朝鮮神話の源流―「バリ公主神話」と「ダンクン神話」を巡って

朝鮮神話の源流

「バリ公主神話」と「ダンクン神話」を巡って

  • 金香淑/2012年9月
  • 4500円(本体)/A5判上製320頁
  • 装丁:長田年伸

朝鮮民族の始祖神話「ダンクン神話」はいつ成立したのか? 文献に記された仏教用語は神話の「原型」を潤色したものに過ぎないのか? 実証的な分析により通説を覆し、神話の世界観と仏教の影響関係を明らかにした力作。
(ISBN 9784861103131)

目次より|indexs

序章 朝鮮神話研究の諸問題
第一章 「バリ公主神話」研究―口伝神話に見られる仏教的要素と神の神聖性
第一節 口伝神話の先行研究
第二節 「バリ公主神話」の各異本とその特徴
第三節 「バリ公主神話」の死生観と「十王世界」
第四節「バリ公主神話」の「本プリ」と仏教的世界観
第二章 「ダンクン神話」研究―文献神話における「帝釈」とその世界像
第一節 民族の歴史観と「ダンクン神話」
第二節 「ダンクン神話」の世界像と仏教
第三節 作品としての『三国遺事』と「新羅中心思想」
第三章 朝鮮神話の成立と仏教
第一節 テクストの成立と口伝・文献両神話の関係性
第二節 「朝鮮神話」とは何か─巫俗神話起源説の再検討

著者|author

金香淑(キム・ヒャンスク)
1965年韓国慶州生まれ。釜山大学、啓明大学大学院を経て、1991年に来日。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化コース)博士課程修了。博士(学術)。学習院大学東洋文化研究所客員研究員、日本大学文理学部講師などを経て、現在目白大学外国語学部准教授。著書に『朝鮮の口伝神話「バリ公主神話」集』(和泉書院、1998年)がある。

 

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新しい国家―海辺の別荘で教養と信仰と哲学を語り合う

新しい国家

海辺の別荘で教養と信仰と哲学を語り合う

  • W・H・マロック(著)/澤井勇(訳)/2012年9月
  • 2800円(本体)/四六判簡易フランス装・384頁
  • 装丁:矢萩多聞

プラトンの対話篇『国家』の形式を借り、ウォルター・ペイターやマシュー・アーノルドらをモデルにした人物たちが対話を繰り広げる。キリスト教信仰が後退し、合理主義・物質主義が拡大していく19世紀イギリスの精神状況を描きだす名著。
(ISBN 9784861103193)

目次│indexs

※「訳者まえがき」はPDFでご覧いただけます。

訳者まえがき
第一巻
第一章
第二章
第三章
第四章
第二巻
第一章
第二章
第三章
第三巻
第一章
第二章
第三章
第四章
第四巻
第一章
第二章
第五巻
第一章
第二章

著者│author

W・H・マロック
1849年生まれ。イギリスの経済学者、社会学者、小説家。オックスフォード大学ベイリオル・コレッジ卒。根っからの保守主義者(トーリー)であり、極端なイギリス高教会派の信者であった。1923年没。

訳者│translator

澤井勇(さわい・いさむ)
実践女子大学文学部名誉教授。1939年、福井県生まれ。法政大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。訳書に、コウルリッジ『文学評伝』(共訳)、H・ジャクソン『世紀末イギリスの芸術と思想』、W・ペイター『プラトンとプラトン哲学』がある。

 

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〈文化〉の思想―現代日本の位置から

〈文化〉の思想

現代日本の位置から

  • 西欣也/2012年9月
  • 2200円(本体)/四六判上製230頁
  • 装丁:矢萩多聞

アドルノや丸山を補助線としつつ、西田から柳田、九鬼、和辻、中井正一、江藤淳、吉本隆明を経てポストモダン思想家にいたるまで近代日本の思想を呪縛し続けた〈文化〉の概念を根源的にとらえ返す。
(ISBN 9784861103230)

目次より|indexs

第一部 日本近代精神史における文化概念の展開過程
第一章 自然主義文学論争
第二章 西田幾多郎
第三章 柳田國男
第四章 九鬼周造と和辻哲郎
第五章 中井正一
第六章 江藤淳と吉本隆明
第七章 文化記号論
第八章 ポストモダニズム
第二部 〈文化〉の力学とその三つの舞台
第一章 美意識
第二章 他者
第三章 愛

 

著者|author

西欣也(にし・きんや)
1968年宮崎県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学(美学美術史学専攻)。現在、甲南大学文学部人間科学科教員。2008-2009年サセックス大学社会・政治思想センター客員研究員。論文に ‘A Multicultural Approach to the Idea of Tragedy’ (Culture and Dialogue vol.1-1, 2011)、共編著に『美と病のトポロジー』(仮題、平凡社、近刊)がある。

 

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教養主義者・河合榮治郎

教養主義者・河合榮治郎

  • 青木育志/2012年8月
  • 3000円(本体)/A5判上製304頁
  • 装丁:矢萩多聞

教養とは雄々しく惨(いた)ましい人生の戦いである―
学問論・認識論から職業論・恋愛論まで、思想家にして稀有の教育家でもあった河合をさまざまな角度から照らし出し、人格主義を根幹に据える「教養」の意義をあらためて問いなおす。
(ISBN 9784861103209)

目次|indexs

はじめに―「教養」と「昭和教養主義」とは何か
第1章 哲学者
第1節 教養主義
第2節 学問論
第3節 認識論
第4節 道徳哲学
第5節 芸術・宗教論
第6節 比較文化論
第2章 大学教授―大学教育を通して
第1節 大学教育論
第2節 講義と試験
第3節 ゼミナール
第4節 古典研究会
第5節 面会日と学生相談
第6節 師弟論
第3章 社会教育家―出版活動を通して
第1節 『学生叢書』の出版
第2節 『教養文献解説』の出版
第3節 『学生に与う』の出版
第4章 知的生活論者
第1節 知的生活論
第2節 書斎論
第3節 読書・思索論
第4節 討論・執筆論
第5章 人生論者
第1節 日常生活論
第2節 修養論
第3節 職業論
第4節 親子・友情論
第5節 恋愛・結婚論
第6節 同胞愛・社会論

著者|author

青木育志(あおき・いくし)
1947年 大阪に生まれる
1971年 大阪市立大学法学部卒業
1971年 株式会社大丸に入社
1999年 亜細亜証券印刷株式会社(現株式会社プロネクサス)に入社
2009年 同社を退社
著書
『客観主義と主観主義―哲学の根本問題』(自費出版1989年)
『河合栄治郎文献目録』(河合栄治郎研究会1994年)
『自由主義とは何か―その政治的、経済的、哲学的原理』(新風舎2004年)
『弁論術の復興―欧米的議論術の修得と教育の必要性について』(青木嵩山堂2008年)
「新自由主義」をぶっ壊す』(春風社2010年)
河合榮治郎の社会思想体系―マルクス主義とファシズムを超えて』(春風社2011年)
主要論文
「新渡戸稲造と河合栄治郎」『新渡戸稲造研究』第5号(1996年9月発行)
「青木嵩山堂の出版活動」吉川登編『近代大阪の出版』(創元社2010年)
所属学会
イギリス理想主義研究会
河合栄治郎研究会
日本出版学会

著者サイト 「青木育志の書斎」

著者からのコメント│author’s comments

今、読書界、出版界では、「教養主義の没落」ということが言われている。これは社会学者の竹内洋氏の同名の書(中公新書、2003年)がブレークすることによって、言われ出した。これによると、1970年を境に、学生は本を読まなくなり、本は売れず、さらにはIT技術の発達により、携帯電話やインターネットの発達により、知的生活のやり方も大きく変わってしまった。ここに知性や教養や学力が低下しているのではないか、さらには学問を尊ぶという生き方と思想がなくなってしまったのではないか、という危惧や懸念が渦巻いているのである。

こういうときこそ、かつての日本の教養主義に思いをいたすときである。教養主義とはお茶やお花や名画や名曲に親しむことではない。古典と呼ばれる書物を読み、学問するという姿勢を尊重し、そういうことで人間の質を高めていくことである。明治以降、教養主義が高揚したときが二度ばかりある。一つは大正教養主義であり、阿部次郎の『三太郎の日記』や倉田百三の『愛と認識との出発』が学生の聖典であった。もう一つは昭和戦前の昭和教養主義である。河合榮治郎編集の『学生叢書』と同著の『学生に与う』が中心であった。

本書は昭和教養主義の代表者・河合榮治郎(東京帝大経済学部教授、1891-1944)の教養主義における活動を体系的に解き明かしている。河合の活動は他に社会思想面の活動があり、それについては著者は別の書『河合榮治郎の社会思想体系』を著している。本書においては、河合の哲学者としての面(第1章)、大学教授としての面(第2章)、社会教育家としての面(第3章)、知的生活論者としての面(第4章)、人生論者としての面(第5章)を取り扱っている。

大学においては、河合はゼミナールにおいて学問の基礎を学生に厳しく教え鍛え、面会日において学生の人生相談にやさしく付き合い、古典研究会を組織し、古典研究の重要さを訴えた。大学外においては、河合は全12巻の『学生叢書』を編集出版し、『教養文献解説』を発行し、さらに『学生に与う』を出版した。大学の内外における活躍によって、学生はいかなる心構えで、学問と人生に立ち向かうべきか、そのためにどういう本を読まねばならないか、を学生に対して説いたのである。

河合が大学の内外で説いた内容は大きく分けて二つある。一つは知的生活論である。それはどういう心構えで学問に対するかというものであり、具体的には書斎論、読書論、思索論、討論論、執筆論などである。もう一つは人生論である。それはどういう心構えでこれからの人生をわたっていくべきかというものであり、具体的には日常生活論、修養論、職業論、友情論、恋愛論、社会論などである。

河合は学生を相手に教養主義を説いたのであるが、河合の書とその思想は学生のみならず、学問、芸術、道徳を考えることによって、人生を真剣に生きたいと思う社会人にとっても、福音となるはずである。教養主義が没落している今日こそ、我々が何を頼りに生きようかと迷う今日こそ、昭和教養主義の叡智に学ぶべきであり、本書はそれに応えてくれるであろう。

 

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仮説法の倫理学―ポー・パース・ハイデッガー

仮説法の倫理学

ポー・パース・ハイデッガー

  • 村上隆夫/2012年3月
  • 5800円(本体)/A5判上製600頁
  • 装丁:矢萩多聞

現代の倫理学を特徴づけるものは何か。パースのプラグマティズムを軸に、カントやニーチェ、ハイデッガー、ポーを参照しつつ描き出される壮大な倫理学史。
(ISBN 9784861103094)

目次|indexs

第一部 認識論
第一章 感性論と美学
第二章 悟性論と形而上学
第三章 科学的方法と論理学
第二部 倫理学史
第四章 徳と伝統の倫理学
第五章 趣味判断と道徳法則の倫理学
第三部 悲劇の誕生と悲劇の死
第六章 古代的悲劇
第七章 近代的悲劇
第八章 現代悲劇
第四部 現代倫理学
第九章 功利主義
第十章 仮説法の論理
第十一章 仮説法の倫理学

著者|author

村上隆夫(むらかみ・ たかお)
1947年生まれ。1971年東京教育大学文学部哲学科倫理学専攻卒業。群馬大学教育学部社会科教育講座教授。著書に『同一性の形而上学―映画・SF・探偵小説』(春風社,2006)など、多数。

 

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リハビリテーションの哲学あるいは哲学のリハビリテーション

リハビリテーションの哲学あるいは哲学のリハビリテーション

  • 稲垣諭/2012年2月
  • 2381円(本体)/四六判上製350頁
  • 装丁:矢萩多聞

病を生きる患者の体験に接近するために哲学的思考を導入する。そのとき、人間の経験の未知の領野がたちあらわれる。臨床と現象学を結ぶ新しいスタイルの哲学書!
(ISBN 9784861103032)

重版出来!

目次|indexs

序 なぜリハビリテーションと哲学なのか?
Ⅰ リハビリテーションの哲学
・リハビリテーションに必要な哲学
・リハビリテーションはどのような科学か?
・『治療―探究プログラム』設定に向けて
・『治療―探究プログラム』の運用―認知神経リハビリテーションの指標
・経験の哲学―セラピストのための現象学
Ⅱ 哲学のリハビリテーション
・哲学的探究プログラムの立ち上げ
・探究プログラムの実行―人間身体の行為メカニズム
・気づけなさの病理
終わりに

著者|author

稲垣諭(いながき・さとし)
東洋大学文学部助教。
専門は、現象学、環境哲学、リハビリテーションの科学哲学。
著書に『衝動の現象学―フッサール現象学における感情および衝動の位置づけ』(知泉書館、2007)、『エコ・フィロソフィ入門―サステイナブルな知と行為の創出』(共著、ノンブル社、2010)、荒川修作、マドリン・ギンズ『死ぬのは法律違反です』(共訳、春秋社、2007)、B・ヴァルデンフェルス『経験の裂け目』(共訳、知泉書館、2009)など。

 

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聖書における愛―イエスの愛とパウロの愛

聖書における愛

イエスの愛とパウロの愛

  • 高見伊三男/2011年10月
  • 2200円(本体)/四六判並製・244頁
  • 装丁:矢萩多聞

まことの、確かな、模範的な、永遠なる愛は存在するか? イエスとパウロの言動を参照し、さまざまな愛の土台・根本となる「アガペー」としての愛を丁寧に語る。
(ISBN 9784861102875)

目次|indexs

序章
第一章「イエスの愛」の特徴
第二章「パウロの愛」の特徴
第三章「イエスの愛」と「パウロの愛」の本質
第四章「聖書における愛」の本質
終章

著者|author

高見伊三男(たかみ・いさお)
1952年 福井県に生まれる。
1975年 金沢大学法文学部(現・文学部)哲学科卒業。
1980年 同志社大学大学院神学研究科博士前期課程修了。
2003年   英知大学(現・聖トマス大学)大学院人文科学研究科博士後期課程修了。
2006年 宗教文化博士号取得。
主要論文
「仏教とキリスト教の対話 ―二大世界宗教の比較と展望―」
「滝沢克己におけるカール・バルトのキリスト論解釈をめぐって」他。
現在、日本基督教団大野教会牧師。
著書
源信とパウロ―『往生要集』と『書簡』における神秘主義の比較』(春風社2007)

 

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釈譜詳節(下)

釈譜詳節(下)

  • 朝鮮世祖(纂述)/河瀬幸夫(訳)/2011年6月
  • 6500円(本体)/A5判・上製・414頁

韓国文学史上最高傑作とされる『釈譜詳節』は、一五世紀に発明されたばかりのハングルで記された韓国独自の釈迦伝である。全巻が残されておらず、同時期に著された『月印千江之曲』『月印釈譜』をも訳し、その全体像に迫る。
下巻では「忍辱太子」「須大拏太子」「善友太子」など、一五世紀にハングルに翻訳され韓国の人々を感動させた漢訳仏典中の物語を収録。
(ISBN 9784861102714)

上巻解題より

『釈譜詳節』『月印千江之曲』『月印釈譜』の三書に記録された仏教世界は単に一五世紀の朝鮮半島における仏教理解ということに限定されるものではな く、三国時代から高麗時代を経て朝鮮時代に伝えられた仏教の朝鮮半島における理解の全体像を総合的に示すものであり、その大部分は、一五世紀の東アジア全 域に共通する仏教理解であった可能性が高い。それを一二世紀の『今昔物語集』などと読み合わせることで、東アジアにおける仏教理解の共通性と多様性を知る ことができるようになるのではないかと考えられる。以上の事柄を確認する意味においても、この三書は一連のものとして通読できるような形にすることが必要 であろうと考えたのである。

目次│indexs

月印釈譜 第二十/月印千江之曲 第二十 釈譜詳節 第二十/月印釈譜 第二十一/月印千江之曲 第二十一 釈譜詳節 第二十一/月印釈譜 第二十二/月印千江之曲 第二十二 釈譜詳節 第二十二/月印釈譜 第二十三/月印千江之曲 第二十三 釈譜詳節 第二十三/釈譜詳節 第二十三/釈譜詳節 第廿三/釈譜詳節 第二十四・月印釈譜 第二十五/釈譜詳節 第廿四/月印千江之曲 第二十五 釈譜詳節 第二十五
付録
江田俊雄と東国大学 ―校友会誌『一光』の記載を中心に―/『釈譜詳節』各巻の内容(修正版)/『月印釈譜』各巻の内容(修正版)『釈譜詳節』関連年表

訳者│translator

河瀬幸夫(かわせ・ゆきお)
1945年、東京都大田区に生まれる。早稲田大学第二文学部と文学研究科で日本文学(上代文学)を専攻。1973年、横須賀学院高等学 校の国語教員となる。2003年に早期退職し、韓国ソウルの東国大学大学院仏教学科仏教史学科に入学し、2007年に博士課程修了。東国大学では日本にお ける高麗大蔵経の受容の歴史について学び、修士論文では江戸時代の僧忍澂の大蔵経対校に関してまとめる。2007年以降『釈譜詳節』の翻訳に専念。2010年に春風社より『釈譜詳節』(上)を刊行。

 

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河合榮治郎の社会思想体系―マルクス主義とファシズムを超えて

河合榮治郎の社会思想体系

マルクス主義とファシズムを超えて

  • 青木育志/2011年6月
  • 3800円(本体)/A5判・上製・370頁
  • 装丁:矢萩多聞

「思想というのは季節が変わって取り替えるような衣服とは違う」
戦前・戦中に左右両翼からの批判と攻撃を受けながらも,人格主義と理想主義にもとづく「第三期自由主義」を唱えつづけた思想家の再評価をうながす。
(ISBN 9784861102721)

目次│indexs

第1章 人格主義哲学の提唱
第1節 河合榮治郎と哲学
第2節 人格主義の提唱
第3節 哲学体系論の提唱
第2章 自由主義の研究
第1節 社会思想史の研究(Ⅰ)
第2節 社会思想史の研究(Ⅱ)
第3節 自由主義段階論
第4節 自由主義の理論
第5節 大学の自由・転落論争
第3章 「第三期自由主義」の提唱
第1節 社会政策学の研究
第2節 イギリス社会主義の研究
第3節 民主的社会主義の提唱
第4節 「第三期自由主義」の提唱
第5節 多元的国家論の研究と提唱
第4章 マルクス主義の批判
第1節 マルクス主義の研究
第2節 マルクス主義理論の批判―マルクス主義の内在的批判―
第3節 マルクス主義行動の批判―マルクス主義の外在的批判―
第4節 学生の左翼思想問題
第5節 日本自由主義論争
第5章 ファシズムの批判
第1節 ファシズムの分析
第2節 ファシズムの批判
第3節 五・一五事件の批判
第4節 二・二六事件の批判(Ⅰ)
第5節 二・二六事件の批判(Ⅱ)
第6節 大学の自治の擁護
第6章 国際時局の評論
第1節 河合榮治郎と戦争論
第2節 満洲事変の評論
第3節 日中戦争の評論
第4節 太平洋戦争の評論
第7章 河合思想の意義
第1節 河合思想の形式的意義(Ⅰ)
第2節 河合思想の形式的意義(Ⅱ)
第3節 河合思想の内容的意義

著者│author

青木育志(あおき・いくし)
青木育志(あおき・いくし)
1947年 大阪に生まれる
1971年 大阪市立大学法学部卒業
1971年 株式会社大丸に入社
1999年 亜細亜証券印刷株式会社(現株式会社プロネクサス)に入社
2009年 同社を退社
著書
『客観主義と主観主義―哲学の根本問題』(自費出版1989年)
『河合栄治郎文献目録』(河合栄治郎研究会1994年)
『自由主義とは何か―その政治的、経済的、哲学的原理』(新風舎2004年)
『弁論術の復興―欧米的議論術の修得と教育の必要性について』(青木嵩山堂2008年)
「新自由主義」をぶっ壊す』(春風社2010年)
主要論文
「新渡戸稲造と河合栄治郎」『新渡戸稲造研究』第5号(1996年9月発行)
「青木嵩山堂の出版活動」吉川登編『近代大阪の出版』(創元社2010年)
所属学会
イギリス理想主義研究会、河合栄治郎研究会、日本出版学会

著者サイト 「青木育志の書斎」

著者からのコメント│author’s comments

戦前の社会思想史学者、社会思想家、教養主義教育家の河合榮治郎(東京帝大経済学部教授、1891-1944)が今脚光を浴びつつある。大正デモクラシーの後、学界、思想界に入った河合はイギリス流の「第三期自由主義」を唱え、マルクス主義とファシズムに反対した。マルクス主義全盛期にマルクス主義を批判し、ファシズム全盛期にファシズムを批判した。それがために両勢力から批判された。

河合生前には河合思想は世に受け入れられなかったが、その後はどうなったであろうか。第二次世界大戦後はファシズムは姿を消し、二十世紀最後にはソ連・東欧の崩壊によって、マルクス主義も勢いを削がれることになった。そして二十一世紀初頭には自由主義の一分派でありリバータリアニズムも崩壊した。そして残るのは自由主義の主流たるヨーロッパの福祉国家、アメリカのリベラリズムであった。これは河合が唱えた「第三期自由主義」の現代版であった。永遠の歴史の観点からは、河合の先見性が際立つのである。

本書で河合の社会思想を読み解く角度としては七つを用意している。それは本書の構成にもなっていて、第1章「人格主義哲学の提唱」、第2章「自由主義の研究」、第3章「“第三期自由主義”の提唱」、第4章「マルクス主義の批判」、第5章「ファシズムの批判」、第6章「国際時局の評論」、第7章「河合思想の意義」がそれである。

その河合思想の特徴で本書が強調したことは次のとおりである。第一に、従来は河合の哲学的側面は重視されてこなかったが、本書ではその哲学的側面を重視する。河合思想の特徴は「哲学に裏づけられた思想」「体系的であること」である。河合は専門の哲学者ではないが、「独自の哲学体系」を持っており、それをもとに各領域の問題解決を唱えたのである。本書ではその思想体系を図解し、それを体系的に把握できるようにしている。日本に哲学者は多いが、哲学を自己のものとして思索した者は少ない。河合はその数少ない思想家である。

第二に、従来は「戦闘的自由主義」のみが強調されていたが、本書では「借り着でない思想」「主義に命を賭する」「信念の思想家」「知的勇気の持ち主」を強調する。それであるからこそ、二・二六事件を批判した唯一の知識人となりえたのである。その姿勢はラムゼー・マクドナルド、バートランド・ラッセルや大塩平八郎、吉田松陰などと相通じるところがある。

第三は、従来は自由主義の「三段階論」を唱えたことが強調されていたが、本書ではそれに関しては河合は二説を唱えていて、河合の真意からすれば「四段階説」が正しかったのではないか、と提示する。河合の自由主義段階論の解釈は修正を要する、とする。

第四は、従来は平常時の「自由主義」と戦争時の「戦争追従主義」の矛盾が指摘されていたが、本書においては「多元的国家論」の自然な解釈として、戦争時における国家への協力(「愛国主義」)が出てくる、とする。太平洋戦争時の河合の評論は愛国主義的なものとして再評価が必要である。

閉塞感が漂う今日の日本では、未来を切り開く新機軸の思想が今こそ必要である。河合榮治郎の思想はそれに応えてくれるであろう。

 

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犠牲と身代わり―記憶できないものをめぐって

犠牲と身代わり

記憶できないものをめぐって

  • 長田陽一/2011年6月
  • 2200円(本体)/四六判・上製・240頁
  • 装丁:矢萩多聞

思い出すことは記憶を喪失することである。死の代理不可能性をめぐるハイデガーとレヴィナスの議論,フロイトの原父殺害説,デリダによる反復と応答の可能性,アウシュヴィッツとパウル・ツェランの詩作などを補助線として,記憶を成り立たせている外部性(=記憶の他者)へと迫る。
(ISBN 9784861102752)

目次│indexs

はじめに
第1章 おののきにおける応答
1 死の代理不可能性
2 犠牲の法外さ
3 「私はここにいます」
4 おののきについて
5 世界の遠ざかり
第2章 物語の結び目
1 アイデンティティの複数化
2 出来事なき出来事
3 伝承と反復
4 コミュニカシオン
5 物語の秘密
第3章 証言の代替可能性
1 アウシュヴィッツの〈以後〉
2 証言の不可能性について
3 秘密の言葉
4 言語の純血(=純潔)という悪
5 薔薇の九月
第4章 《静けさ》の騒乱―パウル・ツェラン『山中の対話』に寄せて
1 口にできない名前
2 静けさの響き
3 レンツのように・・・
4 吃音としての語り
5 名前の割礼
第5章 燔祭/ホロコーストと原爆―応答可能性に関する試論
1 ホロコーストと表象の問い
2 世界の沈黙
3 燔祭としての原爆
4 ホロコーストのホロコースト
おわりに

著者|author

長田陽一(ながた・よういち)
1971年、長崎に生まれる。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(教育学)。
専攻は臨床心理学および精神分析。現在は京都光華女子大学人文学部心理学科准教授。
主要研究業績
「テクストと未知なるもの」『心理臨床学研究』第22巻,第6号,2005年
「他者の記憶―喪と幽霊をめぐる試論」(共著)京都光華女子大学人間関係学部人間関係学科編『ひと・社会・未来―ライフサイクルの人間科学』ナカニシヤ出版,2006年
「テクストと臨床経験」(共著)『新・臨床心理学入門』(『こころの科学』増刊)日本評論社,2006年
「(脱)遠隔化する身体―心理療法の応答可能性について」(共著)『身体の病と心理臨床―遺伝子の次元から考える』創元社,2009年

 

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