現代の皮膚感覚をさぐる―言葉、表象、身体

現代の皮膚感覚をさぐる

言葉、表象、身体

  • 平芳幸浩(編)/2023年3月
  • 3700円(本体)/四六判上製264頁
  • 装丁:コバヤシタケシ
  • 装画:げこる 「ここかも」(2021年)

デジタル・デバイスが浸透し、ヴァーチャルな空間での活動が増加する現代社会においてもなお/であるからこそ、皮膚はファジーで錯綜的、非局所的な身体感覚のトポス(在処)としてある。
現代の表現行為や日々の営為における皮膚感覚、その意義と可能性に触れなおす。

(ISBN 9784861108495)

目次|contents

序論  皮膚感覚について [平芳 幸浩]
第1章  かゆみの哲学断章―哲学的触覚論のゆくえ  [藤田 尚志]
第2章  皮膚と時間―作品の「身体」性格を再考する  [若林 雅哉]
第3章  陶器のようにつるりとした背中―村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』における皮膚  [高木 彬]
第4章  シームレスの美学―ファッションと皮膚感覚  [平芳 裕子]
第5章  プラスチックが蠢く、プラスチックと蠢く―『寄生獣』における皮膚(感覚)  [太田 純貴]
第6章  ピピロッティ・リストのヴィデオ・インスタレーションにおける皮膚感覚  [牧口 千夏]
第7章  皮膚感覚としての「建築する身体」―荒川修作+マドリン・ギンズあるいはヘレン・ケラー  [平芳 幸浩]
第8章  サーフェスとイメージ―新しい映像創作がもたらす皮膚感覚  [池側 隆之]

あとがき
参考文献一覧
執筆者一覧

編者|editor

平芳幸浩(ひらよし・ゆきひろ)
京都工芸繊維大学デザイン・建築学系 教授。近現代美術。
主な著作に、『マルセル・デュシャンとは何か』(河出書房新社、2018年)、『日本現代美術とマルセル・デュシャン』(思文閣出版、2021年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

近代市民社会の信仰と音楽―オラトリオは「聖」か「俗」か

近代市民社会の信仰と音楽

オラトリオは「聖」か「俗」か

  • 瀬尾文子(著)/2023年3月
  • 5000円(本体)/A5判上製420頁
  • 装丁:毛利一枝

キリスト役を一人の歌手が担うのは不遜なこと?

19世紀ドイツの市民社会において、オラトリオという「教会と歌劇場の間」で揺れ動くジャンルは、どのように変容したのか。メンデルスゾーン作《エリヤ》の楽曲分析などをもとに、宗教的な題材の芸術化、また、それを演奏するということについて一考を促す刺激的著作。

(ISBN 9784861108389)

目次|contents

序――教会音楽の世俗化の論理を問う

【第一部】
第一章 オラトリオは教会音楽か?―― 一九世紀におけるジャンル概念の拡大
1.オラトリオ・ブームと議論の勃発
2.流行の要因――ナショナリズムと教養主義
3.新ジャンル創設の意識
4.素材の問題

第二章 オラトリオの物語はいかに表すべきか――オラトリオ論における詩の形式の議論
1.詩の三形式(エピック・リリック・ドラマチック)
2.オラトリオ論の流れ――リリックからドラマチックへ
3.エピック派の少なさと時代の趣向
4.趣向の変化の要因――リアリティおよびエンターテインメント性の追求

第三章 キリスト役は歌ってよいか――聖なる存在の具象化の問題
1.ベートーヴェン《オリーヴ山のキリスト》(一八〇三年ヴィーン初演)
2.シュポーア《救世主の最期のとき》(一八三五年カッセル初演)

第四章 オラトリオは何を主題とすべきか――崇高の表現への挑戦
1.「崇高」概念とオラトリオの関連
2.「最後の審判」オラトリオ二作品の概要
3.アーペルの作品構想と「崇高」概念
4.ロホリッツの作品構想と「崇高」概念

【第二部】
第五章 実際の演奏の場の宗教性――ニーダーライン音楽祭の場合
1.一九世紀前半のドイツの音楽祭
2.ニーダーライン音楽祭の実態
3.ニーダーライン音楽祭が目指したもの

第六章 メンデルスゾーン《エリヤ》のドラマ・トゥルギー――独自のエンターテインメント性の追求
1.作風の変化の理由
2.シュープリング宛書簡中の「ドラマチック」への言及
3.「ドラマチック」の内実の分析
4.根本主題「見えざる神の接近」
5.根本主題の意義――なぜ、「見えざる神の接近」だったか

結語――宗教と娯楽を両立させるドラマチック・オラトリオ

付録 《エリヤ》全体像

著者|author

瀬尾文子(せお・ふみこ)
国立音楽大学准教授。東京大学大学院人文社会研究科博士課程修了(美学芸術学専攻)。博士(文学)。日本シェリング協会第一六回研究奨励賞受賞。主な論文に「ファニー・ヘンゼルのカンタータ《ヨブ》」のジェンダー論的解釈試論」(『美学美術学研究37』二〇一九年)などがある。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

賢治の前を歩んだ妹 宮沢トシの勇進

  • 山根知子(著)/2023年3月
  • 4500円(本体)/四六判上製500頁
  • 装丁:毛利一枝

宮沢トシ自身の言葉による資料を読み解くことによりトシの実像に迫り、それへの賢治のまなざし、兄妹の精神のエコーを聴きとる。

(ISBN 9784861108679)

目次|contents

第 一 部 〈評伝〉宮沢トシの生涯と信仰
一 「信仰を一つにするたつたひとりのみちづれ」
二 成瀬仁蔵・宮沢トシ・宮沢賢治 略年譜
三 トシ誕生から花巻高等女学校時代まで
四 日本女子大学校四年間について
五 卒業後の「自省録」執筆から母校教員へ
六 「真実ノ為ノ勇進」

第二部 資料を通してみるトシの精神的軌跡
第一章 【花巻高等女学校在学中のトシ資料】
一 花巻高等女学校一年   1911(明治44)年度
二 花巻高等女学校二年   1912(明治45・大正元)年度
三 花巻高等女学校三年   1913(大正2)年度
四 花巻高等女学校四年   1914(大正3)年度
第二章 【日本女子大学校在学中のトシ資料】
一 日本女子大学校予科   1915(大正4)年度
二 日本女子大学校本科一年 1916(大正5)年度
三 日本女子大学校本科三年 1917(大正6)年度
四 日本女子大学校本科四年 1918(大正7)年度
五 卒業関係資料
六 未確認資料・トシの答案「信仰とハ何ぞや教育とハ何ぞや」
――成瀬仁蔵の〈信仰と教育〉思想と学生たちの答案から探る
第三章 【日本女子大学校卒業後療養中のトシ資料】
第四章 【花巻高等女学校教員時代のトシ資料】

第三部 トシの学びから賢治へ
第一章 賢治の前を歩んだトシ―信仰・死生観・病気・自省・愛
第二章 賢治の死後世界への意識の変遷―トシのメーテルリンク受容との関わりから
第三章 賢治の「宇宙意志」――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの関連
第四章 賢治の芸術観――トシ・成瀬仁蔵・タゴールとの共鳴
第五章 トシの学びと賢治
――日本女子大学校時代の教師、福来友吉・高島平三郎・阿部次郎を通して
第六章 トシとつながるキリスト者と賢治

あとがき

著者|author

山根知子(やまね・ともこ)

1964年岡山市生まれ。ノートルダム清心女子大学文学部教授。博士(文学)。早稲田大学第一文学部卒業。日本女子大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近代文学および日本児童文学。
著書に、『宮沢賢治 妹トシの拓いた道─「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)、『わたしの宮沢賢治──兄と妹と「宇宙意志」』(ソレイユ出版)。
共著に、『イーハトーヴからのいのちの言葉──宮沢賢治の名言集』(角川書店)、『宮沢賢治を読む』(笠間書院)、『宮沢賢治──驚異の想像力 その源泉と多様性』(朝文社)、『宮澤賢治の深層──宗教からの照射』(法藏館)、『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』(笠間書院)など。
その他の共著に、『人物書誌大系47 坪田譲治』(日外アソシエーツ)、『日本女子大学に学んだ文学者たち』(翰林書房)、『赤い鳥事典』(柏書房)など。
受賞に、著書『宮沢賢治 妹トシの拓いた道──「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)により第14回宮澤賢治賞奨励賞受賞(花巻市)。論文「宮沢賢治の文学と浄土真宗信仰──信仰の重層性の基層から」により第32回暁烏敏賞受賞(白山市)。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

躍動する聖地―マダガスカル・イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成と発展

躍動する聖地

マダガスカル・イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成と発展

  • 江端希之(著)/2023年3月
  • 5200円(本体)/A5判上製480頁
  • 装丁:矢萩多聞

宗教専門紙記者を経てアフリカ研究者を志した筆者が、精霊の息づく島国マダガスカルで出会ったのは、国内外から多数の巡礼者を集める聖地ドゥアニ。
どこか日本の神社にも似た雰囲気をもつ精霊祭祀の聖地ドゥアニで繰り広げられる、躍動する祈りの実践を、信仰を形作る様々なモノやイメージに着目し描き出す
(ISBN 9784861108501)

目次|contents

はじめに―マダガスカルに神社の幻影を求めて

序章

第Ⅰ部  ドゥアニ信仰の背景と構成
第1章 イメリナ地方における伝統宗教と社会制度・世界観・人間観
第2章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の構成要素
第3章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰と他の宗教の関係性

第Ⅱ部  ドゥアニ信仰の生成
第4章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の生成
第5章 サカラヴァ・ブイナ地方におけるドゥアニ信仰の歴史と変化
第6章 憑依儀礼チュンバの考察
第7章 西インド洋に広がるドゥアニ信仰

第Ⅲ部  ドゥアニ信仰の発展
第8章 イメリナ地方におけるドゥアニ信仰の具象化
第9章 ドゥアニを巡礼する人々
第10章 聖地マンガベの生成と発展
第11章 マンガベにおける日常実践
第12章 ドゥアニにおける権力関係

終章
あとがき
参考文献
索引

著者|author

江端 希之(えばた・まれゆき)
1980年静岡県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。
博士(地域研究)。専門はアフリカ地域研究、宗教研究。
宗教専門新聞『中外日報』記者、日本学術振興会特別研究員DC、京都大学アフリカ地域研究資料センター機関研究員などを経て、現在、和布刈神社(北九州市)に権禰宜として奉職。
また現在、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員、大阪大学外国語学部非常勤講師、全国マダガスカル伝統治療師協会(伝統治療師)。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

〈怒り〉の文学化―近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

〈怒り〉の文学(テクスト)化

近現代日本文学から〈沖縄〉を考える

  • 栗山雄佑(著)/2023年3月
  • 4200円(本体)/四六判上製444頁
  • 装丁:矢萩多聞

戦後50年の節目の年、1995年。1月17日、阪神・淡路大震災発生。3月20日、地下鉄サリン事件発生。そして9月4日、沖縄県民にとって衝撃の事件が起こる。さまざまな暴力の記憶が甦り、長年押し殺してきた〈怒り〉が噴出する!
〈怒り〉を暴力として放出するのではなく、文学で昇華させることはできるのか。

(ISBN 9784861108587)

目次|contents

序章 今、「沖縄」の文学を読むということ

第1部 〈一九九五年九月四日〉へ至る道―浮上する暴力の記憶
第1章 補填された欲望/裂け目からの〈叫び〉―又吉栄喜「ギンネム屋敷」論
第2章 眼前のフェンスを〈撹乱〉するために―又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
第3章 テロル・皇族・沖縄を再考するための〈弱さ〉―目取真俊「平和通りと名付けられた街を歩いて」論
第2部 「希望」が提起したもの―〈一九九五年九月四日〉から立ち上がる記憶・抵抗
第4章 浮上する記憶/すれ違う記憶―〈一九九五・九〉以後の文学における初期反応
第5章 〈怒り〉の連環を止める方途―目取真俊「希望」論
第6章 誰がために〈怒り〉を言語化するのか―目取真俊「虹の鳥」論

第7章 語られぬ記憶を〈放出〉する器官―目取真俊「水滴」を読み替える
第3部 他者の声で変容する聞き手―沖縄の声を聞き受けるために
第8章 被害記憶理解への欲望と違和―目取真俊「群蝶の木」論
第9章 〈ノイズ〉混じりの証言を聞き受けること―崎山多美「月や、あらん」論
第10章 沖縄で「そんなにまでして生きないといけない」者に向けて―目取真俊「眼の奥の森」論

終章 「十年後」の「希望」を夢想して

著者|author

栗山雄佑(くりやま・ゆうすけ)
1990年大阪府生まれ。
立命館大学卒業、立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。現在、立命館大学文学研究科初任研究員。専門は、近現代日本文学・文化、「沖縄」文学。
主な論文に、「癒し得ぬ傷の解消の術を求めて―崎山麻夫「ダバオ巡礼」論」(『立命館言語文化研究』第34巻第1号、2022年)、「〈聞き受け〉つつも〈再生〉できない声―目取真俊「マーの見た空」論」(中川成美、西成彦(編)『旅する日本語―方法としての外地巡礼』松籟社、2022年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

インターフェイス・スピリチュアルケア―永遠と対話の根源へ

インターフェイス・スピリチュアルケア

永遠と対話の根源へ

  • 小西達也(著)/2023年3月
  • 5000円(本体)/四六判並製コデックス456頁
  • 装丁:長田年伸
  • 装画:moineau

「異なる信仰間の」を意味するインターフェイスな関係性において終末期患者への心のケアはいかにして可能か。理論化への真摯な問い。

(ISBN 9784861108662)

目次|contents

はじめに

1.序論
第一部 万人に受容可能な世界観に基づいたスピリチュアルケア理論(第一理論)
2.スピリチュアルケアの定義・理論に求められるもの
3.スピリチュアルケア第一理論
4.スピリチュアルケア第一理論の吟味
第二部 「東洋哲学」的世界観に基づくより統合的なスピリチュアルケア理論(第二理論)の構築
5.第一理論の基盤世界観の限界
6.統合的理論の基盤世界観の候補としての井筒モデル
7.スピリチュアルケア第二理論の基盤世界観―NOTS(ノッツ)デル―
8.スピリチュアルケア第二理論
第三部 まとめ
9.スピリチュアルケア第一理論と第二理論のまとめ
10.NOTSモデルのさらなる可能性に向けて

おわりに――筆者の人生の中での本書の位置づけ
あとがき
基本用語集
参考文献
事項索引/人名索引

著者|author

小西達也(こにし・たつや)
武蔵野大学教授。1967年静岡県生まれ。1992年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。(株)日立総合計画研究所、経営コンサルティング会社取締役を経て米国カリフォルニア州アルタ・ベイツ・サミット医療センター チャプレン、米国ハーバード大学神学大学院修士課程修了。東札幌病院チャプレン、爽秋会岡部医院チャプレンを経て、2013年から現職。博士(京都大学)。
専門はスピリチュアルケア論、スピリチュアリティ論。日本臨床宗教師会理事、日本スピリチュアルケア学会理事、日本臨床死生学会評議員。主な著書(共著)は『仏教とスピリチュアルケア』(東方出版、2008年)、The MASCC Textbook of Cancer Supportive Care and Survivor-ship (Springer、2010年)、『チームがん医療 実践テキスト』(先端医学社、2011年)、『グリーフケア入門』(勁草書房、2012年)、『無心のケア』(晃洋書房、2020年)。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

恵みありて、インジェラに集う―エチオピア正教徒の食をめぐる生活誌

恵みありて、インジェラに集う

エチオピア正教徒の食をめぐる生活誌

  • 上村知春(著)/2023年2月
  • 6000円(本体)/A5判上製540頁
  • 装丁:中本那由子

一年の半分を「断食」して過ごす、エチオピアのキリスト教徒たち。かれらにとって、「食べること」「食べないこと」は、いったいどういうものなのだろうか。主食のクレープ「インジェラ」や、コーヒーをはじめとする食べ物・飲み物の生産-調理-消費からみる、「食と宗教」、そして生活。

(ISBN 9784861108297)

目次|contents

はじめに
序章
第1章 アムハラの地理と人、暮らし
第2章 エチオピア正教徒の食生活を基礎づける暦―よき信徒としての実践
第3章 食事の様式
第4章 食事の基盤「インジェラ」―主食と副食のセット
第5章 日常生活に欠かせない飲み物―穀物からつくる酒
第6章 穀物の栽培―インジェラと酒の原料
第7章 インジェラとはちがうよろこび―主食穀物をもとにつくられる軽食
第8章 「非断食の食べ物」―動物性食品
第9章 コーヒーを淹れて、皆とともに飲む
第10章 食べ物の価値判断―「ふさわしさ」と「おいしさ」、有用性
第11章 食の仕事にたずさわる―食材や料理との向きあい方
第12章 調理の担い手の実践―調理者であること、調理者になること
第13章 飲食をつうじて神の力を享受する
第14章 暦に沿った祝い日
終章

おわりに
参照文献
索引

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。

●34ページ(太字下線部が訂正箇所)

(誤)テフの名はアムハラ語で「消える(タッファ)」を意味する単語に由来し、じっさいに、穀粒の大きさは長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒あたりの重さは二グラムしかない(写真 序-2)(重田 2003: 220–221; Taylor & Emmambux 2008)。

(正)テフの名はアムハラ語で「消える(タッファ)」を意味する単語に由来し、じっさいに、穀粒の大きさは長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒あたりの重さは〇・三~〇・四グラムしかない(重田 2003: 220–221; Simoons 1960: 100も参照)(写真 序-2)。

 

●188ページ(太字下線部が訂正箇所)

(誤)序章では、テフがいかに小さいか(長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒重約二グラム)に言及したが、シコクビエも十分に小さい。

(正)序章では、テフがいかに小さいか(長径一〜二ミリメートル、幅〇・六〜一ミリメートル、千粒重約〇・三グラム)に言及したが、シコクビエも十分に小さい。

 

著者|author

上村知春(かみむら・ちはる)
国立民族学博物館外来研究員
アフリカ地域研究、食研究、人類学
主な著作に、「聖日を「祝う」──エチオピア正教会信徒の食の実践に着目して」(『文化人類学』印刷中)、「シコクビエ栽培の民族誌的研究── エチオピア北西部アムハラ州西ゴッジャム県の事例」(『農耕の技術と文化』31、2022年)など

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

今に向き合い、次につなぐ―諏訪大社御柱祭の祭礼民俗誌

今に向き合い、次につなぐ

諏訪大社御柱祭の祭礼民俗誌

  • 石川俊介(著)/2023年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製406頁
  • 装丁:長田年伸

六年に一度あるが、毎回同じものではない。
「暴力」や「危険」、「伝統」や「素朴」だけではない。

時代とともに移ろい、生身の人間たちが生々しく生きる生活の一部である、諏訪大社御柱祭。この大規模な祭礼の今の姿を、「反復」される中にある「一回性のもの」に着目しながら多角的に描き出す。
(ISBN 9784861108488)

目次|contents

はじめに
序論

第Ⅰ部 御柱祭概説
第1章 御柱祭

第Ⅱ部 御柱の来歴
第2章 樅の木が御柱になる―用材調達
第3章 御柱を曳く―曳き綱はいかに製作されるのか
第4章 御柱を「ご神木」にする―木遣り唄の役割
第5章 欠片を頂く、古い御柱を拝戴する―創造されるモノとしての御柱の価値

第Ⅲ部 祭りをめぐる人々と社会
第6章 行事を生み出す―下社木落しの「発明」
第7章 祭りを規制する―御柱祭と「暴力」
第8章 価値を語る―死傷者の「話」は何を表現するのか
第9章 資源化する―観光イベントで表現される御柱祭

結論 今に向き合うこと、次につなぐこと

おわりに
初出一覧
参考文献
索引

著者|author

石川俊介(いしかわ・しゅんすけ)
追手門学院大学社会学部・講師
文化人類学、民俗学

主な著作に、「歌唱行為によって遂行される「儀礼」――諏訪大社御柱祭の木遣り唄と事例として」(『年報人類学研究』13、2022年)、「御柱祭における曳き綱製作――富士見町富士見地区を事例として」『信濃』74(6)、2022年)、「聞きづらい「話」と調査者――諏訪大社御柱祭における死傷者の「話」を事例として」『日本民俗学』268、2011年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

住宅をめぐる〈欲望〉の都市論―民間都市開発の台頭と住環境の変容

住宅をめぐる〈欲望〉の都市論

民間都市開発の台頭と住環境の変容

  • 吉江俊(著)/2023年2月
  • 3500円(本体)/A5判並製コデックス装384頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

都市の住宅は、わたしたちは、いったい何を欲してきたのだろう? 
民間による商品住宅開発が大都市の「普通の暮らし」を再編して30余年。新自由主義の住宅政策への転換・民間住宅開発の台頭・首都の再都市化・人口の都心回帰、これらが混然一体となる「第二の都市化」のなかで進行してきた住宅とまちの変化を眺望する。

序論「「欲望の都市論」序説―大都市と農村の往復から都市論を編む」を公開しています[pdfファイルが開きます]

(ISBN 9784861108280)

目次|contents

序  「欲望の都市論」序説―大都市と農村の往復から都市論を編む

第Ⅰ部  ふたつの都市化
第1章  過渡期の空間―住宅の変容から「第二の都市化」をとらえる
第2章  前史―「マンション」の登場と住宅の商品化

第Ⅱ部  欲望と暮らしのモード
第3章  住環境への欲望と都心回帰
第4章  「第二の都市化」と暮らしのモードの30年史
補論1  都心居住の呪いを解く試み―「戸建て感覚」と「ホテルライク」な住宅の出現

第Ⅲ部  欲求の階層性と住宅選択
第5章  住環境への欲求と居住者像
第6章  「第二の都市化」の時代の住宅選択

第Ⅳ部  遷移する地域とジェントリフィケーション
第7章  マンション開発と地域像
第8章  遷移する地域のフィールドワーク
第9章  東京のみえない格差と息苦しさの地理学
補論2  3つの大都市のジェントリフィケーション

結  「第二の都市化」はどこへ向かうか―都市論と都市計画の円環へ

あとがき
索引

図集  住環境をめぐる「欲望」の地図
写真  「第二の都市化」の風景
年譜  住宅をめぐる「第二の都市化」の展開

著者|author

吉江俊(よしえ・しゅん)
早稲田大学建築学科講師、博士(工学)。専門は都市論・都市計画論。
日本学術振興会特別研究員、ミュンヘン大学訪問研究員を経て現職。自治体・住民と協働した地方市町村のまちづくり、民間企業と協働の都市再生や「迂回する経済」の実践研究まで幅広く行う。近年は早稲田大学キャンパスマスタープラン作成、東京都現代美術館「吉阪隆正展」企画監修など。
著書に『無形学へ かたちになる前の思考――まちづくりを俯瞰する5つの視座』(共著、水曜社、2017年)、『クリティカル・ワード 現代建築―社会を映し出す建築の100年史』(共著、フィルムアート社、2022年)、『コミュニティシップ――下北線路街プロジェクト。挑戦する地域、応援する鉄道会社』(共著、学芸出版社、2022年)、『吉阪隆正 パノラみる』(共著、ECHELLE-1、2022年)。
本書が初の単著となる。継続するテーマを扱った次作として、『迂回する経済の都市論』が近刊予定。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか―現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌

ヴァールミーキはどこへ行けばよいのか

現代インドの清掃人カースト差別と公衆衛生の民族誌

  • 増木優衣(著)/2023年2月
  • 4500円(本体)/A5判上製358頁
  • 装丁:矢萩多聞

インド社会の排泄物処理を含むサニテーションをその末端で担ってきた、「清掃人カースト」ヴァールミーキの人びと。
ガーンディーの思想を受け継ぐNGOをはじめ、人道的使命に突き動かされた様々な人びとの闘いにより、排泄物処理人たちは、不潔で不浄な労働や差別から「解放」されていったとされている。
しかしながら実際に、彼らはいかなる労働を行い、そこにどのような意味づけを主体的になしてきたのだろうか。そして彼らの社会的な位置づけはいかに変化し、彼らはどこへ向かっているのだろうか。

(ISBN 9784861108273)

目次|contents

序論
第1章 清掃人カースト研究と本書のねらい
第2章 調査地のヴァールミーキとNGOスラブ
第3章 英領インドにおける乾式トイレ・システムと清掃人
第4章 地域の排泄物処理システムとヴァールミーキ
第5章 不可触民解放運動と水洗トイレ普及運動の歴史
第6章 乾式トイレの廃絶とヴァールミーキの労働実践の変容
第7章 公衆衛生的言説の創造的利用と新たな葛藤
結論 ケガレの積極的受容と差別のはざまで
あとがき
参考文献
索引

著者|author

増木優衣(ますき・ゆい)
日本学術振興会特別研究員(PD)
文化人類学、南アジア地域研究
主な著作に、「サニテーション労働とカースト: インドの事例から」(中尾世治・牛島健編『社会・文化からみたサニテーション』講座サニテーション学 第2巻、北海道大学出版会、2023年春刊行予定)、“Ideas and Practices for Restoring the Humanity of Sanitation Workers in India,” (T. Yamauchi, S. Nakao, and H. Harada eds., The Sanitation Triangle: Socio-Culture, Health and Materials, Singapore, Springer, 2022)、 “Historical Development of Low-Cost Flush Toilets in India: Gandhi, Gandhians, and ‘Liberation of Scavengers’,” (Sanitation Value Chain, 2(1), 2018)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する