • 装丁:長田年伸

地球の限界を超えて膨張しようとする開発という活動の意味を、その語源に含意される「開示」を足がかりとして、ハイデガーによる技術論や、アーレントによる行為の概念、カント政治哲学の解釈に照らして再検討する。開示をめぐる問題の最深部で火花を散らす哲学と政治の緊張関係を解く鍵を、始まりを本質とする者たちが思考することで解き放たれる、前例のない出来事を判断する能力に見出し、それが顕にする共通感覚に示された伝達可能性・公共性を求め、その実践的意義を探る。
(ISBN 9784861108693)

目次|Contents

序論 総合学術への寄与
第一章 開発の意味の再検討
第一節 開発と開示
第二節 開示と技術―ハイデガーに即して
第三節 アーレントの行為と開示――哲学と政治のあいだで
第四節 哲学と政治の緊張関係
おわりに
第二章 政治と哲学の関係における共通感覚の含意
第一節 観察者の立場
第二節 アーレントの判断論の研究動向
第三節 判断と共通感覚
おわりに
第三章 アーレントの政治哲学の実践的意義―開発の範例
第一節 根源的契約と約束―図式と範例
第二節 根源的契約の範例―UNESCOと世界人文学会議
第三節 開発の範例―バングラデシュの農村開発における評議会制度
おわりに
参考文献

著者|Author

奥井剛(おくい・ごう)
2007年ニューヨーク州立大学オールバニー校卒業(Double Major in Economics & Sociology)。民間企業勤務後、2014年に京都大学大学院総合生存学館入学(総合学術・哲学専攻)。2019年同大学院研究指導認定退学。同大学院非常勤研究員を経て、2020年4月より高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)特定研究員、iPS細胞研究所上廣倫理部門受入研究員。2021年3月に博士(総合学術)取得。主な論文は、Okui Go, Takeda Shutaro. “Revisiting the measure of development: A critique of sustainametrics.” Frontiers in Sustainability. 2022(3)、奥井剛「ハンナ・アーレントにおける政治と哲学の緊張関係と共通感覚の含意」『実践哲学研究』2018(41)21-52、など。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する

幕末期の〈陽明学〉と明末儒学―修己と天人関係を中心に

幕末期の〈陽明学〉と明末儒学

修己と天人関係を中心に

  • 古文英(著)/2024年3月
  • 4100円(本体)/四六判上製336頁
  • 装丁:長田年伸

幕末期の陽明学者らに注目し、「誠中心の儒学」に代表される陽明学の既存の認識を再検討し、幕末期の儒学思想史像の刷新を企図する。

草庵からみれば、真実の学問は静中の功によらないと実現できないという。草庵からみれば、読書の功は心気の紛擾を引き起こし、静坐のほうが「澄心」に到達できる。したがって、念庵・双江の帰寂の説が最も『中庸』の慎独の核心をついていることになる。すなわち、草庵は心気の紛擾を排除し、心が澄んでいる境地に到達したいために、念庵・双江の帰寂の説をよしとする。(本文より)

(ISBN 9784861109225)

目次|Contents

まえがき
序章
第一部 池田草庵の折衷的な学問と批判的経世論
第一章 池田草庵における道徳と見聞知識の分離と再結合―経世致用論の形成
第二章 意と「天人一理」からみる批判精神
第三章 池田草庵の批判的経世論と門人への影響
第二部 山田方谷における「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」
第四章 山田方谷の儒学思想の形成
第五章 山田方谷における実践論理の形成―「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」を通して
第六章 山田方谷の「文武両道」論
第七章 山田方谷における撫育政策と君主の仁政
第八章 三島中洲の日清戦争前の儒学思想と義利合一論
補論 東洋哲学の構築からみる「自己表象」の形成―井上哲次郎の「三部作」を中心に
終章
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

古文英(こぶんえい)
1990年、中国広東省生まれ。立命館大学大学院研究科人文学専修博士課程後期課程修了(博士・文学)。現在立命館大学文学研究科初任研究員・立命館大学授業担当講師。
主要論文:「陽明学者」池田草庵の儒学思想再考―幕末期における折衷的な学問に着目して」(『東アジアの思想と文化』11号、2020年)、「山田方谷における君主の仁徳論と撫育政策」(『立命館文學』673号、2021年)など。

この本を注文
Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する