言語教師教育論―境界なき時代の「知る・分析する・認識する・為す・見る」教師

言語教師教育論

境界なき時代の「知る・分析する・認識する・為す・見る」教師

  • B・クマラヴァディヴェル(著)、南浦涼介・瀬尾匡輝・田嶋美砂子(訳)/2022年2月
  • 4000円(本体)/A5判上製320頁
  • 装丁:長田年伸

円を描くように言語の教師の成長を促すには?
レンガの山積みは家ではない――
外国語・第二言語の教師教育に向けた包括的なモデルの根拠と本質を、ポスト国民国家、ポストモダン、ポストコロニアル、ポスト伝達主義、ポストメソッドという視点と、場の特殊性、実践性、可能性という運用原理から再考。多様な言葉の営為のための教育の方向性を見すえる。
(ISBN 9784861107597)

目次|contents

著者による序文
謝辞
第1章 言語の教師教育を描きなおす
〈訳者座談会1〉日本の英語教育と日本語教育に「ポスト」がもたらすもの
第2章 知る
第3章 分析する
第4章 認識する
第5章 為す
第6章 見る
〈訳者座談会2〉「見とおす」目を持つ言語教師とは
第7章 モジュールモデルを (改めて) つくる
〈訳者座談会3〉モジュールモデルから見る日本の言語教師教育
補論1 メソッドとポストメソッド――両者は本当にそこまで相容れないものなのか?(デイヴィット・M・ベル)
補論2 TESOLにおけるメソッド――変化の過程と挑戦の傾向(B・クマラヴァディヴェル)
〈訳者座談会4〉クマラヴァディヴェルとポストメソッド
訳者あとがき
参考文献
参考文献(補論)
索引
著訳者紹介

著訳者|author and translators

◆著者
B・クマラヴァディヴェル(B. Kumaravadivelu)

マドラス大学(インド)、ランカスター大学(イギリス)、ミシガン大学(アメリカ)で教育を受ける。現在、アメリカ・サンノゼ州立大学言語学・言語発達学教授。研究の興味関心は、言語教育の方法、教師教育、教室談話分析、ポストメソッドにもとづく教育方法、文化とグローバリゼーションにもとづく教育など。主な著書に “Beyond Methods: Macrostrategies for Language Teaching”(Yale University Press, 2003)、“Understanding Language Teaching: From Method to Post method ”(LawrenceErlbaum, 2006)、“Cultural Globalization and Language Education”(Yale University Press, 2008. Kenneth W. Mildenberger Prize for Outstanding Research Publication を受賞)など多数。また、本書の原著である “Language Teacher Education for a Global Society” は、2013 年にイギリスの British Association of Applied Linguists の Outstanding Book of the Year 賞にノミネートされた。

◆訳者
南浦涼介(みなみうら・りょうすけ)
専門は日本語教育、教科教育、教師教育。東京学芸大学教育学部准教授。広島大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。主要業績に『外国人児童生徒のための社会科教育――文化と文化の間を能動的に生きる子どもを授業で育てるために』(明石書店、2013年)、「年少者日本語教育における研究課題の変遷――学校と教育の再構築へ向けて」『日本語教育』第179号(共著、2021年)、「民主化のエージェントとしての日本語教育――国家公認化の中で『国家と日本語』の結びつきを解きほぐせるか」『教育学年報』第12巻(共著、2021年)。

瀬尾匡輝(せお・まさき)
専門は日本語教育、教育社会学。茨城大学全学教育機構准教授。上智大学外国語学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(言語学)。 主要業績に「香港の日本語生涯学習者の動機づけの変化――修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用いた分析から探る」『日本學刊』14号(2011年)、「日本語教師はどのように教育の商品化を経験しているのか」『言語文化教育研究』13号(共著、2015年)、「「文法を重視する」という日本語教育に対する教師の考えはどのように作り出されているのか――言語教育のローカル化の視点から」『Journal CAJLE』19号(2018年) 。

田嶋美砂子(たじま・みさこ)
専門は英語教育、社会言語学、批判的応用言語学、茨城大学理工学研究科(工学野)准教授、シドニー工科大学大学院人文社会科学部博士課程修了。PhD(教育学)。主要業績に「「実践としての言語」観がWE論・ELF論にもたらす示唆――教科書分析へのささやかな提言とともに」『アジア英語研究』第18巻(2016年)、Gendered constructions of Filipina teachers in Japan’s Skype English conversation industry, Journal of Sociolinguistics, 22 (2018年)、Engagement with English as a neoliberal endeavor: reconsidering the notion of language learning, Critical Inquiry in Language Studies, 17 (2020年)。

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自律を目指す教育とは何か―自然主義的な教育哲学の試み

自律を目指す教育とは何か

自然主義的な教育哲学の試み

  • 宮川幸奈(著)/2022年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製288頁
  • 装丁:長田年伸

自律と他律の区別はいかに身に付くのか?
教育目的として掲げられてきた自律概念をめぐる議論の状況を概観。自分自身で行為を決めることと他人に依存すること、また理性的であることと感性的(感情的)であることの区別の意味や、それを実現するはたらきかけを探究。人間諸科学の知見を踏まえて、自律と他律の関係性に対する新たな解釈を提案する。
(ISBN 9784861107672)

目次|contents

序章 自律を目指す教育の新たな理解へ
第1章 自分自身で行為を決めることと他人に依存すること
第2章 理性的であることと感性的であること
第3章 自律を目指す教育を理解するとはいかなることか
第4章 意図と理由の空間への参入
第5章 叱責が可能にするもの
終章 自然主義的な教育哲学研究の成果と展望
あとがき
参考文献
人名索引
事項索引

著者|author

宮川幸奈(みやがわ・ゆきな)
1987年生まれ。熊本学園大学経済学部准教授。九州大学大学院人間環境学府教育システム専攻博士後期課程単位取得退学。博士(教育学)。専攻は教育哲学。主な著書・論文に『道徳教育の理論と実践』(分担執筆、大学教育出版、2018年)、「教育目的としての自律に関する自然主義的考察――二重過程理論を通して」(『教育哲学研究』第118号、2018年)、「自律と他律の現れ方――意図と理由の空間への参入をめぐって」(『九州教育学会研究紀要』第44巻、2017年)など。

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分かちあう経験・守りあう尊厳―ラスキン・カレッジの一九七〇年代における労働者教育

分かちあう経験・守りあう尊厳

ラスキン・カレッジの一九七〇年代における労働者教育

  • 冨永貴公(著)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製300頁
  • 装丁:中島衣美

労働者は物語る――
英国の労働者教育機関「ラスキン・カレッジ」における歴史学習「ヒストリー・ワークショップ」、そこから発展して開催された全国女性解放会議「ラスキン会議」。1970年代にそこで行われた活動と対話による、労働者学生たちの尊厳獲得の過程を明らかにする。
労働者自身の手によって綴られた歴史と生活を読み解くことは、わたしたち自身の尊厳獲得にもつながっていく。
(ISBN 9784861107948)

目次|contents

序論  本書の課題と方法
第1節 本書の目的と意義
第2節 先行研究の整理
1.英国成人教育に関わる歴史研究とラスキン・カレッジの位置/2.歴史記述の方法としてのオーラル・メソッドとその教育への応用/3.生活をめぐる社会教育研究と生活の意味
第3節 研究方法と本書の構成
1.研究方法/2.本書の構成

第1章 ラスキン・カレッジにおける労働と生活の関係
第1節 「豊かな労働者」論における労働者階級の変化
1.「豊かな社会」における労働者の私生活中心主義/2.労働の手段化におけるシニシズム第2節 ラスキン・カレッジにおける教育の再編
1.カリキュラムの再編による教育と労働の結合/2.試験制度の改正による教育と生活の結合
第3節 ラスキン・カレッジにおける教育と労働と生活
1.労働者教育の手段化における労働と生活の分割不可能性/2.労働と生活をめぐる非対称な関係の気づき/3.労働と生活をめぐる非対称な場としてのラスキン・カレッジ

第2章 歴史と教育の生活化としてのヒストリー・ワークショップの発足
第1節  「はざま」を捉える思想としての社会史
1.労働運動史から労働史へ/2.労働史から「はざま」を捉える思想としての社会史へ
第2節 教育活動としてのヒストリー・ワークショップ
1.教育のオルタナティブとしての歴史研究/2.歴史における経験の位置
第3節 教育の生活化実践としてのヒストリー・ワークショップ
1.経験にもとづく教育内容/2.教育方法の生活化としてのオーラル・メソッド/3.教育の生活化による知の再構成

第3章 ラスキン会議における非対称性の問い直し
第1節 「下からの歴史」における女性の周辺化
第2節 ラスキン会議における平等賃金要求
1.平等賃金に対する見解の対立/2.社会主義フェミニズムによる平等賃金要求
第3節 経験をめぐる非対称性の問い直し
1.分割不可能な労働と生活の経験にもとづく「尊厳」の要求/2.階級を横断し、非対称な関係をつなぐ「尊厳」

第4章 ヒストリー・ワークショップというラファエル・サミュエルの物語り 00
第1節 労働者の教育と歴史における生きられた経験
1.労働者教育における生きられた経験/2.歴史を記述することの意味
第2節 ラファエル・サミュエルによる労働者の理解
1.組織化以前の労働者の経験 /2.労働と生活の自律的創造/3.異質な他者の労働と生活に対する視点
第3節 ラファエル・サミュエルの物語的交渉としてのヒストリー・ワー        クショップ
1.男女間の非対称な関係を捉えるフェミニズムの萌芽/2.受動性という教育者の物語り/3.終わらない物語りと物語りを通じた他者との共同

第5章 ヒストリー・ワークショップにおける労働者たちの物語り
第1節 労働経験の記述
1.労働過程に則した記述/2.労働者階級についての記述/3.労働の記述における生活の意義
第2節 生活の場における生きられた経験の記述
1.文化に関わる記述/2.家族に関わる記述/3.労働者による経験の記述における生活の広がり

第6章 生きられた経験の分かちあいにおける非対称な関係と尊厳
第1節 生きられた経験に関わる歴史記述と自己
1.生きられた経験の記述における直接的な自己と間接的な自己/2.自己としての生存・生活
第2節 関係のなかにある生存・生活
1.労働者に関わる社会的諸関係の記述/2.他者としての女性の生存・生活の記述
第3節 生存・生活の分かちあいによる尊厳の獲得
1.記述に値する生存・生活の発見/2.歴史記述における生存・生活の価値/3.非匿名性の追及と匿名性の保持
第4節 あいだにある尊厳のための教育

結論 尊厳を守りあう労働者教育の展開に向けて
第1節 分割不可能に経験される労働と生活
第2節 教育のアポリアに対する受動的な分有という物語り
第3節 尊厳のための他者との分かちあい

あとがき
引用および参照文献・資料
巻末資料
索引

著者|author

冨永貴公(とみなが・たかひろ)
所属・職位:都留文科大学教養学部地域社会学科・准教授
専攻・専門:社会教育学・生涯学習論、ジェンダー/セクシュアリティ研究
主要業績:『ワークライフバランス時代における社会教育』(共著、日本社会教育学会編、東洋館出版社、2021年)、「生=痛みを分有するためのわたしたちの生涯学習社会に向けて」『現代思想』(vol.47-7、2019年)

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女子サッカー選手のエスノグラフィー―不安定な競技実践形態を生きる

女子サッカー選手のエスノグラフィー

不安定な競技実践形態を生きる

  • 申恩真(著)/2022年3月
  • 4000円(本体)/A5判上製248頁
  • 装丁:中本那由子

女性がサッカー選手として生きることは、どのような生活を選択することになるのか? 彼女たちはどのような困難を抱えながら競技を実践しているのか?
自身も競技経験をもつ著者が、女子サッカーチーム内部でのフィールドワークを通して、選手たちのリアリティを描き出す。

(ISBN 9784861107955)

目次|contents

はじめに
序 章 女子サッカー選手として生きることとは

■第Ⅰ部 日本における女子サッカーの位置づけ
第1章 女子サッカーという競技種目とその固有性
第2章 日本女子サッカーリーグの発足とその変遷過程
第3章 チーム運営の実態と選手の競技実践形態

■第Ⅱ部 女子サッカーチーム内部の実態と女子サッカー選手化――Kチームのフィールドワークから
第4章 女子サッカーチームの運営と秩序
第5章 地域社会とKチームの関係性
第6章 Kチームの選手間における相互関係

■第Ⅲ部 選手の労働とジェンダーをめぐる経験
第7章 プロ選手の労働環境
第8章 支援企業の社員選手の労働環境
第9章 女子サッカー選手におけるジェンダーとアスリート・アイデンティティの探求

終 章 女子サッカー選手の生活世界を記録する
あとがき
参考文献/参考資料
索引

著者|author

申 恩真(シン・ウンジン)
1988年大韓民国・ソウル特別市生まれ。北海道大学大学院教育学院教育学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(課程)現在、北星学園大学経済学部専任講師。専攻はスポーツ社会学。
主な論文に「日本女子サッカー選手の生活形態に関する研究―支援の質的位相をめぐって」(『スポーツ社会学研究』第25巻第2号、2017年)、「女性アスリートの痛みをめぐるエスノグラフィー―サッカー選手の月経をめぐる対応から」(『スポーツとジェンダー研究』(16)、2018年)など。

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レヴィナスと教育学―他者をめぐる教育学の語りを問い直す

レヴィナスと教育学

他者をめぐる教育学の語りを問い直す

  • 安喰勇平(著)/2022年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製290頁
  • 装丁:長田年伸

語りえない・知りえないことをいかに伝達しうるのか――
レヴィナスの言語論や責任概念への思索を検討することで、教育という営為における倫理的含意を顧み、自他関係の理解への新たな言語の空間・表現を開拓する。
(ISBN 97848611047658)

目次|contents

はじめに
序章 教育学における他者論の展開とそこでのレヴィナス〈他者〉論の位置
第一章 レヴィナス〈他者〉論の基本モチーフ
第二章 レヴィナス言語論の自己言及的特性――教育学におけるレヴィナス〈他者〉論の援用方法をめぐる解釈論争から
第三章 レヴィナス主体性概念の教育学的射程――変容の契機として他者を位置づけることへの批判的考察
第四章 レヴィナス隠喩論における意味の伝達――叙事詩的な語りを超えて
第五章 「~し直す」成長モデルに関する批判的検討――レヴィナス〈他者〉論の方法としての誇張法
第六章 レヴィナス〈他者〉論における中断と修復――中断の教育学再考
終章 レヴィナス〈他者〉論の教育学的意義
参考引用文献
謝辞
索引

著者|author

安喰勇平(あんじき・ゆうへい)
茨城キリスト教大学文学部講師。一九九〇年島根県生。二〇一七年に広島大学大学院教育学研究科博士課程後期中途退学後、現職。二〇一九年に博士号(教育学)取得。専攻は教育哲学。論文に「レヴィナス言語論の自己言及的特性について――教育哲学におけるレヴィナス他者論の解釈論争から」(『教育哲学研究』第一一二号、二〇一五年)、「『~し直す』成長モデルに関する批判的検討――教育学における他者論の自己矛盾の問題に焦点を当てて」(『教育学研究』第八七巻第一号、二〇二〇年)など。

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言語景観から考える日本の言語環境―方言・多言語・日本語教育

言語景観から考える日本の言語環境

方言・多言語・日本語教育

  • ダニエル・ロング、斎藤敬太(著)/2022年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製402頁
  • 装丁:矢萩多聞

身近な文字から多文化・日本がみえてくる
看板、幟、店のメニュー……。各地でのフィールドワークを通して「言語景観」を撮影・収集し、そこにみられる敬語、方言、複言語等の様相から、多文化共生が進む日本の言語環境を鳥瞰する。

(ISBN 9784861107931)

目次|contents

はじめに

第Ⅰ部 無敬語地帯・敬語地帯における言語景観
第1章 震災後の方言景観にみる福島県会津方言の変容
第2章 福島市の依頼・命令表現にみられる待遇表現
第3章 福島県中通り・浜通りの勧誘・推量表現にみられる待遇表現
第4章 近畿圏の待遇表現における方言敬語と方言丁寧語
第5章 外国人集住地域の多言語表示にみられる待遇表現
Column 1  気づかない方言(疑似標準語)

第Ⅱ部 複言語使用地域における言語景観
第6章 ブラジル人集住地域の言語景観に採用される言語に関する定量的研究
第7章 豊田市でくらす在日南米人の複言語環境
第8章 外国人集住地域の言語環境に表れる観光戦略
第9章 異国情緒を演出する言語景観
第10章 非母語話者からみた看板の語用論的むずかしさ
第11章 世界の少数言語とアイデンティティ
Column 2  文法事項の疑似標準語

第Ⅲ部 方言主流社会における言語景観
第12章 東北地方の言語環境としての方言景観
第13章 北海道の文化的観光資源としての言語景観
第14章 奄美方言の言語景観
第15章 南大東島ことばにみられる言語接触の分析要因
Column 3  注意を引く「時代劇ことば」

第Ⅳ部 教室における言語景観
第16章 教員が興味を持たせたい言語景観
第17章 語学授業に興味を持ってもらうツールとしての言語景観
第18章 言語学的課題の分類と言語景観
第19章 アクティブラーニングと教材化
Column 4  東京都にもみられる「観光資源」としての方言使用
Column 5  各地にみられる方言による歓迎ことば

あとがき
初出/参考文献一覧
索引

著者|author

ダニエル・ロング(Daniel Long)
東京都立大学人文科学研究科教授。
1963年米国・テネシー州生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
主な業績に、『アジア・太平洋における日本語の過去と現在』 (共編著、ひつじ書房、2021)、『パラオにおける日本語の諸相』(共著、ひつじ書房、2019)、『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造―日本元来の多文化共生社会で起きた言語接触』(ひつじ書房、2018)、『マリアナ諸島に残存する日本語―その中間言語的特徴』(共著、明治書院、2012)、『日本語からたどる文化』(共著、放送大学教育振興会、2011)、English on the Bonin (Ogasawara)Islands (Duke University Press, 2007)など。

斎藤敬太(さいとう・けいた)
津田塾大学学芸学部非常勤講師。
1990年生まれの会津系埼玉人2世。首都大学東京(現・東京都立大学)大学院人文科学研究科人間科学専攻日本語教育学教室博士後期課程修了。博士(日本語教育学)。
主な業績に、『都市空間を編む言語景観』(共著、中文出版社(韓国)、2019)、「ブラジル人集住時域のリンガフランカ―群馬県大泉町と三重県伊賀市の比較」(『日本語研究』35、首都大学東京・東京都立大学日本語・日本語教育研究会、2015)、「東北地方の外国人住民を対象とした方言理解支援ツールにおける翻訳上の問題点―東北諸方言とポルトガル語の対照研究」(Estudos Japoneses. n.39, Centro de Estudos Japoneses da Universidade de São Paulo, 2018)など。

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ビュッシイ・ダンボア

ビュッシイ・ダンボア

  • ジョージ・チャップマン(作)、川井万里子(訳)/2022年3月
  • 3100円(本体)/四六判上製320頁
  • 装丁:中島衣美

シェイクスピアのライヴァル劇詩人の最高傑作
十六世紀フランス・ヴァロア王朝末期、爛熟、頽廃、閉塞のアンリ三世の宮廷に実在した美貌の剣士、ビュッシイ・ダンボアの愛と死の悲劇に、宇宙における人間の地位とその運命の行方を問う。

「美徳によって宮廷で出世したい」というビュッシイの高邁な志を裏切るモンシュリ伯爵夫人タミラとの密通。宮廷一の貞淑な月処女神と謳われる清らかな表情にふと蠱惑的な微笑を浮かべるタミラ。
王弟の内奥にわだかまる王位簒奪の野望、妻タミラの背信に「嫉妬の溶鉱炉」を開け放つモンシュリ伯の狂気。敬虔な告解僧でありながら女衒でもある怪僧コモレット。
理性と情熱の狂気、貞淑と淫蕩、忠誠と背信、高貴と卑俗。
「自分の敵を自分の腕の中にひしと抱きしめている」近代人の矛盾心理の表出が、現代の不条理演劇を先取りする。

(ISBN 9784861107771)

目次|contents

はじめに―シェイクスピアの好敵手劇詩人チャップマンの最高傑作『ビュッシイ・ダンボア』について

悲劇『ビュッシイ・ダンボア』

ヒッチンの丘の家―チャップマンの生家を訪ねて

G.チャップマンの『ビュッシイ・ダンボア』―緑陰から地下世界へ

あとがき

主要参考文献

訳者|translator

川井万里子(かわい・まりこ) 
一九三八年生。東京女子大学英文科卒、東京都立大学大学院英文科修士課程修了。現在東京経済大学名誉教授。
主な著作に、『「空間」のエリザベス朝演劇―劇作家たちの初期近代』(九州大学出版会、二〇一三)、『トロイア戦争の三人の英雄たち―アキレウスとアイアスとオデッセウス』(春風社、二〇一八)、『十七世紀英文学を歴史的に読む』(十七世紀英文学研究会編、金星堂、二〇一五)、『甦るシェイクスピア―没後四〇〇周年記念論集』(日本シェイクスピア協会編、研究社、二〇一六)、「盛期英国ルネサンス・牧歌文学の最高峰―サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア』について」(『ペディラヴィウム』七六、二〇二一)。
主な訳書に、ジョージ・チャップマン『みんな愚か者』(成美堂、一九九三)、『フェヴァシャムのアーデン』(成美堂、二〇〇四)、サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア』(九州大学出版会、一九九九、共訳)、カール・J.ヘルトゲン『英国におけるエンブレムの伝統―ルネサンスの視覚文化の一面』(慶應義塾大学出版会、二〇〇五、共訳)、キャサリン・ダンカン・ジョーンズ『廷臣詩人サー・フィリップ・シドニー』(九州大学出版会、二〇一〇、共訳)、サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア[新装版]』(九州大学出版会、二〇二一、共訳)。

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ノー・ルール!―英国における民俗フットボールの歴史と文化

ノー・ルール!

英国における民俗フットボールの歴史と文化

  • 𠮷田文久(著)/2022年3月
  • 4300円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:長田年伸
  • カバー・表紙・扉写真提供:Orkney Photographic

…ただボールに集まっているというのではなく、力を入れ押し合っているのだ。誰がボールを保持しているのか、スクラムの中で何が起こっているのか外からは皆目わからない。ただスクラムがいつ、どちらに動くのか見守るだけである。油断しているとスクラムの下敷になってしまう。…

サッカーやラグビーの起源と称される、民俗フットボール。数世紀にわたって変容しつつ今なお存続しているゲーム、そして熱狂的なプレーヤーたちに魅了され、25年の歳月をかけてイングランド・スコットランド各地に足を運び調査を行った著者が記す、ルールなきスポーツの歴史・文化と楽しみ、そして体育教育への還元の可能性。

(ISBN 9784861107832)

目次|contents

はじめに
序章
第1節 問題の所在と目的
第2節 フットボール研究の前提
第3節 これまでの民俗フットボール研究
第4節 本書の構成

第1章 民俗フットボールの消滅と存続
第1節 消滅した民俗フットボール
第2節 英国に存続する民俗フットボールの実態
第3節 消滅、存続する民俗フットボールの多様性の意味
第2章 存続する民俗フットボールの変容
第1節 存続する民俗フットボールの変容内容
第2節 存続する民俗フットボールをめぐる状況の変化
第3節 存続する民俗フットボールの歩んだ変容の方向性
第3章 カークウォールのバー・ゲームの民族誌
第1節 カークウォールの概要
第2節 カークウォールのバーの起源と歴史
第3節 カークウォールのバーのゲーム概要
第4節 カークウォールのバーにみる伝統の継承と発展
第5節 カークウォールのバーの意味変容―伝統行事からコミュニティ統合の活動へ
第6節 カークウォールのバーの存続
第4章 民俗フットボールの存続・継承の現代的意義
第1節 民俗フットボールの存続・継承の文化・社会的解釈
第2節 現代スポーツへの発展的提起
第3節 民俗フットボールの存続・継承の教育的意義
終章
第1節 研究の成果
第2節 研究の今後の展望


参照文献
おわりに
インタビュイー一覧
索引

著者|author

𠮷田文久(よしだ・のりひさ)
日本福祉大学スポーツ科学部教授(博士:人類学)
専門は体育科教育学、スポーツ人類学
主な著作に、『フットボールの原点―サッカー、ラグビーのおもしろさの根源を探る』(創文企画、2014年)、「カークウォールのBa’ゲームにみる民俗フットボールの意味の変容―伝統行事からコミュニティ統合の契機へ」(『年報人類学研究』第10号、南山大学人類学研究所、2020年)、「英国に存続する民俗フットボールの研究―その存続状況と変容、存続の意味について」(『スポーツ健康科学研究』第40巻、東海体育学会、2018年)など。

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ジャコモ・レオパルディ―ロマン主義的自然観と〈無限〉の詩学

ジャコモ・レオパルディ

ロマン主義的自然観と〈無限〉の詩学

  • 古田耕史(著)/2022年3月
  • 6000円(本体)/A5判上製358頁
  • 装丁:毛利一枝

近代イタリア最大の抒情詩人とされるジャコモ・レオパルディ(1798-1837)の、日本で2冊目となる本格的研究書。詩集『カンティ』を中心に、表現内容ならびに語彙・文体・音声などの側面から詩を丹念に読み解き、散文作品『オペレッテ・モラーリ』『省察集』などとの比較検討を通じて、その詩想と詩作法の本質に迫る。またペシミズムの哲学者として、ショーペンハウアーやニーチェ、夏目漱石らに深い影響を与えたレオパルディの、世界観と思想の本源を明らかにする。

(ISBN 9784861108013)

目次|contents

緒言
第1部 詩と自然
序章

第1章 詩的霊感――レオパルディの詩論と詩作の方法

1. 初期の古典主義
2. 詩論の変化
3. 一瞥と熱狂の神性
4. 詩的霊感の条件
結論

第2章 レオパルディのロマン主義的自然観――スタール夫人との関係を中心に

1. ロマン主義の新しい自然観―生きた有機体としての自然
2. ドイツ思想とレオパルディの自然認識
3. スタール夫人の著作との出会い
4. レオパルディとスタール夫人の自然哲学
5. 反分析、反解剖
6. 自然と詩人
7. 自然の2つの相貌
結論

第3章 レオパルディにおける2つの〈自然〉

1. ペシミズムの拡大
2. 善としての自然観
3. 人間の運命と摂理的な自然
4. 悪としての自然観(『省察集』)
5. 悪としての自然(詩作品)
6. 自然にたいする2つの視点
7. 自死をめぐって
8. アーリマン
結論

第4章 詩論と自然観の平行性

1. “ロマン主義論争”への参加
2. 想定される論敵
3. 詩論の修正と自然観
4. 後期の詩論と詩作
結論

第2部 〈無限〉の詩学
序章

第1章 無限
1. 《無限》
1. 1. テクストの読解
1. 2. «vago e indefinito» ――漠としたものへの志向
2. 「無限」の標示
3. 「無限」に関わる諸概念
3. 1. 遠さ
3. 2. 夜
3. 3. 死
3. 4. 幸福
3. 5. 愛
3. 6. 無
4. 想像世界への越境
4. 1. «vo comparando» ―境界の消失
4. 2. 無感覚状態、エクスタシスの快楽
5. 音と聴覚
5. 1. 詩における聴覚の重要性
5. 2. 音楽と天上の観照
6. 二重の世界―《無限》の意味
結論

第2章 追憶
1. 《シルヴィアに》と過去の哀惜
2. 二世界説と想起説
3. 経験と記憶
4. 追憶と詩作
5. 追憶・夢と詩的霊感
結論

第3章 回帰と永遠
1. 双子のような詩
2. 《嵐の後の静けさ》の言語・文体
3. 《村の土曜日》の言語・文体
4. 追憶・回帰・永遠
5. レオパルディの詩とニーチェの〈永遠回帰〉
結論 追憶と生への意志

第4章 死
1. 死の瞑想
2. 死の永遠性と無限性
3. 死者の視点からの「死」
4. 「擬似的な」死
結論

第5章 愛
1. 「真の生」と愛
2. 《支配的思考》
3. 愛の永遠性と無限性
4. 愛の作用とその唯一性
結論 愛か死か

結語 詩と生の意義

補遺:Il sognoを読む
はじめに
1. 眠り
2. 夢
3. 「夢」の詩作
4. 《夢》における諸テーマ
5. 生と死のコントラスト
おわりに

あとがき
文献案内

著者|author

古田耕史(ふるた・やすし)
愛知県名古屋市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。イタリア政府奨学生としてパドヴァ大学に留学。専門はイタリア文学、比較文学。現在、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター准教授。

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『リスト全集』の出版

『リスト全集』の出版

  • 諸田實(著)/2022年2月
  • 3500円(本体)/四六判並製320頁
  • 装丁:長田年伸

主著に匹敵する懸賞論文がパリで発見、独・米の研究者の協力、思いがけない結末…
ナチスの足音が近づくなかで刊行された、一九世紀ドイツの経済学者フリードリッヒ・リストの『全集』。その編集と出版の経緯・困難に迫る

(ISBN 9784861107870)

目次|contents

まえがき
第1章 『リスト全集』の編集と出版(一九二七―一九三五年)―ナチスの足音が近付くなかで
第2章 ある懸賞論文の九〇年─執筆(一八三七年)から出版(一九二七年)まで
第3章 「フリードリッヒ・リスト協会」の事業─出版と学術大会
第4章 「フリードリッヒ・リスト協会」の「会報」から
あとがき
付録

著者|author

諸田實(もろた・みのる)
神奈川大学名誉教授

一九二八年静岡市に生まれる 一九五二年東京大学経済学部卒業

【主な著書】『ドイツ初期資本主義研究』有斐閣、一九六七年/『クルップ』東洋経済新報社、一九七〇年/『ドイツ関税同盟の成立』有斐閣、一九七四年/『フッガー家の遺産』有斐閣、一九八九年/『フッガー家の時代』有斐閣、一九九八年/『フリードリッヒ・リストと彼の時代』有斐閣、二〇〇三年/『晩年のフリードリッヒ・リスト』有斐閣、二〇〇七年/『〈新版〉西洋経済史』共著、有斐閣、一九八五年/『ドイツ経済の歴史的空間』共著、昭和堂、一九九四年/『近代西欧の宗教と経済』共著、同文館出版、一九九六年/『リストの関税同盟新聞』私家版、二〇一二年/『「新聞」で読む黒船前夜の世界』日本経済評論社、二〇一五年/『異色の経済学者 フリードリッヒ・リスト』春風社、二〇一八年

【訳書】クーリッシェル『ヨーロッパ中世経済史』共訳、東洋経済新報社、一九七四年/クーリッシェル『ヨーロッパ近世経済史』Ⅰ、Ⅱ 共訳、東洋経済新報社、一九八二、八三年

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