原典対照『ベーオウルフ』読解

原典対照『ベーオウルフ』読解

  • 長谷川寛(訳)/2010年7月
  • 9000円(本体)/A5判・上製・424頁
  • 装丁:矢萩多聞

原詩3182行のすべてに詳細な語釈を加え,2種類の日本語訳(擬古文訳と現代文訳)を併記。「蜂之敵(ベーオウルフ)」「破壊魔(グレンデル)」など,固有名詞に漢字を当てルビを振る斬新な表記を採用。原文を参照しながら味読できる画期的『ベーオウルフ』。
(ISBN 9784861102301)

目次│indexs

訳者序文
『ベーオウルフ』のあらまし
Preface
Acknowledgements
Abbreviations
Introduction
BEOWULF
PartI    A. The Fight with Grendel (ll.1–1250)
PartI    B.  Bēowulf and Grendel’s Mother (ll.1251–2199)
PartII   Bēowulf and the Dragon (ll. 2200–3182)
Genealogies
The Geography of Bēowulf
Glossary of Proper Names
Bibliography
THE FINNSBURH FRAGMENT
The Fight at Finnsburh
Glossary of Proper Names
Bibliography

訳者│translator

長谷川寛(はせがわ・ひろし)
1931年,東京生まれ
1954年,青山学院大学文学部英米文学科卒業
1956年,慶応義塾大学大学院英文学専攻修士課程修了
1978年,Bēowulf研究のため英国留学を命じられ,ロンドン大学で副総長ランドルフ・クワーク教授の許で研究[1979~1980年も自費で留学し、同教授の許で研究]
2001年9月,日本大学教授(定年退職)[39年6ヶ月]
1976年-1990年,日本大学芸術学部講師
1983年-1999年,青山学院大学非常勤講師
1988年,ワシントン州立大学交流教授
同年,デンヴァー大学客員教授
1990年-2002年,東海大学大学院非常勤講師
主要著訳書:『『ベーオウルフ』研究』成美堂1988年,『『ベーオウルフ』怪物破壊魔退治の巻』(1)成美堂1990年,『古期英語の基礎』(訳)開文社1992年

 

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富士山学への招待―NPOが富士山と地域を救う

富士山学への招待

NPOが富士山と地域を救う

  • 渡辺豊博(著)/2010年7月
  • 1500円(本体)/A5判・並製・200頁
  • 装丁・装画:矢萩多聞

霊峰、日本の宝、富士山を守れ! 日本の環境問題の縮図ともいわれる富士山。し尿対策にはバイオトイレ設置、ゴミ放置問題には清掃活動の実施など、NPOパワーによるユニークな富士山再生活動の全貌を紹介。
(ISBN 9784861102295)

目次|indexs

1 富士山の「光と影」
2 バイオトイレ奮闘記
3 富士山の世界遺産登録へのアプローチ
4 世界の「富士山」との連携
5 NPOができること
6 NPOが富士山と地域を救う

著者|author

渡辺豊博(わたなべ・ とよひろ)
都留文科大学文学部社会学科教授。
1950年生まれ。東京農工大学農学部農業生産工学科卒業。
1973年、静岡県庁に入り、農業基盤整備事業の計画実施に携わる。
市民・NPO・行政・企業がパートナーシップを組むグラウンドワーク(環境改善活動)を日本で最初に、故郷・三島市で始める。
NPO法人グラウンドワーク三島NPO法人富士山クラブ三島ゆうすい会の事務局長を兼任。

2013年6月25日『朝日新聞』「ひと」欄で紹介されました。「都留文科大学で富士山学を教え、保全の尊さを訴える」

 

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変容する冷戦後の世界―ヨーロッパのリベラル・デモクラシー

変容する冷戦後の世界

ヨーロッパのリベラル・デモクラシー

  • 永松雄彦・萬田悦生(編)/2010年7月
  • 2381円(本体)/四六判・上製・248頁
  • 装丁:矢萩多聞

「自由」と「民主主義」はどこまで可能なのか。自由主義対社会主義という二項対立の消滅後,さまざまな原理主義や民族主義の台頭により新たな試練を受ける議会制民主主義の諸相をさぐる。
(ISBN 9784861102240)

目次|indexs

第1部 旧西側諸国の諸相
第1章 リベラル・デモクラシーの歴史的自己認識―F・フクヤマ『歴史の終わりと最後の人間』の歴史哲学が孕む困難[早瀬明]
第2章 イギリスの政党政治とリベラル・デモクラシー[萬田悦生]
第3章 黒・黄・緑(ジャマイカ)連立政権樹立への道[大橋成光]
第4章 スペイン民族主義と周辺民族主義[新田増]
第5章 フランスの現代 1981年―1995年―ミッテランとシラクの時代[永松雄彦]
第2部 旧東側諸国の諸相
第6章 ロシアにおけるデモクラシーの現実と可能性[河原地英武]
第7章 チェコ=ドイツ未来基金設立の背景と現状―民主化がもたらした歴史認識の問題を中心に[矢田部順二]
第8章 冷戦終結後のバルト諸国―民主主義体制への「復帰」[大中真]
第9章 冷戦終結後のルーマニアにおける民主主義の進展[中島崇文]

編者|editors

永松雄彦(ながまつ・たけひこ)
1943年生まれ。京都外国語大学教授。
主要研究業績
「ルーマニアにおける国民国家の成立とナショナリズム(1)-(4)」京都外国語大学国際問題研究会編『PROBLEMATA MUNDI』(3-6号,1994-1997年)所収
『リベラル・デモクラシーの政治文化―政治社会の理念と現実』(共著,2004年,ナカニシヤ出版)
萬田悦生(まんだ・えつお)
1940年生まれ。京都外国語大学教授。
主要研究業績
『現代政治の展望』(編著,1996年,ナカニシヤ出版)
『リベラル・デモクラシーの政治文化―政治社会の理念と現実』(編著,2004年,ナカニシヤ出版)
『文明社会の政治原理―F・A・ハイエクの政治思想』(2008年,慶應義塾大学出版会)

 

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新版 生涯学習と地域社会教育

新版 生涯学習と地域社会教育

  • 末本誠・松田武雄(編著)/2010年7月
  • 2476円(本体)/A5判・320頁

初版から6年、ロングセラーの新版出来! 法制度や現場環境の変動に対応して大幅改稿、より充実の完全版刊行。生涯学習の歴史と現状を詳細に分析し、新しい理念と方向性を提起。障害者や高齢者など社会的弱者を含む住民への行政と地域のあり方をも問う。関係年表付の画期的概要書。
(ISBN 9784861102349)
日本図書館協会選定図書

目次|indexs

第1章 社会教育としての生涯学習
第2章 子どもの学校外教育
第3章 学校教育と社会教育の連携・協同
第4章 成人女性の学習と男女共同参画社会
第5章 福祉のまちづくりと社会教育
第6章 参画型社会とNPO・NGO・多文化共生の学習活動
第7章 社会的排除の問題と社会教育
第8章 学ぶ側に視点を置いた理論
第9章 社会教育・生涯学習の法制度
第10章 社会教育の施設と学習の支援者
第11章 社会教育行政とNPO・ボランティア
第12章 社会教育・生涯学習計画の創造

編著者|authors

末本誠(すえもと・まこと)
神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授
松田武雄(まつだ・たけお)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授

 

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マスメディア論―現場と社説と地方紙と

マスメディア論

現場と社説と地方紙と

  • 大西正行/2010年6月
  • 1800円(本体)/四六判・並製・224頁
  • 装丁:後藤葉子

政権交代、沖縄基地問題、躍進する中国、トヨタのリコール、新型インフルエンザ騒動など日本をゆるがす大問題を全国紙・地方紙はどう論じたか。ネットメディアに押されるなか、失われつつある記者魂の復活をとなえる。
(ISBN 9784861102288)
日本図書館協会選定図書

目次indexs

はじめに
第1章 政治と取材の現場
第2章 政権を読む
第3章 不況脱出の処方箋
第4章 日本の立ち位置を考える
第5章 社会を変革する新聞
第6章 地方紙のパワー
第7章 マスメディアのこれから
跋文 「一木一草 愛郷無限」の記者魂を読む(横須賀薫)

著者author

大西正行(おおにし・まさゆき)
早稲田大学第一政治経済学部卒業。北國新聞社編集局長等を経て、十文字学園女子大学社会情報学部コミュニケーション学科特任教授、日本大学法学部新聞学科非常勤講師。

 

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保守のヒント

保守のヒント

  • 中島岳志/2010年6月
  • 1800円(本体)/四六判・並製・280頁
  • 装丁:矢萩多聞

混迷の日本をどう捉えればいいのか。保守と右翼の違い、マニフェスト選挙の問題点など、気鋭の学者が近代日本史をふまえつつ論じる。宮台真司氏とのロング対談を収録。自民党へのエール、熱狂しやすい「世論」への批判、ほか現状への刺激的な挑発!
(ISBN 9784861102271)
日本図書館協会選定図書

目次│contents

第1部 保守と右翼
保守思想を問い直す
日本右翼再考 ―その思想と系譜をめぐって
「右」の論理 : 宮台真司×中島岳志
第2部 近代日本を見つめ直す
アジア主義とは何だったのか
平等と幸福を探求した昭和維新
日本のナショナリズムの源流を探る
小林秀雄と伝統への意思
第3部 現代日本のナショナリズム
若者の「自分探し」と平成ネオ・ナショナリズム
小沢の考えを忖度するな!

著者│author

中島岳志(なかじま・たけし)
1975年生まれ。北海道大学准教授。『中村屋のボース』(白水社)で大佛次郎論壇賞受賞。他に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『ガンディーからの“問い”』(NHK出版)など。

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党人 河野一郎―最後の十年

党人 河野一郎

最後の十年

  • 河野洋平(監修)/小枝義人(著)/2010年5月
  • 1714円(本体)/四六判・上製・396頁
  • 装丁:矢萩多聞

希代の豪腕政治家の波乱に満ちた晩年と魅力あふれる言動。関係者へのインタビュー、秘蔵資料からその足跡を丹念に追う。息子・河野洋平氏が監修。
(ISBN 9784861102127)
日本図書館協会選定図書

目次│indexs

監修の言葉[河野洋平]
プロローグ 空白の十年
日ソ国交回復への道のり
春秋会
首都高を走る
大映 宴のあと
東京砂漠を救う
東京オリンピックと一郎
京都国際会館物語
つくば学園都市
池田退陣、そして一郎の死
エピローグ 時代

監修者│supervisor

河野洋平(こうの・ようへい)
1937年生まれ。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
丸紅飯田株式会社勤務、株式会社ニチリョウ取締役を経て、一九六七年一月、衆議院議員初当選、以来一四期連続当選。
1976年、自民党離党・新自由クラブ結成同代表を務める。
1986年自民党に復党し、国務大臣内閣官房長官、自民党総裁、内閣副総理、外務大臣などを歴任。
2003年11月より衆議院議長。
2009年7月21日、衆議院解散詔書を読み上げるとともに議長の任と議員生活を終える。
著書に、『自民党改造案』(読売新聞社)、『自由社会は沈まず』(太陽)、『決断 河野父子の生体肝移植』(朝日新聞社)、など。

著者│author

小枝義人(こえだ・よしと)
1954年、愛知県生まれ。
千葉科学大学薬学部教授。
早稲田大学法学部卒業後、ラジオ関東、栃木新聞社勤務。
拓殖大学政経学部客員教授などを経て二〇〇四年四月より現職。
青山学院大学講師も兼任。
著書に、『政権の誕生と崩壊』(ジュピター出版)、『永田町床屋政談』(新潮社)、『解析・日本の政治』(共著、樹光堂)、『伊藤昌哉 政論』(春風社)など。

 

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イランとイスラム―文化と伝統を知る

イランとイスラム

文化と伝統を知る

  • 森茂男(編)/2010年5月
  • 2381円(本体)/四六判・上製・320頁
  • 装丁:矢萩多聞

世界情勢の鍵を握る国を文化面から分析。核問題や大統領選挙などでつねに世界情勢の「台風の目」となる国イランを理解するための本。古代宗教、神秘主義から歴史、文学、祭りや習俗、テヘランのファッションチェック、ナショナリズム問題までを初めて紹介! 執筆陣は日本とイランの精鋭18名。
(ISBN 9784861102158)
日本図書館協会選定図書

目次│indexs

第1部 古代からのこだま
第2部 多民族文化の融合
第3部 神秘主義の影響
第4部 原題文化事情
第5部 フォークロア・儀礼
第6部 イランとイスラムのあいだで

編者・著者│editor/authors

後藤裕加子(ごとう・ゆかこ)
関西学院大学文学部准教授
佐々木あや乃(ささき・あやの)
東京外国語大学総合国際学研究院言語文化部門准教授
Sadegh Sajjadi(サーデグ・サッジャーディー)
イスラム大百科事典センター副センター長・歴史学部門長
Soheila Shahshahani(ソヘイラー・シャハシャハーニー)
シャヒード・ベヘシュティー大学准教授
竹原新(たけはら・しん)
大阪大学世界言語研究センター准教授
中村菜穂(なかむら・なほ)
東京外国語大学大学院博士後期課程
Hassan Rezai Baghbidi(ハサン・レザーイー・バーグビーディー)
テヘラン大学人文学部准教授
Zahra Taheri Haghighi(ザフラー・ターヘリー・ハギーギー)
東京外国語大学外国語学部特任外国語教員
羽田美希(はだ・みき)
大阪大学大学院言語社会研究科博士後期課程
藤井守男(ふじい・もりお)
東京外国語大学総合国際学研究院言語文化部門教授
藤元優子(ふじもと・ゆうこ)
大阪大学世界言語研究センター教授
Abdolrasoul Kheirandish(アブドルラスール・ヘイランディーシュ)
シーラーズ大学文学部歴史学科准教授
Ali A. Bulookbashi(アリー・A・ボルークバーシー)
イスラム大百科事典センター高等学術評議会委員・人類学部門長/”Iranian Journal of Anthropology”学術編集委員会委員
Katayun Mazdapur(キャターユーン・マズダープール)
人文科学・文化研究所・古代イラン語部門長
森茂男(もり・しげお)
大阪大学大学院言語文化研究科教授
山岸智子(やまぎし・ともこ)
明治大学政治経済学部教授
山中由里子(やまなか・ゆりこ)
国立民族学博物館准教授
Hashem Rajabzadeh(ハーシェム・ラジャブザーデ)
元大阪外国語大学外国人教師・龍谷大学非常勤講師

 

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法隆寺

法隆寺

  • 青江舜二郎/2010年4月
  • 2800円(本体)/A5判・上製・430頁
  • 装丁:矢萩多聞

聖徳太子を毒殺したのは誰か!? 現在と過去を往還しつつ、圧倒的スケールで描く人間群像劇。めくるめく時間の中で修羅として生きた太子の人間像を浮き彫りにする岸田演劇賞受賞の傑作戯曲、初の単行本化。「河口」を併録。
(ISBN 9784861102257)
日本図書館協会選定図書

著者│author

青江舜二郎(あおえ・しゅんじろう)
1904年、秋田県秋田市生まれ。
本名・大嶋長三郎。
東京帝国大学文学部印度哲学科卒業。
大学在学中、第九次『新思潮』に発表した戯曲「火」が小山内薫に認められ、師事する。
1938年、日中戦争のため召集され、終戦の翌年までを中国大陸で過ごす。
戦後は鎌倉アカデミア、日本大学芸術学部などで教鞭をとり後進の育成に尽力。
また草創期のテレビドラマの脚本も数多く執筆した。
1958年、「法隆寺」で岸田演劇賞を受賞。
本書収載以外の戯曲作品に「水のほとり」「一葉舟」「西太后」「実験室」「干拓」などがある。
また『演劇の本質と人間の形成』『日本芸能の源流』『竜の星座 内藤湖南のアジア的生涯』『竹久夢二』『石原莞爾』『宮沢賢治 修羅に生きる』『狩野亨吉の生涯』など著書多数。
1983年、死去。

 

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「新自由主義」をぶっ壊す

「新自由主義」をぶっ壊す

  • 青木育志/2010年4月
  • 1600円(本体)/四六判・並製・190頁
  • 装丁:矢萩多聞

世界金融危機・世界同時不況の元凶「新自由主義」を政策と思想の両面から徹底批判。格差を肯定する「新自由主義」から、平等に配慮した「自由主義」への道を示す。
(ISBN 9784861102264)

目次│indexs

第1章 2009年日本の政権交代
Ⅰ自民党大敗の原因
Ⅱ民主党大勝の原因
第2章 サブプライム問題
Ⅰサブプライム問題の概観
Ⅱサブプライム問題の原因
第3章 「新自由主義」政策の批判―ネオ・リベラリズムの経済政策などの批判―
Ⅰ「新自由主義」とは
Ⅱ基礎原理の解明
Ⅲ「市場原理主義」政策の批判
Ⅳグローバル資本主義の批判
Ⅴその他の原理の批判
第4章 「新自由主義」思想の批判―リバータリアニズムの哲学、倫理学の批判―
Ⅰリバータリアニズムとは
Ⅱ穏健な主張の批判―フリードマン、ハイエクの経済的自由擁護論の批判―
Ⅲ過激な主張の批判―ノージックの経済的自由擁護論の批判―
Ⅳ「市場原理主義」の哲学的批判
Ⅴ倫理学思想の流れから見れば
第5章 歴史の流れの中で
Ⅰ日本の政治、経済問題
Ⅱサブプライム問題の意味するもの
Ⅲ自由主義の流れ

著者│author

青木育志(あおき・いくし)
1947年 大阪に生まれる
1971年 大阪市立大学法学部卒業
1971年 株式会社大丸に入社
1999年 亜細亜証券印刷株式会社(現株式会社プロネクサス)に入社
2009年 同社を退社
著書
『客観主義と主観主義―哲学の根本問題』(自費出版1989年)
『河合栄治郎文献目録』(河合栄治郎研究会1994年)
『自由主義とは何か―その政治的、経済的、哲学的原理』(新風舎2004年)
『弁論術の復興―欧米的議論術の修得と教育の必要性について』(青木嵩山堂2008年)
主要論文
「新渡戸稲造と河合栄治郎」『新渡戸稲造研究』第5号(1996年9月発行)
「青木嵩山堂の出版活動」吉川登編『近代大阪の出版』(創元社2010年)

著者サイト 「青木育志の書斎」

著者からのコメント│author’s comments

二十世紀の後半以降、アングロ・サクソンを中心に「新自由主義」(リバータリアニズム)の嵐が吹き荒れた。政治面では、「新自由主義」はアメリカではロナルド・レーガン、両ジョージ・ブッシュ、イギリスではマーガレット・サッチャー、日本では先駆的には中曽根康弘、本格的には小泉純一郎により導入実施された。

経済面では、上記政権の施策によって活動しやすくなった投資家(「ハゲタカ・ファンド」)などが、製造業を軽んじ、金融業に特化し(「金融工学」の駆使)、額に汗して働く人々を無視して、大量の資金を使って、金儲けの極大化を企む「マネー・ゲーム」に突進したのである。その経済動態は「証券資本主義」「カジノ資本主義」「マネー資本主義」「強慾資本主義」と呼ばれた。

2008年のアメリカでの「サブプライム問題」「リーマン・ショック」に代表される金融危機、世界的規模での同時不況、2009年の日本の政権交代。これらはここ三十年来の「新自由主義」施策の実施に起因している。これらの大事件によって、次のことが分かる。すなわち、儲け放題で平等に配慮しない「新自由主義」はアウトであり、適度な規制をし平等に配慮する「自由主義」(リベラリズム)が採るべきこれからの道である。本書では、その悪なる「新自由主義」の施策とその思想的背景を明らかにし、それを徹底的に批判している。

本書では、その「新自由主義」の経済政策の批判の章(第3章)で、その基礎原理を解明し(第1、2節)、その大原理たる「市場原理主義」(第3節)、「グローバル資本主義」(第4節)、「小さな政府原理」(第5節)をおのおの解明、批判している。

これらの原理とその施策を行った結果、どうなったのであろうか。上記大事件の他にも、「郵政民営化」「国鉄民営化による大事故発生」「医療保険制度改悪」「製造業への派遣制度の導入」「格差問題の発生と拡大」(「ワーキング・プアの増大」)「街頭での無差別殺人事件頻発」「資源の枯渇」「環境破壊」「サブプライム問題」などが発生したのである。これらは地球的規模で悪であることは明白である。

本書では、「新自由主義」の哲学、倫理学の批判の第4章で、ミルトン・フリードマン、フリードリッヒ・ハイエクの穏健な主張の批判(第2節)、ロバート・ノージックの過激な主張の批判(第3節)、市場原理主義の哲学的批判(第4節)、倫理学思想の流れからの批判(第5節)を行っている。

「新自由主義」は現在ピンチに立っている。しかし、イデオロギー面ではまだまだ根強いものがある。我々は悪なる「新自由主義」の復活を許さないために、「新自由主義」はいかなる悪の原理か、それを知らねばならない。本書はそのための書である。しかも本書の特徴は、その説明が非常に分かりやすいというところにある。「新自由主義」の方でも体系化していない原理の体系を図示し、それは誰にも分かる明快さとなっている。混迷する現代の行く末を考える場合に格好の解説書である。

 

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