信仰の美學

信仰の美學

  • 阿部仲麻呂/2005年2月
  • 9500円(本体)/A5判上製・710頁

「美」を手がかりにした新しい福音理解。カトリック信仰と西田哲学を軸に古今東西の思想を読み解き、西欧的理性主義を超えた「日本的霊性の神学」構築を試みる。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100283)

推薦の言葉

カトリック司祭であり、若手神学者である阿部仲麻呂師のエッセンスを凝縮した膨大な論集である。玉手箱のような多岐にわたる論説の数々は、著者の関心の広さを顕している。しかし方向性ははっきりしている。大和回帰である。阿部師による日本の神学の展開に注目している。
岩島忠彦(上智大学神学部教授)
著者は日本の文化に深い愛を抱く研究者にして、西欧精神の中心的伝統であるカトリックの司祭。この若き神学者の瞑想から生まれた珠玉の文章が、はじめて一冊にまとめられたことを心から歓迎したい。
渡部昇一(評論家)
序文―小野寺功
日常的な霊性の探究と司牧と研究の一致をめざし、あらゆる現実の矛盾に向きあい、誠実に歩みを進める阿部神父の「いのち」が反映している。

目次|indexs

第一部 花―日本文化の創造性
エッセイ1・おもい
ⅰ 和歌・能・茶道―ひとすじの日本性
ⅱ あはれ
ⅲ 心の底のやまとたましひ―阿倍仲麻呂論
ⅳ 夢幻的交流―空あるいは縁の世界
ⅴ 花の神学あるいは日本の生活美とキリスト教霊性―美・花・光・夢
エッセイ2・えにし
ⅰ 永遠のいのち
ⅱ 一期一会の味わい
ⅲ 松尾芭蕉の旅
ⅳ 十四世紀という時代―エックハルトと世阿弥
ⅴ キリスト者と陰陽道
ⅵ 日本人の修行観―道
ⅶ 道元の修行観とキリスト教
エッセイ3・ひびき
ⅰ 創造的に生きる
ⅱ 藝術創作について
ⅲ 藝術と真理―解釈学的に
ⅳ 藝術における逆説について
論文1・認識の共通基盤―神道・仏教・キリスト教の響存背景(life-context)
ⅰ アニミズムの論理―東北的アニミズム神学の構築に向けて
ⅱ 「美」の可能性―藝術理解・修行観洞察・諸宗教対話
ⅲ 神学と哲学の根源から思索する
ⅳ 本覚思想のキリスト教的適応―『大乗起信論』を手がかりにして
ⅴ 東西霊性交流の架橋―ホアン・マシア『大乗起信論』スペイン語訳
ⅵ 夢幻能の「救い」―世阿弥の「花」を手がかりにした解釈学的美学の試み
ⅶ 『十牛図』のキリスト教的可能性
第二部 風―神学的ネットワークと神秘霊性
エッセイ4・つながり
ⅰ 多様なものがひとつに活かされるために
ⅱ いのちのつながり―宇多田ヒカルさんの思いから
ⅲ ネオ・コスモポリタニズム
ⅳ 「インターネット神学」へ向けて
ⅴ ドビュッシー・ジョビン・サカモト
ⅵ 組織と運動
ⅶ 神が呼び集めてくださる
エッセイ5・まなざし
ⅰ アッシジ
ⅱ ドイツ神秘霊性―マイスター・エックハルトの思想を中心にして
ⅲ シエナの聖カタリナ
ⅳ 聖イグナチオ・デ・ロヨラについて
ⅴ エディット・シュタインとの出会い
ⅵ 回勅『信仰と理性』の成立背景
ⅶ 関係性と相互の歩み寄り―マルティン・ブーバーの思想
論文2・エックハルトの思想―のびやかないのちの躍動
ⅰ かたちのあらわれ
ⅱ 擬ディオニュシオス『神秘神学』における神理解
ⅲ エックハルトの「離脱」
ⅳ エックハルトにおける神と人間の出会い
第三部 祈―現代の神学をめぐって
エッセイ6・こころざし
ⅰ 無神論について
ⅱ 『カトリック教会のカテキズム』について/信仰宣言
ⅲ 三位一体の神
エッセイ7・たまゆら…
ⅰ 「諸宗教者の集い」に参加して
ⅱ 「聖霊」における諸宗教者の共歩―万物の根源に向かって
ⅲ 主イエスへの祈り―距離と共生
ⅳ ユダヤ教とキリスト教の対話―イエスとパウロの選民意識
ⅴ 秘跡論序説
ⅵ 「いのち」の尊さ―回勅『いのちの福音』にもとづいて
ⅶ マリア/おはよう!
論文3・美しき現代哲学―京都学派哲学とキリスト教の深まり
ⅰ 科学と信仰の「根本場」―柳瀬睦男『現代物理学と新しい世界像』に即して
ⅱ 知られざるキリスト者―九鬼周造
ⅲ 逢坂元吉郎の思想
ⅳ 小野寺功の思想をめぐって(Ⅰ)―『絶対無と神 京都学派の哲学』
ⅴ 小野寺功の思想をめぐって(Ⅱ)―『聖霊の神学』
ⅵ 「良心」と「誠」をめぐって―竹内修一『良心と人格』
ⅶ 基礎神学の実用的な俯瞰図―ジェラルド・オコリンズ『基礎神学の復権』
ⅷ 美の神学のかなたに
ⅸ 日本近代哲学の神学的意義―西田幾多郎「逆対応の論理」の構造と可能性
第四部 光―まことのひらけ
エッセイ8・ゆるしの風光―つつまれるやすらぎ
ⅰ ゆるされた喜び
ⅱ 聖霊降臨の日に
ⅲ 「ゆるしの秘跡」の現場で
ⅳ 「ゆるしの秘跡」について
ⅴ 聖霊論的「ゆるし」理解
ⅵ 聖母マリアについて
ⅶ 嫉妬と信頼
ⅷ あわれみの心
ⅸ 主の思い
ⅹ 神の視点と人間の視点
ⅹⅰ 復活について
ⅹⅱ 福音のひびき
あとがき

著者|author

阿部仲麻呂(あべ・なかまろ)
1968年生まれ。上智大学文学部哲学科および神学部神学科を卒業。同大学大学院神学研究科博士前期課程を経てイタリアへ留学。教皇庁立グレゴリアン大学大学院神学部基礎神学科修士課程修了。上智大学大学院神学研究科博士後期課程在籍後、現在も博士論文を執筆中。カトリック司祭。
主要著訳書に、上智大学新カトリック大事典編纂委員会編『新カトリック大事典』(研究社)、レオナルド・ボフ「解放の神学とエコロジー」(『神学ダイジェスト』第81号)ほか多数。

担当編集者から

ヨーロッパにおける思考様式は、三段論法的に、また弁証法的に一段一段、階段を積み上げ論理を展開していくやり方が長く支配的だった。ソクラテスにはじまりデカルトを経てカント、ヘーゲルに至る主流の歴史である。
これに異を唱えたニーチェは、断章形式(アフォリズム)という、論理を「展開しない」方法を構想し、思考の地殻変動を促した。
現代に生きる思想の本として、『信仰の美学』は後者を極限まで追求する。
700頁超の本文(束50ミリ!)で扱われるのは、西田・京都学派哲学と南方熊楠とエックハルトと坂本龍一と宇多田ヒカルとアッシジのフランチェスコとマルチン・ブーバーとイヴァン・イリイチと世阿弥と大乗仏教と阿部清明と…(まだまだある)。
ウタダとエックハルトは相当アバンギャルドな取り合わせだが、ともかく、これらを縦横に横断し、導き出そうとするのは一点、「日本文化とキリスト教」の接触点。
若きカトリック界の俊英の挑戦をぜひ受け止めていただきたい![-内藤-]

 

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変わる富士山測候所

変わる富士山測候所

  • 江戸川大学土器屋由紀子ゼミ 編/2004年12月
  • 1800円(本体)/A5判・254頁

日本人にとっての富士山とは!? 2004年夏、長く有人観測を続けてきた富士山測候所が70年の歴史を閉じた。現場関係者ならではの熱き思いとエピソード満載でお届けするユニークなエッセイ集。富士山の有効活用を説く!
(ISBN 4861100232)
NPO法人「富士山測候所を活用する会」

推薦の言葉

あの富士山頂の測候所が無人化する。厳しい状況下での観測の様子を強く印象づけられている者にとって、時代の流れと割り切れないものを感じる。その観測に当られた人々の熱い思い出が伝わってくるのが本書だ。たんに測候所の歴史を知るだけでなく、日本人の富士山に対する思いをあらためて考えさせる本である。
太田次郎(江戸川大学学長)

目次|indexs

序 問いを生きる
座談会 変わる富士山測候所
ガイドと歴史
富士山測候所ガイド 高橋 宙
富士山測候所の歴史 土器屋 由紀子
現在
一九九九年の富士山の観測と私 米倉 寛人
関係者以外立ち入り禁止―富士山測候所 吉川 哲生
富士山での大気観測に参加して 木戸 瑞佳
メールマガジン一二〇〇号 高橋 宙
冬富士・測候所余話 岩崎 洋
富士山体感記 三枝 文和
富士山での思い出 島根 雅志
空に浮かぶ塵たちと私たちの環境 新村 典子
二〇〇四年の大気化学集中観測 土器屋 由紀子
過去
インタビュー 自然と対話する―富士山レーダー建設 伊藤 庄助
富士山測候所との一〇年 立平 良三
はるかに富士山を望めば 平井 泰世
高山病 志崎 大策
山頂勤務の思い出 河野 元治
三七七六メートルを思う 下山 紀夫
富士山での気象観測はいま―夢と、現実と 城野 光昭
藤村郁雄さんの思い出 梯 武浩
人魂 伊藤 定亘
インタビュー 測候所とともに―支えつづけた半世紀 伊倉 範夫・勝又 實枝子
未来
富士山パワーをもらおう 斗鬼 正一
地球環境の視点―南極と富士山頂 長田 和雄
「富士山頂高所医科学・順応トレーニングセンター」および「総合観測研究センター」設立の提案 浅野 勝己
アマチュア天文家の立場から 佐藤 幹哉
富士山の世界遺産登録を目指して 渡辺 豊博
鼎談 明日の富士山を考える―ユングフラウヨッホを参考に
そして未来へ 五十嵐 康人、高橋 宙
あとがきに代えて

著者|author

土器屋由紀子(どきや・ゆきこ)
1964年東京大学大学院・農学研究科(修士)終了。1978~1979年、米国商務省標準局(NBS、現在NIST)で客員研究員。1997年より東京農工大学・農学部教授、2002年4月より江戸川大学社会学部環境デザイン学科教授。
主な著書『気象と環境の科学』(山崎道夫・廣岡俊彦編、1993年、養賢堂、共著)、『山の大気環境科』(土器屋由紀子・岩坂泰信他編、2001年、養賢堂共著)、『地球環境ハンドブック』(不破敬一郎・森田昌敏編、2002年、広川書店、共著)

担当編集者から

富士山に登ったことのない人間が編集を担当していいのか。右も左もわからぬまま編集作業にとりかかりました。まさに試行錯誤の連続。そんなとき、大成建設元社員の伊藤庄助さんとのインタビューが実現。伊藤さんの言葉に触れるうち、日本人にとっての富士山とは一体何か、という疑問が湧いてきた。
本書に収録されている文章には、各人が富士山と関わったことで得られた貴重な経験が綴られています。そもそも富士山とは何か。答えはひとつじゃないけれど、この本がそれを考えるきっかけになってくれればと思います。[-長田-]

 

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写真集 東大全共闘・68-70

写真集 東大全共闘・68-70

  • 平沢豊 撮影/2004年12月
  • 2800円(本体)/変形判(250×250mm)上製・96頁

静かに生を問い、いつくしむようにして撮った時代の証言集! 1960年代末、当時東大生だった著者がつぶさに目撃した東大全共闘。主体性の問題、学問の自由、大学の自治、研究者の倫理等々、根底から問われつづけた問題は現代をも打つ。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100267)

著者|author

平沢豊(ひらさわ・ゆたか)
1947年生まれ。1971年東京大学文学部フランス文学科卒業。同年、平凡出版株式会社(現マガジンハウス)入社。1984年、『ELLE-JAPON』編集長に就任。その後、『BRUTUS』、『TARZAN』、書籍出版部の編集長を歴任。現在、書籍出版部所属。

 

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自治体の言語サービス―多言語社会への扉をひらく

自治体の言語サービス

多言語社会への扉をひらく

  • 河原俊昭(編著)/2004年12月
  • 2286円(本体)/A5判・300頁

在日外国人は困っている! 秋田県、沖縄県、旭川市など、14の自治体の言語サービス(情報提供、相談活動、通訳・翻訳、母語支援等)の現状と問題点を具体的な事例にもとづき紹介し、改善策を提示する。
(ISBN 4861100224)

目次|indexs

はじめに―言語サービスとは(河原俊昭)
第Ⅰ部 (関東地方)
第1章 「外国人」児童生徒のための母語保障―神奈川県内の事例研究(松原好次)15
第2章 「内なる国際化」―東京都の言語サービス(Peter Backhaus)
第3章 相模原市における言語サービス―「さがみはら国際交流ラウンジ」を中心に (手塚順孝)
第4章 外国人への日本語教育サービス―東久留米市の事例から (秋山容子)
第5章 多文化共生地域社会をめざして―川崎市の言語サービス (三好重仁)
コラム1 多文化共生の場 (八田洋子)
コラム2 ゴミの分別 (原隆幸)
第Ⅱ部 (東海、関西、沖縄地方)
第6章 人権の視点からみた安全への多言語対応―豊田市の事例から (岡戸浩子)
第7章 浜松市における在住外国人施策をめぐって―官民一体となった教育・学習支援の可能性 (淺間正通・安冨勇希)
第8章 沖縄県の言語サービス政策についての一考察 (樋口謙一郎)
コラム3 神戸と外国人 (中尾正史)
第Ⅲ部 (北海道、東北、北陸地方)
第9章 旭川市とユジノサハリンスク市の言語サービス (井筒勝信)
第10章 秋田県における国際化と外国語言語サービスの課題と展望 (榎木薗鉄也)
第11章 地方都市における「言語サービス」―山形市国際交流協会の場合 (高木裕子・古内綾子)
第12章 日本語指導を必要とするブラジル人児童生徒への対応―在住外国人少数地域・石川県小松市の事例 (後藤田遊子)
第13章 金沢市を変えるニューカマーたち (河原俊昭)
コラム4 NHKの語学講座に登場する外国人 (山川智子)
第Ⅳ部 (日本語教育)
第14章 「言語サービス」としての日本語教育 (鈴木寛子)

著者|author

河原俊昭(かわはら・としあき)
1950年石川県生まれ。東京大学文学部卒業。金沢大学教育学部教育学科研究科修了(教育学修士)。金沢大学社会環境科学研究科修了(社会環境科学博士)。現在、金沢星陵大学教授。
著書に『アジア英語辞典』(共著、三省堂)、『異文化理解の座標軸』(共著、日本図書センター)、『Languages and Language Policies in Insular Southeast Asia―Foucusing on the Philippines and Malaysia』(春風社)など。

担当編集者から

編著者の河原先生は、金沢市の言語サービスについて執筆されている。年に2度しか帰省しない私だが、古い地方都市である金沢にも在住外国人が増えていることはなんとなく肌で感じていた。友人から、勤務している会社で中国人やインド人が働いている、モンゴルの留学生と知り合いになったという類の話も聞いている。
在住外国人とどう接するか、という日本人側の悩みはあるだろう。しかし当然のことながら、より大きな問題や困難を抱えているのは在住外国人の人たちだ。彼らは、言葉も習慣も違う場所で、ごく普通の日常生活を営む術をどこの誰に尋ねたらいいのかわからないのである。
日本人でさえ煩雑なゴミの出し方をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいのか。病気・事故、火事など、命にかかわる非常事態に遭遇したとき、迅速な行動がとれるような体制はできているのだろうか。
本書は、各自治体での取り組みを、インタビュー、アンケート調査、統計データの分析等にもとづいて紹介している。地域によって在住外国人の数も母語の種類もまちまちであり、いわゆる「お上のお達し」で解決できることは少ない。どの自治体も、地元の人と在住外国人の力を借り、手探りでよりよい言語サービスを見出そうと努力している。本書の事例を多言語社会への第一歩として検証し、実際の場面で役立てていただけたら、と願っている。[-山岸-]

 

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ブナの森へ―女性・スピリチュアリティ・平和

ブナの森へ

女性・スピリチュアリティ・平和

  • 岩田澄江/2004年11月
  • 1800円(本体)/四六判・297頁

〈樹のいのり〉女性にとってほんとうに豊かな生き方とは。原始の森を逍遥して考える自然と共生、暮らし、宗教、世界平和、差別。「内なるうながし」に突き動かされたキリスト教フェミニストが折々に綴ったエッセイ。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100208)

目次|indexs

i
ブナの森へ/アン・アーバーでの一年/コーラー先生と新宗教/出会い/渦のうちそと英国の子ども部屋/エコちゃんのこと/宗教とのかかわり/「救い」としてのフェミニスト神学
ii
「愛」二題/暗い冬/喜び/小さなハルと木の精
iii
内なるうながしの声/風は思いのままに吹く/空き家ではなく/クエーカーとフェミニズム/ミッションスクールの女子教育
iv
アジアについて/平和主義は何処へ?/歴史への責任/スリランカ・キャンペーンを終えて/ラロトンガ訪問記/太平洋諸国における人種差別と性差別/ロシアからの客/激動のインドネシアとインド核実験/駐在員の妻たちは?/南インド訪問/アウンサンスーチーを訪ねて
v
ひとつの小さな流れ/『教会と第二の性』を訳して/キリスト教における男女差別/女性解放とキリスト教/神谷美恵子の宗教観の基盤をなすもの/神谷美恵子の信仰/神谷美恵子と千葉敦子/神谷美恵子と千葉敦子 Ⅱ/定型にとらわれない旅/見知らぬ人/連帯と希望の歌を!/南京大虐殺六十周年にあたって/『アジアの女たちと宗教』/「フェミニズム・宗教・平和の会」草創の頃のことなど
Epilogue
ブナの森の巫女

著者|author

岩田澄江(いわた・すみえ)
1937年東京生まれ。国際基督教大学卒、ミシガン大学大学院留学。東洋文庫研究部、東大法学部研究室、普連土学園、NCCキリスト教アジア資料センターなどの勤務を経て、現在ビルマ市民フォーラム、日本クリスチャンアカデミー関東活動センター運営委員。
訳書に『教会と第二の性』(未来社)、『フェミニズムの母たち―アメリカのクエーカー女性の物語』(未来社)、『女性解放とキリスト教』(共訳 新教出版社)がある。

担当編集者から

木には希望がある、というように
木は切られても、また新芽を吹き
若枝の絶えることはない。
地におろしたその根が老い
幹が朽ちて、塵に返ろうとも
水気にあえば、また芽を吹き
苗木のように枝を張る。
だが、人間は死んで横たわる。
息絶えれば、人はどこへ行ってしまうのか。
(ヨブ記14・7-10)
この詩句を冒頭に配しましょうと言ったとき、著者の岩田さん、「脅しの言葉みたいで怖くないですかねえ」と心配もされていた。
人間には希望がない、とも読める詩句だからだ。
しかし、ぜひ入れるべき確信がわたしにはあった。あとがきにこうある。
ドイツ語でブナ〈Buche〉は本〈Buch〉の語源なので、本書「ブナの森へ」は「本の森へ」ということにもなる。
肉体は滅びても本はのこり、読む者の内に芽を吹き、枝を張る。本は一粒の種子だ。これ以上の希望はないと思う。
エピグラムからあとがきまで、一本ふとい流れが通った自信作。ぴりっとした涼気に触れるような達意の文。森歩きの呼吸でゆっくりお読みください。 [-内藤-]

 

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にぎわい文化と地域ビジネス

にぎわい文化と地域ビジネス

  • 相原憲一/2004年11月
  • 1800円(本体)/A5判・298頁

ばか者(瞬発力)、わか者(柔軟性)、よそ者(多様性)によるオンリーワンの地域づくり!衰退化傾向にある地域を新機軸で蘇らせる。行政に頼らず、地元の人たちが知恵を出し合うことで「にぎわい」を創出し、持続する地域ビジネスを成功させた先進的事例を紹介・分析する。
(ISBN 4861100216)

目次|indexs

第一章 地域のにぎわい―その創出と持続
第二章 地域ビジネスへの展開―知恵を活かす
第三章 住民の知恵が地域ビジネスを生む

[富士川]
型破りのサービスエリア
「富士川楽座」誕生物語…森佑司
[天竜熊地区]
かあさんたちの村おこしから始まった「くんま」の挑戦…大平展子
[常滑]
住む人・働く人・訪れる人が手をたずさえる「やきもの散歩道」…山本幸治
[足助]
わが町を知ることで実現した「中馬のおひなさん」…佐久間章郎
[飛馬古川]
「匠」の心がいきづく町…森下純雄
[長浜]
長浜らしさを捨て、「黒壁ガラス文化」でにぎわいを取り戻す!…笠原司郎
第四章 奥浜名にぎわい塾
三ヶ日の明日を拓く人づくりとエコパーク構想…相原憲一
地産・地消農業へ向けて…清水理
食文化がつくる地域のにぎわい…米屋武文
山里の歴史を歩く 環竜ヶ石山構想…小野寺秀和

著者|author

相原憲一(あいはら・けんいち)
名古屋商科大学教授。ソフィアネットワーク研究所代表取締役。横浜生まれ。静岡県三ヶ日在住。早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。
主要著書:『ソーシングイノベーション』(共著、日科技連、2003年)、『情報技術を活かす組織能力』(共編著、中央経済社、2004)など。

担当編集者から

住む人が生き生きと暮らせる地域を自分たちでつくりあげていくのが、本当の町づくりだ。行政の建前論・理想論には、地域を元気づける力がない。住む人たちが模索しながら、楽しみながら、来訪者の刺激を受けながら、真に自分たちの町らしいにぎわいをつくった地域が現にある。
ある地域では伝統に磨きをかけた。ある地域ではこれまでの実績を白紙に戻し、まったく新しい町のあり方を探り出した。人まねでない町づくりは、そこに住む人がどんな場所にしたいか、どんな暮らしをしたいのかを考えることから始まる。町づくりは人づくりともいえる。
本書には、成功例とそこにいたるさまざまな経緯が記されている。参考にすべき点が多いはず。 [-山岸-]

 

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大地の文学[増補]賢治・幾多郎・大拙

大地の文学

[増補]賢治・幾多郎・大拙

  • 小野寺功/2004年10月
  • 2800円(本体)/四六判・328頁

「風のモナドロジー」へ― 京都学派の哲学を媒介に賢治文学を「思想」として読み替える。詩作と思索の出会いによって、アニミズムを超えた「存在詩」が立ち現れる稀有の瞬間を記す新論考「賢治の霊性文学」を加えた増補決定版。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100194)

目次|indexs

序論
大地の文学・大地の思想―私の宮沢賢治論
第一部 大地の詩
イーハトーヴ・詩と哲学の根源
啄木と賢治の軌跡
『遠野物語』考
東北の風土と高村光太郎
第二部 日本的霊性とキリスト教
鈴木大拙と日本的霊性
ドストエフスキーとニーチェ―精神の逆対応
日本の神学を求めて―大地の思想家たちとの出会い
第三部 現代日本におけるキリスト教の問題
吉満義彦と遠藤周作をめぐって
出会いの世紀へ―仏教とキリスト教
補遺 新世紀の風
賢治の霊性文学

著者|author

小野寺功(おのでら・いさお)
1929年岩手県に生まれる。上智大学大学院哲学研究科修了。
清泉女子大学名誉教授。
主な著書『大地の哲学』(三一書房、1983年)、『大地の神学―聖霊論』(行路社、1992年)、『絶対無と神―京都学派の哲学』(春風社、2002年)、『聖霊の神学』(春風社、2003年)

担当編集者から

ぼくにとって哲学の第一義は「明晰」である。哲学とは炭鉱を掘り進むようなものだ。硬い岩盤を砕き、光を差し入れ、形なきものを白日のもとにさらす。明晰を尊ぶフランス哲学に強い憧憬を憶える。
しかし明晰だけでは面白くない。岩盤が打たれる瞬間、ハンマーと岩が立てる火花、鉄と岩との接触面、これが思考の現場である。ニーチェや後期ハイデガーなどドイツの哲学者がスリリングなのは、闇の深さと、闇を引き裂くその手つきゆえだ。
さて本書『大地の文学』は、コールタールみたいなどろどろの暗闇に満ちている。どろどろとどう闘うか。闇をうがつ炭鉱夫の仕事ぶり、堪能してください![-内藤-]

 

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ダンテ神曲 原典読解語源辞典(2)煉獄

ダンテ神曲 原典読解語源辞典(2)

煉獄

  • 福島治/2004年8月
  • 46000円(本体)/B5判・660頁

中世文学の一大傑作『神曲』を逐語英訳し、語源、派生語、語彙の変遷、接頭辞など、翻訳の手がかりとなるものを多言語(羅・英・仏・西語等)により詳解する世界初の大辞典!
(ISBN 4921146780)

推薦のことば

ダンテの言葉の海 ―大江健三郎
原典が本当に読める ―中条省平
まさしく、ジョイスフル ―柳瀬尚紀
ダンテの『神曲』は、聖書やシェイクスピアと並び、ヨーロッパ文化の理解に必須の書物である。
私自身、十九世紀フランス文学に関する博士論文をパリ大学に提出した際、どうしても『神曲』を引用する必要が生じたが、原典を読解する力が足りず、やむなく数種類の仏訳を参照してごまかした。あの時この辞典があったなら、と心から悔しい思いをしている。
だが、今からでも遅くない。本書を座右におけば、ダンテの原典が本当に読めるのだ。昨今の出版界に稀な、夢のように嬉しい企画である。(中条省平)

著者紹介

福島治(ふくしま・おさむ)
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了。ラテン語の泰斗、故ジョン・G・グリフィス教授(オックスフォード大学)に師事。著書:『英語派生語語源辞典』(日本図書ライブ)他。

担当編集者から

今年(2004)4月より東京女子大学に移られ、ますますご多忙のサム先生からメール。
「煉獄21-25をご送付申し上げます。これからレースに参ります」
う~ん、先生、頑張ってらっしゃる! 私も元気出さなきゃ!

非常に地味で根気のいる、本辞典の編集作業。ゲラを5ページほどチェックすると、もう眼がチカチカしてしまう。
ゴールは遠く、途中で息切れしそう…。
それでも、語学が得意な内藤の補佐とオペレーターの鑑・米山さんの技に助けられ、少しずつ少しずつ歩を進めていくと、ランナーズハイのような現象が一瞬おとずれる。
つらさが快楽に変わり、再び苦痛(?)に引き戻され…。 あと半分、あと3分の1、あともうちょっと…。そして、ついにゴォール!

ホッとしたのも束の間、[天国]の編集がすでに始まっている。[-山岸-]

 

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環境心理学―環境デザインへのパースペクティブ

環境心理学

環境デザインへのパースペクティブ

  • 槙 究(著)/2004年8月(初版)/2010年3月(第2版)
  • 2286円(本体)/A5判並製・284頁
  • 装丁:長田年伸

建築、心理に携わるすべての人へ
豊富なデータと事例から人間と環境の関わりを分析する。
環境心理学の全体像を見通す初めての概説書!
(ISBN 4861100100)

2刷出来!!

目次|indexes

    第1部 環境と人の交わり
    ・環境心理学の誕生
    ・ほのめかす環境
    ・環境の記憶
    ・環境の探索
    第2部 環境の知覚と評価
    ・環境の知覚
    ・環境を評価する人
    ・環境美学
    ・環境の使いやすさ
    ・環境の安全性
    第3部 人にとっての環境
    ・人のいる環境
    ・環境との結びつき
    ・環境ストレス
    ・発達と環境
    ・少数派の環境
    第4部 環境デザイン
    ・環境構築プロセス
    ・環境調節
    第5部 環境の今後
    ・環境整備のあり方

著者|author

槙 究(まき・きわむ)
実践女子大学生活科学部生活環境学科助教授。1986年名古屋大学工学部建築学科卒業、1994年東京工業大学大学院総合理工学研究科社会開発工学専攻修了。工学博士。実践女子大学生活科学部生活環境学科専任講師を経て、現職に。専攻は、環境心理学、色彩計画など

 

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有給休暇で行く世界の旅

有給休暇で行く世界の旅

  • 木村光男/2004年8月
  • 1500円(本体)/四六判・224頁

かぎられた時間とお金で、無限の旅を楽しむ法! 有給休暇をつかい18年間に72カ国(!)を回った経験を踏まえ、効率的なたびをアレンジするコツを紹介する。ルート・見所・費用・トラブル対策などなど、役に立つ情報満載の個人旅行の画期的ガイド!
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100178)

目次|indexs

第一部 テーマのある旅
一 自然編
オーロラを見に行く/日食を見に行く/登山・トレッキングに行く/滝を見に行く/島・岬・最果ての地に行く
二 遺跡編
アジアの遺跡/中米の遺跡/南米の遺跡/アフリカの遺跡とヨーロッパの遺跡
三 国・都市編
キューバ・ハバナ/ロシア/中国/リオデジャネイロとケープタウン/ブエノスアイレス/バングラデシュ/タイと韓国
第二部 旅の安全―旅のトラブル対策
盗難と強盗に注意/感染病に注意

著者|author

木村光男(きむら・みつお)
外資系石油会社に勤めるかたわら、有給休暇で世界の旅を楽しむ。
現在、GO-GO PLANNING代表。

担当編集者から

ふつうのサラリーマンが、年平均4回も海外旅行に???
でも、なせば成るんですね。
旅に出たい、どこがいいかなと思案中の人に本書はぴったり。口絵・本文あわせて66枚入っている写真も参考になるはず。
魚眼レンズが好きな木村さんが見た世界とは? さあ、ご一緒に72ヵ国の旅に出かけましょう![-山岸-]

 

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