声を聴くこと―ゆらぎと気配の弁証法

声を聴くこと

ゆらぎと気配の弁証法

  • 声の主体による文化・社会構築研究会(代表・間瀬幸江)(編)/2025年10月
  • 3500円(本体)/四六判並製316頁
  • 装丁:中本那由子

私は ここに います/いました
戦争、飢饉、災害、性暴力――災いを語ることも、それを聴くことも、難しい。社会に聴かれぬ人々がさらに透明化されてもなお、その声を聴くための視点を、文学・歴史学・哲学・演劇学・社会学など複数の領域から論考・エッセイの形態で多角的に提示する。
(ISBN9784868160502)

目次|Contents

はしがき 【間瀬幸江】

1.[論考]
「私」をめぐる問い――第一世代の戦争体験を書く第三世代の作家、フランソワ・ヌーデルマンとアンヌ・ベレスト 【國枝孝弘】
2.[エッセイ]
静かにささやく声が聞こえた 【栗原健】
3.[論考]
言葉と辞書の時代性――大槻文彦『言海』を読む 【菊池勇夫】
4.[エッセイ]
翻訳者の視点から――沈黙を見る 行間を読む 【永田千奈】
5.[論考]
証言における真理と倫理の交差 【越門勝彦】
6.[エッセイ]
建築計画学から考える 【石井敏】
7.[論考]
『シャイヨの狂女』再読のアルケオロジー 【間瀬幸江】
8.[エッセイ]
一つの史料から 【菊池勇夫】
9.[論考]
遊びとして押し寄せる子どもの声――支援者のゆらぎと「余白の時間」  【安部芳絵】
10.[公開シンポジウム「声の気配(けはい)を聴く」レスポンス]
声を聴く私たちと、その複数性について――アフガニスタン記念碑(ヴィクトリア)、帝国戦争博物館(ロンドン) 【酒井祐輔】
11.届けられた声――シンポジウム来場者アンケートから 【間瀬幸江】
「声の気配」を聴くことは、みずからの声の輪郭をも描き直す営みである――あとがきにかえて 【間瀬幸江】

あとがき
用語解説
初出一覧
文献
図表一覧
索引
謝辞

編者|Editor

声の主体による文化・社会構築研究会

國枝孝弘(くにえだ・たかひろ)
◆フランス文学・言語表現論・フランス語教育/慶應義塾大学教授
主要業績:「ことばは現実をどのように『すくいとるか』――体験・共感・言葉の所有」(宮代康丈・山本薫編『言語文化とコミュニケーション(シリーズ総合政策学をひらく)』慶應義塾大学出版会、2023)ほか。

栗原健(くりはら・けん)
◆宗教文化・ドイツ史/宮城学院女子大学准教授
主要業績:Celestial Wonders in Reformation Germany(Pickering & Chatto, 2014)ほか。

菊池勇夫(きくち・いさお)
◆日本近世史(東北・北海道史)/宮城学院女子大学名誉教授
主要業績:『江戸時代の災害・飢饉・疫病――列島社会と地域社会のなかで』(吉川弘文館、2023)、『近世の気象災害と危機対応――凶作・飢饉・地域社会』(吉川弘文館、2024)ほか。

永田千奈(ながた・ちな)
◆フランス語翻訳者
主要業績:シュペルヴィエル『海に住む少女』(光文社古典新訳文庫、2006)、マッコルラン『悪意』(国書刊行会、2021)などの幻想文学のほか、ノンフィクションなど訳書多数。

越門勝彦(こえもん・かつひこ)
◆哲学・倫理学/明治大学教授
主要業績:『省みることの哲学――ジャン・ナベール研究』(東信堂、2007)、『現代フランス哲学入門』(川口茂雄・越門勝彦・三宅岳史編著、ミネルヴァ書房、2020)ほか。

石井敏(いしい・さとし)
◆建築学(建築計画)/東北工業大学教授
主要業績:「自立した暮らしを支える高齢期の住宅」「地域居住を支えるサービスハウスとサービスセンター」(北欧環境デザイン研究会編『北欧流「ふつう」暮らしからよみとく環境デザイン』彰国社、2018)、「環境の整備」(太田貞治・上原千寿子・白井孝子編『介護福祉士実務者研修テキスト 全文ふりがな付き(こころとからだのしくみ)』第4巻、中央法規、2023)ほか。

間瀬幸江(ませ・ゆきえ)
◆フランス両大戦間期演劇/宮城学院女子大学教授
主要業績:『小説から演劇へ――ジャン・ジロドゥ 話法の変遷』(早稲田大学出版局、2010)、「『ルクレチアのために』の今日的意義――暗闇の中の手つかずの可能性」(澤田直、ヴァンサン・ブランクール、郷原佳以、築山和也編『レトリックとテロル―ジロドゥ/サルトル/ブランショ/ポーラン(日仏会館ライブラリー 3)』水声社、2024)ほか。

安部芳絵(あべ・よしえ)
◆こども環境学・教育学・子どもの権利論/工学院大学教授、世田谷区子どもの人権擁護機関委員
主要業績:『災害と子ども支援――復興のまちづくりに子ども参加を』(学文社、2016)、『子どもの権利条約を学童保育に活かす(そこが知りたい学童保育ブックレットシリーズ4)』(高文研、2020)ほか。

酒井祐輔(さかい・ゆうすけ)
◆イギリス文学/宮城学院女子大学准教授
主要業績:共編著『キーワードで読むヴァージニア・ウルフ――作品も作家もこの一冊で!』(小鳥遊書房、2025年刊行予定)、「ブルームズベリーのリベラルはコミュニティの夢を見たか?――ソサエティ、コミュニティ、ネーションの重複問題」(『遍在するソーシャリズム――長い20世紀の文化研究』小鳥遊書房、2025年刊行予定)ほか。

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異端のモダニスト―エドナ・セント・ヴィンセント・ミレイのソネットを読む

異端のモダニスト

エドナ・セント・ヴィンセント・ミレイのソネットを読む

  • 別府恵子、中村仁美、三杉圭子(著・編訳)/2025年9月
  • 3600円(本体)/四六判上製304頁
  • 装丁:矢萩多聞

モダニズム全盛期において伝統的なソネット形式を駆使したミレイの異端性とは?
時代背景、伝記、作品の特徴などを詳解し、ミレイのソネットへの再評価を促す。対訳付き。
(ISBN 9784868160823)

目次|Contents

まえがき
第I部 異端のモダニスト―エドナ・セント・ヴィンセント・ミレイという詩人(別府恵子)
I-1 1920年代を振り返る
I-2 ジャズ・エイジ/フラッパー/詩人
I-3 異端のモダニスト
I-4 コーラとエドナ―母が育てた詩人
I-5 『「ルネサンス」とほかの詩』(1917)
I-6 死に魅せられて
I-7 文学の社会性―ミレイの正義感
I-8 既成のジェンダー観への挑戦
第II部 ソネット連作を読む―対訳と解説
II-1 アメリカにおけるソネットの系譜(別府恵子)
II-2 ミレイとソネット―新しいワインを古い袋に入れて(別府恵子)
II-3 ソネット連作解題
「実生いの木のソネット」―自生と自立の詩(三杉圭子)
「人類に寄せる墓碑銘」―滅亡から再生へ(中村仁美)
『宿命的な出会い』―生命の混然さを紡ぐ(別府恵子)
第III部 対訳
対訳作品リスト
略歴(中村仁美)
Appendix 「恋する詩人ミレイ」(三杉圭子)
あとがき
文献リスト
索引

著編訳者|Authors and Editors and Translators

別府恵子(べっぷ・けいこ)
神戸女学院大学名誉教授、松山東雲女子大学名誉教授
神戸女学院大学文学部卒業。ミシガン州立大学ホーレス・ラッカム大学院博士課程英語・英文学研究専攻(M.A., Ed. D.)単著:The Educated Sensibility in Walter Pater and Henry James(松柏社、1979年)、『回想録―生かされ、生きて七十年』(キリスト教新聞社、2013年)、『聖母子像の変容―アメリカ文学にみる「母子像」と「家族のかたち」』(大阪教育図書、2019年)など
中村仁美(なかむら・ひとみ)
神戸市外国語大学名誉教授
神戸女学院大学文学部卒業。スタンフォード大学人文学研究科(Ph.D.)共著:『アメリカン・ルネッサンスの現在形―時代・ジェンダー・エスニシティ』(松柏社、2007年)、『越境する女性詩人たち―モダニズム再考』(神戸市外国語大学外国学研究所、2014年)、Henry James’s Travel(Routledge, 2019);共編著:『ジェイムズ兄弟妹とモダニティ』(神戸市外国語大学外国学研究所、2024年)など
三杉圭子(みすぎ・けいこ) 
神戸女学院大学文学部卒業。同志社大学大学院文学研究科英文学専攻博士(英文学)。神戸女学院大学文学教授。共著:『越境する女性詩人たち―モダニズム再考』(神戸市外国語大学外国学研究所、2014年)、John Dos Passos’s Transatlantic Chronicling(University of Tennessee Press, 2021)、『ジェイムズ兄弟妹とモダニティ』(神戸市外国語大学外国学研究所、2024年);共編著『ユダヤ文化事典』(丸善、2024年)など

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一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代 翻訳と解説

一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代 翻訳と解説

  • ヴァルター・ベンヤミン(著)、田邉恵子(訳・解説)/2025年7月
  • 3000円(本体)/四六判変型・並製324頁
  • 装丁:矢萩多聞

これぞベンヤミンの魂‼
二度と踏むことのできなかった故郷ベルリンに関する珠玉の魂ともいうべき回想「一冊の、ささやかな、本」の清新な翻訳と解説。
(ISBN 9784868160472)

目次|Contents

凡例
翻訳
 ヴァルター・ベンヤミン
 一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代(パリ・タイプ稿)
解説
 はじめに
 作品について
  作品成立史
  ヴァージョンおよび資料一覧
 翻訳について
 テクスト解題
  パリ・タイプ稿所収テクスト
  パリ・タイプ稿未収録のテクスト
 翻訳 ルソー島(一九三二年)
 論考 雄弁な中断―ベンヤミン「ルソー島」読解
あとがき

訳者|Translator

田邉恵子(たなべ けいこ)
1988年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門はドイツ思想。津田塾大学学芸学部准教授。著書に『一冊の、ささやかな、本―ヴァルター・ベンヤミン『一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代』研究』みすず書房、二〇二三年(第一五回表象文化論学会学会賞 奨励賞)。主な論文に「家に帰るカメ―ベンヤミン、遊歩のあとで」(『ユリイカ』二〇二四年六月号、青土社)ほか。

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響きあうポーとディケンズ

響きあうポーとディケンズ

  • 松本靖彦、西山けい子(編)/2025年5月
  • 3600円(本体)/四六判上製244頁
  • 装丁:矢萩多聞

ポーとディケンズはどのように出会い、すれ違ったのか?
ポーとディケンズの接点や共通点を手がかりとして、彼らの文学がどのような関係にあるのか、彼らはお互いのことをどのように見ていたのか、などを考察する8つの刺激的論考。
(ISBN9784868160335)

目次|Contents

第1章 鴉、鴉、鴉―ポーとディケンズ、濡れ羽色の縁(松本靖彦)
第2章 謎解きは書評のあとで―ディケンズとポーの「謎を解く」(渡部智也)
第3章 アメリカ社会と大衆へのまなざし―ポーとディケンズの批評・風刺(福島祥一郎)
第4章 短編小説の技法―ポーがディケンズから学んだこと(西山けい子)
第5章 ポーとディケンズの夜歩き―「群集の人」と「夜の散策」(松本靖彦)
第6章 狂人の革命を描く―ポーとディケンズの作品におけるフランス革命(岡本晃幸)
第7章 ディケンズとポーの描く幽霊、怪奇―一九世紀科学への関心(橋野朋子)
第8章 死体とユーモア―ポーとディケンズにおける無気味と笑いの交差(西山けい子)

編者|Editors

松本靖彦(まつもと・やすひこ)
東京理科大学教授
主な業績:「『互いの友』と『女王即位五十年祭の年に』にみる広告と消費(商品)文化」『ディケンズとギッシング―底流をなすものと似て非なるもの』(大阪教育図書、2018年)、“Perverted Virtue?: Jasper’s Evilness in The Mystery of Edwin Drood Readdressed.” Dickens and the Anatomy of Evil: Sesquicentennial Essays(Athena Press、2020年)、『〈線〉で読むディケンズ―速記術と想像力』(春風社、2022年)、「動かない人形のドラマ―ディケンズを通してみる人と人形(ひとがた)の関わり方」『ヴィクトリア朝文化研究』第22号(2024年)。

西山けい子(にしやま・けいこ)
関西学院大学教授
主な業績:『エドガー・アラン・ポー―極限の体験、リアルとの出会い』(新曜社、2020年)、「正直な人間が嘘をつくとき―『八月の光』における嘘と法外な歓待」『フォークナー』第23号(三修社、2021年)、「ポーにおける絵画の効果―肖像とアナモルフォーシス」『ポー研究』第16号(2024年)、「アウラとしての抒情―カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を読む」『アメリカン・ポエジーの水脈』(小鳥遊書房、2025年)。

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ことば×データサイエンス【AAA叢書第1巻】

ことば×データサイエンス

    • 中村靖子、鄭弯弯(編)/2025年3月
    • 4000円(本体)/A5判並製370頁
    • 装丁:矢萩多聞

テキストを計量分析することによって何が見えてくるのか?
研究プロジェクト「人間・社会・自然の来歴と未来―「人新世」における人間性の根本を問う」(Anthropocenic Actors and Agency in Humanity, Society, and Nature,略称:AAA)の成果を発信する叢書シリーズ、第1巻!
科学技術と伝統的人文学とをつなげ,新たな人文学を確立する試み。
(ISBN 9784868160274)

AAA叢書 各巻の構成(第2巻以降は予定)
第1巻(2025)ことば×データサイエンス
第2巻(2025)生成AI,ロボティクス
第3巻(2026)Anthropocene calling
第4巻(2026)ジェンダーとセクシュアリティ
第5巻(2027)社会と政治の科学
第6巻(2028)〈他者・自然との柔らかな均衡〉に向けて

目次|contents

叢書刊行によせて〔中村靖子〕
はじめに〔中村靖子〕
総論
第1章 テキスト計量分析の過去と現在からみる行方〔金明哲〕
第1部 人文学とテキスト分析
第2章 遠読できることと,できないこと―インド古典演劇論からのアプローチ〔岩崎陽一〕
第3章 ダーウィン『ビーグル号航海記』のセンチメント分析―感情史における量的分析と質的分析の融合に向けて〔伊東剛史・鄭弯弯〕
第4章 データサイエンスが紐解く文学空間の軌跡―日本近現代小説の文体変化を手がかりとして〔李広微〕
〈文学と映画―翻訳×テキスト分析〉
研究事例1 文体は翻訳できるか―『雪国』の中国語翻訳を中心に〔孫昊〕
研究事例2 翻訳作品のテキストマイニング―中国現代SFを題材に〔劉雪琴・程星博・盧冬麗〕
研究事例3 『紅いコーリャン』の日中レビュー比較分析―頻出語の差異にみる解釈の多層性〔張玉鳳〕
研究事例4 センチメント分析で分析される「センチメント」とは?―『マルテの手記』翻訳の比較より〔中村靖子・鄭弯弯〕
コラム1 文学研究とテキスト計量分析―『遠読』再読〔平井尚生〕
第2部 データ分析から見る〈こころ〉
第5章 フロイトのテキスト分析―言葉をめぐる想念の追跡〔中村靖子・鄭弯弯〕
第6章 私たちの心が癒されるプロセスの可視化―VR セルフカウンセリング研究におけるテキストマイニングの応用可能性〔山下裕子・山本哲也〕
第7章 ひとりひとりの宇宙―オンライン調査からみえてくる頭の中の世界の多様性と意志の所在〔高橋英之・竹内英梨香〕
コラム2 機械はテキストを「読む」のか?〔宮澤和貴〕
コラム3 言葉の進化生態モデル〔鈴木麗璽・有田隆也〕
第3部 社会感情,もしくはことばのデータ分析
第8章 感情分析―人間と言語モデルによる感情判断の比較〔鄭弯弯〕
第9章 国境侵犯の危機と政治家の演説―スイス大統領エッターとヒトラーの比較〔葉柳和則・鄭弯弯〕
第10章 人工テキストのマイニング―雑談する大規模言語モデル集団が創る社会構造と文化進化〔鈴木麗璽・浅野誉子・有田隆也〕
コラム4 能登半島地震報道の感情分析〔熊川穣〕
コラム5 ホープスピーチ〔和泉悠〕
あとがき―学恩が未来へと繋ぐ〔鄭弯弯〕

編者|editors

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター・教授
研究分野:ドイツ文学・思想史
主要研究業績
(編著)『予測と創発―理知と感情の人文学』春風社,2022年
(編著)『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』春風社,2019年
『フロイトという症例』松籟社,2011年

鄭弯弯(てい・わんわん)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター・助教
研究分野:機械学習・自然言語処理
主要研究業績
Can official data be trusted? Clarifying biases in sentiment analysis, The 5th Asia Conference on Information Engineering, 2025.
Estimating word difficulty using stratified word familiarity, Cogent Arts & Humanities, 2024.

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戦争をめぐる戦後沖縄文学の諸相

戦争をめぐる戦後沖縄文学の諸相

  • 柳井貴士(著)/2025年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製356頁
  • 装丁:中本那由子

戦後80年、戦争体験は遠い他者の出来事として霧散するのか。
沖縄戦、アメリカによる土地の強制収用、朝鮮戦争、ベトナム戦争への出撃基地…。〈本土・ヤマト〉とは違う戦中・戦後史をもつ〈沖縄〉が経験した〈戦争〉とは?
文学作品を通して、戦争という出来事、戦争の〈記憶〉と対峙することのさまざまな在り方を分析し、考察する。
(ISBN 9784868160434)

目次|contents

序章 〈戦争〉をめぐる沖縄の戦後文学の研究にあたって
第一部 沖縄戦をめぐる文学的表象
第1章 古川成美『沖縄の最後』におけるテクストの変遷と戦場へのまなざし
    ――初出版の問題点と改訂版の差異をめぐって
第2章 古川成美『死生の門』におけるテクスト生成と作品企図
    ――「形容の脚色」を帯びた物語の行方
第3章 石野径一郎『ひめゆりの塔』論
    ――作品の周辺と内容をめぐって
第二部 米軍占領下の文学作品――大城立裕を中心に
第4章 峻立する五〇年代〈沖縄〉の文学
    ――大城立裕の文学形成と『琉大文学』の作用
第5章 大城立裕「棒兵隊」論
    ――沖縄戦をめぐる内部葛藤の物語
第6章 大城立裕「カクテル・パーティー」論
    ――沈黙をめぐる〈語り〉の位相変化
第三部 沖縄の米軍基地とベトナム戦争――又吉栄喜を中心に
第7章 又吉栄喜初期作品における〈少年〉をめぐって
    ――施政権返還後の沖縄文学の動向
第8章 又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
    ――〈模倣〉と〈承認〉による「米兵」化をめぐって
第9章 又吉栄喜「ターナーの耳」論
    ――〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性
第四部 沖縄戦の記憶をめぐる文学作品――目取真俊を中心に
第10章 目取真俊「水滴」論
    ――〈共同体〉・〈記憶・〈水〉をめぐって
第11章 目取真俊「魂込め」論
    ――誤読される〈記憶〉の行方
第12章 目取真俊「伝令兵」論
    ――意味の空白・空白の記憶
終章

著者|Author

柳井 貴士(やない たかし)
1975年、栃木県生まれ。法政大学文学部、早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。国際交流基金客員研究員、蘭州大学外国語学院日本語学科講師を経て、現在、愛知淑徳大学創造表現学部准教授。専門は日本近現代文学。
主な論文に「明治期沖縄の散文小説をめぐる一断面——三面子「迷ひ心」論」(『国文学研究』2020・3)、「又吉栄喜「豚の報い」論——物語基点としての〈豚〉と変容する〈御嶽〉」(『昭和文学』2021・9)、「ゴジラが沖縄をめざすとき——円谷英二を遠く離れて」(『ユリイカ』2021・10)など。

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The Art of Escape: On Melville’s Bachelor Machines

The Art of Escape

On Melville’s Bachelor Machines

  • Taras Alexander Sak(著)/2025年2月
  • 6000円(本体)/A5判並製220頁
  • 装丁:長田年伸

ハーマン・メルヴィルの主要作品(『白鯨』『ピエール』『信用詐欺師』)やそれらに関連する小品もあわせて検討しながら、作中人物が社会や法律に背を向けそこから離れようとする「逃避」(escape)や「飛翔」(flight)の動きを追跡。メルヴィルの「逃避の芸術」(art of escape)が現代においてどのような意義を持つのかを考察する。(本文英語)
(ISBN9784861109959)

目次|Contents

Introduction
Chapter 1: Mad Fathers; or, Escaping the Nation
Chapter 2: Lost Sons (and Daughters); or, Escaping the Family
Chapter 3: An (Un)Holy Ghost; or, Escaping the Subject
Conclusion

著者|Author

サック・タラス (Taras Alexander Sak)
安田女子大学文学部英語英米文学科准教授。専門は19・20世紀アメリカ文学。
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校で比較文学の博士号を取得し、19世紀と20世紀のアメリカ文学、ハーマン・メルヴィルの作品、批評理論を中心に研究している。メルヴィル、ポー、ドン・デリーロ、トマス・ピンチョン、ソール・ベロー、コーマック・マッカーシーや、音楽(ルー・リード、ボブ・ディラン)、映画に関する著書多数。

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幸田露伴の「知」の世界

幸田露伴の「知」の世界

  • 西川貴子(著)/2025年2月
  • 4800円(本体)/四六判上製324頁
  • 装丁:毛利一枝

露伴にとって、「文章を作る」ということは「境界」をなくし、「広い」「茫漠として分らぬ」世界を作ることに他ならないという意識があったことがわかる。「いさなとり」に内包される「知」と「力」の錯綜のありようには、露伴の求めた「広い」「茫漠として分らぬ」世界の一端を観ることができる。(本文より)
(ISBN 9784861109874)

目次|Contents

凡例
はじめに――書を読むは猶文を作るが如し
第一部 「制度」からの逸脱
第一章 「法」と「幽霊」―「あやしやな」
第二章 「美術」の季節―『風流仏』
第三章 錯綜する「知」と「力」―「いさなとり」
第二部 合理的ならざるものへの眼差し
第四章 伝説と現実―「新浦島」
第五章 〈煩悶、格闘〉する詩人―「心のあと 出廬」
第六章 「詩」の行方―「天うつ浪」
第三部 「幻」をめぐる談し
第七章 「移動」と「境界」―「観画談」
第八章 「境界」に挑む者たち―「魔法修行者」
第九章 〈言〉をめぐる物語―「平将門」
第十章 香から広がる世界―「楊貴妃と香」
むすび

〔資料編〕
初出一覧
あとがき
人名索引

著者|Author

西川貴子(にしかわ・あつこ
東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。同志社大学文学部教授。専門は日本近現代文学。主な著書は、『建築の近代文学誌――内地と外地の西洋表象』(共編著、勉誠出版、2018年)、『日本文学の見取り図――宮崎駿から古事記まで』(共編著、ミネルヴァ書房、2022年)など。論文に「紙上映画という試み――懸賞映画小説「霊の審判」を読む」(『人文学』2022年)、「戦略としての「実話」――橘外男「博士デ・ドウニヨールの「診断記録」」に見る仕掛け」(『小説のフィクショナリティ――理論で読み直す日本の文学』高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編、ひつじ書房、2022年)などほか多数。

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老アブー

老アブー

  • ナタリー・ド・クルソン(著)、髙井邦子・大野デコンブ泰子(訳)/2025年1月
  • 2500円(本体)/四六判・仮フランス装220頁
  • 装丁:中本那由子

老いた父をめぐる風景
北フランスの町、ペリクールで一人暮らしをしている老父アブー。旧家の末裔である父、絶対的な家父長として君臨していた父が、今や老いて認知症になっている。この父をどうしたらいいか。子どもたちにとって必ずしも愛しい父ではないが、立派に生きた過去を持つ父を交代で世話をし、その様子をメールで報告し合う。そこに子どもたち一人ひとりのこれまでの人生が自然と浮かび上がる。父と子どもたちの関係、老い、介護を巡る物語。
(ISBN 9784861109980)

『老アブー』正誤表

目次|Contents

すべてのDの喪失の喪失

虫の知らせ
老いた林檎の木
黒いもの
超人ハルク
ユーロ王
徘徊
一〇〇歳
古い弾丸
地震地帯(東日本大震災)
余命いくばく

訳者あとがき

著訳者|Author and Translator

【著者】
ナタリー・ド・クルソン(Nathalie de Courson)
1951年パリ生まれの作家、詩人、翻訳家。パリ大学(仏文学)博士。元高校教師。著書に Nathalie Sarraute – la peau de maman (L’Harmattan 出版、2011年)、Eclats d’école (Le Lavoir Saint-Martin 出版、2014年)がある。翻訳書(スペイン語からフランス語)に Estela Puyuelo著、Tous les vers à soie (La Ramonda出版、2021年) 等。

【訳者】
髙井 邦子(Kuniko TAKAI)
明治大学、明治学院大学、成蹊大学、國學院大學等、元非常勤講師。共訳書に、アニー・アンジュー『特性のない女』(言叢社)、フェリックス・ナダール+ポール・ナダール『パリの肖像 ナダール写真集』(立風書房)、ニコラ・アブラハム、マリア・トローク『表皮と核』(松籟社)。

大野デコンブ 泰子(Yasuko ONO-DESCOMBES)
元仏国オルレアン大学文学部准教授。仏国立東洋言語文化学院(INALCO)博士。パリ第7大学(仏文学)修士。米国ジョンス・ホプキンス大学(西洋美術史)修士。慶應義塾大学(仏文学)学士。専門は日本文化史および比較文化。著書に、Kenzan, potier ermite – regards sur un artiste japonais de jadis (L’Harmattan 出版、2011年)。

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フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

  • 三根靖久(著)/2024年11月
  • 7000円(本体)/A5判上製512頁
  • 装丁:毛利一枝
  • 装画:揚妻博之

創造的であるためには、
作家は常に勤勉でなければならず、安逸な幸福を排除して生きなければならない。『判決』のゲオルク・ベンデマンは、人生をかけて事業に挑むこともなく小市民的幸福を選ぼうとしたことにより、父から罰せられた。(…)カフカは“書くこと”を強く希求しているが、その“書くこと”は、ときに無慈悲な掟として作者にのしかかる。(本文より)

(ISBN 9784861109942)

目次|Contents

第一部 創作と流れ
Ⅰ 形象と隠喩
1 創作をめぐるカフカの形象表現に関する先行研究
2 隠喩論

Ⅱ 創作をめぐるカフカの隠喩―『判決』以前と以後―
1 “僕は高揚している間だけ良いものを考え出す”―『判決』までの日記―
2 “書くことは深いところに重心がある”―『機関助士』以降の日記と手紙―

Ⅲ 出口のない“流れ”
1 朝の交通に遅れた者たち―『失踪者』と『変身』―
2 階段を上り続ける者たち―『審判』と『狩人グラックス』―

Ⅳ ‶書くこと″と内省
1 よそ者と女たち―『城』―
2 物思いにふける動物たち―『ある犬の研究』と『巣穴』―

第二部 〈あなた〉との出会い
Ⅴ もう一つの転機
1 一九一一年の日記
2 架空の語り手と架空の受け手

Ⅵ ‶お前と世界との戦いでは、世界の味方をしろ″
1 語り手の眼差し―『新人弁護士』―
2 語り手への眼差し―『ある学士院への一通の報告書』―
3 〈小さな文学〉の誕生

Ⅶ 語っているのは誰なのか―『断食芸人』、『最初の苦悩』、『小さな女性』―
1 匿名の語り手―『最初の苦悩』と『断食芸人』―
2 つきまとわれる語り手―『小さな女性』―

Ⅷ 彼女が〈私たち〉と言うとき
1 生前発表作品における〈私たち〉の転換
2 カフカの創作ノートに残された〈私たち〉
3 〈私たち〉の小さな音楽―『歌手ヨゼフィーネもしくはネズミ族』―

結論
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

三根靖久(みね・やすひさ

1983年生まれ。
2006年東京外国語大学卒業。
2019年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。
現在、中央大学経済学部兼任講師。

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