ビュッシイ・ダンボア

ビュッシイ・ダンボア

  • ジョージ・チャップマン(作)、川井万里子(訳)/2022年3月
  • 3100円(本体)/四六判上製320頁
  • 装丁:中島衣美

シェイクスピアのライヴァル劇詩人の最高傑作
十六世紀フランス・ヴァロア王朝末期、爛熟、頽廃、閉塞のアンリ三世の宮廷に実在した美貌の剣士、ビュッシイ・ダンボアの愛と死の悲劇に、宇宙における人間の地位とその運命の行方を問う。

「美徳によって宮廷で出世したい」というビュッシイの高邁な志を裏切るモンシュリ伯爵夫人タミラとの密通。宮廷一の貞淑な月処女神と謳われる清らかな表情にふと蠱惑的な微笑を浮かべるタミラ。
王弟の内奥にわだかまる王位簒奪の野望、妻タミラの背信に「嫉妬の溶鉱炉」を開け放つモンシュリ伯の狂気。敬虔な告解僧でありながら女衒でもある怪僧コモレット。
理性と情熱の狂気、貞淑と淫蕩、忠誠と背信、高貴と卑俗。
「自分の敵を自分の腕の中にひしと抱きしめている」近代人の矛盾心理の表出が、現代の不条理演劇を先取りする。

(ISBN 9784861107771)

目次|contents

はじめに―シェイクスピアの好敵手劇詩人チャップマンの最高傑作『ビュッシイ・ダンボア』について

悲劇『ビュッシイ・ダンボア』

ヒッチンの丘の家―チャップマンの生家を訪ねて

G.チャップマンの『ビュッシイ・ダンボア』―緑陰から地下世界へ

あとがき

主要参考文献

訳者|translator

川井万里子(かわい・まりこ) 
一九三八年生。東京女子大学英文科卒、東京都立大学大学院英文科修士課程修了。現在東京経済大学名誉教授。
主な著作に、『「空間」のエリザベス朝演劇―劇作家たちの初期近代』(九州大学出版会、二〇一三)、『トロイア戦争の三人の英雄たち―アキレウスとアイアスとオデッセウス』(春風社、二〇一八)、『十七世紀英文学を歴史的に読む』(十七世紀英文学研究会編、金星堂、二〇一五)、『甦るシェイクスピア―没後四〇〇周年記念論集』(日本シェイクスピア協会編、研究社、二〇一六)、「盛期英国ルネサンス・牧歌文学の最高峰―サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア』について」(『ペディラヴィウム』七六、二〇二一)。
主な訳書に、ジョージ・チャップマン『みんな愚か者』(成美堂、一九九三)、『フェヴァシャムのアーデン』(成美堂、二〇〇四)、サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア』(九州大学出版会、一九九九、共訳)、カール・J.ヘルトゲン『英国におけるエンブレムの伝統―ルネサンスの視覚文化の一面』(慶應義塾大学出版会、二〇〇五、共訳)、キャサリン・ダンカン・ジョーンズ『廷臣詩人サー・フィリップ・シドニー』(九州大学出版会、二〇一〇、共訳)、サー・フィリップ・シドニー『アーケイディア[新装版]』(九州大学出版会、二〇二一、共訳)。

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ノー・ルール!―英国における民俗フットボールの歴史と文化

ノー・ルール!

英国における民俗フットボールの歴史と文化

  • 𠮷田文久(著)/2022年3月
  • 4300円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:長田年伸
  • カバー・表紙・扉写真提供:Orkney Photographic

…ただボールに集まっているというのではなく、力を入れ押し合っているのだ。誰がボールを保持しているのか、スクラムの中で何が起こっているのか外からは皆目わからない。ただスクラムがいつ、どちらに動くのか見守るだけである。油断しているとスクラムの下敷になってしまう。…

サッカーやラグビーの起源と称される、民俗フットボール。数世紀にわたって変容しつつ今なお存続しているゲーム、そして熱狂的なプレーヤーたちに魅了され、25年の歳月をかけてイングランド・スコットランド各地に足を運び調査を行った著者が記す、ルールなきスポーツの歴史・文化と楽しみ、そして体育教育への還元の可能性。

(ISBN 9784861107832)

目次|contents

はじめに
序章
第1節 問題の所在と目的
第2節 フットボール研究の前提
第3節 これまでの民俗フットボール研究
第4節 本書の構成

第1章 民俗フットボールの消滅と存続
第1節 消滅した民俗フットボール
第2節 英国に存続する民俗フットボールの実態
第3節 消滅、存続する民俗フットボールの多様性の意味
第2章 存続する民俗フットボールの変容
第1節 存続する民俗フットボールの変容内容
第2節 存続する民俗フットボールをめぐる状況の変化
第3節 存続する民俗フットボールの歩んだ変容の方向性
第3章 カークウォールのバー・ゲームの民族誌
第1節 カークウォールの概要
第2節 カークウォールのバーの起源と歴史
第3節 カークウォールのバーのゲーム概要
第4節 カークウォールのバーにみる伝統の継承と発展
第5節 カークウォールのバーの意味変容―伝統行事からコミュニティ統合の活動へ
第6節 カークウォールのバーの存続
第4章 民俗フットボールの存続・継承の現代的意義
第1節 民俗フットボールの存続・継承の文化・社会的解釈
第2節 現代スポーツへの発展的提起
第3節 民俗フットボールの存続・継承の教育的意義
終章
第1節 研究の成果
第2節 研究の今後の展望


参照文献
おわりに
インタビュイー一覧
索引

著者|author

𠮷田文久(よしだ・のりひさ)
日本福祉大学スポーツ科学部教授(博士:人類学)
専門は体育科教育学、スポーツ人類学
主な著作に、『フットボールの原点―サッカー、ラグビーのおもしろさの根源を探る』(創文企画、2014年)、「カークウォールのBa’ゲームにみる民俗フットボールの意味の変容―伝統行事からコミュニティ統合の契機へ」(『年報人類学研究』第10号、南山大学人類学研究所、2020年)、「英国に存続する民俗フットボールの研究―その存続状況と変容、存続の意味について」(『スポーツ健康科学研究』第40巻、東海体育学会、2018年)など。

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ジャコモ・レオパルディ―ロマン主義的自然観と〈無限〉の詩学

ジャコモ・レオパルディ

ロマン主義的自然観と〈無限〉の詩学

  • 古田耕史(著)/2022年3月
  • 6000円(本体)/A5判上製358頁
  • 装丁:毛利一枝

近代イタリア最大の抒情詩人とされるジャコモ・レオパルディ(1798-1837)の、日本で2冊目となる本格的研究書。詩集『カンティ』を中心に、表現内容ならびに語彙・文体・音声などの側面から詩を丹念に読み解き、散文作品『オペレッテ・モラーリ』『省察集』などとの比較検討を通じて、その詩想と詩作法の本質に迫る。またペシミズムの哲学者として、ショーペンハウアーやニーチェ、夏目漱石らに深い影響を与えたレオパルディの、世界観と思想の本源を明らかにする。

(ISBN 9784861108013)

目次|contents

緒言
第1部 詩と自然
序章

第1章 詩的霊感――レオパルディの詩論と詩作の方法

1. 初期の古典主義
2. 詩論の変化
3. 一瞥と熱狂の神性
4. 詩的霊感の条件
結論

第2章 レオパルディのロマン主義的自然観――スタール夫人との関係を中心に

1. ロマン主義の新しい自然観―生きた有機体としての自然
2. ドイツ思想とレオパルディの自然認識
3. スタール夫人の著作との出会い
4. レオパルディとスタール夫人の自然哲学
5. 反分析、反解剖
6. 自然と詩人
7. 自然の2つの相貌
結論

第3章 レオパルディにおける2つの〈自然〉

1. ペシミズムの拡大
2. 善としての自然観
3. 人間の運命と摂理的な自然
4. 悪としての自然観(『省察集』)
5. 悪としての自然(詩作品)
6. 自然にたいする2つの視点
7. 自死をめぐって
8. アーリマン
結論

第4章 詩論と自然観の平行性

1. “ロマン主義論争”への参加
2. 想定される論敵
3. 詩論の修正と自然観
4. 後期の詩論と詩作
結論

第2部 〈無限〉の詩学
序章

第1章 無限
1. 《無限》
1. 1. テクストの読解
1. 2. «vago e indefinito» ――漠としたものへの志向
2. 「無限」の標示
3. 「無限」に関わる諸概念
3. 1. 遠さ
3. 2. 夜
3. 3. 死
3. 4. 幸福
3. 5. 愛
3. 6. 無
4. 想像世界への越境
4. 1. «vo comparando» ―境界の消失
4. 2. 無感覚状態、エクスタシスの快楽
5. 音と聴覚
5. 1. 詩における聴覚の重要性
5. 2. 音楽と天上の観照
6. 二重の世界―《無限》の意味
結論

第2章 追憶
1. 《シルヴィアに》と過去の哀惜
2. 二世界説と想起説
3. 経験と記憶
4. 追憶と詩作
5. 追憶・夢と詩的霊感
結論

第3章 回帰と永遠
1. 双子のような詩
2. 《嵐の後の静けさ》の言語・文体
3. 《村の土曜日》の言語・文体
4. 追憶・回帰・永遠
5. レオパルディの詩とニーチェの〈永遠回帰〉
結論 追憶と生への意志

第4章 死
1. 死の瞑想
2. 死の永遠性と無限性
3. 死者の視点からの「死」
4. 「擬似的な」死
結論

第5章 愛
1. 「真の生」と愛
2. 《支配的思考》
3. 愛の永遠性と無限性
4. 愛の作用とその唯一性
結論 愛か死か

結語 詩と生の意義

補遺:Il sognoを読む
はじめに
1. 眠り
2. 夢
3. 「夢」の詩作
4. 《夢》における諸テーマ
5. 生と死のコントラスト
おわりに

あとがき
文献案内

著者|author

古田耕史(ふるた・やすし)
愛知県名古屋市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。イタリア政府奨学生としてパドヴァ大学に留学。専門はイタリア文学、比較文学。現在、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター准教授。

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『リスト全集』の出版

『リスト全集』の出版

  • 諸田實(著)/2022年2月
  • 3500円(本体)/四六判並製320頁
  • 装丁:長田年伸

主著に匹敵する懸賞論文がパリで発見、独・米の研究者の協力、思いがけない結末…
ナチスの足音が近づくなかで刊行された、一九世紀ドイツの経済学者フリードリッヒ・リストの『全集』。その編集と出版の経緯・困難に迫る

(ISBN 9784861107870)

目次|contents

まえがき
第1章 『リスト全集』の編集と出版(一九二七―一九三五年)―ナチスの足音が近付くなかで
第2章 ある懸賞論文の九〇年─執筆(一八三七年)から出版(一九二七年)まで
第3章 「フリードリッヒ・リスト協会」の事業─出版と学術大会
第4章 「フリードリッヒ・リスト協会」の「会報」から
あとがき
付録

著者|author

諸田實(もろた・みのる)
神奈川大学名誉教授

一九二八年静岡市に生まれる 一九五二年東京大学経済学部卒業

【主な著書】『ドイツ初期資本主義研究』有斐閣、一九六七年/『クルップ』東洋経済新報社、一九七〇年/『ドイツ関税同盟の成立』有斐閣、一九七四年/『フッガー家の遺産』有斐閣、一九八九年/『フッガー家の時代』有斐閣、一九九八年/『フリードリッヒ・リストと彼の時代』有斐閣、二〇〇三年/『晩年のフリードリッヒ・リスト』有斐閣、二〇〇七年/『〈新版〉西洋経済史』共著、有斐閣、一九八五年/『ドイツ経済の歴史的空間』共著、昭和堂、一九九四年/『近代西欧の宗教と経済』共著、同文館出版、一九九六年/『リストの関税同盟新聞』私家版、二〇一二年/『「新聞」で読む黒船前夜の世界』日本経済評論社、二〇一五年/『異色の経済学者 フリードリッヒ・リスト』春風社、二〇一八年

【訳書】クーリッシェル『ヨーロッパ中世経済史』共訳、東洋経済新報社、一九七四年/クーリッシェル『ヨーロッパ近世経済史』Ⅰ、Ⅱ 共訳、東洋経済新報社、一九八二、八三年

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都市を観る―社会地図で可視化した都市社会の構造

都市を観る

社会地図で可視化した都市社会の構造

  • 浅川達人(著)/2022年2月
  • 2700円(本体)/A5判並製188頁
  • 装丁:江森恵子(クリエイティブ・コンセプト)

目に見えない、手で触ることもできない社会を、どうやって可視化し、分析・考察するか
社会学ではこれまで、文字や数値によって社会を可視化し、さらに都市社会学では、社会地図を用いて社会を可視化した。
我々が暮らす都市を社会地図によって観る!

(ISBN 9784861107917)

目次|contents

序章 都市を観る視点―都市の社会構造と空間構造

第I部 社会地図研究の動向―歴史と活用方法
第1章 シカゴ生まれの欧米育ち
第2章 日本での研究蓄積
第3章 社会地図による社会空間構造の可視化

第II部 社会地図で可視化した都市社会空間構造
第4章 東京23区の社会空間構造の変化
第5章 東京圏の社会空間構造の変化
第6章 地方都市の社会空間構造

第III部 戦後日本都市の社会空間構造
第7章 人口移動から見た都市圏の形成過程
第8章 都市社会空間構造研究の展望と課題

著者|author

浅川達人(あさかわ・たつと)
1965年長野県生まれ。1995年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程満期退学。現在、早稲田大学人間科学学術院教授(都市社会学)。博士(社会学)。
東京都老人総合研究所研究助手、東海大学教員、放送大学教員、明治学院大学教員を経て、2020年より現職。
主著に、『東京大都市圏の空間形成とコミュニティ』(共編著、古今書院、2009年)、『現代都市とコミュニティ』(共著、放送大学教育振興会、2010年)、『21世紀社会とは何か―「現代社会学」入門』(共編著、恒星社厚生閣、2014年)、『現代コミュニティとは何か―「現代コミュニティの社会学」』(共著、恒星社厚生閣、2014年)、『格差社会と都市空間 東京圏の社会地図1990-2010』(共編著、鹿島出版会、2020年)。

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森鴎外、創造への道程

森鷗外、創造への道程みち

  • 小倉斉(著)/2022年1月
  • 5364円(本体)/四六判上製528頁
  • 装丁:毛利一枝

創造の現在へ
多種多様な人物との出会いから生まれた交響、共鳴、あるいは摩擦が、やがて鴎外の豊かな創造への道程みちを切り開くことになる。

(ISBN 9784861107894)

目次|contents

凡例
一 愕堂・魯庵・紅葉と鷗外の交響――鷗外宛書簡に見る出会いのドラマ
二 文学者鷗外の出発
三 鷗外、初期文学評論活動の一側面
四 「文学と自然」論争における鷗外――「「文学ト自然」ヲ読ム」の残した課題
五 「明治二十二年批評家の詩眼」における鷗外と忍月
六 鷗外・逍遙対立の淵源
七 鷗外と廃娼問題
八 森鷗外と久米桂一郎――学問と芸術の交響
九 森鷗外初期の文体意識
十 「舞姫」における文語文体再生の背景
十一 〈合評〉という名のドラマ――「三人冗語」「雲中語」の鷗外
十二 小倉時代、鷗外の一面
十三 明治文学における〈浦島説話〉の再生――露伴、鷗外、逍遙を中心に
十四 明治四十二年、鷗外の一面――小説の方法への模索
十五 金井湛の〈詞〉意識――「ヰタ・セクスアリス」論のために
十六 「青年」論――構造上の破綻をめぐって
十七 「高瀬舟」を読む――庄兵衛の眼差しが捉えたもの
十八 翻刻「護持院原の敵討」森鷗外自筆原稿

原題・初出一覧
あとがき
索引

著者|author

小倉斉(おぐら・ひとし)
日本文学研究者。愛知淑徳大学文学部国文学科教授。1951年岐阜県生まれ。1977年3月早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。著書に、高柴慎治との共訳書『夜窓鬼談』(春風社、2003年)、酒井敏・林正子・増田裕希との共編著『森鷗外書簡集3〈う-お〉編』(文京区立森鷗外記念館、2021年)等があり、論文に、「『夜窓鬼談』物語世界」(『新日本古典文学大系明治編3・漢文小説集』「月報」、2005年8月)、「澁澤龍彥、没後二〇年目の再生」(『日本近代文学』78集2008年5月)、「世界が眠ると言葉が眼を覚ます―詩人・寺山修司の〈言葉〉」(『愛知淑徳大学大学院文化創造研究科紀要』1、2014年3月)、「龍膽寺雄の挑戦―「放浪時代」を中心に―」(『愛知淑徳大学大学院文化創造研究科紀要』8、2021年3月)、「『高丘親王航海記』を読む―澁澤龍彥の最後の旅を追って―」(『愛知淑徳大学論集―文学部篇―』第46号別冊、2021年3月)等がある。

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自然と人生とのあいだ―自然主義文学の生態学

自然と人生とのあいだ

自然主義文学の生態学

  • 永井聖剛(著)/2022年1月
  • 4291円(本体)/四六判上製380頁
  • 装丁:矢萩多聞
  • 装画:ミロコマチコ

自然のうちに人生を見、人生のうちに自然を見る
〈自然〉とは、実体としての「自然」ではなく、自他の境界をいったん無化し、再編成する――類化を促す機縁あるいは環境であり、またその手段でもある。
「日本自然主義文学」を〈「自然」をめぐる近代思想〉という新たな視点から読みかえる。
(ISBN 9784861107900)

目次|contents

序章  思想としての〈自然〉
第一章 自然としての人生―徳冨蘆花『自然と人生』と無常観の近代
第二章 田舎教師の復讐―田山花袋『田舎教師』における自己肯定の方法
第三章 初期『中学世界』における〈文学〉の再編成―「中学=世界」への参与と逸脱
第四章 「文章=世界」を生きる中学生たち―『中学世界』から『文章世界』への移行
第五章 〈自然〉のインターテクスチュアリティ―田山花袋はニーチェをどう読んだか
第六章 精神主義は自然主義である―清沢満之と田山花袋、あるいは他力思想としての自然主義
第七章 修養と自然―青年の変容と中年の誕生
第八章 Kとは誰のことか―KとT、あるいは独歩と花袋
第九章 自然のコンポジション―田山花袋『時は過ぎゆく』の構図と構成
終章 〈自然主義〉の現在と未来

著者|author

永井聖剛(ながい・きよたけ)
1968年、静岡県生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。早稲田大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。
愛知淑徳大学創造表現学部教授。専門は日本近代文学。
主な著書に『自然主義のレトリック』(2008年、双文社出版)、論文に「異種混交体としての「です」調―山田美妙『白玉蘭(別名壮士)』にみる「大衆文学」への水脈―」(2015年、『日本近代文学』)など。

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日系インドネシア人のエスノグラフィ―紡がれる日系人意識

日系インドネシア人のエスノグラフィ

紡がれる日系人意識

  • 伊藤雅俊(著)/2022年1月
  • 4200円(本体)/A5判上製316頁
  • 装丁:中本那由子

日本でもインドネシアでもほとんど知られていない、しかし現に存在している人びとの記録。

太平洋戦争後もインドネシアに残留した日本兵たち。彼らとその子孫が、どのように日本を想いながら、今まで生活してきたのか。インドネシアと日本に住む四世代への調査を通して、「日系インドネシア人である」とはいかなることなのかを描く。

「戦争はあってはいけないことですが、悲惨な戦争が起こらなければ私は生まれていなかったわけです。我々日系人は存在していないわけです。本当に父親に感謝ですよ」(日系インドネシア人二世の語り 本文より)

(ISBN 9784861107696)

本書の「まえがき」を公開しています。こちらからご覧ください。

目次|contents

まえがき
序章

第1部 日系インドネシア人一世とオラン・ジュパン
第1章 スマトラ北部における日系インドネシア人一世
第2章 日系インドネシア人一世同士の交流
第3章 オラン・ジュパンとなった日系インドネシア人一世

第2部 日系インドネシア人二・三世の日系人意識
第4章 スマトラ北部における日系インドネシア人二・三世の現状
第5章 福祉友の会メダン支部の活動と役割
第6章 日系インドネシア人二・三世同士の出会いとその後の交流
第7章 日系インドネシア人二・三世の日本に対する想い
第8章 日本文化と日系人意識の保持

第3部 日系インドネシア人の渡日就労と日本での生活世界
第9章 日系インドネシア人の渡日就労
第10章 渡日就労者の世代交代と人的ネットワーク
第11章 日系インドネシア人の日本での生活世界
終章


参照文献
あとがき
索引

著者|author

伊藤雅俊(いとう・まさとし)
日本大学国際関係学部・助教
博士(国際関係) 専門は地域研究(東南アジア)
主な著作に、「オラン・ジュパンとなった日系インドネシア人一世たち ―スマトラ島北スマトラ州の事例から」(『国際文化表現研究』第17号、2021年)、「滞日インドネシア人ムスリムのイスラーム的実践―口にできるものを口にすればよい」(『比較生活文化研究』第27号、2020年)。主な訳書に『ジャパニーズ・ディアスポラ―埋もれた過去、闘争する現在、不確かな未来』(足立信子編、吉田正紀との共訳、新泉社、2008年)

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インド ムガル皇帝の肖像―ムガル細密画の光り輝く世界

インド ムガル皇帝の肖像

ムガル細密画の光り輝く世界

  • 宮原辰夫(著)/2022年1月
  • 3500円(本体)/A5判並製228頁
  • 装丁:矢萩多聞

ムガル皇帝一族の繁栄と没落の絵巻物語
ムガル帝国はアフガニスタンのカーブルからはじまる――かれらはインドの地に何を残したのか?
皇帝の回想記や欧州の旅行家・宣教師たちの旅行記を通して細密画を検証し、16~17世紀のムガル皇帝とその一族の栄枯盛衰を描く。

(ISBN 9784861107719)

目次|contents

序章 ローディー朝 最後のスルターン イブラーヒーム・ローディー
第1章 初代皇帝 バーブル
第2章 第2代皇帝 フマーユーン
第3章 第3代皇帝 アクバル
第4章 第4代皇帝 ジャハーンギール
第5章 第5代皇帝 シャー・ジャハーン
第6章 第6代皇帝 アウラングゼーブ

著者|author

宮原辰夫(みやはら・たつお)
文教大学国際学部教授。慶應義塾大学博士(法学)。専門は政治学・地域研究(南アジア)。著書に『イギリス支配とインド・ムスリム』(成文堂)、『インド・イスラーム王朝の物語とその建築物』(春風社)、『ムガル建築の魅力―皇帝たちが築いた地上の楽園』(春風社)、『講義 政治学入門―デモクラシーと国家を考える』(春風社)、共訳書に『イスラームと民主主義』(成文堂)、など。

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学校づくりの概念・思想・戦略―教育における直接責任性原理の探究

学校づくりの概念・思想・戦略

教育における直接責任性原理の探究

  • 石井拓児(著)/2021年12月
  • 4000円(本体)/A5判上製304頁
  • 装丁:長田年伸

学校自治や教育環境は、誰がいかにして決定するのか?
一九五〇年代以降の日本の管理統制的な教育政策への対抗から生じ、自主的・創造的な教育活動としてはじめられた「学校づくり」概念の成立過程を、法制度・課程計画・実践運動の面から多角的に考察。現代の新自由主義的な教育政策による「特色ある学校づくり」といった改革が来した課題を指摘し、民主的な教育活動を保障する社会制度、および地域的・共同的な関係性の再構築に向けて、その意義と方法枠組みを提言する。
(ISBN 9784861107580)

目次|contents

序章 学校づくりと教育の自由と自主性
第一章 一九五〇年代における学校づくり概念の発生とその源流――民間教育運動における学校づくり実践
第二章 教育の国家統制と学習指導要領の変質――学習指導要領の基準性と排除性をめぐる問題
第三章 地教行法体制の成立と学校運営秩序の整備――学校の経営管理からの教職員の排除過程
第四章 学校づくりの基礎的原理としての内外事項区分論と教育課程の経営戦略
第五章 学校づくり実践の具体的展開と住民自治
第六章 教育における公共圏形成の課題と学校づくりのダイナミズム
第七章 新自由主義教育改革下の学校づくりの困難と危機
結章 学校づくりの総合的考察
文献一覧
あとがき
索引

著者|author

石井拓児(いしい・たくじ)
一九七一年、北海道生まれ。奈良で育つ。名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程単位所得満期退学。博士(教育学)。現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科生涯発達教育学講座教授。専門分野は教育行政学、教育法学。主な共編著に『コンメンタール教育基本法』(学陽書房、二〇二一年)、『教職員の多忙化と教育行政――問題の構造と働き方改革に向けた展望』(多賀出版、二〇二〇年)、『新自由主義大学改革――国際機関と各国の動向』(東信堂、二〇一四年)。主要論文に「新自由主義大学改革と大学財政システムの変容―日本型大学財政システムの歴史的特質と問題点」(『法の科学』五〇、二〇一九年)、「公教育財政制度の日本的特質と教育行政学研究の今日的課題――教育における福祉国家論と内外事項区分論争を手がかりに」(『日本教育行政学会創立50周年記念誌』二〇一六年)など。

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