憲法上のポピュリズム宣言―「ここでは人々が支配する」

憲法上のポピュリズム宣言

「ここでは人々が支配する」

  • リチャード・D・パーカー(著)、池端忠司(訳)/2022年8月
  • 3500円(本体)/四六判並製186頁
  • 装丁:長田年伸

トーマス・マンの小説『マーリオと魔術師』を素材にして、一般民衆の政治的エネルギーについての二つの感性「反-ポピュリズムの感性」と「ポピュリズムの感性」を分析し、両者に代わる新たなポピュリズムの感性を再定位。
大衆への蔑視とエリート主義による〈立憲主義〉を批判し、憲法についての議論のあり方を感性との関係で問い直す。

(ISBN 9784861108150)

目次|contents

第1章 政治的エネルギー
第1節  第一の「見方」
第2節  第二の「見方」

第2章 「高次の」法とは何か
第1節 普通の政治的エネルギーに関する二つの「見方」
第2節 反-ポピュリズムの優勢
第3節 なぜ「二重の見方」をするのか
第4節 「二重の見方」をすること

訳者あとがき

著者|author

リチャード・D・パーカー(Richard D. Parker)

1945年生まれ。1967年にスワースモア大学を卒業し、1970年にハーバード大学ロースクールを修了。学部時代、ニューヨークの上院議員ロバート・F・ケネディの下で働く。1970年から1971年までコロンビア特別区控訴裁判所のJ・スケリー・ライト裁判官、1971年から1972年までアメリカ合衆国最高裁判所のポッター・スチュワート裁判官の下で書記官を務める。 その後、子供防衛基金で弁護士として働き、1974年からハーバード大学ロースクールで教鞭をとる。現在は同大学ロースクールのポール・W・ウィリアムズ刑事司法教授であり、憲法と刑法を教える。また、アメリカの非営利団体でアメリカ国旗を物理的冒瀆行為から守る憲法改正を推進するための市民国旗同盟の会長も務める。主著に本書がある。

訳者|translator

池端忠司(いけはた・ただし)
神奈川大学法学部教授。論文に「寛容・コンテクスト・原理―表現の自由と「抑圧的寛容」」(東京大学社会情報研究所編『放送制度論のパラダイム』東京大学出版会、1994年)、「米国における公的文化助成と表現の自由」(『香川大学法学部創設二十周年記念論文集』成文堂、2005年)、「プロイセン対ライヒ事件をめぐるドイツ憲法理論―英語圏のダイゼンハウスの道案内で」(『憲法理論とその展開―浦部法穂先生古稀記念』信山社、2017年)などがある。翻訳に『寛容な社会―アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論』(春風社、2018年)、『合法性と正当性―ワイマール期におけるカール・シュミット、ハンス・ケルゼンおよびヘルマン・ヘラー』(春風社、2020年)がある。

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石敢當の比較研究―中国・沖縄・鹿児島・奄美

石敢當の比較研究

中国・沖縄・鹿児島・奄美

  • 蒋明超(著)/2022年7月
  • 4200円(本体)/A5判上製330頁
  • 装丁:中本那由子

沖縄・鹿児島を中心に日本各地に分布する魔除けの石、石敢當。資料・実物調査を基に、中国からの伝播の経緯や現在の状況を探究する。
(ISBN 9784861107535)

目次|contents

序章 石敢當の比較研究を行う必要性
第1章 「石敢當」誕生推論
第2章 石敢當と泰山石敢當の異同―中国山東省泰安市岱岳区西南望村における石敢當調査の問題解明
第3章 中国北方と南方における石敢當の比較研究―山東省と福建省を例に
第4章 日本における泰山石敢當の受容
第5章 「閩人三十六姓」と琉球の石敢當受容
第6章 物から見る琉球(沖縄)の石敢當受容
第7章 薩摩の石敢當の中国伝来の可能性―倭寇や唐人町を中心に
第8章 物から見る旧薩摩領の石敢當受容
第9章 奄美諸島の石敢當受容―喜界島・奄美大島・徳之島を中心として
終章 結論と今後の課題

著者|author

蒋明超(ショウ・メイチョウ)
1987年生まれ、中国山東省出身。
2021年3月に神奈川大学大学院歴史民俗資料学専攻の博士学位を取得。
現在は中国の泰山学院泰山研究院に勤めている。

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現代日本農業論考

現代日本農業論考

存在と当為、日本の農業経済学の科学性、農業経済学への人間科学の導入、食料自給力指標の罠、飼料用米問題、条件不利地域論の欠陥、そして湿田問題

  • 小川真如(著)/2022年6月
  • 7200円(本体)/A5判上製572頁
  • 装丁:長田年伸

日本の農業はどうあるべきか? どう考えていけばよいのか?
科学性を確保せんがため「~すべき」という当為命題を排することで独断主義と相対主義の隘路に陥っている農業経済学の現状と正面から対峙。主観、当為を扱うことを可能とする考え方として、現象学に依拠した人間科学の導入を提案し、〈考えていくための考え方〉を基礎づける。

(ISBN 9784861107887)

目次|contents

序論 現代日本農業における技術論の再興と農業経済学の転回に向けた試み

第一章 技術・経済・農業―現代日本農業における「技術」の位置づけの再設定に向けて
第一節 本書の構成
第二節 技術論という未解決問題
第三節 人間の主体性を扱いきれなかった農業技術論
第四節 「存在」(である)と「当為」(すべき)をめぐる葛藤と日本の農業経済学
第五節 農業の意味と価値、そして当為―現代日本農業の意味と価値が乱立している理由

第二章 農業経済学に人間科学を導入する必要性とその方法―「農」の多様化に学問として対応する方法
第一節 人間科学とは何か、そしてその意義―フッサール現象学により解決される問題
第二節 難しくない分析方法―農業経済学における新たな手法の提案
第三節 分析方法の独自性―実証主義批判への弁解
第四節 那須皓、柏祐賢の農学論の限界―フッサールとリッケルトの対比
第五節 筆者の提案する新たな考え方の特徴についての補足―祖田修の農学論、および柏久や神門善久による日本の農業経済学界批判に対する筆者の見解
第六節 求められる人間科学の視点―国際秩序下の農業技術、水田利用再編主体としての農業再生協議会

第三章 人口減少社会における農業技術―農地が余る転換点の到来と、食料自給力指標の罠
第一節 人口と農業技術
第二節 人口減少下の農地と農業技術―転換点Pの到来によって出現する領域X
第三節 多様化する日本農業の最後の結束点としての食料安全保障―二〇二〇年食料・農業・農村基本計画の注目すべきポイント
第四節 食料自給力指標の罠―食料安全保障論によって遮蔽される領域Xの議論
第五節 戦略的な技術指針の必要性―求められるのは領域Xを見据えた方針
第六節 モデルへの自己批判と反批判

第四章 なぜ飼料用米を取り上げるのか―「飼料用米問題」とは何か
第一節 飼料用米とは何か
第二節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉―ベン図を用いた概念の整理
第三節 〈米の飼料利用〉に関する統計データの不足
第四節 〈米の飼料利用〉と〈飼料用米の飼料利用〉でみえてくる飼料用米問題の一端
第五節 フラスコの中の飼料用米―飼料用米の仮初め的性格と自己準拠的性格
第六節 飼料用米問題―飼料用米はいかにして存在するか、そして存在を規定する当為命題

第五章 〈〔研究対象―論文―学者―謝辞〕の入れ子構造〉をめぐる論考―本書の謝辞
第一節 本書の途中に謝辞を配置する理由
第二節 本論考の経緯
第三節 〈飼料用米をめぐる入れ子構造〉
第四節 〈〔研究対象-論文-学者-謝辞〕の入れ子構造〉
第五節 前著『構造』と本書、それぞれの特徴
第六節 お世話になった方々

第六章 新釈:角田重三郎の飼料用米論―植物育種学者・角田重三郎博士が飼料用米を研究した理由とは何か
第一節 飼料用米研究における先駆者としての位置
第二節 米の過剰問題の元凶としての内省と飼料用米研究の発端―多収性の追求という当為の自覚
第三節 角田構想とその特徴―水田における米のフル生産のために提案された飼料用米
第四節 角田の飼料用米論の展開―貿易問題に対する反論と「新みずほの国」構想
第五節 イネ科植物と人類とのかかわりに着目した社会形成の提示―共生関係に基づく社会システムの構想
第六節 角田の飼料用米論の核心と限界―単収向上によって使われなくなる水田の利用方策としての飼料用米、そして需要量に関する手抜かり

第七章 飼料用米をめぐる群像―〈代替性〉と〈土地条件〉、二つのキーワードで読み解く飼料用米論
第一節 飼料用米の生産適地はどこか―共通了解が成立しているようで成立していない〈土地利用の代替性〉に関する領域
第二節 畑作が困難な田の存在から想起された飼料用米像―飼料用米の提起・研究の原動力であった湿田の存在
第三節 エサ米運動の帰結―湿田対策で生まれ、湿田対策で消えていった論調
第四節 水田フル活用における飼料用米―二〇一三年度から二〇一四年度にかけて変質した水田フル活用政策
第五節 飼料用米の存在に関する本書の結論―〈代替性〉、〈土地条件〉についての共通了解を育む
第六節 〈代替性〉、〈土地条件〉で読み解く飼料用米問題―飼料用米をめぐる混乱の具体的な解消方法

第八章 現行の飼料用米政策の特徴―飼料用米の「量的拡大論」と「面的拡大論」からみえてくる現行政策の特殊性
第一節 飼料用米の増産目標がもつ意味―求められるのは単なる運動論との決別
第二節 量的拡大論の台頭とその問題点―数量払い政策が捨象したこととは何か
第三節 量的拡大論に与す数量払い政策―飼料用米政策は単なる飼料生産政策へ
第四節 水田フル活用政策の変質とその結果―二〇一四年度を画期とした政策変更がもたらしたこと
第五節 数量払い政策がもつ選別政策としての性格―標準単収値問題を提起する
第六節 水田活用の直接支払交付金における水張り要件の影響―二〇二二年度の政策変更の影響

第九章 現行の飼料用米政策の問題点と改善策―飼料用米政策が批判されるべき点、そして、新たな政策の提案
第一節 飼料を確保するための政策という傾向の強まりと財政負担のムダ
第二節 〈単収向上による財政負担軽減〉という思考に抜け落ちているもの―単収向上の「能書き」を考える
第三節 飼料用米政策にみる存在と当為―単収問題と農業経済学者のしごと
第四節 新たな飼料用米政策の提案―飼料用米問題、代替性、単収問題からの提言

第一〇章 条件不利地域論の欠陥と湿田―見落とされてきた条件不利性
第一節 湿田という条件不利性―条件不利地域論の対象であるはずの湿田
第二節 主観と湿田―〈湿田〉の認識構造
第三節 食料自給力指標の誤りの指摘と修正要求―湿田の把握をめぐって
第四節 条件不利地域論の着眼点の基底―湿田に着目しない論理
第五節 条件不利地域論の欠陥―湿田はいかにして捨象されたか
第六節 条件不利地域論の欠陥からみた中山間地域等直接支払制度の特徴
第七節 低米価時代に増幅する条件不利性―稲作に頼らざるを得ない湿田
第八節 条件不利地域と飼料用水稲―手厚い補助金でも生産されない飼料用水稲
第九節 日本農業における条件不利地域論の将来予想

第一一章 農業・農村の多面的機能をめぐる政策は誰に利するか―湿田問題の本質
第一節 農業・農村の多面的機能論をめぐる冒険
第二節 〝水田の多面的機能〟という〈錦の御旗〉と日本農業―そこにある搾取の構造
第三節 〝稲作にしか向かない〟という〈免罪符〉と日本農業―そこにある搾取の構造
第四節 湿田問題の本質的構造―乾田化・汎用化、田の畑地化では解決できない根本的な問題とは何か
第五節 本章の留意点

第一二章 総括―各章の大要と趣旨、そして農業経済学者が農業技術を論じる意義
第一節 一つ目の総括
第二節 二つ目の総括がある理由
第三節 二つ目の総括
第四節 日本の農業経済学の発展に向けて

初出文献一覧
人名索引
事項索引

英文要旨

著者|author

小川真如(おがわ・まさゆき)
1986年島根県生まれ。一般財団法人農政調査委員会専門調査員、東京農工大学非常勤講師、恵泉女学園大学非常勤講師など。修士(農学)、博士(人間科学)。専攻は農業経済学、人間科学。主な著作に『水稲の飼料利用の展開構造』(日本評論社、2017年)、『水田フル活用の統計データブック ― 2018年水田農業政策変更直後の悉皆調査結果からみる農業再生協議会・水田フル活用ビジョン・産地交付金の実態』(三恵社、2021年)、『日本のコメ問題 ― 5つの転換点と迫りくる最大の危機』(中央公論新社、2022年)など。

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祇園祭の物語

祇園祭の物語

  • 小谷野裕子(著)/2022年6月
  • 2000円(本体)/四六判並製300頁
  • 装丁:苑田菊見

20年以上にわたって祇園祭の取材を重ねてきた著者が、その魅力と歴史を語る。
伝統文化を守り支える人たちの姿を活写!
(ISBN 9784861108167)

目次|contents

第一章 はじめの三年
第二章 鉾、出張す
第三章 神輿、輝く
第四章 くじを取る
第五章 異国趣味
第六章 歴史をさらう
第七章 世界遺産登録
第八章 震災のあと
余話三つ

著者|author

小谷野裕子(こやの・ゆうこ)
1946年中国大連生まれ。
1967年京都女子大学短期大学部英文科卒業。
夫の留学と駐在に伴い、1974年から1975年、1985年から1990年にかけて家族でアメリカに住む。
著書に、From a town on the Hudson: A Japanese Woman’s Life in America(1996, Tuttle)、『金色の瞑想―もうひとつの日本・こころの旅』(2008年、春風社)、『素描・杉原千畝』(2017年、春風社)などがある。

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身体を彫る、世界を印す―イレズミ・タトゥーの人類学

身体を彫る、世界を印す

イレズミ・タトゥーの人類学

  • 山本芳美、桑原牧子、津村文彦(編著)/2022年6月
  • 4000円(本体)/A5判並製384頁
  • 装丁:コバヤシタケシ
  • 装画:モノ・ホーミー

皮膚の上でどのような美が展開し、いかなる想いがせめぎ合っているのだろうか。
日本初のイレズミ・タトゥーの学術論集。各地の事例を紹介しながら、それぞれの社会の文化、美学、歴史、政治を考察する。

(ISBN 9784861108037)

目次|contents

まえがき(山本芳美)

第Ⅰ部 世界編
第1章 顔を横切る黒い帯―マルケサス諸島の文様の変容(桑原牧子)
第2章 ニュージーランド・マオリのタトゥー、タ・モコの復興(秦玲子)
第3章 より善い人を生み出すイレズミ―タイのサックヤンにみる宗教性と暴力(津村文彦)
第4章 「今」の楽しさと関係を刻む人々―カメルーン東南部の狩猟採集民バカのテレ(彭宇潔)

コラム
コラム1 インド・バイガのイレズミを振り返って(阿部櫻子)
コラム2 台湾原住民族と植民地時代の記録、そして現在―先住民族の知的財産保護と文化の盗用論をめぐって(山本芳美)
コラム3 どうやって調べるか? ウィリアム・ファーネスとイレズミを例にして―横浜、奄美、沖縄、ボルネオ、ヤップ(山本芳美)

第Ⅱ部 日本編
第5章 ヴィクトリア朝イングランドにおける「芸術的な」日本のイレズミと商業戦略(マット・ロダー[大貫菜穂 訳])
第6章 沖縄のハジチ(針突)とその調査史―資料蓄積を活かすために(山本芳美)
第7章 関係性としてのタトゥー―千葉市でヒップホップファッション・ストアを営む若者たち(山越英嗣)
第8章 「消えるタトゥー」はタトゥーごっこか―らしさとらしくなさをめぐって(松嶋冴衣)

特別寄稿
第9章 イレズミと医学(小野友道)
第10章 私とシヌイェ(マユンキキ)

あとがき
執筆者紹介

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。

14頁 「谷崎潤一郎が1911年に」→「谷崎潤一郎が1910年11月に『新思潮』に発表した処女小説」
198頁「雑誌『TATTOO BURST』の元編集長、川崎美穂さんにも伺ったところ、跳ね彫りは体力を消耗させない彫り方で、和彫りをする女性彫師が行うそうである。」→「雑誌『TATTOO BURST』の元編集長、川崎美穂さんにも伺ったところ、三味線彫りは本来の手彫に比べて体力を消耗させない彫り方なので(男女どちらの彫師も行うが)体力的には女性向きである。」

編者|editors

山本芳美(やまもと・よしみ)
都留文科大学・教授。文化人類学・イレズミほか身体文化研究。
主な著作に、『イレズミの世界』(2005年、河出書房新社)、『イレズミと日本人』(2016年、平凡社)、「日本みやげ」としてのイレズミ―十九世紀から二十世紀初頭における外国人観光と彫師」(『日本研究』63集、2021年)。

桑原牧子(くわはら・まきこ)
金城学院大学・教授。文化人類学。
主な著作に、Tattoo: An Anthropology (2005年、Berg)、 “Multiple Skins: Space, Time and Tattooing in Tahiti” (Anna Cole, Bronwen Douglas and Nicholas Thomas (eds.) Tatau/Tattoo: Bodies, Art and Exchange in the Pacific and the West、2005年、Reaktion)、「皮膚をまさぐる視線―18、19世紀タヒチ社会における他者認識にみるフェティシズム」(田中雅一編『フェティシズム研究第3巻 侵犯する身体』、2017年、京都大学学術出版会)。

津村文彦(つむら・ふみひこ)
名城大学・教授。文化人類学・東南アジア地域研究。
主な著作に、『東北タイにおける精霊と呪術師の人類学』(2015年、めこん)、「開放系コミュニケーション―東北タイにおける経産婦の病ピットカブーンの事例研究」(杉島敬志 編『コミュニケーション的存在論の人類学』、2019年、臨川書店)、「不可視を『見る』、不可解を『語る』―東北タイにおける呪術と感覚経験」(川田牧人・白川千尋・飯田卓 編『現代世界の呪術―文化人類学的探究』、2020年、春風社)。

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戯作者の命脈―坂口安吾の文学精神

戯作者の命脈

坂口安吾の文学精神

  • 大原祐治(著)/2022年5月
  • 4000円(本体)/四六判上製392頁
  • 装丁:毛利一枝

無数/無名の「ラムネ氏」たちが「自らの生を尊びバトンを渡」す反復に歴史の実相を見る戯作者の魂。安吾もまた一人の「ラムネ氏」だ。

(ISBN 9784861108112)

目次|contents

序 章 作家・坂口安吾の登場
第1章 アテネ・フランセという磁場
第2章 長篇小説への野心
第3章 墓標としての物語
第4章 戦時下の「常人」として
第5章 歴史と自伝、あるいは歴史としての自伝
第6章 戦後社会と所有の政治学
第7章 古代史への旅
第8章 社会批評と(しての)文学
あとがき

著者|author

大原祐治(おおはら・ゆうじ)
1972年千葉県生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(日本語日本文学)。学習院高等科教諭を経て、現在、千葉大学大学院人文科学研究院教授。専攻は日本近現代文学、出版文化論。著書『文学的記憶・一九四〇年前後――昭和期文学と戦争の記憶』(翰林書房、2006年)、編著『コレクション・モダン都市文化 第一〇〇巻 防空と空襲』(ゆまに書房、2014年)『「月刊にひがた」復刻版別冊解題・総目次・執筆者索引』(三人社、2016年)、共編著『「私」から考える文学史――私小説という視座』(勉誠出版、2018年)『占領期 地方総合文芸雑誌事典』(金沢文圃閣、2022年)など。

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日本の神学を求めて

日本の神学を求めて

  • 小野寺功(著)/2022年5月
  • 2200円(本体)/四六判並製168頁
  • 装丁:矢萩多聞

キリスト教の日本への受肉化(インカルチュレーション)を生涯のテーマとしてきたキリスト者の最初期の直観的思索。初めての書籍化。
(ISBN 9784861108099)

目次|contents

序に代えて 悲劇的体験──大き過ぎる課題
第1章 伝統と創造の課題における「日本的霊性の理念」
第2章 日本的霊性の自覚の論理としての西田哲学
第3章 東西文化の論理的対質──場所的論理の重要性
第4章 場所的論理とキリスト教的世界観──西田哲学超克の一方向
第5章 現代の課題としての「キリスト教の辯證」
第6章 イデアリスム・絶対無・神をめぐって──新しい日本精神史の回転軸となるもの
第7章 総合点「三位一体のおいてある場所」としての絶対無の把握の重要性──日本の神学の創造的基盤
第8章 日本的思惟における「絶対弁証法」と三位一体の実存弁証法
第9章 世界教会の理念における日本の霊的使命──カトリシズムの自己更新と日本的霊性との出会い
第10章 日本私学の「道徳・宗教教育」についての一提言
あとがき

著者|author

著者名(おのでら・いさお)
1929年岩手県生まれ。上智大学大学院哲学研究科修了。清泉女子大学名誉教授。主な著書に『絶対無と神―京都学派の哲学』(2002年)『聖霊の神学』(2003年)『大地の文学 [増補]賢治・幾多郎・大拙』(2004年)『随想 西田哲学から聖霊神学へ』(2015年、以上春風社)がある。

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ユゴー詩アンソロジー 夏の雨・冬の大天使

ユゴー詩アンソロジー 夏の雨・冬の大天使

  • ヴィクトル・ユゴー(著)、宇多直久(編訳)/2022年5月
  • 4000円(本体)/四六判上製436頁
  • 装丁:毛利一枝

ユゴーの古典的研究者バレールの「人間の側にあるのはエロス、自然の側にあるのは牧神パン」の思想を踏まえ、精選した愛惜の訳詩50余篇。
(ISBN 9784861108105)

目次|contents

はじめに
《亡命前》
1 『オードとバラード』
2 『秋の木の葉』1831年
3 『黄昏の歌』1835年
4 『内なる声』1837年
5 『光と影』1840年
《亡命後》
6 『懲罰詩集』1853年
7 『静観詩集』1856年
8 『サタンの終わり』1859年
9 『街と森の歌』1865年
10 『諸世紀の伝説新シリーズ』1877年
あとがき

訳者|translator

宇多直久(うだ・なおひさ)

1947年富山市生まれ。71年京都大学経済学部卒。80年同大学院文学研究科仏文学修士。97年パリ第三大学第三課程博士(19世紀フランス文学・文明)。滋賀大学元講師。
著作にLa Madone dans l’œuvre d’Honoré de Balzac(PU du Septentrion, 《Thèse à la carte》, 1998)、『バルザック王国の裏庭から―『リュジェリーの秘密』と他の作品集』(編訳)、『イヴの娘』(訳)がある。

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〈線〉で読むディケンズ―速記術と想像力

〈線〉で読むディケンズ

速記術と想像力

  • 松本靖彦(著)/2021年5月
  • 3600円(本体)/四六判上製300頁
  • 装丁:矢萩多聞

賑やかな作品世界を生み出したディケンズ。その人物造形の秘密は、若き日に身につけた速記術にあった?!
『骨董屋』『クリスマス・キャロル』『大いなる遺産』などの作品を、〈線〉にまつわる問題に着目して読み直し、「自己と他者」「生と死」「子どもと大人」などの境界線をめぐる想像力の働きを明らかにする。

(ISBN 9784861107474)

目次|contents

序章
第一部:ディケンズの速記と想像力
第一章:ディケンズの速記と人物造形
第二章:ディケンズとホガースの速記術
第二部:境界線をめぐるドラマ
第三章:大人と子どもの境界線―大人の中に子どもはいるのか
第四章:自他を隔てる境界線 (一)『大いなる遺産』―ピップは自分の人生の主人公になれるのか
第五章:自他を隔てる境界線 (二)『ドンビー父子』―フローレンス・ドンビーは父親の宝となれるのか
第三部:境目の想像力
第六章:生きているのか死んでいるのか―見世物小屋としての『骨董屋』と人形の死に様
第七章:いずれは死なねばならぬから―ディケンズの『骨董屋』『互いの友』とフロイトの『快原理の彼岸』
終章:結論―越境するディケンズ(の想像力)

著者|author

松本靖彦(まつもと・やすひこ)
東京理科大学理工学部〔教養〕教授。専門分野は19世紀英米小説、ヴィクトリア朝文化、剣戟映画。

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記憶のなかの「碧南方言」―語彙・語法・音韻の特徴

記憶のなかの「碧南方言ことば

語彙・語法・音韻の特徴

  • 石川文也(著)/2022年4月
  • 1800円(本体)/A5判並製226頁
  • 装画:石川怜奈

愛知県西三河に位置する碧南市のことばを、地元での聞き取り調査によって克明に記録。生きた用例からその言語的特徴を明らかにする。

(ISBN 9784861108075)

目次|contents

はじめに
第1節 「人々の移動の歴史」の表象としての「方言」
第2節 「碧南方言」が話される碧南
第3節 考察の目的と方法

第1章 ことばに関わる研究
第1節 「方言」の定義
第2節 「方言」vs「標準語」と「共通語」
第3節 「地域方言」と「社会方言」
第4節 「方言」・「〇〇弁」・「〇〇ことば」
第5節 「〇〇方言」という言い方
第6節 ことばを話す人・ことば・場所

第2章 「碧南方言」の特徴
第1節 ひとつの「三河方言」
第2節 先行する収集・調査
第3節 データの収集
第4節 語彙・語法
 1.語彙
 2.語法
  2.1.動詞
  2.2.形容詞
  2.3.助動詞
  2.4.そのほかの語法・表現
第5節 音に関わる特徴
 1.音韻的特徴
  1.1.連母音の融合
  1.2.母音の置換
  1.3.子音の置換・付加
  1.4.音の欠落
 2.アクセント

おわりに
第1節 「碧南方言」の特徴のまとめ
第2節 今後の課題

参考文献表
参照したウェブサイトの一覧

著者|author

石川文也 (いしかわ・ふみや)
愛知県碧南市出身。言語学者。作家。日本鳥学会会員。
東京大学教養学部教養学科第2「フランスの文化と社会」卒業。同大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学。パリ第三=新ソルボンヌ大学外国語としてのフランス語教育論専攻博士課程修了。博士(言語・文化教育論)。
現在、立教大学異文化コミュニケーション学部教授。

主な著書
Ishikawa, F. (2002). L’interaction exolingue : analyse de phénomènes métalinguistiques. Continuité et discontinuité entre situation d’enseignement/apprentissage et situation « naturelle ». Yokohama : Shumpûsha.
石川文也(2009)『コバタンの繁殖―絶滅危惧種保存への挑戦』春風社.
Ishikawa, F. (2012). La transmission des savoirs : une analyse dynamique du discours. Yokohama : Shumpûsha.
Ishikawa, F. (2018). Enseignement du français au Japon : enjeux et perspectives en contexte. Paris : L’Harmattan.
石川文也(2019)『記憶の囁聲』風媒社.
Ishikawa, F. (2021). Le FLE ou français langue extraordinaire ! – un peu de linguistique pour en connaître davantage –. Paris : L’Harmattan.

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