日常の冒険 ホワイトヘッド、経験の宇宙へ

日常の冒険 ホワイトヘッド、経験の宇宙へ

  • 佐藤陽祐(著)/2021年5月
  • 3800円(本体)/四六判上製326頁
  • 装丁:桂川潤

「生きるということは、何かとかかわり合うことである。」多様な関係からいかにして知覚主体としての「わたし」が生まれるのか。

(ISBN 9784861107481)

目次|contents

序論 問題意識の概要と本書の主題
第1章 命題
1-1 命題――先行研究における命題概念の理解について
1-2 知覚的感受による命題について
1-3 現象と実在のはざまから
1-4 想像的感受による命題について――実在しないものたちの経験
第2章 命題にもとづく知覚論
2-1 「理論負荷性」という概念における「理論」について
2-2 知覚のための手がかり――理論としての命題
2-3 命題にもとづく知覚論と理論負荷性
2-4 抽象化されたものとしての知覚
第3章 二つの知覚論の関係性について――命題にもとづく知覚論と象徴的関連付け
3-1 二つの知覚様態―因果的効果と現前的直接性
3-2 象徴的関連付け
3-3 二つの知覚論の共通点
3-4 二つの知覚論の相違点
3-5 二つの知覚論の関係性について
第4章 二つの知覚論の統合的解釈にむけて
4-1 同時的世界について
4-2 緊張の場所と象徴的関連付け
4-3 緊張の場所と命題
4-4 意識的知覚について
結論にかえて――残された課題
主要参考文献一覧
あとがき

著者|author

佐藤陽祐(さとう・ようすけ)
1982年、秋田県生まれ。中央大学文学部哲学科卒業、中央大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。博士(哲学)。現在、中央大学兼任講師。論文に「ホワイトヘッド哲学における命題論――「理論負荷性」にもとづく命題概念の理解と命題にもとづく知覚論の考察――(『哲学』、日本哲学会、第66号、2015)など。

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学のゆりかご―母と娘のディスタンス

学のゆりかご

母と娘のディスタンス

  • 春風社編集部(編)/2021年5月
  • 1800円(本体)/四六判並製170頁
  • 装丁・装画・挿画:南伸坊

学問や出版を生業とする女性9名が、自身の原点である「母」のこと、そして、母と娘特有の心的距離について、さまざまに綴ったエッセイ集。「学び」の根について考える。装丁・挿画は南伸坊氏。

(ISBN 9784861107436)

目次|contents

はじめに
不確かな記憶、確かなもの (田中典子)
娘として人類学者として (森谷裕美子)
母の夢 (堀真理子)
母への旅 (福田須美子)
棺の私と飛行場の母 (栗原詩子)
母と娘の歌〜中国モソ人の母系社会と我が家〜 (金縄初美)
明暗を生きる若葉のころ (山田英美)
喝采 (橋出たより)
母の身仕舞い (石橋幸子)
あとがき
執筆者略歴

著者|authors

田中典子
言語学博士/語用論/清泉女子大学教授/著書に『プラグマティクス・ワークショップ―身のまわりの言葉を語用論的に見る』(春風社、2006)ほか
森谷裕美子
政治学博士/文化人類学/跡見学園女子大学教授/著書に『ジェンダーの民族誌―フィリピン・ボントックにおける女性と社会』(九州大学出版会、2004)ほか
堀真理子
英米文学・演劇研究/青山学院大学教授/著書に『反逆者たちのアメリカ文化史―未来への思考』(春風社、2019)ほか
福田須美子
教育学・女子教育研究/相模女子大学名誉教授/著書に『つながりあう知―クララと明治の女性たち』(春風社、2009)ほか
栗原詩子
芸術工学博士/音楽学/西南学院大学教授/著書に『物語らないアニメーション―ノーマン・マクラレンの不思議な世界』(春風社、2016)ほか
金縄初美
文学博士/文化人類学/西南学院大学教授/著書に『つながりの民族誌―中国摩梭(モソ)人の母系社会における「共生」への模索』(春風社、2016)ほか
山田英美
臨床発達心理学/山梨大学名誉教授・身延山大学名誉教授/著書に『幼児キャンプ―森の体験・雪の体験』(春風社、2001・2004)ほか
橋出たより
文筆家・詩人・エッセイスト/著書に『こども歳時記―母と子で読む日本の四季』(第三文明社、2014)
石橋幸子
春風社 営業部長/著書に『人生の請求書』(春風社、2014)

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講義 政治学入門―デモクラシーと国家を考える

講義 政治学入門

デモクラシーと国家を考える

  • 宮原辰夫(著)/2021年5月
  • 2200円(本体)/四六判並製150頁
  • 装丁:矢萩多聞

民主主義の起源とされる古代ギリシアのアテナイの歴史から、近代の社会契約論のホッブズ、ロック、ルソー、20世紀のウェーバー、シュミット、バーリンらを取り上げ、その思想のエッセンスを平明に解説。ヨーロッパ政治思想史の基礎を学び、現代政治の問題を考えるための新たな視点を得る。

(ISBN 9784861107443)

目次|contents

第1章:アテナイ民主主義の歴史
第2章:民主主義批判の歴史
第3章:民主主義と「自由」の観念
第4章:近代民主主義―自由と平等の相克
第5章:市民社会から大衆社会へ
第6章:国家の正統性
第7章:社会契約の思想
第8章:ホッブズの社会契約論
第9章:社会契約論―ロック
第10章:ルソーの社会契約論

著者|author

宮原辰夫(みやはら・たつお)
文教大学国際学部教授。慶應義塾大学博士(法学)。
専門は政治学・地域研究(南アジア)。著書に『イギリス支配とインド・ムスリム』(成文堂)、『インド・イスラーム王朝の物語とその建築物』(春風社)、『ムガル建築の魅力―皇帝たちが築いた地上の楽園』(春風社)、共訳書に『イスラームと民主主義』(成文堂)、など。

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小学校英語に児童文学を―絵本・ナーサリーライム・ストーリーテリングの世界に遊ぶ

小学校英語に児童文学を

絵本・ナーサリーライム・ストーリーテリングの世界に遊ぶ

  • 吉田真理子・佐藤佳子・執行智子(著)/2021年4月
  • 2000円(本体)/B5変形判並製146頁
  • 装丁:長田年伸

子どもの外国語(英語)学習に、なぜ「児童文学」が適しているのか。本物の文学作品がもつ、ことば、リズム、物語の構造などから検討する。Twinkle, twinkle, little star、『不思議の国のアリス』、エリック・カール絵本など、教材として使われる英米児童文学作品の背景知識、授業例も紹介。
(ISBN 9784861107337)

目次|contents

第1章[鼎談]なぜいま小学校英語に児童文学なのか

第2章 絵本 ~絵とことばが紡ぎ出す物語〜
子どもの成長と絵本/エリック・カール (Eric Carle)/英語の絵本と英語学習/読み聞かせの実践/実践紹介

コラム1 絵本の散歩道

第3章 大人も子どもも楽しめるナーサリーライム
ナーサリーライムについて/マザーグースの唄の集成/イギリス文学とナーサリーライム/英語教育とナーサリーライム

第4章 ストーリーテリングから生まれた文学作品 ~『アリス』を事例として~
子どものこころに働きかける 『アリス』/『アリス』3つの版/『子ども部屋のアリス』 (The Nursery “Alice” )/実践紹介

コラム2 ストーリーテリングの歴史

著者|authors

吉田真理子(ヨシダマリコ)
津田塾大学学芸学部英語英文学科教授。第二言語習得研究,ドラマ教育研究,初等英語教育研究。共著に『第二言語学習と個別性』(春風社,2006),『ドラマ教育入門』(図書文化,2010),『生きる力を育む初等英語教育―津田塾大学からの提言̶』(朝日出版,2015),『異文化理解ワークショップ〈トム・ソーヤ〉を遊ぶ―楽しく創造的な学びをめざして』(晩成書房,2019)など。

佐藤佳子(サトウケイコ)
敬愛大学教育学部こども教育学科准教授。初等英語教育研究,イギリス文学研究,イギリス児童文学研究。共著に『小学校外国語「二大テーマ」に答えます~「小学校外国語不安」と「小中連携」の各地域の取り組み~』(啓林館,2019)など。

執行智子(シギョウトモコ)
東京未来大学こども心理学准教授。第二言語習得研究,初等中等英語教育,小学校英語教員養成。共著に「音のでる絵本を取り入れた中学年のための小学校外国語活動―高学年の外国語活動をスムーズに始めるための準備段階に行なわれるべきこと」(Step Bulletin, Vol. 24,2012),『生きる力を育む初等英語教育―津田塾大学からの提言―』(朝日出版, 2015),“Early Language Learning and Teacher Education: International Research and Practice (Ch.11 担当)”(Multilingual Matters,2019)など。

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半分満たされたグラス ジャズとシグニファイイング

半分満たされたグラス ジャズとシグニファイイング

  • 椿清文(著)/2021年4月
  • 2400円(本体)/四六判並製272頁
  • 装丁:桂川潤

ジャズのエッセンスであるアドリブ、メッセージ性を、シグニファイイング(修正)から読み解く。素材の修正を楽しむ音楽がジャズだ。

(ISBN 9784861107412)

目次|contents

第一章 はじめに
第二章 シグニファイイング
第三章 二人の偉大なジャズの作曲家――ジェリー・ロール・モートンとデューク・エリントン
第四章 ジャズ・エイジの二人のエース――ルイ・アームストロングとビックス・バイダーベック
第五章 ビバップの衝撃――チャーリー・パーカー
第六章 モンク、ミンガス、マイルス――モダンジャズのリーダーたち
第七章 ジャズと私

おわりに
ジャズ年表
音源について
参考文献
索引

著者|author

椿清文(つばき・きよふみ)
1951年、山口県小野田市生まれ。
1980年、東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻博士課程修了。津田塾大学名誉教授。専門はアメリカ文学・文化。専攻分野は「ジャズとアメリカ文学・文化」。
著書
『JAZZ:愛すべきジャズメンたちの物語』(ネット武蔵野)
論文
「「ブラック・アンド・ブルー」ファンタジー…ラルフ・エリソンとジャズ」(渡辺利雄編『読み直すアメリカ文学』[研究社出版]所収)

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現場に立つから、おもしろい―世界をつなぐ、ひと・モノ・しくみ

現場に立つから、おもしろい

世界をつなぐ、ひと・モノ・しくみ

  • 江戸川大学現代社会学科(監修)、土屋薫・阿南透・大塚良治・川瀬由高・佐藤秀樹(編)/2021年4月
  • 1800円(本体)/四六判並製224頁
  • 装丁:矢萩多聞

複雑化する現代社会の諸課題に向き合うヒントは現場(フィールド)にある。食、観光、スポーツなど身近なテーマを入り口に多角的視点を育む、現代社会学の入門書。

(ISBN 9784861107405)

目次|contents

本書のトリセツ(土屋薫)

第1部:地域社会(ひと)
第1章 卵かけご飯を食べたら怒られた――フィールドで出会う他者と自己(川瀬由高)
第2章 環境問題に描く夢――バングラデシュの地域社会から(佐藤秀樹)
第3章 地域をつくるパートナーシップ――千葉県流山市における鉄道事業者の戦略的提携(大塚良治)

第2部:資源(モノ)
第4章 ニューツーリズムと観光革命――体験と交流の創出に向けて(崎本武志)
第5章 どうやって自分の知らない世界(ところ)にたどり着くか?――寄り道を「たしなむ」レジャー社会学(土屋薫)
第6章 クマ見て森を見ず――餌(えさ)資源から見た持続可能性(中島慶二)

第3部:制度(しくみ)
第7章 日本が導くプロスポーツ文化――プロ野球とエンタテインメント(広岡勲)
第8章 だから日本サッカーの「今」がある――世界標準へ向けた歴史的検証(末永尚)
第9章 文化のちから――法と政策から考える現代社会(関根理恵)
第10章 アマビエはコロナに克てるか?――疫病退散の民俗学(阿南透)

現代社会を知るための30のキーワード
執筆者一覧

編者|editors

土屋薫(つちや・かおる)
江戸川大学社会学部現代社会学科教授。専門はレジャー社会学。研究テーマは観光創造、オープンガーデン、関係人口など。

阿南透(あなみ・とおる)
江戸川大学社会学部現代社会学科教授。専門は民俗学。研究テーマは祭り、イベント、年中行事など。

大塚良治(おおつか・りょうじ)
江戸川大学社会学部現代社会学科准教授。専門は観光学、経営学。研究テーマは、鉄道ビジネス、観光まちづくりなど。

川瀬由高(かわせ・よしたか)
江戸川大学社会学部現代社会学科講師。専門は文化人類学、中国研究。研究テーマはコミュニティ論、農村研究など。

佐藤秀樹(さとう・ひでき)
江戸川大学社会学部現代社会学科講師。専門は環境教育、環境社会学、国際協力・社会支援。研究テーマは市民参加型の環境保全活動、SDGsなど。

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ナショナリズムの空間―イスラエルにおける死者の記念と表象

ナショナリズムの空間

イスラエルにおける死者の記念と表象

  • 今野泰三(著)/2021年3月
  • 3600円(本体)/四六判上製294頁
  • 装丁:長田年伸

イスラエルにおける死と記念の諸相
「ユダヤ民族」とその「祖国」が創出され、聖性と肉体が与えられてきた過程を明らかにする。

(ISBN 9784861107221)

目次|contents

はじめに
第1節 問題の背景と本書の目的
第2節 本書の構成

第1章 ネイションと空間
第1節 はじめに
第2節 ネイションと空間
第3節 小括

第2章 イスラエルにおける死者の記念
第1節 はじめに
第2節 イスラエルの景観における死者の記念
第3節 軍用基地・ショアーとヒロイズムの記憶局・戦没者記念碑
第4節 小括

第3章 一九六七年戦争以降のイスラエルの占領・入植政策
第1節 はじめに
第2節 一九六七年戦争とイスラエルの支配地域の拡大
第3節 占領地における入植地建設
第4節 小括

第4章 民族宗教派のイデオロギーと死者の記念と表象 
第1節 はじめに
第2節 民族宗教派とメシア主義
第3節 調査の方法と対象
第4節 死/死者を巡るナラティブと表象
第5節 小括

おわりに
謝辞
参考文献

著者|author

今野泰三(いまの・たいぞう)
中京大学教養教育研究院准教授。専攻・専門はパレスチナ/イスラエル研究、平和学、政治地理学
主な著作に「宗教的シオニズムの構造的基盤に関する歴史的考察――ハ・ミズラヒとハ・ポエル・ハ・ミズラヒの多元的・状況対応的性格」(『ユダヤ・イスラエル研究』第34号、2021年刊行予定)、「入植地問題とオスロ・プロセスを巡る論争――和平交渉と入植地建設はなぜ同時に進んだのか」(『日本中東学会年報』第32号第2巻、2017年)、『オスロ合意から20年―パレスチナ/イスラエルの変容と課題』(共編著、人間文化研究機構プログラム・イスラーム地域研究東京大学拠点、2015年)など。

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病いと薬のコスモロジー―ヒマーラヤ東部タワンにおけるチベット医学、憑依、妖術の民族誌

病いと薬のコスモロジー

ヒマーラヤ東部タワンにおけるチベット医学、憑依、妖術の民族誌

  • 長岡慶(著)/2021年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製416頁
  • 装丁:中本那由子

病いとともに、いかにして生きるのか
二〇世紀後半からチベット医学は、専門資格化や薬の大量生産といった制度化が進んだが、そこでの医療実践は「伝統/近代」や「制度的医療/土着医療」のように断片化しているのではなく、それぞれの実践が部分的に重なり合い、医療・身体・環境が複雑に絡まり合っている。
伝統治療者、薬師、僧、村人、薬草、制度、神霊、インフラ。様々な人とモノが協働するなか、ヒマーラヤ東部のタワンの人々が経験する体の節々の痛み、胃炎、毒盛りや神霊による祟りといった病いと、そこであらわれている不確かで複数的な身体を、気鋭の人類学者がフィールドワークをもとに丹念に描く。

(ISBN 9784861107108)

本書が『フレグランスジャーナル』で紹介されました。
本書の書評が『アジア・アフリカ地域研究』に掲載されました
本書の書評が『宗教研究』に掲載されました

 

目次|contents

まえがき
凡例

序章

第Ⅰ部 チベット医学の開発
第1章 チベット医学の制度化とアムチ
第2章 チベット薬の標準化とタワンの人々

第Ⅱ部 ナツァの病いとチベット医学の実践
第3章 タワンの暮らしとナツァ治療
第4章 チベット医学の診療実践

第Ⅲ部 神霊と妖術における病いと薬
第5章 神霊ルーによる病いと開発
第6章 憑依と宗教薬
第7章 毒盛りと妖術と民間薬

終章
あとがき
参考文献
索引

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
『病いと薬のコスモロジー』正誤表

著者|author

長岡慶(ながおか・けい)
日本学術振興会特別研究員(CPD、関西大学)。専門は医療人類学、環境人類学、南アジア研究。主な著作に、Repairing Everyday Ruptures: Tibetan Medicine in Tawang, India. (Yogesh Raj ed. Ruptures and Repairs in South Asia Historical Perspectives. Martin Chautari、2013年)、「チベット医学の歴史的展開と東ヒマーラヤにおける実践」(小杉泰編『環インド洋地域における宗教復興・テクノロジー・生命倫理』京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属イスラーム地域研究センター:京都大学現代インド研究センター、2013年)、「神霊ルーをめぐるローカリティの再編――インド北東部モンパ社会の事例から」(岩尾一史・池田巧編『チベット・ヒマラヤ文明の歴史的展開』臨川書店、2018年)など。

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愛と共生のイスラーム―現代エチオピアのスーフィズムと聖者崇拝

愛と共生のイスラーム

現代エチオピアのスーフィズムと聖者崇拝

  • 石原美奈子(編著)/2021年3月
  • 6300円(本体)/A5判上製552頁
  • 装丁:中本那由子

宗教、民族、国の違いを越えてともに祈る
西アフリカからエチオピア西部にやってきたひとりのスーフィー(イスラーム神秘主義者)が、「無償の奉仕」を通して、オロモの人々を中心に様々な民族・宗教に属する人々からカリスマ的な聖者として崇敬されるようになった過程、そしてそのカリスマ性が、次世代の人々の営みによって受け継がれていく様子を描き出した民族誌。

(ISBN 9784861107306)

目次|contents

地図
凡例
プロローグ
序章

第Ⅰ部 西部オロモ社会とイスラーム
第1章 オロモの社会と宗教
第2章 ジンマ地方のイスラーム化:「商人」と学者

第Ⅱ部 カリスマの誕生:アルファキー・アフマド・ウマルの人生誌
第3章 聖者性の醸成:西アフリカからエチオピアへ
第4章 聖者性の発現:ミンコ村からクサイェ村へ
第5章 聖者性の存続に向けて

第Ⅲ部 カリスマの日常化:ティジャーニー教団の「土着化」
第6章 聖者と精霊:イスラーム化と霊媒師の役割
第7章 ティジャーニー教団の展開と「イスラーム化」
第8章 「聖性」の政治学:ヤア聖者廟村の形成と変容

第Ⅳ部 「カリスマ」を取り巻く社会環境の変容
第9章 ヤアの今日的状況:土地取引と民族対立の最中で(松波康男)
第10章 引き継がれるアルファキーの「仕事」:トリ集落とアブドゥルカリーム(吉田早悠里)

終章

エピローグ
インフォーマント一覧
用語
参照文献
索引

著者|authors

石原美奈子(いしはら・みなこ)
南山大学人文学部・教授。文化人類学。主な著作に、『現代エチオピアの女たち―社会変化とジェンダーをめぐる民族誌』(編著、2017年、明石書店)、『せめぎあう宗教と国家―エチオピア 神々の相克と共生』(編著、2014年、風響社)、Muslim Ethiopia: The Christian Legacy, Identity Politics, and Islamic Reformism(共著、2013年、Palgrave Macmillan)、ファーガソン,J.『反政治機械―レソトにおける「開発」・脱政治化・官僚支配』(共訳、2020年、水声社)など。

松波康男(まつなみ・やすお)
明治学院大学社会学部・准教授。社会人類学。主な著作に、「「南スーダンにおける紛争解決合意(ARCSS)」署名を巡るIGAD加盟国の関与」(『アフリカレポート』57、2019年)、『現代エチオピアの女たち―社会変化とジェンダーをめぐる民族誌』(共著、2017年、明石書店)、『フィールドワークの安全対策』(共著、2020年、古今書院)など。

吉田早悠里(よしだ・さゆり)
名古屋大学大学院人文学研究科・准教授。文化人類学。主な著作に、『誰が差別をつくるのか――エチオピアに生きるカファとマンジョの関係誌』(2014年、春風社)、Greetings from the Austrian-Hungarian Monarchy, the Ethiopian Empire and Beyond: The Picture Postcards of Friedrich Julius Bieber (1873-1924)(2021年、LIT Verlag)、Bieber, F. J. Reise nach Äthiopien: Tagebücher 1904, 1905, 1909(編著、2021年、LIT Verlag)、ファーガソン,J.『反政治機械―レソトにおける「開発」・脱政治化・官僚支配』(共訳、2020年、水声社)など。

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「共生社会」と教育―南アフリカ共和国の学校における取り組みが示す可能性

「共生社会」と教育

南アフリカ共和国の学校における取り組みが示す可能性

  • 坂口真康(著)/2021年3月
  • 5400円(本体)/A5判上製554頁
  • 装丁:長田年伸

自己と他者を隔てる「差別」は克服しうるのか――
西ケープ州の公立学校でなされる教育を、ナショナル・カリキュラムの1つであるLife Orientationの実践を具体的に検討することにより考察。アパルトヘイトから引きずられた人種差別の克服に向けた教育改革の特徴と過程、「共生」という言葉の意味と実態をひもとき、多文化社会における「共生教育」の方途を探る。
(ISBN 9784861107269)

目次|contents

序章 問題の所在と研究の目的
第1章 「共生社会」論の理論的検討と「共生教育」の定義
第2章 南アフリカ共和国における「共生社会」のための取り組みの歴史的変遷
第3章 南アフリカ共和国におけるポスト・アパルトヘイト時代の教育改革――高等学校段階の必修教科Life Orientationに着目して
第4章 高等学校段階のLife Orientationの教授/学習内容の具体例――任意の教科書を手がかりとして
第5章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の定性的分析
第6章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の定量的分析
第7章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の総合的考察
第8章 「共生社会」論と「共生教育」論の理論的補強――西ケープ州の公立学校の高等学校段階における取り組みをもとに
終章 研究のまとめと限界および今後の課題
参考文献・参考資料
あとがき

著者|author

坂口真康(さかぐち・まさやす)
1985年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科3年制博士課程ヒューマン・ケア科学専攻修了。博士(教育学)。兵庫教育大学講師。専門は、教育社会学、比較教育学。主な著書・論文に、『MINERVAはじめて学ぶ教職6 教育社会学』(ミネルヴァ書房、2018年、共著)、『共生の社会学――ナショナリズム、ケア、世代、社会意識』(太郎次郎社エディタス、2016年、共著)、「「ナショナルな基準」と多様な実践の間で揺れる社会的な「共生」を志向する教育――南アフリカ共和国西ケープ州の高等学校段階の教員の認識を事例として」(『教育社会学研究』第106集、2020年)、「南アフリカ共和国における「共生」のための教育に関する一考察――西ケープ州の高等学校を舞台とした認識のせめぎ合いに着目して」(『比較教育学研究』第50号、2015年)などがある。

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