わたしの学術書―博士論文書籍化をめぐって

わたしの学術書

博士論文書籍化をめぐって

  • 春風社編集部(編)/2022年4月
  • 2000円(本体)/A5判並製502頁
  • 装丁:中本那由子
  • 装画:市川詩織

「研究」と「出版」。どちらも(大変だけど)おもしろい!

「研究」を職業にするってどういうこと?
職業にしなくても研究ってできるの?
学術書を出版するってどういうこと?
研究者を志したけど悩んでます……。

生きていくなかで「深く学ぶこと」を軸に据え、学術出版社・春風社で博士論文を出版した研究者総勢58名による、博論書籍化体験記エッセイ。
研究テーマと出会ったときの胸のときめき、調査での悲喜こもごも、博士論文執筆時の苦労、博論を書籍化する際の醍醐味、刊行後の世界の広がり方――。
「研究」とのいろいろな付き合い方、「出版」までのいろいろな道程が見えてくる!

(ISBN 9784861107610)

目次|contents

はじめに

1. 時を経ても 田中典子(清泉女子大学教授)/言語学
2. 批判的思考への入口 石川文也(立教大学教授)/言語学
3. 研究者人生の「背骨」 水野剛也(明治大学教授)/歴史学
4. より多くの読者に届けるため 渡部森哉(南山大学教授)/中南米考古学
5. 遠い遠いプーシキンへの道 小林実(十文字学園女子大学教授)/日本近代文化史
6. ゾラと荷風とオペラとわたし 林 信蔵(福岡大学准教授)/日仏比較文学
7. 出版から広がる人の輪 岡本亮輔(北海道大学准教授)/宗教学
8. 自論を見直し磨く訓練 金香淑(日本大学文理学部講師)/神話研究
9. 様々な機会への扉 石黒武人(立教大学准教授)/異文化コミュニケーション学
10. 偶然の翼に乗って 花本知子(京都外国語大学准教授)/イタリア現代文学
11. 失われるもの、ひらかれるもの 平畑奈美(東洋大学教授)/日本語教育
12. 教わる、教えるの連鎖のなかで 山口未花子(北海道大学准教授)/文化人類学
13. 新たな研究に踏み出すため 吉田早悠里(名古屋大学准教授)/文化人類学
14. 学問を実践につなげる手段として 岩崎大(東洋大学、東京理科大学、富士リハビリテーション大学校非常勤講師)/哲学
15. わたしはなぜ「出かける」のか 土井清美(中央学院大学准教授)/文化人類学
16. ありのままの姿を描く 金縄初美(西南学院大学教授)/文化人類学
17. たびたびの奇縁 四方田雅史(静岡文化芸術大学教授)/近代日本・アジア経済史
18. 研究の節目として 内村琢也(創価大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程修了)/日本宗教学
19. 新しい学問領域を開拓する魅力 牧野冬生(早稲田大学芸術学校准教授)/文化人類学
20. 書くことで現在地を知る 奥田若菜(神田外語大学准教授)/文化人類学
21. 学術書が築いてくれる縁 石垣千秋(山梨県立大学准教授)/比較政治
22. 時間をかけて向き合う 田中英資(福岡女学院大学教授)/社会人類学
23. 「ご縁」に導かれて 那須理香(国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科比較文化専攻博士後期課程修了)/比較文化
24. 「見る」を考える本は手触りを大事にした 宗 洋(高知大学准教授)/英文学・映像メディア)
25. 軛であり翼であり 村上晶(駒澤大学講師)/宗教社会学
26. 弟との対峙 杉田浩崇(広島大学准教授)/教育学
27. 敗者を記録する 住江淳司(名桜大学大学院〈博士後期課程〉特任教授)/歴史学
28. それは一つの質問から 栗田奈美(恵泉女学園大学准教授)/認知言語学
29. 「遅い」は理由にならない 福井崇史(國學院大學教授)/一九世紀末アメリカ文学
30. 「プラットフォーム」から次へ 早川公(大阪国際大学准教授)/文化人類学
31. それは倫理だった 橋本憲幸(山梨県立大学准教授)/国際教育開発論・教育哲学
32. 「日本」を相対化する 芳賀理彦(敬愛大学准教授)/比較文学
33. つながりを書く、つながらないことを書く 椿原敦子(龍谷大学准教授)/文化人類学
34. 教育の公共性と正義を求めて 生澤繁樹(名古屋大学准教授)/教育哲学
35. 「憧れと錯覚」が生み出すもの 関根裕子(早稲田大学等非常勤講師、合唱指揮者)/ウィーン世紀転換期文学
36. それは番付の整理から始まった 寺田詩麻(龍谷大学准教授)/演劇学
37. 国際的な発信を目指して 阪本公美子(宇都宮大学教授)/開発学
38. フィールドでの約束 茶谷智之(兵庫教育大学講師)/文化人類学
39. 付箋への応答 坂本薫(國學院大學兼任講師、國學院大學大学院PD研究員)/日本語学
40. わずかな、始まりの一歩 石田智恵(早稲田大学准教授)/文化人類学
41. 学問領域の境界を超える 外山健二(山口大学教授)/アメリカ文学・英語文学
42. 書くことによる人間形成 山田直之(関西大学准教授)/教育哲学
43. 女性の尊厳を考える 甲斐田きよみ(文京学院大学准教授)/ジェンダーと開発
44. 教える立場の語りを伝える 瀬尾悠希子(東京大学講師)/日本語教育学
45. 子どもと一緒に本を生む 問芝志保(東北大学准教授)/宗教学
46. そこから何かが始まる 佐藤憲一(東京理科大学教授)/アメリカ文学
47. 結び、そして繋ぐ 埋忠美沙(お茶の水女子大学准教授)/演劇学
48. ともに成長する 横田祥子(滋賀県立大学准教授)/社会人類学
49. 行雲流水の研究歴 吉田亞矢(京都大学国際高等教育院特定講師)/アメリカ文学
50. 書籍化への原動力の源は 石原美奈子(南山大学教授)/文化人類学
51. 民衆の視点から捉える民族対立 眞城百華(上智大学准教授)/エチオピア史
52. 女子教育の行く末を探る 山内由賀(立命館大学、神戸女子大学非常勤講師)/フランス女子教育史
53. 書籍というモノになること 中村美帆(青山学院大学准教授)/文化政策研究
54. タイトルという指標 長岡慶(日本学術振興会特別研究員)/医療人類学
55. 学際的な研究への架け橋 坂口真康(兵庫教育大学講師)/教育社会学・比較教育学
56. 分岐点に戻る 小川史(横浜創英大学教授)/社会教育史
57. そのスケールの大きさ 佐藤陽祐(中央大学兼任講師)/現代哲学
58. スリルを味わう 島克也(安田女子大学講師)/現代アメリカ文学

掲載書籍・書誌データ

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演劇の公共圏

演劇の公共圏

  • クリストファー・バルミ(著)、藤岡阿由未(訳)/2022年4月
  • 3273円(本体)/四六判並製362頁
  • 装丁:中本那由子

古代ギリシャから現代のSNSにおける議論まで……多様なケーススタディをもとに「公共圏」の視点から演劇の歴史を辿り、民主主義の議論の場における「制度」として演劇がどのような役割を果たしてきたのか論じる。

検閲と演劇の関係とは? 「炎上」のもたらす意味とは? 「表現の自由」とは?  

(ISBN 9784861108068)

目次|contents

序文二〇二二
はじめに
序論
 公共圏とは何か、どこにあるのか
 観衆、観客、公共圏
 パフォーマンスと公共圏
第一章 演劇の公共圏を位置づける
 パブリックからプライベートへ
 アゴーン的な公共圏へ
 真実を演じる―パレーシア
 抗議と仲裁
 制度の基盤
第二章 互恵的な発信―プレイビルからブログまで
 プレイビルとその観客
 公共へ入る
 互恵的な回路
 批評のメディア
第三章 開放と閉鎖―ピューリタンと晒し台
 パンフレット、説教、小冊子―公の言説と密かな言説
 演者と議論
 攻撃と攻撃への反発
 最後の一撃
 ウィリアム・プリンの公開殉教
 禁制の条例
第四章 舞台の預言者―演劇・宗教・越境する公共圏
 マホメットの帰還
 ショー・マスト・ゴー・オン―ベルリンのポスト・オリエンタリズム
第五章 スキャンダルの公表と寛容の境界
 ワイマールのスキャンダル―性、人種、そして法律
 法律の視点
 情動の公共圏と神への冒涜という政治
 炎上とブラック・フェイス
第六章 演劇美学の分散とグローバルな公共圏
 遊戯的な過剰同一化―クリストフ・シュリンゲンジーフの『お願い、オーストリアを愛して!』
 『コール・カッタ』―親密圏
 他のアーティストもいる
 踊る多文化主義―DV8フィジカルシアター『これについて語りあえるのか?』

訳者あとがき
図版一覧
参考文献
索引

著者|author

クリストファー・バルミ(Christopher B. Balme)
ミュンヘン大学教授、同大学演劇学科長。主な著書に『演劇のグローバリゼーション1870-1930』(2020)、『ケンブリッジ演劇学入門』(2008)、『パシフィックの演劇』(2007)、『脱植民地化する演劇』(1999)などがある。

訳者|author

藤岡阿由未(ふじおか・あゆみ)
椙山女学園大学教授、演劇学。編著『ロンドンの劇場文化』(2015)、編著『演劇の課題2』(2015)、編著『演劇の課題』(2011)などがある。

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21世紀型スキルとしての情報社会学―VUCAワールドを生きる人たちのために

21世紀型スキルとしての情報社会学

VUCAワールドを生きる人たちのために

  • 天野徹(著)/2022年3月
  • 2800円(本体)/A5判並製392頁
  • 装丁:長田年伸

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちたSociety 5.0の時代をいかにサバイブするか?
これから社会に出る学生、そして現役で活躍する社会人に対し、今まさに必要とされる文理融合型のセンスとスキルを提示する。

(ISBN 9784861107818)

目次|contents

第1章 高度情報化とグローバリゼーションの変化
第2章 知識社会と情報社会
第3章 イノベーションと知財活用
第4章 プラットフォーム・レボリューション
第5章 ビジネスモデルイノベーション
第6章 IoTとクラウドコンピューティング
第7章 AIとビッグデータが市場と企業、労働の未来を変える
第8章 現象の本質を突く調査・洞察の方法とは
第9章 文理融合とリベラルアーツ―「AI+ビッグデータ時代」に必要な人間のスキル
第10章 情報システムの構想・構築と社会デザイン
第11章 オープンデータ・ビッグデータとAPI経済
第12章 VUCAワールドとアジャイル型開発
第13章 リベラルアーツとSociety 5.0で実現する人間中心の社会
第14章 危機の時代の情報社会学

著者|author

天野徹(あまの・とおる)
明星大学人文学部人間社会学科教授。
専門・専攻は情報社会学、社会調査法、社会統計学、統計学史、都市社会学。
著書に『大都市高齢者と盛り場―とげぬき地蔵をつくる人びと』(共著、東京都立大学出版会、2001年)、『統計学の想像力―覚束ない未来のために』(ハーベスト社、2002年)、『社会統計学へのアプローチ―思想と方法』(ミネルヴァ書房 、2006年)、『部分を調べて全体を知る―社会統計入門』(学文社、2008年)、『東日本大震災の復旧・復興への提言』(共著、技報堂出版 、2012年)がある。

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日本の東アジア投資100年史【横浜市立大学新叢書14】

日本の東アジア投資100年史

  • 金子文夫(著)/2022年3月
  • 3000円(本体)/A5判並製296頁
  • 装丁:矢萩多聞

1910年代から2010年代に至る日本の東アジアへの投資活動を考察し、100年間の日本-東アジア経済関係の変遷を描き出す。【横浜市立大学新叢書14】
◆横浜市立大学新叢書「発刊の辞
(ISBN 9784861108044)

目次|contents

序章 課題と視角

第1節 課題
第2節 先行研究
第3節 視角
第4節 構成

第Ⅰ部 戦前期
第1章 第一次大戦期の対外拡張―1910~1924年
第1節 大陸政策の展開
第2節 対外投資の増大
第3節 帝国圏貿易の構造

第2章 満州事変と円ブロックの形成―1925~1936年
第1節 満州事変から華北進出へ
第2節 帝国圏投資の拡大
第3節 円ブロック貿易の進展

第3章 「大東亜共栄圏」の形成と展開―1937~1945年
第1節 戦時開発政策の展開過程
第2節 「大東亜共栄圏」投資の膨脹
第3節 「大東亜共栄圏」の貿易構造

第Ⅱ部 戦後期
第4章 高度成長期の東アジア進出―1950~1973年
第1節 アジア再進出政策の形成と展開
第2節 対外投資の増大
第3節 アジア貿易の発展

第5章 経済大国期の東アジア経済圏形成―1974~1990年
第1節 対外経済政策の展開
第2節 対外投資大国への道
第3節 貿易大国化とアジア

第6章 低成長期の東アジア経済圏再編―1991~2019年
第1節 東アジア経済政策の展開
第2節 対外投資の新展開
第3節 東アジア貿易圏の再編

終章 総括と展望
第1節 対外投資の俯瞰的・数量的把握
第2節 国家資本システム
第3節 東アジアのなかの日本
第4節 展望

参考文献
あとがき
索引

著者|author

金子 文夫(かねこ・ふみお)
横浜市立大学名誉教授
専攻:国際経済史
主な著作に『近代日本における対満州投資の研究』(近藤出版社、1991年)、『トヨタ・イン・フィリピン』(共著、社会評論社、2008年)、『韓国経済発展の始動』(共編著、日本経済評論社、2018年)など。

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アウシュヴィッツへの道―ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように【横浜市立大学新叢書13】

アウシュヴィッツへの道

ホロコーストはなぜ、いつから、どこで、どのように

  • 永岑三千輝(著)/2022年3月
  • 2500円(本体)/四六判並製308頁
  • 装丁:矢萩多聞

第三帝国のユダヤ人迫害から大量殺戮に至る過程を、最近の総合的史料集に依拠して再検証を行う。ホロコースト研究における重要書。
【横浜市立大学新叢書13】
◆横浜市立大学新叢書「発刊の辞
(ISBN 9784861108051)

目次|contents

序章  第三帝国のユダヤ人迫害・大量殺戮をいかにとらえるべきか
第1章 「合法的革命」とユダヤ人差別の段階的進展 1933~1937年
第2章 「大ドイツ帝国」建設とユダヤ人迫害・強制移送 1938年
第3章 保護領創設とユダヤ人迫害・強制移送 1938~1939年
第4章 ポーランド侵攻・占領とユダヤ人迫害 1939年9月〜1941年6月
第5章 ソ連征服政策とユダヤ人大量射殺拡大過程―占領初期1941年6月〜9月を中心に
第6章 “ユダヤ人問題の最終解決”―世界大戦・総力戦とラインハルト作戦
結び―ポストコロニアルの忘却の大河に抗して

著者|author

永岑三千輝(みねなが・みちてる)
1946年生まれ。1968年3月横浜国立大学経済学部卒。1974年3月東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。1973年4月〜96年3月、立正大学経済学部助手、専任講師、助教授、教授、この間、75年8月〜77年9月ドイツ留学(立正大学在外研究、ボーフム大学・ドイツ学術交流会DAAD)、85年4月〜86年3月ミュンヘン大学社会経済史研究所(立正大学在外研究)。1995年10月東京大学博士(経済学):学位論文『ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆 1941-1942』(同文舘、1994)。1996年4月横浜市立大学商学部・大学院経済学研究科教授、2011年3月定年退職、横浜市立大学名誉教授。11年10月より大学院都市社会研究科客員教授。
主な著書:上記学位論文のほか、『独ソ戦とホロコースト』(日本経済評論社、2001)、『ホロコーストの力学―独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法』(青木書店、2003)。

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「私らしさ」の民族誌―現代エジプトの女性、格差、欲望

「私らしさ」の民族誌

現代エジプトの女性、格差、欲望

  • 鳥山純子(著)/2022年3月
  • 3200円(本体)/四六判上製432頁
  • 装丁・挿画:中本那由子

 

人のことなんてわからない!
ひょんなことからエジプトのアメリカンスクールで教師をすることになった、人類学者の筆者。我が強くて面倒くさく、そして魅力的な3人の仕事仲間にスポットライトを当て、グローバル都市カイロのなかで彼女たちがどのような「私」を目指しながら、どのように「私らしく」振る舞っているのか、理想と現実の狭間で思い悩む「こじらせ女子」たちの生き様を描く。
他者に共感しながら「私」を見つける、人の民族誌。

 

[主要登場人物(全員がアメリカンスクールA校に勤務)]
シャイマ……価値ある大人になることを目指す優等生教員(担当:アラビア語・宗教)
サラ……子育てと仕事の両立を図る、マイペースなマダム(担当:英語)
リハーム……古き良きエジプトの再興を目論む、A校の校長
私……人類学者、リハームに半ば騙されて、A校で働くことに(担当:英語・理科)

 

本書の「はじめに」を公開しています。

 

(ISBN 9784861107863)

目次|contents

はじめに
目次
凡例
地図

 

序章
1 本書の取り組み
2 調査
3 本書の構成

 

第1章 現代エジプトにおけるA校
1 格差社会としての二〇〇〇年代エジプト
2 調査当時のA校
3 A校の人々
4 エジプトにおける学校教育
5 A校における複数の近代

 

第Ⅰ部 シャイマの生き方―学歴至上主義言説に基づく、階層社会の読み替え
第2章 働くシャイマ、富裕層の教育者
1 先行研究におけるエジプトの女性学校教員
2 シャイマという教育者
3 「モダン」な教員としてのシャイマ
4 A校=価値ある人物となるための舞台

 

第3章 〈クバール〉を生きる
1 〈クバール〉な女性になるまで、シャイマの生い立ち
2 〈クバール〉の危機
3 〈クバール〉に見る学歴至上主義
4 〈クバール〉が可能にするメーク
5 〈クバール〉と女性の評判
6 〈クバール〉が開く可能性

 

第4章 〈クバール〉でも、クバールでないシャイマ
1 仲間同士の助け合い
2 主張の足りないシャイマ
3 上司に対する両義的態度
4 使い捨ての待遇
5 何も持たないシャイマ

 

第Ⅱ部 サラの生き方—消費至上社会における家庭と仕事の両立
第5章 子育て優先の就労
1 第二の人生の模索
2 教員を志した理由
3 学校教員としてのサラ やっぱり育児優先?
4 愛情重視か公私混同か
5 職業意識の欠如

 

第6章 〈へルワ〉を生きる
1 人生のハイライトからの転落
2 現在の生活
3 〈ヘルワ〉な私

 

第7章 異物としてのサラ
1 上層中産階級出身者としてのサラ
2 エジプト社会における社会階級
3 職場における社会的帰属
4 二十代女性学校教員の反応
5 日常に遍在する階級

 

第Ⅲ部 リハーム校長の生き方―時空を超えた植民地期エジプトの再興
第8章 天職に生きる
1 リハーム校長の特徴
2 保護者に対する〈シャクセイヤ〉の発揮
3 学校内での彼女の評判
4 〈シャクセイヤ〉を利用する孤独な指導者

 

第9章 〈ソサエティ〉の再興に生きる
1 教育に対する熱意
2 教育への指示
3 校長のルーティーン、傍若無人な振る舞い?
4 最高ランクの人材を生み出す教育の牽引者
5 リハームの生い立ち
6 〈ソサエティ〉の再興に生きる

 

 

終章 「私らしさ」の民族誌、その必要性と可能性
1 「私らしさ」という泥試合から見えるもの
2 多様な職業意識
3 ジェンダー規範をめぐる変化
4 イスラーム教の不可視性
5 ステレオタイプからの脱却を目指して
6 人の民族誌の可能性
7 「こじらせ女子」礼賛
8 「こじらせ女子」としての私

あとがき
参照文献
索引

著者|author

鳥山純子(とりやま・じゅんこ)
立命館大学国際関係学部・国際関係研究科 准教授
専門は文化人類学、ジェンダー論、中東研究
主な著作に 『嗜好品から見える社会』(共著、2022年、春風社)、『フィールド経験からの語り(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ4)』(長沢栄治監修、鳥山純子編著、明石書店、2021年)、「ジェンダーから考えるイスラーム」(小杉泰・黒田賢治・二ツ山達朗編『大学生・社会のためのイスラーム講座』ナカニシヤ書店、2018年)、『イスラームのくらし(イスラームってなに?シリーズ2)』(かもがわ出版、2017年)など。

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聖ヤコブ崇敬とサンティアゴ巡礼―中世スペインから植民地期メキシコへの歴史的つながりを求めて

聖ヤコブ崇敬とサンティアゴ巡礼

中世スペインから植民地期メキシコへの歴史的つながりを求めて

  • 田辺加恵、大原志麻、井上幸孝(著)/2022年3月
  • 4000円(本体)/四六判並製360頁
  • 装丁:毛利一枝

聖ヤコブ崇敬はいかに生成され、いかに各地へと伝わったのか
イベリア半島における聖ヤコブ崇敬の始まりとラテンアメリカでの展開について、図像やサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼も考察しながら歴史的経緯の一端を明らかにするとともに、中世スペインと植民地時代メキシコまでの時間・空間を一つの流れの中で描き出す。

(ISBN 9784861107856)

目次|contents

序章 聖ヤコブ崇敬をめぐる歴史的文脈と本書のアプローチ(田辺加恵・井上幸孝)

第1章 スペインにおける聖ヤコブ崇敬およびサンティアゴ巡礼の始まり(田辺加恵)
第2章 サンティアゴ巡礼の最盛期―聖ヤコブの騎士化とその影響(田辺加恵)

コラム①  聖ヤコブ図像の三類型
コラム②  ラテンアメリカ各地のサンティアゴ表象
コラム③  メキシコの聖ヤコブ表象

第3章 後期中世におけるカスティーリャ王権と「サンティアゴ政策」の衰退(大原志麻)
第4章 ヌエバ・エスパーニャのサンティアゴ崇敬におけるカスティーリャ貴族同盟の役割(大原志麻)

コラム④  現代のサンティアゴ巡礼
コラム⑤  サンティアゴ巡礼路と熊野古道

第5章 メキシコ征服と聖ヤコブ―クロニカにおける聖ヤコブ出現の記述を中心に(井上幸孝)
第6章 メキシコ先住民にとっての聖ヤコブ崇敬―征服以降の受容の実態をめぐって(井上幸孝)

著者|authors

田辺加恵(たなべ かえ)
立命館大学経済学部教授。スペイン中世史。
主な著作に、「13世紀の史料にみる聖ヤコブ崇敬の変容」(『スペイン史研究』第33号、2019年)、「『世界年代記』における「マタモロス」聖ヤコブと「ヒスパニア」」(『東海大学国際教育センター紀要』第38輯、2018年)、「「マタモロス聖ヤコブ」像の形成とその戦略的利用」(『スペイン史研究』第30号、2016年)。

大原志麻(おおはら しま)
静岡大学人文社会科学部教授。西洋中世史。
主な著作に、Expresiones del poder en la Edad Media. Homenaje al profesor Juan Antonio Bonachía Hernando(共著、Universidad de Valladolid、2019年)、『翻訳とアダプテーションの倫理―ジャンルとメディアを越えて』(共著、春風社、2019年)、Castilla y el mundo feudal. Homenaje al profesor Julio Valdeón(共著、Junta de Castilla y León, Consejería de Cultura y Turismo 、2009年)。

井上幸孝(いのうえ ゆきたか)
専修大学国際コミュニケーション学部教授。メキシコ史・メソアメリカ史。
主な著作に、『ビジュアル図解 マヤ・アステカ文化事典』(日本語版監修、柊風舎、2020年)、『人間と自然環境の世界誌―知の融合への試み』(共編著、専修大学出版局、2017年)、『メソアメリカを知るための58章』(編著、明石書店、2014年)。

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嗜好品から見える社会

嗜好品から見える社会

  • 大坪玲子、谷憲一(編)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判並製426頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

長年の呪いから解放されよう、嗜好品は我々の生活に必要不可欠なものである――

人類学者たちが現地で嗜好品を見て、体験し、語り合った、その集大成としての論集。嗜好品の紹介だけにとどまらず、生産・流通・消費における国家や政治との関係も考察しながら、その社会を見る。

――嗜好品というプリズムを通すと、社会は少し違って見えてくる

(ISBN 9784861108020)

目次|contents

序論(大坪玲子)

第一部 つながる
第1章 笑いはメディスンである―ペヨーテ・ミーティングにおける笑いと癒やし(渡辺浩平)
第2章 反響の語り―観光プロジェクト「キューバ国際音楽祭」をめぐる社会と個人に関する試論(田中理恵子)
第3章 「楽しみ」を分かち合う―ペルー都市と山村のチーズに対する価値観の違いから(古川勇気)
第4章 「あるけれど無い」リッブ―エジプト都市部のユビキタスな「ローカルフード」(鳥山純子)

第二部 こだわる
第5章 「良い酒」とはいかなるものか―つくり手の仕事からみたシミンアルヒとモンゴルの乳文化(寺尾萌)
第6章 においと「共犯性」―ネパールのキナーマー(工藤さくら)
第7章 今日のため、明日のため―イエメンのカート商人と消費者(大坪玲子)

第三部 つづける
第8章 水タバコをめぐるポリティクス―現代イランにおける喫煙の作法と法規制の行方(谷憲一)
第9章 アレヴィーと酒の切れない関係―翻弄されるトルコの少数派(今城尚彦)
第10章 「伝統」からビジネスへ―インドにおけるパーン文化の変容とジェンダー(小牧幸代)
第11章 蒸留酒をつくり、ふるまい、嗜む―ブルガリア村落部における体制転換、EU加盟と自家製ラキヤ(松前もゆる)

第四部 こえる
第12章 ほろ苦さを求めて―インドネシア西スマトラ州のガンビール・ブームから読み解くビンロウのグローバリゼーションズ(西川慧)
第13章 カヴァ飲みのゆくえ―オセアニア島嶼内外における人と在来作物の多義的な関わり合い(河野正治・大島崇彰)
第14章 近世以降韓国における薬用人蔘製品の流通と消費(辻大和)

あとがき 宴とともに(大坪玲子)

執筆者紹介

コラム(各章末)  
ナット・アンド・シガレット/キューバ・レコード―市場・商品・消費のはざまで/ペルーのインカ・コーラ/エジプトの男女別喫茶空間、アホワとカフェ/モンゴルの酒をめぐるこぼればなし/海外進出したチュルピー/イエメン飲み物事情/トフメあれこれ/「これは酒ではない」―ベクタシー教団のソフラとデム/インドの炭酸飲料水/タバコとコーヒーの香りの向こうに見えるもの/ヤシ酒飲むムスリムたち/海を越えた宴/『人蔘史』とその著者今村鞆

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
177頁
(誤)ネパール連邦民主共和国(以下、ネパール)
(正)ネパール
※2020年に国名変更

編者|editors

大坪玲子(おおつぼ・れいこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー。文化人類学、イエメン研究、嗜好品研究。
主な著作に、『嗜好品カートとイエメン社会』(法政大学出版局、2017年)、「カート・オントロジー構築の試み」(『人工知能学会第2種研究会ことば工学研究会資料集』、共著、2021年)、「カートを噛みながら―人類学とインタビューと嗜好品」(『嗜好品文化研究』6、2021年)。
恋しい嗜好品 アハジュル地方で噛んだ摘みたてのカートと、一緒に飲んだ湧き水

谷憲一(たに・けんいち)
上智大学アジア文化研究所・共同研究所員。文化人類学、イラン研究。
主な著作に、 「タァズィエ」(鈴木董・近藤二郎・赤堀雅幸編集代表『中東・オリエント文化事典』、丸善出版、2020年)、Realizing the Existence of Blind Spots in the ‘West’: A Systems-theoretical Perspective(Anthropological Theory 20(4)、共著、2020年)、「現代イランにおける国家とホセイン追悼儀礼―道具主義と言説的伝統の間で」(博士論文、一橋大学、2022年)。
恋しい嗜好品 イランのどこでも売っている、果物を煮詰めて乾かしたラヴァーシャク

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書きかえる女たち―初期近代英国の女性による聖書および古典の援用

書きかえる女たち

初期近代英国の女性による聖書および古典の援用

  • 竹山友子(著)/2022年3月
  • 3900円(本体)/四六判上製346頁
  • 装丁:長田年伸

聖書や古典作品などの権威ある書物を巧みに書きかえ、キリスト教にもとづく男女の規範に挑んだ女性たちの執筆活動を明らかにする。メアリー・シドニー、エミリア・ラニヤー、アフラ・ベーンらの訳詩選も収録。

(ISBN 9784861107801)

目次|contents

第一章 初期近代英国の女性と書き物
第二章 メアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』における罪と女性―第五八編と第八二編の考察より
第三章 メアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』からの「子宮」の消滅
第四章 罪なきイヴの救済―エミリア・ラニヤーにおける女性擁護の言説とその源泉
第五章 ペンによるジェンダー革命―エミリア・ラニヤーの詩集に見られるメアリー・シドニー訳『ダビデの詩編』の影響
第六章 斬首の王妃マリアムの救済―エリザベス・ケアリー作『マリアムの悲劇』に表出される新ストア主義思想
第七章 太陽に挑む‘Youth’と太陽を超越する‘Lady’―ジョン・ダンとキャサリン・フィリップスの詩における太陽の表象
第八章 性別を与えられた樹木とその背景―ラニヤー、カウリー、キャヴェンディッシュの選択
第九章 樹木を介した欲望の表出と変身願望―ロバート・ヘリックとアフラ・ベーン
終章 パラテクストから見る「書きかえる女たち」の知恵
訳詩選

著者|author

竹山友子(たけやま・ともこ)
1967年生まれ。関西学院大学文学部教授。専門は初期近代イギリス詩。広島大学大学院文学研究科博士課程前期、サセックス大学大学院修士課程、広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。主な著書・論文:「罪なきイヴの救済―エミリア・ラニヤーにおける女性擁護の言説とその源泉―」『英文学研究』84巻(2007)、“Eliminating Womb in the Countess of Pembroke’s Psalmes” Notes and Queries 63巻3号(2016)、『十七世紀英文学における生と死』(共著・金星堂・2019)など。

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もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法

もうひとつの風景 フアン・ルルフォの創作と技法

  • 仁平ふくみ(著)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製432頁
  • 装丁:中本那由子

誰も意識したことのない世界を、文学において立ち上げる――
「メキシコの寂れた農村を複雑でユニークな仕方で描いた作家」として文学史に名を残したフアン・ルルフォ。現実の土地にまつわる声と記録を重ね合わせて物語を紡ぎ出した彼の創作法の鍵を、「権力」「場所の表象」「出来事のフィクション化」「語りの技法」という切り口で読み解く。

本書の「はじめに」を公開しています。

(ISBN 9784861107849)

目次|contents

はじめに

序章
1.作品と生涯
2.批評・先行研究
3.日本での受容
4.語りと場所
5.本書の構成

第Ⅰ部 権力とラテンアメリカ小説
第1章 記録とルルフォの創作
1.年代記に関するテクスト
2.空間的・時間的よそもの
3.文学としての記録、記録としての文学
4.史料収集と国立先住民庁(INI)での活動
5.記録する行為と権力

第2章 国民的作家の創造
1.『燃える平原』の文壇での位置づけ
2.「我々」を描いた作品
3.「メキシコらしさ」によって世界へ
4.攻撃と擁護
5.ルルフォと比較された作家アレオラ

第3章 『ペドロ・パラモ』における声の力
1.暴力による書類の無効化
2.権力と声
3.権力のほころびを示す三人の登場人物

第Ⅱ部 場所・記録・創作
第4章 初期の紀行文
1.雑誌『地図』
2.「メツティトラン」:文学的操作の片鱗
3.「カスティージョ・デ・テアヨ」:紀行文か、創作か

第5章 都市の孤独
1.初期作品「夜のかけら」
2.メキシコシティと創作
3.娼婦からなにものでもない者へ
4.語りの洗練

第6章 村を描くという挑戦――『嵐がやってくる』と『ペドロ・パラモ』
1.ハリスコ州出身の作家たち
2.新しい題材としての田舎
3.共同体の声を描く試み
4.変容する価値観
5.象徴としての鐘の音
6.変化の予兆

第7章 物語を内包する場所
1.実在の場所から架空の場所へ
2.場所にイメージを還す
3.小説『山脈』の構想
4.個々の場所から世界とつながる

第Ⅲ部 出来事をフィクション化するための試み
第8章 革命を書く――短篇「燃える平原」
1.登場人物の造形
2.耳で聞く風景、目で見る風景
3.削除された箇所
4.一兵士の視点からの革命

第9章 自伝的要素とフィクション
1.父親の死のフィクション化
2.「殺さないよう言ってくれ!」:事件との相違
3.逃亡者というオブセッション

第10章 作品の構造とモチーフ
1.境界としての空間の創造
2.『ペドロ・パラモ』における糸のモチーフ
3.ありえたはずの時間と赤ん坊
4.左右非対称な身体と時間

第Ⅳ部 語りを用いた手法の確立
第11章 主観と場所
1.さまよう人々
2.移動のプロセスと登場人物の関係
3.風景と主観の同調
4.思い出の中の場所
5.「ルビーナ」:感覚で場所を描写する
6.音の描写と断片化:場所と時間を描くための手法

第12章 声の操作
1.記述のための「話しことば」の創造
2.「アナクレト・モローネス」:声の持ち主の力の喪失
3.『ペドロ・パラモ』:三人称の罠
4.「その男」:対立するものの融和

おわりに


あとがき
参考文献
索引

著者|author

仁平ふくみ(にひら・ふくみ)
京都産業大学外国語学部准教授。文学博士(東京大学)。
専門はスペイン語圏文学。
主な著作に、 “Visions of Place: Yeats, Rulfo and the Noh Play” (Rethinking Juan Rulfo’s Creative World, (eds.) Nuala Finnegan and Dylan Brennan, Legenda, 2016) 、“Lo fantástico en ‘Música concreta’, de Amparo Dávila” (Entre lo insólito y lo extraño, (ed.) Alejandra Giovanna Amatto Cuña, UNAM, 2019) 、「メキシコ北部に生まれる幻想――エドゥアルド・アントニオ・パラの三短篇」(『Hispánica』63号、2020年)、「瓦礫と音楽とアルコール――ダビー・トスカーナ『消え失せた町』」(『れにくさ』10号2020年)、“Voz, historia y lugar: una comparación de los textos de Rulfo y el teatro japonés noh” (La contemporaneidad de Rulfo, (eds.) Vittoria Borsò y Friedhelm Schmidt-Welle, Iberoamericana-Vervuert, 2021)など。

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